特許第6249482号(P6249482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249482
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】アンテナ検査回路
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/18 20060101AFI20171211BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20171211BHJP
   G01R 31/02 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H04B1/18 G
   H04B1/18 A
   H04B1/40
   G01R31/02
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-14554(P2014-14554)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-142278(P2015-142278A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】丸山 孝司
【審査官】 大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−219540(JP,A)
【文献】 特開2010−139308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/18
G01R 31/02
H04B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナの接続状態を判定するアンテナ接続状態判定回路と共に、アンテナ接続端子を有する通信機器に内蔵され、前記アンテナの接続状態を検査するアンテナ検査回路であって、
前記アンテナ接続端子に接続されたアンテナ接続入力端子と、前記アンテナ接続状態判定回路に接続され、ハイレベル又はローレベルの検査要求信号が入力される検査要求入力端子と、前記アンテナ接続状態判定回路に接続され、検査結果が出力される検査結果出力端子と、制御端が前記検査要求入力端子に接続され、入力端が前記アンテナ接続入力端子に接続され、出力端が前記検査結果出力端子に接続されたスイッチング素子と、前記検査要求入力端子と前記検査結果出力端子との間に接続された第1抵抗と、を備え、
前記アンテナは、接地点を有すると共に給電点から接地点までの直流インピーダンスが0Ωであり、
前記アンテナ接続入力端子は、前記スイッチング素子を介してのみ前記アンテナ接続状態判定回路と接続されており、
前記検査要求入力端子にハイレベルの検査要求信号を印加した時に、前記アンテナ接続端子に前記アンテナが接続されている場合には前記スイッチング素子がオンとなって、前記検査結果出力端子にローレベルの信号が出力され、前記アンテナ接続端子に前記アンテナが接続されていない場合には前記スイッチング素子がオフとなって、前記検査結果出力端子にハイレベルの信号が出力され
前記検査要求入力端子にローレベルの検査要求信号を印加した時に、前記入力端と前記出力端とが非導通状態となって、前記アンテナ接続入力端子が前記アンテナ接続状態判定回路と電気的に切り離される、
ことを特徴とするアンテナ検査回路。
【請求項2】
前記スイッチング素子が、前記入力端としてエミッタを有し、前記出力端としてコレクタを有したバイポーラ型のトランジスタである、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ検査回路。
【請求項3】
前記コレクタを前記検査結果出力端子に接続し、
前記エミッタと前記アンテナ接続入力端子との間に、前記第1抵抗の抵抗値より抵抗値の小さい第2抵抗を接続し、
前記トランジスタのベースと前記検査要求入力端子との間に、前記第2抵抗の抵抗値より抵抗値の大きい第3抵抗を接続した、
ことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ検査回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナが接続される通信機器に内蔵され、アンテナの接続状態を検査するアンテナ検査回路に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載された無線LAN(Local Area Network)システムなどに用いられる通信機器において、電波を最適に送受信するためにはアンテナが正常に接続されていることが重要である。このような通信機器には、アンテナの接続状態が正常であるか否かを検査するアンテナ検査回路が組み込まれることがある。
【0003】
このような通信機器の従来例を図5に示す。特許文献1に記載された無線通信装置900は、給電点が端子912に接続され、到来する電波を受信するアンテナ910と受信機930とが信号線952によって接続されている無線通信装置であって、信号線952に内部抵抗942を介して直流信号を印加する直流信号印加手段を有した信号解析部932を備えている。直流信号印加手段の作動時において、内部抵抗942の直流信号印加手段とは逆の側における電圧、即ち出力端子943の電圧が閾値以上であるか否かを判定することにより、信号線952に断線又は接続不良が生じているか否かを検査する。このように構成することにより、無線通信装置900は、信号線952の断線やアンテナ910の接続不良に関する検査を適切に行なうことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−010841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、無線通信装置900においては、端子912に接続されるアンテナ910として接地点を持たないアンテナを想定しており、接地点を有し、給電点から接地点までの直流インピーダンスが0Ωであるようなアンテナ、例えば逆F型アンテナが接続された場合には接続状態を正確に検査することができなかった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、接地点を有すると共に、給電点から接地点までの直流インピーダンスが0Ωであるようなアンテナが接続される場合において、接続状態を正確に検査することができるアンテナ検査回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明のアンテナ検査回路は、アンテナの接続状態を判定するアンテナ接続状態判定回路と共に、アンテナ接続端子を有する通信機器に内蔵され、前記アンテナの接続状態を検査するアンテナ検査回路であって、前記アンテナ接続端子に接続されたアンテナ接続入力端子と、前記アンテナ接続状態判定回路に接続され、ハイレベル又はローレベルの検査要求信号が入力される検査要求入力端子と、前記アンテナ接続状態判定回路に接続され、検査結果が出力される検査結果出力端子と、制御端が前記検査要求入力端子に接続され、入力端が前記アンテナ接続入力端子に接続され、出力端が前記検査結果出力端子に接続されたスイッチング素子と、前記検査要求入力端子と前記検査結果出力端子との間に接続された第1抵抗と、を備え、前記アンテナは、接地点を有すると共に給電点から接地点までの直流インピーダンスが0Ωであり、前記アンテナ接続入力端子は、前記スイッチング素子を介してのみ前記アンテナ接続状態判定回路と接続されており、前記検査要求入力端子にハイレベルの検査要求信号を印加した時に、前記アンテナ接続端子に前記アンテナが接続されている場合には前記スイッチング素子がオンとなって、前記検査結果出力端子にローレベルの信号が出力され、前記アンテナ接続端子に前記アンテナが接続されていない場合には前記スイッチング素子がオフとなって、前記検査結果出力端子にハイレベルの信号が出力され、前記検査要求入力端子にローレベルの検査要求信号を印加した時に、前記入力端と前記出力端とが非導通状態となって、前記アンテナ接続入力端子が前記アンテナ接続状態判定回路と電気的に切り離されるという特徴を有する。
【0008】
このように構成されたアンテナ検査回路は、アンテナが接続されている場合にはアンテナを介して検査結果出力端子にローレベルの電圧を出力し、アンテナが接続されていない場合には第1抵抗を介して検査結果出力端子にハイレベルの電圧を供給するように構成したので、給電点から接地点までの直流インピーダンスが0Ωであるアンテナに対して接続状態を正確に検査することができる。
【0009】
また、上記の構成において、本発明のアンテナ検査回路は、前記スイッチング素子が、前記入力端としてエミッタを有し、前記出力端としてコレクタを有したバイポーラ型のトランジスタである、という特徴を有する。
【0010】
このように構成されたアンテナ検査回路は、入力端としてエミッタを有し、出力端としてコレクタを有したバイポーラ型のトランジスタをスイッチング素子として使用したので、アンテナ接続端子に電源電圧を越えるような高電圧が誤って加えられた場合に、この高電圧がトランジスタで阻止され、通信機器内の各回路に印加されることがない。そのため、通信機器内の各回路を保護することができる。
【0011】
また、上記の構成において、本発明のアンテナ検査回路は、前記コレクタを前記検査結果出力端子に接続し、前記エミッタと前記アンテナ接続入力端子との間に、前記第1抵抗の抵抗値より抵抗値の小さい第2抵抗を接続し、前記トランジスタのベースと前記検査要求入力端子との間に、前記第2抵抗の抵抗値より抵抗値の大きい第3抵抗を接続した、という特徴を有する。
【0012】
このように構成されたアンテナ検査回路は、回路構成部品として3本の抵抗と1本のトランジスタとを使用するだけであるため、アンテナ検査回路を小規模な回路構成で実現させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアンテナ検査回路は、アンテナが接続されている場合にはアンテナを介して検査結果出力端子にローレベルの電圧を出力し、アンテナが接続されていない場合には第1抵抗を介して検査結果出力端子にハイレベルの電圧を供給するように構成したので、給電点から接地点までの直流インピーダンスが0Ωであるアンテナに対して接続状態を正確に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るアンテナ検査回路を示す回路図である。
図2】アンテナの構成を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係るアンテナ検査回路の回路図である。
図4】スイッチング素子の状態及び検査結果を示す表である。
図5】従来例に係る無線通信装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るアンテナ検査回路100の回路図及びアンテナ検査回路100を内蔵した通信機器40のブロック図であり、図2は、アンテナ51の構成を示す模式図である。図3は、アンテナ検査回路200の回路図及びアンテナ検査回路200を内蔵した通信機器60のブロック図である。また、図4は、図3に示すトランジスタ17の状態及び検査結果を示す表である。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るアンテナ検査回路100は通信機器40に内蔵されている。通信機器40には、アンテナ検査回路100の他に電源回路10とアンテナ接続状態判定回路20と通信回路30とが内蔵されている。
【0018】
通信機器40はアンテナ接続端子41を有しており、アンテナ接続端子41には接続状態の検査が行われるアンテナ51が接続される。また、通信回路30は高周波入出力端子31を有し、高周波入出力端子31がキャパシタ42を介してアンテナ接続端子41に接続されている。通信回路30は半導体素子(図示せず)等で構成されており、他の通信機器との間で送受信を行うことができるように構成されている。アンテナ接続端子41と高周波入出力端子31との間に接続されているキャパシタ42は、通信回路30とアンテナ検査回路100及びアンテナ51とを直流的に遮断している。
【0019】
アンテナ接続状態判定回路20は、検査要求出力端子22と検査結果入力端子23とを有している。アンテナ接続状態判定回路20は半導体素子(図示せず)等で構成されており、検査要求出力端子22からハイレベル又はローレベルの検査要求信号をアンテナ検査回路100に印加してアンテナ検査回路100にアンテナ51の接続状態を検査させる。また、検査結果入力端子23に入力される検査結果信号のレベルを検知してアンテナ51の接続状態を判定することができる。
【0020】
アンテナ検査回路100は、アンテナ接続端子41に接続されたアンテナ接続入力端子1と、ハイレベル又はローレベルの検査要求信号がアンテナ接続状態判定回路20の検査要求出力端子22から入力される検査要求入力端子2と、検査によって得られた検査結果信号が出力される検査結果出力端子3と、を備えている。
【0021】
アンテナ検査回路100の内部には、制御端7aと入力端7bと出力端7cとを有するスイッチング素子7と、第1抵抗11と、を備えている。スイッチング素子7は、その制御端7aが検査要求入力端子2に接続され、入力端7bがアンテナ接続入力端子1に接続され、出力端7cが検査結果出力端子3に接続されている。スイッチング素子7は、制御端7aと入力端7bとの間の電圧差が所定の電圧差以上である場合、オンとなるような素子であり、制御端7aと入力端7bとの間の電圧差が所定の電圧差以上でない場合、オフとなるような素子である。第1抵抗11は、検査要求入力端子2と検査結果出力端子3との間に接続されている。
【0022】
アンテナ接続状態判定回路20や通信回路30には、電源回路10から電源電圧Vddが供給される。Vddの電圧値としては、例えば5Vや3.5V等の電圧値が選ばれる。尚、アンテナ検査回路100は、電源回路10から電源電圧Vddが供給される必要がないように構成されている。
【0023】
アンテナ51は、図2に示すように逆F型アンテナ51aとして構成されている。逆F型アンテナ51aは、金属導体からなるアンテナ導体部51bと給電点51cと接地点51dと開放端51eとを備えていて、アンテナ接続端子41から給電点51cに給電され、接地点51dにおいて接地される。逆F型アンテナ51aであるアンテナ51は、所定の特性インピーダンスを有しており、通信回路30との間で整合が取れるように構成されている。尚、給電点51cと接地点51dとがアンテナ導体部51bによって金属導体で接続されているため、アンテナ51の給電点51cから接地点51dまでの直流インピーダンスは0Ωとなる。言い換えれば、アンテナ接続端子41にアンテナ51が接続された場合、アンテナ接続端子41は直流的に接地される。
【0024】
アンテナ接続状態を検査する場合の、図1に示すアンテナ検査回路100の動作について図1及び図2を用いて説明する。
【0025】
アンテナ接続状態を検査する場合、アンテナ接続状態判定回路20の検査要求出力端子22から検査要求入力端子2にハイレベルの検査要求信号を印加する。尚、アンテナ接続状態を検査しない場合即ち通常時には、アンテナ接続状態判定回路20の検査要求出力端子22から検査要求入力端子2にローレベルの検査要求信号を印加しておく。従ってアンテナ接続状態を検査する時、スイッチング素子7の制御端7aの電圧はハイレベルの電圧となっている。尚、ハイレベルの電圧とは、所定の閾値以上の電圧であり、ローレベルの電圧とは、所定の閾値未満の電圧である。具体的には、ハイレベルの電圧値は、ハイレベルであると明確に判定できる電圧値、例えば電源電圧Vddと同一か又は、電源電圧Vddに近い値に設定される。また、ローレベルの検査要求信号の電圧値は、ローレベルであると明確に判定できる電圧値、例えば接地電圧と同一か又は、接地電圧に近い値に設定される。
【0026】
アンテナ接続端子41にアンテナ51が接続されている場合には、スイッチング素子7の入力端7bの電圧は、アンテナ51の給電点51cから接地点51dまでの直流インピーダンス、即ち入力端7bから見たアンテナ51側の直流インピーダンスが0Ωであるため接地電圧と同じである。スイッチング素子7は、制御端7aの電圧がハイレベルの電圧で入力端7bの電圧がローレベルの電圧である場合、即ち制御端7aと入力端7bとの電圧差が所定の電圧差以上の場合にオンとなるような素子であるため、アンテナ接続端子41にアンテナ51が接続されている場合には、スイッチング素子7がオンとなる。そのため、スイッチング素子7の出力端7cにはアンテナ51を介して接地電圧に近い電圧が供給されるため、検査結果出力端子3にローレベルの信号が出力される。
【0027】
一方、アンテナ接続端子41にアンテナ51が接続されていない場合には、スイッチング素子7の入力端7bは開放状態になっているため、制御端7aと入力端7bとの間に電圧差は生じない。スイッチング素子7は、制御端7aと入力端7bとの間の電圧差が所定の電圧差以上でない場合、オフとなるような素子であるため、アンテナ接続端子41にアンテナ51が接続されていない場合には、スイッチング素子7がオフとなる。そのため、スイッチング素子7の出力端7cには、第1抵抗11を介して検査要求入力端子2に印加されたハイレベルの電圧が現れる。従って、検査結果出力端子3にハイレベルの信号が出力される。
【0028】
尚、アンテナ接続状態を検査しない場合即ち通常の場合には、前述したように、アンテナ接続状態判定回路20の検査要求出力端子22から検査要求入力端子2にローレベルの検査要求信号を印加しておく。この場合、スイッチング素子7の制御端7aの電圧はローレベルの電圧となっており、スイッチング素子7は常にオフとなっている。その結果、検査結果出力端子3に第1抵抗11を介してローレベルの信号が出力され、アンテナ接続状態判定回路20の検査結果入力端子23にローレベルの信号が入力されている。
【0029】
このように、アンテナ検査回路100は、検査要求入力端子2にハイレベルの検査要求信号を印加した時、アンテナ51が接続されている場合にはアンテナ51を介して検査結果出力端子3にローレベルの電圧を出力し、アンテナ51が接続されていない場合には第1抵抗11を介して検査結果出力端子3にハイレベルの電圧を供給するように構成した。そのため、給電点から接地点までの直流インピーダンスが0Ωであるアンテナ51に対して接続状態を正確に検査することができる。
【0030】
次に、スイッチング素子としてトランジスタ17を採用した場合の、アンテナ検査回路200及びアンテナ検査回路200を内蔵した通信機器60の構成について図3を用いて説明する。尚、通信機器60におけるアンテナ検査回路200以外及びアンテナ51については、図1に示した通信機器40の構成及び図2に示したアンテナ51の構成と同一である。従って、通信機器60内の通信機器40と同一の構成要件については同一の符号を付与すると共に説明を省略する。
【0031】
図3に示すように、アンテナ検査回路200の内部は、第1抵抗11と、第2抵抗12と、第3抵抗13と、スイッチング素子としてのトランジスタ17とから構成されている。トランジスタ17は、制御端としてベース17aを有し、入力端としてエミッタ17bを有し、出力端としてコレクタ17cを有したバイポーラ型のトランジスタである。
【0032】
アンテナ検査回路200では、検査要求入力端子2と検査結果出力端子3との間に第1抵抗11を接続し、コレクタ17cを検査結果出力端子3に接続し、エミッタ17bとアンテナ接続入力端子1との間に第2抵抗12を接続し、ベース17aと検査要求入力端子2との間に第3抵抗13を接続した。
【0033】
ここで、第1抵抗11、第2抵抗12及び第3抵抗13の抵抗値は、トランジスタ17が適切なスイッチング動作を行えるように、第2抵抗12の抵抗値が第1抵抗11の抵抗値より小さく設定され、第3抵抗13の抵抗値が第2抵抗12の抵抗値より大きく設定されている。例えば、第2抵抗12の抵抗値は、トランジスタ17がオンになった時、検査結果出力端子3における電圧、即ち第1抵抗11と第2抵抗12とによって分圧された電圧値が接地電圧に近い値になるように第1抵抗11の抵抗値の約1/10以下に設定される。また第3抵抗13の抵抗値は、トランジスタ17がオンとなった時の消費電流を抑えるために、第2抵抗12の抵抗値の約10倍以上に設定される。
【0034】
アンテナ接続状態を検査する場合の、アンテナ検査回路200の動作について図3及び図4を用いて説明する。
【0035】
アンテナ接続状態を検査する場合、アンテナ接続状態判定回路20の検査要求出力端子22から検査要求入力端子2にハイレベルの検査要求信号を印加する。従って、この時、ベース17aの電圧はハイレベルの電圧となっている。
【0036】
アンテナ接続端子41にアンテナ51が接続されている場合には、図2に示すアンテナ51の給電点51cから接地点51dまでの直流インピーダンスが0Ωであるため、アンテナ接続端子41は接地されている。そのため、エミッタ17bは第2抵抗12を介して接地される。また、ベース17aの電圧はハイレベルの電圧であるため、トランジスタ17はオンとなる。従って、アンテナ接続端子41にアンテナ51が接続されている場合には、コレクタ17cはほぼ接地電圧即ちローレベルとなり、検査結果出力端子3にローレベルの信号が出力される。
【0037】
一方、アンテナ接続端子41にアンテナ51が接続されていない場合には、トランジスタ17のエミッタ17bは開放状態になっているため、ベース17aとエミッタ17bとの間に電圧差は生じない。従って、アンテナ接続端子41にアンテナ51が接続されていない場合には、トランジスタ17がオフとなる。そのため、コレクタ17cには、第1抵抗11を介して検査要求入力端子2に印加されたハイレベルの電圧が現れる。従って、検査結果出力端子3にハイレベルの信号が出力される。
【0038】
尚、アンテナ接続状態を検査しない場合即ち通常の場合には、アンテナ接続状態判定回路20の検査要求出力端子22から検査要求入力端子2にローレベルの検査要求信号を印加する。この場合、トランジスタ17のベース17aの電圧はローレベルの電圧となっているためトランジスタ17は常にオフとなっている。そのため、コレクタ17cには、第1抵抗11を介して検査要求入力端子2に印加されたローレベルの電圧が現れる。従って、検査結果出力端子3にローレベルの信号が出力される。
【0039】
以上述べた、アンテナ検査回路200内のトランジスタ17の動作と検査結果について図4の表に示す。
【0040】
アンテナ接続状態を検査しない場合即ち通常の場合には、図4の表に示すように、検査要求入力端子2にローレベルの検査要求信号(Low)が入力されている。この時、トランジスタ17はオフとなり、検査結果出力端子3には、ローレベルの検査出力信号(Low)が出力される。従って、アンテナ51が接続されていても接続されていなくても、ローレベルの検査要求信号(Low)が検査要求入力端子2に入力された場合には、検査結果出力端子3には、ローレベルの検査出力信号(Low)が出力される。
【0041】
アンテナ接続状態を検査する場合には、図4の表に示すように、検査要求入力端子2にハイレベルの検査要求信号(Hi)が入力される。ハイレベルの検査要求信号(Hi)が入力されている状態で、アンテナ51が接続されている場合、トランジスタ17はオンとなり、検査結果出力端子3には、ローレベルの検査出力信号(Low)が出力される。また、ハイレベルの検査要求信号(Hi)が入力されている状態で、アンテナ51が接続されていない場合、トランジスタ17はオフとなり、検査結果出力端子3には、ハイレベルの検査出力信号(Hi)が出力される。
【0042】
このように、アンテナ接続状態を検査する場合には、検査要求入力端子2にハイレベルの検査要求信号(Hi)を入力し、検査結果出力端子3における信号のレベルが、ローレベル(Low)であった場合にはアンテナ51が接続されていると判定できる。また、検査要求入力端子2にハイレベルの検査要求信号(Hi)を入力し、検査結果出力端子3における信号のレベルが、ハイレベル(Hi)であった場合にはアンテナ51が接続されていないと判定できる。
【0043】
ところで、通信機器60が車載用の通信機器であった場合にはアンテナ接続端子41に車載用バッテリーの電圧、例えば12Vのバッテリー電圧が誤って印加される可能性がある。その場合、図3で示すアンテナ検査回路200のアンテナ接続入力端子1に、通信機器60の電源電圧Vdd(例えば3.5Vや5V)を超える高電圧が印加されることになる。このような高電圧がそのまま通信機器60内のアンテナ接続状態判定回路20や通信回路30に印加されてしまうと、各回路内の半導体素子等を破壊してしまうことになる。
【0044】
しかしながら、アンテナ検査回路200内のスイッチング素子は、トランジスタ17で構成されていると共に、アンテナ接続入力端子1にはエミッタ17bが接続され、検査結果出力端子3にはコレクタ17cが接続されている。従って、アンテナ接続入力端子1と検査結果出力端子3との間に、カソードがアンテナ接続入力端子1に接続されたダイオードが挿入されているのと同等であると考えることができる。そのため、エミッタ17bとコレクタ17cとの間に逆方向の電圧が加えられた場合、例えば、アンテナ接続入力端子1に電源電圧Vddを超える高電圧が印加された場合、この高電圧はトランジスタ17によって阻止されることになる。
【0045】
このように、アンテナ検査回路200は、入力端としてエミッタ17bを有し、出力端としてコレクタ17cを有したバイポーラ型のトランジスタ17をスイッチング素子として使用したので、通信機器60のアンテナ接続端子41に電源電圧Vddを越えるような高電圧が誤って加えられた場合、この高電圧はトランジスタ17によって阻止される。その結果、通信機器60内の各回路に電源電圧Vddを越えるような高電圧が印加されることがなく、通信機器60内の各回路を保護することができる。
【0046】
また、アンテナ検査回路200は、回路構成部品として1本のトランジスタ17と、第1抵抗11、第2抵抗12及び第3抵抗13からなる3本の抵抗とを使用するだけであるため、アンテナ検査回路200を小規模な回路構成で実現させることができる。
【0047】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るアンテナ検査回路は、アンテナが接続されている場合にはアンテナを介して検査結果出力端子にローレベルの電圧を出力し、アンテナが接続されていない場合には第1抵抗を介して検査結果出力端子にハイレベルの電圧を供給するように構成したので、給電点から接地点までの直流インピーダンスが0Ωであるアンテナに対して接続状態を正確に検査することができる。
【0048】
本発明は上記の実施形態の記載に限定されず、その効果が発揮される態様で適宜変更して実施することができる。例えば、本発明のアンテナ検査回路には、図1に示される構成要素と等価な構成要素が含まれる。また、動作に支障をきたさない範囲で他の回路構成部品が含まれることがある。また、スイッチング素子として、バイポーラトランジスタに代えて電界効果トランジスタ等を用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 アンテナ接続入力端子
2 検査要求入力端子
3 検査結果出力端子
7 スイッチング素子
7a 制御端
7b 入力端
7c 出力端
10 電源回路
11 第1抵抗
12 第2抵抗
13 第3抵抗
17 トランジスタ
17a ベース
17b エミッタ
17c コレクタ
20 アンテナ接続状態判定回路
22 検査要求出力端子
23 検査結果入力端子
30 通信回路
31 高周波入出力端子
40 通信機器
41 アンテナ接続端子
42 キャパシタ
51 アンテナ
51a 逆F型アンテナ
51b アンテナ導体部
51c 給電点
51d 接地点
51e 開放端
100 アンテナ検査回路
200 アンテナ検査回路
図1
図2
図3
図4
図5