(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249344
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】ワックス型射出成型用クランプユニット
(51)【国際特許分類】
B22C 7/02 20060101AFI20171211BHJP
B22C 9/04 20060101ALI20171211BHJP
B29C 45/64 20060101ALI20171211BHJP
B29C 33/30 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
B22C7/02 103
B22C9/04 A
B29C45/64
B29C33/30
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-525784(P2017-525784)
(86)(22)【出願日】2015年10月30日
(86)【国際出願番号】JP2015080690
(87)【国際公開番号】WO2017002275
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2017年7月24日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2015/069062
(32)【優先日】2015年7月1日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591248809
【氏名又は名称】株式会社エイシン技研
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】久保 幾營
【審査官】
田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/038448(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/076738(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 7/02
B22C 9/04
B29C 33/30
B29C 45/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワックス型射出成型機用のクランプユニットであって、
型を載置するための載置台と、
鉛直方向に移動可能なクランプ部材と、
前記クランプ部材に対して鉛直方向の押圧力を作用させる押圧部材と、
前記押圧部材を水平方向に案内するガイド部材と、
前記クランプ部材が鉛直方向における第1の位置にあるときに、前記押圧部材を水平方向に移動させる水平移動機構と、
制止部材を有する移動制限機構を有し、
前記クランプ部材が前記第1の位置よりも下方の第2の位置まで下降したときに、前記載置台と前記クランプ部材の間で前記型がクランプされ、
前記移動制限機構は、前記クランプ部材が前記第1の位置と前記第2の位置の中間の位置まで下降したときに、前記制止部材が前記ガイド部材と係合することにより、前記クランプ部材に対する前記押圧部材の水平方向の移動を制限することを特徴とするクランプユニット。
【請求項2】
前記静止部材は、前記押圧部材前記押圧部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のクランプユニット。
【請求項3】
前記移動制限機構は、前記制止部材と前記ガイド部材の摩擦により前記クランプ部材の水平方向における移動を制限することを特徴とする請求項2に記載のクランプユニット。
【請求項4】
前記移動制限機構は、
前記制止部材を前記ガイド部材に向けて付勢するための付勢手段と、
前記クランプ部材が垂直方向における前記第1の位置にあるときに、前記制止部材を前記ガイド部材から離間させるための離間手段
を更に有することを特徴とする請求項3に記載のクランプユニット。
【請求項5】
前記載置台と前記クランプ部材の間で前記型がクランプされたときに、前記載置台に対する前記押圧部材の水平方向の位置が実質的に固定されることを特徴とする請求項1に記載のクランプユニット。
【請求項6】
前記クランプ部材が垂直方向における前記第1の位置にあるときに、前記クランプ部材を係合することにより水平方向における前記クランプ部材の移動を制限する係合手段を更に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のクランプユニット。
【請求項7】
前記押圧部材と前記クランプ部材がフローティング機構により連結されており、
前記クランプ部材が前記第1の位置から下降したときに、前記移動制限機構は、フローティング機構による前記クランプ部材の揺動を抑制することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のクランプユニット。
【請求項8】
ワックス型射出成型機用のクランプユニットであって、
型を載置するための載置台と、
鉛直方向に移動可能であり、前記載置台との間で前記型をクランプするためのクランプ部材と、
前記クランプ部材に対して鉛直方向の押圧力を作用させる押圧部材と、
前記押圧部材を水平方向に案内するガイド部材と、
前記クランプ部材が鉛直方向における第1の位置にあるときに、前記押圧部材を水平方向に移動させる水平移動機構と、
制止部材を有する移動制限機構を有し、
前記移動制限機構は、前記クランプ部材が前記第1の位置から下降したときに、前記制止部材が前記ガイド部材と係合することにより、前記クランプ部材に対する前記押圧部材の水平方向の移動を制限することを特徴とするクランプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワックス型射出成型用のクランプユニット(又はクランプ装置)に関し、特に、ロストワックス精密鋳造におけるワックス型射出成型におけるゴム型の固定に使用されるクランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
主として貴金属を用いた装飾品・アクセサリー・ジュエリーなどは、小さくて複雑、更に精密な形状をしている。このような製品を大量に生産したいという要望があり、ロストワックス精密鋳造法がこの業界で発達してきた。もちろん、上記以外の精密工業用部品製造においても応用可能である。
【0003】
ジュエリー製造業界におけるロストワックス精密鋳造は、次のような工程を有する。
第一工程は原型を製作する工程。
第二工程は原型と同じ形状の空洞を有するゴム型を製作する工程。
第三工程はゴム型に熔解したワックス射出し、これを取り出すことで原型と同じ形状のワックス型を製造する工程。一般には、第三工程を繰り返して行うことで、多数のワックス型が製造される。
第四工程は第三工程で製造した多数のワックス型をワックス棒周辺にワックス型の湯道端部を熔解しつつ樹状に取り付け、これを筒状の耐熱容器内に装着して石膏を流し込み、石膏型を作成する工程。
第五工程は電気炉又はガス炉その他を用いて、低温で石膏型の内部にあるワックスを熔解流失させ、中温で空洞内部に付着したワックスを完全に燃焼させ、更に温度を上げることで石膏型が貴金属を流し込んだときの衝撃に耐えうる強度を出した後、貴金属を流し込むに適した温度まで下げて待機する焼成工程。
第六工程は原型と同じ空洞を沢山持つ石膏型内部に貴金属を流し込む鋳造工程。
第七工程は、貴金属が固まった時点で、石膏型を急速に水冷することで、ばらばらに石膏を割り、樹状の貴金属を取り出し、余分な部分を切り取り、原型と同じ形状の貴金属を磨く仕上げ工程。
【0004】
図1を参照して第二工程のゴム型の製造方法を説明する。第二工程では、作成したいゴム型3の大きさに応じたサイズの型枠(不図示)と、原型1と、部品2(湯道2aと湯口2b)を使用する。型枠の下をプレートで塞ぎ、下半分にシリコンゴム加硫前の材料を入れ、その上に、原型1に部品2を接着したものを配置し、その後、上半分に加硫前の材料を入れ、枠の上部をプレートで塞ぎ、プレスしながら温度を上げて加硫する。加硫性のゴムの代わりに二液固化型のシリコンゴムを使用しても良い。
【0005】
シリコンゴムが固まってゴム本来の弾性を持つようになったら、ゴム型3を前記の枠から取り出してジグザグの切り込み3cを入れ、原型1とこれに接着した部品2を取り出して、ゴム型を上ゴム型3aと下ゴム型3bに分離する。これにより、内部に原型1及び部品2と同形状の空洞4を有するゴム型3が得られる。このような切り込み3cを分離面全体に入れることにより、上下のゴム型3aと3bを合わせたとき、正確に合わせることができ、内部の空洞形状も正確に再現できる。
【0006】
このような切り込み3cはまた、ゴム型3にワックスを射出してワックス型を作成する際、真空引きと加圧したワックスのシールを容易にする作用も有する。ワックス型をゴム型3から取り出す場合、合わせ面(切り込み)3cから上ゴム型3aを分離した後、下ゴム型3bを変形させながら取り出し作業をすると、複雑な形状のワックス型であっても、壊さずに容易に取り出すことができる。場合によっては、ゴム型内部を幾つかに分割したり、中子を入れることもある。
【0007】
原型は様々な大きさがあるため、ゴム型もそれに合わせて大きさと厚みは様々に変化する。また、ゴム型の耐久性や、ワックス型をゴム型内部から取り出すときの難易度に合わせて、ゴムの硬度も変えることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2013/038448号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図2、
図3に、第三工程で使用されるワックス型射出成型機とクランプユニットの概念図を示す。
【0010】
ワックス型射出成型機6は射出ノズル7を有し、基本的に射出ノズル7からゴム型内の空洞4を真空引きする機能と熔解したワックスを加圧して射出する機能を持つ。更に良質なワックス型を歩留まりよく大量に生産するため、溶解ワックスの温度制御と射出ノズルの温度制御、射出圧力の制御、真空引き時間の制御、射出時間の制御等の機能を要求される場合がある。
【0011】
クランプユニット5は、ゴム型3を上下に挟み込みクランプ(クランプ力F1、クランプ反力F2)したまま、射出ノズル7に、その湯口4aを押しつけて(ノズル押しつけ力F3)シールするためのものであり、クランプ機構部5aと位置調整部5bに大きく区分できる。
【0012】
原型1の体積や形状は様々であり、従って原型から製作したゴム型3、3′の上から見たときの縦横の長さと横から見たときの厚みもまた様々なものになる。そこで、これに対応して、熔解したワックスを適切にゴム型内の空洞4へ射出し、所定のワックス型を製作するためには、
図2の基本的な機能に追加して更に必要な機能が発生する。
【0013】
ゴム型3は必ずしも厚さが一定とは限らず、またクランププレート10とゴム型載置台9は完全な平行ではないため、クランプ力発生器11とクランププレート10とは球面軸受部20を有するフローティング機構13で結合するのが一般的である。
【0014】
ゴム型3をクランプし適切にシールする上で、ゴム型合わせ面3cに均一な面圧を加える必要がある。そのためゴム型の全面に平均して力を加えてクランプすることが望ましい。ゴム型3,3′は大きさがいろいろであるため、クランプ力F1の作用点(クランプ力発生器11)をある範囲R1内で移動させる必要がある。
【0015】
ここで、クランプ力F1の作用点を移動させるときに、クランププレート10がクランプ力発生器11と一緒に移動してしまうと、クランププレート10が射出ノズル7と干渉したり、またはゴム型3,3′上面の全面をクランプできなくなる等の不都合を生じる。これを防ぐための構造としてクランププレートガイド15a,15bが必要であり、クランププレート10が上昇下降する領域(ストローク)全部に渡ってこのクランププレートガイド15a,15bが設けられている必要がある。
【0016】
ゴム型3,3′の厚みが変わると射出ノズル7と湯口4aが高さ方向で一致しなくなるため、ゴム型3,3′に合わせてゴム型載置台9の高さをある範囲R2で任意に変更する機能が求められる場合がある。また、射出ノズル7方向へゴム型3を移動させて湯口4aを射出ノズル7に押し当てて、ゴム型3内部の空洞4の真空引きと内部へワックスを射出する際の圧力をシールするために、ゴム型3,3′をノズル方向へ移動して押しつけ力F3を発生させる機構が求められる場合がある。位置調整部5bは、これらの必要に応じるものであり、ゴム型載置台9を高さ方向や前後方向に移動させる機能を有する。
【0017】
また、原型1に忠実な形状のワックス型の作成を可能にするため、空洞4の形状やワックスの性質に合わせて、射出ノズル7からのワックス射出圧力、クランプ力F1、押しつけ力F3等を任意に調整できることが望ましい。
【0018】
また、ゴム型3、3′のサイズは様々であるのに対し、射出ノズル7とゴム型3の湯口4aとの距離を一定になるようにセットする必要があるため、クランプ力F1の作用点は、必然的にクランププレート10の右半分の範囲に位置することになる。クランプ力発生器11とクランププレート10は、揺動可能な球面軸受部20で連結されているため、クランププレート10は、後方(射出ノズル7から遠い側)が下がった状態に傾斜して上昇下降することになる。
【0019】
そのため、クランププレート10がゴム型3,3′に接触してからクランププレート10とゴム型3,3′が平行になるまで、クランププレート10がゴム型3,3′をこすることになる。その際、球面軸受部20に横方向の力が作用し、クランプ力F1の作用点がずれてしまう恐れがある。また、ゴム型3,3′に横方向の力が作用し、ゴム型3,3′が変形する恐れもある。
【0020】
更に、クランププレート10は、下降上昇する際にクランププレートガイド15a,15bと摩擦することもあり、クランププレート10の揺動が不必要に大きくなり、操作性/取り扱い性が低下したり、見た目に悪いために商品価値が低下するといった不都合も生じる。なお、クランププレート10の左右方向の中心位置に球面軸受部20を配置しておけば、クランププレート10の左右方向への傾斜は問題にならない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本出願には、
ワックス型射出成型機用のクランプユニットであって、
型を載置するための載置台と、
鉛直方向に移動可能なクランプ部材と、
前記クランプ部材に対して鉛直方向の押圧力を作用させる押圧部材と、
前記クランプ部材が鉛直方向における第1の位置にあるときに、前記押圧部材を水平方向に移動させる水平移動機構と、
移動制限機構を有し、
前記クランプ部材が前記第1の位置よりも下方の第2の位置まで下降したときに、前記載置台と前記クランプ部材の間で前記型がクランプされ、
前記移動制限機構は、前記クランプ部材が前記第1の位置と前記第2の位置の中間の位置まで下降したときに、前記クランプ部材に対する前記押圧部材の前記押圧部材の水平方向の移動を制限することを特徴とするクランプユニットが開示される。
【0022】
本願には、更に、
ワックス型射出成型機用のクランプユニットであって、
型を載置するための載置台と、
鉛直方向に移動可能であり、前記載置台との間で前記型をクランプするためのクランプ部材と、
前記クランプ部材に対して鉛直方向の押圧力を作用させる押圧部材と、
前記クランプ部材が鉛直方向における第1の位置にあるときに、前記押圧部材を水平方向に移動させる水平移動機構と、
前記クランプ部材が前記第1の位置から下降したときに、前記クランプ部材に対する前記押圧部材の水平方向の移動を制限することを特徴とするクランプユニットが開示される。
【0023】
前記移動制限機構は、
前記押圧部材を水平方向に案内するガイド部材と、
前記押圧部材に取り付けられた制止部材を有し、
前記クランプ部材が前記中間の位置まで下降したときに、前記制止部材が前記ガイド部材と係合することにより、前記押圧部材の水平方向の移動を制限することが好ましい。
【0024】
前記移動制限機構は、前記制止部材と前記ガイド部材の摩擦により前記クランプ部材の水平方向における移動を制限することが好ましい。
【0025】
前記移動制限機構は、
前記制止部材を前記ガイド部材に向けて付勢するための付勢手段と、
前記クランプ部材が垂直方向における前記第1の位置にあるときに、前記制止部材を前記ガイド部材から離間させるための離間手段
を更に有することが好ましい。
【0026】
前記載置台と前記クランプ部材の間で前記型がクランプされたときに、前記載置台に対する前記押圧部材の水平方向の位置が実質的に固定されることが好ましい。
【0027】
前記クランプ部材が垂直方向における前記第1の位置にあるときに、前記クランプ部材を係合することにより水平方向における前記クランプ部材の移動を制限する係合手段を更に有することが好ましい。
【0028】
前記押圧部材と前記クランプ部材がフローティング機構により連結されており、
前記クランプ部材が前記第1の位置から下降したときに、前記移動制限機構は、フローティング機構による前記クランプ部材の揺動を抑制することが好ましい。
【0029】
本明細書では、水平方向は、水平面内における方向を言い、鉛直方向は、水平面に垂直な方向を言う。水平面内におけるワックス型射出成型機6は射出ノズル7の延びる方向を特に前後方向と言い、水平面内における前後方向に垂直な方向を特に左右方向という。水平、垂直、鉛直等は、厳密な方向や角度を言うのではない。クランプユニットの動作を担保できる範囲でこれらの方向、角度は公差を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】
図2は、ワックス型射出成型機及びクランプユニットの側面図である。
【
図3】
図3は、ワックス型射出成型機及びクランプユニットの側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るクランプユニットの要部正面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係るクランプユニットの要部側面図である。
【
図6】
図6は、フローティング機構13を示す説明図である。
【
図7】
図7は、球面軸受部20及び移動制限機構30を示す説明図である。
【
図9】
図9は、球面軸受部20及び移動制限機構30の動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図4及び
図5は、本発明の一実施形態に係るクランプユニットを示す。
図4及び
図5は、
図3におけるクランプ機構部5aのゴム型載置台9より上の部分に対応する。
【0032】
本実施形態のクランプユニットは、クランプ機構部筐体8と、ゴム型3を載置するための実質的に水平な載置面を有する載置台9と、鉛直方向に移動可能なクランププレート(クランプ部材)10と、クランププレート10に対してクランプ力(押圧力)F1を作用させるためのクランプ力発生器11と、クランプ力発生器11を前後方向に移動させるためのクランプ力発生器移動機構12を有する。クランプ力発生器移動機構12は、請求の範囲の水平移動機構に対応する。
【0033】
筐体8は、板金等の金属材料で形成され得る。載置台9は、ゴム型3を装着可能なゴム型位置決め挿入プレート9aを有し、上記載置面は、ゴム型位置決め挿入プレート9a上に形成されている。クランププレート10は、実質的に平板状の金属板等により形成される。
【0034】
クランプ力発生器11は、例えば、圧縮空気によって往復動するシャフト11aによってクランプ力F1をクランププレート10に伝達する駆動装置である。クランプ力発生器移動機構12は、前後方向にクランプ力発生器11を案内するガイドシャフト12aと、クランプ力発生器11を前後に駆動するためのラック12b及びピニオン12cと、ピニオン12cを回転操作するためのツマミ12dを有する。
【0035】
ガイドシャフト12aはクランプ機構部筐体8に若干の隙間を有して装着されており、クランプ力発生器11が作動しても、大きな反力がガイドシャフト12aに作用せずにクランプ機構部筐体8に直接作用させるためのクランプ反力受け8aがクランプ力発生器移動機構12の移動方向全域においてその左右に取り付けられている。
【0036】
クランプ力発生器11をツマミ12dの回転により移動させるときは、クランプ反力受け8aとクランプ機構部筐体8との間に若干の隙間を設けてあり、自由に移動可能であるが、クランプ力発生器シャフト11aが下降してゴム型3をクランプしたとき、その反力によってガイドシャフト12aが持ち上がり、クランプ反力受け8aがクランプ機構部筐体8に密着して、大きな反力を受け止める。これにより、クランプ機構部筐体8に対するクランプ力発生器11の前後方向の位置が実質的に固定される。
【0037】
クランプ力発生器シャフト11aとクランププレート10は、フローティング機構13を介して連結されている。ゴム型3の大きさに合わせるためのクランプ力発生器11の前後方向への移動は、クランププレート10が上昇した
図4,5に示す第1の位置にあるときに行われる。(以下、
図4,5に示す第1の位置を単に「上死点」と呼ぶ。「上死点」は、クランププレート10の上昇限界の位置とするのが良いが、上昇限界よりも下方の位置とすることも可能である。)クランププレート10は、左右に突起部10aを有し、クランプ機構部筐体8は、クランププレート10が上死点にあるときに突起部10aに係合する係合部8bを有する。突起部10aと係合部8bが係合することで、クランプ力発生器11の前後方向への移動の際にクランププレート10が一緒に前後に移動することを防止できる。
【0038】
なお、図において符号14は、クランプ機構部5aの左右方向の位置調整を行うための位置調整機構を示す。
【0039】
図6に示すように、フローティング機構13は、クランプ力発生器シャフト11aとクランププレート10の連結部に位置する。
図7に示すように、フローティング機構13は、球面軸受部20と、移動制限機構30を有する。
【0040】
球面軸受部20は、ボール21と、クランプ力発生器シャフト11aの下端に形成されたボール21と相補的な形状の軸受面22と、ボール21と相補的な形状の軸受面23が形成された軸受部材24と、ジョイント部材25を有する。ジョイント部材25は、ゴム等の弾性材料で構成し得る。ジョイント部材25は、ボール21を間に挟んだ状態でクランプ力発生器シャフト11aと軸受部材24を結合する。軸受部材24の下面はクランププレート10の上面と当接しており、クランププレート10は、軸受部材24とともに揺動する。
【0041】
移動制限機構30は、左右一対のガイド部材31と、クランプ力発生器シャフト11aの下端近くに形成された縊れ部11bと、ジョイント部材25の上に付勢バネ32を介して載置された制止部材33を有する。ガイド部材31は、その基端片31aがネジ等によりクランププレート10に固定されているとともに、クランププレート10から離間した所定高さ位置において前後方向に延在するガイドレール(ガイド部材)31bを有し、左右のガイドレール31bの間には、クランプ力発生器シャフト11aの軸径よりも狭いガイド溝31c(
図6)が形成される。縊れ部11bは、当該ガイド溝31cよりも細い軸径と、ガイドレール31bの厚さよりも大きい鉛直方向寸法を有する。よって、ガイドレール31b先端を縊れ部11bに挿入することで、ガイドレール31b(及びガイドレール31bに固定されたクランププレート10)を縊れ部11bで揺動可動に支持した状態でクランプ力発生器シャフト11aをガイドレール31bに沿って前後方向に案内することが可能である。
【0042】
図8は、制止部材33を概念的に示す。図示のように、制止部材33は、平坦な摩擦面34aを有する摩擦板34と、摩擦面34aから上方に突起する離間部材35を有する。摩擦面34aは、付勢バネ32の付勢力によりガイドレール31bに押し付けられたときにガイドレール31bとの間で摩擦力を発生させ、この摩擦力により、クランププレート10に対するクランプ力発生器シャフト11aの前後方向の移動を阻止する働きをする。摩擦板34は、中央にクランプ力発生器シャフト11aを挿通可能な開口34bを有する。離間部材35は、ガイド溝31cよりも小さい幅寸法とガイドレール31bの厚さよりも大きい高さ寸法を有する。なお、
図8は単なる例である。摩擦面34aは必ずしも円形である必要はない。摩擦板34は、摩擦面34aがガイドレール31bとの間で十分な摩擦力を発生させる材質、形状であれば良い。離間部材35は、付勢バネ32の付勢力に抗してガイドレール31bと摩擦面34aを離間させるに十分な離間力を発生できる強度の材質、形状であれば良い。
【0043】
制止部材33は、クランプ力発生器シャフト11aを開口34bに挿通し、離間部材35をガイド溝31cに挿通した状態で、付勢バネ32とガイドレール31bの間に介装される(
図7)。
【0044】
本実施形態のクランプユニットでは、クランププレート10が上死点にあるときには、クランプ力発生器11の下端と離間部材35が当接することにより制止部材33が付勢バネ32の付勢力に抗して押し下げられ、ガイドレール31bと摩擦面34aの間に隙間C1が形成される(
図9(A)、(B))。このため、ガイドレール31bと摩擦面34aの間に摩擦力は発生せず、クランプ力発生器シャフト11aを前後方向に自由に移動させることができる。これにより、様々なサイズのゴム型3に対応して、クランププレート10上におけるクランプ力F1の作用点を自由に調整できる。また、クランププレート10が上死点にあるときには、突起部10aと係合部8bの係合により、クランプ力発生器シャフト11aの移動と一緒にクランププレート10が移動してしまうことが防止される。
【0045】
クランプ力発生器シャフト11aが下降していくと、クランプ力発生器11と離間部材35が離間して両者の間に隙間C2が形成され(
図9(C)、(D))、離間部材35による離間力は消失する。そのため、付勢バネ32の付勢力により制止部材33の摩擦面34aとガイドレール31bが当接して両者間に摩擦力が発生し、クランププレート10に対するクランプ力発生器シャフト11aの相対位置が固定される。したがって、クランプ力発生器シャフト11aの下降過程でクランプ力Fの作用点がずれてしまうことを防止できる。
【0046】
上記によりクランププレート10が下降してゴム型3に接触し、更に、クランプ力発生器シャフト11aによる押圧力が作用することにより、ゴム型3は、載置台9とクランププレート10の間でクランプされる。ゴム型3がクランプされたときのクランププレート10の鉛直方向の位置を第2の位置という。好ましい実施形態では、クランププレート10が第1の位置(上死点)と第2の位置の中間の位置まで下降したときに、隙間C2が形成され、及び/又は、クランププレート10に対するクランプ力発生器シャフト11aの相対位置が固定される。
【0047】
また、上死点にあるクランププレート10の前後方向の位置は、係合部8bと突起部10aの係合により固定され、クランププレート10の下降過程では、上記のようにクランププレート10に対するクランプ力発生器シャフト11aの相対位置は固定されるので、従来構造におけるクランプ力発生器シャフト11aのストロークの全域に渡るクランププレートガイド15a,15bは不要となる。よって、クランプユニットの構造を簡略化することができ、筐体8に使用する板金材料を節約することができる。
【0048】
また、クランププレート10の下降過程では、付勢バネ32の付勢力により、摩擦面34aがガイドレール31bに押し付けられ、軸受部材24がクランププレート10に押し付けられることになる。これにより、クランププレート10の下降過程(特に、クランププレート10がゴム型3に接触するまでの過程)におけるクランププレート10の必要以上の揺動を防止できる。ジョイント部材25及び離間部材35もまた、クランププレート10の必要以上の揺動を防止する方向の作用をもたらす。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ワックス型射出成型の際のゴム型の固定に使用されるクランプユニットに適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・原型
2・・・部品
3・・・ゴム型
4・・・空洞
5・・・クランプユニット
5a・・・クランプ機構部
5b・・・位置調整部
6・・・ワックス型射出成型機
7・・・射出ノズル
8・・・クランプ機構部筐体
9・・・載置台
10・・・クランププレート
10a・・・突起部
11・・・クランプ力発生器
11a・・・クランプ力発生器シャフト
11b・・・縊れ部
12・・・クランプ力発生器移動機構
13・・・フローティング機構
15a,15b・・・クランププレートガイド
20・・・球面軸受部
25・・・ジョイントゴム
30・・・移動制限機構
31・・・ガイド部材
32・・・付勢バネ
33・・・制止部材
34・・・摩擦板
35・・・離間部材