(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249397
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】風呂リモコン
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20060101AFI20171211BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
F24H1/00 602V
H04Q9/00 301D
H04Q9/00 371Z
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-219453(P2013-219453)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-81715(P2015-81715A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】辻 智広
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−129931(JP,A)
【文献】
特開2000−310448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
H04Q 9/00
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水密なケーシングを備え、このケーシングの後面を浴室の壁面に取り付ける浴室リモコンであって、壁面から延びるリード線をケーシング内部に導入する配線穴をケーシングの後面に設け、この配線穴を閉塞するゴム製のグロメットを配線穴に嵌入し、グロメットに形成された小孔を通してリード線をケーシング内部に導入するものにおいて、上記リード線は複数本であって、リード線の本数と同数の小孔を上記グロメットに形成し、各小孔に1本ずつリード線を挿通し、挿通後のリード線をケーシング内部で放射状に拡がった状態で弛みなく保持する抜け止め部を形成したことを特徴とする風呂リモコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の壁面に取り付けられる風呂リモコンに関する。
【背景技術】
【0002】
上記従来の風呂リモコンは、水密なケーシングを有している。そして、そのケーシング内には回路基板やその他の電子部品が収納されており、浴室外に設置した給湯装置から延びるケーブルが接続されている。このケーブルは複数本のリード線が束ねられたもので、風呂リモコンに接続する直前で各リード線にばらされ、後ケースのほぼ中央に形成された配線穴を通してケーシング内に導かれる。なお、貫通穴にはゴム製のグロメットがはめこまれている。グロメットにはリード線の本数と同じ数の小孔が形成されており、各リード線はこの小孔を通してケーシング内部に導入される。ケーシング内部に導入されたリード線の先端を回路基板に半田付けしただけでは、リード線が外方向に引っ張られた場合、その張力が半田付け部に直接作用して断線するおそれがあるので、リード線を引っかけることによりリード線が抜け方向に移動しない抜け止め部をケーシング内部に形成し、その抜け止め部にリード線を絡げている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−310448号公報(
図1、
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成では、リード線が2本の場合について図示されており、上記特許文献1の
図5には、抜け止め部を図において向かって左側に集約して形成している。このように抜け止め部を片側に集約して形成すると、グロメットを通過してケーシング内に導入されたリード線が全て同一の方向に延在することになる。リード線をケーシングの外側において、抜け止め部が集約されている方向に引っ張ると、弾性体であるグロメットはリード線が引かれた方向に圧縮変形して、ケーシングに形成した配線穴との間に隙間が生じ、あるいは配線穴からグロメットが外れてしまうという不具合が生じるおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、リード線をケーシングの外側でどの方向に引っ張ってもグロメットと配線穴との間に隙間が生じたり、グロメットが配線穴から脱落しない風呂リモコンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明による風呂リモコンは、水密なケーシングを備え、このケーシングの後面を浴室の壁面に取り付ける浴室リモコンであって、壁面から延びるリード線をケーシング内部に導入する配線穴をケーシングの後面に設け、この配線穴を閉塞するゴム製のグロメットを配線穴に嵌入し、グロメットに形成された小孔を通してリード線をケーシング内部に導入するものにおいて、上記リード線は複数本であって、リード線の本数と同数の小孔を上記グロメットに形成し、各小孔に1本ずつリード線を挿通し、挿通後のリード線をケーシング内部で放射状に拡がった状態で弛みなく保持する抜け止め部を形成したことを特徴とする。
【0007】
複数本のリード線を放射状に保持することにより、ケーシングの外側でいずれの方向にリード線が引っ張られても、グロメットを変形させない方向に支えるリード線が生じ、その結果グロメットが変形しない。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明は、複数本のリード線を放射状の保持することによってグロメットの変形を防止するので、ケーシングの外側でリード線がいずれの方向に引っ張られても、グロメットが変形して配線穴との間に隙間が生じたり、配線穴からグロメットが脱落するなどの不具合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】前ケースと後ケースとを接合する前に半田付けを完了した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、1は浴室リモコンの前ケースで有り、この前ケース1に後方から後ケース2が水密に連結することにより内部が防水された浴室リモコンとなる。この前ケース1には電子部品が実装された回路基板3が固定されている。一方、後ケース2には中央に配線穴21が形成されており、その配線穴21にはゴム製のグロメット22が嵌合されている。4は複数本のリード線41が束ねられたハーネスで有り、リード線41にばらした状態で各リード線41をグロメット22に形成した小孔22aを通して浴室リモコンの内部へ導入させている。
【0011】
各リード線41の先端は回路基板3の後面に形成した複数の半田付け部31のうちの対応するものに半田付けされる。なお、この半田付け作業は手作業によって行われる。
【0012】
図2を参照して、グロメット22の小孔22aを各々通過した各リード線41は後ケース2の前面、すなわち内側面に形成された抜け止め部23に絡げられて固定される。このように各リード線41を抜け止め部23に絡げることにより、ハーネス4が後方に引かれても各リード線41に対する引っ張り力は抜け止め部23で受けられ、リード線41が後方に抜けてしまうことが防止できる。そして、各抜け止め部23は各リード線41が配線穴21を中心にして放射状に拡がるように形成した。
【0013】
このように各リード線41を放射状になるように保持し、かつ、小孔22aから抜け止め部23までの部分のリード線41を弛みなく張ることにより、ハーネス4を後ケース2の裏面に対して平行ないずれの方向に引っ張っても、各リード線41のうちのいずれかのリード線41に張力が生じ、その張力を抜け止め部23が受けるので、ゴム製のグロメット22はハーネス4が引っ張られた方向に圧縮変形せず、その結果、グロメット22が配線穴21から脱落することが防止される。
【0014】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0015】
1 前ケース
2 後ケース
21 配線穴
22 グロメット
22a 小孔
23 抜け止め部
3 回路基板
31 半田付け部
4 ハーネス
41 リード線