(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電子機器の小型高密度実装化に対応し、それらに用いられる電源素子としての電気化学セルに対しても小型化、薄型化及び軽量化が求められている。特に回路基板上に直接実装される電気化学セルにおいては機器回路と電気的接続をするための正負極一対のリード端子をセル本体に溶接等で固着して設置されたものが用いられるのが一般的であり、これらの端子を加えた全体の小型化、実装面積の低減化が検討されている。
従来技術には、回路基板への実装時に回路基板の表面に対向して配置される側となるセル面Aに予め設置されるリード端子Aが、電気化学セルの外周が内接する四角形より小さく、かつその略内側に設置され、回路基板の表面の反対側となるセル面Bに設置されるもう一方のリード端子Bも前記内接四角形の略四角形内に設置されているものがある(例えば特許文献1参照。)。これにより、実装面積を低減することができる。
【0003】
従来、この種の平面実装タイプのリード端子付き電気化学セルでは、コイン形の電気化学セルを例に示すと、
図12に示すような構造をしていた(なお、平面図は
図1と略同様のものになる)。
図12において、電気化学セル20は、一方に円形開口を有する有底円筒状のセルケース21と、このセルケース21の円形開口を塞ぐセルフタ22とを有している。このセルケース21とセルフタ22との内部に正負一対の電極や電解質等からなる電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学セルの発電要素又は蓄電要素が内蔵されている。セルケース21とセルフタ22との間にはプラスチック製のガスケット23が挟み混まれ、セルケース21の円形開口の開口縁部を内側に折り曲げカシメることによって密封封止されている。
【0004】
通常、セルケース21側に正極、セルフタ22側に負極が内蔵され、それぞれ正極、負極の極性を形成している。リード端子30は、電気化学セル20の実装時に回路基板70の反対側に配置されるセルケース21に一端が溶接される反対面リード端子40と、電気化学セル20の実装時に回路基板70に対向する側に配置されるセルフタ22に一端が溶接される対向面リード端子60とがある。
【0005】
リード端子30(反対面リード端子40及び対向面リード端子60)は、電気化学セル20に溶接される溶接部31と、溶接部31から折曲され回路基板70側に延設される延設部32と、延設部32から回路基板70にハンダ付けにより接続される接続部33とを備えている。
反対面リード端子40は、セルケース21に溶接される反対面溶接部41と、この反対面溶接部41から回路基板70側に延設される反対面延設部42と、この反対面延設部42から回路基板70のハンダ付けされる面(以下、「ハンダ面71」とする。)にハンダ付けされる反対面接続部43とを備えている。
【0006】
同様に、対向面リード端子60は、セルフタ22に溶接される対向面溶接部61と、この対向面溶接部61から回路基板70側に延設される対向面延設部62と、この対向面延設部62からハンダ面71にハンダ付けされる対向面接続部63とを備えている。
この反対面接続部43と対向面接続部63との回路基板70側の面は、同一高さの同一平面上に配置されると共に、リード端子付き電気化学セル10を回路基板70に実装する際には、ハンダ面71に対して平行な面となるように加工されている。
このように形成されたリード端子付き電気化学セル10は、回路基板70の所定の接続位置に載置され、ハンダ層が設けられた反対面接続部43及び対向面接続部63が回路基板70のハンダ面71にハンダ付けされることにより回路基板70に固定実装される。
【0007】
また、反対面リード端子40と対向面リード端子60との電気化学セル20への取り付け方向は、
図12に示すような反対方向になっているもの以外に、
図13(A)(B)に示すように反対面リード端子40と対向面リード端子60とが同一方向に配置される場合もある。
図13(A)(B)に示すような反対面リード端子40の反対面接続部43と対向面リード端子60の対向面接続部63とが同一方向を向いているタイプでは、電気化学セル20の厚さやリード端子30の寸法のばらつきにより、反対面接続部43と対向面接続部63との位置に段差が生じ易く、ハンダ面71に一方の端子のみが接触し、他方の端子が接触せず、ハンダ付け不良が生じ易い。このため、
図12に示すような反対面接続部43と対向面接続部63とがそれぞれ反対向きのタイプが、リード端子付き電気化学セル10の主流となっている。このタイプでは、反対面接続部43と対向面接続部63との高さ位置に多少のズレがあっても、リード端子付き電気化学セル10の全体の傾きで吸収される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術では、
図12に示すように、回路基板70のハンダ面71と、ハンダ付けして設置するリード端子30(たとえば反対面接続部43)の面はセルと端子との接触面に平行(すなわち、ハンダ面71に平行)であり、かつ平面形状であった。
このため、反対面接続部43と対向面接続部63との高さ位置にズレがなく、さらに回路基板70に実装する際にその接触面の全体に適正なハンダ塗布量で均一に塗布されている場合には、ハンダ付けにより接触面全面が溶着され良好な溶着状態となる。
しかし、ハンダ面71と反対面接続部43の面とは、両方とも平面形状であるため、反対面接続部43とハンダ面71との間にハンダを溜めて保持するような部分が無い。このため、適正なハンダ塗布量を常に維持することは容易ではなく、リード端子30毎にハンダ塗布量のばらつきが発生し易い。
【0010】
また、ハンダが反対面接続部43の前記接触面の全体にわたって均一に塗布されずに場所によってハンダの塗りムラがある場合には良好な溶着箇所の位置と良好でない溶着箇所の位置が塗りムラの位置によって種々変動する(ばらつく)。
結果として、ハンダ付けとして必要な諸性能(例えば強度等)にばらつきが発生し、リード端子付き電気化学セル10を回路基板70に実装するときの当該回路基板70の製造歩留を低下させるという問題点があった。
【0011】
また、従来技術では、上述したように、電気化学セル20を大量生産する際、電気化学セル20の厚みや各リード端子30の長さ等にばらつきが生じた場合、正極側のリード端子(たとえば反対面リード端子40)と負極側のリード端子(たとえば対向面リード端子60)とにおいて、ハンダ面71からの距離に差が生じる場合があった。
具体的には、
図14(A)に示すように、反対面接続部43と、対向面接続部63との高さ位置にズレがない場合に、反対面リード端子40と対向面リード端子60との両方のリード端子30を回路基板70のハンダ面71に接地させようとすると、反対面接続部43は矢印Cの位置となる。反対面接続部43が矢印Cの位置にある場合には、リード端子付き電気化学セル10は傾かず、
図14(C)に示すように反対面接続部43はハンダ面71に沿って平行に配置される。加熱されてリフローハンダ付け実施後は、
図14(F)に示すように反対面接続部43の回路基板70側の略全面が溶着金属35によりハンダ面71に溶着される。
【0012】
一方、反対面接続部43が
図14(A)の矢印Bの位置にあって、反対面延設部42が矢印Cの位置にある場合よりも短くなるような場合に、反対面リード端子40と対向面リード端子60との両方のリード端子30を回路基板70のハンダ面71に接地させようとすると、リード端子付き電気化学セル10は傾き、
図14(B)に示すように反対面接続部43の先端側が回路基板70のハンダ面71に当接する。加熱されてリフローハンダ付け実施後は、
図14(E)に示すように当該先端が溶着金属35によりハンダ面71に溶着される。
【0013】
また、反対面接続部43が
図14(A)の矢印Dの位置にあって、反対面延設部42が矢印Cの位置にある場合よりも長くなるような場合に、反対面リード端子40と対向面リード端子60との両方のリード端子30を回路基板70のハンダ面71に接地させようとすると、リード端子付き電気化学セル10は傾き、
図14(D)に示すように反対面接続部43の基端側(反対面延設部42側)が回路基板70のハンダ面71に当接する。加熱されてリフローハンダ付け実施後は、
図14(G)に示すように反対面接続部43の基端側が溶着金属35によりハンダ面71に溶着される。
【0014】
結果として、正極側と負極側との両方のリード端子30(反対面リード端子40及び対向面リード端子60)を回路基板70のハンダ面71に接地させようとすると、リード端子30の反対面接続部43の先端側や基端側がハンダ面71に接触することで、リード端子付き電気化学セル10の全体が
図14(B)(C)(D)のように種々の方向に傾くこととなり、
図14(E)(F)(G)に示すようにハンダ付けされる溶着箇所の発生位置や発生形態にばらつきが発生してハンダ付けの溶着性能のばらつきを増大させ、結果としてリード端子付き電気化学セル10を回路基板70に実装するときの当該回路基板70の製造歩留を低下させるという問題点があった。また、これは、反対面溶接部41及び反対面延設部42の角度と、反対面延設部42及び反対面接続部43の角度とのいずれかが直角でない場合にも生じる問題点であった。
【0015】
上記の問題点に鑑み、本願における発明は、確実にハンダ付けをすることができ、回路基板への実装時(ハンダ付け時)のハンダ付けのばらつきを抑えることができ、リード端子付き電気化学セルを実装する回路基板の製造歩留の低下を抑えることが可能なリード端子付き電気化学セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、回路基板70へ実装され、板状の表裏面のいずれか一方側に正極、他方側に負極を有する電気化学セル20と、前記電気化学セル20の正極側及び負極側の各々から前記回路基板70へ接続されるリード端子30とを有するリード端子付き電気化学セル10において、前記リード端子30は、前記電気化学セル20に溶接される溶接部31と、前記溶接部31から折曲され前記回路基板70側に延設される延設部32と、前記延設部32から前記回路基板70にハンダ付けにより接続される接続部33とを備え、
前記正極側及び前記負極側のいずれか一方の前記リード端子30の前記接続部33は、前記回路基板70のハンダ付けされる面(ハンダ面71)側に向かって突出する凸形状となるように前記リード端子30の長さ方向に対して曲げられており、前記正極側及び前記負極側のいずれか他方の前記リード端子30の前記接続部33は、前記ハンダ面71に沿って平面状となっている。
(他の形態1)
他の形態1に係る発明は、回路基板70へ実装され、板状の表裏面のいずれか一方側に正極、他方側に負極を有する電気化学セル20と、前記電気化学セル20の正極側及び負極側の各々から前記回路基板70へ接続されるリード端子30とを有するリード端子付き電気化学セル10において、前記リード端子30は、前記電気化学セル20に溶接される溶接部31と、前記溶接部31から折曲され前記回路基板70側に延設される延設部32と、前記延設部32から前記回路基板70にハンダ付けにより接続される接続部33とを備え、正極側又は負極側の少なくともどちらか一方の前記リード端子30の前記接続部33は、前記回路基板70のハンダ付けされる面(ハンダ面71)に接触する接触部51と、この接触部51に隣接して前記ハンダ面71との間に隙間を発生する間隙部52とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明では、電気化学セル20の厚さにばらつきが生じて正極側のリード端子30の回路基板70への取り付け位置と、負極側のリード端子30の回路基板70への取り付け位置とで、回路基板70からの距離に差が生じリード端子30及び電気化学セル20の全体が傾いても、少なくともどちらか一方のリード端子30の接続部33(たとえば反対面接続部43)の接触部51がハンダ面71に接触する。
【0018】
そして、本発明に係るリード端子付き電気化学セル10では、この接触部51に隣接してハンダ面71との間に隙間を発生する間隙部52を有することにより、間隙部52とハンダ面71との間にハンダを溜めて保持することが可能なハンダ溜まりを設けることができる。このハンダ溜まりにハンダを溜めて保持することができるため、リード端子30毎のハンダの塗布量(供給量)にばらつき等があってもその影響を受けにくい。また、接触部51に隣接する間隙部52がハンダ溜まりとなるため、ハンダ溜まりの位置が接触部51に隣接した位置となり、溶着箇所の位置が、ハンダの塗りムラ(供給量の変化)や電気化学セル10の様々な方向への傾き等によって種々変動する(ばらつく)ようなことがない。これにより、確実にハンダ付けをすることができて、回路基板70への実装時(ハンダ付け時)のハンダ付けのばらつきを抑えることができ、安定したハンダ付けの性能(強度等)を得ることができ、リード端子付き電気化学セル10を実装する回路基板70の製造歩留の低下を抑えることができる。
【0019】
また、前記接続部33は、前記回路基板70側に向かって突出する凸形状に形成されていることを特徴とする。
本発明には、具体的には例えば
図2、
図5、
図8及び
図9に示すようなものが含まれる。
本発明によれば、接続部33(たとえば反対面接続部43)は、回路基板70側に向かって凸形状に形成されているため、電気化学セル20及びリード端子30の全体がいずれの方向に傾いても、かかる凸形状の回路基板70側の先端(ハンダ面71に最も近い箇所)がハンダ面71に接触する接触部51となり、この接触部51に隣接する両隣の箇所が間隙部52となる。
【0020】
電気化学セル20及びリード端子30の全体がいずれの方向に傾いても、ハンダ面71に接触する接触部51は、常に凸形状先端の同一箇所の1カ所となり、従来技術のように電気化学セル20及びリード端子30の全体の傾く方向によって接続部33の先端側がハンダ面71に接触したり、又は基端側がハンダ面71に接触するような接触位置や溶着金属の形態がばらつくことがなく、安定したハンダ付け性能(強度等)を得ることが可能となる。さらに、この接触部51の両隣の間隙部52がハンダ溜まりとなり、電気化学セル20及びリード端子30の全体がいずれの方向に傾いても、接触部51の両隣をハンダ溜まりとしてハンダ面71に溶着することができ、良好な強度を得ることができ、そのばらつきを抑えることができる。これにより、安定したハンダ付けの性能を維持することが可能となり、リード端子付き電気化学セル10を実装する回路基板70の製造歩留まりの低下を抑えることができる。
【0021】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記電気化学セル20は、円形状に形成され、前記接続部33は、前記電気化学セル20を前記回路基板70に実装したときの平面視において、前記電気化学セル20が内接する四角形より内側で囲まれた領域内の前記回路基板70に接続されている。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、
凸形状に曲げられた前記接続部33は、前記ハンダ面71との接触部51を頂点として前記リード端子30の長さ方向に傾斜面を有する。例えば、接続部33がハンダ面71に接触する接触部51と、接触部51に隣接してハンダ面71との間に隙間を発生する間隙部52とを有する場合、前記間隙部52は、前記ハンダ面71に対して前記接触部51を頂点として傾斜していることによって形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、間隙部52は、接触部51を頂点として傾斜しているため、電気化学セル20及びリード端子30の全体が傾いても、頂点となる接触部51がハンダ面71に接触する。
ハンダ面71と間隙部52との間に接触部51から所定の傾斜角度に開口するハンダ溜まりとしての空間が形成される。この空間内に塗布された(又は供給された)ハンダが加熱されて溶けた後、冷却されて凝固することにより、接触部51を中心として溶着金属が形成されて、接触部51に隣接するハンダ溜まりが形成され、ハンダ面71と間隙部52とが確実に固着される。
【0023】
(請求項4)
請求項4記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、
凸形状に曲げられた前記接続部33は、前記ハンダ面71との接触部51を頂点として前記リード端子30の長さ方向に湾曲面を有する。例えば、接続部33がハンダ面71に接触する接触部51と、接触部51に隣接してハンダ面71との間に隙間を発生する間隙部52とを有する場合、前記間隙部52は、前記ハンダ面71に向かって前記接触部51を頂点として湾曲していることによって形成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、間隙部52は、接触部51を頂点として湾曲して形成され、電気化学セル20及びリード端子30の全体が傾いても、頂点となる接触部51がハンダ面71に接触する。
ハンダ面71と間隙部52との間には、ハンダ面71と接触部51からの湾曲面とに挟まれた湾曲空間が形成される。この空間内に塗布された(又は供給された)ハンダが加熱されて溶けた後、冷却されて凝固することにより、接触部51を中心として溶着金属が形成されて、接触部51に隣接するハンダ溜まりが形成され、ハンダ面71と間隙部52とが確実に固着される。
【0025】
(
他の形態2)
他の形態2に係る発明は、次の点を特徴とする。すなわち、前記接続部33の少なくとも一部は、前記回路基板70から離れる方向に向かって突出する凸形状に形成されていることを特徴とする。
本発明には、具体的には例えば
図6及び
図7に示すような接続部33の一部が凸形状に形成されているものや、
図10及び
図11に示すような接続部33の全体が凸形状に形成されているものが含まれる。
【0026】
本発明では、接続部33(たとえば反対面接続部43)の少なくとも一部は、回路基板70から離れる方向に向かって突出する凸形状に形成されているため、当該凸形状の突出していない箇所がハンダ面71に接触する接触部51となり、この凸形状に突出している箇所が間隙部52となる。この凸形状の間隙部52とハンダ面71とに挟まれた空間内に塗布された(又は供給された)ハンダが加熱されて溶けた後、冷却されて凝固することにより、接触部51を中心として溶着金属が形成されて、接触部51に隣接するハンダ溜まりが形成され、ハンダ面71と間隙部52とが確実に固着される。
(
他の形態3)
他の形態3に係る発明は、次の点を特徴とする。すなわち、前記間隙部52は、前記回路基板70から離れる方向に凹むくぼみ53を有することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、ハンダ面71(回路基板70)と間隙部52(リード端子30)との両者を固着するためのハンダの塗布量(供給量)にばらつきが生じても、回路基板70から離れる方向に凹むくぼみ53があることにより、そのくぼみ53の内部スペースに、そのハンダの一部を入り込ませてハンダを確保することができる。その結果、ハンダによる安定した固着強度を確保することができ、電気化学セル20が安定した状態で回路基板70上に固着され、当該リード端子付き電気化学セル10を実装する回路基板70の製造歩留の低下を抑えることができる。
(
他の形態4)
他の形態4に係る発明は、次の点を特徴とする。すなわち、前記間隙部52は、前記回路基板70から離れる方向に凹む細長い凹溝54を、前記延設部32と前記接続部33との境界線に平行な方向に沿って有することを特徴とする。
【0028】
本発明では、ハンダ面71(回路基板70)と間隙部52(リード端子30)とを固着するためのハンダの塗布量(供給量)にばらつきが生じても、回路基板70から離れる方向に凹む細長い凹溝54があることにより、その凹溝54の内部スペースに、そのハンダの一部を入り込ませてハンダを確保することができる。その結果、安定したハンダ固着強度を確保することができて電気化学セル20を安定した状態で回路基板70上に固着することができ、当該リード端子付き電気化学セル10を実装する回路基板70の製造歩留の低下を抑えることができる。
(請求項
5)
請求項
5記載の発明は、上記した請求項1、2、3又は4に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記接続部33の先端と前記ハンダ面71との距離Xが、前記リード端子30の厚さをtとすると、t≦X≦2×tであることを特徴とする。
【0029】
本発明では、ハンダ面71(回路基板70)と間隙部52(リード端子30)との間の隙間を、両者を固着するためのハンダが溜まるハンダ溜まりとして使用する場合、接続部33(たとえば反対面接続部43)の先端と、ハンダ面71との距離Xが、リード端子30の厚さtの2倍を超えると、隙間が大きすぎてハンダをより多く使用することとなり、ハンダによる固着強度は増加するが、ハンダの使用量も増加し、経済的ではない。また、接続部33(たとえば反対面接続部43)の先端と、回路基板70の表面との距離Xが、リード端子30の厚さt未満となると、ハンダ使用量が少なくなり、ハンダ面71(回路基板70)と間隙部52(リード端子30)との間でハンダによる固着が行われない箇所が発生し、ハンダによる固着強度が減少してしまう。
【0030】
接続部33(たとえば反対面接続部43)の先端と、ハンダ面71との距離Xが、リード端子30の厚さtの2倍以下、且つリード端子30の厚さt以上の範囲では、上述したようなことが発生せず、適当な量のハンダを使用することができて、経済的(低コスト)でハンダによる固着強度も良好に維持することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明によれば、間隙部とハンダ面との間にハンダを溜めて保持することが可能なハンダ溜まりを設けることができるため、リード端子毎のハンダの塗布量(供給量)にばらつき等があってもその影響を受けにくい。また、溶着箇所の位置がハンダの塗りムラ(供給量の変化)や様々な方向への傾き等によって種々変動する(ばらつく)ようなことがなく、確実にハンダ付けをすることができて、回路基板への実装時(ハンダ付け時)のハンダ付けのばらつきを抑えることができ、それを実装する回路基板の製造歩留の低下を抑えることが可能なリード端子付き電気化学セルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明を実施するための第1の実施の形態について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル20は、回路基板70へ実装され、円板状の表裏面の一方側に正極、他方側に負極を有する電気化学セル20と、この電気化学セル20の正極側及び負極側の各々から回路基板70へ接続されるリード端子30とを有している。
リード端子30は、電気化学セル20の回路基板70側の面(基板対向面25)とは反対側の面(基板反対面26)に接続される正極側の反対面リード端子40と、基板対向面25に接続される負極側の対向面リード端子60とがある。
【0034】
電気化学セル20は、一方に円形開口を有する有底円筒状の金属製のセルケース21と、このセルケース21の円形開口を塞ぐ金属製のセルフタ22とを有している。このセルケース21とセルフタ22との内部に正負一対の電極や電解質等の電気二重層キャパシタを構成する各種要素が内蔵され、全体として電気化学セルを構成している。
なお、本実施の形態では電気化学セルとして電気二重層キャパシタを例として採用しているが、特にこれに限定されるものではなく、電気化学セルとして、アルカリ電池、リチウム電池又はリチウムイオン電池等の化学電池を採用してもよいものである。
【0035】
セルケース21とセルフタ22との間にはプラスチック製のガスケット23が挟み混まれ、セルケース21の円形開口の開口縁部を内側に折り曲げカシメることによって密封封止されている。本実施の形態では、セルケース21側に正極、セルフタ22側に負極が収容され電気的に接続され、それぞれ正極、負極の極性を形成しているが、特にこれに限定されるものではなく、正極と負極とを逆に収容配置することも可能である。すなわち、セルフタ22側を正極、セルケース21側を負極にすることも可能である。さらに、セルフタ22側を回路基板70側に対向させることに限定されるものではなく、リード端子30(反対面リード端子40及び対向面リード端子60)の配置はそのままにして、コイン形の電気化学セル20の表裏が逆になるようにセルフタ22を回路基板70の反対方向に配置して、セルケース21を回路基板70側に対向させるようにしてもよい。
【0036】
リード端子30(反対面リード端子40及び対向面リード端子60)は、電気化学セル20を回路基板70に実装したときの平面視において、電気化学セル20が内接する四角形(以下、「内接四角形24」とする。)より内側で囲まれた領域内に収まるように配置され、当該領域内の回路基板70に接続されている。
リード端子30(反対面リード端子40及び対向面リード端子60)は、電気化学セル20に溶接される溶接部31と、溶接部31から折曲され回路基板70側に延設される延設部32と、延設部32から回路基板70にハンダ付けにより接続される接続部33とを備えている。
反対面リード端子40は、ニッケルやステンレス鋼等の金属性の平板状の板からなり、セルケース21側の正極と回路基板70とを接続するものである。
【0037】
反対面リード端子40は、その一端側に位置して電気化学セル20の回路基板70への実装時にハンダ面71と反対側に配置されるセル面(この場合、セルケース21の基板反対面26)に溶接等で固着設定される溶接部31としての反対面溶接部41を有している。この反対面溶接部41は、内接四角形24の一方の対角線に沿って配置された長方形状の平板状の板である。
反対面リード端子40は、反対面溶接部41の一方の端部からセル側折曲部44で折り曲げられて回路基板70側に延設される延設部32としての反対面延設部42を有している。この反対面延設部42は、内接四角形24の1つのコーナーにおいて反対面溶接部41の一端から回路基板70側に向かって電気化学セル20の厚さ方向に形成されている平板状の板である。
【0038】
反対面リード端子40は、反対面延設部42の回路基板70側の端部から基板側折曲部45で折り曲げられて回路基板70にハンダ付けにより接続される接続部33としての反対面接続部43を有している。この反対面接続部43の外表面には、予めハンダ層が設けられ、反対面接続部43の最も回路基板70に近い部分の箇所は、対向面リード端子60の後述する対向面接続部63と略同一高さに配置されるように加工されている。この反対面接続部43は、電気化学セル20を回路基板70に実装したときの平面視において、三角形状であって先端になるほど先細状になり、円板上の電気化学セル20の外周円より外側、且つ、電気化学セル20が内接する四角形(内接四角形24)より内側で囲まれた領域(
図4のドット(点)で示される領域)内のハンダ面71に接続されている。
【0039】
反対面接続部43は、回路基板70のハンダ付けされる面(ハンダ面71)に接触する接触部51と、ハンダ面71との間に隙間を発生する間隙部52とを有している。反対面接続部43は、全体として、回路基板70側に向かって突出する凸形状に形成されている。
間隙部52は、接触部51を頂点として回路基板70側に向かって突出する凸形状となるように湾曲していることによって形成されている。すなわち、反対面接続部43は、
図3に示すように、先端側程、回路基板70から離れる方向に湾曲するように形成され、その先端側程、回路基板70からの距離がより大きくなるような形状に形成されている。
【0040】
さらに、具体的には、
図3に示すように、反対面接続部43の先端と回路基板70のハンダ面71との距離Xが、反対面リード端子40の厚さをtとすると、Xが厚さt以上、且つ、Xが厚さtの2倍以下、すなわち、t≦X≦2×tであることが好ましい。
対向面リード端子60は、ニッケルやステンレス鋼等の金属製の平板状の板からなり、セルフタ22側の負極と回路基板70のハンダ面71とを接続する。この対向面リード端子60は、その一端側に位置して電気化学セル20の回路基板70への実装時にハンダ面71と対向(対面)して配置される側のセル面(基板反対面26)にレーザー溶接で固着設置される溶接部31としての対向面溶接部61と、この対向面溶接部61の一方の端部のセル側折曲部64から回路基板70側に段差状に折り曲げられた延設部32としての対向面延設部62と、この対向面延設部62の回路基板70側の端部の基板側折曲部65で折り曲げられて回路基板70のハンダ面71にハンダ付けにより接続される平坦な接続部33としての対向面接続部63とを有している。
なお、対向面溶接部61の電気化学セル20への固着手段は、レーザー溶接に限定されず、抵抗溶接や、超音波溶接等の他の溶接方法によるものでもよいものである。
【0041】
対向面接続部63の回路基板70のハンダ面71側には、ハンダの濡れ性の確保のため予めハンダ層が設けてある。これにより、リフローハンダ付けタイプのリード端子30に好適となる。もちろん、ハンダ層を設けたリフローハンダ付けに限定されるものではなく、手付けによるハンダ付け等も可能なものである。
反対面接続部43及び対向面接続部63の外表面にハンダ層34が設けられている。具体的には、反対面接続部43及び対向面接続部63の回路基板70側(ハンダ面71側)の面(下面)と、その反対側の面(上面)と、それらの端部側面と、各接続部33の基板側折曲部45,65から反対面延設部42及び対向面延設部62への立ち上がり部分とにハンダ層34が設けられている。リフロー時の加熱により、上述した端部側面や立ち上がり部等からハンダが溶け始め溶着金属が形成され電気的に接続されるので、これらの部分にハンダ層34を設けておくことは有効である。なお、ハンダ層34は、ディッピング(どぶ漬け)により設けられてあるが、特に限定するものではなく、メッキ等によるものでもよい。
【0042】
本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10では、接触部51に隣接してハンダ面71との間に隙間を発生する間隙部52を有することにより、間隙部52とハンダ面71との間にハンダを溜めて保持することが可能なハンダ溜まりを設けることができる。このハンダ溜まりにハンダを溜めて保持することができるため、反対面リード端子40毎のハンダ層34の塗布量(ハンダの供給量)にばらつき等があってもその影響を受けにくい。また、接触部51に隣接する間隙部52がハンダ溜まりとなるため、ハンダ溜まりの位置が接触部51に隣接した位置となり、溶着箇所の位置が、ハンダの塗りムラ(供給量の変化)等によって種々変動する(ばらつく)ようなことがない。これにより、確実にハンダ付けをすることができて、回路基板70への実装時(ハンダ付け時)のハンダ付けのばらつきを抑えることができ、安定したハンダ付けの性能(強度等)を得ることができ、リード端子付き電気化学セル10を実装する回路基板70の製造歩留の低下を抑えることができる。
【0043】
図2及び
図3に示すように、本実施の形態によれば、反対面接続部43は、回路基板70のハンダ面71側に向かって凸形状に形成されているため、電気化学セル20及びリード端子30の全体がいずれの方向に傾いても、かかる凸形状の回路基板70側の先端(ハンダ面71に最も近い箇所)がハンダ面71に接触する接触部51となり、この接触部51に隣接する両隣の箇所が間隙部52となる。
【0044】
具体的には、
図3(A)に示すように、反対面接続部43と、対向面接続部63との高さ位置にズレがない場合に、反対面リード端子40と対向面リード端子60との両方のリード端子30を回路基板70のハンダ面71に接地させようとすると、反対面接続部43は矢印Cの位置となる。この矢印Cの位置にある場合には、リード端子付き電気化学セル10は傾かず、
図3(C)に示すように反対面延設部42はハンダ面71に鉛直に配置され、加熱されてリフローハンダ付け実施後は、反対面接続部43の接触部51を中心として、その左右に隣接する間隙部52が溶着金属35によりハンダ面71に溶着される。
【0045】
一方、反対面接続部43が
図3(A)の矢印Bの位置にあって、反対面延設部42が矢印Cの位置にある場合よりも短くなるような場合に、反対面リード端子40と対向面リード端子60との両方のリード端子30を回路基板70のハンダ面71に接地させようとすると、リード端子付き電気化学セル10は、反対面延設部42が鉛直方向から向かって右回りに回転するような状態で傾斜し、
図3(B)に示すように、リフローハンダ付け実施後は、当該接触部51を中心として、その左右に隣接する間隙部52が溶着金属35によりハンダ面71に溶着される。
【0046】
また、反対面接続部43が
図3(A)の矢印Dの位置にあって、反対面延設部42が矢印Cの位置にある場合よりも長くなるような場合に、反対面リード端子40と対向面リード端子60との両方のリード端子30を回路基板70のハンダ面71に接地させようとすると、リード端子付き電気化学セル10は、反対面延設部42が鉛直方向から向かって左回りに回転した状態で傾斜し、
図3(D)に示すようにリフローハンダ付け実施後は、接触部51を中心として、その左右に隣接する間隙部52が溶着金属35によりハンダ面71に溶着される。
結果として、正極側と負極側との両方のリード端子30(反対面リード端子40及び対向面リード端子60)を回路基板70のハンダ面71に接地させようとすると、リード端子付き電気化学セル10の全体が
図3(B)(C)(D)のように種々の方向に傾くが、ハンダ付けされる溶着箇所の発生位置は、接触部51を中心としてばらつかず、また、溶着金属の発生形態も接触部51を中心としてその左右に隣接した同様のものとなりばらつきは発生しない。
【0047】
電気化学セル20及びリード端子30の全体がいずれの方向に傾いても、ハンダ面71に接触する接触部51は、常に凸形状先端の同一箇所の1カ所となり、従来技術(
図14参照)のように電気化学セル20及びリード端子30の全体の傾く方向によって接続部33の先端側がハンダ面71に接触したり、又は基端側がハンダ面71に接触するような接触位置や溶着金属の形態がばらつくことがなく、安定したハンダ付け性能(強度等)を得ることが可能となる。さらに、この接触部51の両隣の間隙部52がハンダ溜まりとなり、電気化学セル20及びリード端子30の全体がいずれの方向に傾いても、接触部51の両隣をハンダ溜まりとしてハンダ面71に溶着することができ、良好な強度を得ることができ、そのばらつきを抑えることができる。これにより、安定したハンダ付けの性能を維持することが可能となり、リード端子付き電気化学セル10を実装する回路基板70の製造歩留まりの低下を抑えることができる。
【0048】
本実施の形態では、対向面リード端子60は従来と変わらず反対面リード端子40の反対面接続部43だけに接触部51及び間隙部52を設けてあるが、必ずしもこれに限定されるものではない。たとえば、反対面リード端子40の方を従来と変わらないようにして対向面リード端子60の対向面接続部63だけに同様の接触部51及び間隙部52を有するように湾曲する曲面又は傾斜する傾斜面等として形成してもよいものである。これにより、上述したものと同様の作用及び効果を有する。さらに、反対面リード端子40の反対面接続部43と、対向面リード端子60の対向面接続部63との両方に接触部51及び間隙部52を設けるようにしてもよいものである。これにより、上述したものと同様の作用及び効果を有し、反対面接続部43及び対向面接続部63の両方にハンダ溜まりを設けることができて、ハンダ付け強度をさらに上げることができ、製造歩留まりの低下をさらに抑えることができる。
【0049】
さらに、本実施の形態によれば、間隙部52は、接触部51を頂点として湾曲して形成され、電気化学セル20及びリード端子30の全体が傾いても、頂点となる接触部51がハンダ面71に接触する。ハンダ面71と間隙部52との間には、ハンダ面71と接触部51からの湾曲面とに挟まれた湾曲空間が形成される。この空間内に塗布された(供給された)ハンダが加熱されて溶けた後、冷却されて凝固することにより、接触部51を中心として溶着金属が形成されて、接触部51に隣接するハンダ溜まりが形成され、ハンダ面71と間隙部52とが確実に固着される。
【0050】
本実施の形態では、ハンダ面71(回路基板70)と間隙部52(反対面リード端子40)との間の隙間を、両者を固着するためのハンダが溜まるハンダ溜まりとして使用する場合、反対面接続部43の先端と、ハンダ面71との距離Xが、リード端子30の厚さtの2倍を超えると、隙間が大きすぎてハンダをより多く使用することとなり、ハンダによる固着強度は増加するが、ハンダの使用量も増加し、経済的ではない。また、反対面接続部43の先端と、回路基板70のハンダ面71との距離Xが、リード端子30の厚さt未満となると、ハンダ使用量が少なくなり、ハンダ面71(回路基板70)と間隙部52(反対面リード端子40)との間でハンダによる固着が行われない箇所が発生し易くなり、ハンダによる固着強度が減少する。
反対面接続部43の先端とハンダ面71との距離Xが、リード端子30の厚さtの2倍以下、且つリード端子30の厚さt以上の範囲では、適当な量のハンダを使用することができて、経済的(低コスト)で、ハンダによる固着強度も良好に維持することができる。
【0051】
本実施の形態では、反対面接続部43は、
図1に示すように先端程、先細形状となるものであるが、特にこの形状に限定されるものではなく、ハンダ付けが行われる面積が小さな端子形状になる程、効果のあるものとなる。たとえば、さらに細長い形状の反対面接続部43(
図13参照)では、ハンダ付けの強度増加に対して効果の高いものとなる。
このリード端子付き電気化学セル10に用いられるリード端子30の厚さとしては、50〜300μmの範囲内のものが使用され、特に実際に多く実用化されているのは、50〜200μmの範囲内のものである。但し、リード端子30の厚さが50μm程度の厚さになると、リード端子30が変形しやすくなるため、リード端子30の材質や取り扱いに注意が必要になる。
【0052】
一般に、電極活物質と後述の電解質によりその発電素子又は蓄電素子としての電気化学システムの動作電圧や最大理論容量等の基本的な電気化学特性が規定される。本実施の形態のリード端子付き電気化学セルにおいて、リチウム電池やリチウムイオン二次電池等の非水電解質電池を構成する場合には、負極活物質としてリチウム金属、リチウムとアルミニウムや錫等の他の金属の合金、ケイ素や錫、タングステン、チタン、鉄等の酸化物、窒化物、硫化物や黒鉛又は有機物を焼成して得られる炭素質材料やポリアセチレン等の導電性高分子等々のリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を用い、アルカリ電池を構成する場合には、亜鉛、カドミウム、水素吸蔵合金等の金属を用いることができる。正極活物質としては、リチウム電池又はリチウムイオン二次電池の場合には、CFXやTiS
2,MoS
2,NbSe
3等の金属カルコゲン化物、MnO
2,MoO
3,V
2O
5,LiXCoO
2,LiXNiO
2,LiXNiyCo
1−yO
2,LixMn
2O
4,Li
4Mn
5O
12,Li
4CoO
2Mn
5O
12,Nb
2O
3,Li
4Ti
5O
12等の金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン等の導電性高分子の様なリチウムイオンと反応もしくはリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を用いることができ、アルカリ電池の場合には酸化銀、二酸化マンガン、水酸化ニッケルやオキシ水酸化ニッケル等の酸化物、水酸化物等が用いられる。また、電気二重層キャパシタの場合には正電極、負電極共に、電極活物質として、活性炭やカーボンブラック等の炭素材料、金属やその酸化物、高分子等の比表面積の大きい物質を用いることができる。電極活物質としてリチウムや亜鉛等の上記の様な金属を用いる場合には、それらを集電体上に直接所定形状に一体に成形した板や箔を用いることにより、導電剤や結着剤は不要である。また、本実施の形態はこれらの電極活物質の例に限定されず、その他の電極活物質を用いた化学電池、キャパシタ及びこれらを複合した発電素子又は蓄電素子からなる電気化学セルに適用することができる。
【0053】
この電極体にはセルケース内に収納後又は予め収納前にイオン導電性の電解液が含浸吸蔵され、電気化学セル素子が構成される。電解質としては、例えば有機電解質電池の場合、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルフォーメイト、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメチルフォルムアミド、グライム、スルホラン、アセトニトリル等の有機溶媒の単独又は混合溶媒に支持電解質としてLiClO
4,LiPF
6,LiBF
4,LiCF
3SO
3,Li(CF
3SO
2)
2N等のリチウムイオン解離性塩を溶解した非水(有機)電解液、これらの非水電解液を高吸液性多孔質高分子に含浸吸蔵させたゲル電解質、ポリエチレンオキシドやポリフォスファゼン架橋体等の高分子に前記リチウム塩を固溶させた高分子固体電解質あるいはLi
3N,LiI等の無機固体電解質等々のリチウムイオン導電性の非水電解質を用いることができる。また、電気二重層キャパシタの場合には、上記の支持電解質の代りに、又はそれに加えて(C
2H
5)
4NBF
4、(C
2H
5)
4NPF
4、(C
2H
5)
4NClO
4、(C
2H
5)
3CH
3NBF
4、(CH
3)
4NBF
4等のアンモニウム塩やホスフォニウム塩等が用いられる。電解質としてゲル状電解質、高分子固体電解質や無機固体電解質等の固体状電解質が用いられる場合には、セパレータの代わりにこれらの固体状電解質を単独もしくはセパレータと併用して用いることができる。
【0054】
また、セパレータとしては、通常電気化学セルに用いられるものが適用できる。即ち、リチウム電池やリチウムイオン電池等の非水電解質電池を構成する場合には、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系の高分子多孔質フィルムや不織布あるいはガラス繊維との混抄紙等、アルカリ電池ではセロファンやレーヨン抄紙、グラフト重合したポリエチレン等、電気二重層キャパシタではセルロース、ポリエステル、ポリオレフィン系樹脂やガラス等の繊維からなる不織布や抄紙あるいはポリオレフィンの多孔質フィルム等を好適に用いることができる。リフローハンダ付け対応の電気化学セル用としては、熱変形温度が230℃以上のポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミドなどの樹脂、セラミクスやガラス等の多孔質フィルムや不織布等々を用いることができる。セパレータの孔径は、一般に電池用として用いられる範囲のもの、例えば、0.01〜10μmを用いることができる。厚さは、一般に電池用として用いられる範囲、例えば、5〜300μmのものを用いることができる。
【0055】
ガスケット23は、通常ナイロンやポリプロピレン等の樹脂が用いられるが、リフローハンダ付けを行なう場合には、熱変形温度が230℃以上の樹脂を用いる。例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、液晶ポリマー(LCP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)、また、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂等々が使用できる。また、これらの材料に30重量%程度以下の添加量でガラス繊維、マイカウイスカー、セラミック微粉末等を添加したものを好適に用いることができる。
【0056】
(1)実施例及び比較例の内容
(1−1)実施例1
本実施例は、上述したようなリード端子付き電気化学セル10として、
図1〜
図4の基本構造による直径4.8mm、厚さ1.4mmのコイン形電気二重層キャパシタを構成した例である。
【0057】
活性炭粉末と導電性付与剤としてカーボンブラックを、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混合し、加圧成形して得られたペレットを正負両電極に用いた。電解質にはプロピレンカーボネートに1モル/lの(C
2H
5)
4NBF
4を溶解した有機電解液を用いた。これらの電極間に耐熱性のガラス繊維の不織布からなるセパレータを介在させ、前記電解液を含浸させた蓄電素子を正極端子を兼ねるセルケース21(正極ケース)及び負極端子を兼ねるセルフタ22(負極ケース)に収容し、セルケース21とセルフタ22との間に耐熱性エンジニアリングプラスチックからなるガスケット23を嵌合し、セルケース21の開口縁をカシメて密封封止して、コイン形電気化学セル20本体を作製した。
【0058】
本実施例では、回路基板70への実装時にセルフタ22(負極ケース)が回路基板70と対向する側に配置され、セルケース21(正極ケース)が回路基板70と反対側に配置される構成となるように、反対面リード端子40を電気化学セル20のセルケース21に、対向面リード端子60を電気化学セル20のセルフタ22に、それぞれレーザー溶接して設置した。対向面リード端子60は、厚さ0.1mmのステンレス鋼の板からなり、四角形状の板を、回路基板70への実装時に回路基板70と接続される境界部分(セル側折曲部64及び基板側折曲部65)で折り曲げ加工し、段差を設けたものである。具体的には、対向面リード端子60は、ハンダ面71と対向して配置される側のセル面(
図1の場合セルフタ22の側)に固着設置される対向面溶接部61と、この対向面溶接部61のセル側折曲部64から回路基板70側に段差状に折り曲げられた対向面延設部62と、この対向面延設部62の基板側折曲部65で折り曲げられてハンダ面71に接続される対向面接続部63とを有している。
【0059】
この対向面リード端子60を電気化学セル20の外周が内接する四角形(内接四角形24)の内側に入るようにセルフタ22上に載せ、対向面リード端子60のセルフタ22面上の部分(対向面溶接部61)にレーザー光を照射し、レーザー溶接により、3点スポット溶接して固着設置した。
【0060】
反対面リード端子40は、厚さ0.1mmのステンレス鋼の板からなり、セルケース21が内接する四角形(内接四角形24)の対角線方向に配置されると共にその内接四角形24に内接する略四角形の内側に入るように配置した。
セルケース21の外周から0.1mm程度離れたセル側折曲部44でセルケース21に沿って下向き方向の直角に折り曲げ加工され、さらに、基板側折曲部45で再度折り曲げ加工され、回路基板70と接続するための反対面接続部43が形成された。この回路基板70のハンダ面71との反対面接続部43は端部が内接四角形24の角部に配置され、
図1に示すように、反対面接続部43が上向きに湾曲するような形状とした。このような形状に加工され、セルケース21上に配置された反対面リード端子40のセルケース21面上の部分(反対面溶接部41)にレーザー光を照射し、レーザー溶接により、3点スポット溶接して固着設置した。また、リード端子30は、接続部33(反対面接続部43及び対向面接続部63)の上下面(回路基板70側及びその反対側の面)と、端部側面と、接続部33の折曲部(基板側折曲部45及び基板側折曲部65)から延設部32(反対面延設部42及び対向面延設部62)へ立ち上がる部分付近とに予めハンダ層が設けられている。このリード端子30(反対面リード端子40及び対向面リード端子60)のハンダ層は、溶融した高温のハンダ浴にリード端子30の接続部33側を浸漬して溶融したハンダを接続部33側の表面に付着させているものである。
【0061】
実施例1では、反対面接続部43の先端と、回路基板70のハンダ面71との距離Xが、反対面リード端子40の厚さtの1倍に設定されている。
(1−2)実施例2
実施例2では、反対面接続部43の先端と、回路基板70のハンダ面71との距離Xが、反対面リード端子40の厚さtの2倍に設定されている。その他の構成は、実施例1と同様である。
(1−3)比較例1
比較例1では、反対面接続部43の先端と、回路基板70のハンダ面71との距離Xが、反対面リード端子40の厚さtの2.5倍に設定されている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0062】
(1−4)比較例2
比較例2では、反対面接続部43の先端と、回路基板70のハンダ面71との距離Xが、反対面リード端子40の厚さtの0倍、すなわち、反対面延設部42の先端と、ハンダ面71との間に隙間が無いものである。比較例2の反対面延設部42は、
図12に示すように、ハンダ面71に対して平行な平面形状に設けられているものであり、その他の構成は、実施例1と同様である。
【0063】
(2)評価方法
上記実施例1、2及び比較例1、2のリード端子付き電気化学セルを、各20個ずつクリームハンダが形成された実装基板上に載置し、ピーク温度が260℃のリフロー炉に通すことによりリフローハンダ付けを行った。このリフローハンダ付けされたセルについて、強度性及び経済性について評価した。
【0064】
(2−1)強度性
強度性を、反対面接続部43と回路基板70のハンダ面71との強度を測定することにより行い、その時の強度性をA、Bの2段階で評価した。評価基準は以下のとおりとした。
A:接合不良端子無し(接合強度10N以上)
B:接合不良端子有り(接合強度10N未満)
【0065】
(2−2)経済性
経済性を、倍率が20倍の実体顕微鏡による観察を行い、通常のハンダ使用量の2倍以上と判断できるか否かにより、その時の経済性をA、Bの2段階で評価した。評価基準は以下のとおりとした。
A:ハンダ使用量が通常の2倍以上のもの発生無し
B:ハンダ使用量が通常の2倍以上のもの発生有り
(2−3)評価結果
各実施例及び比較例を用いた上記各評価方法についての評価結果を、下記表1に示す。
【0067】
上記の通り、本発明の実施例1、2のリード端子付き電気化学セルはいずれも良好な結果を示した。
これに対し、本発明の範囲外である比較例1、2の試験結果、比較例1は強度性は良好であるものの経済性が劣り、比較例2は、経済性は良好であるものの強度性が劣るという結果となった。
【0068】
(第2の実施の形態)
本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10は、
図5の基本構造によるコイン形電気二重層キャパシタを構成した例である。なお、平面図は、
図1と同様のものとなる。
図5に示すように、当該電気化学セル20を回路基板70に実装した際、間隙部52がハンダ面71に対して接触部51を頂点として傾斜しているものである。すなわち、第1の実施の形態では間隙部52が湾曲していたのに対して、本実施の形態では、反対面接続部43が、電気化学セル20と反対面リード端子40とが溶接されている面と平行とはならずに、接触部51がハンダ面71に接触し、間隙部52がハンダ面71に対して傾斜した平面形状になっている。この間隙部52を平面形状とした以外は、第1の実施の形態と同様の構成になっている。
【0069】
本実施の形態によれば、間隙部52は、接触部51を頂点として傾斜しているため、電気化学セル20及びリード端子30の全体が傾いても、頂点となる接触部51がハンダ面71に接触する。ハンダ面71と間隙部52との間に接触部51から所定の傾斜角度に開口するハンダ溜まりとしての空間が形成される。この空間内に塗布された(供給された)ハンダが加熱されて溶けた後、冷却されて凝固することにより、接触部51を中心として溶着金属が形成されて、接触部51に隣接するハンダ溜まりが形成され、ハンダ面71と間隙部52とが確実に固着される。これにより、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0070】
(第3の実施の形態)
本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10は、
図6の基本構造によるコイン形電気二重層キャパシタを構成した例である。
図6に示すように、本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10は、電気化学セル20と反対面リード端子40とが溶接されている面と平行な平面形状の反対面接続部43を有している。この反対面接続部43は、当該リード端子付き電気化学セル10を回路基板70に実装した際、後述するくぼみ53を除いてハンダ面71と平行な平面形状となるものである。
【0071】
この反対面接続部43は、ハンダ面71との間に隙間を発生する間隙部52であると共に回路基板70から離れる方向に凹むくぼみ53を有している。このくぼみ53は、ハンダ面71の反対方向に向かって突出する半球状に形成されている。なお、このくぼみ53は、上述したような半球状に限定されるものではなく、回路基板70から離れる方向に凹んで空間を形成するくぼみ53であれば、立方体状、直方体状、円錐状、三角錐状、四角錐状等の他の形状であってもよいものである。
本実施の形態では、上述したようなハンダ面71と平行な平面形状の反対面接続部43にくぼみ53を設けた以外は、第1の実施の形態と同様の構成からなるものである。なお、くぼみ53以外の反対面接続部43を、第1の実施の形態と同様に先端側程、回路基板70から離れる方向に湾曲させ、その先端側程、回路基板70からの距離がより大きくなるような形状に形成してもよい。
【0072】
本実施の形態では、ハンダ面71(回路基板70)と間隙部52(反対面リード端子40の反対面接続部43)との両者を固着するためのハンダの塗布量(ハンダの供給量)にばらつきが生じても、回路基板70のハンダ面71から離れる方向に凹むくぼみ53が間隙部52に設けてあることにより、そのくぼみ53の内部スペースに、そのハンダの一部が入り込んでハンダを確保することができる。その結果、ハンダによる安定した固着強度を確保することができ、電気化学セル20が安定した状態で回路基板70のハンダ面71上に固着され、当該リード端子付き電気化学セル10を実装する回路基板70の製造歩留の低下を抑えることができる。
【0073】
リード端子30の反対面接続部43に設けた上述したようなくぼみ53や後述する凹溝54についての具体的な深さについては、反対面接続部43に施されるハンダ層34の厚さにも影響するが、10μm以上の深さがあることが好ましい。通常、ハンダ層34の厚さは数μm程度であり、その厚みよりくぼみ53や後述する凹溝54が浅いと、ハンダは一般的に平面よりもくぼみ53や凹溝54に多く入り易いためハンダをリード端子30に塗布した際にくぼみ53や凹溝54が埋まってしまい、ハンダの量も少なくなって回路基板70への実装時にはその効果が得られ難くなるからである。
【0074】
(第4の実施の形態)
本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10は、
図7の基本構造によるコイン形電気二重層キャパシタを構成した例である。
図7に示すように、本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10は、電気化学セル20と反対面リード端子40とが溶接されている面と平行な平面形状の反対面接続部43を有している。この反対面接続部43は、当該リード端子付き電気化学セル10を回路基板70に実装した際、ハンダ面71と平行な平面形状となるものである。
【0075】
この反対面接続部43は、ハンダ面71との間に隙間を発生する間隙部52であると共に回路基板70から離れる方向に凹む細長い凹溝54を有している。この凹溝54は、反対面延設部42と反対面接続部43との境界線に平行な方向に沿って形成されている。この凹溝54は、前記境界線に対して直角方向の縦断面形状が略三角形状となる。なお、この凹溝54は、上述したような縦断面形状が三角形状のものに限定されるものではなく、回路基板70から離れる方向に凹む溝状の空間を形成する凹溝54であれば、その縦断面形状が、四角形状、五角形状等の多角形状、半円状、楕円状等の他の形状であってもよいものである。
【0076】
本実施の形態では、上述したようなハンダ面71と平行な平面形状の反対面接続部43に上記凹溝54を設けた以外は、第1の実施の形態と同様の構成からなるものである。なお、凹溝54以外の反対面接続部43を、第1の実施の形態と同様に先端側程、回路基板70から離れる方向に湾曲させ、その先端側程、回路基板70からの距離がより大きくなるような形状に形成してもよい。
本実施の形態では、ハンダ面71(回路基板70)と間隙部52(反対面リード端子40の反対面接続部43)とを固着するためのハンダの塗布量(供給量)にばらつきが生じても、回路基板70から離れる方向に凹む細長い凹溝54があることにより、その凹溝54の縦断面形状が略三角形状の内部スペースに、そのハンダの一部が入り込んでハンダを確保することができる。その結果、安定したハンダ固着強度を確保することができ、電気化学セル20が安定した状態で回路基板70上に固着され、回路基板70への実装(ハンダ付け)の際、製造歩留の低下を抑えることができる。
リード端子30の反対面接続部43に設けた上述したような凹溝54についての具体的な深さについては、第3の実施の形態のくぼみ53の深さに関して説明したように、10μm以上の深さがあることが好ましいものである。
【0077】
(第5の実施の形態)
本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10は、第1の実施の形態と同様の基本構造によるコイン形電気二重層キャパシタを構成としている。
図8に示すように、本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10の反対面リード端子40は、第1の実施の形態と同様の反対面溶接部41及び反対面延設部42を有し、第1の実施の形態とは形状が異なる反対面接続部43を有している。第1の実施の形態では、接触部51が反対面延設部42の下方付近に位置し、その接触部51から先端側になる程、回路基板70から離れる方向に湾曲していたが、本実施の形態では、反対面接続部43は全体として回路基板70側に向かって円弧状に突出する凸形状に形成され、その接触部51は、反対面延設部42の下方と、反対面接続部43の先端との中央付近に位置している。そして、間隙部52は、ハンダ面71に向かって接触部51を頂点として反対面接続部43の先端側に対して湾曲して形成され、さらに、接触部51を頂点として反対面延設部42側(基端側)に対しても同様に湾曲して形成されている。
本実施の形態では、上述したような反対面接続部43の凸形状の相違以外は、第1の実施の形態と同様の構成からなるものであって、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0078】
(第6の実施の形態)
本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10は、第1の実施の形態と同様の基本構造によるコイン形電気二重層キャパシタを構成としている。
図9に示すように、本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10の反対面リード端子40は、第1の実施の形態と同様の反対面溶接部41及び反対面延設部42を有し、第1の実施の形態とは形状が異なる反対面接続部43を有している。
本実施の形態では、反対面接続部43は、ハンダ面71と平行とならずに、接触部51がハンダ面71に接触し、間隙部52が傾斜のついた平面形状になっている。しかも、接触部51が、第1の実施の形態では、反対面延設部42の下方付近に位置していたのに対して、本実施の形態では、反対面接続部43の先端と反対面延設部42の下方との略中間の位置に設けてある。さらに、
図9に示すように反対面接続部43の縦断面形状が接触部51を頂点とする逆三角形状となるように形成されている。
【0079】
本実施の形態に係る間隙部52は、接触部51を頂点として反対面接続部43の先端側に向かって傾斜する平面状の傾斜面により形成され、さらに、間隙部52は、接触部51を頂点として反対面延設部42側(基端側)に向かっても同様に傾斜する平面状の傾斜面により形成されている。
本実施の形態では、上述したような反対面接続部43の凸形状の相違以外は、第1の実施の形態と同様の構成からなるものであって、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0080】
(第7の実施の形態)
本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10は、第1の実施の形態と同様の基本構造によるコイン形電気二重層キャパシタを構成としている。
図10に示すように、本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10の反対面リード端子40は、第1の実施の形態と同様の反対面溶接部41及び反対面延設部42を有し、第1の実施の形態とは形状が異なる反対面接続部43を有している。
本実施の形態では、反対面接続部43は、回路基板70から離れる方向に向かって突出する凸形状であって、縦断面形状が緩やかな円弧を描くように湾曲した形状に形成されている。接触部51が、反対面接続部43の基端側の反対面延設部42付近と、反対面接続部43の先端側との2カ所に形成され、間隙部52は、それらの2つの接触部51の間の凸形状の部分に形成されている。
【0081】
この凸形状の間隙部52とハンダ面71とに挟まれた空間内に塗布された(供給された)ハンダが加熱されて溶けた後、冷却されて凝固することにより、接触部51を中心として溶着金属が形成されて、接触部51に隣接するハンダ溜まりが形成され、ハンダ面71と間隙部52とが確実に固着される。
【0082】
なお、本実施の形態では、反対面接続部43の基端側及び先端側がハンダ面71に接触する場合には、2カ所が接触部51となるが、反対面接続部43がいずれかの方向に傾くような場合には、反対面接続部43の基端側及び先端側のいずれかがハンダ面71に接触し、接触する1カ所が接触部51となる。すなわち、本実施の形態では、接触部51が1カ所又は2カ所のいずれかになり、ハンダ溜まりの位置も当該接触部51に隣接する箇所のいずれかに固定される。これにより、溶着箇所の位置が、ハンダの塗りムラ(供給量の変化)等によって種々変動する(ばらつく)ようなことがなく、安定したハンダ付けの性能(強度等)を得ることができ、リード端子付き電気化学セル10を実装する回路基板70の製造歩留の低下を抑えることができる。
本実施の形態では、上述した反対面接続部43の凸形状の相違及びそれに関連する内容以外は、第1の実施の形態と同様の構成や、作用効果を奏する。
【0083】
(第8の実施の形態)
本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10は、第1の実施の形態と同様の基本構造によるコイン形電気二重層キャパシタを構成としている。
図11に示すように、本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル10の反対面リード端子40は、第1の実施の形態と同様の反対面溶接部41及び反対面延設部42を有し、第1の実施の形態とは形状が異なる反対面接続部43を有している。
【0084】
本実施の形態では、反対面接続部43は、回路基板70から離れる方向に向かって突出する凸形状であって、縦断面形状が三角形状に形成されている。接触部51が、反対面接続部43の反対面延設部42付近と、反対面接続部43の先端側との2カ所に形成され、間隙部52は、それらの2つの接触部51の中央付近を頂点として、この頂点と2つの接触部51間を結ぶ平面状の傾斜面により形成されている。
【0085】
なお、本実施の形態でも、第7の実施の形態で記載したなお書きの内容と同様であって、反対面接続部43がいずれかの方向に傾くような場合には基端側及び先端側のいずれかがハンダ面71に接触し、接触部51が1カ所又は2カ所のいずれかになり、ハンダ溜まりの位置も当該接触部51に隣接する箇所のいずれかに固定される。これにより、溶着箇所の位置が、ハンダの塗りムラ(供給量の変化)等によって種々変動する(ばらつく)ようなことがなく、安定したハンダ付けの性能(強度等)を得ることができ、リード端子付き電気化学セル10を実装する回路基板70の製造歩留の低下を抑えることができる。
【0086】
本実施の形態では、上述した反対面接続部43の凸形状の相違及びそれに関連する内容以外は、第1の実施の形態と同様の構成からなるものであって、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
上述した第7及び第8の実施の形態において、反対面接続部43の基端側を回路基板70に当接させ、反対面接続部43の先端側を回路基板70から離して、反対面接続部43の全体を傾斜させるように形成してもよい。これにより、接続部33を1カ所に固定することができ、ばらつきをさらに抑えることができる。
上述した第1〜第8の実施の形態において、接触部51及び間隙部52を有する接続部33は、反対面リード端子40に設けてあるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、対向面リード端子60に第1〜第8の実施の形態に示されるような接触部51及び間隙部52を有する接続部33を設けてもよい。さらに、反対面リード端子40及び対向面リード端子60の両方にそのような接触部51及び間隙部52を有する接触部51を設けてもよい。