(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249501
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】小道具及び小道具の使用方法
(51)【国際特許分類】
A63J 21/00 20060101AFI20171211BHJP
A41D 1/00 20060101ALI20171211BHJP
A63H 37/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
A63J21/00
A41D1/00 C
A63H37/00
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-79108(P2016-79108)
(22)【出願日】2016年4月11日
(65)【公開番号】特開2017-158994(P2017-158994A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2016年5月17日
【審判番号】不服2017-5166(P2017-5166/J1)
【審判請求日】2017年4月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-43062(P2016-43062)
(32)【優先日】2016年3月7日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 フジテレビ湾岸スタジオ(「VS嵐」の収録) 平成28年1月12日 よしもと沖縄花月 平成28年1月24日 http://www.joqr.co.jp/saru/2016/02/ 平成28年2月1日 株式会社フジテレビジョン(「VS嵐」の放送) 平成28年2月4日 よしもと祇園花月 平成28年2月20日 ヨシモト∞ホール 平成28年2月21日 フジテレビ湾岸スタジオ(「さんまのお笑い向上委員会」の収録) 平成28年2月26日 九州朝日放送株式会社(「土曜もアサデス。」の生放送) 平成28年3月12日 株式会社フジテレビジョン(「さんまのお笑い向上委員会」の放送) 平成28年3月12日 よしもと沖縄花月 平成28年3月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509216267
【氏名又は名称】株式会社エース・マーチャンダイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】秋山 竜次
【合議体】
【審判長】
黒瀬 雅一
【審判官】
藤本 義仁
【審判官】
吉村 尚
(56)【参考文献】
【文献】
今年のハロウィンはこれで決まり! 裏返すとゾンビになれるTシャツ,[online],SOCIO CORPORATION,2010年10月25日掲載,ロケットニュース24,[2016年6月24日検索],URL,http://rocketnews24.com/2010/10/25/%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%83%8F%E3%83%AD%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%81%AF%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%A7%E6%B1%BA%E3%81%BE%E3%82%8A%EF%BC%81%E3%80%80%E8%A3%8F%E8%BF%94%E3%81%99%E3%81%A8%E3%82%BE/
【文献】
吉田照美 飛べ!サルバドール 第740回 2月1日,[online],株式会社文化放送,2016年 2月 1日,吉田照美 飛べ!サルバドール,[2017年2月2日検索],URL,http://www.joqr.co.jp/saru/2016/02/post−1425.htm
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63J7/00, 21/00
A41B1/00-7/12
A41D1/00, 1/18-1/22, 27/00-27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プルオーバー型の上衣を着用する使用者によって、前記使用者の左右の腋が露出し、前記上衣の前身頃と後身頃がそれぞれ裏返えるように裾部が引き上げられ、前記使用者の頭部の前方に、像が、前記使用者から見た正立状態で現れた後、前記使用者が両手で前記裾部を引き上げた状態を維持することで前記像が前記使用者の頭部の前方にとどまるように、前記上衣の前記前身頃の裏地のうち左右の袖ぐりの下端同士を結ぶラインを跨ぐ位置に、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの顔をかたどった前記像が前記上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられることを特徴とする小道具。
【請求項2】
前記像は絵又は写真から成ることを特徴とする請求項1に記載の小道具。
【請求項3】
前記上衣がTシャツ、トレーナー、スウェット及びセーターのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の小道具。
【請求項4】
プルオーバー型の上衣の前身頃の裏地のうち左右の袖ぐりの下端同士を結ぶラインを跨ぐ位置に、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの顔をかたどった像が前記上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられた小道具の使用方法であって、
前記上衣を着用する使用者によって、前記使用者の左右の腋が露出し、前記上衣の前身頃と後身頃がそれぞれ裏返えるように裾部が引き上げられ、前記使用者の頭部の前方に、前記像が、前記使用者から見た正立状態で現れた後、前記使用者が両手で前記裾部を引き上げた状態を維持することで前記像が前記使用者の頭部の前方にとどまるように使用されることを特徴とする小道具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瞬時に顔を別人の顔に変化させて観衆を笑わせ或いは驚かせる小道具
及び小道具の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
観衆に対して芸を行う者等が、自分の顔を瞬時に別人の顔等に変えることで観衆を笑わせ或いは驚かせる芸を披露する場合がある。この場合には、従来、他人の顔等をかたどった絵や写真等から作成したお面(例えば、特許文献1)を用意しておき、これを予め手に持っていたり近くにおいておいたりして、必要なときに取り出すようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−139593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記お面のような小道具を手にすることなく顔を変化させることができれば、観衆に更に意外性を感じさせて、より一層興趣を高めることができる。
【0005】
そこで本発明は、自分の顔を瞬時に別人の顔に変えてみせるにおいて、観衆の興趣をより一層高めることができる小道具
及び小道具の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の小道具は、プルオーバー型の
上衣を着用する使用者によって、前記使用者の左右の腋が露出し、前記上衣の前身頃と後身頃がそれぞれ裏返えるように裾部が引き上げられ、前記使用者の頭部の前方に、像が、前記使用者から見た正立状態で現れた後、前記使用者が両手で前記裾部を引き上げた状態を維持することで前記像が前記使用者の頭部の前方にとどまるように、前記上衣の
前記前身頃の裏地のうち左右の袖ぐりの下端同士を結ぶラインを跨ぐ位置に、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの顔をかたどった
前記像が前記上衣の上下方向に対して倒立状態で設けら
れる。また本発明の小道具の使用方法は、プルオーバー型の上衣の前身頃の裏地のうち左右の袖ぐりの下端同士を結ぶラインを跨ぐ位置に、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの顔をかたどった像が前記上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられた小道具の使用方法であって、前記上衣を着用する使用者によって、前記使用者の左右の腋が露出し、前記上衣の前身頃と後身頃がそれぞれ裏返えるように裾部が引き上げられ、前記使用者の頭部の前方に、前記像が、前記使用者から見た正立状態で現れた後、前記使用者が両手で前記裾部を引き上げた状態を維持することで前記像が前記使用者の頭部の前方にとどまるように使用される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自分の顔を瞬時に別人の顔に変えてみせるにおいて、観衆の興趣をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態における小道具の正面図
【
図2】本発明の一実施の形態における小道具を使用者が着用している状態の正面図
【
図3】本発明の一実施の形態における小道具の使用状態を示す正面図
【
図4】本発明の一実施の形態における小道具の背面図
【
図5】本発明の一実施の形態における小道具を使用者が着用している状態の背面図
【
図6】本発明の一実施の形態における小道具の使用状態を示す背面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態における小道具1を示している。小道具1は、人が通常において着用するプルオーバー型(いわゆるかぶり型)の上衣10をベースとしている。上衣10は前身頃11、後身頃12、襟部13等を有していればよいが、本実施の形態では、更に、上衣10が左右の長袖部14,14を備えたトレーナーであるとして説明する。
【0010】
図1において、小道具1は、上衣10の前身頃11の裏地(前身頃裏地11Bと称する)に、人物の顔の像(正面像21と称する)を上衣10の上下方向に対して倒立状態で備えている。正面像21は絵や写真等から成るものとし、上衣10の前身頃裏地11Bに直接描かれ、貼り付けられ、プリントされ、或いは縫い付けられている。正面像21を描き、貼り付け、プリントし、或いは縫い付けた布地等が前身頃裏地11Bに貼り付けられ、縫い付けられたりしているのであってもよい。正面像21が設けられる具体的な位置は、前身頃裏地11Bのうち、上衣10の左右の袖ぐり(上衣10に形成された左右の腕を通すための孔)の下端14G,14G同士を結ぶラインLを上衣10の上下に跨ぐ(跨いで広がった)位置とする(
図1)。
【0011】
図2に示すように、小道具1を使用する者(以下、使用者30と称する)は、上衣10の襟部13に頭部31及び頸部32を通すとともに左右の長袖部14,14に左右の腕33,33を通すことによって、上衣10を着用する。使用者30が上衣10を着用すると、使用者30の胴部34の前方に前身頃11が位置し、胴部34の後方に後身頃12が位置する。そして、この状態から、使用者30が左右の手35,35で前身頃11の裾部11aをつかみ、そのうえで裾部11aを勢いよく引き上げて左右の腋36,36を露出させるようにすると(
図3)、前身頃11と後身頃12はそれぞれ裏返って、使用者30の頭部31が上衣10により覆われるとともに、胴部34が露出した状態となる。この一連の動作は、人が通常、着用していた上衣を脱ぐ際の動作と同じである。
【0012】
上記のように、使用者30が上衣10の裾部11aを引き上げて左右の腋36,36が露出し、前身頃11及び後身頃12がそれぞれ裏返ると、前身頃裏地11Bに備えられた正面像21が、使用者30の頭部31の前方の位置(使用者30の顔の前)に、使用者30から見た正立状態で現れる(
図3)。このため、使用者30が上記一連の動作を行うと、使用者30の顔が瞬時に別人の顔に変化したように見え、観衆は面白味や驚きを感じて興趣を覚える。
【0013】
ここで、上衣10は、通常において人が身に着けるものであるから、これを着て観衆の前に現れても不自然でないうえ、使用者30が上衣10を脱ぐ動作を始めたとしても、観衆はその行為が顔を他人の顔に変えてみせる行為とは思わない。このため、観衆は意表をつかれ、意外性を感じて、より興趣を覚える。
【0014】
また、本実施の形態における小道具1では、更に、
図4及び
図5に示すように、後身頃12の裏地(後身頃裏地12Bと称する)に、正面像21に描かれた人物の後頭部をかたどった絵又は写真から成る像(背面像22と称する)が上衣10の上下方向に対して倒立状態で設けられていてもよい。具体的には、背面像22は、上衣10の左右の袖ぐりの下端14G,14G同士を結ぶラインLを上衣10の上下に跨ぐ位置に設けられるようにする(
図4)。
【0015】
このようにすれば、使用者30が裾部11aを引き上げて左右の腋36,36を露出させると(
図6)、前身頃11が使用者30の頭部31の前方に位置するとともに後身頃12が使用者30の頭部31の後方に位置し、後身頃裏地12Bに備えらえた背面像22が、使用者30の頭部31の後方に、使用者30から見た正立状態で現れる。この状態では、使用者30の前方に正面像21が現れるとともに、頭部31の後方に背面像22が現れるので、使用者30が正面側だけでなく背面側も観衆に見せれば、観衆の興趣は更に高められる。
【0016】
以上説明したように、本実施の形態における小道具1では、プルオーバー型の上衣10の前身頃裏地11Bのうち左右の袖ぐりの下端14G,14G同士を結ぶラインLを跨ぐ位置に、人物の顔をかたどった絵又は写真から成る正面像21が上衣10の上下方向に対して倒立状態で設けられており、使用者30が裾部11aを引き上げて左右の腋36,36を露出させる動作(上衣10を脱ぐ動作)を行うと、上衣10の前身頃11が裏返った状態で使用者30の頭部31の前方に位置し、使用者30の顔の前に、使用者30とは別人の顔等の正面像21が現れる。このため観衆は、使用者30の顔が突然他人の顔に変化したことに対して興趣を覚えるうえ、上衣10を脱ぐという行為から顔の変化が生じることにも意外性を感じて更なる興趣を覚える。このように本実施の形態における小道具1によれば、自分の顔を瞬時に別人の顔に変えてみせるにおいて、観衆の興趣をより一層高めることができる。
【0017】
これまで本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、上衣10が左右の長袖部14,14を備えたトレーナーであるとして説明したが、プルオーバー型の上衣であればよい。従って、長袖部14,14を有する他の上衣10、例えばスウェットやセーター等であってもよいし、長袖部14,14の代わりに半袖部を有したTシャツや、袖のないタンクトップシャツ等であってもよい。但し、使用者30が上衣10を着用した状態において、上衣10の裏地側に何か(ここでは正面像21や背面像22)が備えられていることが観衆から見えることは好ましくないため、上衣10には裏側が透けて見えない生地のものを採用するようにする。或いは上衣10の表地に別途布地等を縫い付けておいたり、正面像21や背面像22とは全く無関係の図柄や写真等をプリントしておいたりしてもよい。
【0018】
また、上述の実施の形態では、正面像21に描かれるのは人物の顔であるとしていたが、その他、動物やキャラクター等の顔とすることもできる。すなわち小道具1は、プルオーバー型の上衣10の前身頃11の裏地(前身頃裏地11B)のうち、左右の袖ぐりの下端14G,14G同士を結ぶラインLを跨ぐ位置に、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの顔をかたどった像(正面像21)が上衣10の上下方向に対して倒立状態で設けられていればよい。また、背面像22も、正面像21に描かれた人物の後頭部に限定されず、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの後頭部をかたどった像(絵又は写真からなる像)でよい。
【0019】
なお、本発明における上衣の表地及び裏地は相対的なものである。よって、本発明の小道具を販売するとき等において、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの顔をかたどった像が表地に設けられていたとしても、その上衣の裏表を反転させたときに、その像が、上衣の前身頃の裏地のうち左右の袖ぐりの下端同士を結ぶラインを跨ぐ位置に、上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられた状態となるのであれば、その小道具は本発明の範囲に含まれる。
【0020】
また、本発明の小道具は見掛け上、Tシャツ、トレーナー、スウェット及びセーター等の上衣にも見え、また実際、そのような上衣として使用することが可能である。よって、本発明の小道具をTシャツ、トレーナー、スウェット及びセーター等の上衣として販売したとしても、本発明の構成を備えているものは、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
自分の顔を瞬時に別人の顔に変えてみせるにおいて、観衆の興趣をより一層高めることができる小道具
及び小道具の使用方法を提供する。
【符号の説明】
【0022】
1 小道具
10 上衣
11 前身頃
11a 裾部
11B 前身頃裏地(裏地)
12 後身頃
13 襟部
14 長袖部
14G 袖ぐりの下端
21 正面像(像)
22 背面像
30 使用者
31 頭部
32 頸部
33 腕
34 胴部
35 手
36 腋