(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6249387
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】床空調システム
(51)【国際特許分類】
F24D 3/00 20060101AFI20171211BHJP
F24D 3/08 20060101ALI20171211BHJP
F24D 3/16 20060101ALI20171211BHJP
F24D 3/18 20060101ALI20171211BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20171211BHJP
F24J 2/42 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
F24D3/00 R
F24D3/08 G
F24D3/16 Z
F24D3/18
F24F5/00 101A
F24J2/42 N
F24J2/42 P
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-541983(P2017-541983)
(86)(22)【出願日】2017年5月12日
(86)【国際出願番号】JP2017018004
【審査請求日】2017年10月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-95825(P2016-95825)
(32)【優先日】2016年5月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−145042(JP,A)
【文献】
特開2016−186411(JP,A)
【文献】
特開2006−284071(JP,A)
【文献】
特開2013−053800(JP,A)
【文献】
特開2009−216264(JP,A)
【文献】
特開2012−172966(JP,A)
【文献】
特開2015−052434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D1/00−3/18
F24H1/00,1/18−1/20,4/00−4/06
F24F5/00
F24J2/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱集熱装置と、
前記太陽熱集熱装置で加熱する水を貯留する第1タンクと、
ヒートポンプ装置と、
前記ヒートポンプ装置で加熱する水を貯留する第2タンクと、
前記第1タンクの上部と前記第2タンクの底部を接続する接続管と、
床下部に配置するとともに、一方の端部が前記第1タンクに接続する第1管と、
水道源管と第2管の一方の端部と前記第1タンクとに接続する第1方向制御弁と、
前記第2タンクと前記第1管の他端部と前記第2管の他端部とに接続する第2方向制御弁と、を備え、
前記第1方向制御弁と前記第2方向制御弁とを切り替えることにより、前記第1タンクに貯留されている水を、前記第2タンクおよび前記第1管を経由する経路に切り替えて前記第1タンクに供給し、または前記水道源管から供給される水を、前記第2管および前記第1管を経由する経路に切り替えて前記第1タンクに供給することを特徴とする床空調システム。
【請求項2】
前記第1管の一方の端部と前記第1タンクと前記第2タンクとに接続する第3方向制御弁をさらに備え、
前記第3方向制御弁を切り替えることにより、前記第1管の一方の端部を通過する水を、前記第1タンクに供給し、または前記第2タンクに供給することを特徴とする請求項1に記載の床空調システム。
【請求項3】
前記第1方向制御弁、および前記第2方向制御弁に接続された第1制御部を備え、
前記第1制御部は、前記第1タンク、前記第2タンク、前記第1管、および前記第2管を通過する水の流れを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の床空調システム。
【請求項4】
前記第1タンク、および前記第1管の一方の端部に設けられた温度センサと、
前記第3方向制御弁に接続する第2制御部を備え、
前記第2制御部は、前記温度センサの検出値に基づき、前記第1管を通過する水を前記第1タンクに供給する流れ、または前記第2タンクに供給する流れのいずれかに制御することを特徴とする請求項2に記載の床空調システム。
【請求項5】
前記床下部に外気との通気口を設置せず、前記床下部の内部の空気を外部と遮断する、または通気口を開閉可能な構造とし通気口を開閉することにより、密閉状態にすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の床空調システム。
【請求項6】
前記第1管の下に遮熱シートを敷設することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の床空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の床空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽熱等の自然エネルギーを利用した床空調システムについて、様々な装置が考えられている。
【0003】
特許文献1の発明によれば、太陽光の熱エネルギーを蓄えておき、必要なときに取り出すことができ、設置空間を問題としない床暖房システムを提供するため、床板1の下に、べた基礎層2、断熱層92を順に配置し、熱源として太陽熱温水集熱パネル12を屋外に設置し、ポンプ20,23,33で太陽熱温水集熱パネル12の内部とべた基礎層2の内部を温水が循環する熱伝達経路13を備えることによって、べた基礎層2を放熱層として機能させる床暖房システムにおいて、断熱層92の下に蓄熱層5を設け、熱伝達経路13は、太陽熱温水集熱パネル12の内部と蓄熱層5の内部を温水が循環する蓄熱経路16、並びに蓄熱層16の内部とべた基礎層2の内部を温水が循環する放熱経路17を備えることを特徴とする発明が提案されている。
【0004】
特許文献2の発明によれば、石油、ガス、電気等の人口エネルギーの浪費を抑え、太陽熱や地中の地熱を有効に活用して住宅の室温調節を行うための、エネルギーコストが低く構造が簡単な冷暖房装置を提供する事を課題として、建物の室内に取付けた全熱交換型換気扇が吸気した新鮮な外気を、建物の1階床下部に送り込むと共に、1階床下の基礎底盤にはU字形に成形した複数の地中熱回収パイプを埋設し、地中熱回収パイプの一端には送風機を取付け、地中熱回収パイプに吸い込まれた空気は、冬期は地中熱により地中熱回収パイプの中で暖められ、また、夏期は地中熱により地中熱回収パイプの中で冷やされ、1階床下部の空気の温度調整を行い、その温度調整された空気を、給気ダクトを経由して各階の天井内部に供給し、天井に設けたガラリより室内に供給するように構成した発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−216264号公報
【特許文献2】特開2012−172966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、建築構造の複雑化により設備のコストが増加し、上記の特許文献2では、地中熱の利用に力点が置かれており、床の空調に加えて太陽エネルギーの効率的な利用が未だ十分ではなかった。本発明は、エネルギーコストが低く、構造が簡単な床空調システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、床空調システムであって、太陽熱集熱装置と、太陽熱集熱装置で加熱された水を貯留する第1タンクと、ヒートポンプ装置と、ヒートポンプ装置で加熱された水を貯留する第2タンクと、第1タンクの上部と第2タンクの底部を接続する接続管と、床下部に配置するとともに、一方の端部が前記第1タンクに接続する第1管と、水道源管と第2管の一方の端部と第1タンクとに接続する第1方向制御弁と、第2タンクと第1管の他端部と前記第2管の他端部とに接続する第2方向制御弁を備え、第1方向制御弁と第2方向制御弁とを切り替えることにより、第1タンクに貯留されている水を、第2タンクおよび第1管を経由する経路に切り替えて第1タンクに供給し、または水道源管から供給される水を、第2管および第1管を経由する経路に切り替えて第1タンクに供給することを特徴とする。
【0008】
夏期における床空調について説明する。夏期においては、第1方向制御弁と第2方向制御弁を切り替えることによって、水道源管から供給される水は、第2管および第1管を経由する経路に切り替えて第1タンクに至る経路が形成される。これにより、第2タンクに貯留されている温水を給湯すると、温度の低い水道水が第1管に供給される。温度の低い水道水は、床下部の内部空間の蓄熱された空気と熱交換されて、床下部の内部空間の温度が低下し、一方、水道水の温度が上昇する。この温度の上昇した水道水が第1タンクに供給される。その結果、第1タンクの上部に滞留している温水が接続管を経由して第2タンクに供給される。このように、床下部は水道源管から供給される水道水で空調ができるとともに、第2タンクには相対的に温度の高い温水が供給されるため、夏季における床空調を効率的に行うことができ、エネルギーコストを低くすることができる。
【0009】
冬期における床空調について説明する。第1タンクは、内部に充填した水で満たされており、太陽熱集熱装置で加熱された温水が上方に滞留した状態となっている。また、第2タンクは、ヒートポンプ装置で加熱されて、ほぼ一定温度となった温水で満たされている。冬期においては、第1方向制御弁と第2方向制御弁を切り替えることによって、第1タンクに貯留されている水は、第2タンク、第1管を経由して第1タンクに至る経路が形成される。すなわち水が循環する経路が形成される。床空調システムを稼働すると、第2タンクに貯留されている温水は第1管に供給される。温水は、床下部の内部空間の空気と熱交換されて、床下部の内部空間の温度が上昇し、一方、温水の温度は低下する。この温度の低下した温水が第1タンクに還流する。太陽熱集熱装置で加熱された第1タンク内の水は、上部に温水が下部に相対的に比重が大きい温度の低い水が滞留している。温度が低下した温水が第1タンクに還流すると、第1タンクの上部に滞留している温水が接続管を経由して第2タンクに供給される。このように、第2タンクには相対的に温度の高い温水が供給されることによりヒートポンプ装置の稼働を低減するので、冬期におけるエネルギーコストを低くすることができる。
【0010】
また、この構成によれば、床空調システムは、太陽熱集熱装置と、太陽熱集熱装置で加熱された水を貯留する第1タンクと、ヒートポンプ装置と、ヒートポンプ装置で加熱された水を貯留する第2タンクと、第1タンクの上部と第2タンクの底部を接続する接続管と、床下に配置するとともに、一方の端部が前記第1タンクに接続する第1管と、水道源管と第2管の一方の端部と第1タンクとに接続する第1方向制御弁と、第2タンクと第1管の他端部と前記第2管の他端部とに接続する第2方向制御弁を備え、第1方向制御弁と第2方向制御弁とを切り替えることにより、第1タンクに貯留されている水を、第2タンクおよび第1管を経由する経路に切り替えて第1タンクに供給し、または水道源管から供給される水を、第2管および第1管を経由する経路に切り替えて第1タンクに供給しているので、構造が簡単な床空調システムを提供することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の床空調システムにおいて、第1管の一方の端部と第1タンクと第2タンクに接続する第3方向制御弁をさらに備え、第3方向制御弁を切り替えることにより、第1管の一方の端部を通過する水を、第1タンクに供給し、または第2タンクに供給することを特徴とする
【0012】
この構成によれば、第1管の一方の端部と第1タンクと第2タンクに接続する第3方向制御弁をさらに備え、第3方向制御弁を切り替えることにより、第1管の一方の端部を通過する水を、第1タンク、または第2タンクのいずれかに供給することができるので、第1タンク上部に滞留している水の温度が、第1管の一方の端部を通過する水の温度に比べて低い場合は第2タンクに給水し、高い場合は第1タンクに供給することができる。これにより、相対的に温度が高い水を第2タンクに供給することができる。その結果、ヒートポンプ装置の稼働をより一層低減するので、より一層エネルギーコストを低減できる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の床空調システムにおいて、第1方向制御弁、および第2方向制御弁に接続された第1制御部を備え、第1制御部は、第1タンク、第2タンク、第1管、および第2管を通過する水の流れを制御することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、第1方向制御弁、および第2方向制御弁に接続された第1制御部を備えることにより、第1タンク、第2タンク、第1管、および第2管を通過する水の流れを制御するので、冬期および夏期における床空調システムに用いる経路を簡単に構成することができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の床空調システムにおいて、第1タンク、第2タンク、および第1管の一方の端部に設けられた温度センサと、第3方向制御弁に接続された第2制御部を備え、第2制御部は、温度センサの検出値に基づき、第1管を通過する水を第1タンクに供給する流れ、または前記第2タンクに供給する流れにすることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、第1タンク、第2タンク、および第1管の一方の端部に設けられた温度センサと、第3方向制御弁に接続された第2制御部を備え、第2制御部は、温度センサの検出値に基づき、第1管を通過する水を第1タンクに供給する流れ、または前記第2タンクに供給する流れのいずれかに制御するので、エネルギーコストを低減できる床空調システムを、自動的に動作することができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の床空調システムにおいて、床下部に外気との通気口を設置せず、床下部内部の空気を外部と遮断する、または通気口を開閉可能な構造とし通気口を開閉することにより、密閉状態にすることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、床下部に外部との通気口を設置せず、床下部内部の空気を外気と遮断する、または通気口を開閉可能な構造とし通気口を閉鎖することにより、外気が床下部に直接流入しないような密封状態とすることとなり、太陽エネルギーによる床空調が効率的になる。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の床空調システムにおいて、第1管の下に遮熱シートを敷設することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、第1管の下に遮熱シートが敷設されているので、第1管からの熱の逃散を防止でき、床空調を効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態の床空調システムのブロック図である。
【
図2】本実施形態の床空調システムの夏期の動作図である。
【
図3】本実施形態の床空調システムの冬期の動作図である。
【
図4】冬期において、風呂に給湯したときの動作図である。
【
図5】第1、2タンクに貯留している水の加熱状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0023】
図1に示すように、床空調システム1は、水道水を供給する水道源管100と、太陽熱集熱装置2と、太陽熱集熱装置2で加熱した温水を貯留する第1タンク3と、ヒートポンプ装置5と、ヒートポンプ装置5で加熱した温水を貯留する第2タンク4と、第1タンク3に貯留された温水を第2タンク4に供給する接続管p1と、床下部9に設けられた第1管6と、これら第1タンク3、第2タンク4、ヒートポンプ装置5、および第1管6間に接続された配管p2、p3、p4、p5、p6と、配管中の流れを切り替える第1方向制御弁71と、第2方向制御弁72と、第3方向制御弁73と、これら3つの弁を制御する第1制御部81と、第2制御部82と温度センサ32、62とから構成されている。これにより、床下部9の内部の温度を温水、または水によって調温することが可能となる。
【0024】
第1タンク3は水道源管100から供給される水で満水状態となっている。また、第2タンク4は第1タンク3の上部と第2タンク4の底部を接続する接続管p1から供給される水で、第1タンク3と同様に満水状態となっている。
【0025】
太陽熱集熱装置2は、太陽熱集熱器21と、熱交換器22と、集熱ポンプ24が、配管26、27、28によって直列に接続された閉回路である。熱交換器22は、第1タンク3の内部に設けられている。集熱ポンプ24を稼働すると、太陽熱集熱器21と熱交換器22の間で熱媒体が循環する。太陽熱集熱器21へ流入した熱媒体は、太陽熱集熱器21を通過する間に太陽熱によって加熱され、熱交換器22に送られる。熱交換器22に流入した熱媒体は熱交換され温度が低下し、一方、第1タンク3に満水状態で貯留されている水は加熱される。温度低下した熱媒体は、再び太陽熱集熱器21に送られて加熱される。
【0026】
加熱された水は、周囲の水に比べ比重が小さいので、上昇し上部に滞留する。その結果、第1タンク3に貯留されている水は、加熱されて温度が上昇した水が上部に滞留した状態となる(
図5参照)。
【0027】
ヒートポンプ装置5は、図示していないが、冷媒を圧縮するインバータモータ駆動の圧縮機、圧縮された高温の冷媒と熱交換して水を加熱する冷媒−水熱交換器、冷媒−水熱交換器で凝縮された冷媒を周囲空気の熱により蒸発させる蒸発器、蒸発器に設けられたモータ駆動の送風ファン、膨張弁などで構成されている。ヒートポンプ装置5と、循環ポンプ56と、第2タンク4は、ヒートポンプ管52、53、54によって直列に接続された閉回路を構成している。循環ポンプ56を稼働すると、第2タンク4に貯留されている水は、ヒートポンプ管54、53を経由してヒートポンプ装置5で加熱され、加熱された水はヒートポンプ管52を経由して第2タンク4の内部に戻ってくる。この加熱循環サイクルによって、第2タンク4に貯留されている水は均一に加熱された状態となる。
【0028】
太陽熱集熱装置2にヒートポンプ装置5を組み合わせることにより年間エネルギー消費効率を大幅に向上することができる。
【0029】
また、第1タンク3の内部に発熱体(図示略)を設け、深夜電力を利用して発熱体を通電し、貯留されている水を加熱してもよい。これにより、天候不良等に起因して太陽熱集熱装置2を稼働しても、第1タンク3の内部に貯留されている水を十分に加熱できない場合でも、深夜の安い電気料金で、加熱することができる。
【0030】
床下部9は、図示していないが、基礎と、床と、内部空間で構成され、内部空間は密閉されている。内側の側壁にはウレタン発泡体の吹き付け工事等による断熱部材が設けられている。
【0031】
床下部9の基礎は、建物外部の空気が流入しないように外部との通気口を設置せず、内部空間の空気を外気と遮断し密封状態とする。床下部9を温度調整槽として利用するため、外気が床下部9に直接流入しないように床下部9の内部空間が密封状態となるように構成される。
【0032】
一般住宅の床下の基礎部、例えば、布基礎においては、床下部9の湿気を防ぐために外部と通気が良い構造とし、通気口を開閉可能な構造とし、通気口を閉鎖することで、前記と同様の効果を得られる。
【0033】
第1管6は、床下部9の内部を蛇行するように配置されている。第1管6を通過する水は第3方向制御弁73を経由して第1タンク3、または第2タンク4に供給される。また、第1管6の下には遮熱シート11が敷設されている。遮熱シート11は断熱性を有するシートであり、例えば、アルミニウムシートであることが好ましい。
【0034】
また、第1管6に、循環ポンプ64が設けられている。これにより、第2タンク4から供給される温水を、第1管6を経由して第2タンク4に安定した状態で循環することができる。
【0035】
第2管8は、一方の端部は第1方向制御弁71に、他端部は第2方向制御弁72に接続しており、第1方向制御弁71を切り替えることにより、水道源管100から供給される水道水は、第2管8を経由して第2方向制御弁72に供給される。
【0036】
第1方向制御弁71は三方弁であり、水道水を供給する水道源管100と、第1タンク3に接続する配管p5と、一方の端部が第2方向制御弁72に接続する第2管8に接続している。第1方向制御弁71は、切り替えることにより、水道源管100から供給される水道水を、配管p5、または第2管8のいずれかに供給することができる。
【0037】
配管p5は、相対的に温度の低い水が滞留している第1タンク3の底部に接続することが好ましい。これにより、第1タンク3内部の上方に滞留している温水との混合を回避することができる。
【0038】
第2方向制御弁72は三方弁であり、第2タンク4から供給される温水を供給する配管p2と、水道源管100から供給される水道水を供給する第2管8と、第1管6の他端部6bに接続している。第2方向制御弁72は、切り替えることにより、配管p2から供給される温水、または第2管8から供給される水道水のいずれかを第1管6に供給することができる。
【0039】
第3方向制御弁73は三方弁であり、第1管6の一方の端部6aと、第1タンク3に接続する配管p3と、第2タンク4に接続する配管p4に接続している。第3方向制御弁73は、切り替えることにより、第1管6から供給される水道水もしくは温水を、配管p3、または配管p4のいずれかに供給することができる。
【0040】
配管p3、p4は、第1タンク3、第2タンク4の底部に接続することが好ましい。これにより、第1タンク3、第2タンク4の上方に滞留している温水との混合を回避することができる。
【0041】
第1制御部81は、第1方向制御弁71、および第2方向制御弁72の切り替えを制御するものであり、電子的制御、機械的制御のいずれでもよい。
【0042】
夏期において、床の冷却が必要と認められるときは、第1制御部81を操作して、第1方向制御弁71、第2方向制御弁72を切り替え、水道源管100から供給される水が第2管8、第1管6を通過する経路を形成する。風呂10に、第2タンク4に接続された配管p6を経由して給湯した場合、水道源管100から温度の低い水道水が供給され、第2管8、第1管6を経由して第1タンク3の底部または第2タンク4に供給される。第1管6に供給される温度の低い水道水が、床下部9の内部空間に蓄熱された空気と熱交換されて床下部9の温度が低下し、一方、水道水の温度が上昇する。
【0043】
冬期において、床の暖房が必要と認められるときは、第1制御部81を操作して、第1方向制御弁71、第2方向制御弁72を切り替え、第2タンク4から供給される温水が、第1管6を経由して第2タンク4に循環する経路を形成する。同時に、循環ポンプ64を始動させる。これにより、第1管6に供給される温水が、床下部9の内部空間の空気と熱交換されて、床下部9の内部空間の温度が上昇し、一方、温水の温度が低下する。
【0044】
第2制御部82は、第1タンク3の内部に設けられた温度センサ32、および第1管6の一方の端部6aに設けられた温度センサ62の検出値に基づき第3方向制御弁73の切り替えを制御するものであり、電子的制御、機械的制御のいずれでもよい。
【0045】
温度センサ62の検出値が、所定のしきい値、例えば、温度センサ32の検出値よりも小さい場合、第3方向制御弁73を切り替えて、第1管6を通過する温水または水道水を、配管p3を経由して第1タンク3に供給する。これにより、第1タンク3の上方に滞留しているより高い温度の温水が接続管p1を経由して第2タンク4に供給される。また、温度センサ62の検出値が、所定のしきい値、例えば、温度センサ32の検出値を上回る場合、第3方向制御弁73を切り替えて、第1管6を通過する温水または水道水を、配管p4を経由して第2タンク4に供給する。これにより、第1タンク3の上方に滞留している温水よりも高い温度の温水または水道水が配管p4を経由して第2タンク4に供給される。これにより、夏期における床空調を効率的に行うことができる。
【0046】
夏期における床空調システム1の動作について、
図2を参照しながら説明する。
【0047】
夏期において、床の冷却が必要と認められるときは、第1制御部81を操作して、第1方向制御弁71と第2方向制御弁72を切り替える。これにより、水道源管100から供給される水が、第2管8、第1管6を経由して、第1タンク3に至る経路が形成される。すなわち、第2タンク4に貯留されている水を風呂10に給湯することによって、第1管6に温度の低い水道水が流れる経路が形成されている。第2タンク内の温水を風呂10に給湯すると、温度の低い水道水が第1管6に供給される。温度の低い水道水が床下部9の内部空間の蓄熱された空気と熱交換されて、床下部9の内部空間の温度が低下し、一方、水道水の温度が上昇する。
【0048】
また、第2制御部82を動作して、第3方向制御弁73を切り替える。温度センサ62の検出値が、温度センサ32の検出値よりも小さい場合、第1管6を通過する温水または水道水を、配管p3を経由して第1タンク3に供給する経路に切り替える。これにより、第1タンク3の上方に滞留しているより高い温度の温水が接続管p1を経由して第2タンク4に供給される。温度センサ62の検出値が、温度センサ32の検出値を上回る場合、第1管6を通過する温水または水道水を、配管p4を経由して第2タンク4に供給する経路に切り替える。これにより、第1タンク3の上方に滞留している温水よりも高い温度の温水または水道水が配管p4を経由して第2タンク4に供給される。これにより、風呂10への給湯を効率的に行うことができる。
【0049】
冬期における床空調システム1の動作について、
図3を参照しながら説明する。
【0050】
第2タンク4の内部は、ヒートポンプ装置5で加熱されて、ほぼ一定温度となった温水で満たされている。冬期において、床の暖房が必要と認められるときは、第1制御部81を操作して、第1方向制御弁71と第2方向制御弁72を切り替える。これにより、第2タンク4に貯留されている温水が、配管p2、第1管6を経由する経路が形成される。循環ポンプ64を動作すると、第2タンク4に貯留されている温水が第1管6を通過する。この過程で、床下部9の内部空間の空気が熱交換されて、床下部9の内部空間の温度が上昇し、一方、第1管内の温水の温度は低下する。
【0051】
また、第2制御部82を動作して、第3方向制御弁73を切り替える。温度センサ62の検出値が、温度センサ32の検出値よりも小さい場合、第1管6を通過する温水を、配管p3を経由して第1タンク3に供給する経路に切り替える。これにより、第2タンク4の内部に貯留されている温水は、第1管6、第1タンク3を経由して再び第2タンク4に還流する循環経路が形成される。また、第1タンク3の上方に滞留しているより高い温度の温水が接続管p1を経由して第2タンク4に供給される。温度センサ62の検出値が、温度センサ32の検出値を上回る場合、第1管6を通過する温水を、配管p4を経由して第2タンク4に供給する経路に切り替える。これにより、第2タンク4の内部に貯留されている温水は、第1管6を経由して再び第2タンク4に還流する循環経路が形成される。また、第1タンク3の上方に滞留している温水よりも高い温度の温水が配管p4を経由して第2タンク4に供給される。これにより、冬期における床空調を効率的に行うことができる。
【0052】
図4に示すように、風呂10への給湯を行う場合は、水道源管100から水道水が配管p5を経由して第1タンク3に供給される。同時に、第1タンク3の上方に滞留している温水が接続管p1を経由して第2タンク4の底部に供給される。これにより、水道水よりも高温の温水が、第2タンク4に供給されるので、風呂10への給湯を効率的に行うことができる。
【0053】
以上、本実施形態に基づいて、本発明に係る床空調システムについて詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
床下部9の空調を省エネルギーで提供でき、その産業上の利用価値は大である。
【符号の説明】
【0055】
1 :床空調システム
2 :太陽熱集熱装置
3 :第1タンク
4 :第2タンク
5 :ヒートポンプ装置
6 :第1管
8 :第2管
9 :床下部
11 :遮熱シート
32 :温度センサ
62 :温度センサ
71 :第1方向制御弁
72 :第2方向制御弁
73 :第3方向制御弁
81 :第1制御部
82 :第2制御部
100 :水道源管
p1 :接続管
【要約】
エネルギーコストが低く、構造が簡単な床空調システムを提供する。
床空調システム1は、太陽熱集熱装置2と、太陽熱集積装置2で加熱する水を貯留する第1タンク3と、ヒートポンプ装置5と、ヒートポンプ装置5で加熱する水を貯留する第2タンク4と、第1タンク3の上部と第2タンクの底部を接続する接続管p1と、床下部9に配置した第1管6と、水道源管100と第2管8と第1タンク3に接続する第1方向制御弁71と、第2タンク4と第1管6と第2管8に接続する第2方向制御弁72と、第1管6と配管p3、4に接続する第3方向制御弁73を備え、第1方向制御弁71と第2方向制御弁72と第3方向制御弁73を切り替えることにより、第1タンク3に貯留されている水を、第1管6を経由して第1タンク3もしくは第2タンク4に供給し、または水道源管100から供給される水を、第1管6を経由して第1タンク3もしくは第2タンク4に供給する。