特許第6249338号(P6249338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249338
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   G01N21/892 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-110880(P2014-110880)
(22)【出願日】2014年5月29日
(65)【公開番号】特開2015-225003(P2015-225003A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2016年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599140770
【氏名又は名称】フロンティアシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 俊治
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−085209(JP,A)
【文献】 特開2008−070273(JP,A)
【文献】 特開2002−039952(JP,A)
【文献】 特開2008−082999(JP,A)
【文献】 特開2014−52339(JP,A)
【文献】 特開2003−294644(JP,A)
【文献】 特開2009−139275(JP,A)
【文献】 特開平9−138121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の被検査体の表面を検査する装置であって、
a) 前記被検査体の表面の互いに近接した複数の平行な線状領域のそれぞれに光を照射する光源と、
b) 前記複数の線状領域で反射した反射光、もしくは、該線状領域を直進して透過した直進透過光を受光する位置、又はその近傍の位置に、受光軸が、前記正反射光あるいは前記直進透過光の光軸と平行な姿勢で配置された受光部と、
c) 前記受光部の受光領域における、前記被検査体が欠陥のない理想状態である場合に前記複数の線状領域のいずれかで反射された正反射光、もしくは、該いずれかの線状領域を直進して透過した直進透過光が、到達する領域内に、センサ視野を設定し、該センサ視野の受光量に基づいて、欠陥の有無を検出する処理部と、
を備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記光源からの前記線状領域への入射角が10度以下であることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記受光部は、カメラで撮像した画像の中から1本の線状のデータを抜き出すものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
さらに、前記被検査体を前記複数の線状領域と平行でない方向に移動させる移動機構を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項5】
さらに、前記移動機構の一方の端部に、被検査体の表裏を反転させる反転機構を備えることを特徴とする請求項4に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記互いに近接した複数の平行な線状領域のそれぞれに照射される光は、線状の光源の一部をその長手方向に平行な遮光テープで覆うことにより作製されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項7】
さらに、イメージセンサを備えることを特徴とする請求項6に記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状の被検査体の表面の疵や凹凸などの欠陥、被検査体の形状、被検査体に取り付けられている装着物等の配置や寸法などの、被検査体の外観を検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スマートフォン本体(筐体)や、その表面に装着されるガラス基板などの平面状の被検査体の表面の欠陥を検査するために、被検査体を移動させつつ、その移動方向に垂直な線状の光を被検査体表面に照射し、そこで反射した光をセンサで受光する方法が用いられている。例えば、特許文献1には、移動する帯状体の表面に1本の線状光を照射し、帯状体の表面で反射された線状光の反射像を時間遅延積分型ビデオカメラで撮像して帯状体の表面の欠陥を検査する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-132800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、1本の線状光を被検査体表面に照射し、そこで反射してくる線状光を、時間遅延積分型ビデオカメラ(TDIカメラ)の1次元画素列から成るセンサ(TDIセンサ)で検出している。そのため、被検査体の表面上にある凹凸や疵(欠陥)が浅いものである場合、その角度によっては反射してくる線状光における欠陥による強度の低下が僅かなものとなり、検出が難しいことがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、被検査体の表面の疵が浅いものであっても高感度に検出することができる外観検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために成された本発明は、平面状の被検査体の表面を検査する装置であって、
a) 前記被検査体の表面の互いに近接した複数の平行な線状領域のそれぞれに光を照射する光源と、
b) 前記複数の線状領域で反射した反射光、もしくは、該線状領域を直進して透過した直進透過光を受光する位置、又はその近傍の位置に、受光軸が、前記正反射光あるいは前記直進透過光の光軸と平行な姿勢で配置された受光部と、
c) 前記受光部の受光領域における、前記被検査体が欠陥のない理想状態である場合に前記複数の線状領域のいずれかで反射された正反射光、もしくは、該いずれかの線状領域を直進して透過した直進透過光が、到達する領域内に、センサ視野を設定し、該センサ視野の受光量に基づいて、欠陥の有無を検出する処理部と、
を備えることを特徴とする外観検査装置である。
【0007】
ここで、複数の平行な線状領域について「互いに近接した」とは、それら複数の平行な線状領域の間の距離が、検出しようとする欠陥の大きさよりも小さいことを意味する。また、受光部の位置について「受光する位置の近傍の位置」とは、いずれかの線状領域で反射した反射光、もしくは、該線状領域を直進して透過した直進透過光を受光する位置の間の位置、あるいは、端の線状領域での反射光、もしくは、端の線状領域を直進して透過した直進透過光を受光する位置からそれら複数の線状領域の全体の幅よりも短い距離だけ離れた位置のことを言う。
【0008】
本発明に係る外観検査装置では、被検査体の表面の複数の線状領域のそれぞれに光が照射されるため、被検査体の表面におけるそれら複数の線状領域部分に欠陥がある場合、各線状領域に照射された光は、該欠陥で反射される、又は該欠陥の箇所を透過する。欠陥での反射光/透過光は、受光部に入る時、欠陥がない場合の正反射光/直進透過光とは異なる角度で入射する。このため、浅い疵であっても、いずれかの反射光/透過光でその欠陥を検出することができ、全体として被検査体の表面の欠陥を高感度に検出することができる。
【0009】
前記光源からの(複数の)線状領域への入射角(線状光の光路と被検査体表面における法面の成す角度)は10度以下とすることが望ましい。
【0010】
このように入射角を小さくすることにより、光源と受光部の間の距離(被検査体の表面に平行な方向の距離)が小さくなり、外観検査装置の全長を小さくすることができる。また、透明度の高い被検査体の欠陥の検査がより容易となる。すなわち、透明度の高い被検査体の場合、入射角を小さくするほど、欠陥の無い箇所では透過する光の割合が多くなり、欠陥からの反射光がより検出しやすくなる。
【0011】
前記受光部は、複数の平行な線状領域での直接反射光(正反射光)をいずれも受光しないものとする(これを「散乱光受光タイプ」と呼ぶ。)こともできるし、いずれか1本の線状領域での反射光を直接受光するようにしてもよい(これを「直接光受光タイプ」と呼ぶ。)。散乱光受光タイプは、無色又は被検査体と同色の凹凸、しわ、疵などの欠陥を検出するのに適しており、直接光受光タイプは、有色又は遮光物の異物、黒点、よごれ、などの欠陥を検出するのに適している。
【0012】
前記受光部は、カメラで撮像した画像の中から1本の線状のデータを抜き出すものとすることができる。この構成により、高価なラインセンサを用いることなく、一般のカメラを用いることができるようになる。また、ラインセンサの場合、これを、線状領域で反射もしくは直進して透過した光が到達する線状の領域と合致する位置に正確に設定しなければならず、設定が面倒であるが、カメラの場合、そのような面倒な位置設定が不要となる。
【0013】
本発明に係る外観検査装置は、さらに、
前記被検査体を前記複数の線状領域と平行でない方向に移動させる移動機構を備えることが望ましい。
【0014】
これにより、被検査体の表面の広い範囲を検査することができるようになる。また、前記の直接光受光タイプの場合には、受光部で受光した直接反射光を蓄積することにより、被検査体の表面の画像を得ることができ、欠陥以外に、外形(寸法を含む)や装着物等の検査も可能となる。
【0015】
このような移動機構を設けた場合、さらに、その一方の端部に、被検査体の表裏を反転させる反転機構を設けることが望ましい。これにより、移動機構で被検査体を一方向に移動させ、一方の面を検査した後、該反転機構でその表裏を反転させ、該移動機構で被検査体を逆方向に移動させて同じ装置で今度は他方の面を検査することができるようになる。これは外観検査装置をコンパクト化・低コスト化することとなる。
【0016】
前記互いに近接した複数の平行な線状領域のそれぞれに照射される光は、線状の光源の一部をその長手方向に平行な遮光テープで覆うことにより作製することができる。例えば、線状の光源の幅方向の中央に、長手方向の全長に亘る遮光テープを貼付することにより、2本の平行な線状光を得ることができる。また、幅方向に2本の遮光テープを僅かに離して貼付することにより、3本の平行な線状光を得ることができる。

【0017】
本発明に係る外観検査装置はさらに、イメージセンサを備えるようにしてもよい。上記の通り、直接光受光タイプでは線状光光源だけでも、移動機構を設けることにより被検査体の外形等検査が可能となるが、イメージセンサを設けることにより、より検査速度が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る外観検査装置によると、被検査体の疵が浅いものであっても、高感度に検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例に係る外観検査装置の概略構成を示す側面図(a)、及び上面図(b)。
図2】同実施例のキャリアの概略上面図。
図3】同実施例の欠陥検査用光源の発光面の概略図。
図4】同実施例の欠陥検査部の概略構成を示す側面図(a)、ラインカメラの正面図(b)、欠陥検査用光源からの光が照射された被検査体の上面図(c)、及びライン視野を示す上面図(d)。
図5】同実施例の反転部の概略構成を示す側面図(a)、正面図(b)、及び上面図(c)。
図6】同実施例の反転部の動作を示す図。
図7】同実施例の欠陥検査部において反射される光の概略図。
図8】本発明の別の実施例に係る外観検査装置の欠陥検査用光源の発光面の概略図(a)、及び欠陥検査用光源から被検査体表面に照射される光とライン視野の関係を示す概略図(b)。
図9】別の実施例に係る検査部の透過カメラの位置を示す側面図。
図10】同実施例の外観検査装置で検出した欠陥画像。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施例に係る外観検査装置1について、図1図6を参照して説明する。
本外観検査装置1は、スマートフォンの表面(「面A」とする。)のガラス基板や、裏面(「面B」とする。)のケースの疵などの欠陥を検出し、さらに、表面にあるマイクや、裏面のケースに設けられた、カメラレンズのための穴(レンズ穴)が正しい箇所にあるかを検査するものである。なお、被検査体としては、スマートフォンに限定されることはなく、被検査体の表裏が光を反射する平面状のものであればよい。
【0021】
本外観検査装置1は、図1示すように、被検査体Sを運搬するためのキャリア51に被検査体Sを装着し又はキャリア51から取り出す装着・取出部10と、被検査体Sの欠陥及び外観を検査する検査部20と、被検査体Sの表裏を反転させる反転機構60と、キャリア51を装着・取出部10から検査部20、反転機構60まで搬送する搬送部50とを備える。
【0022】
装着・取出部10は、被検査体Sをキャリア51上に装着するロード機構11と、被検査体Sをキャリア51上から取り出すアンロード機構12とを備える。これらはもちろん、手動で行ってもよい。
【0023】
搬送部50は、平行な2本のレール52と、それらレール52上を走行するキャリア51を備えている。キャリア51の下面と2本のレール52の間にはそれぞれ、リニアモータ機構53が設けられている(図1(b))。
キャリア51の上部には、図2に示すように、被検査体S(点線で示す。)の両側辺を支持する断面L字形の2つのガイド511及びそれらの間隔を変えるための幅調節ハンドル512、被検査体Sを両ガイド511間で挟持して固定するシリンダー513などを備える。
【0024】
検査部20は、欠陥検査部21、外観検査部31、及びそれらに接続された処理部40を備える。処理部40には、表示部41が接続されている。
欠陥検査部21は、欠陥検査用光源22と、2台のラインカメラ23a、23bを備える。欠陥検査用光源22は、3本の互いに平行な線状光を発光する。具体的には、指向性の高い青色LEDを多数、線状に1列に配置した線状光源22(長さL=約200 mm、幅W=約21 mm)を用い、図3に示すように、その発光面の長手方向に、黒色の遮光テープ24(幅w1=約6 mm)を2本、等しい間隔w2(約3 mm)を設けて貼付したものを用いる。
【0025】
図4(a)に示すように、欠陥検査用光源22は、被検査体Sの上を向いている面Aに対して、約7度の入射角(α)で照射されるように配置されている。
ラインカメラ23a、23bは、図4(b)に示すように、2台で被検査体Sの上面の全幅Lw(図1(b)参照)を撮像することができるように、キャリア51の移動方向に垂直に、左右に並置されている。両ラインカメラ23a、23bは、図4(a)に示すように、欠陥検査用光源22の幅方向中央からの光の正反射光が両ラインカメラ23a、23bのカメラ光軸が形成する面とほぼ一致するように設置されている。
【0026】
外観検査部31は、外観検査用光源32とエリアカメラ33とを備える。エリアカメラ33は、その光軸が被検査体Sの上側の面Aに対して垂直になるように設けられる。なお、このエリアカメラ33が本発明のイメージセンサに該当する。外観検査用光源32は、このエリアカメラ33の光軸(図1(a)中の二点鎖線)と同軸のLED光源であり、被検査体Sの上側の面A全体をほぼ均一に照射する。
【0027】
処理部40は、所定のプログラムを備えたパーソナルコンピュータであり、ラインカメラ23a、23b及びエリアカメラ33からのデータを受け、後述のように処理することにより被検査体Sの欠陥及び外観の検査を行い、それらの結果を予め定められた装置に送信するとともに、表示部41に表示する。
【0028】
反転機構60は、図5(a)、(b)に示すように、複数の吸着パッド64を備える反転ハンド61と、反転ハンド61を180度回転させるロータリー機構62と、それらを上下に移動させる上下移動シリンダー63を備える。
【0029】
以下に、本外観検査装置1の動作を説明する。キャリア51は、その初期位置がレール52のスタート端X(図1(b))となっており、本外観検査装置1を起動すると、キャリア51はスタート端Xに移動される。
【0030】
まず、キャリア51の幅調節ハンドル512により両ガイド511の間隔が被検査体Sの幅Lwに合わせて調節される。その後、装着・取出部10において、ロード機構11により被検査体Sが、面Aを上にして両ガイド511の間に載置され、シリンダー513により固定される。
【0031】
被検査体Sを保持したキャリア51は、リニアモータ機構53によって検査部20に移動される。検査部20では、まず、欠陥検査部21において、搬送されてきた被検査体Sの上側の面Aに、図4(c)に示すように、欠陥検査用光源22から3本の平行な線状光SLが照射される。この、線状光SLが照射された面Aの画像がラインカメラ23a、23bによって撮影され、処理部40に送られる。
【0032】
処理部40は、撮影された画像のデータから、図4(d)に示すように、3本の平行な線状光SLの中央の光の部分のデータのみをセンサ視野Vとして抜き出し、ライン画像とする(直接光受光タイプ)。本実施例では、センサ視野Vの幅Ws=約28.35 μmである。このセンサ視野が本発明における線状の受光部に該当する。処理部40は、空間フィルターによってライン画像からノイズを除去した後、欠陥の強調処理を行って、ライン検査データとする。このライン検査データは、例えば階調8ビットの場合、欠陥がない場合の光のレベルが256となり、欠陥がある場合は256以下となる。処理部40は、このライン検査データに基づき、被検査体Sの面Aに欠陥があるか否かを判定し、その結果を予め定められた装置に送信するとともに、表示部41に表示する。
【0033】
本外観検査装置1では、被検査体Sが欠陥検査部21を通過する間、センサ視野Vが被検査体Sの面Aを順次移動してゆき、各線状領域のライン画像が取得される。取得されたライン画像は順次処理部40に送られて上記処理がなされ、欠陥の検査・判定が行われる。それと同時に、本外観検査装置1では、これら順次取得されるライン画像のデータを蓄積し、1個の被検査体Sがセンサ視野Vを全て通過した時点で、処理部40は全てのライン画像データを統合して、被検査体Sの面Aの全体画像を作成する。処理部40は、この全体画像より、先に欠陥が存在すると判定された箇所を含む部分の画像データを(例えば、256×256ピクセル又は512×512ピクセルに)切り取って、欠陥画像データとして保存する。また、その欠陥画像を表示部41に表示する。
【0034】
本外観検査装置1では、欠陥検査用の光として3本の平行な線状光を用いており、センサ視野Vをその中央の線状光の中となるように配置しているため、被検査体Sの表面の欠陥が無い部分では、図7(a)に示すように、中央の線状光の光のみがセンサ視野V内に入る。一方、欠陥Dがある部分では、図7(b)に示すように、該欠陥Dに照射された中央の線状光からセンサ視野Vに入射する光の量が減少する一方、その両側の2本の線状光が該欠陥Dで反射され、正反射方向でない方向に反射(乱反射)されてセンサ視野Vに入射する。これらの光はセンサ視野V内で互いに干渉し、欠陥Dが無い場合の中央の線状光の正反射光のみの場合とは異なる状態となる。このため、1本の線状光を用いる場合よりも欠陥D、特に浅い疵を高感度に検出することができる。浅い疵を1本の線状光で検出しようとすると、光の入射角/反射角を大きく(すなわち、光源及びカメラを被検査体S表面に対して寝かせて)設置しなければならなかったが、本外観検査装置1では線状光の入射角を小さくすることができ、その結果、欠陥検査用光源22とラインカメラ23a、23bの距離を小さくすることができる。これにより、装置の全長を小さくすることができる。
【0035】
欠陥検査部21を通過した被検査体Sは、さらに搬送され、外観検査部31のエリア画像撮像位置に至った時、リニアモータ機構53が停止される。エリア画像撮像位置では、同軸LED光源(外観検査用光源32)が被検査体Sの面A全体に照射されており、エリアカメラ33によってエリア画像が撮像される。この撮像されたエリア画像は、処理部40に送られ画像処理され、マイク穴の位置及び形状が所定の位置及び形状と一致しているかが判定される。処理部40は、その判定結果を、予め定められた装置に送信するとともに、表示部41に表示する。
【0036】
その後、キャリア51はさらに他方のレール端Y(図1(b)参照)まで搬送され、そこで停止される。このとき、反転ハンド61はキャリア51に保持された被検査体Sの下方に位置している(図6(a))。次に、上下移動シリンダー63が上昇し、反転ハンド61の上面の吸着パッド64が被検査体Sの下側の面Bに接した時、吸着が行われ被検査体Sの面Bに吸着する(図6(b))。また、この時点でキャリア51のロック機構が解除される。
【0037】
その後、上下移動シリンダー63がさらに上昇し(図6(c))、ロータリー機構62が反転ハンド61を180度回転する(図5(b)矢印の方向)。これにより被検査体Sの表裏が反転され、面Bが上を向く(図6(d))。その後、上下移動シリンダー63が下降し、被検査体Sの面Aがキャリア51に接した時点で吸着パッド64による吸着が解除され(6(e))、被検査体Sが面Bを上にした状態で両ガイド511に挟持されてシリンダー513によりロックされる。
【0038】
その後、被検査体Sは前記とは反対の方向へ、すなわち、レール端Yからレール端Xへ向けて搬送される。そして、まず、外観検査部31にて、面Bのエリア画像が撮像され、欠陥検査部21にて、面Bのライン画像データが順次取得される。外観検査部31、欠陥検査部21での動作は面Aの検査の場合と同様に行われ、外観検査部31では、面Bのレンズ穴の位置と形状が検出されて、所定の位置及び形状と一致しているかが判定される。欠陥検査部21では面Bの欠陥の有無の検査・判定が行われる。
【0039】
被検査体Sが装着・取出部10まで搬送されると、リニアモータ機構53が停止され、ロック機構が解除された後、アンロード機構12によってキャリア51から取り出される。取り出された被検査体Sは、面A及び面Bの外観及び欠陥の検査の結果に応じて、良品と不良品(又は要再検査品)に分けられる。
また、レール端Yでは、キャリア51が反転機構60から離れた後、ロータリー機構62は再び180度回転して、反転ハンド61は、吸着パッド64が上方を向いた状態に戻される。
【0040】
本外観検査装置1では、検査部を1つとし、被検査体Sがそこを往復するようにしているため、装置が小型化される。また、欠陥検査用光源22やラインカメラ23a、23bを含む検査部位が欠陥検査部21の1つでよいため、設備費用を抑えることができる。
【0041】
本外観検査装置1では、被検査体Sの搬送をリニアモータ機構53によって行っているため、被検査体Sの移動がスムーズとなり、撮影画像(ライン画像、エリア画像)に生じる歪やノイズを最小限に抑えて、欠陥検出の感度を上げることができる。また、高感度を維持したまま搬送速度を上げることも可能となり、検査の処理能力を上げることができる。
【0042】
図8(a)は、本発明の別の実施例に係る外観検査装置1の欠陥検査用光源25の発光面の概略図である。この欠陥検査用光源25は、照明の発光面(幅W=約21 mm)の幅方向中央に、黒色の遮光テープ26(幅w3=約9 mm)を長手方向に1本貼付したものである。この実施例では、処理部40は、ラインカメラ23a、23bによって撮影された画像中、図8(b)に示すように、2本の平行な線状光SLの間の部分(遮光部分)をセンサ視野Vとし、その部分のデータを抜き出してライン画像データとする(散乱光受光タイプ)。欠陥の検出は、前述の例(階調8ビットの場合)で説明すると、欠陥がない場合は2本の線状光SLの反射光を受光しないので、光のレベルが低く(ラインカメラ23a、23bの絞りによって60〜100程度となるように調整しておくとよい。)、欠陥がある場合は、2本の線状光SLの欠陥による散乱光がセンサ視野Vに入射し、光のレベルはこれより大きくなる。
【0043】
図10(a)〜(e)に、本外観検査装置1によって検出されたガラス基板の表面欠陥の画像を示す。これらの画像は、散乱光受光タイプのもので、上記の欠陥画像データよりも広い範囲の画像である。図10(a)はCF側、図10(b)〜(e)はTFT側の表面の画像である。これらの画像から明らかなように、本外観検査装置1によって欠陥が高感度に検出できている。
【0044】
上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形や修正、追加が許容される。
例えば、上記の実施例では、被検査体の外観の検査は、ラインカメラとは別のエリアカメラによって撮像したデータを使用しているが、ラインカメラのラインデータを統合して1つの画像を作成し、上記のエリア画像の代わりに用いてもよい。この場合、ラインカメラのみで欠陥と外観の両方の検査を行うことができるため、設備費用をより圧縮することができる。
【0045】
また、被検査体の種類や検出する欠陥の種類に応じて欠陥検査用光源の発光面に貼り付ける遮光テープの幅や色を変えることによって、ラインカメラが撮像する欠陥のSN比を調整することもでき、それによってより高感度な欠陥検出が可能となる。
さらに、上記実施例では、被検査体に照射された欠陥検査用光源の反射光を受光することにより表面の欠陥を検出する構成としたが、被検査体が光の一部を透過する場合は、図9に示すように、この透過光を受光する透過ラインカメラ35をさらに備えてもよい。この場合、透過ラインカメラ35の撮像画像を、上記実施例のラインカメラ23a、23bによって取得されたライン撮像画像と同様の処理をすることにより欠陥を検出することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…外観検査装置
10…装着・取出部
11…ロード機構
12…アンロード機構
20…検査部
21…欠陥検査部
22、25…欠陥検査用光源
23a、23b…ラインカメラ
24、26…遮光テープ
31…外観検査部
32…外観検査用光源
33…エリアカメラ
35…透過ラインカメラ
40…処理部
41…表示部
50…搬送部
51…キャリア
511…ガイド
512…幅調節ハンドル
513…シリンダー
52…レール
53…リニアモータ機構
60…反転機構
61…反転ハンド
62…ロータリー機構
63…上下移動シリンダー
64…吸着パッド
D…欠陥
S…被検査体
V…センサ視野
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10