(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249347
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 12/06 20060101AFI20171211BHJP
H01M 8/04186 20160101ALI20171211BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20171211BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20171211BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20171211BHJP
B60K 1/04 20060101ALI20171211BHJP
H01M 2/36 20060101ALI20171211BHJP
H01M 6/32 20060101ALI20171211BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20171211BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20171211BHJP
H01M 10/66 20140101ALI20171211BHJP
【FI】
H01M12/06 J
H01M12/06 A
H01M12/06 G
H01M8/04 M
H01M8/04 N
H01M8/04 G
B60L11/18 A
B60K1/04 Z
H01M2/36 105A
H01M6/32 A
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/66
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-236838(P2013-236838)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-97162(P2015-97162A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 篤史
(72)【発明者】
【氏名】長山 森
【審査官】
瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−244729(JP,A)
【文献】
特表2011−530439(JP,A)
【文献】
特開2006−012550(JP,A)
【文献】
特開2002−373684(JP,A)
【文献】
特開2013−214473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/36−2/40、6/24−6/52、
8/00−8/24、10/052−10/667、
12/00−16/00
B60K 1/04
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電池システムであって、
電解液及び電解液を調製するための溶媒の少なくとも一方の液体を貯留する貯留容器と、
上記液体を注液することによって成立する注液型電池と、
上記貯留容器と上記注液型電池とを接続する液体注液流路と、
を備え、
上記貯留容器が、上記車両が稼働する際に発熱する熱源装置から熱が伝達される位置に配設される
ことを特徴とする電池システム。
【請求項2】
上記車両が電気自動車であり、
上記貯留容器が、上記電気自動車に搭載されるモータ、インバータ、バッテリ、コンバータ及びパワーマネジメント装置からなる群より選ばれた少なくとも1種の熱源装置に隣接して若しくはその近傍に配設されるか、又は
上記車両が内燃機関自動車であり、
上記貯留容器が、上記内燃機関自動車に搭載されるエンジン及び排気装置からなる群より選ばれた少なくとも1種の熱源装置に隣接して若しくはその近傍に配設される
ことを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
【請求項3】
上記車両が電気自動車であり、
上記貯留容器が、上記電気自動車に搭載されるバッテリを冷却すると共に熱交換により加熱される熱媒体によって加熱される位置に配設される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池システム。
【請求項4】
上記貯留容器が、上記車両に搭載される車室用空気調節装置に隣接して若しくはその近傍に配設されている、又は該車室用空気調節装置が車室内に供給する気体の一部によって加熱される位置に配設される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の電池システム。
【請求項5】
外気、上記液体注液流路内及び上記注液型電池内からなる群より選ばれた少なくとも1つの位置に配設される温度センサと、
上記温度センサからの入力に基づいて、上記熱媒体又は上記気体による上記貯留容器の加熱を制御する加熱制御装置と、
を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の電池システム。
【請求項6】
上記貯留容器内に配設される容器温度センサを備え、
上記加熱制御装置が、上記容器温度センサからの入力に基づいて、上記熱媒体又は上記気体の供給流量、供給時間及び供給箇所からなる群より選ばれた少なくとも1種を決定する
ことを特徴とする請求項5に記載の電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池システムに関する。更に詳細には、本発明は、注液型電池の確実な起動を実現し得る電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寒冷地での始動特性を向上させる燃料電池装置として、燃料電池の空気供給系へ水を供給する水供給装置と、疎水性の不凍液を空気供給系へ供給する不凍液供給装置とを備え、空気供給系へ水と不凍液とを選択的に供給する燃料電池装置が提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−73490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池装置のように、電池システムにおける注液型電池に注液される液体に不凍液を混入させると注液型電池が劣化するおそれがある。また、不凍液を電池システムで保持するためには、装置が別途必要になるという問題がある。
【0005】
本発明者らは、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明は、注液型電池の確実な起動を実現し得る電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた。そして、その結果、注液型電池へ注液される電解液等を貯留する貯留容器を、車両が稼働する際に発熱する熱源装置から熱が伝達される位置に配設することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の電池システムは、車両に搭載され、電解液及び電解液を調製するための溶媒の少なくとも一方の液体を貯留する貯留容器と、液体を注液することによって成立する注液型電池と、貯留容器と注液型電池とを接続する液体注液流路と、を備え、貯留容器が、車両が稼働する際に発熱する熱源装置から熱が伝達される位置に配設されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両に搭載され、電解液及び電解液を調製するための溶媒の少なくとも一方の液体を貯留する貯留容器と、液体を注液することによって成立する注液型電池と、貯留容器と注液型電池とを接続する液体注液流路と、を備え、貯留容器が、車両が稼働する際に発熱する熱源装置から熱が伝達される位置に配設される構成とした。そのため、注液型電池の確実な起動を実現し得る電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の形態に係る電池システムを模式的に示す構成概略図である。
【
図2】
図2(A)及び(B)は、第1の形態に係る電池システムの一例及び他の一例を模式的に示す部分図である。
【
図3】
図3は、第2の形態に係る電池システムを模式的に示す構成概略図である。
【
図4】
図4は、第2の形態に係る電池システムの一例を模式的に示す部分図である。
【
図5】
図5は、第2の形態に係る電池システムの他の一例を模式的に示す部分図である。
【
図6】
図6は、第3の形態に係る電池システムの一例を模式的に示す部分図である。
【
図7】
図7は、第4の形態に係る電池システムの一例を模式的に示す構成概略図である。
【
図8】
図8は、第4の形態に係る電池システムの他の一例を模式的に示す構成概略図である。
【
図9】
図9は、各形態に係る電池システムにおける処理フローの一例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の形態で引用する図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
<第1の形態>
まず、第1の形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の形態に係る電池システムを模式的に示す構成概略図である。また、
図2(A)及び(B)は、第1の形態に係る電池システムの一例及び他の一例を模式的に示す部分図である。
【0012】
図1に示すように、電池システム1は、車両Vに搭載される。また、電池システム1は、電解液及び電解液を調製するための溶媒の少なくとも一方の液体を貯留する貯留容器10と、液体を注液することによって成立する注液型電池20と、貯留容器10と注液型電池20とを接続する液体注液流路30とを備える。そして、貯留容器10は、車両Vが稼働する際に発熱する熱源装置Hから熱が伝達される位置に配設されている。つまり、電池システム1においては、例えば、
図2(A)に示すように、貯留容器10が、熱源装置Hと隣接し、自然放熱により熱が伝達される位置に配設されていてもよく、
図2(B)に示すように、熱源装置Hから貯留容器10へ熱を伝達する図中矢印Aで示す気体(気流)が存在すれば、貯留容器10が、熱源装置Hと離隔された位置に配設されていてもよい。なお、図中矢印hは熱源装置Hからの主な熱流れ方向を示し、矢印Lは貯留容器10から図示しない注液型電池への液体流れ方向を示す。
【0013】
このように、貯留容器が、車両が稼働する際に発熱する熱源装置から熱が伝達される位置に配設される構成とすることにより、周囲の温度環境によらず、液体が凍結することが抑制ないし防止され、注液型電池の確実な起動を実現することができる。なお、注液型電池の内部に供給される電解液が加熱されるため、電解液の粘性が増加することが抑制ないし防止され、注液型電池の迅速な起動を実現することができるという利点もある。また、注液型電池の内部に供給される液体が加熱されるため、注液型電池における発電量を向上させることができるという利点もある。更に、注液型電池の内部に供給される液体が加熱されるため、注液型電池全体を均一に暖めることができるという利点もある。また、液体の凍結を抑制ないし防止するためのヒータを別途設ける必要がないため、コストの増加を抑制することができ、ヒータを作動させる電力が必要がないため、例えば、電気自動車の航続距離の減少を抑制することができる。
【0014】
本発明において、「熱源装置から熱が伝達される位置」とは、代表的には、熱源装置に隣接する位置ないし熱源装置の近傍である位置を意味するが、これに限定されるものではない。すなわち、熱源装置で熱交換されて高温状態となった気体や液体などの熱媒体から熱が伝達される位置であれば、熱源装置から離隔された位置を含む。なお、熱源装置からの離隔距離は、熱源装置が発生する熱の温度や、熱媒体と外部との断熱状態などに依存する。
【0015】
以下、各構成について詳細に説明する。
【0016】
上記車両Vとしては、電池システムを搭載し得るものであれば、特に限定されるものではない。例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載する車両(内燃機関自動車)や電気モータを搭載する車両(電気自動車)、燃料電池を搭載する車両(燃料電池自動車)、更にはエンジンと電気モータを搭載する車両(ハイブリッド自動車)など従来公知の車両を挙げることができる。
【0017】
また、上記熱源装置Hは、車両が稼働する際に発熱するものであればよい。具体的には、車両が内燃機関自動車である場合には、代表例としてエンジンや排気装置などを挙げることができる。また、車両が電気自動車である場合には、代表例としてモータ、インバータ、バッテリ、コンバータ、パワーマネジメント装置などを挙げることができる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、例えば、車室用空気調節装置を熱源装置として利用することもできる。
【0018】
更に、上記貯留容器10は、電池システムにおいては少なくとも1つ備えていればよい。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、車両における貯留容器の配置自由度向上や注液型電池の起動性向上の観点から、電池システムにおいては複数の貯留容器を備えた構成であってもよい。
【0019】
また、上記注液型電池20は、電解液や電解液を調製するための溶媒などを供給することによって成立するものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、液体が溶媒である場合には、図示しないが、電解液を調製するための支持塩を注液型電池の内部に予め保持させておく構成としてもよい。また、図示しないが、支持塩を別に貯蔵する構成としてもよい。更に、注液型電池としては、例えば、体積当たりのエネルギー密度が高く、補助電池として車両への搭載が好適であるという観点から、空気電池を適用することが好ましい。例えば、電気自動車においては、モータ等を駆動させる主電池は、リチウムイオン二次電池をはじめとした高出力・高容量のものである。注液型電池は、運転者が必要と判断した際に起動させ、主電池を充電する補助電池として適用することにより、電気自動車の航続距離を増加させることができる。なお、図示しないが、複数の注液型電池を有する構成としてもよい。
【0020】
更に、上記液体注液流路30としては、貯留容器に貯留された液体を注液型電池に注液し得るように貯留容器と注液型電池とを接続するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、断熱性に優れた配管を適用することが好ましい。
【0021】
<第2の形態>
次に、第2の形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上記の形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
図3は、第2の形態に係る電池システムを模式的に示す構成概略図である。また、
図4及び
図5は、第2の形態に係る電池システムの一例及び他の一例を模式的に示す部分図である。
【0022】
図3に示すように、電池システム1Aにおいては、車両Vが電気自動車であり、外気に曝される貯留容器10に配設される温度センサ40と、貯留容器10に配設され、容器内の温度を検知する容器温度センサ50と、温度センサ40及び容器温度センサ50からの入力に基づいて、熱媒体である気体による貯留容器の加熱を制御するに際し、気体の供給流量、供給時間、供給箇所などを決定する加熱制御装置60の一例である送風機60aとを更に備える。そして、電池システム1Aにおいては、貯留容器10が、送風機60aにより熱源装置Hの一例であるバッテリに供給され、バッテリを冷却すると共に熱交換により加熱される熱媒体の一例である気体によって加熱される位置に配設されている。なお、熱媒体である気体は、貯留容器を加熱し得れば、注液型電池や液体注液流路を更に加熱する構成であってもよい。
【0023】
つまり、電池システム1Aにおいては、例えば、
図4に示すように、送風機60aにより供給される気体の流路Bに設けられた送風ボックスCに貯留容器10が配設される構成であってもよい。ここで、送風ボックスCは、貯留容器10の下部を保持する機構を有しており、送風ボックスC内部を気体が通過すると共に効率的な熱交換が行われる構造を有している。また、送風ボックスC内部を通過した気体は、車両外部に排出される。図中Dはバルブを示し、送風ボックスC内部へのゴミ・塵や液体の侵入を防止するために通常は閉じている。
【0024】
また、電池システム1Aにおいては、例えば、
図5に示すように、流路Bに設けられた三方弁Eと、三方弁Eを介して注液型電池10に気体を供給する流路Fを有する構成であってもよい。注液型電池が空気電池であったり、電気自動車が燃料電池を備える場合には、これらへの空気供給を昇温のための送風ボックスCへの空気供給から切り替えることができる。
【0025】
なお、上記温度センサ40や容器温度センサ50としては、従来公知のものを適宜利用することができる。貯留容器や注液型電池、液体注液流路の温度は、車両における配置位置によって異なるため、これらで液体の凍結や粘性が増加することを抑制するために、外気や注液型電池内、液体注液流路内における温度を検知する温度センサや貯留容器内の温度を検知する容器温度センサを配設することが好ましい。
【0026】
また、上記加熱制御装置60としては、例えば、送風機を利用することができる。電気自動車におけるバッテリとして適用される、高出力・高容量のリチウムイオン二次電池は、放電の際には発熱する。そのため、通常、電気自動車には放電中のバッテリを冷却するための送風機が搭載されている。
【0027】
このように、外気に曝される貯留容器に配設される温度センサと、貯留容器に配設され、容器内の温度を検知する容器温度センサと、温度センサ及び容器温度センサからの入力に基づいて、気体による貯留容器の加熱制御を行う送風機とを備え、気体による貯留容器の加熱制御を送風機によって行うに際し、送風機による気流の供給流量、供給時間、供給箇所を決定する構成とすることにより、周囲の温度環境によらず、液体が凍結することが抑制ないし防止され、注液型電池の確実な起動を実現することができる。また、注液型電池の温度に基づいて制御することができるため、加熱の必要がない温度環境における加熱を抑制して、エネルギー消費を抑制することができるという利点もある。もちろん、注液型電池の内部に供給される電解液が加熱されるため、電解液の粘性が増加することが抑制ないし防止され、注液型電池の迅速な起動を実現することができるという利点もある。また、注液型電池の内部に供給される液体が加熱されるため、注液型電池における発電量を向上させることができるという利点もある。更に、注液型電池の内部に供給される液体が加熱されるため、注液型電池全体を均一に暖めることができるという利点もある。また、液体の凍結を抑制ないし防止するためのヒータを別途設ける必要がないため、コストの増加を抑制することができ、ヒータを作動させる電力が必要がないため、電気自動車の航続距離の減少を抑制することができる。
【0028】
<第3の形態>
次に、第3の形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上記の形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
図6は、第3の形態に係る電池システムの一例を模式的に示す部分図である。
【0029】
図6に示すように、電池システム1Bにおいては、車両Vが電気自動車であり、外気に曝される貯留容器10に配設される温度センサ40と、貯留容器10に配設され、容器内の温度を検知する容器温度センサ50と、温度センサ40及び容器温度センサ50からの入力に基づいて、熱媒体である温調媒体(液体又は気体)による貯留容器10の加熱を制御する加熱制御装置60を更に備える。本例においては、温調媒体流路60bとポンプ60cと開閉弁60dとが協働して加熱制御装置60として機能する。そして、電池システム1Bにおいては、貯留容器10が、熱源装置Hの一例であるバッテリにおいて熱交換により加熱された温調媒体によって加熱される位置に配設されている。温調媒体流路60bは、例えば、図示したように、貯留容器の外部のみを循環するものであってもよく、更に電気自動車全体を循環するものであってもよい(図示せず。)。貯留容器が着脱可能な場合には、貯留容器の側面ではなく、底面を加熱する構成である方が、着脱容易であるという観点から好ましい。なお、熱媒体である温調媒体は、貯留容器を加熱し得れば、注液型電池や液体注液流路を更に加熱する構成であってもよい。
【0030】
このように、外気に曝される貯留容器に配設される温度センサと、貯留容器に配設され、容器内の温度を検知する容器温度センサと、温度センサ及び容器温度センサからの入力に基づいて、温調媒体による貯留容器の加熱制御を行う加熱制御装置を備え、温調媒体による貯留容器の加熱制御を行うに際し、温調媒体の供給流量、供給時間、供給箇所を、バルブや開閉弁により決定する構成とすることにより、周囲の温度環境によらず、液体が凍結することが抑制ないし防止され、注液型電池の確実な起動を実現することができる。また、注液型電池の温度に基づいて制御することができるため、加熱の必要がない温度環境における加熱を抑制して、エネルギー消費を抑制することができるという利点もある。もちろん、注液型電池の内部に供給される電解液が加熱されるため、電解液の粘性が増加することが抑制ないし防止され、注液型電池の迅速な起動を実現することができるという利点もある。また、注液型電池の内部に供給される液体が加熱されるため、注液型電池における発電量を向上させることができるという利点もある。更に、注液型電池の内部に供給される液体が加熱されるため、注液型電池全体を均一に暖めることができるという利点もある。また、液体の凍結を抑制ないし防止するためのヒータを別途設ける必要がないため、コストの増加を抑制することができ、ヒータを作動させる電力が必要がないため、電気自動車の航続距離の減少を抑制することができる。
【0031】
<第4の形態>
次に、第4の形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上記の形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、第4の形態に係る電池システムの一例を模式的に示す構成概略図である。また、
図8は、第4の形態に係る電池システムの他の一例を模式的に示す構成概略図である。
【0032】
図7に示すように、電池システム1Cにおいては、貯留容器10が、熱源装置Hの一例である車室用空気調節装置HAが車室G内に供給する気体の一部によって加熱される位置に配設されている。つまり、車室用空気調節装置HAから供給される気体の一部は、車室G内を経由して貯留容器10に供給される。
【0033】
また、
図8に示すように、電池システム1Cにおいては、貯留容器10が、熱源装置Hの一例である車室用空気調節装置HAから離隔された位置に配設されているが、車室用空気調節装置HAで熱交換されて高温状態となった気体が分岐された配管Iを通って熱が伝達される位置に配設されている。
【0034】
このように、外気に曝される貯留容器に配設される温度センサと、貯留容器に配設され、容器内の温度を検知する容器温度センサと、温度センサ及び容器温度センサからの入力に基づいて、気体による貯留容器の加熱制御を行うことができる車室用空気調節装置を備え、気体による貯留容器の加熱制御を行うに際し、気体の供給流量、供給時間、供給箇所を、車室用空気調節装置により決定する構成とすることにより、周囲の温度環境によらず、液体が凍結することが抑制ないし防止され、注液型電池の確実な起動を実現することができる。また、注液型電池の温度に基づいて制御することができるため、加熱の必要がない温度環境における加熱を抑制して、エネルギー消費を抑制することができるという利点もある。もちろん、注液型電池の内部に供給される電解液が加熱されるため、電解液の粘性が増加することが抑制ないし防止され、注液型電池の迅速な起動を実現することができるという利点もある。また、注液型電池の内部に供給される液体が加熱されるため、注液型電池における発電量を向上させることができるという利点もある。更に、注液型電池の内部に供給される液体が加熱されるため、注液型電池全体を均一に暖めることができるという利点もある。また、液体の凍結を抑制ないし防止するためのヒータを別途設ける必要がないため、コストの増加を抑制することができ、ヒータを作動させる電力が必要がないため、電気自動車の航続距離の減少を抑制することができる。
【0035】
ここで、電池システムの処理フローを図面を用いて説明する。
図9は、各形態に係る電池システムにおける処理フローの一例を説明するフロー図である。
【0036】
図9に示すように、処理フローは電池システムの起動により開始される。
【0037】
ステップ1(以下「S1」と記載する。以下同様。)においては、外気に曝される貯留容器に配設された温度センサにより検知される外気温度T
1が所定温度T
F1以上であるか否かを判断する。外気温度T
1が所定温度T
F1以上でない場合には、S2に進む。一方、外気温度T
1が所定温度T
F1以上である場合には、電池システムを一旦停止することにより、処理フローが終了する。なお、所定温度T
F1は、各種液体の凝固点に応じて予備実験により適宜設定すればよい。実際には、凝固点温度+数℃のように余裕を持たせて設定することが好ましい。また、電池システムは、一旦停止した後、直ぐに又は一定の時間をおいて再度起動するように適宜設定すればよい。
【0038】
S2においては、バッテリへの送風機による気体の供給を開始し、バッテリを冷却すると共に熱交換により加熱された気体の貯留容器への供給を開始し、S3に進む。
【0039】
S3においては、貯留容器に配設された容器温度センサにより検知される容器温度T
2が所定温度T
F2以上であるか否かを判断する。容器温度T
2が所定温度T
F2以上である場合には、S4に進む。一方、容器温度T
2が所定温度T
F2以上でない場合には、S7に進む。なお、所定温度T
F2は、各種液体の凝固点に応じて予備実験により適宜設定すればよい。
【0040】
S4においては、運転者からの注液指示があるか否かを判断する。注液指示がある場合には、S5に進む。一方、注液指示がない場合にはS8に進む。
【0041】
S5においては、貯留容器から注液型電池へ液体を注液し、S6に進む。
【0042】
S6においては、貯留容器への送風機による気体の供給を停止し、電池システムを一旦停止することにより、処理フローが終了する。
【0043】
また、S7においては、送風機による気流の供給流量や供給時間、供給箇所などを容器温度T
2に基づいて決定して、S3に進む。
【0044】
S8においては、バッテリの充電量が必要充電量以上であるか否かを判断する。充電量が必要充電量以上でない場合には、充電をするための注液指示がある可能性が高いため、S4に進む。一方、充電量が必要充電量以上でない場合には、充電をするための注液指示がある可能性が低いため、S6に進む。
【0045】
以上、本発明を若干の形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0046】
例えば、上述した各形態に記載した構成は、各形態に限定されるものではなく、例えば貯留容器の位置や加熱形式を変更したり、各形態の構成を上述した各形態以外の組み合わせにしたりすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1,1A〜1C 電池システム
10 貯留容器
20 注液型電池
30 液体注液流路
40 温度センサ
50 容器温度センサ
60 加熱制御装置
60a 送風機
60b 温調媒体流路
60c ポンプ
60d 開閉弁
A 気流
B 流路
C 送風ボックス
D バルブ
E 三方弁
F 流路
G 車室
I 配管
H 熱源装置
HA 車室用空気調節装置
V 車両