(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、分かりやすいように、図面は寸法を適宜変更している。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態のスイッチ装置100を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態のスイッチ装置100を示す分解斜視図である。
図3は、第1実施形態のスイッチ装置100を示す正面図である。
図4は、第1実施形態のスイッチ装置100を示す背面図である。
図5は、第1実施形態のスイッチ装置100を示す平面図である。
図6は、第1実施形態におけるスイッチユニット1、2と基板80を示す説明図である。
図7は、スイッチ機構10を示す模式図である。
図8は、他のスイッチ機構20を示す模式図である。
図9は、
図6のスイッチユニット1、2の複数の接続端子を示す説明図である。
図10は、複数の接続端子及び固定接点を示す説明図である。
図11は、スイッチユニット1の第1の実装方向を示す説明図である。
図12は、スイッチユニット1の第2の実装方向を示す説明図である。
【0027】
本実施形態のスイッチ装置100は、
図1〜
図5に示すように、略長方形の基板80と、スイッチユニット1、2と、スイッチユニット1、2内のスイッチ機構10、20、30、40を駆動する操作ノブ19、29、39、49と、を備えている。以下の説明においては、
図1のZ1側を上方、Z2側を下方とするが、スイッチ装置100の取り付け方向を限定するものではない。
【0028】
基板80は、合成樹脂等の絶縁性材料に導電パターン86が形成されたものである。導電パターン86は銅箔等の導電性材料で基板80の両面に形成されている。なお、
図1〜
図5では導電パターン86の具体的形状を省略している。基板80のスイッチユニット1、2が実装されている面の背面80bには、
図2〜
図4に示すように、コネクタ81が実装されている。基板80には、スイッチユニット1、2及びコネクタ81以外にも種々の部品が実装されるが、他の実装部品については割愛する。
【0029】
コネクタ81は、高電流入力端子85を含む外部接続用端子84を備え、下ケース部材90の所定位置に取り付けられて、下ケース部材90の開口内に外部接続用端子84が露出する形状となっている。コネクタ81は、絶縁性のハウジング82と、外部接続用端子84と、ハウジング82に埋設された金属板83と、を有している。金属板83は、両端の接続部83a、83cが基板80に形成された導電パターン86の所定の部位に接続され、
図3に点線で示すバス部83bは基板80と所定の隙間を有して対向するようにハウジング82に埋設されている。この金属板83を介して、高電流入力端子85と基板80に形成された導電パターン86の所定の部位とが電気的に接続されている。
【0030】
操作ノブ19、29、39、49を配設する前に、図示しない上ケース部材が下ケース部材90に装着される。この上ケース部材に操作ノブ19、29、39、49の支持構造が設けられていることによって、操作ノブ19、29、39、49が操作可能な状態に支持される。すなわち、操作ノブ19の支持部19a、操作ノブ29の支持部29a、操作ノブ39の支持部39a、及び操作ノブ49の支持部49aを支点として支持され、棹部19b、29b、39b、49bの先端がX1−X2方向に回動可能となっている。
【0031】
次に、スイッチユニット1の構成について説明する。
【0032】
スイッチユニット1は、基板80の短手方向(Y1−Y2方向)に隣り合うように1対のスイッチ機構10、20が単一の筐体61に収容されている。
図6に示すように、本実施形態では、スイッチユニット1のY1側にスイッチ機構10が配置され、Y2側にスイッチ機構20が配置されている。
【0033】
筐体61は合成樹脂を成形したものであり、
図2に示すように、上方が開放された箱状であり、その内部が収容空間を形成している。筐体61は導電性の金属からなる複数の接続端子(第1スイッチ素子用接続端子15A、25A及び第2スイッチ素子用接続端子15B、25B)がインサート成形により一体に形成されている。
【0034】
図7に模式的に示すように、スイッチ機構10は、スライダ16と、1組のスイッチ素子11、12とを備えている。1組のスイッチ素子11、12は、第1スイッチ素子用接続端子15A及び第2スイッチ素子用接続端子15Bに形成された固定接点と、この固定接点に弾性接触する摺動部材13とで構成されている。
【0035】
スイッチ機構10は、基板80に接する下面部に、スイッチ素子11、12の複数の接続端子(第1スイッチ素子用接続端子15A及び第2スイッチ素子用接続端子15B)が設けられている。スライダ16は合成樹脂で形成され、
図2及び
図7に示すように、操作軸16aを有している。また、スライダ16には、摺動部材13が装着されて水平方向(X1−X2方向)に一体で移動する。
【0036】
スイッチ機構10は、操作軸16aが操作ノブ19の棹部19bの先端に連結されることによって、操作ノブ19に駆動されて1組のスイッチ素子11、12の開閉操作を行う。操作ノブ19が操作されていないときには、図示しない上ケース部材に設けられた付勢手段によって操作ノブ19及びスイッチ機構10が初期状態に保持されている。
【0037】
図8に模式的に示すように、スイッチ機構20は、スライダ26、27と、1組のスイッチ素子21、22と、板ばね28とを備えている。1組のスイッチ素子21、22は、可動接点部材23、24と、第1スイッチ素子用接続端子25A及び第2スイッチ素子用接続端子25Bからなる固定接点とで構成されている。
【0038】
スイッチ機構20は、基板80に接する下面部に、スイッチ素子21、22の複数の接続端子(第1スイッチ素子用接続端子25A及び第2スイッチ素子用接続端子25B)が設けられている。板ばね28は金属を折り曲げたものであり、ばね弾性を有している。スライダ26は合成樹脂で形成され、
図2及び
図8に示すように、操作軸26aを有している。可動接点部材23は、導電性の金属からなり、W状に折り曲げられるとともに剛性を有している。可動接点部材23は、スライダ26が水平方向(X1−X2方向)に移動することにより可動接点部材23が回動するように配置されている。同様に、スライダ27は合成樹脂で形成され、操作軸27aを有している。可動接点部材24は、導電性の金属からなり、W状に折り曲げられるとともに剛性を有している。可動接点部材24は、スライダ27が水平方向(X1−X2方向)に移動することにより可動接点部材24が回動するように配置されている。
【0039】
図4に示すように、操作軸26a及び操作軸27aの間に操作ノブ29の棹部29bの先端が挿入されることによって、操作ノブ29に操作軸26a及び操作軸27aが連結される。スライダ26、27はX1−X2方向に並べて配置され、スライダ26はスイッチ機構20の中央部からX1側に駆動可能とされ、スライダ27はスイッチ機構20の中央部からX2側に駆動可能とされている。スイッチ機構20は、操作軸26a及び操作軸27aのいずれかが操作ノブ29に駆動されて、1組のスイッチ素子21、22の開閉操作を行う。操作ノブ29が操作されていないときには、板ばね28によって、スライダ26、27はスイッチ機構20の中央部に向かって付勢されている。
【0040】
1対のスイッチ機構10、20は、筐体61の収容空間に配置され、互いに隣接した状態で保持されている。また、
図6に示すように、スイッチ機構10、20の上部(Z1側)はカバー部材71に覆われている。一方、操作軸16aに連結される操作ノブ19と、操作軸26a及び操作軸27aに連結される操作ノブ29とは、
図5に示すように、基板80の短手方向(Y1−Y2方向)に隣り合うように配設されている。操作ノブ19、29は操作者が指で操作しやすいように、操作性に優れた大きさや形状に形成される。このため、本実施形態では、
図5に示すように、操作ノブ19、29のY1−Y2方向の寸法が、基板80の短手方向の寸法より大きい。
【0041】
次に、スイッチユニット1における複数の接続端子の配置について説明する。
【0042】
図1〜
図6に示すように、スイッチユニット1は基板80の所定の位置に配置される。このとき、操作ノブ19と連結される操作軸16aがY1側に、また、操作ノブ29と連結される操作軸26a、27aがY2側になるように配置される。スイッチ機構20は、複数の接続端子として、スイッチ素子21の第1スイッチ素子用接続端子25Aと、スイッチ素子21の第2スイッチ素子用接続端子25Bと、を備え、
図9に示すように、Y1側とY2側とに分かれて配置されている。
【0043】
スイッチ機構20は、平面視において、第1スイッチ素子用接続端子25Aと第2スイッチ素子用接続端子25Bとを、
図10に示すスイッチユニット1の中心点Oについて互いに点対称な位置に有している。
図10に示すように、第1スイッチ素子用接続端子25Aは、固定接点としてノーマルオープン接点A21、支持接点B21、及びコモン接点C21を有している。第2スイッチ素子用接続端子25Bは、固定接点としてノーマルオープン接点A22、支持接点B22、及びコモン接点C22を有している。なお、コモン接点C21はコモン接点C22を兼ねている。
【0044】
一方、スイッチ機構10の複数の接続端子(第1スイッチ素子用接続端子15A及び第2スイッチ素子用接続端子15B)は、
図10に示すように、Y1側とX2側とに配置されている。スイッチ機構10がスイッチ素子11、12として3接点型スイッチを備えたものになっている。本明細書における3接点型スイッチのスイッチ素子11とは、
図10に示すように、コモン接点C11に対して中間接点M11及び終端接点E11を備えたものである。3接点型スイッチのスイッチ素子12は、同様に、コモン接点C12に対して、中間接点M12及び終端接点E12を備えたものである。
【0045】
コモン接点C11に対して中間接点M11、M12が離間して配置され、終端接点E11がコモン接点C11に対して中間接点M11、M12よりさらに離間して配置されている。可動接点(
図2に示す摺動部材13)が、コモン接点C11と中間接点M11とをオンさせる中間位置と、コモン接点C11と中間接点M11と終端接点E11と同時にオンさせる終端位置と、中間接点M11及び終端接点E11にオンしていないオフ位置との間を摺動可能とされている。3接点型スイッチのスイッチ素子12は、同様に、可動接点(
図2に示す摺動部材13)が摺動可能とされている。
【0046】
上述したように、操作ノブ19と連結される操作軸16aがY1側に、操作ノブ29と連結される操作軸26a、27aがY2側になる実装を、スイッチユニット1の第1の実装方向とする(
図11)。これに対し、
図12に示すように、操作軸16aがY2側に、操作軸26a、27aがY1側になる実装を、スイッチユニット1の第2の実装方向とする。本実施形態において、基板80は、スイッチ機構10の複数の接続端子(第1スイッチ素子用接続端子15A及び第2スイッチ素子用接続端子15B)に対応して、第1の実装方向と第2の実装方向とで接続可能なように導電パターン86を有している。すなわち、基板80が、スイッチユニット1の第1の実装方向と、第1の実装方向から中心点について180度回転させた第2の実装方向と、の両方向で、スイッチユニット1の全ての複数の接続端子が電気的に接続可能な位置に導電パターン86を有している。このため、スイッチユニット1は第1の実装方向と第2の実装方向との両方向で実装可能である。
【0047】
次に、スイッチユニット2の構成について説明する。
【0048】
スイッチユニット2は、
図2に示すように、基板80の短手方向(Y1−Y2方向)に隣り合うように1対のスイッチ機構30、40が単一の筐体62に収容されている。
図6に示すように、本実施形態では、スイッチユニット2のY1側にスイッチ機構30が配置され、Y2側にスイッチ機構40が配置されている。
【0049】
筐体62は合成樹脂を成形したものであり、
図2に示すように、上方が開放された箱状であり、その内部が収容空間を形成している。筐体62には、導電性の金属からなる複数の接続端子35、45がインサート成形により一体に形成されている。
【0050】
スイッチ機構30は、
図8に模式的に示したスイッチ機構20と同様の構造であり、スライダ36、37と、1組のスイッチ素子31、32と、板ばね38とを備えている。1組のスイッチ素子31、32は、可動接点部材33、34と、接続端子35からなる固定接点と、で構成されている。
【0051】
スイッチ機構30は、基板80に接する下面部に、スイッチ素子31、32の複数の接続端子35が設けられている。板ばね38は金属を折り曲げたものであり、ばね弾性を有している。スライダ36は合成樹脂で形成され、
図2に示すように、操作軸36aを有している。可動接点部材33は、導電性の金属からなり、W状に折り曲げられるとともに剛性を有している。スライダ36が水平方向(X1−X2方向)に移動することにより可動接点部材33が回動するように配置されている。同様に、スライダ37は合成樹脂で形成され、操作軸37aを有している。可動接点部材34は、導電性の金属からなり、W状に折り曲げられるとともに剛性を有している。スライダ37が水平方向(X1−X2方向)に移動することにより可動接点部材34が回動するように配置されている。
【0052】
操作軸36a及び操作軸37aの間に操作ノブ39の棹部39bの先端が挿入されることによって、操作ノブ39に操作軸36a及び操作軸37aが連結される。スライダ36、37はX1−X2方向に並べて配置され、スライダ36はスイッチ機構30の中央部からX1側に駆動可能とされ、スライダ37はスイッチ機構30の中央部からX2側に駆動可能とされている。スイッチ機構30は、操作軸36a及び操作軸37aのいずれかが操作ノブ39に駆動されて、1組のスイッチ素子31、32の開閉操作を行う。操作ノブ39が操作されていないときには、板ばね38によって、スライダ36、37はスイッチ機構30の中央部に向かって付勢されている。
【0053】
スイッチ機構40は、
図8に模式的に示したスイッチ機構20と同様の構造であり、スライダ46、47と、1組のスイッチ素子41、42と、板ばね48とを備えている。1組のスイッチ素子41、42は、可動接点部材43、44と、接続端子45からなる固定接点と、で構成されている。
【0054】
スイッチ機構40は、基板80に接する下面部に、スイッチ素子41、42の複数の接続端子45が設けられている。板ばね48は金属を折り曲げたものであり、ばね弾性を有している。スライダ46は合成樹脂で形成され、
図2に示すように、操作軸46aを有している。可動接点部材43は、導電性の金属からなり、W状に折り曲げられるとともに剛性を有している。スライダ46が水平方向(X1−X2方向)に移動することにより可動接点部材43が回動するように配置されている。同様に、スライダ47は合成樹脂で形成され、操作軸47aを有している。可動接点部材44は、導電性の金属からなり、W状に折り曲げられるとともに剛性を有している。スライダ47が水平方向(X1−X2方向)に移動することにより可動接点部材44が回動するように配置されている。
【0055】
操作軸46a及び操作軸47aの間に操作ノブ49の棹部49bの先端が挿入されることによって、操作ノブ49に操作軸46a及び操作軸47aが連結される。スライダ46、47はX1−X2方向に並べて配置され、スライダ46はスイッチ機構40の中央部からX1側に駆動可能とされ、スライダ47はスイッチ機構40の中央部からX2側に駆動可能とされている。スイッチ機構40は、操作軸46a及び操作軸47aのいずれかが操作ノブ49に駆動されて、1組のスイッチ素子41、42の開閉操作を行う。操作ノブ49が操作されていないときには、板ばね48によって、スライダ46、47はスイッチ機構40の中央部に向かって付勢されている。
【0056】
1対のスイッチ機構30、40は、筐体62の収容空間に配置され、互いに隣接した状態で保持されている。また、スイッチ機構30、40の上部(Z1側)はカバー部材72に覆われている。一方、操作軸36a、37aに連結される操作ノブ39と、操作軸46a、47aに連結される操作ノブ49とは、基板80の短手方向(Y1−Y2方向)に隣り合うように配設されている。操作ノブ39、49は操作者が指で操作しやすいように、操作性に優れた大きさや形状に形成される。このため、本実施形態では、
図5に示すように、操作ノブ39、49のY1−Y2方向の寸法が、基板80の短手方向の寸法より大きい。
【0057】
次に、スイッチユニット2における複数の接続端子35、45の配置について説明する。
【0058】
図9に示すように、接続端子35、45が、筐体62の中央を基板80の短手方向(Y1−Y2方向)に直交する仮想線Lcに対して対称性を有している。さらに、
図2に示すように、1対のスイッチ機構30、40は、接続端子35、45以外の構成部材についても対称性を有している。すなわち、1対のスイッチ機構30、40が筐体62の中央を基板80の短手方向(Y1−Y2方向)に直交する仮想線Lcに対して対称性を有している。これにより、操作ノブ39と連結される操作軸36a、37aがY1側に、操作ノブ49と連結される操作軸46a、47aがY2側になる第1の実装方向と、操作軸36a、37aがY2側に、操作軸46a、47aがY1側になる第2の実装方向と、の差異が無い。したがって、前述したスイッチユニット1とは異なり、基板80の導電パターン86を工夫することなく、第1の実装方向と第2の実装方向との両方向で基板80に実装可能である。また、実装方向を変更することなく、接続端子35、45の電気的な接続対象のみを入れ替えることも可能である。
【0059】
次に、本実施形態のスイッチ装置100を、車両の窓ガラスを開閉するパワーウインドウ装置に適用する場合について説明する。
【0060】
従来、パワーウインドウ装置用のスイッチ装置は各窓ガラスに対応してユニット化されていた。例えば、前席の運転席側窓ガラス、助手席側窓ガラス、後席の左側窓ガラス、右側窓ガラスに対応して4個のスイッチユニットが基板に実装されていた。また、4個のスイッチユニットの実装は、操作ノブの大きさに合わせて、各操作ノブの真下の位置に配置されていた。このため、隣り合う操作ノブの幅が大きくなって、従来の実装用の基板は寸法の大きなものを使用していた。
【0061】
本実施形態のスイッチ装置100は、1対の操作ノブ19、29に駆動される1対のスイッチ機構10、20が単一の筐体61に収容されたスイッチユニット1として配設され、1対のスイッチ機構10、20が互いに隣接した状態で保持されている。また、1対の操作ノブ39、49に駆動される1対のスイッチ機構30、40が単一の筐体62に収容されたスイッチユニット2として配設され、1対のスイッチ機構30、40が互いに隣接した状態で保持されている。これにより、実装用の基板80について、とくに短手方向(Y1−Y2方向)の寸法を小さくすることができる。さらに、スイッチ機構10、20、30、40は、操作ノブ19、29、39、49の真下よりも基板80の短手方向の中央に寄った位置に配置されているので、基板80の短手方向の寸法をより小型化することができる。
【0062】
本実施形態のスイッチ装置100は、スイッチ機構10がスイッチ素子11、12として3接点型スイッチを備えたものになっている。スイッチ素子11の中間位置では、可動接点(
図2に示す摺動部材13)が、コモン接点C11と中間接点M11とをオンさせ、スイッチ素子11の終端位置ではコモン接点C11と中間接点M11と終端接点E11とを同時にオンさせることができる。同様に、スイッチ素子12の中間位置では、可動接点(摺動部材13)が、コモン接点C12と中間接点M12とをオンさせ、スイッチ素子12の終端位置ではコモン接点C12と中間接点M12と終端接点E12とを同時にオンさせることができる。
【0063】
これにより、中間位置ではスイッチ素子11、12が通常のスイッチ回路を構成し、終端位置ではリレーと組み合わせた自己保持回路を構成するように、複数の動作を割り当てることができる。リレーを用いた回路では、モータを回転させるための大電流が流れる回路をスイッチ素子11、12から分離し、スイッチ素子11、12にはリレーを駆動するための小電流だけを流すようにすることが可能となる。スイッチ素子11、12において、可動接点(摺動部材13)がいずれかを選択的にオンするので、スイッチ素子11とスイッチ素子12とは電気回路の正負が逆に接続されるように使用することができる。車両の運転席側の窓ガラスを開閉する電気回路に適用することにより、中間位置では運転者が操作しているときに窓ガラスを開閉するモータが回転し、終端位置ではいったん選択されたモータの回転が所定の状態まで継続するようにすることができる。
【0064】
一方、車両の運転席側の窓ガラス以外は安全のため操作している間だけ開閉するようにしているので、スイッチ機構20、30、40はスイッチ機構10とは異なった構成となっている。スイッチ機構20、30、40は、ノーマルオープンの接点間が閉じたときにオンとなる通常のスイッチ回路を構成する。リレーを用いていない回路では、モータを回転させるための大電流がスイッチ機構20、30、40を直接流れる。このため、スイッチ機構20、30、40に接続される導電パターン86は、大電流を流せるように幅太に配置される。本実施形態では、コネクタ81の高電流入力端子85とスイッチ機構20、30、40とを接続する電流路の一部を、コネクタ81の金属板83を介して接続している。金属板83を介する導電パターン86とすることによって、基板80に形成する大電流用の導電パターンや別のバスバーを設けることを削減できる。また、導電パターンの一部を金属板83に置き換えることになるので、基板80の幅方向の寸法を小さくすることができる。
【0065】
従来、運転席が右側に位置する右ハンドル用の(車両の右側の運転席ドアに取付ける)スイッチ装置は、運転席が左側に位置する左ハンドル用の(車両の左側の運転席ドアに取付ける)スイッチ装置に適用することができなかった。このため、従来は、スイッチ装置を設計し、製造するときに、スイッチ機構10とスイッチ機構20との配置を入れ替えなければならなかった。
【0066】
本実施形態のスイッチ装置100は、
図11に示すスイッチユニット1の第1実装方向と
図12に示すスイッチユニット2の第2実装方向とで、スイッチ機構10とスイッチ機構20との配置を入れ替えることができる。基板80及び操作ノブ19、29、39、49は、左右ハンドル用で共通にすることができるので、スイッチユニット1の実装方向を変更するだけで、異なる仕様のスイッチ装置100に容易に対応できる。
【0067】
なお、スイッチ機構30、40は対称性を有しているので、スイッチユニット2の実装方向を180度回転させることなく、パワーウインドウ装置の左右ハンドル用で共通の基板80が使用できる。したがって、異なる仕様のスイッチ装置100に容易に対応できる。
【0068】
操作ノブ19、29、39、49は操作者が指で操作しやすいように、操作性に優れた大きさや形状に設計されるが、
図1〜
図5に示す操作ノブ19、29、39、49の形状に限定されるものではない。操作ノブ19、29、39、49の大きさや形状を変更しても、棹部19b、29b、39b、49bの先端がX1−X2方向に回動する移動量を共通に設計すれば、スイッチユニット1、2及び基板80を変更することなく対応可能である。
【0069】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0070】
本実施形態は、基板80の短手方向に隣り合うように1対の操作ノブ19、29が配設され、1対の操作ノブ19、29に駆動される1対のスイッチ機構10、20が単一の筐体61に収容されたスイッチユニット1として配設され、1対のスイッチ機構10、20が互いに隣接した状態で保持されている。
【0071】
この構成によれば、筐体61を共有して一体にしたスイッチユニット1として配設されているので、スイッチ機構10、20ごとに筐体が2個配置されている場合の隙間が不要となり、その分だけ基板80の幅方向が小さくできる。スイッチユニット2も同様である。
【0072】
また、本実施形態のスイッチユニット1は、1組のスイッチ素子11、12ごとに、第1スイッチ素子用接続端子15A、25Aと第2スイッチ素子用接続端子15B、25Bとを備えている。さらに、スイッチユニット1のスイッチ機構20が、第1スイッチ素子用接続端子25Aと第2スイッチ素子用接続端子25Bとを中心点について互いに点対称な位置に有している。そして、基板80が、スイッチユニット1の第1の実装方向と、第1の実装方向から中心点について180度回転させた第2の実装方向と、の両方向で、スイッチユニット1の全ての複数の接続端子(第1スイッチ素子用接続端子15A、25A及び第2スイッチ素子用接続端子15B、25B)が電気的に接続可能な位置に導電パターン86を有することが好ましい。
【0073】
この構成によれば、スイッチユニット1の実装方向を180度回転させることで、パワーウインドウ装置の左右ハンドル用で共通の基板80が使用できるので、異なる仕様のスイッチ装置100に容易に対応できる。例えば、左右ハンドル用でスイッチ装置を別々に設計する場合に比べて、開発費、評価費、試作日数、等が削減できる。さらに、開操作用端子と閉操作用端子とを中心点について互いに点対称な位置に配置したので、第1実装方向と第2実装方向とで同じ導電パターン86が使用できる。必要な導電パターン数を減らせることができ、基板80をより小さくしたり、配線の自由度がアップしたりする。
【0074】
また、本実施形態のスイッチ装置100において、基板80のスイッチユニット1、2が実装されている面の背面80bには、高電流入力端子85を含む外部接続用端子84を備えたコネクタ81が実装されている。コネクタ81は、絶縁性のハウジング82と、ハウジング82に埋設され基板80と所定の隙間を有して対向する金属板83と、を有し、金属板83は、高電流入力端子85と基板80の所定の部位とに電気的に接続されている。
【0075】
本実施形態のスイッチ装置100では、スイッチ機構10、20及びスイッチ機構30、40をそれぞれ一体化したので、基板80のセンターには大電流用パターンを設けることができない。本実施形態では大電流用パターンの代わりに、コネクタ81のハウジング82内に金属板83を通してバイパスすることができる。したがって、基板80に大電流用パターンを設けることが不要となり、基板80の小型化が可能となって低コスト化ができる。
【0076】
本実施形態のスイッチ装置100において、スイッチユニット2は、1対のスイッチ機構30、40が筐体62の中央を基板80の短手方向に直交する仮想線Lcに対して対称性を有していることを特徴とする。この構成によれば、左右で対称性を有しているので、180度回転させることなく、パワーウインドウ装置の左右ハンドル用で共通の基板80が使用できる。
【0077】
本実施形態のスイッチ装置100において、スイッチユニット1は、スイッチ機構10がスイッチ素子11、12として3接点型スイッチを備えたものであることを特徴とする。この構成によれば、一方のスイッチ機構10が3接点型スイッチで構成されているので、1組のスイッチ素子11、12ごとに複数の動作を割り当てることができる。
【0078】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、第1実施形態と共通する内容については符号を同じにして詳細な説明を割愛する。
【0079】
図13は、本発明の第2実施形態のスイッチ装置200を示す正面図である。
図14は、本発明の第2実施形態のスイッチ装置200を示す背面図である。
図15は、第2実施形態におけるスイッチユニット1、3と基板80を示す説明図である。
【0080】
第2実施形態のスイッチ装置200は、基板80の長手方向の寸法が第1実施形態と異なっている。また、スイッチユニット3は、筐体62、カバー部材72、及びスライダ36、37、46、47の各形状が第1実施形態のスイッチユニット2とは異なっている。
【0081】
スイッチユニット3は、第1実施形態のスイッチユニット2と同様、スイッチ機構30、40を備えている。スイッチ機構30は、操作ノブ39と連結される操作軸36a、37aを有している。スイッチ機構40は、操作ノブ49と連結される操作軸46a、47aを有している。操作軸36a、37aのセンター位置及び操作軸46a、47aのセンター位置が、基板80の長手方向に関する複数の接続端子35、45のセンター位置から基板80の外側方向にオフセットした位置に配設されている。
【0082】
スライダ36に形成された操作軸36aとスライダ37に形成された操作軸37aとの相対的な位置は、操作ノブ39に対して、第1実施形態と同じである。スライダ46に形成された操作軸46aとスライダ47に形成された操作軸47aとの相対的な位置は操作ノブ49に対して、第1実施形態と同じである。しかしながら、基板80の長手方向に関する複数の接続端子35、45のセンター位置からは、操作ノブ39の棹部39b及び操作ノブ49の棹部49bの相対位置が基板80の外側方向にオフセットした位置である。これに対応して、操作軸36a、37a、46a、47aの相対位置が基板80の外側方向にオフセットするように、スライダ36、37、46、47の形状が変更されている。
【0083】
操作軸36a、37a、46a、47aの相対位置が基板80の外側方向にオフセットしている寸法分だけ、基板80の長手方向(X1−X2方向)の寸法を短くすることができる。
【0084】
なお、第2実施形態のスイッチユニット3は実装方向を180度回転させると、操作軸36a、37a、46a、47aの相対位置が操作ノブ39、49と合わなくなってしまう。しかし、スイッチユニット3は、スイッチユニット2と同様に、1対のスイッチ機構30、40が筐体62の中央を基板80の短手方向に直交する仮想線に対して対称性を有しているので、実装方向を180度回転させることなく、パワーウインドウ装置の左右ハンドル用で共通の基板80が使用できる。
【0085】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0086】
本実施形態のスイッチ装置200は、第1実施形態のスイッチ装置100における効果として説明したように、以下の効果を有する。
【0087】
本実施形態は、基板80の短手方向に隣り合うように1対の操作ノブ19、29が配設され、1対の操作ノブ19、29に駆動される1対のスイッチ機構10、20が単一の筐体61に収容されたスイッチユニット1として配設され、1対のスイッチ機構10、20が互いに隣接した状態で保持されている。この構成によれば、筐体61を共有して一体にしたスイッチユニット1として配設されているので、スイッチ機構10、20ごとに筐体が2個配置されている場合の隙間が不要となり、その分だけ基板80の幅方向が小さくできる。スイッチユニット3も同様である。
【0088】
また、本実施形態のスイッチユニット1は、1組のスイッチ素子11、12ごとに、第1スイッチ素子用接続端子15A、25Aと第2スイッチ素子用接続端子15B、25Bとを備えている。さらに、スイッチユニット1のスイッチ機構20が、第1スイッチ素子用接続端子25Aと第2スイッチ素子用接続端子25Bとを中心点について互いに点対称な位置に有している。そして、基板80が、スイッチユニット1の第1の実装方向と、第1の実装方向から中心点について180度回転させた第2の実装方向と、の両方向で、スイッチユニット1の全ての複数の接続端子(第1スイッチ素子用接続端子15A、25A及び第2スイッチ素子用接続端子15B、25B)が電気的に接続可能な位置に導電パターン86を有することが好ましい。この構成によれば、スイッチユニット1の実装方向を180度回転させることで、パワーウインドウ装置の左右ハンドル用で共通の基板80が使用できるので、異なる仕様のスイッチ装置100に容易に対応できる。例えば、左右ハンドル用でスイッチ装置を別々に設計する場合に比べて、開発費、評価費、試作日数、等が削減できる。さらに、開操作用端子と閉操作用端子とを中心点について互いに点対称な位置に配置したので、第1実装方向と第2実装方向とで同じ導電パターン86が使用できる。必要な導電パターン数を減らせることができ、基板80をより小さくしたり、配線の自由度がアップしたりする。
【0089】
また、本実施形態のスイッチ装置200において、基板80のスイッチユニット1、3が実装されている面の背面80bには、高電流入力端子85を含む外部接続用端子84を備えたコネクタ81が実装されている。コネクタ81は、絶縁性のハウジング82と、ハウジング82に埋設され基板80と所定の隙間を有して対向する金属板83と、を有し、金属板83は、高電流入力端子85と基板80の所定の部位とに電気的に接続されている。この構成によれば、大電流用パターンの代わりに、コネクタ81のハウジング82内に金属板83を通してバイパスすることができる。したがって、基板80に大電流用パターンを設けることが不要となり、基板80の小型化が可能となって低コスト化ができる。
【0090】
本実施形態のスイッチ装置200において、スイッチユニット3は、1対のスイッチ機構30、40が筐体62の中央を基板80の短手方向に直交する仮想線に対して対称性を有していることを特徴とする。この構成によれば、左右で対称性を有しているので、パワーウインドウ装置の左右ハンドル用で共通の基板80が使用できる。
【0091】
本実施形態のスイッチ装置200において、スイッチユニット1は、スイッチ機構10がスイッチ素子11、12として3接点型スイッチを備えたものであることを特徴とする。この構成によれば、一方のスイッチ機構10が3接点型スイッチで構成されているので、1組のスイッチ素子11、12ごとに複数の動作を割り当てることができる。
【0092】
以上に加えて、本実施形態のスイッチ装置200は以下の効果を奏する。スイッチ機構30、40が操作ノブ39、49と連結される操作軸36a、37a、46a、47aを有し、操作軸36a、37a、46a、47aが、基板80の長手方向に関する複数の接続端子35、45のセンター位置から基板80の外側方向にオフセットした位置に配設されている。この構成によれば、操作軸36a、37a、46a、47aが基板80の長手方向にオフセットした位置に配設されているので、操作ノブ39、49の位置が同じでもオフセット分だけ基板80の長手方向を短くできる。
【0093】
以上のように、本発明の実施形態のスイッチ装置を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらも本発明の技術的範囲に属する。
【0094】
(1)本実施形態において、操作軸16a、26a、27a、36a、37a、46a、47aは、Y1側又はY2側に向かって突出する形状としていたが、これに限定されるものではない。例えば、カバー部材71、72の開口を設けて、Z1側に突出する形状に変更してもよい。
【0095】
(2)本実施形態において、付勢手段として板ばね28、38、48を用いているが、板ばね28、38、48の形状は
図2の形状に限定されるものではない。また、
図2に示す板ばね28、38、48の向きを上下逆にしてもよい。また、板ばねの代わりにコイルばねを用いてもよい。