【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年7月24日、塩野義製薬株式会社が、ウェブサイト(1)https://www.release.tdnet.info/inbs/140120170721436027.pdf(2) https://www.release.tdnet.info/inbs/140120170721436033.pdf(3)http://www.shionogi.co.jp/company/news/2017/qdv9fu0000016yfx−att/170724.pdf(4)http://www.shionogi.co.jp/ir/pdf/p170724.pdf(5) http://www.shionogi.co.jp/en/company/news/2017/pmrltj0000003ft2−att/e170724.pdf(6) http://www.shionogi.co.jp/en/ir/pdf/e_p170724.pdfにて公表。 平成29年7月25日、塩野義製薬株式会社が、ウェブサイト(7) http://www.net−ir.ne.jp/presen/4507ex1707/pc/index.htmlにて公表。 平成29年7月31日、塩野義製薬株式会社が、ウェブサイト(8)https://www.release.tdnet.info/inbs/140120170728442160.pdf(9)http://www.shionogi.co.jp/ir/pdf/p170731.pdf(10)http://www2.tse.or.jp/disc/45070/140120170728442190.pdf(11)http://www.shionogi.co.jp/en/ir/pdf/e_p170731.pdfにて公表。 平成29年8月1日、塩野義製薬株式会社が、ウェブサイト(12)http://www.net−ir.ne.jp/presen/45071707/pc/index.html(13) http://www.net−ir.ne.jp/presen/4507ex1707e/pc/index.htmlにて公表。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は特に断りのない限り、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。
「含む」という用語は、構成要件に限定されず、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
【0014】
「置換基群Aで置換されていてもよい」とは、置換基群Aから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよいことを意味する。
【0015】
本明細書における「プロドラッグ」とは、以下の反応式:
【化24】
(式中、各記号は上記と同意義である)
における式(II)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を指し、生体内における生理条件下で薬物代謝酵素、加水分解酵素、胃酸、腸内細菌等によって引き起こされる分解反応によって、式(III)で示される化合物に変換されることにより、キャップ依存的エンドヌクレアーゼ(CEN)阻害活性、および/またはCPE抑制効果を示す化合物を意味する。
該プロドラッグは、より好ましくは、式(III)で示される化合物よりも、生体内投与時におけるバイオアベイラビリティおよび/またはAUC(血中濃度曲線下面積)が向上している化合物を意味する。
したがって、該プロドラッグは、生体への投与(例えば、経口投与)後に、胃および/または腸等で効率よく体内に吸収され、その後、式(III)で示される化合物に変換されるため、好ましくは、式(III)で示される化合物よりも高いインフルエンザ治療及び/又は予防効果を示す。
「
【化25】
(式中、各記号は上記(1)と同意義)
で示される基」の1つの態様とは、式:
【化26】
(式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子であり、R
2、R
3、R
4およびR
5のフッ素原子の数は、1または2である)で示される基が挙げられる。
別の態様としては、式:
【化27】
で示される基が挙げられ、式:
【化28】
で示される基が好ましく、特に式:
【化29】
で示される基が好ましい。
【0016】
本明細書における「プロドラッグを形成する基」とは、以下の反応式:
【化30】
【0017】
(式中、各記号は上記と同意義である)
の、式(II)における「P
R」基を指し、−OP
R基の部分が、生体内における生理条件下で薬物代謝酵素、加水分解酵素、胃酸、腸内細菌等によって引き起こされる分解反応によって、式(III)における−OH基に変換される基を示す。
該「プロドラッグを形成する基」は、より好ましくは、式(III)で示される化合物に付加することによって、式(III)で示される化合物のバイオアベイラビリティおよび/またはAUC(血中濃度曲線下面積)を向上させる基を意味する。
【0018】
プロドラッグを形成する基としては、例えば、Prog.Med.5:2157−2161(1985)、およびSupplied by The British Library−“The world's Knowledge''に記載されている基が挙げられる。
式(I)または式(II)の「プロドラッグを形成する基」は、生体内で−OP
R基が−OH基に変換される基であればよく、好ましくは、例えば以下の式a)〜ac)から選ばれる基を包含する。
a)−C(=O)−P
R0、
b)−C(=O)−P
R1、
c)−C(=O)−L−P
R1、
d)−C(=O)−L−O−P
R1、
e)−C(=O)−L−O−L−O−P
R1、
f)−C(=O)−L−O−C(=O)−P
R1、
g)−C(=O)−O−P
R2、
h)−C(=O)−N(−K)(P
R2)、
i)−C(=O)−O−L−O−P
R2、
j)−C(P
R3)
2−O−P
R4、
k)−C(P
R3)
2−O−L−O−P
R4、
l)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−P
R4、
m)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−P
R4、
n)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−N(−K)−P
R4、
o)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−L−O−P
R4、
p)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−L−N(P
R4)
2、
q)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−N(−K)−L−O−P
R4、
r)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−N(−K)−L−N(P
R4)
2、
s)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−L−O−L−O−P
R4、
t)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−L−N(−K)−C(=O)−P
R4、
u)−C(P
R3)
2−O−P(=O)(−P
R5)
2、
v)−C(P
R3)
2−P
R6、
w)−C(=N
+(P
R7)
2)(−N(P
R7)
2)、
x)−C(P
R3)
2−C(P
R3)
2−C(=O)−O−P
R2、
y)−C(P
R3)
2−N(−K)−C(=O)−O−P
R2、
z)−P(=O)(−P
R8)(−P
R9)、
aa)−S(=O)
2−P
R10、
ab)−P
R11、および
ac)−C(P
R3)
2−C(P
R3)
2−O−P
R2
(式中、Lは、直鎖もしくは分枝状のアルキレン、または直鎖もしくは分枝状のアルケニレンであり、
Kは、水素原子、または置換基群Aで置換されていてもよいアルキルであり、
P
R0は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、または置換基群Aで置換されていてもよいアルケニルであり、
P
R1は、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルアミノ、または置換基群Aで置換されていてもよいアルキルスルファニルであり、
P
R2は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、またはトリアルキルシリルであり、
P
R3は、それぞれ独立して、水素原子、またはアルキルであり、
P
R4は、それぞれ独立して、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルアミノ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、またはトリアルキルシリルであり、
P
R5は、それぞれ独立して、ヒドロキシまたはOBnであり、
P
R6は、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基であり、
P
R7は、それぞれ独立して、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルであり、
P
R8は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルオキシであり、
P
R9は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルアミノ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アミノ、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アミノであり、
P
R8およびP
R9は、隣接するリン原子と一緒になって、置換基群Aで置換されていてもよい複素環を形成してもよく、
P
R10は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり、ならびに
P
R11は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基である。
置換基群A;オキソ、アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノ、アルキルアミノ、炭素環式基、複素環式基、炭素環アルキル、アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニルオキシ、アルキルアミノアルキル、アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、アジド、アルキルスルホニル、トリアルキルシリル、およびホスホ)。
【0019】
本明細書における「プロドラッグ化」とは、以下の反応式:
【化31】
【0020】
(式中、各記号は上記と同意義である)
に示されるように、式(III)またはその製薬上許容される塩のヒドロキシ基を、−OP
R基に変換することを意味する。
【0021】
本明細書における「親化合物」とは、前記「プロドラッグ」を合成する前の原料となる化合物、および/または前記「プロドラッグ」から生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により放出される化合物を意味し、具体的には、前記の式(III)で示される化合物、もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和を意味する。
【0022】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を包含する。特にフッ素原子、および塩素原子が好ましい。
【0023】
「アルキル」とは、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−へプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノニル、n−デシル等が挙げられる。
「アルキル」の好ましい態様として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルが挙げられる。さらに好ましい態様として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチルが挙げられる。
【0024】
「アルケニル」とは、任意の位置に1以上の二重結合を有する、炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは炭素数2〜4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル等が挙げられる。
「アルケニル」の好ましい態様として、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニルが挙げられる。
【0025】
「アルキレン」とは、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分枝状の2価の炭化水素基を包含する。例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等が挙げられる。
【0026】
「アルケニレン」とは、任意の位置に1以上の二重結合を有する、炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは炭素数2〜4の直鎖又は分枝状の2価の炭化水素基を包含する。例えば、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン等が挙げられる。
【0027】
「ヒドロキシアルキル」とは、1以上のヒドロキシ基が、上記「アルキル」の炭素原子に結合している水素原子と置き換わった基を意味する。例えば、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、1,2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
「ヒドロキシアルキル」の好ましい態様として、ヒドロキシメチルが挙げられる。
【0028】
「アルキルオキシ」とは、上記「アルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、へキシルオキシ等が挙げられる。
「アルキルオキシ」の好ましい態様として、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、tert−ブチルオキシが挙げられる。
【0029】
「ハロアルキル」とは、1以上の上記「ハロゲン」が上記「アルキル」の炭素原子に結合している水素原子と置き換わった基を包含する。例えば、モノフルオロメチル、モノフルオロエチル、モノフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、モノクロロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1,2−ジブロモエチル、1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル等が挙げられる。
「ハロアルキル」の一つの態様として、トリフルオロメチル、トリクロロメチルが挙げられる。
【0030】
「アルキルカルボニル」とは、上記「アルキル」がカルボニル基に結合した基を意味する。例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、へキシルカルボニル等が挙げられる。
「アルキルカルボニル」の好ましい態様として、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニルが挙げられる。
【0031】
「アルキルアミノ」とは、上記「アルキル」がアミノ基の窒素原子と結合している水素原子1または2個と置き換わった基を意味する。2個のアルキル基は、同一でも異なっていてもよい。例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ、N−イソプロピル−N−エチルアミノ等が挙げられる。
「アルキルアミノ」の好ましい態様として、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノが挙げられる。
【0032】
「アルキルアミノアルキル」とは、上記「アルキルアミノ」が上記「アルキル」に結合した基を意味する。
【0033】
「アルキルアミノカルボニル」とは、上記「アルキルアミノ」がカルボニル基に結合した基を意味する。
【0034】
「アルキルアミノカルボニルオキシ」とは、上記「アルキルアミノカルボニル」が酸素原子に結合した基を意味する。
【0035】
「アルキルカルボニルアミノ」とは、上記「アルキルカルボニル」がアミノ基の窒素原子と結合している水素原子1個と置き換わった基を意味する。例えば、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、イソプロピルカルボニルアミノ、tert−ブチルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec−ブチルカルボニルアミノ等が挙げられる。
「アルキルカルボニルアミノ」の好ましい態様としては、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノが挙げられる。
【0036】
「アルキルカルボニルオキシ」とは、上記「アルキルカルボニル」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ等が挙げられる。
「アルキルカルボニルオキシ」の好ましい態様としては、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシが挙げられる。
【0037】
「アルキルカルボニルアミノアルキル」とは、上記「アルキルカルボニルアミノ」が上記「アルキル」に結合した基を意味する。
【0038】
「アルキルオキシカルボニル」とは、上記「アルキルオキシ」がカルボニル基に結合した基を意味する。例えば、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、sec−ブチルオキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、へキシルオキシカルボニル等が挙げられる。
「アルキルオキシカルボニル」の好ましい態様としては、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニルが挙げられる。
【0039】
「アルキルオキシカルボニルアルキル」とは、上記「アルキルオキシカルボニル」が上記「アルキル」に結合した基を意味する。
【0040】
「アルキルオキシカルボニルオキシ」とは、上記「アルキルオキシカルボニル」が酸素原子に結合した基を意味する。
【0041】
「アルキルスルファニル」とは、上記「アルキル」がスルファニル基の硫黄原子と結合している水素原子と置き換わった基を意味する。例えば、メチルスルファニル、エチルスルファニル、n−プロピルスルファニル、イソプロピルスルファニル等が挙げられる。
【0042】
「アルキルスルホニル」とは、上記「アルキル」がスルホニル基に結合した基を包含する。例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル等が挙げられる。
「アルキルスルホニル」の一つの態様として、メチルスルホニル、エチルスルホニルが挙げられる。
【0043】
「トリアルキルシリル」とは、上記「アルキル」3個がケイ素原子に結合している基を意味する。3個のアルキル基は同一でも異なっていてもよい。例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル等が挙げられる。
【0044】
「炭素環式基」とは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜16、より好ましくは炭素数4〜12の炭素環式基を意味し、芳香族炭素環式基および非芳香族炭素環式基を包含する。
「芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、環状芳香族炭化水素基を包含する。例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。
「芳香族炭素環式基」の一つの態様として、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルが挙げられる。別の態様として、フェニルが挙げられる。
等が挙げられる。
「非芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、環状飽和炭化水素基または環状非芳香族不飽和炭化水素基を包含する。2環以上の「非芳香族炭素環式基」は、単環または2環以上の非芳香族炭素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族炭素環式基」は、以下のように架橋している環式基、またはスピロ環を形成する環式基も包含する。
【化32】
単環の非芳香族炭素環式基としては、炭素数3〜16が好ましく、より好ましくは炭素数3〜12、さらに好ましくは炭素数3〜8である。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
2環以上の非芳香族炭素環式基としては、例えば、インダニル、インデニル、アセナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。
【0045】
「炭素環」としては、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜16、より好ましくは炭素数4〜12の炭素環を意味し、芳香族炭素環および非芳香族炭素環を包含する。
「芳香族炭素環」とは、単環または2環以上の、環状芳香族炭化水素を包含する。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。
「芳香族炭素環」の一つの態様として、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。別の態様として、ベンゼン環が挙げられる。
「非芳香族炭素環」とは、単環または2環以上の、環状飽和炭化水素または環状非芳香族不飽和炭化水素を包含する。2環以上の「非芳香族炭素環」は、単環または2環以上の非芳香族炭素環に、上記「芳香族炭素環」における環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族炭素環」は、以下のように架橋している環、またはスピロ環を形成する環も包含する。
【化33】
単環の非芳香族炭素環としては、炭素数3〜16が好ましく、より好ましくは炭素数3〜12、さらに好ましくは炭素数3〜8である。例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロヘキサジエン等が挙げられる。
2環以上の非芳香族炭素環としては、例えば、インダン、インデン、アセナフタレン、テトラヒドロナフタレン、フルオレン等が挙げられる。
【0046】
「複素環式基」としては、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、芳香族複素環式基および非芳香族複素環式基を包含する。
「芳香族複素環式基」とは、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、芳香族環式基を包含する。
2環以上の「芳香族複素環式基」は、単環または2環以上の芳香族複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含する。
単環の芳香族複素環式基としては、5〜8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル等が挙げられる。
2環の芳香族複素環式基としては、例えば、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾチアゾリル、ピラジノピリダジニル、オキサゾロピリジル、チアゾロピリジル等が挙げられる。
3環以上の芳香族複素環式基としては、例えば、カルバゾリル、アクリジニル、キサンテニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、ジベンゾフリル等が挙げられる。
「非芳香族複素環式基」とは、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、環状非芳香族環式基を包含する。
2環以上の「非芳香族複素環式基」は、単環または2環以上の非芳香族複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」、「非芳香族炭素環式基」、および/または「芳香族複素環式基」におけるそれぞれの環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族複素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【化34】
単環の非芳香族複素環式基としては、3〜8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。例えば、ジオキサニル、チイラニル、オキシラニル、オキセタニル、オキサチオラニル、アゼチジニル、チアニル、チアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロチアゾリル、テトラヒドロチアゾリル、テトラヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、テトラヒドロジアゼピニル、テトラヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジオキソラニル、ジオキサジニル、アジリジニル、ジオキソリニル、オキセパニル、チオラニル、チイニル、チアジニル等が挙げられる。
2環以上の非芳香族複素環式基としては、例えば、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル、イソクロマニル等が挙げられる。
【0047】
「複素環」としては、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、芳香族複素環および非芳香族複素環を包含する。
「芳香族複素環」とは、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、芳香族環を包含する。
2環以上の「芳香族複素環」は、単環または2環以上の芳香族複素環に、上記「芳香族炭素環」における環が縮合したものも包含する。
単環の芳香族複素環としては、5〜8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾール、トリアジン、テトラゾール、フラン、チオフェン、イソオキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イソチアゾール、チアゾール、チアジアゾール等が挙げられる。
2環の芳香族複素環としては、例えば、インドリン、イソインドリン、インダゾリン、インドリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、ナフチリジン、キノキサリン、プリン、プテリジン、ベンズイミダゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンズオキサジアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、トリアゾロピリジン、イミダゾチアゾール、ピラジノピリダジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン等が挙げられる。
3環以上の芳香族複素環としては、例えば、カルバゾール、アクリジン、キサンテン、フェノチアジン、フェノキサチイン、フェノキサジン、ジベンゾフラン等が挙げられる。
「非芳香族複素環」とは、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、環状非芳香族環を包含する。
2環以上の「非芳香族複素環」は、単環または2環以上の非芳香族複素環に、上記「芳香族炭素環」、「非芳香族炭素環」、および/または「芳香族複素環」におけるそれぞれの環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族複素環」は、以下のように架橋している環、またはスピロ環を形成する環も包含する。
【化35】
単環の非芳香族複素環としては、3〜8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。例えば、ジオキサン、チイラン、オキシラン、オキセタン、オキサチオラン、アゼチジン、チアン、チアゾリジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロチアゾリン、テトラヒドロチアゾリン、テトラヒドロイソチアゾリン、ジヒドロオキサジン、ヘキサヒドロアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、テトラヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ジオキソラン、ジオキサジン、アジリジン、ジオキソリン、オキセパン、チオラン、チアジン等が挙げられる。
2環以上の非芳香族複素環としては、例えば、インドリン、イソインドリン、クロマン、イソクロマン等が挙げられる。
【0048】
「炭素環アルキル」、「炭素環オキシ」、および「炭素環アミノ」の炭素環部分も上記「炭素環」と同様である
【0049】
「複素環アルキル」、「複素環オキシ」、および「複素環アミノ」の複素環部分も上記「複素環」と同様である。
【0050】
本発明に用いられる化合物の特徴は、3環の縮合環が2つ結合した化合物を光学分割することにより、キャップ依存的エンドヌクレアーゼ阻害活性が向上した点である。
【0051】
本発明に用いられる化合物のその他の特徴は、プロドラッグを形成する基を導入することによって、生体への投与後(例えば、経口投与)に効率よく体内に吸収され、高い薬効を示すようにした点である。
【0052】
本発明に用いられる化合物の一つ以上の水素、炭素および/または他の原子は、それぞれ水素、炭素および/または他の原子の同位体で置換され得る。そのような同位体の例としては、それぞれ
2H、
3H、
11C、
13C、
14C、
15N、
18O、
17O、
31P、
32P、
35S、
18F、
123Iおよび
36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素が包含される。本発明に用いられる化合物は、そのような同位体で置換された化合物も包含する。該同位体で置換された化合物は、医薬品としても有用であり、本発明に用いられる化合物のすべての放射性標識体を包含する。また該「放射性標識体」を製造するための「放射性標識化方法」も本発明に包含され、該「放射性標識体」は、代謝薬物動態研究、結合アッセイにおける研究および/または診断のツールとして有用である。
【0053】
本発明に用いられる化合物の放射性標識体は、当該技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、本発明に用いられる化合物のトリチウム標識化合物は、トリチウムを用いた触媒的脱ハロゲン化反応によって、本発明に用いられる特定の化合物にトリチウムを導入することで調製できる。この方法は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在下または非存在下で、本発明に用いられる化合物が適切にハロゲン置換された前駆体とトリチウムガスとを反応させることを包含する。トリチウム標識化合物を調製するための他の適切な方法は、“Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences,Vol.1,Labeled Compounds (Part A),Chapter 6 (1987年)”を参照することができる。
14C−標識化合物は、
14C炭素を有する原料を用いることによって調製できる。
【0054】
本発明に用いられる化合物の製薬上許容される塩としては、例えば、本発明に用いられる化合物と、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、鉄等)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等)およびアミノ酸との塩、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等)との塩が挙げられる。特に塩酸、硫酸、リン酸、酒石酸、メタンスルホン酸との塩等が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
【0055】
本発明に用いられる化合物またはその製薬上許容される塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)および/または結晶多形を形成する場合があり、本発明はそのような各種の溶媒和物および結晶多形も包含する。「溶媒和物」は、本発明に用いられる化合物に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。本発明に用いられる化合物またはその製薬上許容される塩を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。また、本発明に用いられる化合物またはその製薬上許容される塩を、再結晶することで結晶多形を形成する場合がある。
【0056】
プロドラッグを形成する基は、生体への投与(例えば、経口投与)後に、薬物代謝酵素、加水分解酵素、胃酸、および/または腸内細菌等の作用によってOH基に変換される基が好ましい。
【0057】
プロドラッグを形成する基のより好ましい態様として、以下の式a)〜ac)から選ばれる基が挙げられる。
a)−C(=O)−P
R0、
b)−C(=O)−P
R1、
c)−C(=O)−L−P
R1、
d)−C(=O)−L−O−P
R1、
e)−C(=O)−L−O−L−O−P
R1、
f)−C(=O)−L−O−C(=O)−P
R1、
g)−C(=O)−O−P
R2、
h)−C(=O)−N(−K)(P
R2)、
i)−C(=O)−O−L−O−P
R2、
j)−C(P
R3)
2−O−P
R4、
k)−C(P
R3)
2−O−L−O−P
R4、
l)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−P
R4、
m)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−P
R4、
n)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−N(−K)−P
R4、
o)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−L−O−P
R4、
p)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−L−N(P
R4)
2、
q)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−N(−K)−L−O−P
R4、
r)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−N(−K)−L−N(P
R4)
2、
s)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−L−O−L−O−P
R4、
t)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−L−N(−K)−C(=O)−P
R4、
u)−C(P
R3)
2−O−P(=O)(−P
R5)
2、
v)−C(P
R3)
2−P
R6、
w)−C(=N
+(P
R7)
2)(−N(P
R7)
2)、
x)−C(P
R3)
2−C(P
R3)
2−C(=O)−O−P
R2、
y)−C(P
R3)
2−N(−K)−C(=O)−O−P
R2、
z)−P(=O)(−P
R8)(−P
R9)、
aa)−S(=O)
2−P
R10、
ab)−P
R11、および
ac)−C(P
R3)
2−C(P
R3)
2−O−P
R2
(式中、Lは、直鎖もしくは分枝状のアルキレン、または直鎖もしくは分枝状のアルケニレンであり、
Kは、水素原子、または置換基群Aで置換されていてもよいアルキルであり、
P
R0は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、または置換基群Aで置換されていてもよいアルケニルであり、
P
R1は、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルアミノ、または置換基群Aで置換されていてもよいアルキルスルファニルであり、
P
R2は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、またはトリアルキルシリルであり、
P
R3は、それぞれ独立して、水素原子、またはアルキルであり、
P
R4は、それぞれ独立して、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルアミノ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、またはトリアルキルシリルであり、
P
R5は、それぞれ独立して、ヒドロキシまたはベンジルオキシであり、
P
R6は、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基であり、
P
R7は、それぞれ独立して、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルであり、
P
R8は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルオキシであり、
P
R9は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルアミノ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アミノ、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アミノであり、
P
R8およびP
R9は、隣接するリン原子と一緒になって、置換基群Aで置換されていてもよい複素環を形成してもよく、
P
R10は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり、ならびに
P
R11は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基である。
置換基群A;オキソ、アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノ、アルキルアミノ、炭素環式基、複素環式基、炭素環アルキル、アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニルオキシ、アルキルアミノアルキル、アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、アジド、アルキルスルホニル、トリアルキルシリル、およびホスホ)。
【0058】
プロドラッグを形成する基のさらに好ましい態様として、以下の基が挙げられる。
a)−C(=O)−P
R0、
b)−C(=O)−P
R1、
g)−C(=O)−O−P
R2、
h)−C(=O)−N(−K)(P
R2)、
i)−C(=O)−O−L−O−P
R2、
l)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−P
R4、
m)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−P
R4、
o)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−L−O−P
R4、
v)−C(P
R3)
2−P
R6、
x)−C(P
R3)
2−C(P
R3)
2−C(=O)−O−P
R2、
y)−C(P
R3)
2−N(−K)−C(=O)−O−P
R2、および
z)−P(=O)(−P
R8)(−P
R9)
(式中、Lは、直鎖もしくは分枝状のアルキレン、
Kは、水素原子、または置換基群Aで置換されていてもよいアルキルであり、
P
R0は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルであり、
P
R1は、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基であり、
P
R2は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり、
P
R3は、それぞれ独立して、水素原子、またはアルキルであり、
P
R4は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基であり、
P
R6は、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基であり、
P
R8は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルオキシであり、
P
R9は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよいアルキルアミノ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アミノ、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アミノであり、ならびに
P
R8およびP
R9は、隣接するリン原子と一緒になって、置換基群Aで置換されていてもよい複素環を形成してもよい。
置換基群A;オキソ、アルキル、アルキルアミノ、炭素環式基、複素環式基、アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニルオキシ、アルキルオキシ、ニトロ、アジド、アルキルスルホニル、およびトリアルキルシリル)。
上記のプロドラッグを形成する基のうち、a)−C(=O)−P
R0、b)−C(=O)−P
R1、g)−C(=O)−O−P
R2、h)−C(=O)−N(−K)(P
R2)、i)−C(=O)−O−L−O−P
R2、l)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−P
R4、m)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−P
R4、o)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−L−O−P
R4、x)−C(P
R3)
2−C(P
R3)
2−C(=O)−O−P
R2、y)−C(P
R3)
2−N(−K)−C(=O)−O−P
R2がより好ましい。
プロドラッグを形成する基の特に好ましい態様として、以下の基が挙げられる。
m)−C(P
R3)
2−O−C(=O)−O−P
R4
(式中、
P
R3は、それぞれ独立して、水素原子、またはアルキルであり、ならびに
P
R4は、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基である。
置換基群A;オキソ、アルキル、アルキルアミノ、炭素環式基、複素環式基、アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニルオキシ、アルキルオキシ、ニトロ、アジド、アルキルスルホニル、およびトリアルキルシリル)。
P
R3の態様としては、それぞれ独立して、水素原子、またはアルキルが挙げられ、好ましくは水素が挙げられる。
P
R4の態様としては、置換基群Aで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基が挙げられ、好ましくはメチル、エチル等が挙げられる。
置換基群Aの態様としては、オキソ、アルキル、アルキルアミノ、炭素環式基、複素環式基、アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニルオキシ、アルキルオキシ、ニトロ、アジド、アルキルスルホニル、およびトリアルキルシリルが挙げられ、好ましくはフッ素原子、塩素原子、ヒドロキシ、メチル、エチル等が挙げられる。
【0059】
プロドラッグを形成する基の好ましい置換基の別の態様として、以下の基が挙げられる。
【化36】
プロドラッグを形成する基の好ましい置換基の別の態様として、以下の基が挙げられる。
【化37】
【0060】
プロドラッグを形成する基の特に好ましい置換基の態様として、以下の基が挙げられる。
【化38】
【0061】
(本発明の化合物の製造法)
本発明に用いられる化合物の一般的製造法を以下に例示する。また、抽出、精製などは、通常の有機化学の実験で行う処理を行えばよい。
本発明に用いられる化合物の合成は、当該分野において公知の手法を参酌しながら実施することができる。
【0062】
原料化合物は、市販の化合物、本明細書において記載されたもの、本明細書において引用された文献に記載されたもの、およびその他の公知化合物を利用することができる。
本発明の化合物の塩を取得したいとき、本発明に用いられる化合物が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、適当な有機溶媒に溶解もしくは懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
また、本発明に用いられる化合物及びその製薬上許容される塩は、水あるいは各種溶媒との付加物(水和物ないし溶媒和物)の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明に用いられる。
【0063】
一般的合成法、実施例、および中間体合成例中、各略語の意味は以下の通りである。
Boc:tert-ブトキシカルボニル
DBU:ジアザビシクロウンデセン
DMA:N,N−ジメチルアセトアミド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェイト
NMP:N−メチルピロリドン
OBn:ベンジルオキシ
THF:テトラヒドロフラン
T3P:プロピルホスホン酸無水物
WSC・HCl:N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
なお、「くさび形」および「破線」は絶対立体配置を示す。
【0064】
(製法1)
【化39】
(式中、P
1はOHの保護基;R
Pは、アセタールの保護基;Lは脱離基;その他の各記号は、前記と同意義である。)
第1工程
化合物A1に、DMF、THF、ジクロロメタン、アセトニトリル等の溶媒中またはそれらの混合溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−(4, 6−ジメトキシ−1,3,5,−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド、ヘキサフルオロリン酸2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム、WSC・HCl、HATU等の脱水縮合剤存在下、化合物A2を加え、−20℃〜60℃、好ましくは−10℃〜40℃で0.1時間〜24時間、好ましくは1時間〜12時間反応させることにより、化合物A3を得ることができる。
または、化合物A1をTHF、ジオキサン、ジクロロメタン、DMF等の溶媒の存在下、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1−メチルイミダゾール等の塩基の存在下または非存在下、diphenylchlorophosphate、塩化チオニル、塩化オキザリル等のアシル化試薬を加えることにより酸クロライドを生成させ、化合物A2を加え、−20℃〜60℃、好ましくは−10℃〜40℃で0.1時間〜24時間、好ましくは0.5時間〜12時間反応させることにより、化合物A3を得ることができる。
第2工程
化合物A3に、DMF、DMA、NMP、THF等の溶媒の存在下、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、O−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミンを加え、10℃〜60℃、好ましくは20℃〜40℃にて0.1時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間反応させることにより、化合物A4を得ることができる。
第3工程
化合物A4のアセタール保護基の脱保護反応は、Protective Groups in Organic Synthesis, Theodora W Green(John Wiley & Sons)等に記載の一般的な方法で行うことができる。その後、生成したアルデヒド基を分子内反応させることで、化合物A5を得ることができる。
例えば、化合物A4に、DMF、トルエン、THF等の溶媒の存在下、酢酸および/またはパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等を加え、10℃〜80℃、好ましくは30℃〜60℃にて0.5時間〜12時間、好ましくは1時間〜6時間反応させることにより、化合物A5のラセミ体を得ることができる。化合物A5のラセミ体をSFCもしくはHPLCシステム(キラルカラム)で光学分割することにより、化合物A5を得ることができる。
第4工程
化合物A5に、DMF、DMA、NMP、THF等の溶媒の存在下またはそれらの混合溶媒中、化合物A6および、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の塩基を加え、0℃〜60℃、好ましくは10℃〜40℃にて0.1時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間反応させることにより、化合物A7を得ることができる。
また、化合物A5に、DMF、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,4−ジオキサン等の溶媒の存在下またはそれらの混合溶媒中、化合物A6および、T3P、メタンスルホン酸もしくはパラトルエンスルホン酸を加え、40℃〜150℃、好ましくは60℃〜120℃にて0.1時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間反応させることにより、化合物A7を得ることができる。
第5工程
化合物A7の水酸基の保護基の脱保護反応は、Protective Groups in Organic Synthesis, Theodora W Green(John Wiley & Sons)等に記載の一般的な方法で行うことができる。
第6工程
化合物(II)のヒドロキシル基をエステル基またはエーテル基に変換する一般的な方法によって化合物(III)を得ることができる。
例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, Theodora W Green(John Wiley & Sons)、Prog.Med.5:2157-2161(1985)、およびSupplied by The British Library‐“The world's Knowledge”等に記載の方法を利用することができる。
(製法2)
【化40】
(式中、P
2はNHの保護基;L
1およびL
2は、脱離基;その他の各記号は、前記と同意義である。)
第1工程
化合物B1をDMF、THF、ジクロロメタン、アセトニトリル等の溶媒中またはそれらの混合溶媒中、ヨウ化メチル等ハロゲン化アルキルをジアザビシクロウンデセン等塩基存在下、化合物A2を加え、−20℃〜60℃、好ましくは−10℃〜40℃で0.1時間〜24時間、好ましくは1時間〜12時間反応させることにより、化合物B2を得ることができる。
または、化合物B1をTHF、ジオキサン、ジクロロメタン、DMF等の溶媒中またはそれらの混合溶媒中、diphenylchlorophosphate、塩化チオニル、塩化オキザリル等のアシル化試薬を加えることにより酸クロライドを生成させ、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1−メチルイミダゾール等の塩基の存在下または非存在下、アルコールを加え、−20℃〜60℃、好ましくは−10℃〜40℃で0.1時間〜24時間、好ましくは0.5時間〜12時間反応させることにより、化合物B2を得ることができる。
第2工程
化合物B2をTHF、ジオキサン、ジクロロメタン、DMF等の溶媒中またはそれらの混合溶媒中、パラトルエンスルホン酸ピリジニウムとBocヒドラジン等保護されたヒドラジンを作用させ、10℃〜150℃、好ましくは40℃〜100℃にて1時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間反応させることにより、化合物B3を得ることができる。
第3工程
化合物B3のアミ基の保護基の脱保護反応は、Protective Groups in Organic Synthesis, Theodora W Green(John Wiley & Sons)等に記載の一般的な方法で行うことができる。
第4工程
化合物B5をTHF、ジオキサン、ジクロロメタン、DMF等の溶媒中またはそれらの混合溶媒中、−100℃〜0℃にてn−ブチルリチウム等強塩基を作用させた後、ハロギ酸アルキルと0.1時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間反応させることにより、化合物B6を得ることができる。
第5工程
化合物B6をTHF、ジオキサン、ジクロロメタン、DMF等の溶媒中またはそれらの混合溶媒中、−100℃〜0℃にて、リチウムジイソブチルアルミニウムヒドリド等還元剤と0.1時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間反応させることにより、化合物B7を得ることができる。
第6工程
化合物B7をアルコールに溶解し、パラトルエンスルホン酸もしくはメタンスルホン酸と0℃〜100℃にて0.1時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間反応させることにより、化合物B8を得ることができる。
第7工程
化合物B9をTHF、ジオキサン、ジクロロメタン、DMF等の溶媒中またはそれらの混合溶媒中、−40℃〜40℃にてピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1−メチルイミダゾール等の塩基の存在下または非存在下、ハロギ酸アルキルと0.1時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間反応させることにより、化合物B10を得ることができる。
第8工程
化合物B10を、アルコール中、炭酸カリウム等の塩基と過塩素酸テトラエチルアンモニウムに炭素電極(アノード)とプラチナ電極(カソード)を浸し、0.1時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間撹拌しながら0.1〜1.0Aの定電流を流すことにより、化合物B8を得ることができる。
第9〜10工程
化合物B4と化合物B8を用いて製法1の第3〜6工程を実施することで、化合物(I)を得ることができる。
【0065】
本発明に用いられる化合物は、キャップ依存的エンドヌクレアーゼ阻害作用を有する。したがって、本発明に用いられる化合物は、インフルエンザの治療剤および/または予防剤として有用である。
【0066】
本発明に用いられる化合物(親化合物及び/又はプロドラッグ)は、インフルエンザウイルスにより誘発される症状及び/又は疾患に有用である。例えば、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感などを伴う風邪様症状や、咽頭痛、鼻汁、鼻閉、咳、痰などの気道炎症状、腹痛、嘔吐、下痢といった胃腸症状、さらに、急性脳症、肺炎などの二次感染を伴う合併症の治療、予防、及び/又は症状改善に有効である。すなわち、本発明に用いられる化合物は、インフルエンザウイルス感染症の治療及び/又は予防に有用である。
また、本発明に用いられる化合物は、インフルエンザ罹病期間の短縮に有効である。たとえば、約20〜40時間、好ましくは約25〜30時間、インフルエンザ罹病期間を短縮することができる。具体的には、「咳」、「喉の痛み」、「頭痛」、「鼻づまり」、「熱っぽさまたは悪寒」、「筋肉または関節の痛み」、「疲労感」が改善するまでの時間を短縮することができる。特に、「鼻づまり」、「筋肉または関節の痛み」、「疲労感」、「熱っぽさまたは悪寒」、「頭痛」が改善するまでの時間を短縮に有用である。さらには、「鼻づまり」と「筋肉または関節の痛み」が改善するまでの時間の短縮に有用である。
さらに、本発明に用いられる化合物(親化合物及び/又はプロドラッグ)は、体内のインフルエンザウイルスを短い期間で減少させるため、インフルエンザウイルス感染症の治療及び/又は予防に有用な優れた医薬品となりうる。本発明に用いられる化合物の投与後、72時間以内、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内に体内のインフルエンザウイルス量の減少効果が認められ、他剤に比べてより早期の治療効果が期待できる。
【0067】
また、本発明に用いられる化合物は、医薬としての有用性を備えている。
たとえば、本発明に用いられる化合物(プロドラッグ)は、経口吸収性が高い、良好なバイオアベイラビリティを示す、良好なクリアランスを示す、肺移行性が高いなどの利点を有するため、優れた医薬品となりうる。
本発明に用いられる化合物(親化合物)は、キャップ構造依存的エンドヌクレアーゼに対する阻害活性が高い、ウイルス特異的な酵素であるため選択性が高いなどの効果を有するため、副作用が軽減された医薬品となりうる。
さらに、本発明に用いられる化合物(親化合物及び/又はプロドラッグ)は、代謝安定性が高い、溶解度が高い、経口吸収性が高い、良好なバイオアベイラビリティを示す、良好なクリアランスを示す、肺移行性が高い、半減期が長い、非タンパク結合率が高い、hERGチャネル阻害が低い、CYP阻害が低い、CPE(CytoPathic Effect、細胞変性効果)抑制効果が認められ、及び/又は光毒性試験、Ames試験、遺伝毒性試験で陰性を示す、もしくは肝障害などの毒性を有さない等の利点も有する。したがって、本発明の医薬組成物は、優れた医薬品となりうる。
【0068】
本発明に用いられる化合物(親化合物及び/又はプロドラッグ)は、経口的又は非経口的に投与することができる。経口投与による場合、本発明に用いられる化合物は通常の製剤、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形剤;水剤;油性懸濁剤;又はシロップ剤もしくはエリキシル剤等の液剤のいずれかの剤形としても用いることができる。非経口投与による場合、本発明に用いられる化合物は、水性又は油性懸濁注射剤、点鼻液として用いることができる。その調製に際しては、慣用の賦形剤、結合剤、滑沢剤、水性溶剤、油性溶剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、安定剤等を任意に用いることができる。本発明の医薬組成物は、治療及び/又は予防上の有効量の本発明に用いられる化合物を製薬上許容される担体又は希釈剤とともに組み合わせる(例えば混合する)ことによって製造される。本発明に用いられる化合物は経口吸収性が高いため、経口剤として好適に使用できる。
本発明に用いられる化合物の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態及び疾患の種類によっても異なるが、通常、経口投与の場合、成人1日あたり約0.05mg〜3000mg、好ましくは、約0.1mg〜1000mg、さらに好ましくは、約10mg〜80mg、特に好ましくは約10mg〜40mgを、要すれば分割して投与すればよい。別の態様としては、成人の場合約40mgまたは80mgを単回投与すればよい。また、小児の場合は、約5〜40mgを体重に応じて単回投与すればよい。また、非経口投与の場合、成人1日あたり約0.01mg〜1000mg、好ましくは、約0.05mg〜500mg、約1mg〜80mgを投与する。これを1日1回〜数回に分けて投与すれば良い。
【0069】
本発明に用いられる化合物は、該化合物の作用の増強または該化合物の投与量の低減等を目的として、他の薬剤等(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。例えば、インフルエンザの疾患においては、ノイラミニダーゼ阻害剤(例えば、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビルおよびイナビル等)、RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、ファビピラビル)、M2タンパク阻害剤(例えばアマンダジン)、PB2 Cap結合阻害剤(例えば、VX−787)、抗HA抗体(例えば、MHAA4549A)、または免疫作用薬(例えば、ニタゾキサニド)と組み合わせて使用されうる。この際、本発明に用いられる化合物と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明に用いられる化合物との併用薬剤は、それぞれの活性成分を含む2種類以上の製剤として投与されてもよいし、全ての活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。
【0070】
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明に用いられる化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明に用いられる化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
【0071】
以下に本発明の実施例および中間体合成例、ならびに試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0072】
実施例で得られたNMR分析は、300MHzで行い、DMSO−d
6、CDCl
3を用いて測定した。
RTとあるのは、LC/MS:液体クロマトグラフィー/質量分析でのリテンションタイムを表し以下の条件で測定した。
(測定条件)
(1)カラム:ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18 (1.7μm i.d.2.1x50mm)(Waters)
流速:0.8 mL/分;UV検出波長:254nm;
移動相:[A]0.1%ギ酸含有水溶液、[B]0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
3.5分間で5%−100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った後、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
(2)カラム:Shim−pack XR−ODS (2.2μm、i.d.50x3.0mm) (Shimadzu)
流速:1.6 mL/分;UV検出波長:254nm;
移動相:[A]0.1%ギ酸含有水溶液、[B]0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジェント:3分間で10%−100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
【0073】
粉末X線回折パターンの測定
日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、各実施例で得られた結晶の粉末X線回折測定を行った。測定条件を以下に示す。
【0074】
(装置)
リガク社製MinFlex600RINT−TTRIII
(操作方法)
検出器:高速一次元検出器(D/TecUltra2)および可変ナイフエッジ
測定法:反射法
光源の種類:Cu管球
使用波長:CuKα線
管電流:10mA、または15mA
管電圧:30Kv、または40Kv
試料プレート:アルミニウム、またはガラス
X線の入射角(θ):3−40°、サンプリング幅:0.01°、または
X線の入射角(θ):4−40°、サンプリング幅:0.02°
一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は±0.2°の範囲内で誤差が生じ得るので、回折角度の値は±0.2°程度の範囲内の数値も含む。したがって、粉末X線回折におけるピークの回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、ピークの回折角度が±0.2°程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
【0075】
実施例1−1 化合物i1の製造方法
【化41】
第1工程
化合物1(5.0g、49.5mmol)のTHF(100mL)溶液に、窒素雰囲気下、ドライアイス―アセトンで−78℃に冷却下、1.62mol/L n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(30.5mL、49.5mmol)を滴下し、−78℃で2時間撹拌した。反応液にクロロギ酸アリル(5.96g、49.5mmol)のTHF(20mL)溶液を滴下し、−78℃で2時間撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、室温へ昇温後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物2(5.66g、収率62%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:3.83 (t, J = 8.0Hz, 2H), 3.92 (t, J = 8.0Hz, 2H), 4.26 (s, 2H), 4.78 (d, J = 8.0Hz, 2H), 5.30 (d, J = 12.0Hz, 1H), 5.44 (d, J = 16.0Hz, 1H), 5.93-6.03 (m, 1H),
第2工程
化合物2(6.6g、35.6mmol)のTHF(66mL)溶液に、窒素雰囲気下、ドライアイス―アセトンで−78℃に冷却下、1.03mol/L DIBAL−H ヘキサン溶液(45.0mL、46.3mmol)を滴下し、−78℃で1時間撹拌した。反応液をアセトンでクエンチ後、ロッシェル塩水溶液を加えて撹拌し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物3(6.21g、収率93%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:3.44 (br, 1H), 3.50-3.64 (m, 2H), 3.71 (br, 1H), 3.95 (d, J = 8.0Hz, 2H), 4.64 (d, J = 8.0Hz, 2H), 5.24 (d, J = 12.0Hz, 1H), 5.40 (d, J = 16.0Hz, 1H), 5.47 (d, J = 4Hz, 1H), 5.87-6.00 (m, 1H)
第3工程
化合物3(6.2g、33.1mmol)のメタノール(65mL)溶液に、パラトルエンスルホン酸1水和物(0.63g、3.31mmol)を加えて室温で終夜撹拌した。反応液を、炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチ後、濃縮し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物4(5.77g、収率87%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:3.34 (s, 3H), 3.55 (br, 2H), 3.73-3.99 (m, 3H), 4.64 (d, J = 8.0Hz, 2H), 5.10-5.20 (m, 1H), 5.25 (d, J = 8.0Hz, 1H), 5.33 (d, J = 16Hz, 1H), 5.88-6.05 (m, 1H)
第4工程
化合物5(20.0g、81mmol)のDMF(100mL)溶液に、ヨウ化エチル(22.8g、146mmol)とジアザビシクロウンデセン(18.4mL、122mmol)を加えて室温で終夜撹拌した。反応液を10%塩化アンモニウム水溶液に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物6(22.3g、収率100%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.23 (t, J = 8.0Hz, 3H), 4.28 (q, J = 8.0Hz, 2H), 5.16 (s, 2H), 6.57 (d, J = 4.0Hz, 1H), 7.28-7.48 (m, 5H), 8.21 (d, J = 4.0Hz, 1H).
第5工程
化合物6(500mg、1.82mmol)のDMA(5.0mL)溶液に、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(1.37g、5.47mmol)とBocヒドラジン(361mg、2.74mmol)を加えて、60℃で14時間撹拌した。反応液を水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製して化合物7(519mg、収率73%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.24 (t, J = 8.0Hz, 3H), 1.46 (s, 9H), 4.26 (q, J = 8.0Hz, 2H), 5.28 (s, 2H), 6.40 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.27-7.38 (m, 4H), 7.40-7.45 (m, 2H).
第6工程
化合物7(500mg、1.29mmol)を4mol/L塩酸酢酸エチル溶液(5mL)に溶解し、室温で1時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物8(369mg、収率99%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.26 (t, J = 8.0Hz, 3H), 4.31 (q, J = 8.0Hz, 2H), 5.24 (s, 2H), 6.47 (d, J = 8.0, 1H), 7.28-7.44 (m, 5H), 7.64 (d, J = 8.0, 1H).
第7工程
化合物8(365mg、1.27mmol)と化合物4(306mg、1.52mmol)のアセトニトリル(8mL)溶液に、窒素雰囲気下、ドライアイス―四塩化炭素で−25℃に冷却下、四塩化スズ(0.223mL、1.90mmol)を滴下し、−25℃で45分間撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチ後、ジクロロメタンを加え、室温で撹拌し、セライト濾過をし、ろ液をジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、化合物9の粗生成物を得た。得られた化合物9をTHF(8mL)に溶解し、モルホリン(1.10mL、12.7mmol)、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(146mg、0.127mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液にジエチルエーテル(16mL)を加え、析出した固体をろ取し、得られた固体を乾燥させ化合物10(418mg、収率100%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:2.90-2.99 (m, 1H), 3.13 (t, J = 12.0Hz, 1H), 3.40-3.46 (m, 1H), 4.00-4.08 (m, 1H), 4.14 (d, J = 12.0Hz, 1H), 5.07 (s, 2H), 6.22 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.29-7.40 (m, 3H), 7.56 (d, J = 8.0Hz, 2H), 7.71 (d, J = 8.0Hz, 1H)
第8工程
(R)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸(855mg,7.36mmol)、化合物10(2.00g,6.11mmol)の酢酸エチル(9ml)懸濁液に、室温でピリジン(4.00ml,49.6mmol)およびT3P(50%酢酸エチル溶液,11.0ml,18.5mmol)を順次加え、終夜撹拌した。析出した固体をろ取した後、酢酸エチル(4ml)、エタノール(4ml)で順次洗浄した。得られた固体をエタノール(6ml)に懸濁し、室温で6.5時間撹拌した。懸濁液をろ過して得られた固体をエタノール(2ml)で2回洗浄し、化合物11(1.18g,収率45.4%)を得た。
1H-NMR (DMSO)δ: 1.80-1.94(m, 2H), 1.95-2.14(m, 2H), 3.21-3.35-(m, 2H), 3.50-3.60(m, 1H), 3.70-3.82(m, 3H), 4.00-4.05(m, 1H), 4.32-4.38(m, 1H), 5.14(dd, J=10.8Hz, 21.6Hz, 2H), 5.76-5.81(m, 1H), 6.29(d; J=4.8Hz, 1H), 7.28-7.39(m, 3H), 7.48-7.54(m, 2H), 7.64-7.75(m, 1H)
第9工程
化合物11(500mg,1.18mmol)のエタノール(3.5ml)懸濁液に、室温でDBU(0.0035ml,0.023mmol)を加え、30分間撹拌した。得られた懸濁液にジイソプロピルエーテル(6.5ml)を加え、室温で30分間撹拌した。析出した固体をろ取した後、酢酸エチル(1.5ml)で2回洗浄し、化合物i1(346mg,収率89.9%)を得た。
1H-NMR (DMSO)δ: 2.80-3.00(m, 1H), 3.10-3.18(m, 1H), 3.38-3.50(m, 1H), 3.98-4.08(m, 2H), 4.10-4.20(m, 1H), 4.76-4.84(m, 1H), 5.04-5.14(m, 2H), 6.22(m, J=7.6Hz, 1H), 7.27-7.40(m, 4H), 7.56-7.60(m, 2H), 7.70(d, J=7.6Hz, 1H)
【0076】
実施例1−2 化合物i2の製造方法
【化42】
第1工程
化合物13(8.0g、50.8mmol)のジクロロメタン(120mL)懸濁液に、氷浴下トリエチルアミン(17.6mL、127mmol)を加え、クロロギ酸アリル(6.44mL、60.9mmol)を滴下し、0℃で1時間撹拌した。反応液に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を5%クエン酸水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物14(10.1g、収率97%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.96 (br, 4H), 3.62 (s, 4H), 4.60 (s, 2H), 5.22 (d, J = 12.0Hz, 1H), 5.30 (d, J = 16.0Hz, 1H), 5.86-5.99 (m, 1H)
第2工程
化合物14(0.9g、4.39mmol)、炭酸カリウム(60mg、0.44mmol)、過塩素酸テトラエチルアンモニウム(50mg、0.22mmol)のメタノール(30mL)溶液に、炭素電極(アノード)とプラチナ電極(カソード)を浸し、室温で6時間撹拌しながら0.1Aの定電流を流した。反応液に酢酸エチルと水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物15(992mg、収率96%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.81-2.15 (m, 3H), 2.39 (t, J = 12.0Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 3.61 (s, 1H), 4.11 (br, 1H), 4.61 (br, 2H), 5.20-5.36 (m, 2H), 5.57 (br, 1H), 5.88-5.99 (m, 1H)
第3工程
実施例1−1の第7、8工程と同様に反応を行い、化合物16を得た。
第4工程
化合物16(870mg、2.41mmol)をWaters製 SFC30システム(ダイセル製CHIRALPAK IB、液化炭酸−メタノール)でキラル分割し、化合物i2(270mg、収率31%)を得た。
分析条件
<Waters製 SFC30システム>
カラム:CHIRALPAK IB/SFC (5μm、i.d.250x4.6mm) (DAICEL)
流速:8.0 mL/分;UV検出波長:254nm
背圧:100 bar
移動相:[A]液化炭酸、[B]メタノール
1分間、5%溶媒[B]を維持した後に、6分間で5%−40%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った。その後2分間、40%溶媒[B]を維持した後に、1分間、5%溶媒[B]を維持した。
溶出時間: 7.3分
【0077】
実施例1−3 化合物i3の製造方法
【化43】
第1工程
化合物17(4.00g、16.3mmol)のジクロロメタン(40mL)溶液に、氷冷下、シュウ酸ジクロリド(1.56mL、17.9mmol)およびDMF(0.013mL、0.162mmol)を滴下し、室温に上昇しながら5時間撹拌した。反応液を減圧留去し、得られた残渣をジクロロメタン(40mL)に溶解し、氷冷下、2,2,2−トリフルオロエタノール(2.44g、24.4mmol)、トリエチルアミン(4.50mL、32.5mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(99.0mg、0.812mmol)を加え、室温に上昇しながら1時間撹拌した。反応液を減圧留去し、得られた残渣に1mol/L塩酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1mol/L塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、化合物18(5.33g、収率100%)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 4.64 (q, J = 8.2 Hz, 2H), 5.38 (s, 2H), 6.49 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.30-7.38 (m, 3H), 7.43-7.49 (m, 2H), 7.75 (d, J = 5.6 Hz, 1H).
第2〜3工程
実施例1−1の第5、6工程と同様に反応を行い、化合物20を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 4.55 (q, J = 8.3 Hz, 2H), 5.18 (s, 2H), 5.29 (s, 2H), 6.37 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.30-7.42 (m, 6H).
第4、5工程
実施例1−1の第7工程と同様に反応を行い、化合物23を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 342.1 [M+H]
+, RT=1.00,1.09 min, method (1)
第6工程
化合物23(820mg、2.40mmol)のジクロロメタン(16.5mL)溶液に、Boc
2O(0.837mL、3.60mmol)、トリエチルアミン(0.499mL、3.60mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(44.0mg、0.360mmol)を加え、室温で3.5時間撹拌した。反応液に1mol/L塩酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1mol/L塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製して化合物24(593mg、収率56%)および化合物i3(170mg、収率16%)を得た。
化合物24:LC/MS (ESI):m/z = 441.9 [M+H]
+, RT=1.67 min, method (1)
第7工程
化合物24(547mg、1.24mmol)を酢酸(5.5mL)に溶解し、80℃で5時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製して化合物i3(454mg、収率100%)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.46 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 3.45 (dd, J = 10.5, 10.5 Hz, 1H), 3.55 (dd, J = 11.7, 4.3 Hz, 1H), 3.92 (dd, J = 11.7, 3.6 Hz, 1H), 3.95-4.01 (m, 2H), 4.76 (dq, J = 13.9, 4.3 Hz, 1H), 5.19 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 5.36 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 6.28 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.28-7.36 (m, 3H), 7.56-7.61 (m, 2H).
【0078】
実施例1−4 化合物III−2の製造方法
【化44】
第1工程
化合物i1(1100g、3360mmol)及び7,8‐ジフロロ‐6,11‐ジヒドロジベンゾチエピン‐11‐オール(977g、3697mmol)を、50wt% T3Pの酢酸エチル溶液(3208g、5041mmol)及び酢酸エチル(1.1L)に懸濁させた。反応液に、室温でメタンスルホン酸(436ml、6721mmol)を加え、70℃にて5時間30分間攪拌した。氷冷下、反応液に水を加え、室温にて1時間攪拌後、THFを加え酢酸エチルにて抽出した。有機層を水及び8%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をTHF(5.5L)に溶解させ、炭酸カリウム(790g、5713mmol)を加え、50℃に昇温し、ベンジルブロマイド(240ml、2016mmol)を滴下し、60℃にて8時間30分間攪拌した。氷冷下、反応液に2 mol/L塩酸水溶液を滴下し、室温にて10分間攪拌し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水及び8%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。活性炭(Norit SX−2、240g)を加え、セライトろ過し、ろ液を減圧下留去した。得られた残渣に酢酸エチルおよびヘキサンを加え、固体を析出させた後、濾取することにより、化合物25(1019g、1776mmol、収率53%)を得た。
1H-NMR (CDCl
3)δ: 2.88 (1H, t, J = 11.2 Hz), 3.28-3.39 (2H, m), 3.72 (1H, d, J = 12.6 Hz), 3.86 (1H, d, J = 9.6 Hz), 4.03 (1H, d, J = 13.9 Hz), 4.45 (1H, d, J = 8.6 Hz), 4.67 (1H, d, J = 13.1 Hz), 5.19-5.26 (2H, m), 5.45 (1H, d, J = 10.9 Hz), 5.63 (1H, d, J = 10.9 Hz), 5.77 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.40 (1H, d, J = 7.8 Hz), 6.68 (1H, t, J = 6.9 Hz), 6.94-7.01 (2H, m), 7.03-7.12 (3H, m), 7.29-7.38 (3H, m), 7.61 (2H, d, J = 7.1 Hz).
第2工程
化合物25(1200g、2092mmol)のDMA(3.6L)溶液に、室温にてリチウムクロライド(443g、10.5 mol)を加え、80℃にて3時間攪拌した。氷冷下、反応液にアセトン(1.2L)、0.5 mol/L塩酸水溶液(6.0L)及び水(2.4L)を加え、1時間攪拌した。析出した固体をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解し、イソプロピルエーテルを加え、固体を析出させた後、ろ取することにより、化合物III−2(950g、1965mmol、収率94%)を得た。
1H-NMR (CDCl
3)δ: 2.99 (1H, dt, J = 17.5, 6.8 Hz), 3.47 (1H, td, J = 11.9, 2.5 Hz), 3.60 (1H, t, J = 10.6 Hz), 3.81 (1H, dd, J = 11.9, 3.3 Hz), 3.96 (1H, dd, J = 11.0, 2.9 Hz), 4.07 (1H, d, J = 13.8 Hz), 4.58 (1H, dd, J = 10.0, 2.9 Hz), 4.67 (1H, dd, J = 13.5, 1.9 Hz), 5.26-5.30 (2H, m), 5.75 (1H, d, J = 7.8 Hz), 6.69 (1H, d, J = 7.7 Hz), 6.83-6.87 (1H, m), 6.99-7.04 (2H, m), 7.07-7.15 (3H, m).
【0079】
実施例2 化合物III−42の製造方法
【化45】
第1工程
化合物34(947mg、5.56mmol)をトルエン(8ml)に溶解後、トリエチルアミン(0.848ml、6.12mmol)を加えて室温で30分間攪拌した。ジフェニルホスホノアジド(1.32ml、6.12mmol)を加えて80℃で一時間攪拌後、(9H−フルオレン−9−イル)メタノール(5.46g,27.8mmol)を加え120度で一時間加熱還流した。室温に冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した。反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)により精製して化合物35(1.5g、収率74%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ:7.77 (2H, d, J= 7.3 Hz), 7.60 (2H, d, J= 7.3 Hz), 7.41-7.39 (2H, m), 7.32-7.30 (2H, m), 5.10-5.07 (1H, m), 4.75 (1H, brs), 4.41 (2H, d, J= 6.6 Hz), 4.22 (1H, t, J= 6.6 Hz), 3.15-3.12 (1H, m), 3.04-3.01 (1H, m), 2.04-1.96 (2H, m), 1.68 (3H, s), 1.62 (3H, s),1.39-1.37 (1H, m), 1.17-1.15 (1H, m), 0.90 (3H, d, J= 6.6 Hz), 0.87-0.83 (1H, m)
第2工程
化合物35(204mg,0.561mmol)をジオキサン(3ml)および水(1.5ml)の混合液に溶解後、オスミウム(VI)酸カリウム二水和物(10.3mg, 0.028 mmol)、過ヨウ素酸ナトリウム(360mg,1.68mmol)を加えて室温で一晩攪拌を行った。反応を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液で停止した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し粗生成物を得た。粗生成物をメタノール(4ml)に溶解後、トシル酸一水和物(13.8mg,0.072mmol)を加えて室温で二時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製して化合物36(115 mg、収率58%)のジアステレオマー混合物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ:7.80-7.73 (2H, m), 7.60-7.54 (2H, m), 7.45-7.28 (4H, m), 5.36 (0.5H, s), 4.95 (0.5 H, s), 4.62-4.55 (1H, m), 4.48 (1H, d, J= 6.6 Hz), 4.30-4.20 (1H, m), 3.90-3.82 (0.5H, m), 3.74-3.65 (m, 0.5H), 3.20 (1.5H, s), 2.90 (1.5H, s), 2.57 (0.5H, t, J= 11.4 Hz), 2.47 (0.5H, t, J=11.4 Hz), 1.90-1.70 (1H, m), 1.60-1.30 (2.5H, m), 0.93-0.80 (3.5H, m)
第3工程
化合物36(115mg、0.33mmol)とメチル 1−アミノ−3−(ベンジルオキシ)−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリジン−2−カルボキシレート(50mg,0.182mmol)をアセトニトリル(3ml)に溶解後、―30度に冷却した。これに、四塩化スズ(0.032ml,0.27mmol)を加えて四時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウムを加えた後、塩化メチレンを用いて抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製して化合物37(115mg、収率59%)のジアステレオマー混合物を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 595 [M+H]
+, RT=2.49, 2.63 min, method (1)
第4工程
化合物37(20.5g、34.5mmol)をTHF(400ml)に溶解後、ピペリジン(68.4ml,691mmol)を加え室温で二時間攪拌した。反応液をジエチルエーテル(500ml)で希釈した後、生じた沈殿物を濾取することで粗生成物を得た。 粗生成物をエタノール(200ml)に溶解後、DBU(5.06ml,33.6mmol)を加え80度で二時間攪拌した。反応液を濃縮後、得られた固体をTHFにて再結晶を行うことで、化合物38(6.5g、57%)で得た。
LC/MS (ESI):m/z = 340 [M+H]
+, RT=1.29 min, method (1)
第5工程
化合物38(2.0g、5.89mmol)と7,8−ジフルオロ−6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]チエピン−11−オール(2.34g、8.84 mmol)をT3P酢酸エチル溶液(18mL)に溶解し、封管条件下110℃で一時間半撹拌した。水を加えて反応を停止した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をクロロホルム−ヘキサンで再結晶することで化合物39(1.1g、32%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 586 [M+H]
+, RT=2.46 min, method (1)
第6工程
化合物39(1.1g、1.89 mmol)をジメチルアセトアミド(10ml)に溶解後、塩化リチウム(398 mg、9.39 mmol)を加え、120度で攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈後、2mol/L塩酸で有機層を洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去することで化合物III−42(555mg、59.6%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.15-7.03 (4H, m), 7.01-6.94 (1H, m), 6.86-6.82 (1H, m), 6.68 (1H, d, J = 7.8 Hz), 5.78 (1H, d, J = 7.6 Hz), 5.35 (1H, dd, J = 13.8, 2.4 Hz), 5.22 (1H, s), 4.65-4.57 (1H, m), 4.25 (1H, dd, J = 11.4, 2.5 Hz), 4.05 (1H, d, J = 13.9 Hz), 2.18 (1H, t, J = 12.4 Hz), 1.96 (1H, d, J = 13.6 Hz), 1.87-1.57 (5H, m), 1.29-1.22 (2H, m), 0.91 (3H, d, J = 6.6 Hz).
LC/MS (ESI):m/z = 497 [M+H]
+, RT=2.16 min, method (1)
【0080】
実施例3 化合物42の製造方法
【化46】
第1工程
化合物40(1.00g、13.3mmol)をTHF(100mL)に溶解させ、室温で、60%水素化ナトリウム(0.59g、14.7mmol)を加え、窒素気流下室温で30分間撹拌した。クロロ酢酸エチル(1.4mL、13.3mmol)を加え、窒素気流下室温で30分間、90度で3時間撹拌した。減圧濃縮後、残渣にTHF(40mL)を加え、更に、60%水素化ナトリウム(0.59g、14.7mmol)を加え、窒素気流下室温で30分間撹拌した。クロロギ酸アリルを滴下し、室温で3時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)を加え、酢酸エチル(150mL)で抽出した。有機層を水(50mL)および飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製して化合物41(0.96g、収率36%)を得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 1.42 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 3.77-3.89 (m, 2H), 4.19 (d, J = 17.4 Hz, 1H), 4.27-4.36 (m, 2H), 4.74-4.83 (m, 2H), 5.31 (dd, J = 10.4, 1.4 Hz, 1H), 5.46 (dd, J = 17.2, 1.4 Hz, 1H), 5.98 (dddd, J = 17.2, 10.4, 5.6, 5.6 Hz, 1H).
LC/MS (ESI):m/z = 199.8 [M+H]
+, method (1)
第2工程
窒素雰囲気下、化合物41(2.69g、13.5mmol)をTHF(30mL)に溶解させ、ドライアイス―アセトンで−78℃に冷却した。1.02mol/L DIBAL−H ヘキサン溶液(17.2mL、17.6mmol)を滴下し、−78℃で1時間撹拌した。ロッシェル塩水溶液を加えて撹拌し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をメタノール(30mL)に溶解させ、パラトルエンスルホン酸1水和物(0.244g、1.28mmol)を加えて室温で7時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチ後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)により精製して化合物42(2.43g、収率88%)を得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 1.42 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 3.34 (s, 3H), 3.53 (dd, J = 12.0, 2.3 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 11.5, 3.8 Hz, 1H), 3.76 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 4.01 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.06-4.12 (m, 1H), 4.65 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 5.14 (br s, 1H), 5.24 (dd, J = 10.4, 1.3 Hz, 2H), 5.33 (dd, J = 17.3, 1.4 Hz, 2H), 5.95 (ddd, J = 22.6, 10.7, 5.5 Hz, 1H).
【0081】
実施例4 化合物50の製造方法
【化47】
第1工程
化合物43(4.00g、16.3mmol)をジクロロメタン(40mL)に溶解させ、氷冷下、シュウ酸ジクロリド(1.56mL、17.9mmol)およびDMF(0.013mL、0.162mmol)を滴下し、室温に上昇しながら5時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をジクロロメタン(40mL)に溶解させ、氷冷下、2,2,2−トリフルオロエタノール(2.44g、24.4mmol)、トリエチルアミン(4.50mL、32.5mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(99.0mg、0.812mmol)を加え、室温に上昇しながら1時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣に1mol/L塩酸水溶液(100mL)を加え、酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を1mol/L塩酸水溶液(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、化合物44(5.33g、収率100%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.64 (q, J = 8.2 Hz, 2H), 5.38 (s, 2H), 6.49 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.30-7.38 (m, 3H), 7.43-7.49 (m, 2H), 7.75 (d, J = 5.6 Hz, 1H).
第2工程
化合物44(5.33g、16.2mmol)をDMF(55mL)に溶解させ、Bocヒドラジン(1.93g、14.6mmol)およびPPTS(12.2g、0.162mmol)を加え、60度で16時間撹拌した。反応液に水(100mL)を加え、酢酸エチル(300mL)で抽出した。有機層を水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製して化合物45(1.59g、収率22%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.45 (s, 9H), 4.51 (q, J = 8.2 Hz, 2H), 5.29 (s, 2H), 6.42 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.28-7.37 (m, 4H), 7.39-7.43 (m, 2H), 7.68 (brs, 1H).
第3工程
化合物45(1.59g、3.59mmol)を4mol/L塩酸酢酸エチル溶液(16mL)に溶解させ、室温で1.5時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え、ジクロロメタン(200mL)で抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、化合物46(1.18g、収率96%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.55 (q, J = 8.3 Hz, 2H), 5.18 (s, 2H), 5.29 (s, 2H), 6.37 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.30-7.42 (m, 6H).
第4工程
化合物46(1.18g、3.45mmol)および化合物42(890mg、4.14mmol)をアセトニトリル(24mL)に溶解させ、−30度で四塩化スズ(0.607mL、5.17mmol)を滴下し、−30度で1時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200mL)およびジクロロメタン(200mL)を加え、不要物を濾去した。有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製して化合物47(1.22g、収率67%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 525.9 [M+H]
+, RT=2.02 min, method (1)
第5工程
化合物47(1.15g、2.19mmol)をTHF(23mL)に溶解させ、窒素雰囲気下、モルホリン(0.953mL、10.9mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(126mg、0.109mmol)を加え、室温で7.5時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製して化合物48(890mg、収率quant.)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 342.1 [M+H]
+, RT=1.00, 1.09 min, method (1)
第6工程
化合物48(820mg、2.40mmol)をジクロロメタン(16.5mL)に溶解させ、Boc
2O(0.837mL、3.60mmol)、トリエチルアミン(0.499mL、3.60mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(44.0mg、0.360mmol)を加え、室温で3.5時間撹拌した。反応液に1mol/L塩酸水溶液(50mL)を加え、酢酸エチル(125mL)で抽出した。有機層を1mol/L塩酸水溶液(50mL)および飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製して化合物49(593mg、収率56%)および化合物50(170mg、収率16%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 441.9 [M+H]
+, RT=1.67 min, method (1)
第7工程
化合物49(547mg、1.24mmol)を酢酸(5.5mL)に溶解させ、80度で5時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製して化合物50(454mg、収率quant.)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.46 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 3.45 (dd, J = 10.5, 10.5 Hz, 1H), 3.55 (dd, J = 11.7, 4.3 Hz, 1H), 3.92 (dd, J = 11.7, 3.6 Hz, 1H), 3.95-4.01 (m, 2H), 4.76 (dq, J = 13.9, 4.3 Hz, 1H), 5.19 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 5.36 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 6.28 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.28-7.36 (m, 3H), 7.56-7.61 (m, 2H).
【0082】
実施例5 化合物55の製造方法
【化48】
第1工程
化合物51(19.2g,77.8mmol)および炭酸カリウム(16.13g,117mmol)のアセトン(190 mL)の懸濁液に、チオフェノール(8.01mL、78mmol)を加え、40℃で、1時間撹拌した。反応液を25℃に冷却し、酢酸エチルおよび水を加えて酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水で2回洗浄し、減圧濃縮し、化合物52を得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 3.93 (3H, s), 4.93 (2H, s), 7.03-7.07 (1H, m), 7.18-7.35 (6H, m), 7.93 -8.06 (1H, m).
第2工程
化合物52(21.5g, 77.8mmol)のメタノール(60mL)およびTHF(40mL)溶液に氷浴下、2mol/L水酸化ナトリウム(97.0mL,195mmol)を滴下した。反応液を終夜静置した。反応液を減圧濃縮し、水を加えた。得られた水層をヘキサンで、2回洗浄した。水層を6mol/L塩酸で酸性にし、酢酸エチルで、2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。酢酸エチル/ヘキサンにより晶析させ、化合物53を結晶(7.7g)として得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 4.40 (2H, s), 6.81-6.84 (1H, m), 7.07-7.32 (6H, m), 7.86-7.90 (1H, m).
第3工程
ポリリン酸(200g,29.4mmol)に化合物53(7.70g,29.4mmol)を60℃で加え、140℃に昇温し、1時間撹拌した。反応液を40℃に冷却し、氷冷下、水を加た。スラリーをろ過し、ろ液を水洗浄した。ろ液に酢酸エチルを加え、有機層を水および飽和塩化ナトリウムで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。酢酸エチル/ヘキサンにより晶析させり、化合物54を結晶(3.6g)として得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 4.03 (2H, s), 6.92-7.06 (2H, m), 7.26-7.40 (4H, m), 7.67 (1H, dd, J = 5.5 Hz, J = 8.0 Hz), 8.25 (1H, d, J = 8.0 Hz).
第4工程
化合物54(3.60g,14.7mmol)のメタノール(14mL)およびTHF(28mL)の溶液に氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム(613mg,16.2mmol)を加えた。室温下で反応液を30分間撹拌した。水を加え、反応液を終夜静置した。反応液を減圧濃縮し、濃縮液に酢酸エチルおよび水を加え、抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、有機層を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン)により精製して、化合物55(1.7g)を結晶として得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 4.15 (1H, d, J = 14.0 Hz), 4.57 (1H, d, J = 14.0 Hz), 6.09 (1H, s), 6.91-6.93 (2H, m), 7.10-7.17 (3H, m), 7.39 (1H, dd, J = 5.5 Hz, J = 8.0 Hz), 7.48 (1H, d, J = 8.0 Hz).
【0083】
実施例6 化合物III−30の製造方法
【化49】
第1工程
化合物50(154.0mg、0.451mmol)と化合物55(117mg、0.474mmol)をT3P酢酸エチル溶液(1.5mL)に溶解させ、封管条件下100℃で4時間撹拌した。水を加えて反応を停止した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をクロロホルム−ヘキサンで再結晶することで化合物56(70.2mg、27%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 570 [M+H]
+, RT=2.18 min, method (1)
第2工程
化合物56(70.2mg、0.123mmol)をDMA(1mL)に溶解後、塩化リチウム(52.2mg、1.23mmol)を加え、100度で4時間攪拌した。室温まで冷却し、1mol/L塩酸水溶液を加えて反応を停止した。反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を1mol/L塩酸、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄して化合物III−30(28.6mg、48%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.78 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 3.26-3.32 (m, 1H), 3.44-3.60 (m, 3H), 3.72 (dd, J = 11.7, 2.6 Hz, 1H), 3.94 (dd, J = 11.2, 2.9 Hz, 1H), 4.42 (dd, J = 9.9, 2.8 Hz, 1H), 5.29 (s, 1H), 5.54 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 5.76 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.71 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.81-6.86 (m, 1H), 6.96-7.04 (m, 2H), 7.07-7.11 (m, 3H), 7.23-7.25 (m, 1H).
LC/MS (ESI):m/z = 480 [M+H]
+, RT=1.87 min, method (1)
【0084】
実施例7 化合物III−54の製造方法
【化50】
第1工程
化合物57(60.6g、0.162mol)をTHF(122ml)に溶解させ、化合物58(Journal of Organic Chemistry, 80(20), 9868-9880; 2015)(50g、0.34mol)およびDBU(2.6g、17mmol)を加えて60℃で48時間撹拌した。反応液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)により精製し、化合物59(73.2g、収率93.3%)を得た。
第2工程
化合物59(73.2g、0.15mol)をアセトニトリル(580ml)および水(145ml)の混合溶媒に溶解させ、メタンスルホン酸(43.1g、0.45mol)を加えて、60℃で20時間撹拌した。残渣が約300mlになるまで溶媒を減圧留去した。酢酸エチル(250ml)および炭酸ナトリウム水溶液(500ml)を加え、pHを8に調整後30分間撹拌した。沈殿物を濾過し、酢酸エチル−ヘキサン混合溶媒および水でそれぞれ沈殿物を洗浄し、乾燥させることにより化合物60(33g、収率68%)を得た。
1H NMR (400 MHz, d-DMSO) δ:7.70 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.55 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 7.40 - 7.22 (m, 4H), 6.21 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.05 (s, 2H), 4.59 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 4.39 - 4.27 (m, 1H), 2.80 - 2.65 (m, 1H), 1.99 - 1.87 (m, 1H), 1.78 (s, 2H), 1.51 - 1.15 (m, 3H).
第3工程
化合物60(4.0g、12.3mmol)をWaters製 SFC30システム(ダイセル製CHIRALPAK IB、液化炭酸−メタノール)でキラル分割し、化合物61(1.79g、収率45%)を得た。
分析条件
<Waters製 SFC30システム>
カラム:CHIRALPAK IB/SFC (5μm、i.d.250x4.6mm) (DAICEL)
流速:8.0 mL/分;UV検出波長:254nm
背圧:100 bar
移動相:[A]液化炭酸、[B]メタノール
グラジエント:1分間、5%溶媒[B]を維持した後に、6分間で5%−40%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った。その後2分間、40%溶媒[B]を維持した後に、1分間、5%溶媒[B]を維持した。
溶出時間: 7.9分
第4工程
化合物61(1.76g、5.41mmol)と、8−フルオロ−6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]チエピン−11−オール(1.99g、8.11mmol)をT3P(50%、酢酸エチル溶液、16ml)に溶解させ、100℃封管で3時間撹拌した。酢酸エチルおよび水を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をTHF(15ml)に溶解させ、炭酸カリウム(1.49g、10.8mmol)およびベンジルブロミド(0.321ml)を加えて6時間加熱還流した。更に1−メチルピペラジン(0.30ml)を加えて、1時間加熱還流した。反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を2mol/L塩酸および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−アセトン)により精製し、化合物62(1.15g、収率38.4%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 554 [M+H]
+, RT=2.24 min, method (1)
第5工程
化合物62(1.0g、1.81mol)およびリチウムクロリド(383mg、9.03mmol)をDMAに溶解させ、100℃で3時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、アセトン(5ml)を追加後、1mol/L塩酸水溶液(40ml)へ滴下して室温で15分間撹拌した。生成した白色固体を濾過し、50%アセトン水溶液で洗浄後、乾燥させ化合物III−54(760mg、収率91%)を得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ:1.47-2.05(m, 6H), 2.50-2.58(m, 1H), 3.51(d, J=12.0Hz, 1H), 4.26-4.31(m,1H), 4.68-4.74(m, 1H), 5.22(s, 1H), 5.62(d, J=13.6Hz, 1H), 5.77(d, J=7.6Hz, 1H), 6.68(d, J=7.6Hz, 1H), 6.80-6.82(m, 1H), 6.88-7.02(m, 1H), 7.03-7.15(m, 5H)
LC/MS (ESI):m/z = 464.2 [M+H]
+, RT=1.92 min, method (1)
【0085】
実施例8 化合物III−20の製造方法
【化51】
第1工程
化合物i1(500mg、1.53mmol)と、10−クロロ−6、11−ジヒドロジベンゾ[b,e]チエピン−11−オール(602mg、2.29mmol)をT3P(50%、酢酸エチル溶液、5ml)に溶解させ、105℃封管で1時間半撹拌した。反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−酢酸エチル−メタノール)により精製し、化合物63(210mg、収率24%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:2.96 (t, J = 12.0Hz, 1H), 3.30-3.43 (m, 2H), 3.53 (d, J=13.2Hz, 1H), 3.73 (d, J = 11.6Hz, 1H), 3.86 (d, J = 10.8Hz, 1H), 4.42 (d, J = 7.2Hz, 1H), 4.71 (d, J = 13.6Hz, 1H), 5.42 (d, J = 10.8Hz, 1H), 5.57-5.65 (m, 2H), 5.79 (d, J = 7.6Hz, 1H), 6.18 (s, 1H), 6.47 (d, J=7.2Hz, 1H), 6.67 (t, J=6.8Hz, 1H), 7.00-7.14 (m, 3H), 7.22-7.40 (m, 6H), 7.64 (d, J = 7.2Hz, 2H).
第2工程
化合物63(210mg、0.368mmol)をDMA(3ml)に溶解させ、リチウムクロリド(78mg、1.84mmol)を加えて100℃で4時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を1mol/L塩酸と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をジクロロメタン−ジエチルエーテルで再結晶し、化合物III−20(124mg、収率70%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:3.09 (t, J = 12.8Hz, 1H), 3.48 (t, J = 11.6Hz, 1H), 3.55-3.62 (m, 2H), 3.81 (d, J = 11.6Hz, 1H), 3.93 (d, J = 10.8Hz, 1H), 4.53 (d, J = 9.6Hz, 1H), 4.69 (d, J = 13.2Hz, 1H), 5.68 (d, J = 12.8Hz, 1H), 5.76 (d, J = 6.8Hz, 1H), 6.26 (s, 1H), 6.80-6.88 (m, 2H), 7.05-7.15 (m, 3H), 7.24-7.28 (m, 1H), 7.34 (t, J = 7.6Hz, 1H), 7.39 (d, J = 8.0Hz, 1H).
【0086】
実施例9 化合物III−33の製造方法
【化52】
第1工程
化合物64(3.54g、14.9mmol)をジクロロメタン(70ml)に溶解させ、−78℃でDIBAL−H(1mol/L、16.4ml、16.4mmol)を滴下した。−78℃で1時間撹拌後、メタノールで反応をクエンチし、室温へ昇温した。反応液をジクロロメタンで抽出し、有機層を2mol/L塩酸と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をメタノール(35ml)に溶解させ、塩化アンモニウム(80mg、1.49mmol)を加えて、1時間加熱還流した。反応液をジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して化合物65(2.73g、収率76%)を得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ: 0.96(s, 6H), 1.53(d, J=5.2Hz, 2H), 1.85-1.90(m, 2H), 3.31(s, 6H), 3.38-3.43(m, 2H), 4.44(t, J=5.2Hz, 1H)
第2工程
化合物65(2.7g、11.3mmol)をアセトン(50ml)に溶解させ、炭酸カリウム(5.46g、)、イソインドリン−1,3−ジオン(2.49g、16.9mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(1.09g、3.39mmol)を加えて、6時間加熱還流した。反応液を濾過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製し、化合物66(1.1g、収率32%)を得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ: 1.04(s, 6H), 1.58-1.65(m, 4H), 3.32(s, 6H), 3.65-3.75(m, 2H), 4.52(t, J=5.2Hz, 1H), 7.65-7.75 (m, 2H), 7.80-7.90(m, 2H)
第3工程
化合物66(1.14g、3.73mmol)をエタノール−水(1:1、4ml)に溶解させ、ヒドラジン1水和物(374mg、7.47mmol)を加えて60℃で5時間撹拌した。反応液をジクロロメタンで抽出し、有機層を1mol/L水酸化ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し化合物67(750mg、収率100%)を得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ: 0.93(s, 6H), 1.38-1.45(m, 2H), 1.52(d, J=5.2Hz, 2H), 2.65-2.75(m, 2H), 3.30(s, 6H), 4.46 (t, J=5.2Hz, 1H), 5.30(s, 2H)
第4工程
化合物57(300mg、0.80mmol)をTHF(0.6ml)に溶解させ、化合物67(351mg、2.00mmol)とDBU(12μl、0.08mmol)を加えて60℃で18時間撹拌した。反応液を減圧で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製し、化合物68(440mg、収率80%)を得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ: 0.90(s, 6H), 1.20-1.32(m, 2H), 1.44(s, 9H), 1.47(d, J=5.2Hz, 2H), 3.11-3.25(m, 2H), 3.26(s, 6H), 4.41 (t, J=5.2Hz, 1H), 5.28(s, 2H), 6.38 (d, J=8.0, 1H), 6.87(br, 1H), 7.29-7.40(m, 6H), 8.49(br, 1H)
第5工程
化合物68(210mg、0.41mmol)をアセトニトリル(1.8ml)と水(310μl)の混合溶媒に溶解させ、メタンスルホン酸(79μl、1.22mmol)を加えて60℃で6時間撹拌した。室温まで冷却後、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、反応液をジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製し、化合物69(55mg、収率49%)を得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ: 0.95(s, 3H), 0.98(s, 3H), 1.40-1.45(m, 2H), 1.53-1.65(m, 2H), 2.80-2.89(m, 1H), 4.05-4.15(m, 1H), 4.40-4.48(m, 1H), 5.14-5.31 (m, 2H), 5.48(d, J=12.4Hz, 1H), 6.32 (d, J=7.6Hz, 1H), 7.25-7.40(m, 4H), 7.59(d, J=6.8Hz, 2H)
第6工程
化合物69(6.69g、18.9mmol)をWaters製 SFC30システム(ダイセル製CHIRALPAK IB、液化炭酸−メタノール)でキラル分割し、化合物70(3.40g、収率50%)を得た。
分析条件
<Waters製 SFC30システム>
カラム:CHIRALPAK IB/SFC (5μm、i.d.250x4.6mm) (DAICEL)
流速:8.0 mL/分;UV検出波長:254nm
背圧:100 bar
移動相:[A]液化炭酸、[B]メタノール
グラジエント:1分間、5%溶媒[B]を維持した後に、6分間で5%−40%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った。その後2分間、40%溶媒[B]を維持した後に、1分間、5%溶媒[B]を維持した。
溶出時間: 7.67分
第7工程
化合物70(2.0g、5.66mmol)と7,8−ジフルオロ−6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]チエピン−11−オール(1.94g、7.36mmol)をT3P(50%酢酸エチル、20ml)に溶解させ、105℃封管で2.5時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−アセトン)により精製し、ジアステレオマー混合物(2.84g)を得た。これを酢酸エチルで再結晶し、化合物71(1.26g、収率37%)を得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ: 0.80(s, 3H), 0.91(s, 3H), 1.20-1.45(m, 4H), 2.49-2.58(m, 1H),4.02(d, J=13.6Hz, 1H), 4.25-4.33(m, 1H), 4.55-4.65(m,1H), 5.19(s, 1H), 5.24-5.30(m,1H), 5.47-5.59(m, 2H), 5.80(d, J=7.6Hz, 1H), 6.42(d, J=8.0Hz, 1H), 6.65-6.71(m, 1H), 6.95-7.12(m, 5H), 7.27-7.39(m, 3H), 7.61(d, J=6.8Hz, 2H)
第8工程
化合物71(980mg、1.63mmol)をDMA(8ml)に溶解させ、リチウムクロリド(346mg、8.17mmol)を加えて、100℃で3時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を2mol/L塩酸と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチルで結晶化し、化合物III−33(780mg、収率94%)を得た。
1H-NMR(CDCl
3)δ: 0.85(s, 3H), 0.97(s, 3H), 1.34-2.00(m, 4H), 2.62-2.66(m, 1H),4.05(d, J=13.6Hz, 1H), 4.40-4.48(m, 1H), 4.56-4.63(m,1H), 5.24(s, 1H), 5.30-5.35(m,1H), 5.80(d, J=7.6Hz, 1H), 6.68(d, J=7.6Hz, 1H), 6.78-6.90(m, 1H), 6.95-7.15(m, 4H), 7.16-7.22(m, 1H)
LC/MS (ESI):m/z = 510.2 [M+H]
+, RT=2.25 min, method (1)
【0087】
上記実施例と同様の方法に従い、市販化合物または市販化合物から適宜合成した中間体化合物を用いて、以下の実施例化合物を合成した。
【表1】
【表2】
【表3】
【0088】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0089】
実施例10 化合物II−6の製造方法
【化53】
化合物III−2(4.0g,8.3mmol)に炭酸カリウム(1483.4mg, 10.7mmol)とヨウ化カリウム(549.5mg,3.3mmol)、テトラヒドロフラン(33.1g)、N,N−ジメチルアセトアミド(3.8g)および水(80.3mg)を加え、撹拌した。60℃まで昇温し、クロロメチルメチルカルボネート(1758.9mg,14.2mmol)を加えた。60℃で9時間撹拌し、20℃まで冷却した。酢酸(822.0mg)、2−プロパノール(3.1g)および水(20.0g)を加え、テトラヒドロフラン(1.8g,8.9g)で2回抽出した。減圧濃縮により、液重量を約32gまで溶媒を留去した。45℃まで昇温した後、2−プロパノール(1.6g)を加え、20℃まで冷却した。酢酸ナトリウム(339.0mg)と水(46.0g)より調製した酢酸ナトリウム水溶液を加えた後、5℃まで冷却した。5℃で3時間撹拌した後、生じた淡黄白色沈殿をろ取した。2−プロパノール(4.7g)と水(6.0g)の混合液で得られた固体を洗浄した後、2−プロパノール(6.3g)で固体を再度洗浄した。得られた淡黄白色固体にジメチルスルホキシド(30.9g)を加え、撹拌した。60℃まで昇温し、ジメチルスルホキシド(2.2g)と水(4.8g)の混合液を加えた。さらにジメチルスルホキシド(19.9g)と水(28.4g)の混合液を加え、20℃まで冷却した。20℃で3時間撹拌した後、生じた白色沈殿をろ取した。ジメチルスルホキシド(8.0g)と水(4.8g)の混合液で得られた固体を洗浄した後、水(12.0g)で固体を再度洗浄した。得られた固体を乾燥することにより、白色結晶(I型)の化合物II−6(4.21g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 2.91-2.98 (1H, m), 3.24-3.31 (1H, m), 3.44 (1H, t, J = 10.4 Hz), 3.69 (1H, dd, J = 11.5, 2.8 Hz), 3.73 (3H, s), 4.00 (1H, dd, J = 10.8, 2.9 Hz), 4.06 (1H, d, J = 14.3 Hz), 4.40 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.45 (1H, dd, J = 9.9, 2.9 Hz), 5.42 (1H, dd, J = 14.4, 1.8 Hz), 5.67 (1H, d, J = 6.5 Hz), 5.72-5.75 (3H, m), 6.83-6.87 (1H, m), 7.01 (1H, d, J = 6.9 Hz), 7.09 (1H, dd, J = 8.0, 1.1 Hz), 7.14-7.18 (1H, m), 7.23 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.37-7.44 (2H, m).
粉末X線回折2θ(°):8.6±0.2°、14.1±0.2°、17.4±0.2°、20.0±0.2°、24.0±0.2°、26.3±0.2°、29.6±0.2°および35.4±0.2°
化合物II−6のI型結晶の粉末X線回折結果を
図3に示す。
【0090】
実施例11 化合物II−61の製造方法
【化54】
第1工程
クロロギ酸クロロメチル(300mg、2.33mmol)と化合物73(330mg、2.79mmol)のジクロロメタン(6.0mL)溶液に、窒素雰囲気下、ピリジン(207μL、2.56mmol)を0℃で加え、0℃で30分間撹拌し、室温に昇温させ、さらに1時間撹拌した。反応液に、2mol/L塩酸を加えてジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物74(440mg、収率90%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.65 (s, 6H), 3.77 (s, 3H), 5.71 (s, 2H).
第2工程
化合物III−2(300mg、0.62mmol)、炭酸カリウム(172mg、1.24mmol)、ヨウ化カリウム(103mg、0.62mmol)と化合物74(261mg、1.24mmol)をDMA(3.0mL)に溶解し、80℃で3時間撹拌した。反応液に、2mol/L塩酸を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製し、化合物II−61(350mg、収率86%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.63 (s, 3H), 1.67 (s, 3H), 2.86-2.93 (m, 1H), 3.38-3.61 (m, 2H), 3.68-3.78 (m, 4H), 3.90-3.96 (m, 1H), 4.06 (d, J = 14.0Hz, 1H), 4.51 (dd, J = 2.0Hz, 9.6 Hz, 1H), 4.65 (d, J = 12.4Hz, 1H), 5.21 (d, J = 14.4Hz, 1H), 5.36 (s, 1H), 5.80-5.95 (m, 3H), 6.85-6.92 (m, 2H), 7.03-7.22 (m, 5H).
【0091】
実施例12 化合物II−4の製造方法
【化55】
化合物III−2(90mg、0.186mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液に、無水酢酸(0.053mL、0.558mmol)、トリエチルアミン(0.077mL、0.558mmol)、触媒量のDMAPを加え、室温で2時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製した。得られた溶液に、エーテルを加え、固体を析出させた後、濾取することにより化合物II−4(71mg、73%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:2.46(s, 3H), 2.88-2.99(m, 1H), 3.35-3.50(m, 1H), 3.60-3.65(m, 1H), 3.75-3.83(m, 1H), 3.90-4.00(m, 1H), 4.05(d, J = 14.0Hz, 1H), 4.52-4.57(m, 1H), 4.60-4.70(m, 1H), 5.24-5.34(m, 1H), 5.35(s, 1H), 5.88(d, J = 7.6Hz, 1H), 6.85-6.82(m, 1H), 6.90-7.05(m, 2H), 7.06-7.20(m, 4H)
LC/MS (ESI):m/z = 526.2 [M+H]
+, RT=1.87 min, method (1)
【0092】
実施例13 化合物II−65の製造方法
【化56】
第1工程
トリフォスゲン(300mg、2.54mmol)のジクロロメタン(6.0mL)溶液に、窒素雰囲気下、ピリジン(257μL、3.17mmol)を0℃で加えて、15分間撹拌した。その後、反応液に、化合物73(377mg、1.27mmol)のジクロロメタン(1.0mL)溶液を加え、0℃で15分間撹拌後、室温に昇温し、さらに15分間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、酢酸エチル(4.0mL)を加えて濾過した。ろ液を減圧留去し、化合物75(380mg)を得た。
第2工程
化合物III−2(350mg、0.724mmol)のジクロロメタン(3.5mL)溶液に、化合物75(196mg、1.09mmol)、トリエチルアミン(301μL、2.17mmol)を0℃で加え、0℃で30分間撹拌した。反応液に、2mol/L塩酸を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)により精製し、化合物II−65(380mg、収率84%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.73 (s, 3H), 1.77 (s, 3H), 2.90-2.99 (m, 1H), 3.37-3.43 (m, 1H), 3.57 (t, J = 8.8Hz, 1H), 3.76 (dd, J = 2.8Hz, 12.0Hz, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.94 (dd, J = 2.8Hz, 10.8Hz, 1H), 4.05 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.55 (dd, J = 2.8Hz, 9.6Hz, 1H), 4.65 (d, J = 12.0Hz, 1H), 5.28 (d, J = 12.0Hz, 1H), 5.34 (s, 1H), 5.89 (d, J = 8.0Hz, 1H), 6.86-6.95 (m, 2H), 7.03-7.15 (m, 5H).
【0093】
実施例14 化合物II−129の製造方法
【化57】
化合物76(276mg、0.402mmol)のTHF(1mL)溶液に、氷冷下、酢酸(121mg、2.01mmol)、1mol/L TBAF THF溶液(1.21mL、1.21mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−メタノール)により精製し、化合物II−129(179mg、収率78%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 572.0 [M+H]
+, RT=1.74 min, method (2)
【0094】
実施例15 化合物II−115の製造方法
【化58】
化合物III−2(300mg、0.62mmol)のDMF(4mL)溶液に、室温下、炭酸カリウム(258mg、1.87mmol)、4−(クロロメチル)フェニルアセテート(344mg、1.87mmol)、ヨウ化ナトリウム(139mg、1.87mmol)を加え、65℃で1時間撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−メタノール)により精製し、化合物II−115(120mg、収率31%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 631.95 [M+H]
+, RT=2.07 min, method (2)
【0095】
実施例16 化合物II−143の製造方法
【化59】
化合物III−2(150mg、0.31mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液に、室温下、ポリマー担持トリフェニルホスフィン3mmol/g(310mg、0.93mmol)、ピリジン−4−イルメタノール(68mg、0.62mmol)、DEAD 40%トルエン溶液(270mg、0.62mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。反応溶液をアミノカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−メタノール)により精製し、化合物II−143(63mg、収率35%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 575.00 [M+H]
+, RT=1.43 min, method (2)
【0096】
実施例17 化合物II−27の製造方法
【化60】
化合物III−2(65mg、0.134mmol)のピリジン(0.8mL)溶液に、ジメチルカルバモイルクロリド(21.7mg、0.202mmol)を加え、80℃で終夜撹拌した。反応液に、1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチル−ヘキサンで固体化を行い化合物II−27(65mg、収率87%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:2.89 (t, J = 11.2Hz , 1H), 2.99 (s, 1H), 3.01 (s, 3H), 3.18-3.26 (m, 4H), 3.45 (t, J = 10.8Hz, 1H), 3.59 (t, J = 10.8Hz, 1H), 3.70-3.80 (m, 1H), 3.90-3.98 (m, 1H), 4.03 (d, J = 13.6Hz, 1H), 4.50-4.70 (m, 2H), 5.21-5.35 (m, 2H), 5.82 (d, J = 7.6Hz, 1H), 6.91 (t, J = 7.6Hz, 1H), 7.00-7.20 (m, 6H).
【0097】
実施例18 化合物II−55の製造方法
【化61】
エチルホスホロジクロリダート(135mg、0.829mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液に、L−バリンメチル塩酸塩(139mg、0.829mmol)を加え、−78℃でトリエチルアミン(168mg、1.66mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液を滴下した。反応液を室温で1時間撹拌後、化合物III−2(200mg、0.414mmol)とトリエチルアミン(126mg、1.25mmol)を加え、同温度で6時間撹拌した。反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−メタノール)により精製し、化合物II−55(112mg、収率38%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 705.05 [M+H]
+, RT=2.18 min, method (2)
【0098】
実施例19 化合物II−57の製造方法
【化62】
エチルホスホロジクロリダート(202mg、1.24mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液に、−78℃で、トリエチルアミン(126mg、1.24mmol)とグリコール酸メチル(112mg、1.24mmol)のジクロロメタン(2mL)混合溶液を滴下した。反応液を室温で2時間撹拌後、化合物III−2(200mg、0.414mmol)とトリエチルアミン(126mg、1.25mmol)を加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−メタノール)により精製し、化合物II−57(143mg、収率52%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 664.00 [M+H]
+, RT=1.93 min, method (2)
【0099】
実施例20 化合物II−58の製造方法
【化63】
オキシ塩化リン(1.53g、10mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、−78℃で、トリエチルアミン(2.12g、20.95mmol)とグリコール酸メチル(1.89mg、21mmol)のジクロロメタン(5mL)混合溶液を滴下した。反応液を室温で2時間撹拌した。反応液(2mL)に、室温下、化合物III−2(200mg、0.414mmol)とトリエチルアミン(126mg、1.25mmol)を加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−メタノール)により精製し、化合物II−58(166mg、収率57%)を得た。
LC/MS (ESI):m/z = 707.90 [M+H]
+, RT=1.93 min, method (2)
【0100】
上記実施例と同様の方法に従い、市販化合物または市販化合物から適宜合成した中間体化合物を用いて、以下の実施例化合物を合成した。
【0101】
【表8】
【0102】
【表9】
【0103】
【表10】
【0104】
【表11】
【0105】
【表12】
【0106】
【表13】
【0107】
【表14】
【0108】
【表15】
【0109】
【表16】
【0110】
【表17】
【0111】
【表18】
【0112】
【表19】
【0113】
【表20】
【0114】
【表21】
【0115】
【表22】
【0116】
【表23】
【0117】
【表24】
【0118】
【表25】
【0119】
【表26】
【0120】
【表27】
【0121】
【表28】
【0122】
【表29】
【0123】
【表30】
【0124】
【表31】
【0125】
【表32】
【0126】
【表33】
【0127】
【表34】
【0128】
【表35】
【0129】
上記の方法により、以下の化合物も同様に合成することができる。
【化64】
【0130】
実施例21 化合物II−6のII型結晶の製造方法
化合物II−6(10.00g)にアセトニトリル(50mL)および水(5mL)を加え加温溶解させた後、水(95mL)を流入した。溶液を10分間室温攪拌し、析出晶をろ過した。得られた結晶を通気乾燥し、化合物II−6のII型結晶(9.04g)を得た。
化合物II−6のII型結晶の粉末X線回折結果を
図4に示す。
【0131】
実施例22 化合物II−6のIII型結晶の製造方法
化合物II−6(10.00g)に酢酸メチル(400mL)を加え、加温溶解させた。溶液の酢酸メチル(約230mL)を減圧濃縮後、70分間室温攪拌し、析出晶をろ過した。得られた結晶を通気乾燥し、化合物II−6のIII型結晶(7.87g)を得た。
化合物II−6のIII型結晶の粉末X線回折結果を
図5に示す。
【0132】
以下に、本発明に用いられる化合物の生物試験例を記載する。
【0133】
試験例1:キャップ依存的エンドヌクレアーゼ(CEN)阻害活性の測定
1)基質の調製
5’末端のGを2リン酸化修飾、且つ2’位の水酸基をメトキシル化修飾し、5’末端から6番目のUをCy3標識、3’末端をBHQ2標識した30merRNA(5’-pp-[m2’-O]GAA UAU(-Cy3) GCA UCA CUA GUA AGC UUU GCU CUA-BHQ2-3’:日本バイオサービス社製)を購入し、EPICENTRE社製のスクリプトキャップ(ScriptCap)システムを使ってcap構造を付加した(産物はm7G [5’]-ppp-[5’] [m2’-O]GAA UAU(-Cy3) GCA UCA CUA GUA AGC UUU GCU CUA(-BHQ2)-3’)。これを変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動法にて分離・精製し、基質として使用した。
2)酵素の調製
RNPは定法に従いウイルス粒子から調製した(参考文献:VIROLOGY(1976) 73, p327-338 OLGA M. ROCHOVANSKY)。具体的にはA/WSN/33ウイルス1x10
3 PFU/mL、200μLを10日齢発育鶏卵に接種し、37℃で2日間培養後、鶏卵のしょう尿液を回収した。20%スクロースを用いた超遠心分離によりウイルス粒子を精製し、TritonX-100とリソレシチンを用いてウイルス粒子を可溶化後、30-70%グリセロール密度勾配を用いた超遠心分離によりRNP画分(50〜70%グリセロール画分)を採取し、酵素液(約1nMのPB1・PB2・PA複合体を含む)として使用した。
3)酵素反応
ポリプロピレン製の384穴プレートに酵素反応液(組成: 53 mM Tris-塩酸塩 (pH7.8)、1mM MgCl
2、1.25 mM ジチオスレイトール、80mM NaCl、12.5%グリセロール、酵素液0.15μL)を2.5μL分注した。次にジメチルスルホキシド(DMSO)で段階的に希釈した被検化合物溶液0.5μL、ポジティブコントロール(PC)及びネガティブコントロール(NC)には、DMSO 0.5μLを加え、よく混合した。次に基質溶液(1.4nM基質RNA、0.05%Tween20)2μLを加えて反応を開始し、室温で60分間インキュベートした後、反応液1μLを10μL のHi-Di Formamide溶液(サイジングマーカーとしてGeneScan 120 Liz Size Standardを含む:アプライドバイオシステム(ABI)社製。)に加え、反応を停止した。NCは反応開始前にEDTA(4.5mM)を加えることで予め反応を停止させた(表記濃度は全て終濃度である)。
4)阻害率(IC
50値)の測定
反応停止させた溶液を85 ℃で5分間加熱し、氷上で2分間急冷後、ABI PRIZM 3730ジェネティックアナライザで分析した。解析ソフトABI Genemapperによりキャップ依存的エンドヌクレアーゼ産物のピークを定量し、PC、NCの蛍光強度をそれぞれ0%阻害、100%阻害として被検化合物のCEN反応阻害率(%)を求めた後、カーブフィッティング ソフトウェア (XLfit2.0:Model 205(IDBS社製)など)を使ってIC
50値を求めた。
【0134】
試験例2:CPE抑制効果確認試験
<材料>
・2% FCS E-MEM(MEM(Minimum Essential Medium)(Invitrogen)にカナマイシン及びFCSを添加して調整)
・0.5% BSA E-MEM(MEM(Minimum Essential Medium)(Invitrogen)にカナマイシン及びBSAを添加して調整)
・HBSS(hanks' Balanced Salt Solution)
・MDBK細胞
2% FCS E-MEMにて適当細胞数(3×10
5 /mL)に調整した。
・MDCK細胞
HBSSにて2回洗った後、0.5% BSA E-MEMにて適当細胞数(5×10
5 /mL)に調整した。
・Trypsin溶液
Trypsin from porcine pancreas(SIGMA)をPBS(-)にて溶解し、0.45umのフィルターにてフィルトレーションした。
・EnVision(PerkinElmer)
・WST-8 Kit(キシダ化学)
・10% SDS溶液
【0135】
<操作手順>
・被験試料の希釈、分注
培養液として、MDBK細胞使用時には2% FCS E-MEMを使用し、MDCK細胞使用時には0.5% BSA E-MEMを用いた。以下、ウイルス・細胞・被験試料の希釈に対し、同様の培養液を使用した。
予め被験試料を培養液で適度な濃度に希釈し、96 wellプレートに2〜5倍段階希釈系列を作製した(50μL/well)。抗Flu活性測定用、細胞毒性測定用の2枚作製した。各薬剤について3重測定を実施した。
MDCK細胞使用時には、抗Flu活性測定用にのみ、細胞にTrypsinを最終濃度3ug/mLとなるように添加した。
・インフルエンザウイルスの希釈、分注
予め、インフルエンザウイルスを培養液で適当な濃度に希釈し、被験試料が入った96 wellプレートに50μL/wellずつ分注した。細胞毒性測定用のプレートには、培養液を50μL/wellずつ分注した。
・細胞の希釈、分注
適当細胞数に調整した細胞を、被験試料が入った96 wellプレートに100μL/wellずつ分注した。
プレートミキサーで混和し、CO
2インキュベーターで培養した。抗Flu活性測定用、細胞毒性測定用共に、3日間培養した。
・WST-8の分注
3日間培養した96 wellプレートを肉眼、顕微鏡下で観察し、細胞の形態・結晶の有無等を確認した。プレートから細胞を吸わないように上清を除いた。
WST-8 Kitを、培養液にて10倍希釈し、このWST-8溶液を各wellに100μLずつ分注した。プレートミキサーにて混和の後、CO
2インキュベーターで1〜3時間培養した。
抗Flu活性測定用プレートについては、培養後、各wellに10% SDS溶液を10uLずつ分注し、ウイルスを不活化した。
・吸光度の測定
混和した96wellプレートを、EnVisionで450 nm/620 nmの2波長で吸光度を測定した。
【0136】
<各測定項目値の算出>
次の様な計算式に基づきMicrosoft Excelまたは同等の計算処理能力を有するプログラムを使用し算出した。
・50% インフルエンザ感染細胞死阻害濃度 (EC
50)算出
EC
50 = 10
Z
Z = (50% - High %) / (High % -Low %) x {log(High conc.) - log(Low conc.)} + log(High conc.)
【0137】
本発明に用いられる親化合物について、試験例1および試験例2の測定結果を以下に示す。
【0138】
【表36】
【表37】
以上の結果から、本発明に用いられる親化合物は高いキャップ依存的エンドヌクレアーゼ(CEN)阻害活性、および/または高いCPE抑制効果を示すため、インフルエンザウイルスに感染することより誘発される症状及び/又は疾患の治療及び/又は予防剤として有用な医薬となり得る。
【0139】
試験例3:CYP阻害試験
市販のプールドヒト肝ミクロソームを用いて、ヒト主要CYP5分子種(CYP1A2、2C9、2C19、2D6、3A4)の典型的基質代謝反応として7−エトキシレゾルフィンのO−脱エチル化(CYP1A2)、トルブタミドのメチル−水酸化(CYP2C9)、メフェニトインの4’−水酸化(CYP2C19)、デキストロメトルファンのO脱メチル化(CYP2D6)、テルフェナジンの水酸化(CYP3A4)を指標とし、それぞれの代謝物生成量が本発明に用いられる化合物によって阻害される程度を評価した。
【0140】
反応条件は以下のとおり:基質、0.5μmol/L エトキシレゾルフィン(CYP1A2)、100μmol/L トルブタミド(CYP2C9)、50μmol/L S−メフェニトイン(CYP2C19)、5μmol/L デキストロメトルファン(CYP2D6)、1μmol/L テルフェナジン(CYP3A4);反応時間、15分;反応温度、37℃;酵素、プールドヒト肝ミクロソーム0.2mg タンパク質/mL;本発明に用いられる化合物の濃度、1、5、10、20μmol/L(4点)。
【0141】
96穴プレートに反応溶液として、50mmol/L Hepes緩衝液中に各5種の基質、ヒト肝ミクロソーム、本発明に用いられる化合物を上記組成で加え、補酵素であるNADPHを添加して、指標とする代謝反応を開始した。37℃、15分間反応した後、メタノール/アセトニトリル=1/1(V/V)溶液を添加することで反応を停止した。3000rpm、15分間の遠心後、遠心上清中のレゾルフィン(CYP1A2代謝物)を蛍光マルチラベルカウンタで定量し、トルブタミド水酸化体(CYP2C9代謝物)、メフェニトイン4’水酸化体(CYP2C19代謝物)、デキストロルファン(CYP2D6代謝物)、テルフェナジンアルコール体(CYP3A4代謝物)をLC/MS/MSで定量した。
【0142】
本発明に用いられる化合物を溶解した溶媒であるDMSOのみを反応系に添加したものをコントロール(100%)とし、溶媒に加えた本発明に用いられる化合物の各濃度における残存活性(%)を算出し、濃度と抑制率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC
50を算出した。
(結果)
化合物No.III−2:5種 >20μmol/L
【0143】
試験例4:BA試験
経口吸収性の検討実験材料と方法
(1)使用動物:マウスあるいはSDラットを使用した。
(2)飼育条件:マウスあるいはSDラットは、固形飼料および滅菌水道水を自由摂取させた。
(3)投与量、群分けの設定:経口投与、静脈内投与を所定の投与量により投与した。以下のように群を設定した。(化合物ごとで投与量は変更有)
経口投与 1〜30mg/kg(n=2〜3)
静脈内投与 0.5〜10mg/kg(n=2〜3)
(4)投与液の調製:経口投与は溶液または懸濁液として投与した。静脈内投与は可溶化して投与した。
(5)投与方法:経口投与は、経口ゾンデにより強制的に胃内に投与した。静脈内投与は、注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与した。
(6)評価項目:経時的に採血し、血漿中の本発明に用いられる化合物の濃度をLC/MS/MSを用いて測定した。
(7)統計解析:血漿中の本発明に用いられる化合物の濃度推移について、非線形最小二乗法プログラムWinNonlin(登録商標)を用いて血漿中濃度‐時間曲線下面積(AUC)を算出し、経口投与群と静脈内投与群のAUCから本発明に用いられる化合物のバイオアベイラビリティ(BA)を算出した。
(結果)
化合物No.II−6:14.9%
化合物No.III−2:4.2%
以上の結果から、プロドラッグは、親化合物よりもバイオアベイラビリティが向上した。
したがって、本発明に用いられる化合物は、経口吸収性に優れ、インフルエンザウイルスに感染することより誘発される症状及び/又は疾患の治療及び/又は予防剤として有用な医薬となり得る。
【0144】
試験例5:代謝安定性試験
市販のプールドヒト肝ミクロソームと本発明に用いられる化合物を一定時間反応させ、反応サンプルと未反応サンプルの比較により残存率を算出し、本発明に用いられる化合物が肝で代謝される程度を評価した。
【0145】
ヒト肝ミクロソーム0.5mgタンパク質/mLを含む0.2mLの緩衝液(50mmol/L Tris−HCl pH7.4、150mmol/L 塩化カリウム、10mmol/L 塩化マグネシウム)中で、1mmol/L NADPH存在下で37℃、0分あるいは30分間反応させた(酸化的反応)。反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液の100μLに反応液50μLを添加、混合し、3000rpmで15分間遠心した。その遠心上清中の本発明に用いられる化合物をLC/MS/MSにて定量し、反応後の本発明に用いられる化合物の残存量を0分反応時の化合物量を100%として計算した。なお、加水分解反応はNADPH非存在下で、グルクロン酸抱合反応はNADPHに換えて5mmol/L UDP−グルクロン酸の存在下で反応を行い、以後同じ操作を実施した。
(結果)化合物濃度2μmol/Lでの酸化的代謝における残存率を示す。
化合物No.III−2:90.1%
【0146】
試験例6:CYP3A4蛍光MBI試験
CYP3A4蛍光MBI試験は、代謝反応による本発明に用いられる化合物のCYP3A4阻害の増強を調べる試験である。CYP3A4酵素(大腸菌発現酵素)により7−ベンジルオキシトリフルオロメチルクマリン(7−BFC)が脱ベンジル化されて、蛍光を発する代謝物7−ハイドロキシトリフルオロメチルクマリン(7−HFC)が生じる。7−HFC生成反応を指標としてCYP3A4阻害を評価した。
【0147】
反応条件は以下のとおり:基質、5.6μmol/L 7−BFC;プレ反応時間、0または30分;反応時間、15分;反応温度、25℃(室温);CYP3A4含量(大腸菌発現酵素)、プレ反応時62.5pmol/mL、反応時6.25pmol/mL(10倍希釈時);本発明に用いられる化合物の濃度、0.625、1.25、2.5、5、10、20μmol/L(6点)。
【0148】
96穴プレートにプレ反応液としてK−Pi緩衝液(pH7.4)中に酵素、本発明に用いられる化合物の溶液を上記のプレ反応の組成で加え、別の96穴プレートに基質とK−Pi緩衝液で1/10希釈されるようにその一部を移行し、補酵素であるNADPHを添加して指標とする反応を開始し(プレ反応無)、所定の時間反応後、アセトニトリル/0.5mol/L Tris(トリスヒドロキシアミノメタン)=4/1(V/V)を加えることによって反応を停止した。また残りのプレ反応液にもNADPHを添加しプレ反応を開始し(プレ反応有)、所定時間プレ反応後、別のプレートに基質とK−Pi緩衝液で1/10希釈されるように一部を移行し指標とする反応を開始した。所定の時間反応後、アセトニトリル/0.5mol/L Tris(トリスヒドロキシアミノメタン)=4/1(V/V)を加えることによって反応を停止した。それぞれの指標反応を行ったプレートを蛍光プレートリーダーで代謝物である7−HFCの蛍光値を測定した。(Ex=420nm、Em=535nm)
【0149】
本発明に用いられる化合物を溶解した溶媒であるDMSOのみを反応系に添加したものをコントロール(100%)とし、本発明に用いられる化合物をそれぞれの濃度添加したときの残存活性(%)を算出し、濃度と抑制率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC
50を算出した。IC
50値の差が5μmol/L以上の場合を(+)とし、3μmol/L以下の場合を(−)とした。
(結果)
化合物No.III−2:(−)
【0150】
試験例7:Fluctuation Ames Test
本発明に用いられる化合物の変異原性を評価した。
凍結保存しているネズミチフス菌(Salmonella typhimurium TA98株、TA100株)20μLを10mL液体栄養培地(2.5% Oxoid nutrient broth No.2)に接種し37℃にて10時間、振盪前培養した。TA98株は9mLの菌液を遠心(2000×g、10分間)して培養液を除去した。9mLのMicro F緩衝液(K
2HPO
4:3.5g/L、KH
2PO
4:1g/L、(NH
4)
2SO
4:1g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物:0.25g/L、MgSO
4・7H
20:0.1g/L)に菌を懸濁し、110mLのExposure培地(ビオチン:8μg/mL、ヒスチジン:0.2μg/mL、グルコース:8mg/mLを含むMicroF緩衝液)に添加した。TA100株は3.16mL菌液に対しExposure培地120mLに添加し試験菌液を調製した。本発明に用いられる化合物のDMSO溶液(最高用量50mg/mLから2〜3倍公比で数段階希釈)、陰性対照としてDMSO、陽性対照として非代謝活性化条件ではTA98株に対しては50μg/mLの4−ニトロキノリン−1−オキシドDMSO溶液、TA100株に対しては0.25μg/mLの2−(2−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリルアミドDMSO溶液、代謝活性化条件ではTA98株に対して40μg/mLの2−アミノアントラセンDMSO溶液、TA100株に対しては20μg/mLの2−アミノアントラセンDMSO溶液それぞれ12μLと試験菌液588μL(代謝活性化条件では試験菌液498μLとS9 mix 90μLの混合液)を混和し、37℃にて90分間、振盪培養した。本発明に用いられる化合物を暴露した菌液460μLを、Indicator培地(ビオチン:8μg/mL、ヒスチジン:0.2μg/mL、グルコース:8mg/mL、ブロモクレゾールパープル:37.5μg/mLを含むMicroF緩衝液)2300μLに混和し50μLずつマイクロプレート48ウェル/用量に分注し、37℃にて3日間、静置培養した。アミノ酸(ヒスチジン)合成酵素遺伝子の突然変異によって増殖能を獲得した菌を含むウェルは、pH変化により紫色から黄色に変色するため、1用量あたり48ウェル中の黄色に変色した菌増殖ウェルを計数し、陰性対照群と比較して評価した。変異原性が陰性のものを(−)、陽性のものを(+)として示す。
(結果)
化合物No.III−2:(−)
【0151】
試験例8:hERG試験
本発明に用いられる化合物の心電
図QT間隔延長リスク評価を目的として、human ether−a−go−go related gene (hERG)チャンネルを発現させたHEK293細胞を用いて、心室再分極過程に重要な役割を果たす遅延整流K
+電流(I
Kr)への本発明に用いられる化合物の作用を検討した。
全自動パッチクランプシステム(PatchXpress 7000A、AxonInstruments Inc.)を用い、ホールセルパッチクランプ法により、細胞を−80mVの膜電位に保持した後、+40mVの脱分極刺激を2秒間、さらに−50mVの再分極刺激を2秒間与えた際に誘発されるI
Krを記録した。発生する電流が安定した後、本発明に用いられる化合物を目的の濃度で溶解させた細胞外液(NaCl:135 mmol/L、KCl:5.4 mmol/L、NaH
2PO
4:0.3mmol/L、CaCl
2・2H
2O:1.8mmol/L、MgCl
2・6H
2O:1mmol/L、グルコース:10mmol/L、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸):10mmol/L、pH=7.4)を室温で、10分間細胞に適用させた。得られたI
Krから、解析ソフト(DataXpress ver.1、Molecular Devices Corporation)を使用して、保持膜電位における電流値を基準に最大テール電流の絶対値を計測した。さらに、本発明に用いられる化合物の適用前の最大テール電流に対する阻害率を算出し、媒体適用群(0.1%ジメチルスルホキシド溶液)と比較して、本発明に用いられる化合物のI
Krへの影響を評価した。
(結果)化合物濃度0.3〜10μmol/Lでの阻害率を示す。
化合物No.III−2:7.9%
【0152】
試験例9:溶解性試験
本発明に用いられる化合物の溶解度は、1%DMSO添加条件下で決定した。DMSOにて10mmol/L化合物溶液を調製し、本発明に用いられる化合物の溶液2μLをそれぞれJP−1液(塩化ナトリウム2.0g、塩酸7.0mLに水を加えて1000mLとする)、JP−2液(リン酸二水素カリウム3.40gおよび無水リン酸水素二ナトリウム3.55gを水に溶かし1000mLとしたもの1容量に水1容量を加える)198μLに添加した。室温で1時間振盪させた後、混液を濾過した。各濾液をメタノール/水=1/1(V/V)にて10倍希釈し、絶対検量線法によりLC/MSを用いて濾液中濃度を測定した。
(結果)
化合物No.III−2:42.2μmol/L
【0153】
試験例10:粉末溶解度試験
適当な容器に本発明に用いられる化合物を適量入れ、各容器にJP−1液(塩化ナトリウム2.0g、塩酸7.0mLに水を加えて1000mLとした)、JP−2液(pH6.8のリン酸塩緩衝液500mLに水500mLを加えた)、20mmol/L タウロコール酸ナトリウム(TCA)/JP−2液(TCA1.08gにJP−2液を加え100mLとした)を200μLずつ添加した。試験液添加後に全量溶解した場合には、適宜、本発明に用いられる化合物を追加した。密閉して37℃で1時間振とう後に濾過し、各濾液100μLにメタノール100μLを添加して2倍希釈を行った。希釈倍率は、必要に応じて変更した。気泡および析出物がないことを確認し、密閉して振とうした。絶対検量線法によりHPLCを用いて本発明に用いられる化合物を定量した。
(結果)
化合物No.III−2:JP−1液;7.1μg/mL、JP−2液4.4μg/mL、20mmol/L TCA/JP−2液16.1μg/mL
【0154】
試験例11 Ames試験
サルモネラ菌(Salmonella typhimurium)TA98、TA100、TA1535、TA1537および大腸菌(Escherichia coli)WP2uvrAを試験菌株として用い、プレインキュベーション法による非代謝活性化条件下および代謝活性化条件下においてAmes試験を実施し、本発明に用いられる化合物の遺伝子突然変異誘発性の有無を調べた。
(結果)
化合物No.III−2:(−)
【0155】
試験例12 光溶血試験
本発明に用いられる化合物を目的の濃度で溶解させ、マイクロプレート上において、ヒツジ脱繊維血から調製した0.1〜0.0008%濃度の赤血球浮遊液(2.5v/v%)と混合し、紫外線蛍光ランプ(GL20SEランプ、三共電気およびFL20S―BLBランプ、パナソニック)を用いてUVAおよびUVB領域での光照射(10 J/cm
2、290〜400nm)を行った。光照射終了後の混合液を採取し、遠心を行った。遠心後の上清を採取しマイクロプレートに移した後、上清の吸光度(540または630nm)を測定、吸光度を基にした判定を行った。540および630nmでの吸光度は、それぞれ生体膜損傷(光溶血率%)および脂質膜過酸化(メトヘモグロビン産生)の指標とした。光溶血率が10%未満であり、630nmでの吸光度の変化量が0.05未満の場合を(−)とし、光溶血率が10%以上であり、630nmでの吸光度の変化量が0.05以上の場合を(+)とした。
(結果)
化合物No.III−2:(−)
【0156】
試験例13 血漿中濃度推移
親化合物である化合物III−2をプロドラッグ化した化合物II−6について、非絶食下でラットに経口投与した後の、化合物III−2およびII−6の血漿中濃度推移を測定した。その結果を
図1および2に示す。
化合物II−6は、全血漿サンプル中の濃度は定量下限以下であったことから、親化合物である化合物III−2をプロドラッグ化した化合物II−6は、投与後生体内で速やかに化合物III−2に変化していることが分かった(
図2参照)。
【0157】
上記試験結果から、プロドラッグ化された化合物は、経口投与後に体内に吸収され、血中で速やかに親化合物に変換されることが判明した。したがって、本発明に用いられる化合物(親化合物及び/又はプロドラッグ)は、インフルエンザウイルスに感染することより誘発される症状及び/又は疾患の治療及び/又は予防剤として有用な医薬となり得る。
【0158】
試験例14 静脈内投与試験
静脈内投与試験の検討実験材料と方法
(1)使用動物:SDラットを使用した。
(2)飼育条件:SDラットは、固形飼料および滅菌水道水を自由摂取させた。
(3)投与量、群分けの設定:所定の投与量により静脈内に投与した。以下のように群を設定した。(化合物ごとで投与量は変更有)
静脈内投与 0.5〜1mg/kg(n=2〜3)
(4)投与液の調製:静脈内投与は可溶化して投与した。
(5)投与方法:静脈内投与は、注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与した。
(6)評価項目:経時的に採血し、血漿中の本発明に用いられる化合物の濃度をLC/MS/MSを用いて測定した。
(7)統計解析:血漿中の本発明に用いられる化合物の濃度推移について、非線形最小二乗法プログラムWinNonlin(登録商標)を用いて全身クリアランス(CLtot)及び消失半減期(t1/2,z)を算出した。
(結果)
化合物No.III−2:
CLtot:16.4mL/min/kg
t1/2,z:3.4時間
以上の結果から、化合物III−2は、全身クリアランスが低く、半減期が長い化合物であることが判明した。
したがって、本発明に用いられる化合物は、持続性に優れ、インフルエンザウイルスに感染することより誘発される症状及び/又は疾患の治療及び/又は予防剤として有用な医薬となり得る。
【0159】
試験例15 臨床試験
インフルエンザウイルス感染患者への治験薬(有効成分(化合物II−6):10mg, 20mg, 40mg)の単回経口投与の有効性および安全性の評価を、プラセボを比較対象とした無作為割り付けによる二重盲検比較試験により実施した。主要評価項目としては、インフルエンザ罹病期間(治験薬投与開始から7つのインフルエンザ症状(「咳」、「喉の痛み」、「頭痛」、「鼻づまり」、「熱っぽさまたは悪寒」、「筋肉または関節の痛み」、「疲労感」)が改善するまでの時間)について、4段階[0:なし,1:軽症,2:中程度,3:重症]で被験者本人が評価することによりプラセボに対する治験薬の有効性を評価した。
対象は下記の基準全てに該当する患者を選択した。
(ア)20歳以上65歳未満の男性または女性患者。
(イ)以下のいずれにも合致し,インフルエンザウイルス感染症と診断されている患者。
・鼻腔または咽頭ぬぐい液によるインフルエンザ迅速診断 [Rapid antigen test (RAT)] が陽性
・38℃以上の発熱 (腋窩温) がある
・インフルエンザウイルス感染症による以下の全身症状および呼吸器症状のうち,それぞれで中等度以上の症状を1項目以上有する
・全身症状 (頭痛,熱っぽさまたは悪寒,筋肉または関節の痛み,疲労感)
・呼吸器症状 (咳,喉の痛み,鼻づまり)
(ウ)発症から48時間までの患者 (登録時)。ただし,発症の定義は以下のいずれかとする。
・体温が初めて上昇した時点 (平熱から少なくとも1℃以上の上昇)
・全身症状および呼吸器症状のいずれか1項目以上の症状を有した時点
【0160】
治験薬の投与方法
(i)被験薬
化合物II−6の10mg錠:化合物II−6を10mg含む白色から淡黄白色の円形のフィルムコーティング錠。
化合物II−6の20mg錠:化合物II−6を20mg含む白色から淡黄白色の楕円形のフィルムコーティング錠。
(ii)プラセボまたは対照薬
化合物II−6の10mg錠のプラセボ:化合物II−6の10mg錠と識別不能な錠剤。
化合物II−6の20mg錠のプラセボ:化合物II−6の20mg錠と識別不能な錠剤。
【0161】
投与量および投与方法
適格と判断された被験者を、1:1:1:1の比率で,化合物II−6の10mg群、20mg群、40mg群,またはプラセボ群のいずれかの群に無作為に割付けた。被験者には、化合物II−6錠及び/またはプラセボ錠からなる以下の表に示す組合せで、それぞれ計3錠をDay1に単回経口投与した。
投与群ごとの治験薬
【表38】
【0162】
有効性の主要評価項目
有効性の主要評価項目はインフルエンザ症状が消失するまでの時間 (インフルエンザ罹病期間)である。
投与開始時点からインフルエンザ症状が消失するまでの時間とする。インフルエンザ症状の消失は、被験者が記録する患者日記において、インフルエンザ7症状(咳、喉の痛み、頭痛、鼻づまり、熱っぽさまたは悪寒、筋肉または関節の痛み、疲労感)が全て「0:なし」または「1:軽症」となった時点を指し、その状態が少なくとも21.5時間(24時間−10%)持続していることとする。
【0163】
有効性の副次評価項目
有効性の副次評価項目は以下のとおりである。
(1)インフルエンザ各症状が消失するまでの時間
投与開始時点からインフルエンザ各症状が消失するまでの時間とする。症状の消失は、対象とする項目が「0:なし」または「1:軽度」となった時点を指し、その状態が少なくとも21.5時間(24時間−10%)持続していることとする。
【0164】
主要評価項目の解析
主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間について、主要解析と副次解析を記載する。主要解析はITTI集団に加えて、感度解析のためにPPS集団でも実施した。それ以外の解析はITTI集団のみで実施した。
(1)主要解析
ITTI集団を対象として、インフルエンザ罹病期間を応答、投与群を母数効果、割付け因子である現在の喫煙の有無と投与前のベースライン時点でのインフルエンザ7症状の合計スコアを共変量とするCox比例ハザードモデルでプラセボ群に対する各投与群のハザード比、その95%信頼区間、P値を算出した。複数回検定を実施することによる第1種の過誤確率の膨張を防ぐために、P値をHommel法で調整した。
(2)副次解析
インフルエンザ罹病期間を応答、投与群を説明変数、割付因子である投与前のインフルエンザ7症状の合計スコアのカテゴリー(11点以下、12点以上)と喫煙の有無を層別因子とする、層別一般化Wilcoxon検定でプラセボ群と治験薬の各投与群を比較した。
また、各群でKaplan-Meier生存曲線を描き、インフルエンザ罹病期間の中央値とその95%信頼区間を算出した。信頼区間の算出にはGreenwood法を用いた。
【0165】
副次評価項目の解析
(1)インフルエンザ各症状が消失するまでの時間
インフルエンザ症状毎に、各症状が消失するまでの時間を応答とし、主要評価項目と同様の解析を実施した。このとき、投与前の症状が「0:なし」または「1:軽度」である症例を解析対象から除いた。
【0166】
(1)主要評価項目の結果(インフルエンザの罹病期間)について
無作為に選ばれた400人の患者のうち、389人(10mg投与群98人(98%)、20mg投与群95人(95%)、40mg投与群99人(99%)およびプラセボ群97人(97%))が試験を完了した。ITTI Population(治験薬が投与され、かつインフルエンザウイルスの感染が確認された症例)は、主要評価項目については、400人の患者で構成された。
パープロトコルセット症例は368人(10mg投与群89人(89%)、20mg投与群92人(92%)、40mg投与群96人(96%)およびプラセボ群91人(91%))で構成された。それぞれの群のITTI Populationについては、迅速抗原検出試験から75%〜79%の患者はA型インフルエンザウイルスに感染し、21%〜25%の患者はB型インフルエンザウイルスに感染していることが分かった。
解析結果を以下の表に示す。
【表39】
この試験の主要評価項目、すなわち、症状の軽減までの時間の中央値は、10mg投与群は54.2時間(95%CI: 47.7, 66.8)であり、20mg投与群は51.0時間(95%CI: 47.7, 66.8)であり、40mg投与群は49.5時間(95%CI: 44.5, 64.4)であったのに対して、プラセボ群は77.7時間(95%CI: 67.6, 88.7)であった。
【0167】
(2)各7症状が軽減するまでの時間
下記の表には7つのそれぞれのインフルエンザ症状(「咳」、「喉の痛み」、「頭痛」、「鼻づまり」、「熱っぽさまたは悪寒」、「筋肉または関節の痛み」、「疲労感」)が改善されるまでの時間の解析結果を示した。
(i)「鼻づまり」の症状が緩和するまでの時間
【表40】
(ii)「筋肉または関節の痛み」の症状が緩和するまでの時間
【表41】
(iii)「疲労感」の症状が緩和するまでの時間
【表42】
(iv)「熱っぽさまたは悪寒」の症状が緩和するまでの時間
【表43】
(v)「頭痛」の症状が緩和するまでの時間
【表44】
(vi)「咳」の症状が緩和するまでの時間
【表45】
(vii)「喉の痛み」の症状が緩和するまでの時間
【表46】
a プラセボに対する層別一般化ウィルソン検定。層別要因:喫煙習慣、ベースラインでの複合症状のスコア。
b プラセボに対するCox比例ハザードモデル。共変量:喫煙習慣、ベースラインでの複合症状のスコア。
ベースラインでの症状のスコアが「中程度」または「重症」であった患者のサブセット
CI:信頼区間
40mg投与群は、Cox比例ハザードモデルを用いて解析したところ、プラセボ群と比較して、次の5症状:「鼻づまり」、「筋肉または関節の痛み」、「疲労感」、「熱っぽさまたは悪寒」、「頭痛」、については症状が改善するまでの時間に有意な減少が見られた。たとえば、「鼻づまり」と「筋肉または関節の痛み」の2症状について、症状が改善されるまでの時間の中央値はプラセボ群よりも40mg投与群は21.0時間、16.4時間それぞれ短縮された。
10mg投与群や20mg投与群においても、次に示す症状:「筋肉または関節の痛み」、「鼻づまり」、「熱っぽさまたは悪寒」、で統計学的に有意な差が見られた。
【0168】
試験例16 臨床試験(Ph3:成人および青少年)
インフルエンザウイルス感染症患者への治験薬(有効成分(化合物II−6):40 mg、80mg)の単回経口投与の有効性および安全性の評価を、オセルタミビル75mgの1日2回、5日間投与又はプラセボを比較対象とした無作為割り付けによる二重盲検比較試験により実施した。主要評価項目としては、インフルエンザ罹病期間(治験薬投与開始から7つのインフルエンザ症状(「咳」、「喉の痛み」、「頭痛」、「鼻づまり」、「熱っぽさまたは悪寒」、「筋肉または関節の痛み」、「疲労感」)が改善するまでの時間)について、4段階[0:なし、1:軽症、2:中程度、3:重症]で被験者本人が評価することによりプラセボに対する治験薬の有効性を評価した。
また、有効性の副次評価項目として、鼻腔又は咽頭ぬぐい液を用いたインフルエンザウイルス力価による治験薬の有効性や副作用についても評価した。
対象は下記の基準全てに該当する患者を選択した。
(ア)12歳以上65歳未満の男性または女性患者。
(イ)以下のいずれにも合致し、インフルエンザウイルス感染症と診断されている患者。
・38℃以上の発熱(腋窩温)がある
・インフルエンザウイルス感染症による以下の全身症状および呼吸器症状のうち、それぞれで中等度以上の症状を1項目以上有する
・全身症状(頭痛、熱っぽさまたは悪寒、筋肉または関節の痛み、疲労感)
・呼吸器症状(咳、喉の痛み、鼻づまり)
(ウ)発症から48時間までの患者(登録時)。ただし、発症の定義は以下のいずれかとした。
・体温が初めて上昇した時点(平熱から少なくとも1℃以上の上昇)
・全身症状および呼吸器症状のいずれか1項目以上の症状を有した時点
【0169】
治験薬の投与方法
(i)被験薬
化合物II−6の20mg錠。
(ii)プラセボまたは対照薬
化合物II−6の20mg錠のプラセボ。
オセルタミビル75mgカプセル
オセルタミビル75mgカプセルのプラセボ:オセルタミビル75mgカプセルと識別不能なカプセル。
【0170】
投与量および投与方法
適格と判断された20〜64歳の患者を、2:2:1の比率で,化合物II−6の単回投与(体重に応じて40又は80mg)群、オセルタミビル75mgの1日2回、5日間投与群、またはプラセボ群のいずれかの群に無作為に割付けた。
適格と判断された12〜19歳の患者を、2:1の比率で化合物II−6の単回投与(体重に応じて40又は80mg)群又はプラセボ投与群のいずれかに無作為に割付けた。
化合物II−6の投与量は、体重が80kg未満の被験者で40mg、80kg以上の被験者で80mgとした。
投与群ごとの治験薬
[化合物II−6群]
Day 1:
化合物II−6の20mg錠(体重に応じて2錠又は4錠)を経口投与した。オセルタミビルのプラセボカプセルを1日2回(朝、夕)、1回1カプセル経口投与した。
Day 2〜Day 5:
オセルタミビルのプラセボカプセルを1日2回(朝、夕)、1回1カプセル経口投与した。
[オセルタミビル群]
Day 1:
化合物II−6のプラセボ錠(体重に応じて2錠又は4錠)を経口投与した。オセルタミビルの75 mgカプセルを1日2回(朝、夕)、1回1カプセル経口投与した。
Day 2〜Day 5:
オセルタミビルの75 mgカプセルを1日2回(朝、夕)、1回1カプセル経口投与した。
[プラセボ群]
Day 1:
化合物II−6のプラセボ錠(体重に応じて2錠又は4錠)を経口投与した。オセルタミビルのプラセボカプセルを1日2回(朝、夕)、1回1カプセル経口投与した。
Day 2〜Day 5:
オセルタミビルのプラセボカプセルを1日2回(朝、夕)、1回1カプセル経口投与した。
なお、「Day 1」は投与初日を表し、「Day 2〜Day 5」は投与初日から数えて、2日目〜5日目を表す。
【0171】
有効性の主要評価項目
有効性の主要評価項目はインフルエンザ症状が消失するまでの時間(インフルエンザ罹病期間)である。
投与開始時点からインフルエンザ症状が消失するまでの時間とする。インフルエンザ症状の消失は、被験者が記録する患者日記において、インフルエンザ7症状(咳、喉の痛み、頭痛、鼻づまり、熱っぽさまたは悪寒、筋肉または関節の痛み、疲労感)が全て「0:なし」または「1:軽症」となった時点を指し、その状態が少なくとも21.5時間(24時間−10%)持続していることとする。
【0172】
有効性の副次評価項目
有効性の副次評価項目は以下のとおりである。
(1)各点におけるインフルエンザウイルス力価陽性患者の割合
(2)各点におけるウイルス力価のベースラインからの変化量
(3)ウイルス力価に基づくウイルス排出停止までの時間
(4)副作用の発現頻度
【0173】
ウイルスの力価は、以下の手順で測定した。
(1)平底96 wellマイクロプレートに播種したMDCK-SIAT1細胞を、37±1℃、5%CO
2インキュベーター内で1日培養した。
(2)標準株(インフルエンザウイルスAH3N2、A/Victoria/361/2011、保存条件:-80℃、由来:National Institute of Infectious Diseases)、検体(化合物II−6の第三相臨床試験で患者より収集したものを超低温冷凍庫で保管)、および細胞コントロールのための培地を、10倍連続希釈法で、101-107倍まで希釈した。
(3)倒立顕微鏡下でシート状に存在する細胞を確認した後、培地を除去し、新しい培地を100 μL/ウェルで加えた。
(4)培地を除いた。
(5)上記(2)で調整したそれぞれの検体(100-107)を、1検体あたり4ウェルを用いて、100μL/ウェルで接種した。
(6)室温、1000rpm、30分で遠心吸着させた。
(7)遠心後、培地を除去し、新しい培地にて細胞を一回洗浄した。
(8)新しい培地を、100μL/ウェルで添加した。
(9)5%CO
2インキュベーター内で、33±1℃で3日間、インキュベーションを行った。
(10)インキュベーション後、細胞変性効果(CPE)を倒立顕微鏡下で評価した。
【0174】
ウイルス力価陽性の判定方法
前記のウイルス力価の測定方法による測定により、検出限界を超えている場合に陽性と判断した。
【0175】
主要評価項目の解析
主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間について、主要解析と副次解析を記載する。主要解析はITTI集団にて実施した。
(1)主要解析
12〜64歳の患者を対象として、投与前のインフルエンザ7症状の合計スコア(11点以下、12点以上)と地域(日本/アジア,その他地域)を層別因子とする層別一般化Wilcoxon検定でプラセボ群と治験薬の投与群を比較した。
また、各群でKaplan-Meier生存曲線を描き、インフルエンザ罹病期間の中央値とその95%信頼区間、インフルエンザ罹病期間の群間差とその95%信頼区間を算出した。
(2)副次解析
20〜64歳の患者を対象として、主要解析と同様の方法により、インフルエンザ罹病期間を化合物II−6群とオセルタミビル群で比較した。
【0176】
副次評価項目の解析
以下の有効性の副次評価項目を化合物II−6群とプラセボ群の間、化合物II−6群とオセルタミビル群の間(20〜64歳の年齢層)で比較した。
(1)各時点におけるインフルエンザウイルス力価陽性患者の割合
Visit 1の投与開始前時点でウイルス力価が定量下限以上であった患者のみを解析に含めた。Visitごとに投与前のインフルエンザ7症状の合計スコア及び地域を層別因子とするMantel-Haenszel検定を適用し、ウイルス力価陽性の患者の割合を2群間で比較した。
(2)各時点におけるウイルス力価のベースラインからの変化量
Visit 1の投与開始前時点でウイルス力価が陽性患者のみを解析に含めた。Visitごとに投与前のインフルエンザ7症状の合計スコア及び地域を層別因子とするvan Elteren検定を適用し、インフルエンザウイルス力価のベースラインからの変化量を2群間で比較した。
(3)ウイルス力価に基づくウイルス排出停止までの時間
Visit 1の投与開始前時点でウイルス力価が定量下限以上であった患者のみを解析に含めた。投与前のインフルエンザ7症状の合計スコア及び地域を層別因子とする層別一般化Wilcoxon検定を適用した。
(4)副作用の発現頻度
副作用の発現件数及び例数を投与群ごとに計数した。
【0177】
(1)主要評価項目の結果(インフルエンザの罹病期間)について
無作為に選ばれた1436人の患者のうち、1366人(化合物II−6 40mgまたは80mg投与群578人、オセルタミビル投与群498人、およびプラセボ群290人)が試験を完了した。ITTI症例(GCPが順守され、治験薬が投与され、かつインフルエンザウイルスの感染が確認された症例)は、主要評価項目については、1064人の患者で構成された。
パープロトコルセット症例は990人(化合物II−6 40mgまたは80mg投与群427人、オセルタミビル投与群351人、およびプラセボ群212人)で構成された。
解析結果を以下の表に示す。
【表47】
a 対プラセボ又は対オセルタミビル。
b ブートストラップ推定。
c 地域及び投与前のインフルエンザ7症状の合計スコアを層別因子とし、症状が消失しなかった患者は最終評価時点で打ち切りとした。
ITTI集団でのインフルエンザ罹病期間(中央値)(95%CI)は、化合物II−6群53.7時間(95%CI:49.5,58.5)に対し,プラセボ群80.2時間(95%CI:72.6,87.1)であり、化合物II−6群とプラセボ群との差は−26.5時間であった。インフルエンザ罹病期間は、層別一般化Wilcoxon検定を用いた主要解析ではプラセボ群と比較して化合物II−6群で有意に短かった(p<.0001)。
20歳以上65歳未満の部分集団でのインフルエンザ罹病期間は、化合物II−6群53.5時間(95%CI:48.0,58.5)に対し、オセルタミビル群53.8時間(95%CI:50.2,56.4)であり、化合物II−6群とオセルタミビル群との差は−0.3時間であった。インフルエンザ罹病期間は、層別一般化Wilcoxon検定では化合物II−6群とオセルタミビル群との間で有意差はなかった。
【0178】
副次評価項目の解析
(1)各点におけるインフルエンザウイルス力価陽性患者の割合
解析結果を以下の表に示す。
【表48】
Day 2は投与初日から数えて24時間後であり、Day 3は48時間後、Day 4は72時間後、Day 5は96時間後、Day 6は120時間後、Day 9は192時間後を表す。
a 対プラセボ又は対オセルタミビル。Mantel-Haenszel検定。地域及び投与前のインフルエンザ7症状の合計スコアを層別因子とし、投与前にウイルス力価が陽性であった集団を対象とした。
ウイルス力価陽性患者の割合は,Day 2においてプラセボ群と比較して化合物II−6群で有意に低く(Mantel-Haenszel検定:p<.0001)、Day 3でも同様にプラセボ群と比較して化合物II−6群で有意に低かった(p<.0001)。20歳以上65歳未満の部分集団でのウイルス力価陽性患者の割合は、Day 2及びDay 3で、オセルタミビル群と比較して化合物II−6群で有意に低かった(p<.0001)。
【0179】
(2)各点におけるウイルス力価のベースラインからの変化量
解析結果を以下の表に示す。
【表49】
単位:log
10 [TCID
50/mL]。
Day 2は投与初日から数えて24時間後であり、Day 3は48時間後、Day 4は72時間後、Day 5は96時間後、Day 6は120時間後、Day 9は192時間後を表す。
a 対プラセボ又は対オセルタミビル。van Elteren検定。地域及び投与前のインフルエンザ7症状の合計スコアを層別因子とした。投与前にウイルス力価が陽性であった集団を対象とした。
ウイルス力価は、Day 2においてプラセボ群と比較して化合物II−6群で有意に減少し、Day 3でも同様にプラセボ群と比較して有意に減少していた(van Elteren検定:p<.0001)。20歳以上65歳未満の部分集団でのウイルス力価は、Day 2及びDay 3で、オセルタミビル群と比較して化合物II−6群で有意に減少していた(p<.0001)。
【0180】
(3)ウイルス力価に基づくウイルス排出停止までの時間
解析結果を以下の表に示す。
【表50】
a 対プラセボ又は対オセルタミビル。
b 地域及び投与前のインフルエンザ7症状の合計スコアを層別因子とした。
ウイルス力価が消失しなかった患者は、最終評価時点で打ち切りとした。
Day 1でウイルス力価が陽性、かつ、ウイルス排出が停止するまでの時間が欠測ではない患者を解析対象とした。
ウイルス力価に基づくウイルス排出停止までの時間(中央値)は、化合物II−6群24.0時間に対し、プラセボ群96.0時間であり、プラセボ群と比較して化合物II−6群で有意に短かった(層別一般化Wilcoxon検定:p<.0001)。20歳以上65歳未満の部分集団でのウイルス排出停止までの時間は、化合物II−6群24.0時間、オセルタミビル群72.0時間であり、オセルタミビル群と比較して化合物II−6群で有意に短かった(p<.0001)。
【0181】
(4)有害事象の発現頻度
因果関係が否定できない重篤な有害事象は報告されていない。因果関係が否定できない有害事象は、化合物II−6群では610例中27例(4.4%、37件)、プラセボ群では309例中12例(3.9%、19件)、オセルタミビル群で513例中43例(8.4%、53件)で発現した。化合物II−6群とプラセボ群との間の発現率に統計学的有意差は見られなかった(フィッシャーの正確検定、両側P値:0.8627)。しかし、化合物II−6群の発現率はオセルタミビル群よりも有意に低かった(フィッシャーの正確検定、両側P値:0.0088)。
【0182】
試験例17 臨床試験(Ph3:小児)
インフルエンザウイルス感染患者への治験薬(有効成分(化合物II−6):5mg, 10mg, 20mg, 40mg)の単回経口投与の有効性および安全性の評価を実施した。主要評価項目としては、インフルエンザ罹病期間(治験薬投与開始からインフルエンザ症状(「咳」、「鼻水/鼻づまり」及び「発熱」)が改善するまでの時間)について、保護者又は被験者本人が評価・測定することにより治験薬の有効性を評価した。
なお、「咳」及び「鼻水/鼻づまり」については、4段階[0:なし,1:軽症,2:中程度,3:重症]で評価した。
対象は下記の基準全てに該当する患者を選択した。
(ア)6カ月以上12歳未満の男性または女性患者。
(イ)以下のいずれにも合致し,インフルエンザウイルス感染症と診断されている患者。
・鼻腔または咽頭ぬぐい液によるインフルエンザ迅速診断[Rapid antigen test (RAT)]が陽性
・38℃以上の発熱(腋窩温)がある
・7歳以上の患者では、インフルエンザウイルス感染症による呼吸器症状(咳、鼻水/鼻づまり)のうち、中程度以上の症状を1項目以上有する
(ウ)発症から48時間までの患者(登録時)。ただし,発症の定義は、37.5℃を超える発熱を最初に確認した時点とする。
(エ)体重が5kg以上の患者。
【0183】
治験薬の投与方法
(i)被験薬
化合物II−6の5mg錠:化合物II−6の10mg錠の半錠。
化合物II−6の10mg錠。
化合物II−6の20mg錠。
【0184】
投与量および投与方法
患者には、体重に基づいて換算した用量で、Day1に単回経口投与した(下記表参照)。
【表51】
【0185】
有効性の主要評価項目
有効性の主要評価項目はインフルエンザ症状が消失するまでの時間(インフルエンザ罹病期間)である。
投与開始時点からインフルエンザ症状が消失するまでの時間とする。インフルエンザ症状の消失は、投与開始時点から下記のa及びbを満たした時点とし、その臨床状態が少なくとも21.5時間(24時間−10%)持続していることとする。
a. 患者日記による「咳」及び「鼻水/鼻づまり」が両方とも「0:なし」又は「1:軽症」
b. 体温(腋窩温)が37.5℃未満
【0186】
主要評価項目の解析
主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間について、主要解析を記載する。主要解析はITTI集団にて実施した。
(1)主要解析
インフルエンザ症状(「咳」、「鼻水/鼻づまり」及び「発熱」)が消失するまでの時間(インフルエンザ罹病期間)のKaplan-Meier曲線を描き、インフルエンザ症状が完全に消失するまでの時間の中央値とその95%信頼区間を算出した。観察期間中にインフルエンザ症状が完全に消失しなかった患者は、打ち切り例として扱った。
【0187】
(1)主要評価項目の結果(インフルエンザの罹病期間)について
主要評価項目については、103人の患者で構成された。ITTI集団でのインフルエンザ罹病期間(中央値)は、44.6時間(95%CI:38.9, 62.5)であった。
【0188】
製剤例
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
製剤例1: 錠剤
本発明に用いられる化合物、乳糖およびステアリン酸カルシウムを混合し、破砕造粒して乾燥し、適当な大きさの顆粒剤とする。次にステアリン酸カルシウムを添加して圧縮成形して錠剤とする。
【0189】
製剤例2: カプセル剤
本発明に用いられる化合物、乳糖およびステアリン酸カルシウムを均一に混合して粉末または細粒状として散剤をつくる。それをカプセル容器に充填してカプセル剤とする。
【0190】
製剤例3: 顆粒剤
本発明に用いられる化合物、乳糖およびステアリン酸カルシウムを均一に混合し、圧縮成型した後、粉砕、整粒し、篩別して適当な大きさの顆粒剤とする。
【0191】
製剤例4: 口腔内崩壊錠
本発明に用いられる化合物および結晶セルロースを混合し、造粒後打錠して口腔内崩壊錠とする。
【0192】
製剤例5: ドライシロップ
本発明に用いられる化合物および乳糖を混合し、粉砕、整粒、篩別して適当な大きさのドライシロップとする。
【0193】
製剤例6: 注射剤
本発明に用いられる化合物およびリン酸緩衝液を混合し、注射剤とする。
【0194】
製剤例7: 点滴剤
本発明に用いられる化合物およびリン酸緩衝液を混合し、点滴剤とする。
【0195】
製剤例8: 吸入剤
本発明に用いられる化合物および乳糖を混合し細かく粉砕することにより、吸入剤とする。
【0196】
製剤例9: 軟膏剤
本発明に用いられる化合物およびワセリンを混合し、軟膏剤とする。
【0197】
製剤例10: 貼付剤
本発明に用いられる化合物および粘着プラスターなどの基剤を混合し、貼付剤とする。