特許第6249392号(P6249392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6249392-電子装置およびその製造方法 図000002
  • 特許6249392-電子装置およびその製造方法 図000003
  • 特許6249392-電子装置およびその製造方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249392
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】電子装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/00 20060101AFI20171211BHJP
   H01C 1/01 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H05K5/00 B
   H01C1/01 R
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-138709(P2013-138709)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-12254(P2015-12254A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】荒川 良平
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−107167(JP,U)
【文献】 実開昭52−2226(JP,U)
【文献】 特開平9−153684(JP,A)
【文献】 特開2000−228303(JP,A)
【文献】 特開2001−284882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00 − 5/06
H01C 1/00 − 1/16
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された回路基板をケーシング内に収納した状態で樹脂を流し込み、電子部品と共に回路基板を樹脂で封止した電子装置であって、電子部品として半固定抵抗器を備えたものにおいて、上記半固定抵抗器は回路基板に実装された状態で上面に調節用の回転部が露出した状態で備えられており、上記ケーシングに充填された樹脂の表面の高さが半固定抵抗器の上面より低く、かつ、半固定抵抗器の上面に露出している回転部がポッティングに使用された樹脂と同じ樹脂で回り止めされたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
上記回路基板には側面に露出する調節用の回転部を備えた半固定抵抗器が実装され、この回転部に接触する位置まで上記ケーシングに樹脂を充填して、充填された樹脂でこの側面に露出している回転部の回り止めを行うことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
電子部品が実装された回路基板をケーシング内に収納した状態で樹脂を注入ノズルから流し込み、電子部品と共に回路基板を樹脂で封止する電子装置の製造方法であって、電子部品として半固定抵抗器を備えたものにおいて、上記半固定抵抗器は回路基板に実装された状態で上面に調節用の回転部が露出した状態で備えられており、この回転部を避けて樹脂を回路基板上に必要量充填し、その充填が終了した後に、注入ノズルを半固定抵抗器の上方に移動させ、ノズルから回転部に樹脂を滴下させ、この半固定抵抗器の上面に露出している回転部の回り止めを行うことを特徴とする電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシングに収納した回路基板を樹脂でポッティングした電子装置とその電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が実装された回路基板をケーシング内に収納し、さらに樹脂を注入して回路基板や電子部品を樹脂で封止するポッティングが行われている(例えば、特許文献1参照)。このようなポッティングでは、樹脂のコストを低減するため、樹脂の注入量を必要最小限にすることが要求される。従って、回路基板上に実装されている電子部品が樹脂に覆われるために必要最小限の量の樹脂を注入する。ただし、電解コンデンサのように実装された状態で他の電子部品より背が高くなり、かつ、電解コンデンサ自身が外部に対してシールドされているような場合には、電解コンデンサの全体が樹脂で覆われる必要がないので、充填後の樹脂の表面から電解コンデンサが突出している。
【0003】
一方、電子部品として半固定抵抗器のように、ポッティング前に、基板に実装された状態で調節のための回転部を回転させて個別に回転部の位相を変更する必要のある電子部品が存在する。このような半固定抵抗器では回転部が上面にある場合、ポッティング後に回転部の位相が変更されないように、半固定抵抗器の全体が樹脂に埋没するまで樹脂を充填することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−153684号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、半固定抵抗器は他の電子部品より背が高い場合が多く、半固定抵抗器が完全に埋没するまで樹脂を充填すると樹脂の充填量が多くなり、樹脂のコストが高くなるという弊害が生じる。
【0006】
なお、半固定抵抗器の上面が露出する量の樹脂を充填し、樹脂が硬化した後に個別に回転部に接着剤などを塗布して回転部の回り止めをすることも考えられるが、回り止め用の接着剤を塗布する工程を別途設けなければならず、さらに接着剤が硬化するまで次の工程に流せないという不具合が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、上記のような不具合が生じない電子部品およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による電子装置は、電子部品が実装された回路基板をケーシング内に収納した状態で樹脂を流し込み、電子部品と共に回路基板を樹脂で封止した電子装置であって、電子部品として半固定抵抗器を備えたものにおいて、上記半固定抵抗器は回路基板に実装された状態で上面に調節用の回転部が露出した状態で備えられており、上記ケーシングに充填された樹脂の表面の高さが半固定抵抗器の上面より低く、かつ、半固定抵抗器の上面に露出している回転部がポッティングに使用された樹脂と同じ樹脂で回り止めされたことを特徴とする。
【0009】
充填された樹脂の表面の高さが半固定抵抗器の高さより低いので、樹脂の充填量が削減できる。ただし、そのままでは半固定抵抗器の上面の回転部の回り止めができないので、充填された樹脂と同じ樹脂で回り止めすることにより、別材料である接着剤などを用いる必要がない。
【0010】
なお、上記回路基板には側面に露出する調節用の回転部を備えた半固定抵抗器が実装されている場合には、この回転部に接触する位置まで上記ケーシングに樹脂を充填して、充填された樹脂でこの側面に露出している回転部の回り止めを行うことができる。
【0011】
また、上記課題を解決するために本発明による電子装置の製造方法は、電子部品が実装された回路基板をケーシング内に収納した状態で樹脂を注入ノズルから流し込み、電子部品と共に回路基板を樹脂で封止する電子装置の製造方法であって、電子部品として半固定抵抗器を備えたものにおいて、上記半固定抵抗器は回路基板に実装された状態で上面に調節用の回転部が露出した状態で備えられており、この回転部を避けて樹脂を回路基板上に必要量充填し、その充填が終了した後に、注入ノズルを半固定抵抗器の上方に移動させ、ノズルから回転部に樹脂を滴下させ、この半固定抵抗器の上面に露出している回転部の回り止めを行うことを特徴とする。
【0012】
ケーシングに樹脂を充填した後で、連続して半固定抵抗器の上面の回転部に対して樹脂を滴下させることにより、回転部の回り止め用に別途工程を設ける必要がなく、また充填した樹脂を硬化させる工程で同時に回転部に滴下した樹脂を硬化させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、ケーシングに対して必要最小限の樹脂を充填し、かつその樹脂の表面より高い位置にある半固定抵抗器の回転部の回り止めを、樹脂以外の別材料などを用いた別途の工程を設けることなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】回路基板をケーシングにセットする状態を示す図
図2】樹脂を充填するノズルの移動状態を示す図
図3】樹脂を充填した後の状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は回路基板であり、その上面には各種の電子部品の他、半固定抵抗器3、4が実装されている。なお、以降の説明の理解を容易にするため、半固定抵抗器3、4以外の電子部品の描画を省略した。
【0016】
半固定抵抗器3は上面に回転部31を有しており、半固定抵抗器4は回路基板1の外側に面した側面に回転部41を備えている。そして、これら半固定抵抗器3、4は回路基板1に他の電子部品と共に実装された後、別途の検査工程によって検査される際に、各回転部31、41が自動回転装置によって回転され適宜の抵抗値に調節される。調節が終了した回路基板1は図1に示すように、ケーシング2内にセットされる。
【0017】
図2を参照して、上述のように、回路基板1がケーシング2内にセットされると、ポッティング用の樹脂、例えばウレタン樹脂Rを吐出するノズル5をケーシング1の上方に移動させ、ノズル5から樹脂Rを吐出してケーシング2内に充填することによりポッティングを行う。
【0018】
樹脂Rの充填を開始する際には、ノズル5を半固定抵抗器3、4が実装されていない位置の上方に位置させ、吐出した樹脂Rが半固定抵抗器3の回転部31にかからないようにする。ノズル5をその位置に停止させた状態で必要な量の樹脂Rを充填する。充填が終了した際には半固定抵抗器3の上面は樹脂Rから露出している。
【0019】
そこで、次にノズル5を順次51〜55に示す位置に移動させ、各半固定抵抗器3の上面に樹脂Rを滴下させ、半固定抵抗器3の上面の回転部31に樹脂Rを載せるようにした。
【0020】
図3を参照して、回転部31に樹脂Rが載せられた状態で樹脂Rを硬化させれば回転部31の回り止めを樹脂Rによって行うことができる。なお、半固定抵抗器4は回転部41が側面に設けられているので、充填した樹脂Rが回転部41に接触するので、充填した樹脂Rによって回転止めが行われる。
【0021】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0022】
1 回路基板
2 ケーシング
3 半固定抵抗器
31 回転部
4 半固定抵抗器
41 回転部
5 ノズル
図1
図2
図3