(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケース及び前記カバーシートを上方から平面視したとき、前記カバーシートの外形形状は、前記ケースの外形形状に沿うように形成されるとともに、前記ケースの外形形状の内側に収まる形状に形成され、
前記カバーシートの、前記開口を挟んで対向する位置において、前記ケースと前記カバーシートは少なくとも一部が粘着材により粘着されている、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のプッシュスイッチ。
【背景技術】
【0002】
プッシュスイッチにおいては、可動接点などを収納するために、ケースに収納用の空間が設けられている。使用用途によっては、プッシュスイッチは、ケースに設けられた収納用の空間を密閉することが求められることがある。収納用の空間を密閉するために、収納用空間の開口をシートで覆い、シートとケースとを溶着により固定したプッシュスイッチがある。このようなプッシュスイッチとしては、下記の特許文献1に記載のプッシュスイッチが知られている。
【0003】
以下、
図7を用いて、特許文献1に記載のプッシュスイッチについて説明する。
図7は特許文献1に記載のプッシュスイッチ900の外観を示す斜視図である。
【0004】
特許文献1に記載のプッシュスイッチ900は、スイッチ接点部が配設されたケース911上が保護シート915で覆われて構成されるプッシュスイッチであって、保護シート915はレーザー照射によりケース911に溶着固定され、かつその溶着固定箇所が保護シート915の粘着代にあたる範囲内において部分的な線状の第一の溶着固定箇所921で溶着固定されている構成となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のプッシュスイッチ900は、保護シート915を線状の第一の溶着固定箇所921でケース911に溶着固定し、ケース911に設けられた収納用の空間を密閉している。しかしながら、プッシュスイッチ900は、第一の溶着固定箇所921が線状に設けられているため、保護シート915の外縁部がケース911に溶着されていない。溶着されていない保護シート915の外縁部は、半田付けなどの加熱によりめくれ上がり、めくれ上がった外縁部がプッシュスイッチ900を操作するための操作つまみに接触し操作感触が悪くなるなどの不具合が発生する恐れがあった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決して、外縁部がめくれ上がりにくくカバーシートが溶着されたプッシュスイッチを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のプッシュスイッチにおいては、上方側が開口となっており、内部に固定接点部が設けられるとともに可動接点部材を収容する収容部を備えたケースと、前記開口を覆うように溶着により前記ケースの上面に取り付けられるカバーシートと、を有しているプッシュスイッチにおいて、前記ケースの上面は、前記カバーシートとの間で溶着される被溶着部となっており、前記開口の周囲の全周に渡って溶着される全周溶着部分と、少なくとも一部において前記カバーシートの外縁部まで溶着される外縁溶着部分と、が前記カバーシートと前記ケースの被溶着部との間で形成されて、前記カバーシートが前記ケースの上面に取り付けら
れ、前記ケースの被溶着部と前記カバーシートとの間は溶着により溶着層が形成されており、前記外縁溶着部分の溶着層は、前記全周溶着部分の溶着層よりも薄く形成されている、という特徴を有する。
【0010】
請求項2に記載のプッシュスイッチにおいては、前記カバーシートと前記ケースの被溶着部との間には、前記開口の縁部まで溶着される内縁溶着部分が形成されている、という特徴を有する
【0011】
請求項3に記載のプッシュスイッチにおいては、前記内縁溶着部分の溶着層は、前記全周溶着部分の溶着層よりも薄く形成されている、という特徴を有する。
【0012】
請求項4に記載のプッシュスイッチにおいては、前記ケースは、前記収容部の内部側面から突出する突出部を有し、前記突出部は、前記可動接点部材を上方から平面視した時の外形に沿うように突出するとともに、前記収容部の内部底面から前記開口の縁部まで連続して形成され、前記突出部の上面は、前記被溶着部であり、前記カバーシートと溶着されている、という特徴を有する。
【0013】
請求項5に記載のプッシュスイッチにおいては、前記ケース及び前記カバーシートを上方から平面視したとき、前記カバーシートの外形形状は、前記ケースの外形形状に沿うように形成されるとともに、前記ケースの外形形状の内側に収まる形状に形成され、前記カバーシートの、前記開口を挟んで対向する位置において、前記ケースと前記カバーシートは少なくとも一部が粘着材により粘着されている、という特徴を有する。
【0014】
請求項6に記載のプッシュスイッチにおいては、前記カバーシートと前記可動接点部材との間に配置された押し子部材を有し、前記カバーシートと前記押し子部材とは溶着されている、という特徴を有する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、カバーシートが開口の周囲の全周に渡って溶着されるととともに、少なくとも一部においてカバーシートの外縁部まで溶着されることでケースに取り付けられている。このように、少なくとも一部においてカバーシートの外縁部までカバーシートが溶着されることで、カバーシートの外縁部がめくれ上がることを抑制することができる。したがって、外縁部がめくれ上がりにくくシートが溶着されたプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
また、外縁溶着部分の溶着層を薄くしたことで、溶着時に外縁溶着部分にかかる熱エネルギーを小さく押さえることができる。そのため、過剰な熱エネルギーによりケースの外形部にダレが発生するのを抑制することができる。したがって、カバーシートの外縁部がめくれ上がりにくく、ケースの外形部にダレのないプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0017】
請求項2の発明によれば、開口の縁部まで溶着することで、操作時にカバーシートがヨレ難くなる。カバーシートがヨレ難くなることで、操作感触の劣化を抑制することができる、という効果を奏する。
【0018】
請求項3の発明によれば、内縁溶着部分の溶着層を薄くしたことで、溶着時に内縁溶着部分にかかる熱エネルギーを小さく押さえることができる。そのため、過剰な熱エネルギーにより開口の縁部にダレが発生するのを抑制することができる。よって、開口の縁部のダレにより発生することが考えられる、操作感触の劣化、可動接点部材の動作不具合、可動接点部材と固定接点部材との接触不良などを抑制することができる。したがって、操作感触が良く、不具合が発生しにくいプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0019】
請求項6の発明によれば、突出部を可動接点部材の外形に沿うように突出形成することで、組み立て時に可動接点部材が突出部に沿って配置されるため、組み立てが容易になる。また、突出部を開口の縁部の位置まで設けることで、突出部の上面を被溶着部とすることができ、溶着面積を増加させることで密閉性を向上させることができる。したがって、組み立て性が良く、収容部の密閉性の良いプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0020】
請求項5の発明によれば、開口を挟んで対向する位置において、カバーシートをケースに粘着材により粘着することで溶着前に仮止めしておき、溶着時の位置ずれを防ぐことができる。したがって、収容部の密閉性をより確実に確保することができるプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0021】
請求項6の発明によれば、カバーシートと可動接点部材との間に押し子部材を設けることで、可動接点部材の所定の範囲に操作力を集中させることができる。また、カバーシートと押し子部材とを溶着することで、可動接点部材と押し子部材との接触位置がずれ難くなる。したがって、操作感触が安定しているプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0022】
以上より、本発明によれば、外縁部がめくれ上がりにくくカバーシートが溶着されたプッシュスイッチを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態におけるプッシュスイッチについて説明する。
【0025】
まず始めに本実施形態におけるプッシュスイッチの構成について
図1ないし
図4を用いて説明する。
図1は第1実施形態におけるプッシュスイッチ100の構成を示す分解斜視図である。
図2は第1実施形態におけるプッシュスイッチ100を示す図であり、
図2(a)はプッシュスイッチ100の外観を示す斜視図であり、
図2(b)は
図2(a)に示すZ1方向側から見た状態のプッシュスイッチ100の外観を示す平面図である。
図3は第1実施形態における可動接点部材3を示す図で、
図3(a)は可動接点部材3の外観を示す斜視図であり、
図3(b)は
図3(a)に示すY2方向側から見た状態の可動接点部材3を示す側面図である。
図4は第1実施形態におけるケース1を示す図であり、
図4(a)はケース1の外観を示す斜視図であり、
図4(b)は
図4(a)に示すZ1方向側から見た状態のケース1を示す平面図である。
【0026】
プッシュスイッチは、
図1に示すように、ケース1と、カバーシート2と、可動接点部材3と、押し子部材4と、を有し、
図2に示すように、略直方体状に形成される。
【0027】
可動接点部材3は金属薄板からなり、
図3に示すように、上方(Z1方向側)から平面視すると略長方形状に形成されている。また、可動接点部材3は、中央部が上方へ突出しドーム状に形成されたドーム部3aを有し、長手方向(X1−X2方向)の両端にはドーム部3aに連続して脚部3bが形成されている。なお、ドーム部3aの最も突出している箇所を頂部3cとする。可動接点部材3は弾性を備え、頂部3c側を押圧されると撓んだ後に反転動作するとともに、押圧が解除されると押圧前の状態に戻る。
【0028】
ケース1は、光が透過しにくい黒色などの暗色系の合成樹脂材からなり、金属板がインサート成型されている。ケース1は、
図4に示すように、上方側が開口1bとなっており、内部に固定接点部1cが設けられるとともに可動接点部材3を収納可能な大きさの凹形状に形成された収容部1aを備えている。また、ケース1は、収容部1aの内部側面から突出する突出部1eを有している。突出部1eは、可動接点部材3を上方(
図3に示すZ1方向側)から平面視した時の外形に沿うように突出するとともに、収容部1aの内部底面から開口1bの縁部まで連続して形成されている。また、突出部1eの上面を含むケース1の上面は、溶着を行うことが可能な被溶着部1dとなっている。ケース1にインサート成型された金属板は、収容部1aの内部底面と、ケース1の長手方向(X1−X2方向)における両端から露出している。収容部1aの内部底面に露出した金属板は固定接点部1cを形成し、固定接点部1cは収容部1aの内部底面の中央に設けられた中央接点部1fと、収容部1aの内部底面の四隅に設けられた外周接点部1gと、からなり、中央接点部1fと外周接点部1gとは電気的に絶縁されている。なお、中央接点部1fは三分割された円形状に露出しており、三分割された中央接点部1fは、それぞれ電気的に接続されているとともに、4つの外周接点部1g同士はそれぞれ電気的に接続されている。また、ケース1の長手方向の一方(X2方向側)に突出した金属板は、外部と電気的に接続可能な第1接続端子1hを形成し、他方へ突出した金属板は第2接続端子1kを形成している。なお、中央接点部1fと第1接続端子1hとは電気的に接続されるとともに、外周接点部1gと第2接続端子1kとは電気的に接続されている。
【0029】
カバーシート2は光を透過可能な合成樹脂材のシートからなり、
図1に示すように、長方形状に形成されている。カバーシート2を上方(Z1方向側)から平面視したとき、
図2に示すように、カバーシート2は開口1bを覆うことが可能な大きさであり、カバーシート2の外形形状は、ケース1の外形形状に沿うように形成されるとともに、ケース1の外形形状の内側に収まる形状に形成されている。また、カバーシート2の、
図2に示すA部領域内の裏面(Z2方向側の面)には、粘着性を備えた粘着材が設けられている。
【0030】
押し子部材4は光が透過しにくい黒色などの暗色系の合成樹脂材からなり、
図1に示すように、半球状に形成されている。
【0031】
次にプッシュスイッチ100の構造について
図2、
図5および
図6を用いて説明する。
図5は
図2に記載の断面B−Bを示す模式断面図であり、
図5(a)は操作される前のプッシュスイッチ100を示す断面図であり、
図5(b)は操作されたプッシュスイッチ100を示す断面図である。なお、
図5においては、説明を容易にするために、各構成部品の厚さ寸法の比率や外周接点部1gの位置など実際の構造と異なる部分もある。
図6は第1実施形態における、全周溶着部分SP、外縁溶着部分OPおよび内縁溶着部分IPのおおよその箇所を示す模式図である。
【0032】
図5に示すように、カバーシート2の粘着材が設けられた面(
図2参照)の中央部に、押し子部材4は半球面がカバーシート2に接触するように配置され、カバーシート2と押し子部材4の半球面の一部とは溶着され、押し子部材4はカバーシート2に固定される。なお、溶着は、カバーシート2側からのレーザー光の照射により熱エネルギーを与えることで行う。レーザー光による溶着以外の方法、例えば、超音波溶着で溶着しても良い。また、ケース1は、可動接点部材3を収容部1aに収容する。収容部1aに収容された可動接点部材3は頂部3cが上方(Z1方向側)になるとともに、脚部3bが外周接点部1gに接触するように配置される。また、可動接点部材3は突出部1eに案内されて配置される。カバーシート2は、押し子部材4と可動接点部材3とが対向するとともに、開口1bを覆うようにケース1の上面に取り付けられ、粘着材により粘着される。すなわち、カバーシート2の、開口1bを挟んで対向する位置において、ケース1とカバーシート2とは少なくとも一部が粘着材により粘着され、仮止めされる。カバーシート2と可動接点部材3との間に配置された押し子部材4は、可動接点部材3の頂部3cに対応した位置に配置される。また、
図2に示すように、ケース1及びカバーシート2を上方から平面視したとき、カバーシート2はケース1の外形形状の内側に収まっている。また、カバーシート2は、押し子部材4に対応する箇所が上方へ突出したように形成される。このように仮止めされたケース1とカバーシート2とは、ケース1の上面および突出部1eの上面である被溶着部1dとカバーシート2との間で溶着され、溶着により取り付けられる。このとき、粘着材により仮止めしている部分を除いて溶着されることとなる。
【0033】
なお、
図6に示すように、カバーシート2(
図5参照)とケース1の被溶着部1dとの間には、開口1bの周囲の全周に渡って溶着される全周溶着部分SPと、少なくとも一部においてカバーシート2の外縁部まで溶着される外縁溶着部分OPと、開口1bの縁部まで溶着される内縁溶着部分IPと、が形成され、カバーシート2がケース1の上面(被溶着部1d)に取り付けられている。
【0034】
また、
図5に示すように、ケース1の被溶着部1dとカバーシート2との間は溶着により溶着層WLが形成されている。外縁溶着部分OPに対応する箇所の溶着層WLは、全周溶着部分SPに対応する箇所の溶着層WLよりも薄く形成されており、内縁溶着部分IPに対応する箇所の溶着層WLは、全周溶着部分SPに対応する箇所の溶着層WLよりも薄く形成されている。なお、カバーシート2とケース1との溶着は、粘着材が粘着されている部分以外の部分に、カバーシート2の上方側からレーザー光を照射し、ケース1の被溶着部1dとカバーシート2との間に熱エネルギーを与えることで溶着している。なお、レーザー光による熱エネルギーを変える方法として、例えば、レーザー光の出力を調整することで、レーザー光により与えられる熱エネルギーが変わり、溶着層WLの厚さを変えることができる。例えば、レーザー光の出力を大きくすると熱エネルギーが大きくなり、溶着層WLの厚さは厚くなり、レーザー光の出力を小さくすると熱エネルギーが小さくなり溶着層WLの厚さは薄くなる。このようにレーザー光の出力により熱エネルギーを調整することで、全周溶着部分SP、外縁溶着部分OPおよび内縁溶着部分IPにおける溶着層WLの厚さを異ならせることができる。また、レーザー光による溶着方法を説明したが、超音波溶着など、別の方法で溶着しても良い。
【0035】
次にプッシュスイッチ100の動作について
図5を用いて説明する。
【0036】
操作前に状態においては、
図5(a)に示すように、プッシュスイッチ100は、可動接点部材3と中央接点部1fとは離間しており、中央接点部1fと外周接点部1gとは電気的に接続されていない状態である。次に、
図5(b)に示すように、カバーシート2および押し子部材4を介して可動接点部材3を下方(Z2方向)へ押圧すると、可動接点部材3は頂部3cの近くを押圧され、下方へ撓んだ後に反転動作し、頂部3cの裏面側が中央接点部1fに接触する。可動接点部材3と中央接点部1fとが接触することで、可動接点部材3を介して、中央接点部1fと外周接点部1gとが電気的に接続される。また、可動接点部材3への押圧を解除すると、可動接点部材3の弾性力により、プッシュスイッチ100は操作前の状態に戻る。このように、可動接点部材3を押圧操作し、中央接点部1fと外周接点部1gとの電気的な接続状態を切り替えることで、プッシュスイッチ100はプッシュスイッチとして機能する。
【0037】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0038】
第1実施形態のプッシュスイッチ100では、上方側が開口1bとなっており、内部に固定接点部1cが設けられるとともに可動接点部材3を収容する収容部1aを備えたケース1と、開口1bを覆うように溶着によりケース1の上面に取り付けられるカバーシート2と、を有しているプッシュスイッチにおいて、ケース1の上面は、カバーシート2との間で溶着される被溶着部1dとなっており、開口1bの周囲の全周に渡って溶着される全周溶着部分SPと、少なくとも一部においてカバーシート2の外縁部まで溶着される外縁溶着部分OPと、がカバーシート2とケース1の被溶着部1dとの間で形成されて、カバーシート2がケース1の上面に取り付けられている、構成とした。
【0039】
これにより、カバーシート2が、全周溶着部分SPで開口1bの周囲の全周に渡って溶着されるととともに、外縁溶着部分OPで少なくとも一部においてカバーシート2の外縁部まで溶着されることで、ケース1に取り付けられている。このように、少なくとも一部においてカバーシート2の外縁部までカバーシート2がケース1に溶着されることで、カバーシート2の外縁部がめくれ上がることを抑制することができる。したがって、外縁部がめくれ上がりにくくシートが溶着されたプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0040】
また、第1実施形態のプッシュスイッチ100では、ケース1の被溶着部1dとカバーシート2との間は溶着により溶着層WLが形成されており、外縁溶着部分OPの溶着層WLは、全周溶着部分SPの溶着層WLよりも薄く形成されている、構成とした。
【0041】
これにより、外縁溶着部分OPの溶着層WLを薄くしたことで、溶着時に外縁溶着部分OPにかかる熱エネルギーを小さく押さえることができる。そのため、過剰な熱エネルギーによりケース1の外形部にダレが発生するのを抑制することができる。したがって、カバーシート2の外縁部がめくれ上がりにくく、ケース1の外形部にダレのないプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0042】
また、第1実施形態のプッシュスイッチ100では、カバーシート2とケース1の被溶着部1dとの間には、開口1bの縁部まで溶着される内縁溶着部分IPが形成されている、構成とした。
【0043】
これにより、少なくとも一部において開口1bの縁部までカバーシート2を溶着することで、操作時にカバーシート2がヨレ難くなる。カバーシート2がヨレ難くなることで、操作感触の劣化を抑制することができる、という効果を奏する。
【0044】
また、カバーシート2と可動接点部材3との間に押し子部材4が配置されているが、少なくとも一部において開口1bの縁部までカバーシート2を溶着することで、押し子部材4が可動接点部材3を押圧する箇所がずれることを抑制することができる。したがって、操作感触の変化や劣化を抑制することができる。
【0045】
また、第1実施形態のプッシュスイッチ100では、内縁溶着部分IPの溶着層WLは、全周溶着部分SPの溶着層WLよりも薄く形成されている、構成とした。
【0046】
これにより内縁溶着部分IPの溶着層WLを薄くしたことで、溶着時に内縁溶着部分IPにかかる熱エネルギーを小さく押さえることができる。そのため、過剰な熱エネルギーにより開口1bの縁部にダレが発生するのを抑制することができる。よって、開口1bの縁部のダレにより発生することが考えられる、操作感触の劣化、可動接点部材3の動作不具合、可動接点部材3と固定接点部1c材との接触不良などを抑制することができる。したがって、操作感触が良く、不具合が発生しにくいプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0047】
また、第1実施形態のプッシュスイッチ100では、ケース1は、収容部1aの内部側面から突出する突出部1eを有し、突出部1eは、可動接点部材3を上方から平面視した時の外形に沿うように突出するとともに、収容部1aの内部底面から開口1bの縁部まで連続して形成され、突出部1eの上面は、被溶着部1dであり、カバーシート2と溶着されている、構成とした。
【0048】
これにより、突出部1eを可動接点部材3の外形に沿うように突出形成することで、組み立て時に可動接点部材3が突出部1eに沿って配置されるため、組み立てが容易になる。また、突出部1eを開口1bの縁部の位置まで設けることで、突出部1eの上面を被溶着部1dとすることができ、溶着面積を増加させることで密閉性を向上させることができる。したがって、組み立て性が良く、収容部1aの密閉性の良いプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0049】
また、第1実施形態のプッシュスイッチ100では、ケース1及びカバーシート2を上方から平面視したとき、カバーシート2の外形形状は、ケース1の外形形状に沿うように形成されるとともに、ケース1の外形形状の内側に収まる形状に形成され、カバーシート2の、開口1bを挟んで対向する位置において、ケース1とカバーシート2は少なくとも一部が粘着材により粘着されている、構成とした。
【0050】
これにより、開口1bを挟んで対向する位置、第1実施携帯においては、カバーシート2の長手方向における両端部において、カバーシート2をケース1に粘着材により粘着することで溶着前に仮止めしておき、溶着時の位置ずれを防ぐことができる。したがって、収容部1aの密閉性をより確実に確保することができるプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0051】
また、第1実施形態のプッシュスイッチ100では、カバーシート2と可動接点部材3との間に配置された押し子部材4を有し、カバーシート2と押し子部材4とは溶着されている、構成とした。
【0052】
これにより、カバーシート2と可動接点部材3との間に押し子部材4を設けることで、可動接点部材3の所定の範囲に操作力を集中させることができる。また、カバーシート2と押し子部材4とを溶着することで、可動接点部材3と押し子部材4との接触位置がずれ難くなる。したがって、操作感触が安定しているプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0053】
以上のように、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチを具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0054】
[変形例1]
第1実施形態において、全周溶着部分SPは開口1bの周囲の全周に渡って溶着される構成とした。しかしながら、収容部1a内部の空気の逃げ場が無いため、プッシュスイッチ100操作したときに操作感触が悪くなることや、最悪、プッシュスイッチとして機能しなくなるような不具合が発生する場合も考えられる。そのような不具合が発生する場合には、必要に応じて、実質的に密閉状態(空気の出入りはできるが水分の流入は防げる程度)保てる範囲で、全周溶着部分SP(外縁溶着部分OPおよび内縁溶着部分IPも含めて)の一部を途切れさせて、空気逃げを設けても良い。
【0055】
[変形例2]
第1実施形態において、カバーシート2の長手方向の両端部に粘着材を設ける構成としたが、カバーシート2の仮止めが行え、開口1bを挟んで対向する位置であれば、粘着材の位置を変えても良い。
【0056】
[変形例3]
第1実施形態において、カバーシート2の長手方向の両端部に粘着材を設ける構成としたが、カバーシート2の仮止めを別の手段により行えるのであれば、粘着材を設けなくても良い。
【0057】
[変形例4]
第1実施形態において、可動接点部材3を1個用いる構成としたが、必要に応じて複数個重ねて用いる構成であっても良い。