特許第6249365号(P6249365)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249365
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】自動沈下補正装置及びレール支持構造
(51)【国際特許分類】
   E01B 3/00 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   E01B3/00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-236680(P2013-236680)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-96678(P2015-96678A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】村本 勝己
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 祐
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−255265(JP,A)
【文献】 特開平09−273101(JP,A)
【文献】 特開平07−042101(JP,A)
【文献】 実開昭48−056707(JP,U)
【文献】 国際公開第02/010512(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 3/00
E01B 3/20
E01B 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラスト軌道の道床に敷設されたまくらぎによって支持されるレールに取り付けられるレール支持体と、
前記道床に設置され、前記レール支持体を相対移動可能に支持する道床設置体と、を備え、
前記道床と接する前記道床設置体の底面は、前記道床設置体が前記道床に沈み込む際に、隣接する前記まくらぎの底面下に前記道床に含まれるバラストを送り込む傾斜形状を有する、
自動沈下補正装置。
【請求項2】
前記レール支持体は、充填材を流出可能に収容し、
前記道床設置体は、前記レール支持体を相対移動可能に収容するとともに、前記レール支持体の相対移動により生じる空隙に前記レール支持体から流出した充填材を収容し、前記空隙に収容した前記充填材を介して前記レール支持体を支持する、
請求項1に記載の自動沈下補正装置。
【請求項3】
前記傾斜形状は、前記自動沈下補正装置の両隣に敷設された前記まくらぎと平行な2つの傾斜面を含む、
請求項1に記載の自動沈下補正装置。
【請求項4】
バラスト軌道の道床に敷設されてレールを支持するまくらぎと、
前記レールに取り付けられるレール支持体、及び、前記道床に設置され、前記レール支持体を相対移動可能に支持する道床設置体を備える自動沈下補正装置と、を備え、
前記道床と接する前記道床設置体の底面は、前記道床設置体が前記道床に沈み込む際に、前記自動沈下補正装置に隣接する前記まくらぎの底面下に前記道床に含まれるバラストを送り込む傾斜形状を有する、
レール支持構造。
【請求項5】
前記レール支持体は、充填材を流出可能に収容し、
前記道床設置体は、前記レール支持体を相対移動可能に収容するとともに、前記レール支持体の相対移動により生じる空隙に前記レール支持体から流出した充填材を収容し、前記空隙に収容した前記充填材を介して前記レール支持体を支持する、
請求項4に記載のレール支持構造。
【請求項6】
前記まくらぎを複数備え、
前記自動沈下補正装置は、2つの前記まくらぎの間に設置され、
前記傾斜形状は、前記自動沈下補正装置の両隣に敷設された前記まくらぎと平行な2つの傾斜面を含む、
請求項4に記載のレール支持構造。
【請求項7】
複数の前記まくらぎの少なくとも1つは、前記レールの連結位置に配置され、
前記自動沈下補正装置は、前記連結位置に配置された前記まくらぎと、このまくらぎに隣り合う前記まくらぎとの間に少なくとも配置される、
請求項6に記載のレール支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラスト軌道の道床に敷設されたまくらぎによって支持されるレールの沈下を補正する自動沈下補正装置及びレール支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト軌道の道床では、踏切との境界、高架橋との境界、或いはレールの継目部分のように軌道構造が変化する箇所で大きな荷重変動が生じ、局所的な沈下が発生することがある。局所的な沈下が発生すると、車両通過後のレールの弾性回復によってまくらぎが持ちあげられ、まくらぎとバラストとの間に空間が生じる所謂浮きまくらぎが発生しかねない。
【0003】
浮きまくらぎが発生すると、列車が通過する度にまくらぎが道床に叩き付けられて道床の沈下が促進され、大きな軌道狂いを発生させる。また、浮きまくらぎのポンピングアクションにより路盤に滞水した雨水とともに路盤土が吸い上げられて道床外に流出する所謂噴泥の発生が顕著となる。
【0004】
浮きまくらぎに対処するための技術としては、例えば特許文献1に開示された自動沈下補正まくらぎがある。この自動沈下補正まくらぎは、まくらぎ本体と、自動沈下補正機構とを備える。自動沈下補正機構は、まくらぎ本体の水準変位を補正するように伸長して道床に追従する。これにより、まくらぎ本体と道床との離間が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−47143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された自動沈下補正まくらぎを用いることで、当該まくらぎに関する浮きまくらぎの発生は防止される。しかしながら、自動沈下補正機構を備えない通常のまくらぎに関しては、浮きまくらぎとなる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、自動沈下補正機構を備えない通常のまくらぎに関する浮きまくらぎの発生を防止する自動沈下補正装置及びレール支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点は、バラスト軌道の道床に敷設されたまくらぎによって支持されるレールに取り付けられるレール支持体と、道床に設置され、レール支持体を相対移動可能に支持する道床設置体と、を備え、道床と接する道床設置体の底面は、道床設置体が道床に沈み込む際に、隣接するまくらぎの底面下に道床に含まれるバラストを送り込む傾斜形状を有する自動沈下補正装置である。
【0009】
本発明の第2の視点は、バラスト軌道の道床に敷設されてレールを支持するまくらぎと、レールに取り付けられるレール支持体、及び、道床に設置され、レール支持体を相対移動可能に支持する道床設置体を備える自動沈下補正装置と、を備え、道床と接する道床設置体の底面は、道床設置体が道床に沈み込む際に、自動沈下補正装置に隣接するまくらぎの底面下に道床に含まれるバラストを送り込む傾斜形状を有するレール支持構造である。
【0010】
上記レール支持体が充填材を流出可能に収容し、上記道床設置体が前記レール支持体を相対移動可能に収容するとともに、上記レール支持体の相対移動により生じる空隙に上記レール支持体から流出した充填材を収容し、上記空隙に収容した上記充填材を介して上記レール支持体を支持してもよい。
【0011】
上記傾斜形状は、自動沈下補正装置の両隣に敷設されたまくらぎと平行な2つの傾斜面を含んでもよい。
【0012】
また、まくらぎの少なくとも1つがレールの連結位置に配置され、自動沈下補正装置が当該連結位置に配置されたまくらぎと、このまくらぎに隣り合うまくらぎとの間に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自動沈下補正機構を備えない通常のまくらぎに関する浮きまくらぎの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係るレール支持構造を示す平面図。
図2】一実施形態に係るレール支持構造を示す一部断面図。
図3図1におけるA−A矢視断面図。
図4図1におけるB−B矢視断面図。
図5図3の断面図において内筒の底板が載置板の上面から離れた状態を示す図。
図6図4の断面図において内筒の底板が載置板の上面から離れた状態を示す図。
図7】底面が平坦な載置板を用いた自動沈下補正装置を含むレール支持構造を示す図。
図8】一実施形態に係る自動沈下補正装置が伸長する過程を模式的に示す図。
図9】一実施形態に係る自動沈下補正装置が伸長する過程を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るレール支持構造を示す平面図である。図2は、当該レール支持構造を示す一部断面図である。
【0016】
図1及び図2に示すレール支持構造は、平行して走る2本のレール1を2組支持する。レール支持構造は、平行に配列された複数の並まくらぎ2と、継目まくらぎ3と、自動沈下補正装置4(自動沈下補正まくらぎ)とを含む。並まくらぎ2、継目まくらぎ3及び自動沈下補正装置4は、上面を突出させてバラスト軌道の道床5に埋設され、当該上面にてレール1を支持する。
【0017】
各レール1の端部は、隣り合うレール1の端部と継目まくらぎ3上で連結板6により連結される。自動沈下補正装置4は、継目まくらぎ3とその隣に配置された並まくらぎ2との間、及び、当該並まくらぎ2とその隣に配置された並まくらぎ2との間において、平行して走る2本のレール1のそれぞれに対して設けられる。
【0018】
自動沈下補正装置4は、道床5に設置される道床設置体7と、道床設置体7で支持されるレール支持体8とを備える。自動沈下補正装置4は、並みまくらぎ2及び継目まくらぎ3によるレール1の支持を補助する補助まくらぎとして機能する。
【0019】
図3図1におけるA−A矢視断面図であり、図4図1におけるB−B矢視断面図である。図3及び図4においては、レール1及び自動沈下補正装置4以外の要素の図示を省略する。
【0020】
道床設置体7は、道床5に設置される載置板70と、外筒71とを備える。載置板70は、並まくらぎ2と平行な方向に長尺な形状を有する。載置板70の底面は、道床5に沈み込む際に、隣接する並まくらぎ2或いは継目まくらぎ3の底面下にバラストを送り込む傾斜形状を有する。
【0021】
本実施形態における上記傾斜形状は、図4に示すように下方に突出する凸型形状であり、自動沈下補正装置4の両隣に敷設された並まくらぎ2或いは継目まくらぎ3の長尺方向と平行な2つの傾斜面70aと、頂面70bとを含む。載置板70の長尺方向に沿う断面形状は、図4に示すように、各傾斜面70aを脚とした台形状で一様である。
【0022】
外筒71は、上下の端部が開口した矩形筒状を成し、下方の端部が載置板70にて塞がれるように載置板70の上面に固着される。
【0023】
外筒71は、複数の案内機構を内壁に備える。案内機構は、外筒71の内壁に形成された凹部71aと、凹部71aに収容された案内部材72と、案内部材72と凹部71aとの間に介装された付勢部材73とを備える。
【0024】
凹部71aは、外筒71の各側壁の内面に上下及び水平方向に複数並べて形成される。案内部材72は、ローラやベアリング等の転動体72aと、この転動体72aを後述の内筒80と接触するように転動自在に支持する容器72bとを備える。付勢部材73は、例えば圧縮コイルバネ等にて構成され、案内部材72を内筒80の外壁に向けて付勢する。
【0025】
レール支持体8は、上方が開口した有底の矩形筒状を成す内筒80と、内筒80の上方の開口部分を覆う天板81とを備える。内筒80は、充填材としての粒状体9を収容する。粒状体9としては、例えば砂、金属球、或いはセラミック球等を用いることができる。内筒80の底板は、複数の流出孔80aを備える。流出孔80aは、例えば内筒80の底板の上面から底面にかけて徐々に径が小さくなる円形の貫通孔である。
【0026】
天板81は、方形の平板である金属板81aと、同じく方形の平板である絶縁板81bとを重ね合わせて形成される。天板81は、内筒80と軸心を一致させて内筒80の上端部に固着される。天板81に絶縁板81bを含ませることで、き電電流がレール1からレール支持体8を通して地絡することを防止できる。
【0027】
絶縁板81bは、取外用溝82aと、磁石収納部82bとを上面側に備える。取外用溝82aは、レール1の軸に沿う方向における絶縁板81bの中央付近において、レール1の軸と垂直を成す方向における絶縁板81bの一端から他端にかけて延びる。磁石収納部82bは、取外用溝82aを挟んで対になって設けられている。磁石収納部82bは、レール支持体8をレール1の底面に取り付けるための永久磁石83を収容する。
【0028】
レール支持体8は、永久磁石83がレール1の底面に吸着することで、レール1に取り付けられる。道床設置体7は、載置板70を道床5に埋設することで、道床5に設置される。このようにして自動沈下補正装置4は、レール1と道床5との間に配置される。レール1に取り付けられたレール支持体8は、取外用溝82aに専用の工具を挿入することで、レール1から容易に取り外すことができる。
【0029】
自動沈下補正装置4をレール1と道床5との間に配置した当初において、外筒71は、内筒80の底板が載置板70の上面に面接触した状態で、内筒80を収容する。このとき、流出孔80aは、載置板70の上面にて塞がれる。各案内部材72の転動体72aは、内筒80に弾性接触する。内筒80と外筒71とは、内筒80が各案内部材72の転動体72aに案内されて相対移動可能である。
【0030】
自動沈下補正装置4の直下において道床5が沈下すると、道床設置体7が道床5とともに下降する。このとき、内筒80が外筒71に対して相対移動し、内筒80の底板が載置板70の上面から離れる。図5及び図6は、それぞれ図3及び図4に示した断面図において、内筒80の底板が載置板70の上面から離れた状態を示す。
【0031】
内筒80の底板が載置板70の上面から離れると、内筒80の底板と載置板70の上面との間に空隙が生じるとともに、内筒80内の粒状体9が流出孔80aから流出する。流出した粒状体9は、図5及び図6に示すように、内筒80の底板と載置板70の上面との間の空隙を埋める。内筒80の底板は、流出孔80aから流出した粒状体9を介して支持される。この結果、自動沈下補正装置4が道床5の沈下に応じて伸長し、自動沈下補正装置4の作用によりレール1が正規水準に保たれる。流出孔80aは内筒80の底板の上面から底面にかけて徐々に径が小さくなるために、流出孔80aから一度流出した粒状体9は内筒80内に戻り難い。したがって、レール支持体8は、粒状体9により安定して支持される。
【0032】
さらに本実施形態に係る自動沈下補正装置4乃至レール支持構造は、自動沈下補正装置4の周囲に所在する並まくらぎ2及び継目まくらぎ3における浮きまくらぎの発生を防止する作用がある。この作用につき、図7図8及び図9を用いて説明する。
【0033】
図7は、載置板70に代えて底面が平坦である載置板を採用した道床設置体7´を備える自動沈下補正装置4´を含むレール支持構造を示す図である。レール支持構造が備える各要素は、自動沈下補正装置4を自動沈下補正装置4´に変更した点を除き、図1及び図2に示した各要素と同様である。また、自動沈下補正装置4´が備える各要素は、載置板70の底面形状を除き、図3図6を用いて説明した自動沈下補正装置4の各要素と同様である。
【0034】
図7に示すレール支持構造は、道床5が沈下した状態を示している。自動沈下補正装置4´は、道床5の沈下に応じて伸長し、載置板が道床5に接触する。したがって、自動沈下補正装置4´の作用により、レール1が正規水準に保たれる。このとき、自動沈下補正装置4´の周囲に所在する並みまくらぎ2及び継目まくらぎ3は、自動沈下補正機構を備えないために、図7に示すように浮きまくらぎとなる虞がある。この場合、車両通過時等において自動沈下補正装置4´に過度の負荷が加わり、自動沈下補正装置4´の破損や、自動沈下補正装置4´直下の道床5のさらなる沈下が生じかねない。
【0035】
図8及び図9は、本実施形態に係る自動沈下補正装置4が道床5の沈下に伴い伸長する過程を模式的に示す。図8においては、並みまくらぎ2及び継目まくらぎ3が浮きまくらぎとなっている。破線で示すエリアSは、自動沈下補正装置4の直下に所在するバラストを表す。
【0036】
図8の状態から、自動沈下補正装置4の道床設置体7が図9における矢印D1の方向に沈み込むと、エリアS内のバラストには、載置板70の傾斜面70aの法線方向に成分を持つ力が加わる。その結果、エリアS内のバラストは、矢印D2で示すように、自動沈下補正装置4に隣り合う並みまくらぎ2或いは継目まくらぎ3の底面下に向けて送り込まれる。これに伴い、並みまくらぎ2及び継目まくらぎ3の直下のバラストが矢印D3で示すように上方に押し上げられ、並みまくらぎ2及び継目まくらぎ3の底面と道床5が接触する。
【0037】
このように、本実施形態に係る自動沈下補正装置4及びレール支持構造によれば、自動沈下補正装置4の周囲に所在する並みまくらぎ2及び継目まくらぎ3が浮きまくらぎとなることを防止できる。
【0038】
さらには、並みまくらぎ2及び継目まくらぎ3が浮きまくらぎとなることを防止することにより、道床5が沈下した場合であっても、並みまくらぎ2、継目まくらぎ3、及び、自動沈下補正装置4による荷重の分担を再生できる。また、列車通過時の荷重を効果的に道床5から路盤へ伝達することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、載置板70が有する2つの傾斜面70aにより、自動沈下補正装置4の両隣に敷設された並みまくらぎ2或いは継目まくらぎ3の双方の底面下にバラストを送り込むことができる。さらに、載置板70の底面全てを傾斜させるのではなく、頂面70bを設けたことにより、道床設置体7の沈下を適度に防ぐことができる。
【0040】
本実施形態にて開示した構成は、実施段階において種々の態様に変形することができる。
【0041】
例えば本実施形態では、レール1同士の連結位置に本発明に係るレール支持構造を適用する場合を説明した。しかしながら、当該レール支持構造を例えば踏切やスラブ軌道等の直結系軌道とバラスト軌道との境界のような他の軌道構造変化箇所に適用してもよい。
【0042】
また、本実施形態では、内筒80に収容する充填材として粒状体9を用いるとしたが、充填材として粉状体等の他の物質を用いてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、載置板70の底面が2つの傾斜面70aと頂面70bとを有する傾斜形状であるとした。しかしながら、底面の傾斜形状は他の形状であってもよい。例えば傾斜形状は、道床5に沈み込む際に、隣接する並まくらぎ2或いは継目まくらぎ3の底面下にバラストを送り込む形状であれば、曲面を含む形状であってもよいし、頂面70bを含まない形状であってもよい。
【0044】
また、本実施形態では、平行して走る2本のレール1毎に自動沈下補正装置4を設けるとした。しかしながら、自動沈下補正装置4を図1に示したものよりも並まくらぎ2と平行な方向に長尺に構成し、2本のレール1を横断するように自動沈下補正装置4を設けてもよい。自動沈下補正装置4が設けられるレール1の数は、3本以上であってもよい。
【0045】
また、2本或いは3本以上のレール1を支持する1本のまくらぎに自動沈下補正装置4を設けてもよい。この場合、1本のまくらぎに自動沈下補正装置4を1つのみ設けてもよいし、複数設けてもよい。1本のまくらぎに自動沈下補正装置4を複数設ける場合、各自動沈下補正装置4のうちの少なくとも2つを、並行して走る2本のレール1の直下にそれぞれ配置してもよい。なお、レールに取り付けられたまくらぎに自動沈下補正装置4を設ける場合、天板81と当該まくらぎとを適宜の方法にて連結すればよい。またこの場合にあっては、当該まくらぎを含むものとしてレール支持体8を定義してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、粒状体9を内筒80の内部から外筒71の内部へと移動させることで、沈下する道床5に道床設置体7の底面を追随させるとともにレール1を支持する機能を実現する場合を例示した。しかしながら、この機能は、他の様々な構成により実現することができる。
【0047】
例えば油圧を利用した構成により、上記機能を実現することができる。具体的には、例えば道床設置体7にシリンダを設け、このシリンダに挿入されるロッドをレール支持体8に設ける。さらに、オイルを収容したタンクを設け、このタンクとシリンダとを管路にて接続する。管路には、タンクからシリンダへのオイルの流れを許容し、シリンダからタンクへのオイルの流れを阻止する逆止弁を設ける。このような構成においては、沈下する道床5に追随して道床設置体7が降下する際に、シリンダがロッドに対して相対移動してシリンダ内の容積が増大する。これに伴いシリンダ内の圧力が低下し、タンク内のオイルがシリンダに流入する。やがてシリンダ内の圧力とタンク内の圧力が釣り合うと、オイルの流入は停止する。シリンダ内に流入したオイルは逆止弁の作用によりタンクに戻ることがない。したがって、ロッドを介してレール支持体8乃至レール1が支持される。
【0048】
また、上記機能は、ばね等による復元力を利用した構成により実現することもできる。具体的には、例えば道床設置体7の上面とレール支持体8の下面の少なくとも一方を、端部から中心に向けてこれら上面及び下面の間の距離が縮小するテーパ状に構成する。さらに、これら上面及び下面の間に、連結材によって連結された少なくとも一対の摺動ブロックを上記テーパの稜線を跨ぐように配置する。連結材は、例えば一対の摺動ブロックを互いに引き寄せる方向の復元力を持つコイルばねである。道床設置体7は、各摺動ブロックを介してレール支持体8を支持する。このような構成においては、沈下する道床5に追随して道床設置体7が降下する際に、道床設置体7の上面とレール支持体8の下面の間の距離の増加に応じた距離だけ一対の摺動ブロックが連結材によって引き寄せられる。このように引き寄せられた後の摺動ブロックを介してレール支持体8乃至レール1が支持される。
【0049】
この他、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0050】
1…レール、2…並まくらぎ、3…継目まくらぎ、4…自動沈下補正装置、5…道床、6…連結板、7…道床設置体、8…レール支持体、9…粒状体、70…載置板、70a…傾斜面、70b…頂面、71…外筒、72…案内部材、73…付勢部材、80…内筒、80a…流出孔、81…天板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9