【実施例1】
【0019】
本発明に係る光コネクタプラグ1は、
図1乃至
図2に示すように、光通信接続用のフェルール2bを保持して、連結相手部材(アダプタ、レセプタクル)の嵌合部に嵌合する、合成樹脂製で概略矩形状の筒体であるフロントハウジング本体2mを有するフロントハウジング2と、該フロントハウジング2の後部側で前後方向にスライド自在に装着される合成樹脂製で矩形状の筒本体3eを有するリアハウジング3とから構成されている。
【0020】
前記フロントハウジング2の構造について説明すると、
図3A乃至
図5に示すように、前記フロントハウジング本体2mの上側の外壁面に形成された弾性を有するラッチ片2aを有している。該ラッチ片2aには、前記連結相手部材の嵌合用係合部(図示せず)に係合するための一対のロック用係止部2cと、該嵌合用係合部(図示せず)から前記ロック用係止部2cを係合解除させるための解除部2dとが形成されている。ラッチ片2aに形成された一対のロック用係止部2cは、無負荷状態においては、連結相手部材の係合部(図示せず)と係合してロックされる位置となり、押し下げられた状態においては、連結相手部材の係合部(図示せず)との係合が解除される位置となるように構成されている。つまり、この一対のロック用係止部2cと連結相手部材の嵌合用係合部との係合によって、光コネクタプラグ1は連結相手部材(アダプタ、レセプタクル)と連結されロックされるものである。
【0021】
前記ラッチ片2aにおいて、一対のロック用係止部2cは、ラッチ片2aの後端部の左右側壁面から左右外方に向かってそれぞれ突設され、ラッチ片2aの解除部2dは、前記左右一対のロック用係止部2c,2cの間に形成されている。
【0022】
また、
図3A、
図4Cおよび
図5に示すように、前記解除部2dの前側には前端が低い傾斜面2nが形成されたおり、その前方にはスリット2eが形成されている。つまり、スリット2eの後方は、後端が高い傾斜面2nとなっている。さらに、
図4Bに示すように、符号2fは、後述のリアハウジング3が後方に移動されたときにストッパーとして機能する後方規制部を示し、符号2gは、
図5に示されるような、ガイド用スリットを示し、その先端面は、前方規制端面2kとなっていて、リアハウジング3の前方移動の位置規制部として機能する。
【0023】
また、
図4Bに示すように、符号2hは、リアハウジング3の抜け止めとして機能するために形成されたリアハウジング用係合凹部を示し、該リアハウジング用係合凹部2hの後方面は、リアハウジング3の後方向への移動を規制する前記後方規制部2fとなっている。また、
図4B及び
図5に示す符号2iは、後述のプラグフレーム4をフロントハウジング2に嵌合・係止させる係止窓部を示している。
【0024】
次に、前記リアハウジング3の構造について説明する。
図6A乃至
図8に示すように、前記リアハウジング3は、筒本体3eと、筒本体3eの上部に形成された解除レバー3aとを有している。解除レバー3aは、解除レバー3aの前部に形成されるとともに、該リアハウジング3の後退時に前記ラッチ片2aの解除部2dに係合して解除作用させるフック部3bと、解除レバー3aの後部に形成された後退用の摘まみ部3cとを有している。
【0025】
前記リアハウジング3の解除レバー3aには、前部のフック部3bと後部の摘まみ部3cとの間に、このリアハウジング3を前進させるための反力部として機能する突起部3dが突設されている。
【0026】
また、前記解除レバー3aの下面には、
図7Bに示すように、前後方向に沿って細長い矩形状のガイドレール3fが突設されている。このガイドレール3fは、前記フロントハウジング本体2mに形成されたガイド用スリット2gにその後方から挿入され前後方向にガイドされる。そして、
図7Aおよび
図7Bに示すように、前記ガイドレール3fの前端部は、位置規制端部3iであって、ガイド用スリット2gの前方規制端面2k(
図5参照)に当接して、リアハウジング3の前方への移動が規制される。
【0027】
更に、前記リアハウジング3を構成する前記筒本体3eと前記解除レバー3aとは一体となるように形成されている。筒本体3eが前記フロントハウジング本体2mの後方の筒状の部分を囲繞して嵌装するように、筒本体3eはフロントハウジング本体2mよりも大きく形成されている。
【0028】
この筒本体3eの内側左右両面には、テーパ面3kと頂面3mと位置規制端面3jを有する規制突起3g(
図7Aおよび
図8参照)が突設されており、光コネクタプラグの組み立て時に、該規制突起3gが前記フロントハウジング本体2mに形成された係合凹部2hに落ち込んで係合し、該係合凹部2hの後方壁面である後方規制部2fに位置規制端面3j(
図8参照)が当接して、リアハウジング3がフロントハウジング2から後方へ抜け出すことが阻止されるとともに、位置決めがなされる。
【0029】
前記フロントハウジング2とリアハウジング3とを、
図1に示すように、組み立てるには、
図9Aと
図10A、
図10Bとに示すように、フロントハウジング2にフェルール2b、そして後述のプラグフレーム4等を挿着した後、フロントハウジング本体2mが筒本体3eに差し込まれるように、リアハウジング3を後方からフロントハウジング2に嵌合し、更に、リアハウジング3を前進させ嵌合・装着させて、
図9Aもしくは
図10Aおよび
図10Bに示された状態とする。
【0030】
次に、前記リアハウジング3を前進させると、
図9Bもしくは
図10C、
図10Dに示すように、リアハウジング3の解除レバー3aに形成されたフック部3bが前記ラッチ片2aの解除部2dの下に摺接しながら入り込むとともに、当該フック部3bの先端側のテーパ部3hで前記解除部2dをラッチ片2aの弾性力に抗して押し上げて、
図9Cに示すように、フック部3bが当該解除部2dの前側に形成されたスリット2eに下方から進入し遊嵌される。ラッチ片2aは、押し上げられた上位置から、ラッチ片2aの弾性力で下がり元の位置に復帰する。
【0031】
それと同時に、リアハウジング3の筒本体3eの内側に形成された規制突起3g(
図7A参照)も、フロントハウジング2のリアハウジング用係合凹部2h(
図3A参照)に落とし込まれて係合する。これにより、
図9Cに示すように、リアハウジング3は、フロントハウジング2のガイド用スリット2gの前方規制端面2kに、当該リアハウジング3の位置規制端部3iが当接して、前方の移動が規制され、かつ、規制突起3gの位置規制端面3j(
図8参照)がリアハウジング用係合凹部2hの後方規制部2fに当接して、抜け出しが防止されると共に後方への移動が規制される。こうして、
図9Dもしくは
図10E、
図10Fに示すように、組み立てが完了する。
【0032】
以上のように構成される光コネクタプラグ1の使用において、光コネクタプラグ1を、連結相手部材であるアダプタやレセプタクルに連結・光接続させる方法を説明する。まず、
図1に示す状態、つまり、
図9Dもしくは
図10E、
図10Fに示す組み立てが完了した状態の光コネクタプラグ1をフロントハウジング2の先端部から連結相手部材(図示せず)の嵌合開口部に差込み、解除レバー3aの部分に指を掛けて押し、光コネクタプラグ1を連結相手部材(図示せず)の嵌合部に挿入する。
【0033】
その挿入に伴って、前記フロントハウジング2のラッチ片2aが、連結相手部材の嵌合部に係合して、一旦、ラッチ片2aの弾性力に抗して下に押し下げられることにより、前記ラッチ片2aの一対のロック用係止部2cが連結相手部材の係合部(図示せず)よりも低い位置となる。光コネクタプラグ1を更に挿入すると、一対のロック用係止部2cが連結相手部材の係合部(図示せず)の下側を通過し、前記ラッチ片2aの一対のロック用係止部2cが、ラッチ片2aの弾性力で押し上げられて、連結相手部材の係合部(図示せず)に係合して、光コネクタプラグ1が連結相手部材に連結・光接続され、光コネクタプラグ1が連結相手部材から抜け出ない状態となる。
【0034】
さらに、光コネクタプラグ1の使用において、上記連結相手部材と連結・光接続された後、前記光コネクタプラグ1を、連結相手部材から離脱させる方法としては、まず、上記連結相手部材と連結・光接続された時の光コネクタプラグ1を示す
図11Aの状態から、光コネクタプラグ1における解除レバー3aの摘まみ部3cに指を掛けて、リアハウジング3を後方へ引く。
【0035】
リアハウジング3を後方へ引くと、フロントハウジング2に対してリアハウジング3が後方へ摺動し、
図11Bに示すように、スリット2e内に遊嵌されたフック部3bの後端が、解除部2dの前側に形成された傾斜面2nに係合し、傾斜面2n上を後方に向かって摺動するように、ラッチ片2aの弾性力に抗して該解除部2dを押し下げる。これにより、ラッチ片2aの後端部に形成された左右一対のロック用係止部2cが、連結相手部材の嵌合用係合部(図示せず)から係合解除される。
【0036】
上記のように、解除レバー3aのフック部3bの後方移動により、ラッチ片2aの解除部2dとともにロック用係止部2cを押し下げて、ロック用係止部2cが連結相手部材の嵌合用係合部(図示せず)から係合解除されるので、さらにリアハウジング3を後方へ引くと、連結相手部材から光コネクタプラグ1が離脱される。なお、その際、前記リアハウジング3の後方への移動は、筒本体3eの内側に形成した規制突起3g(
図8参照)が、リアハウジング用係合凹部2hの後方規制部2fに当接して移動停止され規制されるため、リアハウジング3がフロントハウジング2から分離することなく、リアハウジング3とともにフロントハウジング2も一緒に後方へ引かれることによって、光コネクタプラグ1が連結相手部材から離脱されるものである。
【0037】
その後、前記解除レバー3aから指を離すことで、
図11Cから
図11Dにかけて示すように、ラッチ片2aの弾性力により、解除部2dが上がり、この解除部2d前方の傾斜面2nに係合しているフック部3bが、該傾斜面2nによって、スリット2e内で前方に向けて押し出される。
【0038】
こうして、光コネクタプラグ1は、
図11Dに示すように、連結前の元の状態に戻るものである。このように、光コネクタプラグ1を、連結相手部材から離脱させるには、前記リアハウジング3を後方に引くだけでよく、その後方に引く単一の操作によって、離脱させることができる。よって、離脱作業に手間が掛からず、その操作性が向上するものである。
【0039】
また、光コネクタプラグ1の離脱作業が、単一の操作で完了し、極めて容易であることから、意図せずに誤って連結相手部材から離脱させると大きな被害となる場合もある。そこで、離脱することを意図しない場合は、光コネクタプラグと連結相手部材との連結状態を維持し、光コネクタプラグ1を連結相手部材から簡単に離脱させないような構成とすべく対処する必要がある。
【0040】
その対処として、
図12A、
図12Bに示すような、リアハウジング3の後方への移動を阻止する阻止部材7を装着する。該阻止部材7は、図示するように、フロントハウジング2の長手方向の軸線に対して直交する方向から、
図1、
図2に示す溝部5に差し込めるように、一部にスリット7aを有する断面C形の環状筒体に形成されている。
【0041】
一方、
図1、
図2に示すように、フロントハウジング2の後端部には、当該後端部にリアハウジング3を装着し前進させた状態で、当該フロントハウジング2の後側に隣接する位置に、前記リアハウジング3の後方へのスライドを阻止する阻止部材7を装着するための溝部5が設けられている。
【0042】
前記溝部5を形成するために、
図1、
図2に示すように、フロントハウジング2とは別体で、筒状体の後方にフランジを設けたプラグフレーム4が、当該フロントハウジングの後方開口部に挿入・装着され、その一部が係止窓部2i(
図5参照)に係合して固定されている。つまり、溝部5はプラグフレーム4の後部に形成されている。なお、プラグフレーム4は、光ファイバーケーブル(図示せず)を保護したブーツ6を担持する部材である。
【0043】
前記光コネクタプラグ1における溝部5と、前記阻止部材7とにより、
図13Aおよび
図13Bに示すように、光コネクタプラグ1に対して前記阻止部材7を溝部5に差し込んで装着する。これにより、前記阻止部材7の幅部分が介装されて、リアハウジング3がそれ以上後方に移動できなくなる。なお、この阻止部材7を光コネクタプラグ1から撤去するには、専用治具などを使用するものである。
【0044】
また、前記阻止部材7は、予め光コネクタプラグ1に装着しておいて、装着したまま、この光コネクタプラグ1を連結相手部材に嵌合させてもよいし、あるいは、光コネクタプラグ1を連結相手部材に嵌合・連結させた後に、阻止部材7を光コネクタプラグ1の溝部5に装着してもよく、いずれも、任意である。
【0045】
また、
図13A、
図13Bのみならず、
図13C、
図13Dにも示すように、前記阻止部材7を、光コネクタプラグ1に対して、フロントハウジングの長手方向(前後方向)の軸線に対して直交する方向であれば、左側から若しくは右側から、あるいは、下方向から装着することができる。
【0046】
光通信機器に高密度に多数の光コネクタプラグ1を実装する状況においても、実体に応じて操作しやすい方向から阻止部材7を取り付けたり、取り外したりできるものである。なお、多数の光コネクタプラグ1を実装する場合は、多数の阻止部材7の外表面に、色彩の異なる材質を使用することによって、あるいは、色彩を付すことによって、他の阻止部材7と明確に区別できる様にすることが、誤脱を防止する上で好ましいものである。