(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板対向面に接続される前記リード端子は、前記基板対向面に溶接される対向面溶接板と、前記対向面溶接板から折曲され前記回路基板側に向かって延設される対向面延設板と、前記対向面延設板から前記回路基板に接続される対向面接続板とを備え、
前記対向面接続板は、前記電気化学セルが内接する四角形における前記反対面延設板が配置される前記隣り合うコーナーの対角のコーナーの少なくともいずれか一方を含む領域に配置されている請求項5に記載のリード端子付き電気化学セル。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電子機器の小型高密度実装化に対応し、それらに用いられる電源素子としての電気化学セルに対しても小型化、薄型化及び軽量化が求められている。特に回路基板上に直接実装される電気化学セルにおいては機器回路と電気的接続をするための正負極一対のリード端子をセル本体に溶接等で固着して設置されたものが用いられるのが一般的であり、これらの端子を加えた全体の小型化、実装面積の低減化が検討されている。
従来技術には、回路基板への実装時に回路基板の表面と対向して配置される側となるセル面Aに予め設置されるリード端子Aが、電気化学セルの外周が内接する四角形(以下、「内接四角形」とする。)より小さく、かつその略内側に設置されているものがある(例えば特許文献1参照。)。また、その従来技術には、回路基板の表面の反対側となるセル面Bに設置されるもう一方のリード端子Bも前記内接四角形の略四角形内に設置されている構成が開示されている。これにより、実装面積を低減することができる。
【0003】
従来、この種の平面実装タイプのリード端子付き電気化学セル10では、コイン形の電気化学セルを例に示すと、
図19〜
図21に示すような構造をしていた。
図19〜
図21において、電気化学セル20は、一方に円形開口を有する有底円筒状のセルケース21と、このセルケース21の円形開口を塞ぐセルフタ22とを有している。このセルケース21とセルフタ22との内部に正負一対の電極や電解質等からなる電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学セルの発電要素又は蓄電要素が内蔵されている。セルケース21とセルフタ22との間にはプラスチック製のガスケット23が挟み混まれ、セルケース21の円形開口の開口縁部を内側に折り曲げカシメることによって密封封止されている。
【0004】
通常、セルケース21側に正極、セルフタ22側に負極が内蔵され、それぞれ正極、負極の極性を形成している。リード端子30は、電気化学セル20の実装時に回路基板70の反対側に配置されるセルケース21に一端が溶接される反対面リード端子40と、電気化学セル20の実装時に回路基板70に対向する側に配置されるセルフタ22に一端が溶接される対向面リード端子60とがある。
反対面リード端子40は、セルケース21に溶接される反対面溶接板41と、この反対面溶接板41から回路基板70側に延設される反対面延設板42と、この反対面延設板42から回路基板70のハンダ付けされる面(以下、「ハンダ面71」とする。)にハンダ付けされる反対面接続板43とを備えている。
【0005】
同様に、対向面リード端子60は、セルフタ22に溶接される対向面溶接板61と、この対向面溶接板61から回路基板70側に延設される段差状の対向面延設板62と、この対向面延設板62からハンダ面71にハンダ付けされる対向面接続板63とを備えている。
この反対面接続板43と対向面接続板63とのハンダ層が設けられた回路基板70側の面(
図21の斜線領域)は、同一高さの同一平面上に配置されると共に、リード端子付き電気化学セル10を回路基板70に実装する際には、回路基板70のハンダ面71に対して平行な面となるように加工されている。
このように形成されたリード端子付き電気化学セル10は、回路基板70の所定の接続位置に載置され、ハンダ層が設けられた反対面接続板43及び対向面接続板63が回路基板70のハンダ面71にハンダ付けされることにより回路基板70に固定実装される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、反対面リード端子の反対面接続板が電気化学セルの外方に延設された場合、その位置や面積によっては、電気化学セルの実装面積の低減化を阻害することがあるという問題点があった(例えば特許文献1の
図7参照。)。
【0008】
上記の問題点に鑑み、本願における発明は、電気化学セルの回路基板への実装面積を低減することができるリード端子付き電気化学セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、回路基板70へ実装され、板状の表裏面のいずれか一方側に正極、他方側に負極を有する電気化学セル20と、前記電気化学セル20の正極側及び負極側の各々から前記回路基板70へ接続されるリード端子30とを有するリード端子付き電気化学セル10において、前記電気化学セル20の前記回路基板70側の面(以下、「基板対向面25」とする。)とは反対側の面(以下、「基板反対面26」とする。)に接続される前記リード端子30は、前記基板反対面26に溶接される反対面溶接板41と、前記反対面溶接板41から折曲され前記回路基板70側に延設される反対面延設板42とを備え、前記反対面延設板42の前記回路基板70側の先端が、直接、前記回路基板70に接続されて
おり、前記反対面延設板42の前記回路基板70側の先端は、前記電気化学セル20を前記回路基板70に実装したときの平面視において、前記電気化学セル20の外周より外側、且つ、前記電気化学セル20が内接する四角形より内側で囲まれた領域内の前記回路基板70に接続されている。
【0010】
本発明では、反対面延設板42の回路基板70側の先端が、直接、回路基板70に接続されている。すなわち、反対面延設板42の回路基板70側の端部から回路基板70に沿って平行に延設されて回路基板70に接続されるような接続板が設けられていない。基板反対面26に接続されるリード端子30を回路基板70へ接続するために必要な回路基板70側のスペースは、反対面延設板42の先端が接続されるスペースだけでよく、回路基板70と平行に設けられていた従来の接続板のスペースが不要となるので、電気化学セル20の回路基板70への実装面積の低減化が可能となる。
また、本発明では、反対面延設板42の回路基板70側の先端は、電気化学セル20が内接する四角形(内接四角形24)より内側で囲まれた領域内に収まるので、電気化学セル20を回路基板70上に実装した際に、基板反対面26に接続されるリード端子30が、内接四角形24からはみ出ることがなく、周囲に対して邪魔になるようなことを抑えることができる。これにより、電気化学セル20の実装面積を限られたスペース内の小さな面積にすることができる。
さらに、反対面延設板42の回路基板70側の先端は、電気化学セル20の外周より外側、且つ、内接四角形24より内側で囲まれた領域内に収まるので、仮に電気化学セル20が傾いたような場合であっても、電気化学セル20と回路基板70との間に反対面延設板42が配置されてないことにより、傾いた電気化学セル20の一部が当該リード端子30の反対面延設板42に接触するようなことを回避することができ、ショート(短絡)の発生を抑えることができる。
【0011】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
すなわち、前記基板対向面25に接続される前記リード端子30は、前記基板対向面25に溶接される対向面溶接板61と、前記回路基板70に接続される対向面接続板63とを備えている。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記電気化学セル20は、円板状に形成され、前記反対面溶接板41は、前記電気化学セル20が内接する四角形の中心から前記四角形のコーナーに向かって前記電気化学セル20の外周円より外側に突出するように設けられ、前記反対面溶接板41の前記外側に突出する先端には、前記反対面延設板42が設けられ、前記反対面延設板42の前記回路基板70側は、前記電気化学セル20の外周円よりも大きな外周円の一部となるような形状に加工されていることを特徴とする。
【0012】
本発明では、反対面延設板42の回路基板70側が、電気化学セル20の外周円よりも大きな外周円の一部となるような形状に加工されていることにより、反対面延設板42の回路基板70側を電気化学セル20の外周円よりも大きな外周円に沿って配置することができる。これにより、反対面延設板42を電気化学セル20の外周円から一定の距離の領域内に接続することができる。反対面延設板42の回路基板70側が円形の一部ではなく直線状に形成されているような場合、直線状の端部が外側に突出して邪魔になる可能性があるが、反対面延設板42の回路基板70側を円形の一部とすることにより、狭い領域に収めることができる。たとえば、反対面延設板42の回路基板70側を直線状に形成すると、電気化学セル20が内接する四角形(内接四角形24)からはみ出すような場合であっても、それを円形状に形成することにより、内接四角形24からはみ出さずに内接四角形24の内部に収まった状態で回路基板70の一部の狭い領域に接続するようなことが可能となる。
【0013】
結果として、電気化学セル20の回路基板70への実装面積をさらに低減化することができる。
さらに、反対面延設板42の回路基板70側を電気化学セル20の外周円よりも大きな外周円に沿って配置したことにより、当該外周円の直径を適当な径に調整することで内接四角形24のコーナーに反対面延設板42の先端の端面を設けないようにすることが可能となり、実装面積のさらなる低減化に加えて内接四角形24のコーナーを他の用途に使用可能なスペースとして確保することができる。これにより、回路基板70上のレイアウトが容易となる。
【0014】
(請求項
4)
請求項
4記載の発明は、上記した請求項1
又は2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記電気化学セル20は、円板状に形成され、前記反対面溶接板41は、前記電気化学セル20が内接する四角形の中心から前記四角形のコーナーに向かって前記電気化学セル20の外周円より外側に突出するように設けられ、前記反対面溶接板41の前記外側に突出する先端側の縁には、互いに直交する第1直交縁41aと、この第1直交縁41aと同一長さの第2直交縁41bとが設けられ、前記反対面延設板42は、前記第1直交縁41aから前記回路基板70側に向かって延設される第1延設片47と、前記第2直交縁41bから前記回路基板70側に向かって延設される第2延設片48とを備え、前記電気化学セル20が内接する四角形の1つのコーナーを構成する一方の辺に沿って前記第1延設片47が配置され、前記電気化学セル20が内接する四角形の前記コーナーを構成する他方の辺に沿って前記第2延設片48が配置されることで前記反対面延設板42の前記回路基板70側の端面が、前記電気化学セル20が内接する四角形の前記コーナー内側に整合する形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
反対面溶接板41は、電気化学セル20が内接する四角形(内接四角形24)の中心から前記四角形のコーナーに向かって電気化学セル20の外周円より外側に突出している。そして、この反対面溶接板41の突出している先端側の縁には、互いに直交し、同一長さの第1直交縁41a及び第2直交縁41bが設けられ、回路基板70側に向かって第1直交縁41aから第1延設片47、第2直交縁41bから第2延設片48が延設されている。第1延設片47が内接四角形24の1つのコーナーを構成する一方の辺に沿って配置され、第2延設片48が当該コーナーを構成する他方の辺に沿って配置され、反対面延設板42の回路基板70側の端面が、内接四角形24の当該コーナー内側に整合する形状に形成され、当該コーナー内側に配置される。
これにより、反対面延設板42の回路基板70側を、内接四角形24からはみ出さずに内接四角形24内のコーナーに収まった状態で回路基板70の一部の狭い領域に接続することができ、電気化学セル20の回路基板70への実装面積をさらに低減化することができる。
また、内接四角形24の内側において中心から最も離れた位置に反対面延設板42を配置することができて、電気化学セル20を安定した状態で配置することができる。
【0017】
(請求項5)
請求項5記載の発明は、上記した請求項1、2、3又は4に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記反対面溶接板41は、前記電気化学セル20が内接する四角形の中心から前記四角形のコーナーの1つに向かう第1反対面溶接板41cと、この第1反対面溶接板41cと直交し且つ基端側で連続すると共に、前記電気化学セル20が内接する四角形の中心から前記四角形の前記コーナーの隣のコーナーの1つに向かう第2反対面溶接板41dとを備え、前記反対面延設板42は、前記第1反対面溶接板41cの先端から前記回路基板70に向かって延設される第1反対面延設板42aと、前記第2反対面溶接板41dの先端から前記回路基板70に向かって延設される第2反対面延設板42bとを備え、前記第1反対面延設板42a及び前記第2反対面延設板42bは、前記四角形の隣り合うコーナーの前記回路基板70に接続されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、基板反対面26に接続されるリード端子30は、第1反対面延設板42a及び第2反対面延設板42bを介して2カ所で回路基板70に接続されることになり、1カ所だけで回路基板70へ接続されるような場合と比較して、リード端子30の回路基板70への接続箇所及び接続面積を増加させることができる。基板反対面26に接続されるリード端子30の回路基板70への接続箇所を2カ所としたことにより、当該リード端子30を回路基板70へハンダ付けする際、仮に1カ所が接続不良であっても、残りの1カ所で当該リード端子30の回路基板70への接続を確保することができる。また、ハンダ付けの際には当該2カ所で良好に接続され、その後に外力や衝撃が加わる等により断線が2カ所のうち一方で発生しても残りの1カ所で接続を維持することができる。
さらに、リード端子30は、電気化学セル20を回路基板70に支持するための構造材としての役割も有しているため、当該リード端子30と回路基板70との接続箇所及び接続面積を増加させることにより、電気化学セル20を回路基板70に強固に固定することができる。
結果として、電気化学セル20を回路基板70へ載置する際の安定性を向上させ、ハンダ付け時及びその後の不具合の発生を抑えることができる。
【0019】
(請求項6)
請求項6記載の発明は、上記した請求項5に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記基板対向面25に接続される前記リード端子30は、前記基板対向面25に溶接される対向面溶接板61と、前記対向面溶接板61から折曲され前記回路基板70側に向かって延設される対向面延設板62と、前記対向面延設板62から前記回路基板70に接続される対向面接続板63とを備え、前記対向面接続板63は、前記電気化学セル20が内接する四角形における前記反対面延設板42が配置される前記隣り合うコーナーの対角のコーナーの少なくともいずれか一方を含む領域に配置されていることを特徴とする。
【0020】
本発明では内接四角形24の4つのコーナーのうち、隣り合う2つのコーナーには、第1反対面延設板42a及び第2反対面延設板42bの先端が接続され、その隣り合うコーナーの対角のコーナーのいずれかに対向面接続板63が接続されている。すなわち、リード端子30の第1反対面延設板42a、第2反対面延設板42b及び対向面接続板63により、内接四角形24の4つのコーナーのうちの3つのコーナーの位置で回路基板70に接続されていることになる。この3つの位置は、内接四角形24の対角線を底辺とする直角2等辺三角形の3つの頂点の位置となる。このような3点支持により、回路基板70上に1つの平面を確定することができ、第1反対面延設板42a、第2反対面延設板42b及び対向面延設板62の長さに製造誤差等による長短があっても、安定した状態で電気化学セル20を回路基板70に固定することができる。これにより、内接四角形24の3カ所のコーナーで電気化学セル20を回路基板70に確実に固定することができ、電気化学セル20を安定した状態で回路基板70に実装することができる。
【0021】
(
他の形態)
他の形態に係る発明は、次の点を特徴とする。すなわち、前記電気化学セル20は、一方に開口を有するセルケース21と、このセルケース21の前記開口を塞ぐセルフタ22とを有し、前記セルケース21は、前記電気化学セル20の前記基板対向面25側に配置され、前記セルフタ22は、前記電気化学セル20の前記基板反対面26側に配置されていることを特徴とする。
本発明では、セルケース21と反対面延設板42とが接触すると、短絡(ショート)するため、両者(具体的にはセルケース21の外周面と反対面延設板42)を離すように基板反対面26側のリード端子30が電気化学セル20に溶接される。従来のように反対面延設板42の先端から反対面接続板43を、電気化学セル20から離れる方向に設けると、リード端子30を含めた実装面積が大きくなってしまう。本発明では、そのような反対面接続板43を設けずに反対面延設板42の先端が直接、回路基板70に接続する構成であるため、リード端子30の反対面接続板43のスペースが不要となり、リード端子30を含めた実装面積を低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明によれば、基板反対面に接続されるリード端子を回路基板へ接続するために必要な回路基板側のスペースは、反対面延設板の先端が接続されるスペースだけでよく、電気化学セルの回路基板への実装面積を低減することができるリード端子付き電気化学セルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態を
図1〜
図4にしたがって説明する。
図1〜
図3に示すように、本実施の形態に係るリード端子付き電気化学セル20は、回路基板70へ実装され、円板状の表裏面の一方側に正極、他方側に負極を有する電気化学セル20と、この電気化学セル20の正極側及び負極側の各々から回路基板70へ接続されるリード端子30とを有している。
リード端子30は、電気化学セル20の回路基板70側の面(基板対向面25)とは反対側の面(基板反対面26)に接続される正極側の反対面リード端子40と、基板対向面25に接続される負極側の対向面リード端子60とがある。
【0025】
電気化学セル20は、一方に円形開口を有する有底円筒状の金属製のセルケース21と、このセルケース21の円形開口を塞ぐ金属製のセルフタ22とを有している。このセルケース21とセルフタ22との内部に正負一対の電極や電解質等の電気二重層キャパシタを構成する各種要素が内蔵され、全体として電気化学セルを構成している。
なお、本実施の形態では電気化学セルとして電気二重層キャパシタを採用しているが、特にこれに限定されるものではなく、電気化学セルとして、アルカリ電池、リチウム電池又はリチウムイオン電池等の化学電池を採用してもよいものである。
【0026】
セルケース21とセルフタ22との間にはプラスチック製のガスケット23が挟み混まれ、セルケース21の円形開口の開口縁部を内側に折り曲げカシメることによって密封封止されている。本実施の形態では、セルケース21側に正極、セルフタ22側に負極が収容され電気的に接続され、それぞれ正極、負極の極性を形成しているが、特にこれに限定されるものではなく、正極と負極とを逆に収容配置することも可能である。すなわち、セルフタ22側を正極、セルケース21側を負極にすることも可能である。さらに、それぞれの場合において、セルフタ22側を回路基板70側に対向させることに限定されるものではなく、リード端子30(反対面リード端子40及び対向面リード端子60)の配置はそのままにして、コイン形の電気化学セル20の表裏が逆になるようにセルフタ22を回路基板70の反対方向に配置して、セルケース21を回路基板70側に対向させるようにしてもよい。
【0027】
本実施の形態では、活性炭粉末と導電性付与剤としてカーボンブラックを、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混合し、加圧成形して得られたペレットを正負両電極に用いた。電解質にはプロピレンカーボネートに1モル/lの(C
2H
5)
4NBF
4を溶解した有機電解液を用いた。これらの電極間に耐熱性のガラス繊維の不織布からなるセパレータを介在させ、前記電解液を含浸させた蓄電素子を正極端子を兼ねるセルケース21(正極ケース)及び負極端子を兼ねるセルフタ22(負極ケース)に収容し、セルケース21とセルフタ22との間に耐熱性エンジニアリングプラスチックからなるガスケット23を嵌合し、セルケース21の開口縁をカシメて密封封止して、コイン形電気化学セル20本体を作成した。なお、上述した電極、電解質、セパレータ及びガスケット等の材質は、上述したものに限定されるものではない。
【0028】
反対面リード端子40は、所定の厚さ(具体的には、たとえば0.1mm)のステンレス鋼の金属性の平板状の板からなり、セルケース21側の正極と回路基板70とを接続するものである。なお、反対面リード端子40の厚みは上述した数値に限定されるものではなく、また、材質もステンレス鋼に限定されるものではなく、端子として使用可能な導電性を有するものであれば他の金属を使用してもよいものであって、具体的には、たとえばニッケル、銅等からなるものでもよい。
反対面リード端子40は、基板反対面26に溶接される反対面溶接板41と、反対面溶接板41のセル側折曲部44(具体的にはセルケース21の外周から所定距離(たとえば0.1mm)離れた箇所)で折曲され回路基板70側に延設される反対面延設板42とを備えている。この反対面延設板42の回路基板70側の先端が、直接、回路基板70に接続されている。
【0029】
反対面溶接板41は、反対面リード端子40の一端側に位置して電気化学セル20の回路基板70への実装時に電気化学セル20の基板反対面26に溶接で固着されるものである。この反対面溶接板41は、内接四角形24の一方の対角線に沿って配置された平板状の板である。
具体的には、セルケース21上に配置された反対面溶接板41にレーザー光を照射し、レーザー溶接により3点スポット溶接して固着している。もちろん、溶接方法や溶接個数等は上述したものに限定されるものではなく、抵抗溶接、超音波溶接等の他の溶接方法を用いて、他の異なる個数の溶接箇所によるものでもよい。
【0030】
反対面溶接板41には、内接四角形24の中心から当該内接四角形24の1つのコーナーに向かって電気化学セル20の外周円より外側に突出するように設けられている。この反対面溶接板41の先端には、反対面延設板42が設けられている。具体的には、反対面溶接板41は、反対面溶接板41の先端で折曲され、回路基板70側に延設されているものである。
反対面延設板42には、電気化学セル20の厚みの2分の1付近から回路基板70側に向かって、電気化学セル20の外周円よりも大きな外周円の一部となるような形状にしぼり加工されたしぼり加工部49が設けられている。
【0031】
この反対面延設板42の回路基板70側の先端は、電気化学セル20を回路基板70に実装したときの平面視において、電気化学セル20の外周円より外側、且つ、内接四角形24より内側で囲まれた領域(
図4参照)内の回路基板70のハンダ面71に接続されている。
反対面延設板42は、回路基板70側の端部でハンダ付けによりハンダ面71に接続される。この反対面延設板42の回路基板70側の端面には、予めハンダ層が設けられている。これにより、リフローハンダ付けタイプのリード端子30に好適なものとなる。もちろん、ハンダ付けの方法は、リフローハンダ付けに限定されるものではなく、フロー方式や、手付け方式等の他の方式によるものにも対応可能である。反対面延設板42の回路基板70側の端面は、対向面リード端子60の後述する対向面接続板63のハンダ面71側の面と略同一高さで同一平面上に配置されるように加工されている。
【0032】
対向面リード端子60は、所定の厚さ(具体的には、たとえば0.1mm)のステンレス鋼の金属性の平板状の板からなり、セルフタ22側の負極と回路基板70とを接続するものである。なお、対向面リード端子60の厚みや材質は、上述したものに限定されるものではなく、反対面リード端子40の説明箇所で記載した厚みや材質の内容と同様の内容を有するものである。
対向面リード端子60は、その一端側に位置して電気化学セル20の回路基板70への実装時に電気化学セル20の基板対向面25にレーザー溶接で固着設置される対向面溶接板61と、この対向面溶接板61の一方の端部のセル側折曲部64から回路基板70側に段差状に折り曲げられた対向面延設板62と、この対向面延設板62の回路基板70側の端部の基板側折曲部65で折り曲げられて回路基板70のハンダ面71と平行に配置されてハンダ面71にハンダ付けにより接続される平坦な対向面接続板63とを有している。
【0033】
対向面リード端子60は全体として略方形状であり、対向面溶接板61は略長方形状に形成されているが、その対向面溶接板61の4つの角部のうち、反対面延設板42が配置されているコーナー側の角部には斜めに切り欠かれた切欠部66が設けられている。この切欠部66は、反対面リード端子40と対向面リード端子60とのショート(短絡)を防止するためのものである。
対向面溶接板61を基板対向面25に溶接する際には、対向面リード端子60を内接四角形24の内側に入るようにセルフタ22上に載せ、対向面溶接板61にレーザー光を照射し、レーザー溶接により3点スポット溶接を行うことで対向面溶接板61を基板対向面25に固着している。もちろん、この溶接方法や溶接個数等は上述したものに限定されるものではなく、抵抗溶接、超音波溶接等の他の溶接方法を用いて、他の異なる個数の溶接箇所によるものでもよい。
【0034】
対向面接続板63は、電気化学セル20を回路基板70に実装したときの平面視において、電気化学セル20が内接する四角形(内接四角形24)より内側で囲まれた領域内のハンダ面71に接続されている。この対向面接続板63の回路基板70のハンダ面71側には、ハンダの濡れ性の確保のため予めハンダ層が設けられている。これにより、リフローハンダ付けタイプのリード端子30に好適なものとなる。もちろん、ハンダ付けの方法は、リフローハンダ付けに限定されるものではなく、フロー方式や、手付け方式等の他の方式によるものにも対応可能である。
【0035】
本実施の形態では、反対面リード端子40の反対面延設板42の回路基板70側の先端が、直接、回路基板70に接続されている。すなわち、反対面延設板42の回路基板70側の端部から回路基板70に沿って平行に延設されて回路基板70に接続されるような接続板が設けられていない。反対面リード端子40を回路基板70へ接続するために必要な回路基板70側のスペースは、反対面延設板42の先端が接続されるスペースだけでよく、回路基板70と平行に設けられていた従来の接続板のスペースが不要となるので、電気化学セル20の回路基板70への実装面積の低減化が可能となる。
【0036】
本実施の形態では、反対面リード端子40の反対面延設板42の回路基板70側が、電気化学セル20の外周円よりも大きな外周円の一部となるような形状に加工されていることにより、反対面延設板42の回路基板70側を電気化学セル20の外周円よりも大きな外周円に沿って配置することができる。これにより、反対面延設板42を電気化学セル20の外周円から一定の距離の領域内に接続することができる。反対面延設板42の回路基板70側が円形の一部ではなく直線状に形成されているような場合、直線状の端部が外側に突出する可能性が高いが、本実施の形態のように反対面延設板42の回路基板70側を円形の一部とすることにより、内接四角形24からはみ出さずに内接四角形24の内部に収まった状態で回路基板70の一部の狭い領域に接続するようなことが可能となる。
【0037】
結果として、電気化学セル20の回路基板70への実装面積をさらに低減化することができる。
さらに、
図3に示すように、反対面延設板42の回路基板70側を電気化学セル20の外周円よりも大きな外周円に沿って配置し、当該外周円の直径を内接四角形24のコーナーに反対面延設板42の先端の端面が配置されないような径としている。これにより、実装面積のさらなる低減化に加えて内接四角形24の4つのコーナーのうち、対向面接続板63が配置される1つのコーナーを除いて残りの3つのコーナーを他の用途に使用可能なスペースとして確保することができる。これにより、回路基板70上のレイアウトが容易となる。
【0038】
反対面リード端子40の反対面延設板42の回路基板70側の先端は、電気化学セル20が内接する四角形(内接四角形24)より内側で囲まれた領域内に収まるので、電気化学セル20を回路基板70上に実装した際に、反対面リード端子40が、内接四角形24からはみ出ることがなく、周囲に対して邪魔になるようなことを抑えることができる。これにより、電気化学セル20の実装面積を限られたスペース内の小さな面積にすることができる。
さらに、反対面リード端子40の反対面延設板42の回路基板70側の先端は、電気化学セル20の外周より外側、且つ内接四角形24より内側で囲まれた領域内に収まるので、電気化学セル20と回路基板70との間に反対面延設板42は配置されてなく、仮に電気化学セル20が傾いたような場合であっても、傾いた電気化学セル20の一部が当該リード端子30の反対面延設板42に接触するようなことを回避することができ、ショート(短絡)の発生を抑えることができる。
【0039】
このリード端子付き電気化学セル10に用いられるリード端子30の厚さとしては、50〜300μmの範囲内のものが使用され、特に実際に多く実用化されているのは、50〜200μmの範囲内のものである。但し、リード端子30の厚さが50μm程度の厚さになると、リード端子30が変形しやすくなるため、リード端子30の材質や取り扱いに注意が必要となる。
【0040】
また、リード端子30の厚みが大きい場合には、回路基板70のハンダ面71に接地する反対面延設板42の先端の端面に面取りやフィレット加工を加えて、ハンダ溜まりを形成してもよいものである。そのような箇所に面取りやフィレット加工を加えると、リード端子30とハンダ面71との間に互いに接触する接触部と接触部に隣接してハンダ面71と反対面延設板42との間に隙間を発生する間隙部とを設けることができ、その間隙部がハンダ溜まりとなり、確実にハンダ付けをすることができる。これにより、回路基板70への実装時(ハンダ付け時)のハンダ付け強度をさらに上げることができ、製造歩留の低下を抑えることができる。
【0041】
一般に、電極活物質と後述の電解質によりその発電素子又は蓄電素子としての電気化学システムの動作電圧や最大理論容量等の基本的な電気化学特性が規定される。本実施の形態のリード端子付き電気化学セルにおいて、リチウム電池やリチウムイオン二次電池等の非水電解質電池を構成する場合には、負極活物質としてリチウム金属、リチウムとアルミニウムや錫等の他の金属の合金、ケイ素や錫、タングステン、チタン、鉄等の酸化物、窒化物、硫化物や黒鉛又は有機物を焼成して得られる炭素質材料やポリアセチレン等の導電性高分子等々のリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を用い、アルカリ電池を構成する場合には、亜鉛、カドミウム、水素吸蔵合金等の金属を用いることができる。正極活物質としては、リチウム電池又はリチウムイオン二次電池の場合には、CFXやTiS
2,MoS
2,NbSe
3等の金属カルコゲン化物、MnO
2,MoO
3,V
2O
5,LiXCoO
2,LiXNiO
2,LiXNiyCo
1−yO
2,LixMn
2O
4,Li
4Mn
5O
12,Li
4CoO
2Mn
5O
12,Nb
2O
3,Li
4Ti
5O
12等の金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン等の導電性高分子の様なリチウムイオンと反応もしくはリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を用いることができ、アルカリ電池の場合には酸化銀、二酸化マンガン、水酸化ニッケルやオキシ水酸化ニッケル等の酸化物、水酸化物等が用いられる。また、電気二重層キャパシタの場合には正電極、負電極共に、電極活物質として、活性炭やカーボンブラック等の炭素材料、金属やその酸化物、高分子等の比表面積の大きい物質を用いることができる。電極活物質としてリチウムや亜鉛等の上記の様な金属を用いる場合には、それらを集電体上に直接所定形状に一体に成形した板や箔を用いることにより、導電剤や結着剤は不要である。また、本実施の形態はこれらの電極活物質の例に限定されず、その他の電極活物質を用いた化学電池、キャパシタ及びこれらを複合した発電素子又は蓄電素子からなる電気化学セルに適用することができる。
【0042】
この電極体にはセルケース内に収納後又は予め収納前にイオン導電性の電解液が含浸吸蔵され、電気化学セル素子が構成される。電解質としては、例えば有機電解質電池の場合、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルフォーメイト、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメチルフォルムアミド、グライム、スルホラン、アセトニトリル等の有機溶媒の単独又は混合溶媒に支持電解質としてLiClO
4,LiPF
6,LiBF
4,LiCF
3SO
3,Li(CF
3SO
2)
2N等のリチウムイオン解離性塩を溶解した非水(有機)電解液、これらの非水電解液を高吸液性多孔質高分子に含浸吸蔵させたゲル電解質、ポリエチレンオキシドやポリフォスファゼン架橋体等の高分子に前記リチウム塩を固溶させた高分子固体電解質あるいはLi
3N,LiI等の無機固体電解質等々のリチウムイオン導電性の非水電解質を用いることができる。また、電気二重層キャパシタの場合には、上記の支持電解質の代りに、又はそれに加えて(C
2H
5)
4NBF
4、(C
2H
5)
4NPF
4、(C
2H
5)
4NClO
4、(C
2H
5)
3CH
3NBF
4、(CH
3)
4NBF
4等のアンモニウム塩やホスフォニウム塩等が用いられる。電解質としてゲル状電解質、高分子固体電解質や無機固体電解質等の固体状電解質が用いられる場合には、セパレータの代わりにこれらの固体状電解質を単独もしくはセパレータと併用して用いることができる。
【0043】
また、セパレータとしては、通常電気化学セルに用いられるものが適用できる。即ち、リチウム電池やリチウムイオン電池等の非水電解質電池を構成する場合には、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系の高分子多孔質フィルムや不織布あるいはガラス繊維との混抄紙等、アルカリ電池ではセロファンやレーヨン抄紙、グラフト重合したポリエチレン等、電気二重層キャパシタではセルロース、ポリエステル、ポリオレフィン系樹脂やガラス等の繊維からなる不織布や抄紙あるいはポリオレフィンの多孔質フィルム等を好適に用いることができる。本実施の形態のようなリフローハンダ付け対応の電気化学セル用としては、熱変形温度が230℃以上のポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミドなどの樹脂、セラミクスやガラス等の多孔質フィルムや不織布等々を用いることができる。セパレータの孔径は、一般に電池用として用いられる範囲のもの、例えば、0.01〜10μmを用いることができる。厚さは、一般に電池用として用いられる範囲、例えば、5〜300μmのものを用いることができる。
【0044】
ガスケット23は、通常ナイロンやポリプロピレン等の樹脂が用いられるが、リフローハンダ付けを行なう場合には、熱変形温度が230℃以上の樹脂を用いる。例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、液晶ポリマー(LCP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)、また、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂等々が使用できる。また、これらの材料に30重量%程度以下の添加量でガラス繊維、ウイスカー、セラミック微粉末等を添加したものを好適に用いることができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態を
図5〜
図8にしたがって第1の実施の形態と異なる点を主に説明する。
図5〜
図7に示すように、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、反対面リード端子40は、基板反対面26に溶接される反対面溶接板41と、この反対面溶接板41から折曲され回路基板70に延設される反対面延設板42とを備え、この反対面延設板42の回路基板70側の先端が、直接、回路基板70にハンダ付けにより接続されている。
本実施の形態に係る反対面溶接板41は、電気化学セル20が内接する四角形の中心から四角形の1つのコーナーに向かって電気化学セル20の外周円より外側に突出するように形成されている。この反対面溶接板41の外側に突出する先端側の縁には、互いに直交する第1直交縁41aと、この第1直交縁41aと同一長さの第2直交縁41bとが設けられている。
【0046】
反対面延設板42は、第1直交縁41aから回路基板70側に向かって延設される第1延設片47と、第2直交縁41bから回路基板70側に向かって延設される第2延設片48とを備えている。
図8に示すように反対面リード端子40の展開図において、この第1延設片47は第1直交縁41aに対して直角方向に延設され、第2延設片48は第2直交縁41bに対して直角方向に延設されている。第1直交縁41a及び第2直交縁41bは、互いに直交して形成されてあるため、第1延設片47を第1直交縁41aから直角に折り曲げ、第2延設片48を第2直交縁41bから直角に折り曲げると、第1延設片47及び第2延設片48は、ハンダ面71の形状を「く」の字状にした互いに直交した状態で、回路基板70へ延設されることになる(
図7参照)。
なお、本実施の形態において、
図7に示すように、第1延設片47と第2延設片48とは、「く」の字状に連続するように形成されているが、これに限定されるものではなく、第1延設片47と、第2延設片48との間に隙間を設けるようにしてもよい。
【0047】
内接四角形24の1つのコーナーを構成する一方の辺に沿って第1延設片47が配置され、内接四角形24のコーナーを構成する他方の辺に沿って第2延設片48が配置されている。このため、反対面延設板42の回路基板70側の端面が、内接四角形24の1つのコーナー内側に整合する形状に形成されている。その他の構成は、第1の実施の形態で説明したものと同様であり、それらは第1の実施の形態で説明したものと同様の作用及び効果を有する。
本実施の形態によれば、反対面延設板42の回路基板70側を、内接四角形24からはみ出さずに内接四角形24内の1つのコーナー内側に収まった状態で回路基板70の一部の狭い領域に接続することができ、電気化学セル20の回路基板70への実装面積をさらに低減化することができる。
【0048】
また、内接四角形24の内側において内接四角形24の中心から最も離れたコーナー位置に反対面延設板42を配置することができて、電気化学セル20を安定した状態で配置することができる。
本実施の形態のように、反対面リード端子40の反対面延設板42の端面形状において、多数の角部が形成されると角部にハンダが溜まりやすいため、角部が多くなることでハンダ付けの強度がアップし、電気化学セル20の回路基板70への実装時の製造歩留の低下を抑えることができる。リード端子30のハンダ面71に接続される箇所(反対面延設板42の先端面)の形状については、角部や曲線の数が多い程、形状が複雑になってリード端子30の製造に困難さが伴うことになるが、接地箇所や接地面積が多くなり端子として効果的なものとなる。
【0049】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態を
図9〜
図11にしたがって説明する。
図9〜
図11に示すように、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、反対面リード端子40は、基板反対面26に溶接される反対面溶接板41と、この反対面溶接板41から折曲され回路基板70に延設される反対面延設板42とを備え、この反対面延設板42の回路基板70側の先端が、直接、回路基板70にハンダ付けにより接続されている。
【0050】
本実施の形態に係る反対面溶接板41は、内接四角形24の中心から内接四角形24のコーナーの1つに向かう第1反対面溶接板41cと、内接四角形24の中心から内接四角形24のコーナーの隣のコーナーの1つに向かう第2反対面溶接板41dとを備えている。この第2反対面溶接板41dは、第1反対面溶接板41cと直交し、さらに、第2反対面溶接板41dは、基端側で第1反対面溶接板41cと連続している。
反対面延設板42は、第1反対面溶接板41cの先端から回路基板70に向かって延設される第1反対面延設板42aと、第2反対面溶接板41dの先端から回路基板70に向かって延設される第2反対面延設板42bとを備えている。
【0051】
第1反対面延設板42aは、内接四角形24の1つのコーナーの回路基板70のハンダ面71に接続され、第2反対面延設板42bは、内接四角形24の前記コーナーの隣のコーナーの1つの回路基板70のハンダ面71に接続されている。結果として、第1反対面延設板42a及び第2反対面延設板42bは、内接四角形24の隣り合うコーナーの回路基板70のハンダ面71に接続されている。
本実施の形態では、対向面リード端子60の対向面接続板63は、内接四角形24における反対面延設板42が配置される隣り合うコーナーの対角のコーナーの一方を含む領域に配置されている。なお、対向面接続板63は、内接四角形24における反対面延設板42が配置される隣り合うコーナーの対角のコーナーの両方を含む領域に配置することもできる(
図16参照)。
【0052】
その他の構成は、第1の実施の形態で説明したものと同様であり、それらは第1の実施の形態で説明したものと同様の作用及び効果を有する。
なお、第1反対面延設板42a及び第2反対面延設板42bのいずれも、第1の実施の形態の反対面延設板42で説明したものと同様に、第1反対面延設板42a及び第2反対面延設板42bの回路基板70側(具体的には、回路基板70側から電気化学セル20の厚みの2分の1の位置まで)には、電気化学セル20の外周円よりも大きな外周円の一部となるような形状にしぼり加工されたしぼり加工部49がそれぞれ形成されている。
【0053】
本実施の形態では、反対面リード端子40は、第1反対面延設板42a及び第2反対面延設板42bを介して2カ所で回路基板70のハンダ面71に接続される。1カ所だけで回路基板70へ接続されるような場合と比較して、反対面リード端子40の回路基板70への接続箇所及び接続面積を増加させることができる。反対面リード端子40の回路基板70への接続箇所を2カ所としたことにより、反対面リード端子40を回路基板70へハンダ付けする際、仮に1カ所が接続不良であっても、残りの1カ所で反対面リード端子40の回路基板70への接続を確保することができる。また、ハンダ付けの際には当該2カ所で良好に接続され、その後に外力や衝撃が加わる等により断線が2カ所のうち一方で発生しても残りの1カ所で接続を維持することができる。これにより、ハンダ付け時及びその後の不具合の発生を抑えることが可能となる。
【0054】
さらに、反対面リード端子40は、電気化学セル20を回路基板70に支持するための構造材としての役割も有しているため、当該リード端子30と回路基板70との接続箇所及び接続面積を増加させることにより、電気化学セル20を回路基板70に強固に固定することができる。
結果として、電気化学セル20を回路基板70へ載置する際の安定性を向上させ、ハンダ付け時及びその後の不具合の発生を抑えることができる。
また、接続箇所を2カ所として反対面リード端子40と回路基板70との接続面積を増加させたことで、それよりも接続面積の小さな接続箇所が1カ所のものより当該リード端子30と回路基板70とが接触する部分の電気抵抗を小さくすることができ、発熱等による電流損失も少なくすることができる。
【0055】
本実施の形態では、内接四角形24の4つのコーナーのうち、隣り合う2つのコーナーには、第1反対面延設板42a及び第2反対面延設板42bの先端が接続され、その隣り合うコーナーの対角のコーナーの一方に対向面接続板63が接続されている。すなわち、リード端子30の第1反対面延設板42a、第2反対面延設板42b及び対向面接続板63により、内接四角形24の4つのコーナーのうちの3つのコーナーの位置で回路基板70に接続されていることになる。この3つの位置は、内接四角形24の対角線を底辺とする直角2等辺三角形の3つの頂点の位置となる。このような3点支持により、回路基板70上に1つの平面を確定することができ、第1反対面延設板42a、第2反対面延設板42b及び対向面延設板62の長さに製造誤差等による長短があっても、安定した状態で電気化学セル20を回路基板70に固定することができる。結果として、内接四角形24の3カ所のコーナーで電気化学セル20を回路基板70に確実に固定することができ、電気化学セル20を安定した状態で回路基板70に実装することができる。
【0056】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態を
図12〜
図15にしたがって説明する。
図12〜
図14に示すように、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、反対面リード端子40は、基板反対面26に溶接される反対面溶接板41と、この反対面溶接板41から折曲され回路基板70に延設される反対面延設板42とを備え、この反対面延設板42の回路基板70側の先端が、直接、回路基板70にハンダ付けにより接続されている。
本実施の形態に係る反対面溶接板41は、第3の実施の形態と同様に、内接四角形24の中心から内接四角形24のコーナーの1つに向かう第1反対面溶接板41cと、内接四角形24の中心から内接四角形24のコーナーの隣のコーナーの1つに向かう第2反対面溶接板41dとを備えている。この第2反対面溶接板41dは、第1反対面溶接板41cと直交し、さらに、第2反対面溶接板41dは、基端側で第1反対面溶接板41cと連続し全体として「く」の字状に形成されている。
【0057】
第1反対面溶接板41cは、内接四角形24の中心から内接四角形24の1つのコーナーに向かって電気化学セル20の外周円より外側に突出するように形成され、第2反対面溶接板41dは、内接四角形24の中心から内接四角形24の前記コーナーの隣のコーナーに向かって電気化学セル20の外周円より外側に突出するように形成されている。
第1反対面溶接板41cの前記外側に突出する先端側の縁には、互いに直交する第1直交縁41aと、この第1直交縁41aと同一長さの第2直交縁41bとが設けられている。
同様に、第2反対面溶接板41dの前記外側に突出する先端側の縁にも、互いに直交する第1直交縁41aと、この第1直交縁41aと同一長さの第2直交縁41bとが設けられている。
第1反対面延設板42a及び第2反対面延設板42bのいずれも、第1直交縁41aから回路基板70側に向かって延設される第1延設片47と、第2直交縁41bから回路基板70側に向かって延設される第2延設片48とをそれぞれ備えている。
【0058】
図15に示すように、反対面リード端子40の展開図において、第1反対面溶接板41c及び第2反対面溶接板41dのいずれも、第1延設片47は第1直交縁41aに対して直角方向に延設され、第2延設片48は第2直交縁41bに対して直角方向に延設されている。第1直交縁41a及び第2直交縁41bは、互いに直交して形成されてあるため、第1延設片47を第1直交縁41aから直角に折り曲げ、第2延設片48を第2直交縁41bから直角に折り曲げると、第1延設片47及び第2延設片48は、ハンダ面71の形状を「く」の字状にした互いに直交した状態のものが2つ、回路基板70へ延設されることになる(
図14参照)。
本実施の形態によれば、反対面延設板42の回路基板70側の「く」の字状に形成された端面が、内接四角形24の隣り合う2つのコーナー内側に整合する形状に形成されている。
【0059】
本実施の形態では、対向面リード端子60の対向面接続板63は、第3の実施の形態と同様に内接四角形24における反対面延設板42が配置される隣り合うコーナーの対角のコーナーの一方を含む領域に配置されている。なお、対向面接続板63は、内接四角形24における反対面延設板42が配置される隣り合うコーナーの対角のコーナーの両方を含む領域に配置することもできる(
図16参照)。
その他の構成は、第2の実施の形態で説明したものと同様であり、それらは第2の実施の形態で説明したものと同様の作用及び効果を有する。
【0060】
本実施の形態によれば、反対面延設板42の回路基板70側を、内接四角形24からはみ出さずに内接四角形24内の2つのコーナー内側に収まった状態で回路基板70の一部の狭い領域に接続することができ、電気化学セル20の回路基板70への実装面積をさらに低減化することができる。
また、内接四角形24の内側において内接四角形24の中心から最も離れた隣り合うコーナー位置に反対面延設板42を配置することができて、電気化学セル20を安定した状態で配置することができる。
【0061】
本実施の形態でも、対向面リード端子60の対向面接続板63は、内接四角形24における反対面延設板42が配置される隣り合うコーナーの対角のコーナーの一方を含む領域に配置されている。このため、第3の実施の形態で説明した内容と同様に、第1反対面延設板42a、第2反対面延設板42b及び対向面接続板63の3点支持により、安定した状態で電気化学セル20を回路基板70に固定することができる。
本実施の形態では、回路基板70のハンダ面71に接続されるリード端子30の反対面延設板42の端面形状の角部が、第2の実施の形態よりもさらに多くなっているため、これらの角部にハンダを溜めることができ、さらにハンダ付けの強度がアップし、電気化学セル20の回路基板70への実装時の製造歩留の低下を抑えることができる。
【0062】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態を
図16にしたがって説明する。
図16に示すように、本実施の形態は、対向面リード端子60の全体形状が内接四角形24の2つのコーナーを含むような略長方形状に形成されている。この対向面リード端子60の対向面接続板63は、内接四角形24における反対面延設板42が配置される隣り合うコーナーの対角のコーナーの両方を含む領域に配置されている。
【0063】
本実施の形態に係る対向面溶接板61の4つの角部のうち、反対面延設板42が配置されている2つのコーナー側の各角部には斜めに切り欠かれた切欠部66が合計2個設けられている。この切欠部66を設けたことにより、反対面リード端子40と対向面リード端子60とのショート(短絡)を防止することができる。
本実施の形態では、対向面接続板63が、隣り合うコーナーの両方を含む領域に配置されているため、1つのコーナーだけを含むような対向面接続板63と比較して、ハンダ面71との接触面積を増大させることができる。
なお、ここで、第1〜第4の実施の形態における対向面リード端子60を、本実施の形態の対向面リード端子60にすることもできる。
【0064】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態を
図17、
図18にしたがって説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態の円板状の電気化学セル20の表裏が逆になっているものである。セルケース21は電気化学セル20の基板対向面25側に配置され、セルフタ22は電気化学セル20の基板反対面26側に配置されている。そして、この基板反対面26のセルフタ22に反対面リード端子40の反対面溶接板41が溶接され、この反対面溶接板41の端部から反対面延設板42が回路基板70のハンダ面71に延設されている。この反対面延設板42とセルケース21の外周面との間の距離は、第1〜第5の実施の形態における同様の箇所の距離と比べて、両者が接触して短絡(ショート)しないように長く設けてある(すなわち、両者が十分離れるように配置されている。)。基板対向面25のセルケース21には、平板状の1枚の対向面リード端子60が溶接され、その回路基板70側の面がハンダ面71にハンダ付けされている。なお、本実施の形態に係る対向面リード端子60は、第1〜第5の実施の形態のような段差のあるものとは形状が異なり、平板状の1枚のものであるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第1〜第5の実施の形態で用いたような対向面リード端子60を用いてもよい。
【0065】
本実施の形態では、セルケース21と反対面延設板42とが接触すると、短絡(ショート)するため、セルケース21の外周面と反対面延設板42との両者を離すように反対面リード端子40が電気化学セル20に溶接されている。従来のように反対面延設板42の先端から反対面接続板43を外方に向かって設けると、リード端子30を含めた実装面積が大きくなってしまう。本実施の形態では、そのような反対面接続板43を設けずに反対面延設板42の先端が直接、回路基板70のハンダ面71に接続する構成であるため、反対面接続板43のスペースが不要となり、リード端子30を含めた実装面積を低減することができる。
【0066】
なお、ここで、第1〜第5の実施の形態における反対面リード端子40を、セルケース21と反対面延設板42との間の距離を両者が接触しないように本実施の形態のように離すことで、本実施の形態の反対面リード端子40として用いることができる。
また、本実施の形態では、反対面延設板42は内接四角形24の角部付近に配置されて内接四角形24から周囲にはみ出しているがその配置は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、反対面延設板42の端部をさらに内接四角形24から離れた外方に配置してもよく、また、逆に反対面延設板42の端部をセルケース21の外周面に接触しないように小さなものにして内接四角形24の内側に収まるようにしてもよい。