【実施例】
【0021】
以下、本発明を適用した革製品用洗浄剤の特性について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。
【0022】
【表1】
本実施例において、革製品用洗浄剤に含有される各成分を上記表1の割合で混合し、実施例及び比較例の特性を評価した。特性の評価項目として、汚れ除去性、拭き取り容易性、及び革製品の損傷性の3項目を評価した。各評価項目に用いたサンプル作成の手順は、「JISL1919:繊維製品の防汚性試験方法」を参考に、下記方法に沿って実施した。
【0023】
評価サンプルとして、約3年間使用された自動車用のレザーシート(牛革)を準備し、60mm×100mmに切り出したものを用いた。評価サンプルにおいて、洗浄部(評価対象部)及び未洗浄部(評価基準部)を二分するためのマスキングテープを貼った。その後、洗浄部に各洗浄剤をスプレーにより1グラム噴射し、10秒間置いた後、豚毛ブラシで力を入れずに5往復した。その後、水で湿らせたマイクロファイバータオルにて洗浄剤を拭き取り、乾いたタオルで洗浄部表面に残った水分を拭き取った。最後に、マスキングテープを剥がして各評価を実施した。
【0024】
汚れ除去性の評価は、「JISL0805:染色用グレースケール」を参考にした目視評価を用い、洗浄部と未洗浄部との外観を比較して10段階で評価した。すなわち、評価1は洗浄部と未洗浄部との差が見えない状態を示し、評価2から評価10へ増加するに伴い、洗浄部と未洗浄部の差が明確になった状態を示す。
【0025】
拭き取り容易性の評価は、洗浄部において下記5レベルを基準とした目視を実施し、10段階で評価した。すなわち、レベル1は目視で洗浄剤の残りが見える状態を示し、評価2とした。レベル2は目視では見えないが、触ると油分が残っており明らかに手に付着する状態を示し、評価4とした。レベル3は、目視では見えないが、油分が少し残っており、指を擦ると付着する状態を示し、評価6とした。レベル4は、手で触れても油分を確認できないが、水滴を垂らすと撥水する状態を示し、評価8とした。レベル5は、手で触れても油分を確認できず、水滴を垂らしても撥水しない状態を示し、評価10とした。
【0026】
また、レベル1に比べて明らかに洗浄剤の残りが見える状態を、評価1とした。レベル1とレベル2との間の状態を、評価3とした。レベル2とレベル3との間の状態を、評価5とした。レベル3とレベル4との間の状態を、評価7とした。レベル4とレベル5との間の状態を、評価9とした。
【0027】
革製品の損傷性の評価は、洗浄部において下記5レベルを基準とした目視を実施し、10段階で評価した。すなわち、レベル1は色合いが濃くなっており、擦った部分が荒れている状態を示し、評価2とした。レベル2は色合いが若干濃くなっており、擦った部分が少し異なる感触の状態を示し、評価4とした。レベル3は、色合いの変化はないが、擦った部分が少し荒れた感じになっている状態を示し、評価6とした。レベル4は、色合いの変化も擦りの変化もないが若干風合いの差が感じられる状態を示し、評価8とした。レベル5は、色合い、擦り、風合いの変化もなくしっとり感が出ている状態を示し、評価10とした。
【0028】
また、レベル1に比べて色合いが明らかに濃く、擦った部分が明らかに荒れている状態を、評価1とした。レベル1とレベル2との間の状態を、評価3とした。レベル2とレベル3との間の状態を、評価5とした。レベル3とレベル4との間の状態を、評価7とした。レベル4とレベル5との間の状態を、評価9とした。
【0029】
表1に示すように、比較例1〜4では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量が2.00重量%未満、及びメタケイ酸ナトリウム九水和物の含有量が2.00重量%未満の少なくとも何れかである。このため、革製品に対する汚れ除去性が6未満であり、革製品の美観性を保てないことが確認された。
【0030】
比較例5では、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩の含有量が0.09重量%である。このため、革製品に対する汚れ除去性が5であり、革製品の美観性を保てないことが確認された。
【0031】
比較例6では、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールの含有量が9.00重量%である。このため、革製品に対する汚れ除去性が5であり、革製品の美観性を保てないことが確認された。
【0032】
比較例7では、メタケイ酸ナトリウム九水和物の含有量が3.10重量%である。このため、革製品に対する汚れ除去性が5、及び拭き取り容易性が5であり、革製品の美観性を保てないことが確認された。
【0033】
比較例8では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量が4.10重量%である。このため、革製品に対する汚れ除去性が4、及び拭き取り容易性が5であり、革製品の美観性を保てないことが確認された。
【0034】
比較例9では、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールの含有量が21.00重量%である。このため、革製品の損傷性が5であり、革製品の美観性を保てないことが確認された。
【0035】
比較例10では、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩の含有量が1.60重量%である。このため、革製品に対する汚れ除去性が5、及び拭き取り容易性が5であり、革製品の美観性を保てないことが確認された。
【0036】
上述した比較例1〜10に対し、本実施例1〜8では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量が2.00重量%以上4.00重量%以下であり、メタケイ酸ナトリウム九水和物の含有量が2.00重量%以上3.00重量%以下であり、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩が0.10重量%以上1.50重量%以下であり、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールの含有量が10.00重量%以上20.00重量%以下である。このため、革製品に対する汚れ除去性が6以上、拭き取り容易性が6以上、及び革製品の損傷性が6以上であり、革製品の美観性を保つことが確認された。
【0037】
また、本実施例1〜3、及び本実施例5では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量が2.00重量%以上3.00重量%以下であり、メタケイ酸ナトリウム九水和物の含有量が2.00重量%以上3.00重量%以下であり、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩が0.10重量%以上1.00重量%以下であり、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールの含有量が10.00重量%以上15.00重量%以下である。このため、革製品に対する汚れ除去性が6以上、拭き取り容易性が7以上、及び革製品の損傷性が8以上であり、引き取り容易性及び革製品の損傷性の向上が確認された。
【0038】
以上、本実施形態における革製品用洗浄剤によれば、革表面の汚れを落とすとともに、革表面の劣化を抑制することができる。これにより、革製品の美観性を保つことが可能となる。
【0039】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。