特許第6249413号(P6249413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249413
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】粉末洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/06 20060101AFI20171211BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20171211BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20171211BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20171211BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20171211BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20171211BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   C11D17/06
   C11D3/04
   C11D3/386
   C11D3/20
   C11D1/29
   C11D1/22
   C11D1/14
【請求項の数】18
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-216853(P2014-216853)
(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-143329(P2015-143329A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2017年9月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-271109(P2013-271109)
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】石塚 仁
(72)【発明者】
【氏名】黎 俊傑
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 佐知子
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−016116(JP,A)
【文献】 特開2007−238861(JP,A)
【文献】 特開2013−213184(JP,A)
【文献】 特表2002−509981(JP,A)
【文献】 特表2007−522336(JP,A)
【文献】 特表2008−519148(JP,A)
【文献】 特表2010−529250(JP,A)
【文献】 特表2013−519757(JP,A)
【文献】 特表2015−508445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 17/06
C11D 1/14
C11D 1/22
C11D 1/29
C11D 3/04
C11D 3/20
C11D 3/386
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成分:アニオン性界面活性剤 0.1質量%以上、50質量%以下、
(b)成分:第一酸解離定数が1以上、5以下であり、最大酸解離定数が7以下であり、分子量が46以上、5,000以下であるカルボン酸 1質量%以上、15質量%以下、並びに
(c)成分:無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物 30質量%以上、80質量%以下を含有する粉末洗浄剤組成物であって、
(a)成分として、アルキル基の炭素数が10以上、16以下、エチレンオキシド平均付加モル数が1以上、3以下のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩及びアルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種以上と、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキル硫酸エステル塩とを含有し、
アルキル基の炭素数が10以上、16以下、エチレンオキシド平均付加モル数が1以上、3以下のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩を(a)AESと表示し、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩を(a)LASと表示し、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキル硫酸エステル塩を(a)ASと表示して、(a)AS/〔(a)AES+(a)LAS〕の質量比が0.05以上、0.9以下であり、
(a)成分/(b)成分の質量比が1以上、40以下であり、
20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩の含有量が10質量%以下であり、
タンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のプロテアーゼの造粒物及びタンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のセルラーゼの造粒物の含有量が合計で4質量%以下であり、
該粉末洗浄剤組成物が20℃の水で300倍に希釈されたときのpHが2.5以上、6.5以下である、
粉末洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記粉末洗浄剤組成物が、アルカリ度100mg/L、硬度10゜DHの20℃の水で300倍に希釈されたときのpHが3.4以上、6.5以下である、請求項1記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項3】
プロテアーゼ及びセルラーゼの含有量が合計で、タンパク質としての含有量で、0.2質量%以下である、請求項1または2記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項4】
(a)AES及び(a)LASの合計量に対する(a)ASの質量比が、(a)AS/〔(a)AES+(a)LAS〕で、0.05以上、0.5以下である、請求項1〜3の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項5】
(a)成分中、(a)AES、(a)LAS及び(a)ASの割合は、80質量%以上、100質量%以下である、請求項1〜4の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項6】
(a)成分を、10質量%以上、40質量%以下含有する、請求項1〜5の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項7】
(b)成分の分子量が46以上、500以下である、請求項1〜6の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項8】
(b)成分の20℃の水100gに対する溶解度が、0.2g以上、500g以下である、請求項1〜の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項9】
(b)成分が、クエン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及びこれらの塩から選ばれるカルボン酸である、請求項1〜の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項10】
(b)成分を、1質量%以上、10質量%以下含有する、請求項1〜9の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項11】
(a)成分/(b)成分の質量比が、1以上、20以下である、請求項1〜10の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項12】
(c)成分が、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムから選ばれる化合物である、請求項1〜11の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項13】
(d)成分としてノニオン性界面活性剤を0質量%以上、30質量%以下含有し、(d)成分/(a)成分の質量比が0/100以上、70/30以下である、請求項1〜12の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項14】
(d)成分が、下記一般式(1)の化合物である、請求項13に記載の粉末洗浄剤組成物。
1−O[(EO)a/(PO)b]−H (1)
〔式中、Rは炭素数10以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基である。aは数平均付加モル数であり0以上、30以下の数、bは数平均付加モル数であり0以上、10以下の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。〕
【請求項15】
20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩の含有量が、組成物中、8質量%以下である、請求項1〜14の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項16】
衣料の洗濯に用いる、請求項1〜15の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項17】
食器の洗浄に用いる、請求項1〜15の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項18】
請求項1〜16の何れか1項記載の粉末洗浄剤組成物を用いる、衣料の手洗い洗濯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末洗浄剤組成物、及び衣料の手洗い洗濯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末洗浄剤組成物では、洗浄液のpHをアルカリ性にすることで洗浄力が高まると考えられることから、一般的にアルカリ成分が配合されている。
【0003】
特許文献1には、アルカリ成分として炭酸アルカリ塩や炭酸水素アルカリ塩を含有する粉末洗浄組成物が、衣料等の洗濯において襟袖の汚れに対し優れた洗浄力を発揮することが開示されている。
【0004】
近年では、アジア地域の洗濯機の普及が増加する傾向にあるが、洗浄力、経済性の観点、文化的背景、洗濯意識などから、手洗い洗濯が依然として広く行われている。手洗い洗濯は、洗濯機による洗濯と比較した場合、汚れの落ち具合、衣料の種類など、状況に応じたきめ細かい洗浄に適している。
【0005】
しかし、手洗い洗濯は、肉体的、精神的疲労感が伴う作業である。また、洗浄剤を計量する場合や溶解する場合に手で粉末洗浄剤をつかみ水の中で撹拌するため、洗浄剤中の成分の影響により刺激を感じる場合がある。さらに洗濯中は、長時間洗濯液の中に手を入れているため、アルカリ成分や洗浄成分の影響で手にぬるつきや刺激を感じ、また洗濯後にも手の乾燥や洗浄成分の残留によるべたつきが発生するために不快感を伴い、ハンドクリームなどでケアしなければならない場合がある。そのために、衣料用洗浄剤に関しても洗浄成分のマイルド性を訴求した商品が求められている。
【0006】
特許文献2には、洗濯洗剤、特に、洗濯機の洗浄水内で6前後のpHを提供することができる重質液体洗濯洗剤が、布地上の黒ずみを生じる付着物を分解すること、改良されたグリース洗浄及びお茶やワインなどの漂白可能な汚れの洗浄のために有用であり得ることが開示されている。
【0007】
特許文献3には、洗濯洗剤、特に、洗濯機の洗浄水内で6前後のpHを提供することができる重質液体洗濯洗剤が、汚れ落ちに優れ衣料に洗剤成分が残留しないことが開示されている。
【0008】
特許文献4には、酸性プロテアーゼを配合した酸性洗浄剤組成物が、コーヒーなどのシミ汚れの除去に優れ、水中の硬度成分により形成されるスケール付着を防止できることが開示されている。
【0009】
また、特許文献5には、アルカリ成分及び陽イオン基を有するポリマーが配合された食器洗浄機用粉末洗浄剤組成物が、食物の汚れ落ちやウォータースポット形成抑制効果に優れることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013−213184号公報
【特許文献2】特表2008−519148号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0184195号
【特許文献4】特表2002−509981号公報
【特許文献5】特開2007−238861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1は、アルカリ成分を多量に含んでいるため洗浄力に優れるが、アジア地域での手洗い洗濯において手に重大なダメージを与えてしまうため、改善の余地があった。また、手洗い洗濯では、アルカリ成分を比較的多く含む洗浄剤であっても、食品由来の油汚れに対しては、意外にも洗浄力が十分に発揮できないことが判明した。
特許文献2及び3の洗剤組成物は液体状態であり、洗濯機で使用することが想定されている。しかし、アジア地域での手洗い洗濯者は粉末洗剤の使用者が多いため、使用感に関して改善の余地があった。また、手のダメージは、洗浄時のpH、並びに界面活性剤の濃度によって大きく影響されるが、特許文献2及び3では、組成物の手への影響に関して何ら明示されておらず、特に界面活性剤の濃度と手への刺激性との関係についての開示は不十分であった。さらに、特許文献2及び3では、大きな課題とされている手洗い場面における食品由来の油汚れに対する洗浄力が低く、改善の余地があった。
【0012】
特許文献4では、多量に配合されている酸性プロテアーゼの効果により、手洗い時に手に重大なダメージを与えてしまうことや、食品由来の油汚れに対する洗浄力が不十分であるため、改善の余地があった。
【0013】
特許文献5は、アルカリ成分により優れた食品由来の油汚れに対する洗浄力を発揮するが、食器洗浄機でつめこみ洗いや「スピードコース」で使用すると、使用後に食器にアルカリ成分が残留することで滑りが発生する場合があった。そのため、食器洗浄機用の洗浄剤においても、ぬるつきを抑制できる洗浄力の更なる向上が望まれていた。
【0014】
本発明の課題は、水への溶解性に優れ、食品由来の油汚れに対する高洗浄力を有し、手肌に優しく、また、洗浄後の対象物にぬるつきが残留しにくい粉末洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、
(a)成分:アニオン性界面活性剤 0.1質量%以上、50質量%以下、
(b)成分:第一酸解離定数が1以上、5以下であり、最大酸解離定数が7以下であり、分子量が46以上、5,000以下であるカルボン酸 1質量%以上、15質量%以下、並びに
(c)成分:無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物 30質量%以上、80質量%以下を含有する粉末洗浄剤組成物であって、
(a)成分として、アルキル基の炭素数が10以上、16以下、エチレンオキシド平均付加モル数が1以上、3以下のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩及びアルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種以上と、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキル硫酸エステル塩とを含有し、
アルキル基の炭素数が10以上、16以下、エチレンオキシド平均付加モル数が1以上、3以下のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩を(a)AESと表示し、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩を(a)LASと表示し、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキル硫酸エステル塩を(a)ASと表示して、(a)AS/〔(a)AES+(a)LAS〕の質量比が0.05以上、0.9以下であり、
(a)成分/(b)成分の質量比が1以上、40以下であり、
20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩の含有量が10質量%以下であり、
タンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のプロテアーゼの造粒物及びタンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のセルラーゼの造粒物の含有量が合計で4質量%以下であり、
該粉末洗浄剤組成物が20℃の水で300倍に希釈されたときのpHが2.5以上、6.5以下である、
粉末洗浄剤組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、上記本発明の粉末洗浄剤組成物を用いる、衣料の手洗い洗濯方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、水への溶解性に優れ、食品由来の油汚れに対する高洗浄力を有し、手肌に優しく、また、洗浄後の対象物にぬるつきが残留しにくい粉末洗浄剤組成物が提供される。
本発明の粉末洗浄剤組成物は、衣料の洗濯においては、洗浄時のpHを酸性に保つことで食品由来の油汚れに対して高い洗浄力を有する。また、本発明の粉末洗浄剤組成物は、水への溶解性に優れるため残留物がない。また、本発明の粉末洗浄剤組成物は、手肌へのダメージを低減できる。また、本発明の粉末洗浄剤組成物は、食器の洗浄又は食器洗浄機による洗浄においては、洗浄後の食器のぬるつきを低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を用いることに加えて、後述する水で希釈された後の洗浄pHの条件が重要である。
【0019】
<(a)成分>
(a)成分はアニオン性界面活性剤である。本発明の粉末洗浄剤組成物は、(a)成分として、アルキル基の炭素数が10以上、16以下、好ましくは14以下、エチレンオキシド平均付加モル数が1以上、3以下のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩〔以下、(a)AESという〕及びアルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩〔以下、(a)LASという〕から選ばれる1種以上と、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキル硫酸エステル塩〔以下、(a)ASという〕とを含有する。
(a)成分は、(a)AES及び(a)LASから選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤と、(a)ASとを含み、任意にこれら以外のアニオン性界面活性剤を含む。
【0020】
洗浄pH7.0未満、中でも6.5以下での油汚れに対する洗浄力の観点から、(a)AES及び(a)LASの含有量の合計に対する(a)ASの含有量の質量比は、(a)AS/〔(a)AES+(a)LAS〕で、0.9以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、より好ましくは0.5以下である。また、すすぎ性の観点から、(a)AS/〔(a)AES+(a)LAS〕の質量比は、0.05以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2以上である。すなわち、本発明では、(a)成分のアルキル基の炭素数が10以上、16以下、エチレンオキシド平均付加モル数が1以上、3以下のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩を(a)AESと表示し、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩を(a)LASと表示し、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキル硫酸エステル塩を(a)ASと表示して、(a)AS/〔(a)AES+(a)LAS〕の質量比が前記範囲にある。
【0021】
(a)AES、(a)LAS及び(a)ASと以外のアニオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数10以上、18以下のアルケニル基を有するアルケニルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10以上、18以下のアルケニル基と平均付加モル数1〜10のアルキレンオキシ基を有するポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、炭素数10以上、18以下のアルケニル基を有するアルケニル硫酸エステル塩、炭素数10以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数10以上、18以下のα−スルホ脂肪酸塩、脂肪酸部分の炭素数が10以上、18以下であり、エステル部分の炭素数1以上、5以下であるα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩、炭素数12以上、16以下の高級脂肪酸又はその塩(石鹸)等が挙げられる。
【0022】
アニオン性界面活性剤の塩としてはアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0023】
硬水中での洗浄力及びすすぎ性の観点から、(a)成分中、(a)AES、(a)LAS及び(a)ASの割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である、又は、100質量%である。
【0024】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、(a)成分として、(a)AESと(a)ASとを含有することが好ましい。
【0025】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、食品由来の油汚れに対する洗浄力の観点から、(a)成分のアニオン性界面活性剤を、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、そして50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下含有する。
【0026】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、第一酸解離定数が1以上、5以下であり、最大酸解離定数が7以下であり、分子量が46以上、5,000以下であるカルボン酸である。
【0027】
(b)成分は、洗浄時に使用される水のpHを引き下げ、且つ洗浄中のpHを酸性領域に保つ効果がある。
洗浄中のpHを酸性領域に保つ観点から、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する有機化合物が使用される。効率的にpHを低下させ且つ粉末を素早く溶解させる目的から、分子内のカルボキシル基数は1個以上、好ましくは2個以上であり、そして、好ましくは10個以下、より好ましくは8個以下、より好ましくは6個以下である。(b)成分は、酸型又は部分的に中和された化合物が好ましく、中和度は0%以上、そして、60%以下、好ましく40%以下である。
【0028】
(b)成分は、第一酸解離定数(pKa1)が1以上、5以下であり、最大酸解離定数(pKamax)が7以下である。本発明における(b)成分の最大酸解離定数(pKamax)とは、水中、20℃での酸解離定数のうち、塩として中和されていない状態のカルボキシル基において、分子内の置換基の中で最も高いpKaを示すものを指す。水道水はアルカリ度の影響により、通常、pHが7.0を超えており、且つ緩衝能のために酸性成分を添加してもpHが低下しにくい水である。このような水に対して、pKamaxが7を超える化合物を加えた場合、pHを効果的に低下させることができない。例えばクエン酸の場合、20℃におけるpKa1が3.1、pKa2が4.8、pKa3が6.4であるため、pKamaxは6.4となり、クエン酸1ナトリウムの場合、20℃におけるpKa1が4.8、pKa2が6.4であり、pKa3に由来するカルボキシル基はナトリウム塩となっているため無視できる。したがってpKamaxはpKa2の6.4となる。(b)成分は、洗浄時のpHを効率的に低下させる観点から、pKamaxは7以下であり、好ましくは6.8以下、より好ましくは6.6以下である。そして、好ましくは1以上、より好ましくは2以上である。
【0029】
また、(b)成分は、洗浄時の粉末溶解性の観点から、分子量は5,000以下であり、好ましくは3,000以下、より好ましくは1,000以下、より好ましくは500以下、より好ましくは250以下である。また、(b)成分は、基剤の安全性や臭いの観点から、分子量は46以上であり、好ましくは80以上、より好ましくは100以上である。
【0030】
さらに、(b)成分は、粉末製造及び保存安定性の観点から、20℃の水100gに対する溶解度が、好ましくは0.2g以上、より好ましくは1g以上、より好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、より好ましくは30g以上、より好ましくは50g以上であり、そして、好ましくは500g以下、より好ましくは300g以下である。
【0031】
(b)成分としては、例えばクエン酸(pKa1:3.1、pKamax:6.4、分子量:192.1、20℃の水100gに対する溶解度73g)、マロン酸(pKa1:2.9、pKamax:5.7、分子量:104.1、20℃の水100gに対する溶解度139g)、マレイン酸(pKa1:1.9、pKamax:6.6、分子量:116.1、20℃の水100gに対する溶解度78g)、フマル酸(pKa1:3.0、pKamax:4.5、分子量:116.1、20℃の水100gに対する溶解度0.6g)、ギ酸(pKa1:3.8、pKamax:3.8、分子量:46.0)、シュウ酸(pKa1:1.3、pKamax:4.3、分子量:90.0、20℃の水100gに対する溶解度10g)、プロピオン酸(pKa1:4.9、pKamax:4.9、分子量:74.1)、乳酸(pKa1:3.8、pKamax:3.8、分子量:90.1、20℃の水100gに対する溶解度88g)、酢酸(pKa1:4.6、pKamax:4.6、分子量:60.1)、リンゴ酸(pKa1:3.4、pKamax:5.1、分子量:134.1、20℃の水100gに対する溶解度56g)、酒石酸(pKa1:3.2、pKamax:4.8、分子量:150.1、20℃の水100gに対する溶解度21g)、コハク酸(pKa1:4.2、pKamax:5.6、分子量:118.1、20℃の水100gに対する溶解度5.8g)、グリコール酸(pKa1:3.8、pKamax:3.8、分子量:76.1、20℃の水100gに対する溶解度10g)、安息香酸(pKa1:4.2、pKamax:4.2、分子量:122.1、20℃の水100gに対する溶解度0.3g)、サリチル酸(pKa1:2.8、pKamax:2.8、分子量:138.1、20℃の水100gに対する溶解度0.2g)、フタル酸(pKa1:2.9、pKamax:5.1、分子量:166.1、20℃の水100gに対する溶解度0.7g)、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸(pKa1:2.8、pKamax:5.9、分子量:210.1、20℃の水100gに対する溶解度1.5g)、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸、pKa1:1.9、pKamax:5.6、分子量:254.2、20℃の水100gに対する溶解度1.5g)、及びこれらの塩から選ばれるカルボン酸が挙げられる。中でも、クエン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及びこれらの塩から選ばれるカルボン酸が好ましく、クエン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、及びこれらの塩から選ばれるカルボン酸がより好ましく、クエン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、及びこれらの塩から選ばれるカルボン酸がより好ましい。塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましい。(b)成分は、水和物であっても無水物であっても良い。
【0032】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、洗浄に使用される水のpHを下げる観点と基剤コストの面から、(b)成分を、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、そして、15質量%以下、好ましくは13質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下含有する。
【0033】
また、本発明の粉末洗浄剤組成物は、食物油に対する洗浄力並びに洗浄時のpHの観点から、(a)成分/(b)成分の質量比が、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、より好ましくは3.5以上であり、そして、40以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、より好ましくは7以下、より好ましくは5以下である。(a)成分/(b)成分の質量比は、(b)成分の含有量に対する(a)成分の含有量の質量比である。
【0034】
<(c)成分>
(c)成分は、無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物である。本発明の(c)成分は、粉末組成物の形態をなすための骨格として使用されるだけでなく、手洗い時の手の保護を行うことによって界面活性剤による刺激を低減させる効果がある。(c)成分は、無機硫酸塩又は無機ハロゲン化合物であれば、特に限定されるものではないが、例えば手を保護する観点から、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムから選ばれる化合物が好ましい。(c)成分は、水和物であっても無水物であっても良い。
【0035】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、(c)成分として、無機硫酸塩から選ばれる1種以上の化合物を含有することが好ましい。(c)成分中の無機硫酸塩の割合は、100質量%であるか、または、100質量%未満、好ましくは97質量%以下であり、そして、60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
また、本発明の粉末洗浄剤組成物は、(c)成分として、少なくとも硫酸ナトリウムを含むことがより好ましい。(c)成分中の硫酸ナトリウムの割合は、100質量%であるか、または、100質量%未満、好ましくは97質量%以下であり、そして、60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
【0036】
また、本発明の粉末洗浄剤組成物は、(c)成分として、無機硫酸塩から選ばれる1種以上の化合物と、無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物とを含有することも好ましい。(c)成分として無機硫酸塩から選ばれる1種以上の化合物と、無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物とを含む場合、無機硫酸塩/(無機硫酸塩+無機ハロゲン化合物)の質量比は、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上が好ましく、0.8以上が好ましく、0.9以上が好ましく、そして、0.99以下が好ましく、0.97以下がより好ましい。無機硫酸塩/(無機硫酸塩+無機ハロゲン化合物)の質量比は、無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物の含有量の合計に対する無機硫酸塩の含有量の質量比である。
また、本発明の粉末洗浄剤組成物は、(c)成分として硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムとを含むことも好ましい。(c)成分として硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムとを含む場合、硫酸ナトリウム/(硫酸ナトリウム+塩化ナトリウム)の質量比は、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上が好ましく、0.8以上が好ましく、0.9以上が好ましく、そして、0.99以下が好ましく、0.97以下がより好ましい。硫酸ナトリウム/(硫酸ナトリウム+塩化ナトリウム)の質量比は、硫酸ナトリウム及び塩化ナトリウムの含有量の合計に対する硫酸ナトリウムの含有量の質量比である。
【0037】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、長期保存安定性及び粉末製造適性の観点から、(c)成分を、30質量%以上、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上であり、そして、80質量%以下、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下含有する。
【0038】
<(d)成分>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、(d)成分として、ノニオン性界面活性剤を任意に含有することができる。(d)成分は、洗浄補助剤として配合することができる。ノニオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤が好ましく、具体的には、下記一般式(1)の化合物が挙げられる。
−O[(EO)/(PO)]−H (1)
〔式中、Rは炭素数10以上、好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基である。aは数平均付加モル数であり0以上、30以下の数、bは数平均付加モル数であり0以上、10以下の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。〕
【0039】
一般式(1)中、aの数平均付加モル数は好ましくは6以上、より好ましくは7以上、より好ましくは8以上、そして、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、より好ましくは15以下であり、bの数平均付加モル数は0以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、より好ましくは2以下、より好ましくは1以下である。また、一般式(1)においては、EOとPOとはランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよい。
【0040】
食物由来の油汚れに対する洗浄力並びに粉末製造の観点から、(d)成分の含有量は、組成物中、0質量%以上、30質量%以下であり、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。(d)成分を含有する場合の含有量の下限値は、組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上である。
【0041】
(d)成分/(a)成分の質量比は、好ましくは0/100以上であり、そして、好ましくは70/30以下、より好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下、より好ましくは40/60以下、より好ましくは30/70以下である。(d)成分を含有する場合の(d)成分/(a)成分の質量比の下限値は、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、より好ましくは15/85以上である。(d)成分/(a)成分の質量比は、(a)成分の含有量に対する(d)成分の含有量の質量比である。
【0042】
<その他の成分及び使用方法等>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、両性界面活性剤を含有できる。両性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば炭素数8以上、18以下のアルキル基を有するアルキルアミンオキシド、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、ホスホベタイン等が挙げられる。泡立ちの観点から、スルホベタイン、アミドベタイン及びカルボベタインからなる群から選ばれる1種以上の両性界面活性剤が好ましい。両性界面活性剤の含有量は、すすぎ性の観点から、組成物中、好ましくは0質量%以上、10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。
【0043】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、カチオン性界面活性剤を含有できる。カチオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、第4級アンモニウム型界面活性剤又は3級アミン型界面活性剤が好ましく、更にはエーテル結合、オキシアルキレン基、エステル基、又はアミド基で分断されていてもよい炭素数6以上、22以下の炭化水素基を1つ有する第4級アンモニウム型界面活性剤又は3級アミン型界面活性剤が好ましい。カチオン性界面活性剤の含有量は、粉末製造の観点から、組成物中、好ましくは0質量%以上、10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。
【0044】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、洗浄時の手に対する安全性の観点から、20℃の水で300倍に希釈されたときのpHが2.5以上、好ましくは2.6以上、より好ましくは2.8以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは3.2以上、より好ましくは3.4以上、より好ましくは3.6以上、より好ましくは3.8以上、より好ましくは4.0以上であり、そして、油汚れに対する洗浄力の観点から、6.5以下、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下、より好ましくは5.0以下である。このpHにおいて、希釈に使用される水は、洗浄に使用される水の多様性に対応して所定のpHを達成するために、アルカリ度10mg/L以上、300mg/L以下、硬度1゜DH以上、50゜DH以下の水であることが好ましい。更に、本発明の粉末洗浄剤組成物は、アルカリ度100mg/L、硬度10゜DHの20℃の水で300倍に希釈されたときのpHが前記範囲であることがより好ましい。本発明におけるアルカリ度とは、炭酸、炭酸イオン、炭酸水素イオンの総量を炭酸カルシウム(CaCO3換算)の重量に換算した値であり、単位はmg/Lである。
【0045】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、油汚れに対する洗浄性能の観点から、界面活性剤の全量中、(a)成分の含有量は、20質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。また、界面活性剤の全量中、(a)成分の含有量は、好ましくは100質量%以下である。また、界面活性剤の全量中、(a)成分の含有量は、100質量%であってもよい。
【0046】
本発明の粉末洗浄剤組成物には、洗浄性能、手に対するダメージ及び使用時のpHに大きく影響を与えない範囲で洗浄剤の成分として公知の成分を配合することができる。具体的には、漂白剤(過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤、柔軟化剤(ベントナイト等)、還元剤、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、香料、酵素(セルラーゼ、プロテアーゼ、ペプチナーゼ、リパーゼ、デキストラナーゼ、アミラーゼ等)、着色剤、無機ケイ酸塩等が挙げられる。
【0047】
本発明の粉末洗浄剤組成物では、洗浄時のpHを酸性に保つ範囲内で、水に溶解したときにアルカリ性を示す無機炭酸塩を配合することができるが、洗浄時のpHを7未満、更に6.5以下に保持する観点から、20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩の含有量が10質量%以下である。20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩の含有量は、組成物中、8質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩の含有量は組成物中、0質量%以上であり、0質量%であってもよい。さらに、本発明では、20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩/(b)成分の質量比は、好ましくは70/30以下、より好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下であり、そして、好ましくは0/100以上である。20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩/(b)成分の質量比は、(b)成分の含有量に対する20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩の含有量の質量比である。
【0048】
なお、20℃の水100gに対する溶解度が0.1g未満である無機炭酸塩は、洗浄時のpHを低下させないことから、本発明の効果を損なわない範囲の量で、任意に配合することができる。この無機炭酸塩の溶解度は、0.1g未満であり、0.05g以下であることが好ましく、0.02g以下であることがより好ましい。20℃の水100gに対する溶解度が0.1g未満である無機炭酸塩の含有量は、組成物中、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。特に限られるものではないが、20℃の水100gに対する溶解度が0.1g未満である無機炭酸塩としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛などが挙げられ、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムから選ばれる無機炭酸塩が好ましい。
【0049】
本発明では、手洗い時の感触などを考慮して、プロテアーゼ造粒物とセルラーゼ造粒物の含有量が制限される。これにより、プロテアーゼ及びセルラーゼの含有量が制限される。
【0050】
すなわち、本発明の粉末洗浄剤組成物は、タンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のプロテアーゼの造粒物及びタンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のセルラーゼの造粒物の含有量が合計で4質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。これら造粒物の含有量の合計は0質量%以上であり、0質量%であってもよい。なお、酵素造粒物についてのタンパク質は、それぞれの造粒物の酵素となるタンパク質をいう。
【0051】
プロテアーゼの含有量は、組成物中、タンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下の造粒物として、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下である。このプロテアーゼ造粒物の含有量は、組成物中、0質量%以上であり、0質量%であってもよい。また、セルラーゼの含有量は、組成物中、タンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下の酵素造粒物として、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。このセルラーゼ造粒物の含有量は、組成物中、0質量%以上であり、0質量%であってもよい。
【0052】
酵素造粒物中のタンパク質含有量は、バイオ・ラッド社のタンパク質定量キッド(標準タンパク:牛血清アルブミン)を用いて測定することができ、フォーリン・ローリー法(O.H.Lowryら、J.Biol.Chem.,193,265(1951))によって定量できる。酵素造粒物1gに含有されるタンパク質の含有量は、造粒物製造及び安全性の観点から、プロテアーゼ造粒物及びセルラーゼ造粒物、それぞれ、1mg以上、好ましくは3mg以上、より好ましくは5mg以上であり、そして、300mg以下、好ましくは200mg以下、より好ましくは150mg以下である。
【0053】
また、本発明の粉末洗浄剤組成物では、プロテアーゼ及びセルラーゼの含有量の合計が、タンパク質としての含有量で、0.2質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.08質量%以下がより好ましく、そして、0質量%以上であり、0質量%であってもよい。プロテアーゼ又はセルラーゼを含有する場合の含有量の合計の下限値は、タンパク質としての含有量で、組成物中、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上がより好ましい。
【0054】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、衣料用として好適であり、衣料用粉末洗浄剤組成物としての態様を含む。衣料用の場合、手洗い洗濯に用いることができ、洗濯時の濃度は、水1Lに対する濃度として、油汚れに対する洗浄力及びすすぎ性の観点から、好ましくは1.0g以上、より好ましくは1.5g以上、より好ましくは2.0g以上であり、そして、好ましくは20g以下、より好ましくは15g以下、より好ましくは10g以下である。目的に応じて洗濯機でも使用でき、洗濯機で使用する場合、油汚れに対する洗浄力及び使用時のpHの観点から、水1Lに対する濃度は好ましくは0.3g以上、より好ましくは0.5g以上、より好ましくは0.7g以上であり、そして、好ましくは10g以下、より好ましくは5g以下、より好ましくは3g以下である。
【0055】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、硬質表面用、更に食器用としても好適であり、食器用粉末洗浄剤組成物としての態様を含む。本発明の粉末洗浄剤組成物は、食物油由来の汚れ落ちに優れることから、手洗い用の食器洗い洗浄剤又は自動食器洗浄機用の食器洗い洗浄剤としても使用できる。自動食器洗浄機用の食器洗い洗浄剤として使用する場合、洗浄後の食器のぬるつきを低減する観点から、水1Lに対する濃度は好ましくは1g以上、より好ましくは1.5g以上であり、そして、好ましくは5g以下、より好ましくは2g以下である。
【0056】
本発明の粉末洗浄剤組成物を用いた洗浄方法として、本発明の粉末洗浄剤組成物と水とを混合して得たpH2.5以上、6.5以下の洗浄水を用いて、食品由来の油汚れが付着した衣料又は食器を洗浄する、衣料又は食器の洗浄方法が挙げられる。食品由来の油汚れは、色素を含むものが挙げられ、特に限られるものではないが、例えばラー油が挙げられる。本発明の洗浄方法は、洗浄後の衣料又は食器を水ですすぐ工程を有することができる。組成物と混合する水のアルカリ度は10mgL以上、300mg/L以下から選択できる。また、組成物と混合する水の硬度は1゜DH以上、50゜DH以下から選択できる。よって、組成物と混合する水は、アルカリ度10mg/L以上、300mg/L以下、硬度1゜DH以上、50゜DH以下の水が挙げられる。
【0057】
洗浄に使用される水は、地質の影響や微生物の存在により、炭酸、炭酸イオン、炭酸水素イオンを含有することが知られており、これらのイオン量の指標としてアルカリ度が用いられている。水中での炭酸イオンと炭酸水素イオンのpKaはそれぞれ10.3及び6.3(20℃)であることから、pH10.3並びに6.3近傍でpH緩衝能を持つため、洗浄液のpHが各pKaに近づくと少量の酸成分やアルカリ成分ではpHの変化が起きにくくなる。
【0058】
一般的な洗浄に使用される水のpHが6〜8であることを考慮すると、アルカリ度の主因子は炭酸水素イオンであり、洗浄pHを水よりも低下させる場合にpH6.3付近で緩衝作用を発現する。アジア地域におけるアルカリ度は総じて高く、50〜200mg/Lであるため、酸性成分を添加してもpHが変化しにくい水である。
【0059】
また、洗浄に使用される水には、一般的にカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの硬度成分が含まれており、洗浄力やすすぎ性に影響を与える。これらの金属イオンは、(b)成分のようなカルボキシル基を持つ化合物に捕捉される。また、(b)成分は水素イオンを放出するため、洗浄pHを低下させることができる。洗浄に使用される水の硬度は、洗浄に使用される水のpHを下げる観点から、1°dH以上、更に2°dH以上、更に3°dH以上、更に5°dH以上であっても使用できる。一方、水の硬度は、洗浄力の観点から50°dH以下、好ましくは40°dH以下、より好ましくは30°dH以下、より好ましくは25°dH以下である。
【0060】
本発明の粉末洗浄剤組成物を製造する方法は、特に限られるものではないが、例えば押し出し造粒法、圧縮造粒法、溶融造粒法、噴霧乾燥造粒法、流動層造粒法、破砕造粒法、撹拌造粒法、液晶造粒法、真空凍結乾燥造粒法、ドライ中和造粒法などが挙げられ、これらの製造方法を単一または組み合わせて使用しても良い。嵩密度は製造方法によって異なるが、好ましくは200g/L以上、より好ましくは300g/L以上、より好ましくは350g/L以上であり、そして、好ましくは1000g/L以下、より好ましくは900g/L以下、より好ましくは800g/L以下である。平均粒径は、好ましくは100μm以上であり、150μm以上がより好ましく、200μm以上がより好ましく、好ましくは800μm以下であり、750μm以下がより好ましく、700μm以下がより好ましい。噴霧乾燥造粒法は、前記範囲の嵩密度や平均粒径を有する組成物を得るのに適している。
【0061】
本発明のより具体的な態様を以下に例示する。
<1>
(a)成分:アニオン性界面活性剤 0.1質量%以上、50質量%以下、
(b)成分:第一酸解離定数が1以上、5以下であり、最大酸解離定数が7以下であり、分子量が46以上、5,000以下であるカルボン酸 1質量%以上、15質量%以下、並びに
(c)成分:無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物 30質量%以上、80質量%以下を含有する粉末洗浄剤組成物であって、
(a)成分として、アルキル基の炭素数が10以上、16以下、エチレンオキシド平均付加モル数が1以上、3以下のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩及びアルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種以上と、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキル硫酸エステル塩とを含有し、
アルキル基の炭素数が10以上、16以下、エチレンオキシド平均付加モル数が1以上、3以下のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩を(a)AESと表示し、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩を(a)LASと表示し、アルキル基の炭素数が10以上、16以下のアルキル硫酸エステル塩を(a)ASと表示して、(a)AS/〔(a)AES+(a)LAS〕の質量比が0.05以上、0.9以下であり、
(a)成分/(b)成分の質量比が1以上、40以下であり、
20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩の含有量が10質量%以下であり、
タンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のプロテアーゼの造粒物及びタンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のセルラーゼの造粒物の含有量が合計で4質量%以下であり、
該粉末洗浄剤組成物が20℃の水で300倍に希釈されたときのpHが2.5以上、6.5以下である、
粉末洗浄剤組成物。
【0062】
<2>
前記粉末洗浄剤組成物が、アルカリ度100mg/L、硬度10゜DHの20℃の水で300倍に希釈されたときのpHが2.5以上、好ましくは2.6以上、より好ましくは2.8以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは3.2以上、より好ましくは3.4以上、より好ましくは3.6以上、より好ましくは3.8以上、より好ましくは4.0以上であり、そして、6.5以下、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下、より好ましくは5.0以下である、前記<1>記載の粉末洗浄剤組成物。
【0063】
<3>
(a)成分のうち、(a)AES、(a)LAS及び(a)AS以外のアニオン性界面活性剤が、炭素数10以上、18以下のアルケニル基を有するアルケニルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10以上、18以下のアルケニル基と平均付加モル数1〜10のアルキレンオキシ基を有するポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、炭素数10以上、18以下のアルケニル基を有するアルケニル硫酸エステル塩、炭素数10以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数10以上、18以下のα−スルホ脂肪酸塩、脂肪酸部分の炭素数が10以上、18以下であり、エステル部分の炭素数1以上、5以下であるα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩、及び炭素数12以上、16以下の高級脂肪酸又はその塩(石鹸)から選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤である、前記<1>または<2>記載の粉末洗浄剤組成物。
【0064】
<4>
プロテアーゼ及びセルラーゼの含有量の合計が、タンパク質としての含有量で、0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.08質量%以下、そして、好ましくは0質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上である、又は0質量%である、前記<1>〜<3>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0065】
<5>
(a)AES及び(a)LASの合計量に対する(a)ASの質量比が、(a)AS/〔(a)AES+(a)LAS〕で、0.05以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2以上であり、そして、0.9以下、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下である、前記<1>〜<4>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0066】
<6>
(a)成分中、(a)AES、(a)LAS及び(a)ASの割合は、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、そして、100質量%以下である、又は、100質量%である、前記<1>〜<5>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0067】
<7>
(a)成分を、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、そして50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下含有する、前記<1>〜<6>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0068】
<8>
(b)成分中の分子内のカルボキシル基数が2個以上であり、そして、好ましくは10個以下、より好ましくは8個以下、より好ましくは6個以下である、前記<1>〜<7>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0069】
<9>
(b)成分のpKamaxは7以下であり、好ましくは6.8以下、より好ましくは6.6以下である、前記<1>〜<8>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0070】
<10>
(b)成分の分子量は46以上であり、好ましくは80以上、より好ましくは100以上であり、そして、5,000以下であり、好ましくは3,000以下、より好ましくは1,000以下、より好ましくは500以下、より好ましくは250以下である、前記<1>〜<9>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0071】
<11>
(b)成分の20℃の水100gに対する溶解度が、0.2g以上、好ましくは1g以上、より好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、より好ましくは30g以上、より好ましくは50g以上であり、そして、好ましくは500g以下、より好ましくは300g以下である、前記<1>〜<10>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0072】
<12>
(b)成分が、クエン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及びこれらの塩から選ばれるカルボン酸である、前記<1>〜<11>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0073】
<13>
(b)成分を、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、そして、15質量%以下、好ましくは13質量%以下、より好ましくは10質量%以下含有する、前記<1>〜<12>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0074】
<14>
(a)成分/(b)成分の質量比は、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、40以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、より好ましくは7以下、より好ましくは5以下である、前記<1>〜<13>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0075】
<15>
(c)成分が、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムから選ばれる化合物である、前記<1>〜<14>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0076】
<16>
(c)成分として硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムとを含有し、硫酸ナトリウム/(硫酸ナトリウム+塩化ナトリウム)の質量比は、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、0.99以下、好ましくは0.97以下である、前記<1>〜<15>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0077】
<17>
(c)成分を、30質量%以上、好ましくは35質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上であり、そして、80質量%以下、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下含有する、前記<1>〜<16>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0078】
<18>
(d)成分としてノニオン性界面活性剤を0質量%以上、30質量%含有し、(d)成分/(a)成分の質量比が0/100以上、70/30以下である、前記<1>〜<17>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0079】
<19>
(d)成分が、下記一般式(1)の化合物である、前記<18>に記載の粉末洗浄剤組成物。
−O[(EO)/(PO)]−H (1)
〔式中、Rは炭素数10以上、好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基である。aは数平均付加モル数であり0以上、30以下の数、bは数平均付加モル数であり0以上、10以下の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。〕
【0080】
<20>
(d)成分の含有量は、組成物中、1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である、前記<18>又は<19>に記載の粉末洗浄剤組成物。
【0081】
<21>
(d)成分/(a)成分の質量比は、5/95以上、好ましくは10/90以上、より好ましくは15/85以上であり、そして、好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下、より好ましくは40/60以下、より好ましくは30/70以下である、前記<18>〜<20>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0082】
<22>
界面活性剤の全量中、(a)成分の含有量が、20質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、そして、100質量%以下である、又は100質量%であってもよい、又は100質量%である、前記<1>〜<21>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0083】
<23>
タンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のプロテアーゼの造粒物及びタンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のセルラーゼの造粒物の含有量が合計で4質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である、前記<1>〜<22>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0084】
<24>
プロテアーゼの含有量は、組成物中、タンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下の造粒物として、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下である、前記<1>〜<23>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0085】
<25>
セルラーゼの含有量は、組成物中、タンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下の酵素造粒物として、3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下である、前記<1>〜<24>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0086】
<26>
20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩の含有量が、組成物中、8質量%以下、好ましくは4質量%以下である、前記<1>〜<25>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0087】
<27>
衣料の洗濯に用いる、前記<1>〜<26>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0088】
<28>
前記<1>〜<26>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物を用いる、衣料の手洗い洗濯方法。
【0089】
<29>
食器の洗浄に用いる、前記<1>〜<26>の何れかに記載の粉末洗浄剤組成物。
【0090】
本発明は、
(a)成分:アニオン性界面活性剤 0.1質量%以上、50質量%以下、
(b)成分:第一酸解離定数が1以上、5以下であり、最大酸解離定数が7以下であり、分子量が46以上、5,000以下であるカルボン酸 1質量%以上、15質量%以下、並びに
(c)成分:無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物 30質量%以上、80質量%以下を含有する粉末洗浄剤組成物であって、
20℃の水100gに対する溶解度が0.1g以上である無機炭酸塩の含有量が10質量%以下であり、
タンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のプロテアーゼの造粒物及びタンパク質含有量が1mg/酵素造粒物1g以上、300mg/酵素造粒物1g以下のセルラーゼの造粒物の含有量が合計で4質量%以下であり、
プロテアーゼ及びセルラーゼの含有量が合計で、タンパク質含有量として、0.2質量%以下であり、
該粉末洗浄剤組成物が20℃の水で300倍に希釈されたときのpHが2.5以上、7.0未満である、
粉末洗浄剤組成物、及び該粉末洗浄剤組成物を用いる衣料の手洗い洗濯方法を提供する。この粉末洗浄剤組成物には、前記した事項、例えば好ましい化合物、好ましい質量比などを適用することができる。
【実施例】
【0091】
下記の配合成分及び表1〜4の成分を用いて、表1〜4に示す粉末洗浄剤組成物を圧密造粒法により調製した。具体的には(b)成分又は(b’)成分並びに(c)成分をリボンミキサーで混合した後、(a)成分及び(d)成分を噴霧し撹拌することで目的の組成物を得た。任意で、最終工程で前記以外の成分を混合撹拌して配合した。評価は下記の方法で行った。結果を表1〜4に示す。
【0092】
[1]pHの測定法
pHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーター F−23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入した。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用した。
【0093】
次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行った。
【0094】
硬度10゜dH、アルカリ度100mg/L(CaCO換算)、pH7.5、20℃の水を使用し、300倍に希釈された試料(粉末洗浄剤組成物の希釈物)を100mLビーカーに充填し、20℃の恒温槽内にて20℃に調整した。恒温に調整された試料にpH測定用電極を3分間浸し、pHを測定した。結果を、水希釈物のpHとして表に示した。
【0095】
[2]溶解性評価
表の粉末洗浄剤組成物1gを、硬度10゜dH、アルカリ度100mg/L(CaCO換算)、pH7.5、20℃の水1Lを用いて、容量2Lのビーカー中で混合した。攪拌子として長さ5cmの棒状のマグネティックスターラーを用い、1分間800rpmで撹拌し溶解させた。その後、目開きが74mmの金属メッシュを用いてろ過した後、105℃で2時間乾燥し、金属メッシュ上に残った残留物量(g)を測定した。下記式によって溶解率を算出して粉末洗浄剤組成物の溶解性を評価した。
溶解率(%)=[(溶解前の粉末洗浄剤組成物量(1g)−溶解後の残留物量(g))/(溶解前の粉末洗浄剤組成物(1g))]×100
【0096】
[3]洗浄力の評価方法
硬度10゜dH、アルカリ度100mg/L(CaCO換算)、pH7.5、20℃の水3Lに対して、表に示す粉末洗浄剤組成物9gをたらいの中で希釈溶解した。その後、下記の通り調製したラー油汚染布5枚を縫い付けた肌着1枚、並びに浴比調整用の同じサイズの肌着2枚を入れ、全体をかき混ぜた。その後、汚染布を均等に10分間手でこすり洗浄を行った。組成物の希釈に用いた水と同様の水3Lで、2回すすいだ後、手で絞って脱水し、乾燥させた。下記の式により洗浄率を測定した。洗浄及びすすぎに用いる水は、硬度成分としてカルシウム/マグネシウム=6/4にするために、塩化カルシウム・2水和物78.50g及び塩化マグネシウム・6水和物73.58gを1Lのイオン交換水で溶解させたものである。得られた濃厚原液を、アルカリ度、pHを調整した水によって希釈し、10゜dHに調整したものを用いた。アルカリ度として、炭酸水素ナトリウムを使用し100mg/Lになるように調整した後、塩酸を用いてpHを7.5に調整した。洗浄率(%)=[(洗浄後の反射率−洗浄前の反射率)/(白布の反射率−洗浄前の反射率)]×100
白布は、ラー油汚染布の調製に用いた綿メリヤス布の未汚染状態の布である。
反射率は日本電色工業(株)製NDR−10DPで460nmフィルターを使用して測定した。
【0097】
<ラー油汚染布の調製>
市販のS&Bラー油(エスビー食品(株)製、2013年6月購入)0.1mLを6cm×6cmの綿メリヤス布上に均一に塗布し、温度25℃、湿度65RH%、15時間乾燥させた。これを試験に供した。
【0098】
[4]手洗い作業の快適さの評価
上記[3]の「洗浄力の評価方法」での洗濯中及び洗濯後の手の感触により、手洗い作業の快適さを評価した。
具体的には、上記[3]の「洗浄力の評価方法」における、
(I)こすり洗浄中、
(II)こすり洗浄、すすぎ及び脱水終了後のタオルによって手を拭いた直後、及び
(III)前記タオルによって手を拭いた後2分後、
の3つの時期を対象として快適さを評価した。10人のパネラーが、それぞれ、以下の基準で、手洗い作業の快適さを判定した。
上記(I)判定基準は、手にヌルつく場合を「とても不快」又は「やや不快」、水のみと全く同じ感触を「とても快適」又は「やや快適」とした。また、上記(II)及び上記(III)の判定基準は、洗浄剤組成物成分の残留感がある場合を「とても不快」又は「やや不快」、洗浄剤組成物成分の残留感が全くない場合を「とても快適」又は「やや快適」とした。
1人のパネラーから3つの時期の結果を回収し、その平均値を求めた。その平均値を10人分回収し、更に平均値を求め、これを表に示した。
5:とても不快
4:やや不快
3:どちらでもない
2:やや快適
1:とても快適
【0099】
[5]食器への付着残留防止性評価
パナソニック株式会社製自動食器洗浄機(NP−60SS5)を用いた。以下の条件でこの自動食器洗浄機のスピードコースによって汚染皿の洗浄を行った。この洗浄機は、2.2Lの水を20℃から60℃まで徐々に昇温して洗浄し、その後すすぎを1回行った後、乾燥する形式のものである。汚染皿は3枚用い、当該洗浄機の食器受けの上段に垂直に並べた。その際、1枚目と2枚目の間隔を13mm、2枚目と3枚目の間隔を5mmとした。また、食器受けの下段には直径230mmの皿(障害皿)5枚を25mmの等間隔で配置した。なお、ここでの皿の間隔は、一方の皿の外面(裏面)の底部から他方の内面(表面)の縁までの距離である。本試験は、隣接する食器間の距離が狭まってしまった非理想的条件を想定したものであり、同時に障害皿の設置によって水流の掛かりにくい状況を想定している。運転終了後に、各食器を指でこすったときのぬるつき具合を、10人のパネラーにより下記5段階で判定し、平均値を算出した。
5:とてもぬるつく
4:ややぬるつく
3:どちらともいえない
2:ややぬるつかない
1:全くぬるつかない
【0100】
汚染皿:卵黄0.7gを直径103mmの陶器皿にできるだけ均一に塗布し、115℃で1時間変性したもの使用水:硬度10゜dH、アルカリ度100mg/L(CaCO換算)、pH7.5の水、2.2L
使用洗浄機:パナソニック株式会社製自動食器洗浄機(機種NP−60SS5)
洗浄コース:スピードコース
洗浄剤組成物の添加量:6g
【0101】
[6]すすぎ性評価
3枚の肌着を、粉末洗浄剤組成物を750ppmの濃度で水に溶解した洗浄液に15分間浸した後、肌着を50回もみ洗いし、含水量が100〜140%程度になるように絞った。
一方、モデル円形洗面器(底面の直径(内径)25cm、高さ15cmの円柱状のアクリル製容器)に、すすぎ水として、水温20℃、炭酸カルシウム換算で179mg/Lの硬水5Lを注入した。この硬水は、ドイツ硬度で10°DHの硬水に相当する。また、この硬水は、塩化カルシウムCaCl・2HOの1.58gと硫酸マグネシウムMgSO・6HOの1.45gとに、イオン交換水を加えて10Lとしたものであり、Ca/Mg=6/4(モル比)であった。
すすぎ水を注入した前記洗面器の中に、これら3枚の肌着を投入した。これら肌着をすすぎ水中でほぐした後、肌着の1枚をエリの部分を持って浴中から上に持ち上げ、即ち、浴中から洗面器上約5cmの高さまで衣類全体が抜け切るまで持ち上げ、その後、再び浴中へ戻した。このような上下運動によるすすぎを1枚の肌着につき10回繰り返した後、肌着の含水量が肌着に対して100〜140%程度になるように洗面器から10cm上で絞った。絞った肌着は洗面器の外に取り出した。3枚目の肌着を絞った直後のすすぎ水の液面状態を観察し、下記の基準でポイントをつけた。
ポイント
6:液面全体を泡高さ1cm以上の泡が残っている
5:液面全体に泡が残っている(泡高さ1cm未満)
4:液面の1/2程度に泡(泡高さ1cm未満)が残っている
3:液面の1/4程度に泡(泡高さ1cm未満)が残っている
2:液面に細かい泡が残っている
1:液面に泡が残っていない
【0102】
[7]配合成分
(a)成分
・AES−Na(1):炭素数10〜16の直鎖1級アルキル基を有するポリオキシエチレン(平均付加モル数2)アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、エマール270S(花王(株)製)
・AES−Na(2):炭素数12の直鎖1級アルキル基を有するポリオキシエチレン(平均付加モル数3)アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、エマール20C(花王(株)製)
・LAS−Na:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ネオペレックスG−15(花王(株)製)
・AS−Na:ラウリル硫酸エステルナトリウム、エマール0(花王(株)製)
・MES-Na:炭素数14のα−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム
・FA-Na:炭素数12の高級脂肪酸ナトリウム(花王(株)製)
【0103】
(b)成分
・クエン酸(pKa1=3.1、pKa2=4.8、pKa3=6.4(pKamax)、分子量192.1、20℃の水100gに対する溶解度73g)
・マロン酸(pKa1=2.9、pKa2=5.7(pKamax)、分子量104.1、20℃の水100gに対する溶解度139g)
・ピロメリット酸(1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、pKa1=1.9、pKa2=2.9、pKa3=4.5、pKa4=5.6(pKamax)、分子量254.2、20℃の水100gに対する溶解度1.5g)
・マレイン酸(pKa1:1.9、pKamax:6.6、分子量:116.1、20℃の水100gに対する溶解度78g)
・フマル酸(pKa1:3.0、pKamax:4.5、分子量:116.1、20℃の水100gに対する溶解度0.6g)
・ギ酸(pKa1:3.8、pKamax:3.8、分子量:46.0)
・シュウ酸(pKa1:1.3、pKamax:4.3、分子量:90.0、20℃の水100gに対する溶解度10g)
・プロピオン酸(pKa1:4.9、pKamax:4.9、分子量:74.1、20℃の水100gに対する溶解度37g)
・乳酸(pKa1:3.8、pKamax:3.8、分子量:90.1、20℃の水100gに対する溶解度88g)
・酢酸(pKa1:4.6、pKamax:4.6、分子量:60.1)
・リンゴ酸(pKa1:3.4、pKamax:5.1、分子量:134.1、20℃の水100gに対する溶解度56g)
・酒石酸(pKa1:3.2、pKamax:4.8、分子量:150.1、20℃の水100gに対する溶解度21g)
・コハク酸(pKa1:4.2、pKamax:5.6、分子量:118.1、20℃の水100gに対する溶解度5.8g)
・グリコール酸(pKa1:3.8、pKamax:3.8、分子量:76.1、20℃の水100gに対する溶解度10g)
・安息香酸(pKa1:4.2、pKamax:4.2、分子量:122.1、20℃の水100gに対する溶解度0.3g)
・サリチル酸(pKa1:2.8、pKamax:2.8、分子量:138.1、20℃の水100gに対する溶解度0.2g)
・フタル酸(pKa1:2.9、pKamax:5.1、分子量:166.1、20℃の水100gに対する溶解度0.7g)
・1,2,3−ベンゼントリカルボン酸(pKa1:2.8、pKamax:5.9、分子量:210.1、20℃の水100gに対する溶解度1.5g)
【0104】
(b’)成分
・グリシン(pKa1=2.3、pKa2=9.6(pKamax)、分子量75、20℃の水100gに対する溶解度25g)
・リジン(pKa1=2.2、pKa2=9.0(pKamax)、分子量146.2、20℃の水100gに対する溶解度10g)
【0105】
(c)成分
・硫酸ナトリウム
・塩化ナトリウム
【0106】
(d)成分
・ノニオン性界面活性剤1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数12、平均付加モル数10、エマルゲン110L;花王(株)製)
・ノニオン性界面活性剤2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数12、平均付加モル数20、エマルゲン121;花王(株)製)
【0107】
(e)成分
・炭酸ナトリウム
・アルカリプロテアーゼ(KAP;花王(株)製、タンパク質含有量が100mg/酵素造粒物1gの造粒物)
・セルラーゼ(KAC;花王(株)製、タンパク質含有量が20mg/酵素造粒物1gの造粒物)
・カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC)
・活性白土(ガレオンアース NV;水澤化学工業(株))
・PEG13000(ポリオキシエチレングリコール、分子量13000、SINO−Japan製)
・香料
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
表中、酵素の含有量は、酵素タンパク質としての含有量である。