特許第6249375号(P6249375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249375
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】光コネクタプラグ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   G02B6/36
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-546324(P2015-546324)
(86)(22)【出願日】2014年9月9日
(86)【国際出願番号】JP2014073731
(87)【国際公開番号】WO2015068461
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】特願2013-232049(P2013-232049)
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000243342
【氏名又は名称】本多通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 真二
【審査官】 下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0286702(US,A1)
【文献】 特開2009−229545(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0216188(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0047565(US,A1)
【文献】 特開2006−134858(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0213478(US,A1)
【文献】 特開2013−29580(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0058773(US,A1)
【文献】 特開2012−173344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36− 6/43
H01R13/62−13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルールを保持して連結相手部材の嵌合部に嵌合するフロントハウジングと、
該フロントハウジングの後部側で前後方向にスライド自在に該フロントハウジングに装着されるリアハウジングとからなる光コネクタプラグであって、
前記フロントハウジングは、フロントハウジング本体と、その上側外壁面に形成された弾性を有するラッチ片とを有するとともに、該ラッチ片は、前記連結相手部材の嵌合用係合部に係合するように形成されたロック用係止部と、当該嵌合用係合部から前記ロック用係止部を係合状態から解除させるように形成された解除部とを有しており、
前記リアハウジングは、筒本体と、その上側に形成された解除レバーを有するとともに、該解除レバーは、該解除レバーの前部に形成されるとともに前記ラッチ部の解除部に該リアハウジングの後退時に係合して解除作用させるためのフック部と、該解除レバーの後部に形成された後退用の摘まみ部を有してなり、
前記解除レバーに形成されたフック部は、該フロントハウジングとリアハウジングの組み立て時に、前記フック部が前記ラッチ片の解除部の下に摺接しながら入り込むとともに、
当該フック部の先端側のテーパ部で前記解除部を押し上げて当該解除部の前側に形成したスリットに進入し遊嵌されることによって組み立てられること、
を特徴とする光コネクタプラグ。
【請求項2】
前記ロック用係止部は、前記ラッチ片の左右側壁面からそれぞれ突設された左右一対のロック用係止部であるとともに、前記解除部は、前記左右一対のロック用係止部の間に形成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の光コネクタプラグ。
【請求項3】
前記フロントハウジングの後端部には、当該後端部に前記リアハウジングを装着し前進させた状態で、当該フロントハウジングの後側に隣接する位置に、前記リアハウジングの後方へのスライドを阻止する前記阻止部材を装着させるための溝部が形成されていること、
を特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタプラグ。
【請求項4】
前記阻止部材は、前記フロントハウジングの長手方向の軸線に対して直交する方向から前記溝部に差し込めるように、一部にスリットを有する断面C形の環状筒体に形成されていること、
を特徴とする請求項3に記載の光コネクタプラグ。
【請求項5】
前記解除レバーには、該解除レバーの前部に形成した前記フック部と後部に形成した摘まみ部との間に、前記リアハウジングを前進させるための反力部として機能する突起部が突設されていること、
を特徴とする請求項1に記載の光コネクタプラグ。
【請求項6】
さらに、前記フロントハウジングの後部に差し込まれたプラグフレームを有し、前記溝部は、該プラグフレームの後部に形成されていること、
を特徴とする請求項3に記載の光コネクタプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信機器用に広く世界で汎用される、主にLC形光コネクタにおける光コネクタプラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LC形光コネクタプラグは、嵌合・連結される連結相手部材であるアダプタやレセプタクルと連結・離脱するための着脱構造が、図14Aおよび図14Bに示すように、光コネクタプラグ15のフロントハウジング16から上に曲がって反り上がるラッチ部17があり、このラッチ部17の先端部17bに、リアハウジング18においてその上部から前記ラッチ部17に対向して延設された先端部19aが被さるようにして係合する解除バー19が設けられている。
【0003】
前記ラッチ部17の両側壁面には、連結相手部材(アダプタ等)21の凹部に係合して抜け防止となる係合突起17aが突設されている。また、前記解除バー19は、リアハウジング18の上面から上方に延設されていて、前記ラッチ部17の弾性力で上方の元の位置に復帰される。
【0004】
図15Aに示すように、前記光コネクタプラグ15を連結相手部材21に連結させた状態から離脱させるには、図15Bに示すように、一旦、解除バー19を指で下に押し下げてラッチ部17における係合突起17aの係合を解除させ、それから当該ラッチ部17を押し下げた状態を維持しながら、連結相手部材21から離間させる方向に光コネクタプラグ15を引っ張ることを要する。このような光コネクタプラグ15の着脱構造として、例えば、2連のコネクタプラグとして特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−354693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の光コネクタプラグは、上述した様に、連結相手部材から離脱させるには、押し下げる操作と引っ張る操作との2つの操作が必要であって、しかも、その押し下げた状態を維持しながら、引っ張る操作を行わなければならないという、操作性の悪いものである。LC形コネクタプラグは光通信機器に高密度に実装されるので、当該機器装置内での作業では、密集した光コードを掻き分けて作業者の指よりも小さいLC形コネクタプラグを摘まみ、前記2つの操作でロックを解除して前記LC形コネクタプラグを離脱しなければならないからである。本発明に係る光コネクタプラグは、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光コネクタプラグは、フェルールを保持して連結相手部材の嵌合部に嵌合するフロントハウジングと、該フロントハウジングの後部側で前後方向にスライド自在に該フロントハウジングに装着されるリアハウジングとからなる光コネクタプラグであって、前記フロントハウジングは、フロントハウジング本体と、その上側外壁面に形成された弾性を有するラッチ片とを有するとともに、該ラッチ片は、前記連結相手部材の嵌合用係合部に係合するように形成されたロック用係止部と、当該嵌合用係合部から前記ロック用係止部を係合状態から解除させるように形成された解除部とを有しており、前記リアハウジングは、筒本体と、その上側に形成された解除レバーを有するとともに、該解除レバーは、該解除レバーの前部に形成されるとともに前記ラッチ部の解除部に該リアハウジングの後退時に係合して解除作用させるためのフック部と、該解除レバーの後部に形成された後退用の摘まみ部を有してなり、前記解除レバーに形成されたフック部は、該光コネクタプラグのフロントハウジングとリアハウジングの組み立て時に、前記フック部が前記ラッチ片の解除部の下に摺接しながら入り込むとともに、当該フック部の先端側のテーパ部で前記解除部を押し上げて当該解除部の前側に形成したスリットに進入し遊嵌されることによって組み立てられてなる光コネクタプラグである。
【0008】
前記ラッチ片に形成されたロック用係止部は、弾性を有する該ラッチ片の左右側壁面からそれぞれ突設された左右一対のロック用係止部であるとともに、前記解除部は、前記左右一対のロック用係止部の間に形成されていることが好ましい。
【0009】
前記フロントハウジングの後端部には、当該後端部に前記リアハウジングを装着し前進させた状態で、当該フロントハウジングの後側に隣接する位置に、前記リアハウジングの後方へのスライドを阻止する前記阻止部材を装着させるための溝部が形成されていることが好ましい。
さらに、前記フロントハウジングの後部に差し込まれたプラグフレームを有し、前記溝部は、該プラグフレームの後部に形成されていることが好ましい。
【0010】
前記阻止部材は、前記フロントハウジングの長手方向の軸線に対して直交する方向から前記溝部に差し込めるように、一部にスリットを有する断面C形の環状筒体に形成されていることが好ましい。
【0011】
前記リアハウジングの解除レバーには、該解除レバーの前部に形成した前記フック部と後部に形成した摘まみ部との間に、前記リアハウジングを前進させるための反力部として機能する突起部が突設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明による光コネクタプラグは、連結相手部材から離脱させる際には、リアハウジングに設けた解除レバーを、後方に、つまり、嵌合方向とは反対の方向に引くだけの単一の操作で、連結相手部材から当該光コネクタプラグを離脱させることができる。従って、離脱させるための操作数が減り、作業操作性が改善され向上する。
【0013】
更に、一対のロック用係止部の間に解除部が設けられるので、従来の様な前後に長い寸法のラッチ片にならず、そのラッチ片の長さを短くして形成することができるので、材料費を低減することができる。そして、解除部の前にスリットを設けるので、より材料費が低減できて、軽量化にも貢献するものである。
【0014】
更に、リアハウジングによる誤脱防止のために、当該リアハウジングのスライドを阻止する阻止部材があるので、意図せずに誤って嵌合状態のリアハウジングを後方に解除してしまうことが防止され、安全性が向上する。
【0015】
また、この阻止部材は、断面C形の環状筒体なので、プラグフレームの溝部に装着する作業が容易であり、作業能率が向上する、という優れた効果を奏するものである。
【0016】
また、リアハウジングの解除レバーに、前進させる際の反力部として機能する突起部があるので、嵌合時において光コネクタプラグを前進させやすくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る光コネクタプラグを示す斜視図である。
図2】同光コネクタプラグを示す側面図である。
図3A】同光コネクタプラグにおけるフロントハウジングを前方から視た斜視図である。
図3B図3Aに示すフロントハウジングを後方から視た斜視図である。
図4A】同フロントハウジングを示す正面図である。
図4B】同フロントハウジングを示す側面図である。
図4C】同フロントハウジングを示す平面図である。
図5】同フロントハウジングの、図4CにおけるA−A線断面図である。
図6A】同光コネクタプラグにおけるリアハウジングを前方から視た斜視図である。
図6B】同リアハウジングを後方から視た斜視図である。
図7A】同リアハウジングを示す正面図である。
図7B】同リアハウジングを示す側面図である。
図7C】同リアハウジングを示す平面図である。
図8図7CにおけるB−B線断面図である。
図9A】同光コネクタプラグの嵌合・組み立て時において、リアハウジングの解除レバーとフロントハウジングのラッチ片とが係合する前の状態を示す、フロントハウジングとリアハウジングの一部縦断面である。
図9B図9Aに示す状態からリアハウジングを前進させて、解除レバーとラッチ片とが係合し、テーパ部で解除部が押し上げられた状態を示す、フロントハウジングとリアハウジングの一部縦断面である。
図9C図9Bに示す状態から更にリアハウジングを前進させて、フック部が解除部の前側に設けたスリットに進入し遊嵌されるとともに、解除部がラッチ片の弾力性で下がって元の位置に復帰した状態を示す、フロントハウジングとリアハウジングの一部縦断面である。
図9D】同フロントハウジングとリアハウジングの組み立て完了状態を示す一部縦断面である。
図10A】同リアハウジングの解除レバーとフロントハウジングのラッチ片とが係合する前の状態の光コネクタプラグを示す側面図である。
図10B】同光コネクタプラグを示す平面図である。
図10C図10Aに示す状態からリアハウジングを前進させて、解除レバーとラッチ片とが係合し、テーパ部で解除部が押し上げられた状態の光コネクタプラグを示す側面図である。
図10D】同光コネクタプラグを示す平面図である。
図10E図10Cに示す状態から更にリアハウジングを前進させて、フック部が解除部の前側に設けたスリットに進入し遊嵌されるとともに、解除部がラッチ片の弾力性で下がって元の位置に復帰した状態の同光コネクタプラグを示す側面図である。
図10F】同光コネクタプラグを示す平面図である。
図11A】同光コネクタプラグが連結相手部材と連結した状態の、フロントハウジングとリアハウジングを示す一部縦断面である。
図11B図11Aに示す状態からリアハウジングを後方へ引いて、フック部の後端部が解除部に係合し、フック部が解除部を押し下げる途中の状態の、フロントハウジングとリアハウジングを示す一部縦断面である。
図11C図11Bに示す状態から更にリアハウジングを後方へ引いて、フック部が解除部を押し下げて、光コネクタプラグを連結相手部材からの離脱可能となった状態の、フロントハウジングとリアハウジングを示す一部縦断面である。
図11D】同光コネクタプラグが連結相手部材から離脱された図11Cに示す状態から、解除レバーから指が離されて、連結前と同じ状態となったフロントハウジングとリアハウジングを示す一部縦断面である。
図12A】同リアハウジングの離脱作用を阻止する阻止部材を示す前方から視た斜視図である。
図12B図12Aに示す阻止部材を示す後方から視た斜視図である。
図13A図12Aに示す阻止部材を光コネクタプラグに左方向から装着する前の状態を示す後方から視た斜視図である。
図13B】同阻止部材を光コネクタプラグに左方向から装着した状態を示す後方から視た斜視図である。
図13C】同阻止部材を光コネクタプラグに右方向から装着する前の状態を示す後方から視た斜視図である。
図13D】同阻止部材を光コネクタプラグに下方向から装着する前の状態を示す後方から視た斜視図である。
図14A】従来例に係る光コネクタプラグを示す斜視図である。
図14B】同光コネクタプラグを示す側面図である。
図15A】同光コネクタプラグの嵌合状態を示す部分断面図である。
図15B】同光コネクタプラグを連結相手部材との連結状態から離脱させるときの、離脱操作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る光コネクタプラグ1は、図1乃至図2に示すように、リアハウジング3に、単一の操作で連結相手部材方からリアハウジング3を簡単に連結解除するための、解除レバー3aを設けたものである。
【実施例1】
【0019】
本発明に係る光コネクタプラグ1は、図1乃至図2に示すように、光通信接続用のフェルール2bを保持して、連結相手部材(アダプタ、レセプタクル)の嵌合部に嵌合する、合成樹脂製で概略矩形状の筒体であるフロントハウジング本体2mを有するフロントハウジング2と、該フロントハウジング2の後部側で前後方向にスライド自在に装着される合成樹脂製で矩形状の筒本体3eを有するリアハウジング3とから構成されている。
【0020】
前記フロントハウジング2の構造について説明すると、図3A乃至図5に示すように、前記フロントハウジング本体2mの上側の外壁面に形成された弾性を有するラッチ片2aを有している。該ラッチ片2aには、前記連結相手部材の嵌合用係合部(図示せず)に係合するための一対のロック用係止部2cと、該嵌合用係合部(図示せず)から前記ロック用係止部2cを係合解除させるための解除部2dとが形成されている。ラッチ片2aに形成された一対のロック用係止部2cは、無負荷状態においては、連結相手部材の係合部(図示せず)と係合してロックされる位置となり、押し下げられた状態においては、連結相手部材の係合部(図示せず)との係合が解除される位置となるように構成されている。つまり、この一対のロック用係止部2cと連結相手部材の嵌合用係合部との係合によって、光コネクタプラグ1は連結相手部材(アダプタ、レセプタクル)と連結されロックされるものである。
【0021】
前記ラッチ片2aにおいて、一対のロック用係止部2cは、ラッチ片2aの後端部の左右側壁面から左右外方に向かってそれぞれ突設され、ラッチ片2aの解除部2dは、前記左右一対のロック用係止部2c,2cの間に形成されている。
【0022】
また、図3A図4Cおよび図5に示すように、前記解除部2dの前側には前端が低い傾斜面2nが形成されたおり、その前方にはスリット2eが形成されている。つまり、スリット2eの後方は、後端が高い傾斜面2nとなっている。さらに、図4Bに示すように、符号2fは、後述のリアハウジング3が後方に移動されたときにストッパーとして機能する後方規制部を示し、符号2gは、図5に示されるような、ガイド用スリットを示し、その先端面は、前方規制端面2kとなっていて、リアハウジング3の前方移動の位置規制部として機能する。
【0023】
また、図4Bに示すように、符号2hは、リアハウジング3の抜け止めとして機能するために形成されたリアハウジング用係合凹部を示し、該リアハウジング用係合凹部2hの後方面は、リアハウジング3の後方向への移動を規制する前記後方規制部2fとなっている。また、図4B及び図5に示す符号2iは、後述のプラグフレーム4をフロントハウジング2に嵌合・係止させる係止窓部を示している。
【0024】
次に、前記リアハウジング3の構造について説明する。図6A乃至図8に示すように、前記リアハウジング3は、筒本体3eと、筒本体3eの上部に形成された解除レバー3aとを有している。解除レバー3aは、解除レバー3aの前部に形成されるとともに、該リアハウジング3の後退時に前記ラッチ片2aの解除部2dに係合して解除作用させるフック部3bと、解除レバー3aの後部に形成された後退用の摘まみ部3cとを有している。
【0025】
前記リアハウジング3の解除レバー3aには、前部のフック部3bと後部の摘まみ部3cとの間に、このリアハウジング3を前進させるための反力部として機能する突起部3dが突設されている。
【0026】
また、前記解除レバー3aの下面には、図7Bに示すように、前後方向に沿って細長い矩形状のガイドレール3fが突設されている。このガイドレール3fは、前記フロントハウジング本体2mに形成されたガイド用スリット2gにその後方から挿入され前後方向にガイドされる。そして、図7Aおよび図7Bに示すように、前記ガイドレール3fの前端部は、位置規制端部3iであって、ガイド用スリット2gの前方規制端面2k(図5参照)に当接して、リアハウジング3の前方への移動が規制される。
【0027】
更に、前記リアハウジング3を構成する前記筒本体3eと前記解除レバー3aとは一体となるように形成されている。筒本体3eが前記フロントハウジング本体2mの後方の筒状の部分を囲繞して嵌装するように、筒本体3eはフロントハウジング本体2mよりも大きく形成されている。
【0028】
この筒本体3eの内側左右両面には、テーパ面3kと頂面3mと位置規制端面3jを有する規制突起3g(図7Aおよび図8参照)が突設されており、光コネクタプラグの組み立て時に、該規制突起3gが前記フロントハウジング本体2mに形成された係合凹部2hに落ち込んで係合し、該係合凹部2hの後方壁面である後方規制部2fに位置規制端面3j(図8参照)が当接して、リアハウジング3がフロントハウジング2から後方へ抜け出すことが阻止されるとともに、位置決めがなされる。
【0029】
前記フロントハウジング2とリアハウジング3とを、図1に示すように、組み立てるには、図9A図10A図10Bとに示すように、フロントハウジング2にフェルール2b、そして後述のプラグフレーム4等を挿着した後、フロントハウジング本体2mが筒本体3eに差し込まれるように、リアハウジング3を後方からフロントハウジング2に嵌合し、更に、リアハウジング3を前進させ嵌合・装着させて、図9Aもしくは図10Aおよび図10Bに示された状態とする。
【0030】
次に、前記リアハウジング3を前進させると、図9Bもしくは図10C図10Dに示すように、リアハウジング3の解除レバー3aに形成されたフック部3bが前記ラッチ片2aの解除部2dの下に摺接しながら入り込むとともに、当該フック部3bの先端側のテーパ部3hで前記解除部2dをラッチ片2aの弾性力に抗して押し上げて、図9Cに示すように、フック部3bが当該解除部2dの前側に形成されたスリット2eに下方から進入し遊嵌される。ラッチ片2aは、押し上げられた上位置から、ラッチ片2aの弾性力で下がり元の位置に復帰する。
【0031】
それと同時に、リアハウジング3の筒本体3eの内側に形成された規制突起3g(図7A参照)も、フロントハウジング2のリアハウジング用係合凹部2h(図3A参照)に落とし込まれて係合する。これにより、図9Cに示すように、リアハウジング3は、フロントハウジング2のガイド用スリット2gの前方規制端面2kに、当該リアハウジング3の位置規制端部3iが当接して、前方の移動が規制され、かつ、規制突起3gの位置規制端面3j(図8参照)がリアハウジング用係合凹部2hの後方規制部2fに当接して、抜け出しが防止されると共に後方への移動が規制される。こうして、図9Dもしくは図10E図10Fに示すように、組み立てが完了する。
【0032】
以上のように構成される光コネクタプラグ1の使用において、光コネクタプラグ1を、連結相手部材であるアダプタやレセプタクルに連結・光接続させる方法を説明する。まず、図1に示す状態、つまり、図9Dもしくは図10E図10Fに示す組み立てが完了した状態の光コネクタプラグ1をフロントハウジング2の先端部から連結相手部材(図示せず)の嵌合開口部に差込み、解除レバー3aの部分に指を掛けて押し、光コネクタプラグ1を連結相手部材(図示せず)の嵌合部に挿入する。
【0033】
その挿入に伴って、前記フロントハウジング2のラッチ片2aが、連結相手部材の嵌合部に係合して、一旦、ラッチ片2aの弾性力に抗して下に押し下げられることにより、前記ラッチ片2aの一対のロック用係止部2cが連結相手部材の係合部(図示せず)よりも低い位置となる。光コネクタプラグ1を更に挿入すると、一対のロック用係止部2cが連結相手部材の係合部(図示せず)の下側を通過し、前記ラッチ片2aの一対のロック用係止部2cが、ラッチ片2aの弾性力で押し上げられて、連結相手部材の係合部(図示せず)に係合して、光コネクタプラグ1が連結相手部材に連結・光接続され、光コネクタプラグ1が連結相手部材から抜け出ない状態となる。
【0034】
さらに、光コネクタプラグ1の使用において、上記連結相手部材と連結・光接続された後、前記光コネクタプラグ1を、連結相手部材から離脱させる方法としては、まず、上記連結相手部材と連結・光接続された時の光コネクタプラグ1を示す図11Aの状態から、光コネクタプラグ1における解除レバー3aの摘まみ部3cに指を掛けて、リアハウジング3を後方へ引く。
【0035】
リアハウジング3を後方へ引くと、フロントハウジング2に対してリアハウジング3が後方へ摺動し、図11Bに示すように、スリット2e内に遊嵌されたフック部3bの後端が、解除部2dの前側に形成された傾斜面2nに係合し、傾斜面2n上を後方に向かって摺動するように、ラッチ片2aの弾性力に抗して該解除部2dを押し下げる。これにより、ラッチ片2aの後端部に形成された左右一対のロック用係止部2cが、連結相手部材の嵌合用係合部(図示せず)から係合解除される。
【0036】
上記のように、解除レバー3aのフック部3bの後方移動により、ラッチ片2aの解除部2dとともにロック用係止部2cを押し下げて、ロック用係止部2cが連結相手部材の嵌合用係合部(図示せず)から係合解除されるので、さらにリアハウジング3を後方へ引くと、連結相手部材から光コネクタプラグ1が離脱される。なお、その際、前記リアハウジング3の後方への移動は、筒本体3eの内側に形成した規制突起3g(図8参照)が、リアハウジング用係合凹部2hの後方規制部2fに当接して移動停止され規制されるため、リアハウジング3がフロントハウジング2から分離することなく、リアハウジング3とともにフロントハウジング2も一緒に後方へ引かれることによって、光コネクタプラグ1が連結相手部材から離脱されるものである。
【0037】
その後、前記解除レバー3aから指を離すことで、図11Cから図11Dにかけて示すように、ラッチ片2aの弾性力により、解除部2dが上がり、この解除部2d前方の傾斜面2nに係合しているフック部3bが、該傾斜面2nによって、スリット2e内で前方に向けて押し出される。
【0038】
こうして、光コネクタプラグ1は、図11Dに示すように、連結前の元の状態に戻るものである。このように、光コネクタプラグ1を、連結相手部材から離脱させるには、前記リアハウジング3を後方に引くだけでよく、その後方に引く単一の操作によって、離脱させることができる。よって、離脱作業に手間が掛からず、その操作性が向上するものである。
【0039】
また、光コネクタプラグ1の離脱作業が、単一の操作で完了し、極めて容易であることから、意図せずに誤って連結相手部材から離脱させると大きな被害となる場合もある。そこで、離脱することを意図しない場合は、光コネクタプラグと連結相手部材との連結状態を維持し、光コネクタプラグ1を連結相手部材から簡単に離脱させないような構成とすべく対処する必要がある。
【0040】
その対処として、図12A図12Bに示すような、リアハウジング3の後方への移動を阻止する阻止部材7を装着する。該阻止部材7は、図示するように、フロントハウジング2の長手方向の軸線に対して直交する方向から、図1図2に示す溝部5に差し込めるように、一部にスリット7aを有する断面C形の環状筒体に形成されている。
【0041】
一方、図1図2に示すように、フロントハウジング2の後端部には、当該後端部にリアハウジング3を装着し前進させた状態で、当該フロントハウジング2の後側に隣接する位置に、前記リアハウジング3の後方へのスライドを阻止する阻止部材7を装着するための溝部5が設けられている。
【0042】
前記溝部5を形成するために、図1図2に示すように、フロントハウジング2とは別体で、筒状体の後方にフランジを設けたプラグフレーム4が、当該フロントハウジングの後方開口部に挿入・装着され、その一部が係止窓部2i(図5参照)に係合して固定されている。つまり、溝部5はプラグフレーム4の後部に形成されている。なお、プラグフレーム4は、光ファイバーケーブル(図示せず)を保護したブーツ6を担持する部材である。
【0043】
前記光コネクタプラグ1における溝部5と、前記阻止部材7とにより、図13Aおよび図13Bに示すように、光コネクタプラグ1に対して前記阻止部材7を溝部5に差し込んで装着する。これにより、前記阻止部材7の幅部分が介装されて、リアハウジング3がそれ以上後方に移動できなくなる。なお、この阻止部材7を光コネクタプラグ1から撤去するには、専用治具などを使用するものである。
【0044】
また、前記阻止部材7は、予め光コネクタプラグ1に装着しておいて、装着したまま、この光コネクタプラグ1を連結相手部材に嵌合させてもよいし、あるいは、光コネクタプラグ1を連結相手部材に嵌合・連結させた後に、阻止部材7を光コネクタプラグ1の溝部5に装着してもよく、いずれも、任意である。
【0045】
また、図13A図13Bのみならず、図13C図13Dにも示すように、前記阻止部材7を、光コネクタプラグ1に対して、フロントハウジングの長手方向(前後方向)の軸線に対して直交する方向であれば、左側から若しくは右側から、あるいは、下方向から装着することができる。
【0046】
光通信機器に高密度に多数の光コネクタプラグ1を実装する状況においても、実体に応じて操作しやすい方向から阻止部材7を取り付けたり、取り外したりできるものである。なお、多数の光コネクタプラグ1を実装する場合は、多数の阻止部材7の外表面に、色彩の異なる材質を使用することによって、あるいは、色彩を付すことによって、他の阻止部材7と明確に区別できる様にすることが、誤脱を防止する上で好ましいものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る光コネクタプラグ1は、既存のLC形コネクタ(アダプタ、レセプタクル)に対して使用することができて、容易に操作性が向上するものである。
【符号の説明】
【0048】
1 光コネクタプラグ、
2 フロントハウジング、 2a ラッチ片、
2b フェルール、 2c ロック用係止部、
2d 解除部、 2e スリット、
2f 後方規制部、 2g ガイド用スリット、
2h リアハウジング用係合凹部、2i 係止窓部、
2j フェルール付勢部材、 2k 前方規制端面、
2m フロントハウジング本体、 2n 傾斜面、
3 リアハウジング、 3a 解除レバー、
3b フック部、 3c 摘まみ部、
3d 突起部、 3e 筒本体、
3f ガイドレール、 3g 規制突起、
3h テーパ部、 3i 位置規制端部、
3j 位置規制端面、 3k テーパ面
3m 頂面
4 プラグフレーム、
5 溝部、
6 ブーツ、
7 阻止部材、 7a スリット、
15 従来の光コネクタプラグ、
16 フロントハウジング、
17 ラッチ部、 17a 係合突起、
17b 先端部、
18 リアハウジング、
19 解除バー、 19a 先端部、
20 フェルール、 21 連結相手部材。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15A
図15B