(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信可能範囲に入っている可搬デバイスと通信する通信部を有し、取引の開始から終了までに提供される取引対象の総提供量が取引の終了をもって確定する取引を管理する管理装置であって、
前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記取引対象の取引最小単位に対応する最小対価バリューを減じる要求を、前記可搬デバイスへ前記通信部を介して送信する要求部、
前記可搬デバイスから前記通信部を介して受信された前記要求に対する応答が、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記取引対象の取引最小単位に対応する最小対価バリューを減じた、という前記要求の成功を示していれば、前記取引最小単位分の前記取引対象を提供する制御を行う制御部、
前記取引対象の提供状況から、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の次の提供が可能か否かを判定する判定部
を備え、
前記次の提供が可能と判定されたならば、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記最小対価バリューをさらに減じる次の要求が、可搬デバイスへ前記通信部を介して送信され、
前記次の提供が可能でないと判定されたならば、前記次の要求はせずに、前記取引が終了される
ことを特徴とする管理装置。
通信可能範囲に入っている可搬デバイスと通信する通信部を有し、取引の開始から終了までに提供される取引対象の総提供量が取引の終了をもって確定する取引を管理する管理装置が実行する管理方法であって、
前記管理装置が、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記取引対象の取引最小単位に対応する最小対価バリューを減じる要求を、前記可搬デバイスへ前記通信部を介して送信する要求ステップ、
前記可搬デバイスから前記通信部を介して受信された前記要求に対する応答が、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記取引対象の取引最小単位に対応する最小対価バリューを減じた、という前記要求の成功を示していれば、前記管理装置が、前記取引最小単位分の前記取引対象を提供する制御を行う制御ステップ、
前記管理装置が、前記取引対象の提供状況から、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の次の提供が可能か否かを判定する判定ステップ
を備え、
前記次の提供が可能と判定されたならば、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記最小対価バリューをさらに減じる次の要求が、可搬デバイスへ前記通信部を介して送信され、
前記次の提供が可能でないと判定されたならば、前記次の要求はせずに、前記取引が終了される
ことを特徴とする管理方法。
通信可能範囲に入っている可搬デバイスと通信する通信部を有するコンピュータに、取引の開始から終了までに提供される取引対象の総提供量が取引の終了をもって確定する取引を管理させるプログラムであって、前記プログラムは、前記コンピュータを、
前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記取引対象の取引最小単位に対応する最小対価バリューを減じる要求を、前記可搬デバイスへ前記通信部を介して送信する要求部、
前記可搬デバイスから前記通信部を介して受信された前記要求に対する応答が、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記取引対象の取引最小単位に対応する最小対価バリューを減じた、という前記要求の成功を示していれば、前記取引最小単位分の前記取引対象を提供する制御を行う制御部、
前記取引対象の提供状況から、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の次の提供が可能か否かを判定する判定部
として機能させ、
前記次の提供が可能と判定されたならば、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記最小対価バリューをさらに減じる次の要求が、可搬デバイスへ前記通信部を介して送信され、
前記次の提供が可能でないと判定されたならば、前記次の要求はせずに、前記取引が終了される
ことを特徴とするプログラム。
可搬デバイスが授受可能範囲に入るとその可搬デバイスとデータを授受するデータ授受部と、ユーザの取引要求に応じた取引ではあるが該取引前では取引量が確定しない取引対象の取引を制御する制御部と、を備える管理装置であって、
前記制御部は、
可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから取引対象の取引最小単位に対応する対価バリューを減じるためのバリュー変更信号を、前記データ授受部を介して可搬デバイスに送信するバリュー変更部と、
前記バリュー変更部によって送信されたバリュー変更信号に応じて可搬デバイスから送信される、可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから取引対象の取引最小単位に対応する対価バリューを減じたという残存バリューの変更が行われたことを示す応答信号を前記データ授受部が受信すると、取引最小単位分の取引対象をユーザに提供するための処理を行う提供処理部と、
取引対象の提供状況から、取引最小単位分の取引対象の次の提供が可能か否かを判定する提供可否判定部と、
ユーザの設定に基づいて取引を終了するための処理を行う終了処理部と、を含み、
前記バリュー変更部は、前記提供可否判定部において可能と判定された場合、取引最小単位分の取引対象のユーザへの提供の完了に応じてバリュー変更信号を前記データ授受部を介して可搬デバイスに送信し、前記提供可否判定部において可能でないと判定された場合、バリュー変更信号の送信を制限する
ことを特徴とする管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、本実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0013】
電子マネーシステムにおけるバリューは、現金に類する価値を有するものである。バリューは、現金と相互もしくは一方から他方へ交換が可能なように、同じ通貨単位で管理されることもあるし、独自の単位を採用して交換の際に換算することもある。また、ユーザのアクション(商品の購入やアンケートへの回答、店舗への来店等)に応じて付与される各種のポイントを、バリューとして利用することも可能である。
【0014】
本実施例では、ストアドバリュー(stored-value)型と呼ばれる電子マネーシステムを想定する。ストアドバリュー型システムでは、ユーザが取引において対価として支払うことが可能なバリュー(「残高」とも称される。)を、電子回路を組み込んだカードや携帯電話、スマートフォンなどの各種の可搬デバイスに対応付けて管理する。
【0015】
ストアドバリュー型システムでは、可搬デバイスが有する電子回路に、利用可能なバリューの数値を記憶させるのが一般的である。この態様は、財布に現金が入っている状態に相当する。以下では、可搬デバイスに対応付けられるバリューを、「財布の中に残っている現金」になぞらえて、「残存バリュー(remaining value)」と呼ぶ。
【0016】
商品やサービスの提供者は、可搬デバイスと通信可能なリーダ/ライタを利用することにより、ユーザからの対価の支払を受け付ける。ユーザが可搬デバイスをリーダ/ライタに翳すと、可搬デバイスとリーダ/ライタの通信が可能となり、リーダ/ライタから可搬デバイスへ、各種のコマンドを送信すると、そのコマンドの実行結果が可搬デバイスからリーダ/ライタへ送信される。
【0017】
たとえば、問い合わせコマンドを利用することにより、実行結果として、現在可搬デバイスに対応付けられている残存バリューの数値を取得することができる。
【0018】
減少コマンドでは、当該コマンドに指定されたバリューだけ、可搬デバイスに対応付けられている残存バリューを減少させる。これは、財布から現金を取り出したことに対応する。すなわち、減少コマンドは、商品やサービスの提供を受ける取引において、対価を支払う際、すなわち「課金」の際に利用される。以下では、減少コマンドに指定されるバリューを、対価バリュー(price value)と呼ぶ。
【0019】
増加コマンドは、当該コマンドに指定されたバリューだけ、可搬デバイスに対応付けられている残存バリューを増加させる。これは、財布に現金を入れることに対応する。増加コマンドは、たとえば店頭で、ユーザが店員に現金を支払うかわりに、当該現金に相当するバリューを可搬デバイスにチャージする際に利用される。
【0020】
なお、可搬デバイスが、インターネット等のコンピュータ通信網を介した通信を行う機能を有する場合には、可搬デバイス内で動作するアプリケーションが、コンピュータ通信網を介して送られたコマンドに呼応して、可搬デバイスに対応付けられる残存バリューの取得や増減を行うことも可能である。この場合には、リーダ/ライタを利用せずに、対価の支払や残存バリューのチャージが可能となる。
【0021】
減少コマンドや増加コマンドなどで、バリューの増減が行われる、ということは、被提供者と提供者との間でバリューの移動が起きたことを意味する。提供者は、このバリューの移動の情報を、電子マネーの管理サーバに伝達する。電子マネーの管理サーバは、電子マネーサービス全体の提供者(運営者)により運営されている。電子マネーの管理サーバに蓄積された決済情報を合算すれば、提供者がその期間内に得た、あるいは、失ったバリューの総額が得られる。
【0022】
提供者は、バリューを獲得しているのであれば、運営者から現金等に交換して手に入れることができる。一方、バリューを失っているのであれば、提供者は、運営者に対して、当該バリューに対する現金等の支払いをする責務を負う。
【0023】
本実施例に係る取引では、電子マネーのバリューを対価として、取引対象の提供がなされる。そして、取引の開始から終了までに提供される取引対象の総提供量は、取引の終了をもって確定する。したがって、取引が終了するまでには、総提供量は確定しない。本実施例では、従量制課金を想定する。したがって、取引対象の総提供量、ならびに、当該総提供量に対する対価として支払うべき総対価バリューは、取引対象の提供が完了することをもって初めて確定することになる。
【0024】
このような取引対象には、たとえば、蛇口や供給口からほぼ一定の供給スピードで提供され、量り売りにより販売される粉状体(小麦粉、米ぬか、粉洗剤等)、粒状体(塩、砂糖、ビーズ等)、液体(ガソリン、鉱泉水、ミルク、ジュース、酒等)、ゲル・ゾル等の商品がある。
【0025】
また、秒単位や分単位で時間課金されるサービス(ネットワークカフェ、インターネット接続プロバイダ、電気自動車のレンタル等)や、サービスの被提供者が持ち込んだ素材に基づいて何らかの処理を行うサービス(オートシートフィーダを利用したコピーサービス、USBメモリ内の全画像の写真プリント、持ち込んだ玄米の精米等)等のサービスも、取引対象とすることができる。
【0026】
本実施例に係る管理装置は、取引における対価の支払ならびに取引対象の提供を制御する。対価の支払は、管理装置が電子マネーの残存バリューに対応付けられる可搬デバイスと通信することにより制御される。また、管理装置は、取引対象の提供そのものを行う提供装置や提供ユニットを制御するが、管理装置と提供装置・提供ユニットは、それぞれ独立した装置として構成しても良いし、全体として一体化された装置として構成しても良い。
【0027】
提供装置等には、提供目標量と提供上限量を設定することができる。提供装置等は、提供を終了すべきイベント(給油用のノズルが自動車から外されてセルフ給油機に戻された、ADFが空になって原稿のコピーがすべて完了した、ユーザ指示による強制終了指示等)が生じない限り、取引の開始からの取引対象の提供量が提供目標量に達するまで、提供を続ける。また、提供装置等は、取引対象の提供量が提供上限量に達すれば、必ず提供を完了させる。
【0028】
本実施例の管理装置は、専用の電子回路により構成することも可能であるし、プログラムをコンピュータに実行させることにより実現することも可能である。このほか、コンピュータと専用電子回路の中間形態として、プログラムを電子回路の設計スクリプトにコンパイルして、当該設計スクリプトに基づいて電子回路を動的に構成するFPGA(Field Programmable Gate Array)などの技術を適用することにより、本実施例の管理装置を構成することも可能である。
【0029】
なお、以下では、まず、電子マネーのバリューを用いた取引を管理する管理装置の一般的な構成を説明するが、理解を容易にするため、セルフ給油機、ならびに、ADFを用いたコピーサービスにおける適用事例に、適宜言及する。また、末尾に、セルフ給油機ならびにADFを用いたコピーサービスにおける適用事例の詳細について、説明を加えることとする。
【0030】
図1は、本発明の実施例に係る管理装置の概要を示す説明図である。
図2は、本発明の実施例に係る管理装置を含む取引システムの概要を示す説明図である。以下、これらの図を参照して説明する。
【0031】
本実施例に係る管理装置101は、通信部102、要求部103、制御部104、判定部105を有する。
【0032】
ここで、通信部102は、通信可能範囲に入っている可搬デバイス201と通信する。たとえば、通信部102は、電子マネー用のリーダ/ライタにより構成することが可能である。この場合、可搬デバイス201が電子マネー用のリーダ/ライタに翳されることにより、当該可搬デバイス201が通信部102の通信可能範囲に入ることになる。本実施例では、通信部102と可搬デバイス201との通信に、近距離無線通信(Near Field Communication;NFC)を採用する。なお、通信部102と可搬デバイス201との通信に、赤外線通信やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を採用してもよい。
【0033】
一方、要求部103は、可搬デバイス201に対応付けられた残存バリューから最小対価バリューを減じる要求を、可搬デバイス201へ通信部102を介して送信する。本実施形態では、当該要求は、減少コマンドにより実現される。
【0034】
また、最小対価バリューは、取引対象の提供者、被提供者のいずれか一方もしくは双方の合意によって定められ、管理装置101に対して入力もしくは設定される。ここでは、取引対象の提供者は、取引の実情等を鑑みて取引対象の提供の最小単位を設定し、その最小単位に対応する対価を最小対価バリューとして設定する。
【0035】
なお、電子マネーによれば、小額決済を簡便にすることが可能であり、最小対価バリューとして、通貨最小単位(日本では1円、米国では1セント、EUでは1サンチーム、香港では1セント等)を採用することが可能である。また、各種ポイントを電子マネーとして採用する場合には、当該ポイントの最小単位を採用しても良い。このほか、3円や5セント、10サンチーム、25ポイント等、通貨最小単位やポイントの最小単位の倍数を、最小対価バリューとして採用しても良い。
【0036】
なお、最小対価バリューが小さ過ぎると、提供者と電子マネーシステム運営者との間の決済情報のやりとりが莫大な量となるおそれがある。一方、最小対価バリューが大き過ぎると、取引対象の提供の単位が大きくなってしまい、当該単位の提供の途中で提供を打ち切らざるをえない事象が生じやすくなる。したがって、取引の実態等を勘案して、最小対価バリューを設定する必要がある。
【0037】
さて、要求に対する応答が、可搬デバイス201から通信部102を介して受信され、当該応答が、要求が成功したことを示していれば、制御部104は、最小対価バリューを対価として提供される取引対象の取引最小単位、すなわち、最小提供量の取引対象を提供する制御を行う。
【0038】
最小対価バリューと最小提供量とは、一方を定めれば他方も自動的に定まる関係にあり、一般的には、提供に用いる給油機のフローメータの精度等のハードウェア的な限界値を考慮して定められる。例えば、取引対象が1リットル(1000ミリリットル)160円のガソリンである場合を考えると、フローメータの測定精度が0.01ミリリットルであれば最小提供量を6.25ミリリットルに設定し最小対価バリューを1円に設定する。測定精度が0.1ミリリットルであれば、最小提供量を12.5ミリリットルに設定し最小対価バリューを2円に設定する。測定精度が0.1リットルであれば、最小提供量を0.1リットルに設定し最小対価バリューを16円に設定する。
なお、最小対価バリューに端数が許されるのであれば最小提供量を0.1ミリリットルや0.01ミリリットルに設定することも可能であり、そのような端数が許されない場合は、最小対価バリューが整数となるように最小提供量を調整する。あるいはまた、最小提供量は、提供に用いる給油機のフローメータの精度等のハードウェア的な限界値ではなく、提供者が取引の実情等を鑑みて任意に設定できる量であってもよい。
【0039】
取引の開始時点では、提供目標量は0となっている。受信された応答に成功が示されている、ということは、可搬デバイス201に対応付けられる残存バリューは、最小対価バリューだけ減少したことになる。すなわち、提供の対価が最小対価バリューだけ支払われたことになるから、提供目標量は、最小対価バリューに相応する最小提供量だけ増加する。このように、本実施例では、最小提供量分の提供を行う制御により、提供装置202における提供目標量を最小提供量分だけ増加させる。
【0040】
なお、管理装置101が可搬デバイス201に対して各種のコマンドを送信し、受信された応答に指定されるコマンドの実行結果は、取引ログとして、管理装置101の通信部102を構成するリーダ/ライタから外部記憶装置203に記憶され、さらに、たとえば1日に1回等、定期的に、これらをまとめた取引レポートが、電子マネーの管理サーバ204に伝達される。電子マネーの管理サーバ204は、取引レポートに基づいて、電子マネーを取り扱う取引対象の提供者との間でやりとりすべき金銭の額を決定して、たとえば1月に1回等、定期的に、当該額の精算を行う。
【0041】
さて、判定部105は、取引対象の提供状況から、成功を示す応答に対する最小提供量の提供の次の提供が可能か否かを判定する。次の提供が可能と判定されたならば、可搬デバイス201に対応付けられた残存バリューから最小対価バリューをさらに減じる次の要求が、要求部103により、可搬デバイス201へ通信部102を介して送信される。この送信によって、可搬デバイス201における次の最小対価バリューの減少が成功すれば、次の最小提供量を提供する制御が行われ、提供目標量がさらに増加することになる。
【0042】
一方、次の提供が可能でないと判定されたならば、要求部103による次の要求はせずに、制御部104により取引が終了される。すなわち、判定の後に、提供を中断させるイベントが生じない限り、提供目標量まで取引対象を提供してから、取引が終了することになる。中断イベントが生じない場合には、成功を示す応答に対する最小提供量の完了をもって、取引が終了することになる。
【0043】
次の提供が可能か否かの判定は、以下のように、提供される取引対象によって、種々の条件を設定することができる。
【0044】
すなわち、セルフ給油機に本実施例を適用した場合は、今回の判定までに、油量の一定レベル超過が検出されたことに基づく自動停止が生じていなければ、次の提供が可能である、と判定し、自動停止が生じていれば、次の提供は可能でない、と判定するようにできる。なお、自動停止は、タンクやノズルの形状によっては、敏感に反応し過ぎることがある。そこで、前回の判定から今回の判定までに自動停止が生じた回数によって、次の提供の可否を決めても良い。
【0045】
なお、自動停止に係る一定レベル超過の検知される油量の閾値を、これ以上給油するとタンクから溢れる油量(レベルX)としてしまうと、タンク溢れが生じる危険性が極めて高くなる。そこで、本実施例では、自動停止が生じる油量は、レベルXよりもある程度の余裕量だけ少なく設定したレベルZとする。油量がレベルZに至った後にさらに給油を続けたとしても、当該余裕量までは、タンク溢れは生じない。
【0046】
レベルZに至った後の給油は、ハンドルを弱く握って流量をごく少なくすることとすれば、タンク溢れのリスクを最小限にすることができるほか、余裕量を適切に設定することで、課金された金額相当量のぎりぎりまで給油を行うことができる。ただし、被提供者は、レベルZに至った後の残量を放棄しても良い。
【0047】
このように、本実施例をセルフ給油機に提供した場合、自動停止が(所定回数)検出されると、さらなる課金は行わないが、現在設定されている提供目標量までは、ガソリンを給油することができる。
【0048】
このほか、ADFを用いたコピーサービスでは、ADFに原稿が残っているか否かにより、次の提供が可能であるか否かを判定する。
【0049】
さて、本実施例では、取引の開始から終了までの間、可搬デバイス201を通信部105の通信可能範囲内に置き続けることになる。また、課金は最小対価バリュー単位で行われ、釣銭は発生しない。したがって、本実施例によれば、釣りバリューの受け取り忘れは生じない。
【0050】
また、本実施例では、最小提供量の提供の開始に先立って、その対価である最小対価バリューの減少を行うことを、繰り返し行うことで、最小提供量の提供を連続して行い、取引対象の提供が途切れないようにして、総提供量の提供に要する総提供時間を抑制することが可能となる。
【0051】
さて、取引対象の提供が連続して行われるようにするとともに、課金(可搬デバイスにおける最小対価バリューの減少)のし過ぎが生じないようにするには、次の提供が可能か否かの判定は、成功を示す応答に対する最小提供量の提供の開始の後、提供の完了に先立って判定され、次の要求は、成功を示す応答に対する最小提供量の提供の完了に先立って送信されるようにすれば良い。
【0052】
すなわち、現在の提供状況として、取引の開始から現在までに提供された既提供量を利用し、既提供量が「提供目標量から最小提供量を減算した値」以上、「提供目標量」未満である間に、判定ならびに次の要求を行うのである。もっとも単純には、既提供量が「提供目標量から最小提供量を減算した値」に到達した瞬間に、判定を行う。
【0053】
たとえば、セルフ給油機の場合を考える。1回の要求における対価バリューVに対して、ガソリンがGミリリットル提供されるものとする。1回目からn回目までの要求が成功すると、課金により減少した総バリューはn×Vとなり、提供目標量はn×Gミリリットルとなる。
【0054】
そして、(n+1)回目の対価の判定、要求の送信、応答の受信、提供目標量の更新は、
1. (n-1)回目分の提供が完了し、これに継続してn回目分の提供が開始されてから、
2. n回目分の提供が完了するまで
の間、すなわち、それまでに提供した総量が(n-1)×Gミリリットルからn×Gミリリットルまでの間に行うのである。
【0055】
ADFを用いたコピーサービスの場合には、ADFから原稿を1枚ロードした直後に判定を行い、当該ロードされた原稿のコピーと並行して、ADFに原稿が残っているか否かを検知して判定を行う。原稿が残っていれば、次の提供が可能と判断して、要求を送信し、残存バリューを減少させる。すなわち、ロードした原稿のコピーと並行して、次の原稿のコピーの課金を行う。
【0056】
さて、既提供量が「提供目標量から最小提供量を減算した値」に到達した瞬間に、判定を行って、次の提供が可能である、と判定されたとすると、提供目標量がさらに最小提供量だけ増加されることになる。したがって、可能と判定した瞬間から見れば、この後最小提供量の2倍の量の提供がされることになる。
【0057】
たとえば、ADFを用いたコピーサービスの場合には、判定の後に、少なくとも判定と並行してコピーが実行されている1枚と、ADFに残っている原稿1枚の合計2枚分のサービスの提供がなされることになる。
【0058】
さて、本実施例に係る管理装置101の通信部102は、ストアドバリュー型システムにおけるリーダ/ライタにより実現され、要求部103、制御部104、判定部105は、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)が所定のプログラムを実行することにより、もしくは、制御用の電子回路を動作させることにより、実現される。
【0059】
以下、管理装置101における制御の実施例について、さらに詳細に説明する。以下の説明では、上記の例にのっとって、判定のタイミングを設定している。
【0060】
図3は、本発明の実施例に係る管理装置が実行する管理処理の制御の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0061】
まず、管理装置101は、被提供者による取引条件の入力を受け付ける(ステップS301)。この段階が、取引の開始に相当する。
【0062】
次に、管理装置101は、入力された取引条件に基いて、提供上限量を設定し、提供目標量を0にクリアする(ステップS302)。
【0063】
ついで、管理装置101は、通信部105が可搬デバイス201との通信を確立するまで待機する(ステップS303)。
【0064】
通信が確立されたら、要求部103は、通信部105を介して、可搬デバイス201へ、最小対価バリューの減少コマンドを指定する要求を送信する(ステップS304)。
【0065】
そして、管理装置101は、通信部105を介して、可搬デバイス201から、応答を受信する(ステップS305)。
【0066】
次に、制御部104は、受信された応答に、要求が成功した旨が示されているか、それとも、要求が失敗した旨が示されているか、を調べる(ステップS306)。
【0067】
要求が成功した場合(ステップS306;Yes)、制御部104は、提供装置202の提供目標量を、最小提供量だけ増加させる(ステップS307)。
【0068】
ついで、管理装置101は、取引の開始から現在までに提供された既提供量のほか、取引対象の提供状況を、提供装置202から取得する(ステップS308)。
【0069】
そして、管理装置101は、既提供量が、現在の「提供目標量から最小提供量を減算した量」に達している(等しいか超えている)か否かを調べる(ステップS309)。
【0070】
達していなければ(ステップS309;No)、提供を終了すべきイベントが生じているか否かを調べる(ステップS310)。提供を終了すべきイベントが生じていなければ(ステップS310;No)、管理装置101は、ステップS308へ戻る。ステップS308-S310の繰り返しにより、n回目課金分の提供がされている間は、(n+1)回目の要求はするが、(n+2)回目の要求はせずに待機することになる。さて、提供を終了すべきイベントが生じていれば(ステップ310;Yes)、管理装置101は、取引を終了させるため、ステップS324に進む。
【0071】
セルフ給油機の場合、提供を終了すべきイベントとして、「ノズルを自動車から外してスタンドに戻す」ことを採用することができる。この例によれば、被提供者は、「ノズルを自動車から外してスタンドに戻す」だけで、取引を終了することができる。
【0072】
さて、既提供量が、「提供目標量から最小提供量を減算した量」に達していれば(ステップS309;Yes)、判定部105は、取得された提供状況に基づいて、次の提供が可能か否かを判定する(ステップS320)。
【0073】
さて、次の提供が可能であると判定されれば(ステップS320;Yes)、管理装置101は、後述する処理を経て、ステップS304に戻り、最小対価バリューの減少ならびに提供目標量の増加の処理が繰り返され、取引対象の提供が継続して行われる。
【0074】
次の提供が可能でないと判定されれば(ステップS320;No)、管理装置101は、提供装置202に設定された提供目標量を提供上限量と比較する(ステップS321)。提供目標量が提供上限量より小さければ(ステップS321;Yes)、管理装置101は、提供上限量に提供目標量を設定し(ステップS322)、ステップS323に進む。そうでなければ(ステップS321;No)、管理装置101は、そのままステップS323に進む。
【0075】
そして、管理装置101は、提供装置202による取引対象の提供が終了するまで待機する(ステップS323)。待機中に既提供量が提供上限量に達した場合のほか、提供を終了すべきイベントが生じたときにも、提供装置202による取引対象の提供が終了する。
【0076】
提供装置202による取引対象の提供が終了したら、取引を終了して(ステップS324)、本処理は終わる。取引の終了の際には、取引の開始から現在までに成功した要求の回数に最小対価バリューを乗じた値を総対価とし、提供目標量もしくは現在の既提供量を総提供量としたレシートや領収書を発行して、被提供者に渡すことが望ましい。
【0077】
要求が失敗した場合(ステップS306;No)も、処理はステップS321に進む。これ以降の処理により、取引が終了することになる。
【0078】
また、取引を終了すべきイベントが発生していた場合(ステップS310;Yes)は、管理装置101は、ステップS324に進んで、取引を終了させる。
【0079】
本処理によれば、釣りバリューが発生しないようにすることで、釣銭の受け取り忘れを防止することができる。
【0080】
また、ある最小対価バリューの減少コマンドが成功して対価の支払いがなされ、当該対価に対する最小提供量の提供がなされている間に、次の最小提供量の提供をすべきか否かを判定することで、各最小提供量を途切れることなく連続して提供することができ、総提供時間を抑制することができる。
【0081】
さて、次の提供が可能であると判定された場合には(ステップS320;Yes)、直ちにステップS304に戻ることとしても良いが、提供を終了すべき終了条件が満たされたか否かを判定して(ステップS341)、終了条件が満たされなければ(ステップS341;No)、ステップS304に戻ることとし、終了条件が満たされていれば(ステップS341;Yes)、ステップS322に進むこととしても良い。
【0082】
終了条件は、被提供者が、取引の開始前や開始時に設定入力することが可能である。たとえば、セルフ給油機の場合には、「最大XXX円まで給油」「最大YYYリットルまで給油」などの条件を設定することが可能である。
【0083】
また、取引の開始後、取引対象が提供されている間に、管理装置101に対して、被提供者が所定の指示入力をすることにより、終了条件が満たされる、とすることも可能である。たとえば、セルフ給油機の場合に、「給油を終了」などの操作をした場合である。
【0084】
これらの終了条件が満たされた場合には、提供を終了すべきイベント(「ノズルを自動車から外してスタンドに戻す」等)が生じない限り、取引対象を目標提供量まで提供してから、取引が終了される。
【0085】
このように、本実施例によれば、電子マネーによるバリューの支払いがあってから、当該バリューに対する取引対象の提供が行われるため、取引対象の持ち逃げが生じることがないので、特に、自動販売機やセルフ型提供装置など、サービスの提供が実質的に無人で運用される場合にも、安全な取引が可能となる。
【0086】
また、提供の開始前に預かりバリュー(deposit value)の決済を行い、提供が終わってから、時間をおいて釣バリュー(change value)の返還を行う形態では、被提供者が釣バリューの受取を忘れて立ち去った場合には、後日精算する処理が必要となることがありうる。しかしながら、本実施例では、そもそも釣バリューの返還の必要がない。このため、釣バリューの返還の仕組みを構築する必要がなく、電子マネーシステムの運用を簡易かつ安価に行うことができる。
【0087】
本実施例によれば、ガソリンを少量給油し、給油を止めてから、その分の課金を行い、またガソリンを少量給油し、……のような繰り返しを行う必要はない。すなわち、本実施例の手法によれば、商品やサービスの提供を連続して行うことができ、提供に要する総時間を短縮できるほか、支払われた対価に対する総提供量の誤差を小さくすることができる。
【0088】
また、本実施例では、被提供者は、自身が支払った総対価バリューに見合った総提供量の取引対象の提供を、被提供者が自らの意思で放棄しない限り、不足なく受けることができる。
【0089】
なお、本処理における制御の流れは適宜変更しても良い。たとえば、ステップS301-S303の順序を入れ換えて、可搬デバイスとの通信が確立してから取引条件を入力などとすることも可能である。
【実施例2】
【0090】
上記実施例では、ストアドバリュー方式における減少コマンドを利用して、要求部103が通信部102を介して可搬デバイス201に要求を送信し(ステップS304)、返信された応答を見ることで、この要求が成功したか否かを判断していた。
【0091】
本実施例では、要求の送信(ステップS304)に先立って、可搬デバイス201に対応付けられる残存バリューを取得する。
【0092】
図4は、管理装置が事前に残存バリューを問い合わせる実施例における制御の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0093】
本実施例では、
図3に示すフローチャートにおいて、通信部102と可搬デバイス201との通信が確立されたら(ステップS303)、管理装置101は、通信部102を介して、可搬デバイス201へ、問い合わせコマンドを送信する(ステップS401)。
【0094】
ついで、管理装置101は、可搬デバイス201から送信される問い合わせコマンドの実行結果を、通信部102を介して受信する(ステップS402)。そして、受信された実行結果から、可搬デバイス201に対応付けられる残存バリューを取得する(ステップS403)。
【0095】
そして、管理装置101は、取得された残存バリューと、最小対価バリューと、を比較して、残存バリューが最小対価バリュー以上であれば(ステップS404;Yes)、要求が成功するものと考えられるので、ステップS304へ進む。
【0096】
一方、残存バリューが最小対価バリュー未満であれば(ステップS404;No)、要求は失敗することとなるので、要求は送信せずに、取引を終了させるため、ステップS321に進むこととしても良いが、本実施例では、被提供者に、残存バリューが不足している旨を知らせて、可搬デバイス201を交換するか否かの回答を求める(ステップS405)。
【0097】
被提供者により、可搬デバイス201を交換する、との回答がされた場合には(ステップS405;Yes)、他の可搬デバイス201との通信が確立されるまで待機してから(ステップS406)、ステップS401に戻る。
【0098】
一方、可搬デバイス201を交換しないとの回答がされた場合には(ステップS405;No)、取引を終了させるため、ステップS321に進む。なお、回答が一定時間されないまま放置された場合も、取引を終了させるため、ステップS321に進むこととするのが一般的である(図示は省略)。
【0099】
なお、これらの処理が実行されている間も、提供装置202は、並行して、提供目標量に達するまで取引対象の提供を続けている。
【0100】
また、次の提供が可能であると判定された場合(ステップS320;Yes)、管理装置101は、ステップS304に戻るのにかえて、ステップS401に戻るようにする。
【0101】
上記制御の流れでは、減少コマンドを送信する直前に、毎回問い合わせコマンドを送信することとしているが、最初の問い合わせによって得られた残存バリューの値を管理装置201のメモリ内に保持することにより、問い合わせコマンドの送信回数を減らすこととしても良い。
【0102】
すなわち、要求が成功して提供目標量が増加する(ステップS307)度に、メモリ内に保持された値を減少させ、問い合わせ(ステップS402,S403)および残存バリューと最小対価バリューの比較(ステップS404)にかえて、メモリ内に保持された値と最小対価バリューを比較するのである。
【0103】
本実施例によれば、事前に残存バリューを問い合わせることで、被提供者は、利用している可搬デバイス201が残額不足の場合であっても、スムースに可搬デバイス201を交換することが可能となる。
【実施例3】
【0104】
上記実施例では、一旦可搬デバイス201と通信部102との通信が確立すると、取引対象の提供が完了するまで、両者の通信が確立したままであることを想定していた。
【0105】
しかしながら、管理装置101から通信部102を介して減少コマンドや問い合わせコマンドを送信したとしても、可搬デバイス201との通信に失敗して、コマンドの実行結果が得られないことがありうる。
【0106】
本実施例では、管理装置101の通信部102と可搬デバイス201との間の通信に、タイムアウトを設ける。
【0107】
図5は、可搬デバイスとの通信に失敗した場合に、管理装置が実行する処理の制御の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0108】
すなわち、可搬デバイス201へ要求(減少コマンド)や問い合わせコマンドを送信すると(ステップS304,S401等)は、所定の閾時間をタイムアウト時間として、応答(減少コマンドの実行結果)や問い合わせコマンドの実行結果の受信(ステップS305,S402等)がされるまで待機する(ステップS461)。
【0109】
待機が完了したら、実行結果が受信されたか否かを判定する(ステップS462)。受信されている場合(ステップS462;Yes)には、実行結果の受信(ステップS305,S402等)の後の処理(ステップS306,S403)に進む。
【0110】
所定の閾時間内に、コマンドの実行結果が受信されなかった場合(ステップS462;No)、被提供者に、可搬デバイス201との通信ができない旨を知らせて、可搬デバイス201の通信部102に対する位置の調整あるいは可搬デバイス201の交換をするか否かの回答を求める(ステップS463)。
【0111】
被提供者により、可搬デバイス201の位置調整や交換をする、との回答がされた場合には(ステップS463;Yes)、他の可搬デバイス201との通信が確立されるまで待機してから(ステップS464)、コマンドの送信(ステップS304,S401等)に戻る。これによって、管理装置101の要求部103は、通信部102を介して、可搬デバイス201へ要求を再度送信することになる。
【0112】
一方、可搬デバイス201の位置調整や交換をしない、との回答がされた場合(ステップS463;No)、取引を終了させるため、ステップS321に進む。なお、回答が一定時間されないまま放置された場合も、取引を終了させるため、ステップS321に進むこととするのが一般的である(図示は省略)。
【0113】
本実施例によれば、可搬デバイス201と通信部102との通信が失敗した場合であっても、被提供者は、容易に、可搬デバイス201の位置調整や交換を行うことができるようになる。
【0114】
また、本実施例によれば、被提供者は、可搬デバイス201を通信部102から遠ざけて、通信できないようにするだけで、簡単に取引を終了させることができる。
【実施例4】
【0115】
本実施例は上記実施例の好適実施形態に該当するものであり、ガソリンスタンドのセルフ給油機に本発明を適用したものである。以下、理解を容易にするため、共通点や既に説明した要素については適宜説明を省略する。
【0116】
図6は、本発明の実施例に係るセルフ給油機の外観を示す説明図である。
図7Aは、本発明の実施例に係るセルフ給油機のリーダ/ライタとホルダの様子を示す説明図である。以下、これらの図を参照して説明する。
【0117】
セルフ給油機501は、被提供者との間で種々の情報をやりとりするための操作パネル502、被提供者が対価の支払に使用する可搬デバイス201を翳すためのリーダ/ライタ503、現金投入口504、カード投入口505、プリンタ506、ガソリン等を給油するためのノズル507、カメラ508を有する。
【0118】
被提供者は、操作パネル502に用意されたタッチスクリーンやディスプレイ、各種ランプ等に表示される種々のメッセージを見ることで情報を得て、そのタッチスクリーンの表面やボタン、各種キーに触れることで種々の指示操作を行う。このほか、スピーカとマイクを用意することで、音声により情報のやりとりをしても良い。
【0119】
現金投入口504は、対価の支払に現金を利用する場合に、前払いで紙幣を投入するためのものであり、カード投入口505は、対価の支払にクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードを利用する際に、これらのカードを投入するためのものである。
【0120】
リーダ/ライタ503は、対価の支払に電子マネーを利用する場合に、被提供者が可搬デバイス201を翳して、通信をさせるためのものである。
【0121】
本図に示すように、リーダ/ライタ503の表面がセルフ給油機501の前面552に沿って略垂直である場合や、リーダ/ライタ503の表面がセルフ給油機501に設けられた窪みに沿って斜めである場合等には、可搬デバイス201が落下したりリーダ/ライタ503から離れて通信可能範囲から離脱したりしないように、本図に示すようなホルダ551により、可搬デバイス201の移動を制限し、または、可搬デバイス201を支える。
【0122】
このほか、スマートフォンなどの大型化にともない、
図7Aに示すホルダ551では可搬デバイス201を支えることができないこともありうる。
図7Bは、本発明の実施例に係るセルフ給油機のリーダ/ライタとホルダの他の態様の様子を示す説明図である。本図のホルダ551は、略水平に配置されたトレー状の形状をしており、その表面にリーダ/ライタ503が配置されている。このように、トレー状のホルダ551を採用した場合や、リーダ/ライタ503の表面が略水平で、可搬デバイス201を載せるためには十分に広い場合には、被提供者は取引の開始から終了までの間、可搬デバイス201をその表面上に載せておくだけで良い。可搬デバイス201の落下防止の観点から、トレー状のホルダ511や表面が略水平の比較的大きなリーダ/ライタ502の表面は、セルフ給油機501の前面552に向かって若干下り勾配であることが、望ましい。
【0123】
クレジットカード等を利用する場合は、取引の開始時にカード投入口505にカードを投入し、取引の終了時にカード投入口505からカードが吐き出される。したがって、カード投入口505では、カードの出し入れを行うための機構が必要となる。
【0124】
一方、電子マネーを利用する場合は、可搬デバイス201がリーダ/ライタ503の表面に翳されて通信可能範囲に入っていれば決済が可能となる。したがって、ホルダ551のような簡易かつ安価な構造物によって可搬デバイス201を支えるだけで良い。
【0125】
プリンタ506は、取引の完了後に、レシートや領収書を印刷する。
【0126】
カメラ508は、被提供者の来店を検知する。これにより、セルフ給油機501を省電力モードから通常モードに移行させることができる。また、防犯のため、被提供者の外見や給油の対象となる自動車の外観を撮影することもできる。
【0127】
本図に示すセルフ給油機501では、油種に応じて3個のノズル507が用意されているが、販売するガソリン等の種類の数に応じて、適宜数を変更することができる。フル給油の条件が満たされる間は、ノズル507のレバーを強く引いている間、ガソリン等が最大流量で流出する。なお、セルフ給油機501において、ノズル507のレバーを強く引いたままの状態でロックをかけられるようにして、ハンズフリー給油を可能としても良い。
【0128】
さて、タンク内の油量がレベルZに至り、自動停止条件の成立が検知されると、強く引いているレバーが強制的に戻され、ハンズフリー給油用のロックをしていても解除される。そして、自動停止条件が満たされている間は、レバーを強く引くことができなくなるか、レバーを強く引いても、給油がされない状態となる。この場合には、レバーを弱く引けば、ごく少ない流量で給油がされる。上記のように、自動停止条件が成立している間でも、余裕量までは、さらに少量の給油をすることが可能である。
【0129】
セルフ給油機501は、販売店舗内LAN(Local Area Network)などを介して、現金による釣銭の支払機(図示せず)や、店員が控えている店舗内のレジスタ(図示せず)、セルフ給油機501を介して取引された販売ログを記録するための外部記憶装置203等に接続される。
【0130】
これらセルフ給油機501の各部は、図示しないCPUが所定のプログラムを実行することにより、もしくは専用の電子回路により制御される。
【0131】
被提供者が電子マネーを用いてセルフ給油機501によりガソリン等の提供を受ける際には、上記実施例と同様の制御がなされる。
【0132】
まず、セルフ給油機501は、取引の開始にあたって被提供者から支払方法を選択させる。
図8は、支払方法を被提供者に選択させるための画面の表示例である。本図に示す例では、現金、クレジットカード、デビットカード、電子マネーのそれぞれにより支払をするための支払方法ボタン601a-601dが操作パネル502のタッチスクリーン上に表示され、メッセージ表示欄605には、いずれかの支払方法を選ぶように、被提供者に対するメッセージが表示されている。
【0133】
被提供者が、支払方法ボタン601a-601cに触れると、従来の取引の手続が実行される。支払方法ボタン601dに触れると、本実施例の取引の手続が開始される。
【0134】
電子マネーによる支払が選択されると、セルフ給油機501は、被提供者に取引条件を入力するよう促す。
図9は、取引条件を被提供者に選択させるための画面の表示例である。本図に示す例では、レギュラー、ハイオク、軽油から油種を選択するための油種チェックボックス611a-611cが操作パネル502のタッチスクリーン上に表示されている。
【0135】
また、給油量として10リットル、20リットル、30リットル、40リットル、満タンを選択するための上限量ボタン612a-612eが操作パネル502のタッチスクリーン上に表示されている。
【0136】
さらに、支払金額1000円、2000円、3000円、5000円を選択することにより給油量を設定するための上限額ボタン613a-613dが操作パネル502のタッチスクリーン上に表示されている。
【0137】
そして、いずれかを選択するよう求めるメッセージがメッセージ表示欄605に表示されている。
【0138】
また、被提供者は、戻るボタン614を操作すれば、最初から入力をやり直すことができる。
【0139】
被提供者が油種チェックボックス611a-611cからいずれかを選択した上で、上限量ボタン612a-612eもしくは上限額ボタン613a-613d、のいずれかに触れると、取引条件が入力されたことになる(ステップS301)。
【0140】
この後、セルフ給油機501は、可搬デバイス201をリーダ/ライタ503に翳すよう促す。
図10は、可搬デバイスを通信可能範囲に置くように被提供者に案内するための画面の表示例である。本図に示す例では、メッセージ表示欄605に被提供者に対する種々のメッセージが表示される。
【0141】
可搬デバイス201がリーダ/ライタ503の通信可能範囲に入る前は、メッセージ表示欄605に「可搬デバイスをリーダ/ライタに翳してください」等のメッセージが表示される。本図は、この段階の表示例である。
【0142】
一方、被提供者が可搬デバイス201を適宜ホルダ551等に保持させる等して、可搬デバイス201がリーダ/ライタ503の通信可能範囲に入り、両者の通信が確立すると(ステップS303)、メッセージ表示欄605の表示が変化する。
図11は、給油口にノズルを挿してレバーを引き、給油を開始するように被提供者に案内するための画面の表示例である。本図に示す例では、メッセージ表示欄605の「ノズルを給油口に挿し、レバーを引いて給油を開始してください」のメッセージが表示されている。
【0143】
このメッセージを見た被提供者は、自動車のタンクキャップを外し、所望の油種のノズル507をセルフ給油機501本体から取り外して、自動車の給油口に挿入して、ノズル507のレバーを引く。すると、可搬デバイス201に対する残存バリュー減少の要求、提供目標量の増加、終了条件の判断および終了イベントの発生の検知の最初のシーケンス(ステップS304-S322)が実行され、給油が開始される。
【0144】
なお、可搬デバイス201をリーダ/ライタ503の通信可能範囲に入ったか否か、を圧電センサや静電センサにより検知して、その結果をもって、11の状態に進むこととしても良い。この場合には、ノズル507のレバーを引いた後に、可搬デバイス201とリーダ/ライタ503の通信が確立されることになる。
【0145】
一旦、給油が開始された後は、ノズル507のレバーを引き続けている間、可搬デバイス201に対する残存バリュー減少の要求、提供目標量の増加、終了条件の判断および終了イベントの発生の検知のシーケンス(ステップS304-S322)が繰り返し実行される。
【0146】
なお、本態様では、可搬デバイス201をリーダ/ライタ503に翳しただけでは、最初の課金は実行されず、ノズル507をセルフ給油機501本体から取り外し、レバーを引くことによって、課金が開始されることとなるが、可搬デバイス201をリーダ/ライタ503に翳しただけで最初の課金がおこなわれることとしても良い。
【0147】
なお、可搬デバイス201をリーダ/ライタ503に翳さないまま、ノズル507をセルフ給油機501本体から取り外して、自動車の給油口に挿入して、ノズル507のレバーを引いたとしても、課金が行われないため、ノズル507からガソリン等が提供されることはない。
【0148】
さて、給油が行われている間、操作パネル502のタッチスクリーンには、提供状況の情報が表示される。
図12は、取引対象の提供状況を被提供者に知らせるための画面の表示例である。本図に示す例では、取引の開始から今までに被提供者の電子マネーがどれだけ減少したかを表す支払済バリューの値が課金額表示欄631に表示され、支払済バリューの値に対する提供目標量が目標量表示欄632に表示され、ノズル507から自動車に給油された既提供量が既提供量表示欄633に表示されている。また、メッセージ表示欄605には、各種のメッセージが表示される。本図では、ユーザがノズル507のレバーを引いていることを検知して「給油中です」との表示がされているが、レバーが戻されている間は、「レバーを引いて給油してください」等の表示がされる。
【0149】
本図では、ガソリン1リットル160円、最小対価バリュー16円、最小提供量0.1リットルを想定して、例示している。課金額が1984円であるから、本図からは、124回目までの課金が成功裏に終わっていることがわかる。また提供目標量は、課金額に応じて、12.4リットルとなっている。
【0150】
このほか、ユーザが操作パネル502のタッチスクリーン上で「給油を終了」と表示された終了ボタン635に触れると、終了条件が満たされ(ステップS341;Yes)、ガソリン等を提供目標量まで入れ切ってから(ステップS323)、取引を終了する。すなわち、この後、被提供者がノズル507のレバーを引き続けると、これ以上の課金は行わず、表示されている提供目標量まで給油を行ってから取引を完了する。
【0151】
なお、提供目標量まで入れ切ることなく、現在の既提供量で給油を打ち切るには、ノズル507を自動車から外してセルフ給油機501本体に戻せば良い。
【0152】
さて、給油が行われている間、ノズル507において自動停止条件の成立が検出されることがある。
図13は、取引対象の次の提供ができないことを検知したことを被提供者に知らせるための画面の表示例である。本図に示す例では、197回目の課金が終わって、課金額が3152円となり、提供目標量が19.7リットルの状況で、既提供量19.697リットルがレベルZに至っていることが検知され、メッセージ表示欄605に、「そろそろ満タンです」と表示されている。ハンズフリー給油をしている場合には、ノズル507のレバーを引いたままにするロックが解除され、レバーが元に戻る。
【0153】
自動停止条件の成立が検出されると、セルフ給油機501は、ノズル507のレバーが強く引けない状態、あるいは、強く引いても給油がされない状態になる。このときに、被提供者が給油口でノズル507の位置を調整し直すと、タンク内の空気が抜け、自動停止条件の成立が解除されることがある。すなわち、一旦は終了条件が満たされたが、その後終了条件が解除された状態である。この場合には、レバーを再度強く引くことができるようになり、制御の流れは、また、可搬デバイス201への要求と提供目標量の増加のシーケンスに戻る。このため、操作パネル502における表示は
図12に戻り、最大流量で給油が継続できることになる。また、セルフ給油機501が対応しているのであれば、ハンズフリー給油も可能である。
【0154】
また、提供目標量まで入れ切って終了するのであれば、被提供者は、終了ボタン635を操作すれば、上記と同様に、レバーを弱く引けば、少ない流量で、支払った分だけガソリン等を入れ切ることができる。自動停止条件は、タンク内にある程度の余裕がある段階で成立するからである。自動停止に係るタンク内油量のレベルの詳細については、後述する。
【0155】
なお、自動停止条件の成立が検知されている間は、終了条件が満たされているので、これ以上の課金はされない。したがって、被提供者は、終了ボタン635を操作しなくとも、レバーを弱く引いて、提供目標量までの給油を行うことができる。
【0156】
給油が完了すると、取引が完了する。
図14は、取引が完了したことを被提供者に知らせるための画面の表示例である。本図では、メッセージ表示欄605に「給油を完了しました。レシートと可搬デバイスを持ち帰ってください。」と表示されており、終了ボタン635は消去されている。
【0157】
本表示例では、課金された総対価に相応する分だけ入れ切って取引を終了しているため、提供目標量と既提供量とが一致している。給油を終了すべきイベントが生じて給油を打ち切った場合には、提供目標量と既提供量とがずれることがあるが、被提供者が自分の意思で給油を打ち切った場合には返金は不要である。セルフ給油機に起因する不具合などで給油を打ち切った場合の返金は、店舗で対応すれば良い。
(満タン検知)
【0158】
さて、本実施例では、満タンの検知に、従来のセルフ給油機とは異なるレベルを設けている。いわゆる満タン検知センサの最もシンプルなものは、ノズル先端における圧力が急激に高くなることをもって「満タン」と判断する。一般には、タンク内の温度や圧力、提供流量、給油用のノズル内の圧力等に基づいて判断して、「満タン」か否かを判定する。上記の諸条件のほか、地面の傾きなどの影響もあり、油量の判定には、誤差がある。そこで、従来のセルフ給油機では、給油時のオイル溢れを防止するため、「これ以上給油するとガソリン等が溢れるレベルX」ではなく、誤差を見込んで、「レベルXよりも油量が少しだけ少ないレベルY」を検知し、レベルYを「満タン」と呼んでいる。そして、油量がレベルYに至ったと判断すると、ハンズフリー給油の場合にはこれを解除して、ノズル507のレバーを強く引くことができない状態、レバーを強く引いても給油がされない状態にしている。従来のセルフ給油機では、レベルYが検知された後も、レバーを弱く引けば、さらなる少量の給油が可能である。
【0159】
一方、本実施例では、レベルXならびにレベルYよりも油量がさらに少ないレベルZを設定している。
図15は、タンク内の油量のレベルの説明図である。本図には、タンク701において、タンク溢れが生じるレベルX(702)、レベルX(702)よりも油量が少ないレベルY(703)、レベルY(703)よりも油量がさらに少ないレベルZ(704)が示されている。
【0160】
本態様では、油量がレベルZ(704)に至ったことがセンサにより検知されると、自動停止条件が成立する。上記のように、1回の要求における対価バリューVに対して、ガソリンがGミリリットル提供されるのであれば、1回目からn回目までの要求が成功すると、課金により減少した総バリューはn×Vとなり、提供目標量はn×Gミリリットルとなる。
【0161】
そして、(n+1)回目の対価の判定、要求の送信、応答の受信、提供目標量の更新は、(n-1)回目分の提供が完了し、これに継続してn回目分の提供が開始されてから、n回目分の提供が完了するまでの間、すなわち、それまでに提供した総量が(n-1)×Gミリリットルからn×Gミリリットルまでの間に行う。
【0162】
(n+1)回目の判定で、まだ油量がレベルZ(704)に至っていない、と判定されれば、(n+1)回目分の課金がされるから、提供目標量は、(n+1)×Gミリリットルになる。(n+1)回目の判定時点での既提供量は、(n-1)×Gミリリットル乃至n×Gミリリットルであるから、判定時点から後に、1×Gミリリットル乃至2×Gミリリットルの給油がされることになる。
【0163】
そこで、レベルZとレベルYの油量の差である余裕量を、少なくとも最小提供量のGミリリットルとすれば、従来と同程度のリスクで、タンク溢れを防止することができる。また、余裕量を2×Gミリリットル以上(最小提供量の2倍以上)とすれば、センサの故障等がない限り、タンク溢れを完全に防止することができる。
(通信の失敗ならびに残額不足)
【0164】
さて、給油の途中で、可搬デバイス201とリーダ/ライタ503との通信に失敗することがある。
図16は、可搬デバイスとの通信にエラーが生じたことを被提供者に知らせるための画面の表示例である。本図では、メッセージ表示欄605に「可搬デバイスをリーダ/ライタに翳してください」というメッセージが表示されている。
【0165】
この後、ユーザが可搬デバイスの位置を修正して、通信が確立すると、給油を継続することができる。
図17は、提供の状況のエラーが解消したことを被提供者に知らせるための画面の表示例である。本図では、メッセージ表示欄605には、「レバーを引いて給油を続けてください」というメッセージが表示されることになる。
【0166】
また、給油の途中で、可搬デバイス201の残存バリューが最小対価バリューより少なくなり、減少コマンドの実行に失敗することもある。
図18は、可搬デバイスの残存バリューが不足していることを被提供者に知らせるための画面の表示例である。本図では、メッセージ表示欄605に「残高不足です。可搬デバイスを交換してください」というメッセージが表示される。
【0167】
被提供者が可搬デバイスを交換する際には、一旦通信が切れる。このため、操作パネル502のタッチスクリーンへの表示は、
図16に示すものに変わる。この後の処理は、上記と同様である。
【0168】
通信の失敗中や残高不足中でも、提供目標量までの給油は可能である。したがって、被提供者が終了ボタン635を操作してからノズルのレバーを引けば、あるいは、ノズルのレバーを引いたまま終了ボタン635を操作すれば、ガソリン等を入れ切って取引を終了することができる。
【0169】
本実施例によれば、電子マネーを用いてガソリン等の給油を適切に行うことができるようになる。
【実施例5】
【0170】
上記実施例では、最小対価バリューおよび最小提供量は、取引が開始されてから終了するまでの間、一定であったが、これを可変とすることも可能である。
【0171】
たとえば、給油開始から10リットルまでは、最小対価バリューを15円として給油の流量を大きくし、それ以降は最小対価バリューを10円としてできるだけ多く給油ができるようにすれば、最小対価バリューを10円のままとするよりも、提供に要する時間を短くすることができ、最小対価バリューを15円のままとするよりも、総提供量の期待値を増やすことができる。
【実施例6】
【0172】
本実施例は上記実施例の好適実施形態に該当するものであり、ADFを用いたコピーサービスに本発明を適用したものである。以下、理解を容易にするため、共通点や既に説明した要素については適宜説明を省略する。
【0173】
ADFを用いたコピーサービスでは、被提供者が原稿の総頁数を知らないまま、原稿をコピーすることが可能である。この場合には、全原稿のコピーが完了して初めて、原稿の総頁数がわかり、コピーサービスに対する支払い額も確定することになる。
【0174】
この態様では、コピーが開始されると、
(1)ADFから1枚原稿がスキャン位置にロードされ、
(2)ロードされた原稿をスキャンしてコピーを印刷し、
(3)スキャン位置からコピー済の原稿が排出される
処理が繰り返される。ここで、コピー済み原稿に対する排出と、次の原稿のロードとは並行して行われることもある。
【0175】
本実施例では、1枚の原稿という素材を利用して、1枚のコピーという最小提供量のサービスの提供がされる。このため、「原稿のコピーが行われている間、すなわち、原稿のロードが完了してから原稿の排出が開始されるまでの間」に、「ADFに次の原稿が残っているか否かを判定し、次の原稿が残っていれば、当該次の原稿のコピーのための課金を行う」ことを繰り返すことができる。すなわち、前の原稿に対するサービスが行われている間に、次の原稿の課金の可否を判断し、必要ならば課金もしてしまう、という点が、本発明と先行技術との差である。
【0176】
本実施例によれば、コピーをできるだけ連続して途切れずに実行することができるようになり、作業時間を短縮することができるようになる。
【0177】
以上説明した通り、本発明に係る管理装置は、
通信可能範囲に入っている可搬デバイスと通信する通信部を有し、取引の開始から終了までに提供される取引対象の総提供量が取引の終了をもって確定する取引を管理し、
前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記取引対象の取引最小単位に対応する最小対価バリューを減じる要求を、前記可搬デバイスへ前記通信部を介して送信する要求部、
前記可搬デバイスから前記通信部を介して受信された前記要求に対する応答が、前記要求が成功したことを示していれば、前記取引最小単位分の前記取引対象を提供する制御を行う制御部、
前記取引対象の提供状況から、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の次の提供が可能か否かを判定する判定部
を備え、
前記次の提供が可能と判定されたならば、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記最小対価バリューをさらに減じる次の要求が、可搬デバイスへ前記通信部を介して送信され、
前記次の提供が可能でないと判定されたならば、前記次の要求はせずに、前記取引が終了される。
【0178】
また、本発明の管理装置において、
前記次の提供が可能か否かは、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の開始の後、当該提供の完了に先立って判定され、
前記次の要求は、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の完了に先立って送信される
ように構成することができる。
【0179】
また、本発明の管理装置において、
前記次の提供が可能でないと判定されたならば、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の完了をもって、前記取引が終了される
ように構成することができる。
【0180】
また、本発明の管理装置において、
前記次の提供が可能か否かは、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の開始の後、当該提供の完了に先立って、
(a)前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の開始の前に前記取引対象の被提供者が所有していた前記取引対象の量と、前記取引最小単位の2倍と、の和と、
(b)前記取引対象の被提供者が所有しうる最大量と、に対して、当該和が、当該最大量以下であるか否か、により判定される
ように構成することができる。
【0181】
また、本発明の管理装置において、
前記要求の送信に先立って、前記通信部を介して、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューが前記可搬デバイスから取得され、
前記取得された残存バリューが前記最小対価バリュー未満であれば、前記要求の送信はせずに、前記取引が終了される
ように構成することができる。
【0182】
また、本発明の管理装置において、
前記取得された残存バリューが、前記最小対価バリュー未満であることに起因する前記取引の終了に先立って、前記取引対象の被提供者に、前記取引を終了するか否かを問い合わせ、前記被提供者から、前記取引を終了しない旨の回答がされると、前記要求が、前記通信可能範囲内に入った他の可搬デバイスへ送信される
ように構成することができる。
【0183】
また、本発明の管理装置において、
前記要求が送信された後、所定の閾時間内に、前記要求に対する前記応答が受信されなければ、前記取引最小単位分の前記取引対象の提供はせずに、前記取引が終了される
ように構成することができる。
【0184】
また、本発明の管理装置において、
前記応答が受信されないことに起因する前記取引の終了に先立って、前記取引対象の被提供者に、前記取引を終了するか否かを問い合わせ、前記被提供者から、前記取引を終了しない旨の回答がされると、前記要求が再度送信される
ように構成することができる。
【0185】
また、本発明の管理装置において、
前記再度送信される要求は、前記可搬デバイス、もしくは、前記通信可能範囲内に入った他の可搬デバイスへ送信される
ように構成することができる。
【0186】
また、本発明の管理装置において、
前記取引対象の被提供者により取引の開始前になされた設定、もしくは、当該被提供者により取引の開始後になされた操作に基づいて、前記制御部により、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の完了をもって、前記取引が終了される
ように構成することができる。
【0187】
また、本発明の管理装置において、
前記取引対象の提供は、前記取引対象の被提供者により用意された素材を利用することにより行われ、
前記次の提供が可能か否かは、前記成功を示す前記応答に対する前記最小提供量の提供の開始の後、当該提供の完了に先立って、前記素材が利用可能に残っているか否か、により判定される
ように構成することができる。
【0188】
また、本発明の管理装置において、
前記要求に対して受信された前記応答が前記要求が失敗したことを示していれば、前記制御部により、前記失敗を示す応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供はせずに、前記取引が終了される
ように構成することができる。
【0189】
また、本発明の管理装置において、
前記失敗を示す応答に起因する前記取引の終了に先立って、前記取引対象の被提供者に、前記取引を終了するか否かを問い合わせ、前記被提供者から、前記取引を終了しない旨の回答がされると、前記要求が、前記通信可能範囲内に入った他の可搬デバイスへ送信される
ように構成することができる。
【0190】
また、本発明の管理装置において、
前記取引が開始された後に提供された前記取引対象の既提供量が、所定の計測単位で計測され、
前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供は、
前記取引が開始された後に成功した要求の総数に前記最小提供単位を乗じた提供目標量に、前記計測された既提供量が至ると、
完了する
ように構成することができる。
【0191】
また、本発明の管理装置において、
前記可搬デバイスが前記通信部に翳されることにより、前記可搬デバイスが前記通信可能範囲に入る
ように構成することができる。
【0192】
また、本発明に係る管理装置は、
可搬デバイスが授受可能範囲に入るとその可搬デバイスとデータを授受するデータ授受部と、ユーザの取引要求に応じた取引ではあるが該取引前では取引量が確定しない取引対象の取引を制御する制御部と、を備える管理装置であって、
前記制御部は、
可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから取引対象の取引最小単位に対応する対価バリューを減じるためのバリュー変更信号を、前記データ授受部を介して可搬デバイスに送信するバリュー変更部と、
前記バリュー変更部によって送信されたバリュー変更信号に応じて可搬デバイスから送信される、残存バリューの変更が行われたことを示す応答信号を前記データ授受部が受信すると、取引最小単位分の取引対象をユーザに提供するための処理を行う提供処理部と、
取引対象の提供状況から、取引最小単位分の取引対象の次の提供が可能か否かを判定する提供可否判定部と、
ユーザの設定に基づいて取引を終了するための処理を行う終了処理部と、を含み、
前記バリュー変更部は、前記提供可否判定部において可能と判定された場合、取引最小単位分の取引対象のユーザへの提供の完了に応じてバリュー変更信号を前記データ授受部を介して可搬デバイスに送信し、前記提供可否判定部において可能でないと判定された場合、バリュー変更信号の送信を制限する。
【0193】
また、本発明に係る管理方法は、
通信可能範囲に入っている可搬デバイスと通信する通信部を有し、取引の開始から終了までに提供される取引対象の総提供量が取引の終了をもって確定する取引を管理する管理装置が実行し、
前記管理装置が、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記取引対象の取引最小単位に対応する最小対価バリューを減じる要求を、前記可搬デバイスへ前記通信部を介して送信する要求ステップ、
前記可搬デバイスから前記通信部を介して受信された前記要求に対する応答が、前記要求が成功したことを示していれば、前記管理装置が、前記取引最小単位分の前記取引対象を提供する制御を行う制御ステップ、
前記管理装置が、前記取引対象の提供状況から、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の次の提供が可能か否かを判定する判定ステップ
を備え、
前記次の提供が可能と判定されたならば、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記最小対価バリューをさらに減じる次の要求が、可搬デバイスへ前記通信部を介して送信され、
前記次の提供が可能でないと判定されたならば、前記次の要求はせずに、前記取引が終了される。
【0194】
また、本発明に係るプログラムは、
通信可能範囲に入っている可搬デバイスと通信する通信部を有するコンピュータに、取引の開始から終了までに提供される取引対象の総提供量が取引の終了をもって確定する取引を管理させ、前記プログラムは、前記コンピュータを、
前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記取引対象の取引最小単位に対応する最小対価バリューを減じる要求を、前記可搬デバイスへ前記通信部を介して送信する要求部、
前記可搬デバイスから前記通信部を介して受信された前記要求に対する応答が、前記要求が成功したことを示していれば、前記取引最小単位分の前記取引対象を提供する制御を行う制御部、
前記取引対象の提供状況から、前記成功を示す前記応答に対する前記取引最小単位分の前記取引対象の提供の次の提供が可能か否かを判定する判定部
として機能させ、
前記次の提供が可能と判定されたならば、前記可搬デバイスに対応付けられた残存バリューから前記最小対価バリューをさらに減じる次の要求が、可搬デバイスへ前記通信部を介して送信され、
前記次の提供が可能でないと判定されたならば、前記次の要求はせずに、前記取引が終了される。
【0195】
また、上記のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的(non-transitory)情報記録媒体に記録することができる。この情報記録媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
一般には、コンピュータは、非一時的(non-transitory)情報記録媒体に記録されたプログラムを、一時的(temporary)記憶装置であるRAM(Random Access Memory)に読み出してから、CPU(Central Processing Unit)が読み出されたプログラムに含まれる指令を実行する。ただし、ROMとRAMを一つのメモリ空間にマッピングして実行することが可能なアーキテクチャでは、ROMに格納されたプログラムに含まれる指令を、直接CPUが読み出して実行する。
さらに、上記のプログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網等の一時的(transitory)伝送媒体を介して、サーバ装置等から端末装置等へ配布・販売することができる。