特許第6249337号(P6249337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6249337封緘シール及び封緘シール付きウェットシート包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249337
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】封緘シール及び封緘シール付きウェットシート包装体
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20171211BHJP
   G09F 3/03 20060101ALI20171211BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20171211BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   G09F3/02 V
   G09F3/03 Z
   B65D83/08 A
   B65D75/58
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-268475(P2013-268475)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-125216(P2015-125216A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】林 伸匡
(72)【発明者】
【氏名】間篠 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅紀
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−006262(JP,A)
【文献】 特開2010−058837(JP,A)
【文献】 特開2011−164385(JP,A)
【文献】 特開2005−230686(JP,A)
【文献】 特開昭63−139339(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0323134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00− 5/04
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B65D 83/08
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェットシート包装体であって、
香料を含有するウェットシートを収納する包装袋と、
前記包装袋の上面に設けられた開口部と、
前記開口部を覆い、着脱自在な蓋部材と、を備え、
香料を含有する芳香発散層と、基材層と、粘着剤層と、を順に備える封緘シールが前記蓋部材を封緘しており、
芳香発散層に含有される香料が、ウェットシートに含有される香料と同一の香料である、ウェットシート包装体。
【請求項2】
封緘シールは、蓋部材とは別に、蓋部材と包装袋の表面を跨ぐように設けられている、請求項1に記載のウェットシート包装体。
【請求項3】
前記芳香発散層は、香料を封入するマイクロカプセルを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のウェットシート包装体
【請求項4】
前記マイクロカプセルが5μm以上30μm以下の平均粒径を有し、
前記平均粒径に対して10%以上15%以下の厚さを有する壁膜と、
前記平均粒径に対して85%以上90%以下の厚さを有する芯物質と、を備えることを特徴とする請求項に記載のウェットシート包装体
【請求項5】
さらに、封緘シールが、前記芳香発散層の上に、保護層を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載のウェットシート包装体
【請求項6】
封緘シールに、平行する複数の開封線開封方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のウェットシート包装体
【請求項7】
前記開封線は、平行する3本のハーフカット線または平行する3本のミシン目線であることを特徴とする請求項に記載のウェットシート包装体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封緘シール及び封緘シール付きウェットシート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗剤、石けん、化粧品等には、高級感等の付加価値を与えるために、様々な種類の香料を含有させることが多い。また、昨今では、快適性と便利性への要求の高まりを反映して、使い捨ての除菌用ウェットティッシュー、清掃用シート、お尻拭きシート、ペット用ウェットティシューといった湿潤式のシートについても香料を含有している(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
香り付きの製品は、包装容器に納められ、密封した状態で販売されることが一般的である。湿潤式のシートの場合、金属アルミニウムを蒸着被覆したプラスチックフィルム等からなる包装容器に収容したあと、取出口からシートを含浸している液体が漏れださないようにするため、また、包装容器の流通過程及び店頭での不正な開封を防止して、品質を保証するため、開封状態が分かるような封緘シールを蓋材に貼っている(特許文献3、図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−079530号公報
【特許文献2】特開2004−357877号公報
【特許文献3】特開平09−216672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
消費者は、香り付き製品に含有されている香料を購入前に開封して知ることができないため、香り付き製品の香料を試供する方法としては、例えば、製品と同じ香料を入れたボトルや、製品のミニサイズのサンプルといった香料試供品を製品の前に置く方法を採用していた。このような香りの試供方法では、設置スペースが必要であることやコストの上昇といった問題が生じ、より簡素で経済的な方法が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、試供品の準備が不要であることにより、コストの削減が可能であるとともに、製品に付与された香料を開封せずに試供できる封緘シールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明に係る1つの態様は、香料を含有する芳香発散層と、基材層と、粘着剤層と、を順に備える封緘シールを提供する。
【0008】
(2)芳香発散層は、上記(1)に記載の封緘シールにおいて、香料を封入するマイクロカプセルを含有してもよい。
【0009】
(3)マイクロカプセルは、上記(2)に記載の封緘シールにおいて、30μm以下の平均粒径を有し、平均粒径に対して10%以上15%以下の厚さを有する壁膜と、平均粒径に対して85%以上90%以下の厚さを有する芯物質と、を備えてもよい。
【0010】
(4)さらに、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の封緘シールにおいて、芳香発散層の上に保護層を備えてもよい。
【0011】
(5)さらに、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の封緘シールにおいて、平行する複数の開封線を開封方向に沿って形成してもよい。
【0012】
(6)開封線は、上記(5)に記載の封緘シールにおいて、平行する3本のハーフカット線または平行する3本のミシン目線であってもよい。
【0013】
(7)本発明に係る1つの態様は、ウェットシート包装体であって、ウェットシートを収納する包装袋と、包装袋の上面に設けた開口部と、開口部を覆い着脱自在な蓋部材と、を備え、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の封緘シールが蓋部材を封緘するウェットシート包装体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、試供品の準備が不要であることにより、コストの削減が可能であるとともに、製品に付与された香料を開封せずに試供できる封緘シールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)本発明の封緘シールの一つの実施形態の層構成を示す断面図である。(b)本発明の封緘シールの別の実施形態の層構成を示す断面図である。
図2】本発明の封緘シールの一つの実施形態を示す概略表面図である。
図3】発明の封緘シールの一例である。
図4】本発明の封緘シールを貼ったウェットシート包装体の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)について詳細に説明する。
【0017】
図1(a)及び(b)は、本発明の封緘シールの実施形態の層構成を示す断面図である。図1(a)に示すように、封緘シール1は、基材層12と、基材層12の上面に設けられ、香料を含有する芳香発散層11と、基材層12の裏面に設けられた粘着剤層13とにより構成されている。芳香発散層11では、香料をマイクロカプセル14に封入してもよい。また、図1(b)に示すように、芳香発散層11の上面に保護層15を設けたり、印刷層16を設けたりしてもよい。図1(a)及び(b)に例示したものに限らず、基材層12と芳香発散層11との間に基材層12と芳香発散層11を接着させる、接着剤層(図示せず)を設けることや、あるいは、他の層を適宜設けることも可能である。以下、本発明の封緘シール1を構成する各層について、詳細に説明する。
【0018】
(芳香発散層)
芳香発散層11は、基材層12の上面に設けられている。芳香発散層11には、封緘シール1を貼り付けた香り付き製品に付与された香料と同じ香料を含有している。芳香発散層11に含有する香料は、特に限定されず、例えば、カーネーション、ラベンダー、キンモクセイ、クチナシ、バラ、ジャスミン等の花系、カモミール、シナモン、ローズマリー等のハーブ系、オレンジ、レモン、チェリー等の果物系、ヒノキ、松、モミの木等の森林系等から一種又は数種を選んで用いることができる。
【0019】
芳香発散層11は、運送時には香り付き製品の内包する香りを保ち、香料を試供するときに香料を効率的に発散させる効果を得られることから、香料を封入したマイクロカプセル14を含有することが好ましい。試供したい消費者は、芳香発散層11の表面を擦る等して、香料を有するマイクロカプセル14が破壊され、香りが発生する。
【0020】
芳香発散層11におけるマイクロカプセル14に封入した香料は、揮散して香りを発する化合物である香料を、従来公知のマイクロカプセルの製造方法を適宜選択することができ、例えば、コアセルベーション法、インサイチュ法や、界面重合法等を用いることができる。
【0021】
マイクロカプセル14の壁材の種類は、特に限定されない。芳香成分によって異なるが、一般的には、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリウレタン、アルギン酸ナトリウム、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂等のカプセル化できる材料であれば利用できる。また、マイクロカプセル14の構造も特に限定されず、例えば、単純単核のものを例示することができる。さらに、マイクロカプセル14の平均粒径も特に限定されず、例えば、5μm以上30μm以下、好ましくは12μm以上20μm以下とすることができる。マイクロカプセル14の平均粒径が5μm未満であると、必要かつ十分な香料を含ませることができなくなる。他方、マイクロカプセル14の平均粒径が30μmを超えると、塗布液中における混合時や乾燥時などにおいて、マイクロカプセル14の壁材が壊れて、香料が流出してしまうおそれがある。
【0022】
マイクロカプセル14の壁膜は、平均粒径に対して10%以上15%以下の厚さを有し、芯物質は、平均粒径に対して85%以上90%以下の厚さを有する芯物質であることが好ましい。ただし、壁膜が薄すぎると、塗布液中における混合時や乾燥時などにおいて、マイクロカプセル14の壁材が壊れて、香料が流出してしまうおそれがある。他方、壁膜が厚すぎると、壁材が壊れにくくなり、擦っても十分な香りが出ないので、試供ができなくなってしまうおそれがある。
【0023】
また、マイクロカプセル14の芯物質の質量比は、香り(昇華性)の強弱に合わせて調整することができるが、マイクロカプセル14の質量あたり85質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、75質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
【0024】
芳香発散層11は、マイクロカプセル14に封入した香料成分と、インク、有機溶剤等の溶媒成分を配合調整した塗工液を、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等の公知の印刷方法によって形成等の方法により、基材層12の上面に、乾燥状態で塗布量が2g/m2以上20g/m2以下で形成することが好ましい。また、互いに異なる香料を含有するマイクロカプセル14を使用した2種以上の塗工液を用意して、基材層12の異なる領域に、区分けして印刷することもできる。さらに、香料を含有しない印刷層16を、基材層12の上面の芳香発散層11と異なる領域に印刷することや、図1(b)に示すように、芳香発散層11と基材層12との間に形成することもできる。印刷は、封緘シール1の表面に色や絵柄を表示することにより、封緘シール1の存在を消費者に明示することができる。包装または図3に示すように、封緘シール1に「こすると香ります」といった説明文等を、表示することにより、封緘シール1が芳香を発散することを消費者に明示することができる。芳香発散層11の印刷あるいは印刷層16の形成により、外力が加えられると封緘シール1が歪み等によって外観が変化するため、不正行為等の痕跡となり、またその視認性を高める機能を有する。
【0025】
また、芳香発散層11の厚さは、芳香発散層11の塗工又は印刷時にマイクロカプセル14を破壊しない等の観点から、5μm以上40μm以下が好ましい。
【0026】
図1(b)に示すように、取扱い上の擦れ等から芳香発散層11を保護する観点から、芳香発散層11の上面に、保護層15を設けることが好ましい。保護層15は、例えば、剥離可能なフィルムを芳香発散層11の上に積層したり、樹脂成分を芳香発散層11の上に塗工したりすることにより形成することができる。
【0027】
剥離可能な保護層15の基材としては、例えば、セロハン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等の樹脂フィルム、コンデンサー紙やパラフィン紙等の紙等があり、また、これらのいずれかを複合したものであってもよい。
【0028】
保護層15を形成する樹脂成分としては、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系ブロックコポリマー、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を適宜用いることができる。また、顔料や染料、ラメ等を含有してもよい。保護層15の形成方法は、例えば、樹脂成分と、溶媒等の添加剤を配合調整した塗工液を、従来公知のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の方法により、2g/m以上10g/m以下の乾燥状態の塗布量で、形成することができる。
【0029】
(基材層)
基材層12は、搬送、展示、取扱い等で破損せず、封緘する対象物に貼り付け、その貼り付けられた封緘シール1を剥離し、また破断して開封する取扱い上、支障がない程度の機械的強度を有するものであればよく、このような基材シートとしては、アート紙や上質紙等の紙、合成紙、不織布、樹脂シート等、一般に封緘シールに用いられる基材シートを、特に制約なく用いることができる。また、基材層12の厚さは、その強度及び柔軟性が適切になるように材料に応じて、適宜変更することができるが、20μm以上150μm以下が好ましい。
【0030】
(粘着剤層)
粘着剤層13は、封緘シール1を封緘対象である前記香料を含む香り付き製品の開閉部の表面に貼り付ける機能を果たすものである。粘着剤層13の材料としては、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の公知の各種粘着剤等の通常の接着剤を、特に制約なく使用することができる。
【0031】
図2は本発明にかかる封緘シールの一つの実施形態を示す概略表面図である。本発明の封緘シールは、開封方向に沿って、封緘シール1の中央部に開封線17を形成している。封緘シール1には、開封を容易にし、同時に、開封したことを明示しやすくする観点から、平行する複数の開封線14を開封方向に沿って形成することが好ましい。また、開封線14を3本ないし7本形成することが好ましく、開封線14を、平行する3本のハーフカット線または平行する3本のミシン目線で形成することにより、開封方向と角度がずれて封緘シール1を香り付き製品に貼り付けたとしても、いずれかの開封線14が作用して、開封時に容易に封緘シール1を破ることができる。
【0032】
開封線14どうしは、0.5mm以上2.0mm以下の間隔で形成し、ミシン目線の場合、ピッチをカット部1.0mm以上5.0mm以下、非カット部0.2mm以上1.0mm以下とすることが開封性の観点から好ましい。
【0033】
封緘シール1の形状としては、円形、楕円、多角形、星模様、花模様、葉模様等があげられる。また、封緘シール1の大きさは、封緘する包装容器の開封部分の大きさや、表示する文字等に合わせて、適宜設定することができる。
【0034】
図4に示すように、封緘シール1は、ウェットシート包装体2の蓋部材23の表面に貼り付けることで、ウェットシートに含浸された香料を試供することができるものである。ウェットシート包装体2は、ウェットシートを収納する包装袋21と、包装袋21の上面に設けた開口部22と、開口部22を覆い着脱自在な蓋部材23とを備えており、蓋部材23と包装袋21の表面を跨ぐように封緘シール1を貼り付け、封緘している。
【0035】
ウェットシートは、例えば、化粧落としウェットシート、除菌用ウェットティシュー、手拭用ウェットティシュー、お尻拭きシート、掃除用ウェットシート、ペット用ウェットシート等があげられる。
【0036】
この封緘シール1により、香料の試供が容易となり、多種類の香料を含浸したウェットシートを流通させることができる。また、開封したときに、封緘シール1が破断して、香料が空気中に発散され、芳香性が増すこととなる。
【符号の説明】
【0037】
1 封緘シール
11 芳香発散層
12 基材層
13 粘着剤層
14 マイクロカプセル
15 保護層
16 印刷層
17 開封線
2 ウェットシート包装体
21 包装袋
22 開口部
23 蓋部材
図1
図2
図3
図4