(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オートチャージデータ出力部は、所定期間内における同じ前記企業の前記従業員に対する貸付可能金額の総額が、前記事業者によって設定された前記企業に対する貸付可能金額枠を超えた場合、前記貸付可能金額枠を超えた前記企業の前記従業員の管理口座から前記銀行口座に前記立替資金の電子的価値情報を移転する前記移転処理を中止する、請求項1に記載の資金需要対応サービス提供システム。
前記従業員が操作し、前記管理口座の前記立替資金の電子的価値情報の前記銀行口座への移転を自動又は手動で行う選択情報を送信する従業員端末が、前記ネットワーク経由で接続され、
前記事業者サーバは、前記勤怠データを受信する勤怠データ取得部を有し、
前記算出部は、勤怠データ取得部が新たな前記勤怠データを受信すると、前記従業員に対する新たな貸付可能金額を算出し、その新たな貸付可能金額に応じた前記企業に代わって立替える前記事業者の前記立替資金の電子的価値情報を前記管理口座に移転させて前記管理口座で管理される前記立替資金の電子的価値情報を増加させ、
前記オートチャージデータ出力部は、前記従業員端末から事前に送信された前記選択情報が自動で行うことを指示している場合、前記立替資金の電子的価値情報が増加したタイミングで、増加した前記立替資金の電子的価値情報の範囲内で、前記管理口座から前記銀行口座に前記立替資金の電子的価値情報を移転させる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の資金需要対応サービス提供システム。
前記従業員端末は、前記管理口座の前記立替資金の電子的価値情報の前記銀行口座への移転を自動で行う送信情報を送信する場合、予め従業員によって設定された前記立替資金の電子的価値情報の前記銀行口座への移転を固定額として行うのか変動率で変動する額として行うのかの情報も送信し、
前記オートチャージデータ出力部は、
前記情報が固定額で行うことを指示している場合であって、前記固定額が増加した前記立替資金の電子的価値情報より低い場合、前記固定額に対応する前記立替資金の電子的価値情報を前記銀行口座に移転し、増加した前記立替資金の電子的価値情報が前記固定額より低い場合、増加した前記立替資金の電子的価値情報を前記銀行口座に移転し、
前記情報が変動率で変動する額で行うことを指示している場合、増加した前記立替資金の電子的価値情報に前記変動率を乗じた分の前記立替資金の電子的価値情報を前記銀行口座に移転する、請求項5に記載の資金需要対応サービス提供システム。
前記算出部は、前記勤怠データ取得部が前記勤怠データを受信したタイミングで、前記従業員に対する新たな貸付可能金額を算出する、請求項5又は請求項6に記載の資金需要対応サービス提供システム。
前記オートチャージデータ出力部は、前記従業員端末から事前に送信された前記選択情報が手動で行うことを選択している場合、前記従業員端末から所定額を前記銀行口座に移転する移転指示情報を受信したタイミングで、前記管理口座の前記立替資金の電子的価値情報のうち、前記移転指示情報の所定額に対応する前記立替資金の電子的価値情報を前記銀行口座に移転する移転処理を行う、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の資金需要対応サービス提供システム。
前記事業者サーバは、前記企業の給与締日、前記企業に応じた個別締日、及び全企業の共通締日の時点において、前記管理口座に残っている前記立替資金の電子的価値情報をリセットし、前記オートチャージデータ出力部によって前記銀行口座に移転された前記立替資金の電子的価値情報に対応する額を給与控除データとして生成する控除データ生成部を有し、
前記企業サーバは、前記銀行サーバに対し、前記控除データ生成部から前記給与控除データを定期又は不定期に取得し、前記従業員の勤怠管理に基づいて算出した給与額のうち、前記給与控除データに対応する貸付額を控除した振り込み額の振込み処理の実行を要求する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の資金需要対応サービス提供システム。
前記オートチャージデータ出力部は、前記管理口座の前記立替資金の電子的価値情報を前記銀行口座に移転させる移転処理を行う際に、移転処理手数料に対応する電子的価値情報を減額して前記銀行口座に移転する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の資金需要対応サービス提供システム。
前記事業者サーバは、前記ネットワーク経由で不特定多数の人に前記資金需要対応サービスの情報と前記立替資金の提供の情報とを発信することを含むクラウドファンディングで前記立替資金を調達する立替資金調達部を含む、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の資金需要対応サービス提供システム。
企業に所属する従業員ごとの利用限度額を管理する企業サーバと、前記従業員の勤怠データを管理する勤怠サーバと、前記従業員の管理口座を管理する事業者サーバと、前記企業から前記従業員の給与が振り込まれる銀行口座を管理する銀行サーバと、が、ネットワーク経由で接続され、前記従業員に対して資金需要対応サービスを提供する資金需要対応サービス提供システムの事業者サーバであって、
前記事業者サーバは、
前記利用限度額と前記勤怠データに基づき、前記従業員に対する貸付可能金額を算出し、前記貸付可能金額に応じた前記企業に代わって立替える事業者の立替資金の電子的価値情報を前記管理口座に移転させて管理する算出部と、
前記管理口座の前記立替資金の電子的価値情報を前記銀行口座に移転させる移転処理を行うオートチャージデータ出力部と、
前記管理口座から前記銀行口座に前記立替資金の電子的価値情報を移転したことによって前記従業員に貸し付けた貸付金額を前記企業サーバに出力する出力手段と、を有し、
同じ前記企業の前記従業員に対する貸付可能金額の総額が、前記事業者によって設定された前記企業に対する貸付可能金額枠を超えないようにされている、事業者サーバ。
企業に所属する従業員ごとの利用限度額を管理する企業サーバと、前記従業員の勤怠データを管理する勤怠サーバと、前記従業員の管理口座を管理する事業者サーバと、前記従業員のカード決済用の銀行口座を管理する銀行サーバと、が、ネットワーク経由で接続され、前記従業員に対して資金需要対応サービスを提供する資金需要対応サービス提供システムの事業者サーバであって、
前記事業者サーバは、
前記利用限度額と前記勤怠データに基づき、前記従業員に対する貸付可能金額を算出し、前記貸付可能金額に応じた前記企業に代わって立替える事業者の立替資金の電子的価値情報を前記管理口座に移転させて管理する算出部と、
前記管理口座の前記立替資金の電子的価値情報を前記銀行口座に移転させる移転処理を行うオートチャージデータ出力部と、
前記管理口座から前記銀行口座に前記立替資金の電子的価値情報を移転したことによって前記従業員に貸し付けた貸付金額を前記企業サーバに出力する出力手段と、を有し、
同じ前記企業の前記従業員に対する貸付可能金額の総額が、前記事業者によって設定された前記企業に対する貸付可能金額枠を超えないようにされている、事業者サーバ。
企業に所属する従業員ごとの利用限度額を管理する企業サーバと、前記従業員の勤怠データを管理する勤怠サーバと、前記従業員の管理口座を管理する事業者サーバと、前記従業員の電子マネーを管理する電子マネーサーバと、が、ネットワーク経由で接続され、前記従業員に対して資金需要対応サービスを提供する資金需要対応サービス提供システムの事業者サーバであって、
前記事業者サーバは、
前記利用限度額と前記勤怠データに基づき、前記従業員に対する貸付可能金額を算出し、前記貸付可能金額に応じた前記企業に代わって立替える事業者の立替資金の電子的価値情報を前記管理口座に移転させて管理する算出部と、
前記管理口座の前記立替資金の電子的価値情報を前記従業員の電子マネーにチャージするオートチャージデータ出力部と、
前記管理口座から前記従業員の電子マネーに前記立替資金の電子的価値情報をチャージしたことによって前記従業員に貸し付けた貸付金額を前記企業サーバに出力する出力手段と、を有し、
同じ前記企業の前記従業員に対する貸付可能金額の総額が、前記事業者によって設定された前記企業に対する貸付可能金額枠を超えないようにされている、事業者サーバ。
企業に所属する従業員ごとの利用限度額を管理する企業サーバと、前記従業員の勤怠データを管理する勤怠サーバと、前記従業員の管理口座を管理する事業者サーバと、前記従業員の仮想通貨の口座を管理する仮想通貨サーバと、が、ネットワーク経由で接続され、前記従業員に対して資金需要対応サービスを提供する資金需要対応サービス提供システムの事業者サーバであって、
前記事業者サーバは、
前記利用限度額と前記勤怠データに基づき、前記従業員に対する貸付可能金額を算出し、前記貸付可能金額に応じた前記企業に代わって立替える事業者の立替資金の電子的価値情報を前記管理口座に移転させて管理する算出部と、
前記管理口座の前記立替資金の電子的価値情報を前記仮想通貨の口座に移転させる移転処理を行うオートチャージデータ出力部と、
前記管理口座から前記仮想通貨の口座に前記立替資金の電子的価値情報を移転したことによって前記従業員に貸し付けた貸付金額を前記企業サーバに出力する出力手段と、を有し、
同じ前記企業の前記従業員に対する貸付可能金額の総額が、前記事業者によって設定された前記企業に対する貸付可能金額枠を超えないようにされている、事業者サーバ。
企業に所属する従業員ごとの利用限度額を管理する企業サーバと、前記従業員の勤怠データを管理する勤怠サーバと、前記従業員の管理口座を管理する事業者サーバと、前記企業から前記従業員の給与が振り込まれる銀行口座を管理する銀行サーバと、が、ネットワーク経由で接続され、前記従業員に対して資金需要対応サービスを提供する資金需要対応サービス提供システムの事業者サーバのプログラムであって、
前記事業者サーバのコンピュータに、
前記利用限度額と前記勤怠データに基づき、前記従業員に対する貸付可能金額を算出し、前記貸付可能金額に応じた前記企業に代わって立替える事業者の立替資金の電子的価値情報を前記管理口座に移転させる手順と、
前記管理口座の前記立替資金の電子的価値情報を前記銀行口座に移転させる手順と、
前記管理口座から前記銀行口座に前記立替資金の電子的価値情報を移転したことによって前記従業員に貸し付けた貸付金額を前記企業サーバに出力する手順と、を実行させるとともに、同じ前記企業の前記従業員に対する貸付可能金額の総額が、前記事業者によって設定された前記企業に対する貸付可能金額枠を超えないようにさせる、事業者サーバのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、第1実施形態及び第2実施形態(いずれも、本発明を実施するための形態を言う)について詳細に説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0033】
(第1実施形態及び第2実施形態の共通の構成)
図1に示すように、資金需要対応サービス提供システム100(
図4参照)は、企業1に所属する従業員4に対して資金需要対応サービスを提供するシステムである。
図4に示すように、従業員4の貸付実績金額と従業員4に対する貸付限度金額とを管理する企業サーバ10と、従業員4の勤怠データを管理する勤怠サーバ11と、従業員4の電子的価値情報の管理口座30a(
図1参照)を管理する事業者サーバ20とが、ネットワーク60経由で接続されている。
【0034】
事業者サーバ20は、企業サーバ10が管理する貸付限度金額と勤怠サーバ11が管理する勤怠データとに基づき、従業員4に対する貸付可能金額を算出する貸付可能金額算出部と、管理口座30aの電子的価値情報のうち、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4に貸し付ける貸付金額に応じた電子的価値情報を管理口座30aに移転させる移転処理手段と、従業員4に貸し付けた貸付金額を企業サーバ10に出力する出力手段と、を有する。
【0035】
企業サーバ10は、事業者サーバ20からの貸付金額を貸付実績金額に反映させ、貸付実績金額に応じて貸付限度金額を算出する。
【0036】
また、事業者サーバ20は、さらに、企業1の与信に関する企業与信情報を管理する企業与信管理部を含むことが好ましい。この場合、貸付可能金額算出部は、さらに、企業与信情報にも基づき、貸付可能金額を算出することが好ましい。
【0037】
また、事業者サーバ20は、さらに、移転処理手段が移転させた電子的価値情報に応じて資金需要対応サービスの使用料を算出する使用料算出部と、使用料を企業1又は従業員4に請求する請求部とを含むことが好ましい。
【0038】
(第1実施形態の構成)
図1に示すように、このビジネスモデルは、雇用をする企業1と、サービス提供事業者2と、企業1に所属する従業員4と、銀行5により実現される。そして、サービス提供事業者2が、企業1から送信される従業員4の勤怠データに基づき従業員4に対する貸付可能金額を算出し、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金30bの電子的価値情報を移転する移転処理を実行する。
【0039】
ここで、「管理口座」とは、サービス提供事業者2が管理する従業員4のための架空の管理口座30aのことであり、例えば、電子的価値情報を管理する口座である。
「立替資金の電子的価値情報の移転処理」とは、立替資金を貸付可能金額の範囲で管理口座30aにチャージ(増額)するための処理をいう。
【0040】
上記のビジネスモデルを実現するために、企業1は従業員4との間で雇用契約を締結しており、従業員4はサービス提供事業者2に対し資金需要対応サービス提供の申し込みを行っているものとする。
また、サービス提供事業者2は、従業員4の管理口座30aと貸付の立替資金30bとを管理し、企業1は貸付の利用実績を控除した銀行口座50aへの給与振込みのために、銀行5との間で給与振込み利用契約を締結しているものとする。
なお、ここでは、サービス提供事業者2が、管理口座30aと立替資金30bとを管理する場合を想定して説明するが、立替資金30bは、銀行5で管理する(立替資金50b)場合も想定される。また、企業1は、従業員4に対して個人情報使用許諾を得たうえ、貸付の立替資金を調達するサービス提供事業者2又は銀行5との間で、本ビジネスモデルの利用契約を締結しておく必要がある。
また、企業1が倒産した場合、従業者には、各種保険金が支払われる。そこで、この保険金を従業員4に対する立替資金の不足分を充足してもよい旨の契約を締結してもよい。
【0041】
(勤怠データ等の流れ)
まず、従業員4は、雇用契約に基づき企業1に対し労務提供を行う(ステップa)。
次に、企業1は、資金需要対応サービスを提供するサービス提供事業者2に対して従業員4の勤怠データを送信する(ステップb)。
次に、サービス提供事業者2は、その勤怠データに基づき従業員4に対する貸付可能金額又は貸付可能金額の枠を算出する。
ここで、算出された貸付可能金額が増えたタイミング(後述する自動チャージ)、又は従業員4により指定される任意のタイミング(後述する手動チャージ)で、従業員4用に管理される管理口座30aへ立替資金30bの電子的価値情報の移転(以下、貸付チャージという)を実行する(ステップc)。これにより、貸付チャージが管理口座30aに貯められている。
【0042】
利用されずに管理口座30aに残った貸付チャージ額は、所定の決められた期日、例えば、毎月末にリセット(減算)される。そして、企業1は、従業員4による貸付チャージの利用実績に基づき作成される給与控除額をサービス提供事業者2から取得し(ステップd)、銀行5に対して従業員4の銀行口座50aへ利用した貸付額を控除した給与額の振込みを依頼し(ステップe)、銀行5は、その依頼に基づく振込み処理を実行する。
【0043】
従業員4は、貸付を使用するために、サービス提供事業者2から与えられたユーザID(ユーザIDが記録されているカードでもよい)とパスワードとを従業員4が所有する従業員端末40に入力する。このユーザIDと管理口座30aとは、従業員番号等の識別情報によって紐付けられている。管理口座30aは、サービス提供事業者2が管理する、企業1に所属する従業員4に対して割り当てられている。従業員番号等の識別情報によって紐付けられていることにより、貸付の利用実績に基づく残額管理が行われる。
【0044】
図2を参照して、資金需要対応サービス提供システムにおける企業サーバ10と勤怠サーバ11と事業者サーバ20との役割を説明する。資金需要対応サービス提供システムは、企業サーバ10と勤怠サーバ11と事業者サーバ20とを含む。
【0045】
企業サーバ10は、従業員4の情報を扱うサーバである。本実施形態では、いわゆるコンピュータのサーバとして説明するが、従業員4の情報を扱うものであれば、すべて該当し、例えば、端末、手書きの書類などを含む。
従業員4の情報としては、後述する、企業ID、従業員ID、カードIDなどである。
【0046】
企業サーバ10は、従業員の情報を(登録)従業員情報として事業者サーバ20に送る(ステップS01)。
事業者サーバ20は、従業員4ごとの貸付金額を給与前払い利用情報として企業サーバ10に送る(ステップS02)。
【0047】
企業1に所属する従業員4の情報が更新、削除された場合、企業サーバ10は、従業員の情報を(更新、削除)従業員情報として事業者サーバ20に送る(ステップS03)。
【0048】
事業者サーバ20は、例えば、1か月ごとの資金需要対応サービスの利用料の請求を月次請求書にして企業サーバ10に送る(ステップS04)。月次請求書には、例えば、従業員4に対して前払いを行った金額と資金需要対応サービスの利用料との合計金額が含まれる。
【0049】
企業サーバ10は、従業員4に対する貸付限度金額を管理している。貸付限度金額は、企業1において、決定され、例えば、企業1の職場における勤務状況、資金需要対応サービスの利用状況(例えば、貸付金額)に基づいて、貸付限度金額を引き上げたり引き下げたりする。企業サーバ10は、貸付限度金額を、従業員ごとの利用限度額設定として事業者サーバ20に送る(ステップS05)。
【0050】
事業者サーバ20は、企業1の与信に関する企業与信情報を管理する。これにより、企業ごとに貸付可能金額を定めることができる。企業の与信としては、例えば、資本金、従業員数、資産情報、決算情報、資金需要対応サービスの利用状況、資金需要対応サービスの継続利用状況などを挙げることができる。サービス提供事業者2は、これらに基づいて、独自の基準でその企業の与信を判断する。
また、事業者サーバ20を管理するサービス提供事業者2は、ネットワーク60を経由して不特定多数の人に資金需要対応サービスの情報と立替資金の提供の情報とを発信することを含むクラウドファンディングで立替資金30bを調達してもよい。この場合、企業与信情報に、クラウドファンディングで調達された立替資金30bも含めることが好ましい。
事業者サーバ20は、企業与信情報を、企業ごとの利用限度額として企業サーバ10の送る(ステップS06)。
事業者サーバ20は、企業ごとの利用限度額を管理してもよいし、複数の企業に対していずれも同じ所定の利用限度額とし、これを管理してもよいし、複数の企業のうち、特定の複数の企業に対しては、同じ所定の利用限度額としこれを管理しつつ、その他の複数の企業に対しては、その企業ごとに利用限度額を管理してもよい。
【0051】
勤怠サーバ11は、従業員の勤怠データを扱うサーバである。本実施形態では、いわゆるコンピュータのサーバとして説明するが、従業員の勤怠データを扱うものであれば、すべて該当し、例えば、端末、手書きの書類などを含む。
従業員の勤怠データとしては、後述する、企業ID、従業員ID、労働日、労働時間などであり、所定のフォーマットで連携する。
勤怠サーバ11は、従業員の勤怠データを事業者サーバ20に送る(ステップS07)。勤怠サーバ11から事業者サーバ20に送るタイミング(連携の頻度)は、特に限定されず、例えば、毎日、週に1回、特定曜日ごとであってもよい。
【0052】
図3に示すように、企業1は企業サーバ10を有し、サービス提供事業者2は事業者サーバ20を有し、従業員4は従業員端末40を有する。
従業員4が従業員端末40を操作し、事業者サーバ20に対して資金需要対応サービス提供システム100を利用する(フローf01)と、管理口座30aに貯められている貸付チャージの額が従業員4の銀行口座50aに振り込まれ、従業員端末40にその旨表示される。これにより、従業員4は、現金を受け取ることができる。
このとき、サービス提供事業者2は、従業員4に対して資金需要対応サービス提供システム100の使用料を貸付チャージから徴収する。換言すると、従業員4はサービス提供事業者2に使用料を支払うことになる(フローf02)。使用料の支払は、事業者サーバ20が管理する貸付チャージから使用料を減額した額を従業員4の銀行口座50aに振り込むことにより行われ、その内訳が従業員端末40に表示される。したがって、従業員4が受け取ることができる金額は、貸付チャージから使用料を減額した額である。
【0053】
サービス提供事業者2は、企業1に対して、従業員4による貸付チャージの利用実績に基づき作成される請求データに基づいて請求し(フローf04)、企業1は、請求データに基づいて立替資金30bを支払う(フローf03)。
企業1は、従業員の給与締め日に従業員4が貸付チャージの利用実績に基づき使用した額を給与から控除して、従業員4に支払う(フローf05)。
【0054】
(システム構成)
図4に示すように、資金需要対応サービス提供システム100は、企業1における従業員4の勤怠管理を行う勤怠サーバ11と、従業員4の管理口座30aと従業員4に対する貸付の立替資金30bとを管理すると共に、その立替資金30bを用いた資金需要対応サービスを提供する事業者サーバ20と、従業員4の銀行口座50aを管理する銀行サーバ50と、従業員4が所持する従業員端末40とが、IP(Internet Protocol)網等のネットワーク60経由で接続される。なお、企業1には、給与会計処理のために企業1に所属する従業員4の従業員データを管理する企業サーバ10も設置されており、上記した勤怠サーバ11と同様、ネットワーク60に接続されている。
【0055】
なお、企業サーバ10、勤怠サーバ11、事業者サーバ20、銀行サーバ50は、企業1、サービス提供事業者2、銀行5のそれぞれが管理運営するコンピュータシステム全体を含めるものとする。また、従業員端末40は、携帯電話、スマートホン、PC(Personal Computer)等、従業員4が所持する、ネットワーク60との接続環境を持つ端末をいう。
【0056】
なお、資金需要対応サービス提供システム100は、IP網等のネットワーク60とは別の、図示省略したカード会社のカード決済ネットワークも利用して上記したビジネスモデルを実現してもよい。すなわち、立替資金の電子的価値情報の移転処理の処理先をカード会社のカード決済用の管理口座であってもよい。
この場合、従業員4は、所持するカードにより、加盟店での買い物、提携ATM(Automatic Teller Machine)からの入出金が行なえる。なお、カードが、クレジットカード番号が付与されたデビットカードであればネットショッピングにも利用可能である。
また、ビットコイン、アップルペイのような仮想通貨や銀行送金を利用して上記したビジネスモデルを実現してもよい。
【0057】
近年、カードの決済を容易にするため、カード決済に用いるカード端末の標準化が行われており、クレジット決済では、EMV(EuroPay International, MasterCard International and Visa International;登録商標)や国内アプリケーション等の標準仕様が用いられ、銀行では全銀協仕様が制定されている。標準仕様の一例として、全国レベルでの決済用カード運営会社,流通企業及び金融機関等のサードパーティ(決済事業者),加盟店等をオンラインで接続し、クレジットカード及びキャッシュカード等のカードを用いた決済を行う汎用の決済ネットワークシステム、例えばCAFIS(Credit And Finance Information System:登録商標)が広く用いられている。
【0058】
また、他社との差別化を行うため、決済用カード運営会社が独自のサービスを行い集客する戦略に基づき、汎用の決済ネットワークではない、決済用カード運営会社毎のブランドの決済ネットワークが構築されている。例えば、JCB(ジェーシービー;登録商標)の場合はJCN(日本カードネットワーク;登録商標)、VISA(ビザインターナショナル;登録商標)の場合はVisaNet(ビザネット;登録商標)であり、これら決済ネットワークは、CAFISに代わる決済ネットワークとして利用されている。
【0059】
(ブロック図)
図5に示すように、事業者サーバ20は、通信部21と、処理部22と、記憶部23とが、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本で構成された双方向の入出力バス24経由で共通に接続されている。
【0060】
通信部21は、ネットワーク60と事業者サーバ20(処理部22)との間の通信インタフェースを担う通信LSI(Large Scale Integration)であり、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)により、ネットワーク60に接続される企業サーバ10との間で、API(Application Program Interface)により連携されたファイル転送を行う。
【0061】
処理部22は、例えば、マイクロプロセッサが実装され、マイクロプロセッサに内蔵されるか、記憶部23の図示省略したプログラム領域に格納された本実施形態に係るプログラムにしたがい、企業サーバ10から送信される従業員4の勤怠データに基づき、従業員4に対する貸付可能金額を算出し、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報を移転する移転処理を、通信部21と記憶部23と連携しながら実行する。
【0062】
処理部22は、勤怠サーバ11から送信される従業員4の勤怠データに基づき、従業員4に対する貸付可能金額を算出し、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報を移転する移転処理を実行するために、勤怠データ取得部221と、算出部222と、オートチャージデータ出力部223と、控除データ生成部224とをプログラム実行手段として有する。
【0063】
勤怠データ取得部221は、通信部21を介して勤怠サーバ11から対象となる従業員4の勤怠データを取得する。
【0064】
オートチャージデータ出力部223は、立替資金の電子的価値情報を移転させる移転処理を行う。
【0065】
控除データ生成部224は、移転された立替資金の電子的価値情報のうち、従業員が利用した分の額を給与控除データとして生成する。
【0066】
記憶部23は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory),DRAM(Dynamic Random Access Memory),フラッシュRAM等の半導体記憶素子、又は光や磁気等の大容量記憶素子が実装され、上記した本実施形態に係るプログラムの他に、作業領域に、従業員データ231と、給与テーブル232と、オートチャージデータ233と、チャージデータ233aと、勤怠データ234と、企業テーブル235と、振込データ236とが記憶されている。
【0067】
図6に示すように、従業員データ231は、少なくとも、本ビジネスモデルの利用契約を締結した企業1毎にユニークに付される「企業ID」と、その企業1と雇用契約を締結しており、かつ、事前に本ビジネスモデルの利用を申し込んだ従業員4毎にユニークに付される「従業員ID」と、事前に立替資金30bの電子的価値情報の移転を自動で行うか、手動で行うかを選択した情報を表す「手動or自動」とをデータ項目として有する。
【0068】
給与テーブル232は、雇用契約に基づき企業担当者によって入力され転送される、少なくとも、「企業ID(identification)」と、「従業員ID」と、「時給or日給」と、「給与額」とを、データ項目として有する。
オートチャージデータ233は、処理部22(オートチャージデータ出力部223、又は控除データ生成部224)によって生成され、少なくとも、「従業員ID」と、「固定振込金額」と、「変動振込パーセント」とをデータ項目として有する。
チャージデータ233aは、少なくとも、「カードID」と、「手動or自動」と、「チャージ金額」とをデータ項目として有する。
勤怠データ234は、企業担当者によって入力され転送される、少なくとも、「企業ID」と、「従業員ID」と、「労働日」と「労働時間」とをデータ項目として有する。
企業テーブル235は、企業を識別する、「企業ID(identification)」と、「1か月の立替限度額」とをデータ項目として有する。
振込データ236は、従業員4の銀行口座50aに振り込みを行うために必要な情報であり、「銀行コード」と、「支店番号」と、「口座番号」と、「振込金額」とをデータ項目として有する。
カードID(237)は、少なくとも、「固定振込金額」と、「変動振込金額」とをデータ項目として有する。
【0069】
従業員データ231、給与テーブル232、オートチャージデータ233、チャージデータ233a、勤怠データ234、企業テーブル235、振込データ236、カードID(237)は、いずれも転送用にCSV形式で作成されている。また、従業員データ231、給与テーブル232、オートチャージデータ233、勤怠データ234は、企業IDと従業員IDとにより紐付けられている。
【0070】
(実施形態の動作)
先ず、従業員による給与前払い方式の選択の方法を説明し、次に、資金需要対応処理の方法を説明し、そして、資金需要対応集計処理の方法を説明する。
【0071】
(給与前払い方式の選択の方法)
先ず、従業員4は、従業員端末40を用いて、
図9及び
図10(a)に示す画面から、「給与前払い方式切替」を選択して、
図10(b)に示す画面から、事前に立替資金の電子的価値情報の移転を自動又は手動で行うことを指示する選択情報を送信する。さらに、選択情報が自動で行うことを指示している場合、従業員4は、従業員端末40を用いて、移転処理の増額を予め決めた固定額とする固定で行うこと指示するか予め決めた変動率とする変動で行うことを指示する増額情報を送信する。
これにより、事業者サーバ20は、従業員データ231の「手動or自動」の項目と、オートチャージデータ233の「固定振込金額」と「変動振込パーセント」との項目とを取得する。
【0072】
(資金需要対応処理の方法)
以下、
図7及び
図8を参照して、事業者サーバ20の処理動作を説明する。
資金需要対応処理の方法を説明する。資金需要対応処理の方法は、概ね、定期的(毎日等)に受信した従業員4の勤怠データに基づいて貸付可能金額の算出を行う。算出された貸付可能金額は、管理口座30aにて管理される。従業員4が予め自動チャージに設定している場合、貸付可能金額の増額があると、貸付可能金額の範囲内における所定の額が従業員4の銀行口座50aに振り込まれる。従業員4が予め手動チャージに設定している場合、従業員4の移転指示に従って、貸付可能金額の範囲内における移転指示の額が従業員4の銀行口座50aに振り込まれる。以下詳細に説明する。
【0073】
事業者サーバ20は、まず、処理部22が、企業サーバ10により生成されるCSV形式の給与テーブル232の入力取り込みを行う(ステップS101)。
【0074】
続いて、勤怠データ取得部221が、勤怠サーバ11から通信部21を介してファイル転送によるCSV形式の勤怠データ234の取込みを行う(ステップS102で「YES」)と、算出部222が、貸付可能金額の算出を行う(ステップS103)。
算出部222が行う貸付可能金額は、勤怠サーバ11から勤怠データ234を受信したタイミングで記憶部23を参照し、給与テーブル232に記憶されている所定時間単位当たりの給与(時給/日給)と、従業員4の勤怠データ234にしたがう労働時間とに基づき貸付可能金額を算出する。算出された貸付可能金額に応じた電子的価値情報を従業員4の管理口座30aで管理する。
貸付可能金額は、例えば、時給1000円の雇用条件で8時間実労働し、貸付可能率を70%とした場合、給与は80000円で貸付可能金額は56000円になる。
【0075】
なお、算出部222は、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を自動で行うことを指示する選択情報(自動チャージ)を受信していた場合、給与締日の時点で利用されなかった分をリセットする処理も実行し、さらに、控除データ生成部224が、貸付チャージされた額の中から従業員4により使用された額を給与控除データとして生成するための計算処理も実行する。
【0076】
オートチャージデータ出力部223は、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を「自動(自動チャージ)」で行うことを指示する選択情報を受信していた場合、すなわち、選択情報が自動で行うことを選択している場合(ステップS104で「自動」)、貸付可能金額が増加したタイミング(ステップS105で「YES」)で、従業員4の管理口座30aで管理されている貸付可能金額の電子的価値情報のうち、所定の貸付可能金額増額分に対応する電子的価値情報を従業員4の管理口座30aから銀行口座50aに移転する移転処理を行う。
【0077】
オートチャージデータ出力部223は、増額情報が固定で行うことを指示している場合(ステップS107で「固定」)、所定の貸付可能金額増額分を、固定額が貸付可能金額の増額分より低い場合、固定額とし、増額分が固定額より低い場合、増額分とする(ステップS108)。
これにより、増額された前払い可能金額のうち、一定の額を銀行口座50aに振り込むことになる。
【0078】
また、オートチャージデータ出力部223は、増額情報が変動で行うことを指示している場合(ステップS107で「変動」)、所定の貸付可能金額増額分を、増額分に変動率を乗じた額とする(ステップS109)。
これにより、増額された前払い可能金額のうち、一定の割合を掛けた額を銀行口座50aに振り込むことになるので、従業員4は、働いた分に応じて多く振り込むことができる。
こうして得られた所定の貸付可能金額増額分を記憶部23の所定の領域(オートチャージデータ233)に記憶すると共に、立替資金の電子的価値情報の移転(貸付チャージ)を実行する(ステップS110)。
【0079】
一方、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を「手動(手動チャージ)」で行うことを指示する選択情報を受信していた場合(ステップS104で「手動」)、従業員端末40から移転の指示があったタイミングで(ステップS106で「YES」)、従業員4の管理口座30aで管理されている貸付可能金額の電子的価値情報のうち、移転指示情報の所定額に対応する電子的価値情報を従業員4の管理口座30aから従業員4の銀行口座50aに移転する移転処理を行う(ステップS110)。
従業員端末40から移転の指示は、従業員端末から所定額の移転を指示する移転指示情報の送信により行われる。
このため、給与の前払いは従業員4の自身の意思に基づいたタイミングで行うことができる。
また、オートチャージデータ出力部223は、所定期間内(例えば、1ヶ月の期間)における移転処理の対象となった電子的価値情報の合計が予め設定した立替限度額に対応した電子的価値情報を超えた場合、移転処理を中止するようにしてもよい。
【0080】
(資金需要対応集計処理の方法)
次に、資金需要対応集計処理の方法について説明する。
図8に示すように、給与締め日になると(ステップS201で「YES」)、事業者サーバ20(算出部222)は、手数料徴収処理の算出(詳細は、後述する)、及び、移転された立替資金の電子的価値情報のうち給与締め日の時点で利用されなかった分をリセットする処理を実行する(ステップS202)。
【0081】
手数料徴収処理の算出は、オートチャージデータ出力部223が移転処理をする毎に、移転処理が移転させる対象を、対応する電子的価値情報の替わりに、対応する電子的価値情報から移転処理手数料に対応する電子的価値情報を減額した電子的価値情報とすることにより行われる。
【0082】
続いて、控除データ生成部224は、算出部222から得られる従業員4の利用分の金額を給与控除データとして生成する(ステップS203)。
すなわち、控除データ生成部224は、移転された立替資金の電子的価値情報のうち、従業員が利用した分の額を給与控除データとしてCSV形式で生成する。
【0083】
そして、企業サーバ10は、事業者サーバ20(控除データ生成部224)から、控除データ生成部224で生成された給与控除データ(CSV)を定期(例えば、月末)又は不定期(従業員の繁忙期や閑散期)に控除データをダウンロードすることにより取得し、銀行サーバ50に対し、従業員4の銀行口座50aに使用した貸付を控除した振り込み額の振込み処理の実行を要求する。
【0084】
(従業員端末の画面遷移図)
図9に示すように、従業員端末40のLCD(Liquid Crystal display)モニタには、ログイン画面、ホーム画面、ログアウト画面が表示されている。
図10(a)に画面構成の一例を示す「ホーム画面」からは、「給与前払いの申請画面」、
図10(b)に画面構成の一例を示す「給与前払い方式の切替画面」、「前払い履歴画面」への遷移が可能である。
【0085】
図10(a)に示すように、「ホーム画面」には、前払い利用可能額の他に、給与前払いの申請、給与前払い方式の切替、利用明細、口座管理のための各ボタンが割り付けられており、従業員4がこのボタンを選択(タップ)することにより、それぞれのボタンに応じたサービスである、給与前払いの申請画面、給与前払い方式の切替画面、利用明細の閲覧、口座管理が実行される。いずれかのボタンを押下することにより実行されるこれらサービス(アプリケーション)については後述する。
【0086】
また、
図9及び
図10(b)に示すように、「給与前払い方式切替画面」では、オート前払い(自動)と手動前払い(手動)を切替えるラジオボタンが割り付けられている。従業員4が、初回ログイン時に従業員端末40を操作することによりいずれかを有効にして決定ボタンを押下することで、貸付可能金額が増加したタイミングで、立替資金の電子的価値情報の移転を自動又は手動で行うことを指示する選択情報の切替えが可能になる。ここで、オート前払いが選択されると、「固定」と「変動」とのラジオボタンが選択可能になり、選択されたラジオボタンに応じて、「固定前払い額」又は「変動前払い率」の入力欄も入力可能になる。
従業員4が入力欄に所定の数字を入力して、決定のボタンのタップをすると、「給与前払い方式切替完了画面」(図示省略)に遷移し、給与前払い方式切り替えが完了する。
そして、従業員4の確認(図示省略したOKボタンのタップ)の下、「前払い完了画面」が表示される。
「固定前払い額」は、増額された前払い金額(所定の貸付可能金額増額分)のうち、固定前払い額の欄に入力された額を振り込むことになる。つまり、固定前払い額が貸付可能金額の増額分より低い場合、固定前払い額を、貸付可能金額の増額分が固定前払い額より低い場合、貸付可能金額の増額分を銀行口座50aに振り込むことになる。
【0087】
なお、
図9において、「給与前払い申請画面」を選択した場合、従業員端末40のLCDモニタに、前払い可能枠が表示され、従業員4がその枠の中から前払い申請金額を入力すると、「前払い確認画面」(図示省略)に遷移する。そして、従業員4の確認(図示省略したOKボタンのタップ)の下、「前払い完了画面」が表示される。
【0088】
また、「口座管理画面」では、登録されている銀行口座等の口座一覧が表示され、「口座登録画面」を選択した場合、従業員4は、従業員端末40による、銀行と支店の名称、口座番号の入力操作を要する。これら必要事項を入力すると、「口座登録確認画面」に遷移し、従業員4の確認の下で「口座登録完了画面」に遷移する。
【0089】
事業者サーバ20は、勤怠サーバ11から従業員4の勤怠データを受信したタイミングで、従業員4の雇用契約(雇用条件)に定められた所定時間単位当たりの給与と、従業員4の勤怠データに基づく実労働時間とに基づき貸付可能金額を算出し、立替資金の電子的価値情報の移転処理を行ってもよい。なお、支払い可能金額を算出するにあたり、雇用条件に時間単位当たりの給与が定められていない場合は、月給を日割りした金額が日時で増えるパターンや、例えば、固定額で月の半分勤務した時点で10万円までを支払い可能金額とするパターンも考えられる。
【0090】
事業者サーバ20は、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を自動で行うことを指示する選択情報を受信していた場合(自動チャージ)、貸付可能金額が増加したタイミングで、立替資金の電子的価値情報の移転処理を行ってもよい。一方、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を手動で行うことを指示する選択情報を受信していた場合(手動チャージ)、従業員端末40から移転の指示があったタイミングで、立替資金の電子的価値情報の移転処理を行ってもよい。
【0091】
自動チャージが選択されていた場合、事業者サーバ20は、移転された立替資金の電子的価値情報のうち、給与締日(毎月末)の時点で利用されなかった分の額をリセットし、利用した分の額を給与控除データとして生成してもよい。企業サーバ10は、事業者サーバ20により生成される給与控除データをダウンロードすることにより取得し、銀行サーバ50に対し、従業員4の銀行口座50aへ貸付額を控除した額の振込み処理を実行する。
【0092】
なお、貸付チャージされた貸付額の利用は、従業員4が事業者サーバ20にログインしたときに入力される選択情報により管理される。すなわち、事業者サーバ20は、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を「自動」で行うことを指示する選択情報を受信していた場合、貸付可能金額が所定額だけ増加したタイミングで、立替資金の電子的価値情報の移転をする移転処理を行う。一方、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を「手動」で行うことを指示する選択情報を受信していた場合、従業員端末40から移転の指示があったタイミングで、立替資金の電子的価値情報を移転する移転処理を行う。
【0093】
(複数の企業に所属している場合)
図11に示すように、資金需要対応サービスは、複数の企業1に所属している従業員4に対しても対応できる。つまり、資金需要対応サービスを利用している従業員4は、資金需要対応サービスを利用している複数の企業から給与の前払いを受けることが可能である。従業員4は、給与前払い申請に際して、オートチャージの給与の前払いが利用できる対象の企業を選択することができる。
サービス提供事業者2は、企業ごとに、資金需要対応サービスのアカウントを発行してもよい。アカウントは、アカウントIDや、発行したカードに記載されているカードIDで管理することが好ましい。従業者にアカウントを発行することにより、企業に対して発行した企業IDと紐付けることができる。従業者と企業とを紐付ける方法は、自動で行ってもよいし、手動で行ってもよいし、これらを組み合わせて行ってもよい。
【0094】
以下、従業員4は、企業サーバ10a及び勤怠サーバ11aを有する企業A、及び、企業サーバ10b及び勤怠サーバ11bを有する企業Bに所属しているとして、具体的に説明する。
【0095】
まず、従業員4は、サービス提供事業者2に対し、企業Aに係る資金需要対応サービス提供の申し込みと、企業Bに係る資金需要対応サービス提供の申し込みを行う。
サービス提供事業者2は、事業者サーバ20と、企業Aの企業サーバ10a及び勤怠サーバ11aの間で、(登録、更新、削除)従業員情報、利用限度額、勤怠情報のやりとりを行う。同様に、サービス提供事業者2は、事業者サーバ20と、企業Bの企業サーバ10b及び勤怠サーバ11bの間で、(登録、更新、削除)従業員情報、利用限度額、勤怠情報のやりとりを行う。
【0096】
(給与前払い方式の選択の方法)
従業員4が従業員端末40を操作し、
図12に示すような操作画面で事業者サーバ20に対して資金需要対応サービス提供システム100を利用することができる。
このとき、従業員4は、給与前払い申請、オートチャージにて給与の前払いを利用する対象の企業を選択して、給与の前払いを受けることが可能である。
図12に操作画面を示す。従業員4が操作画面を操作することにより、前払いを受ける企業を選択することができる。従業員4が選択された企業を、次回起動した際に表示される操作画面において、前払い申請の対象の企業とするデフォルト設定機能を設けてもよい。
【0097】
また、従業員4に選択させずに、資金需要対応サービス提供システムの独自の判断基準に基づいて、資金需要対応サービス提供システムが前払いを受ける企業を選択してもよい。
また、資金需要対応サービス提供システムの独自の判断によっては、給与前払い申請額を分割して、複数に分割された額をそれぞれ複数の企業から前払いを受けるようにしてもよい。分割する場合、資金需要対応サービス提供システムは、均等分割、傾斜配分分割など、システム独自の基準で定められるようにしてもよい。
【0098】
(手数料徴収処理)
図13を用いて、従業員4が資金需要対応サービス提供システムをカードで利用した場合(カードの使い方は第2実施形態で詳細に説明する)の手数料徴収処理の方法を説明する。
従業員4が従業員端末40とカードを用いて(フローf07、f08)、所定の貸付額(給与の前払い)を受け取る手続を行う(フローf01)と、貸付可能金額を貸付額だけ増額させる。事業者サーバ20は、システム利用料としての手数料をカードを使った額から徴収する(フローf02)。
事業者サーバ20は、従業員4に貸し付けた貸付額を締日で集計し、サービス提供事業者2は、企業1に対して、従業員4による貸付チャージの利用実績に基づき作成される貸付額(請求データ)に基づいて請求し(フローf04)、企業1は、貸付額を支払う(フローf03)。
企業1は、従業員の給与締め日に従業員4が貸付チャージの利用実績に基づき使用した額を給与から控除して、従業員4に支払う(フローf05)。
すなわち、従業員4が給与前払いシステムを利用し、給与の前払いを受け取る際、手数料が徴収され、残った額が従業員の銀行口座に振り込まれ、企業1は、従業員4がカードを使った額を給与から控除して、従業員4に支払いを行う。給与から控除したデータは、資金需要対応サービス提供システムからダウンロードできることが好ましい。
【0099】
図14を用いて、従業員4が資金需要対応サービス提供システムを利用した場合の別の手数料徴収処理の方法を説明する。
従業員4が従業員端末40を用いて、所定の貸付額(前払い申請額)を受け取る手続を行う(フローf11)と、事業者サーバ20は、カードに貸付額をチャージする(フローf12)と貸付可能金額がその貸付額だけ増額する。
従業員4は、カードを利用する(フローf13)と、カードの残高(貸付可能金額)から、カードの利用額(購入額)とカードの利用の手数料とを減算する(フローf14)。
事業者サーバ20は、従業員4に貸し付けた貸付額を締日で集計し、サービス提供事業者2は、企業1に対して、従業員4による貸付チャージの利用実績に基づき作成される請求データに基づいて請求し(フローf15)、企業1は、請求データに基づいて立替資金30bを支払う。
企業1は、従業員の給与締め日に従業員4が貸付額を給与から控除して、従業員4に支払う(フローf16)。
すなわち、従業員4が資金需要対応サービス提供システムを利用すると、事業者サーバ20が、従業員4が入力した貸付金額をカードにチャージし(入力金額に対して満額のチャージ)、貸付可能金額が増額する。しかし、従業員4がカードを利用するごとに、事業者サーバ20はカードのチャージから手数料を徴収する(貸付可能金額を減額する)。したがって、利用者4は、カードチャージの額(貸付可能金額)のすべてを使うことはできない。なお、カードを利用するごとに、カードのチャージから手数料が徴収されるとして説明したが、徴収される回数に制限を設けてもよい。具体的には、例えば、給料日(又は締日)を経過してから最初の回のみ徴収してもよいし、3回目以降について使用する回毎に徴収してもよいし、回数に応じて、徴収する額を変化(使う毎に増額又は減額)させてもよい。
【0100】
図15を用いて、従業員4が資金需要対応サービス提供システムを利用した場合の別の手数料徴収処理の方法を説明する。
従業員4が従業員端末40を用いて、所定の貸付額(前払い申請額)を受け取る手続を行う(フローf21)と、事業者サーバ20は、カードに、貸付額から手数料を減額した額をチャージする(フローf22)。
従業員4は、カードを利用すると、カードの残高(貸付可能金額)から、カードの利用額(購入額)を減算する。
事業者サーバ20は、従業員4に貸し付けた貸付額を締日で集計し、サービス提供事業者2は、企業1に対して、従業員4による貸付チャージの利用実績に基づき作成される貸付額に基づいて請求する(フローf23)。
企業1は、従業員の給与締め日に従業員4が貸付額を給与から控除して、従業員4に支払う(フローf24)。
すなわち、従業員4が資金需要対応サービス提供システムを利用すると、カードには、貸付額から手数料を減額した額がチャージされる(貸付額の満額はチャージされない。)。したがって、カードを利用するごとに、カードのチャージ(貸付可能金額)から手数料が徴収されることはない。
なお、貸付額から手数料を減額した額をチャージされるとして説明したが、カードには、チャージ額と利用可能額とを保持するようにし、カードのチャージ額には満額を増額し、手数料を貸付可能金額から減算してもよい。
【0101】
図16を用いて、従業員4が資金需要対応サービス提供システムを利用した場合の別の手数料徴収処理の方法を説明する。
従業員4が従業員端末40を用いて、所定の貸付額(前払い申請額)を受け取る手続を行う(フローf31)と、事業者サーバ20は、カードに貸付額をチャージする(フローf32)。
従業員4は、カードを利用すると、カードの残高(貸付可能金額)から、カードの利用額(購入額)を減算する。
事業者サーバ20は、従業員4に貸し付けた貸付額を締日で集計し、サービス提供事業者2は、企業1に対して、従業員4による貸付額の利用実績に基づき作成される貸付額と、従業員4がカードを利用したことに伴う使用料とに基づいて請求し(フローf33)、企業1は、請求に基づいて支払う。
企業1は、従業員の給与締め日に従業員4が貸付額を給与から控除して、従業員4に支払う(フローf34)。
すなわち、従業員4が資金需要対応サービス提供システムを利用すると、事業者サーバ20が、従業員4が入力した貸付額をカードにチャージし(入力した貸付額に対して満額のチャージ)、貸付可能金額が増額する。他方、従業員4がカードを利用すると、事業者サーバ20は手数料を企業1に請求する。したがって、利用者4は、貸付可能金額のすべてを使うことができる。
なお、企業1に請求される手数料は、従業員4がカードを利用する回数に応じて算出してもよいし、請求の対象となる回数に制限を設けてもよい。具体的には、例えば、1回のみにしてもよいし、所定回数までにしてもよいし、所定回数(例えば、3回目)以降について使用する回数としてもよいし、回数に応じて、請求する額を変化(使う毎に増額又は減額)させてもよい。
【0102】
図17を用いて、従業員4が資金需要対応サービス提供システムを利用した場合の別の手数料徴収処理の方法を説明する。
従業員4が従業員端末40で所定の貸付額(給与の前払い)を受け取る手続を行う(フローf41)と、事業者サーバ20は、貸付額を、従業員4が指定する方法で、電子的価値情報の移転を行う(フローf42)と共に、貸付可能金額から手数料を減額する(フローf43)。
事業者サーバ20は、従業員4に貸し付けた貸付額(電子的価値情報)を締日で集計し、サービス提供事業者2は、企業1に対して、従業員4による貸付額(電子的価値情報)の利用実績に基づいて請求し(フローf44)、企業1は、請求に基づいて支払う。
企業1は、従業員の給与締め日に従業員4が貸付額の利用実績に基づき使用した額を給与から控除して、従業員4に支払う(フローf45)。
すなわち、従業員4が資金需要対応サービスを利用し、給与の前払いを受け取る際、手数料が徴収され、残った額が従業員の管理口座に振り込まれ、企業1は、従業員4が電子的価値情報を使った額を給与から控除して、従業員4に支払う。
なお、事業者サーバ20は、手数料を、従業員4が資金需要対応サービスを利用する毎に、請求してもよいし、締め日に一括して請求してもよい。また、利用回数に制限を設けてもよい。具体的には、例えば、給料日(又は締日)を経過してから最初の回のみ請求してもよいし、3回目以降について使用する回毎に請求してもよいし、回数に応じて、請求する額を変化(使う毎に増額又は減額)させてもよい。
【0103】
図18を用いて、従業員4が資金需要対応サービスを利用した場合の別の手数料徴収処理の方法を説明する。
従業員4が従業員端末40で所定の貸付額(給与の前払い)を受け取る手続を行う(フローf51)と、事業者サーバ20は、貸付額を、従業員4が指定する方法で、電子的価値情報の移転を行う(フローf52)。
従業員4が資金需要対応サービス提供システムを利用する(フローf13)と、貸付可能金額(電子的価値情報)から利用額(購入額)を減算する。
事業者サーバ20は、従業員4に貸し付けた貸付額を締日で集計し、サービス提供事業者2は、企業1に対して、従業員4による貸付額(電子的価値情報)の利用実績に基づき作成される貸付額と、従業員4が電子的価値情報を利用したことに伴う使用料とに基づいて請求し(フローf54)、企業1は、請求に基づいて支払う。
企業1は、従業員の給与締め日に従業員4が貸付額を給与から控除して、従業員4に支払う(フローf55)。
すなわち、従業員4が資金需要対応サービス提供システムを利用すると、事業者サーバ20が、従業員4が入力した貸付額を貸付可能金額に対応する電子的価値情報に加算する(入力した貸付額に対して満額の増額)。他方、従業員4が電子的価値情報を利用すると、事業者サーバ20は手数料を企業1に請求する。したがって、利用者4は、貸付可能金額のすべてを使うことができる。
なお、企業1に請求される手数料は、従業員4がカードを利用する回数に応じて算出してもよいし、請求の対象となる回数に制限を設けてもよい。具体的には、例えば、1回のみにしてもよいし、所定回数までにしてもよいし、所定回数(例えば、3回目)以降について使用する回数としてもよいし、回数に応じて、請求する額を変化(使う毎に増額又は減額)させてもよい。
【0104】
(集計期間)
図19に示すように、各企業によって給与日が異なる。そこで、資金需要対応サービス提供システムの集計期間を個別に設定してもよいし、企業に個別に応じた締め日(個別締日)又は全企業に対して1つの締め日(共通締日)を設定してもよい。この場合、それぞれの集計期間が経過した後、任意の時間を経て、サービス提供事業者2は、各企業へ請求する。
各企業への請求方法は、例えば、紙書類、電子請求書などであるが、これら以外の方法であってもよい。
【0105】
(企業の与信)
図20に示すように、サービス提供事業者2は、企業1に対して、与信の審査をしてもよい。
サービス提供事業者2は、企業から資金需要対応サービス提供システムの利用申し込みに際して、その企業の資本金、従業員数、資産情報、決算情報などの企業の与信に関する情報の提供を受ける。
サービス提供事業者2は、与信に関する情報に基づいて、その企業に対して、利用限度額の設定をし、又は、利用限度額がない設定をし、アカウントを発行する。
設定される利用限度額としては、企業全体で利用可能な貸付可能金額の枠、従業員毎に利用可能な貸付可能金額の枠、各従業員が前払い可能な、労働賃金に対する貸付可能金額の枠を挙げることができるがこれらに限定されない。
また、企業1の申込の方法及びアカウント発行としては、書面、電子メール、口頭などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0106】
図21に示すように、企業に対する貸付可能金額(限度額)は、企業の実績に応じて、変化させてもよい。すなわち、企業の、サービス提供事業者2に対する支払い実績に応じて、貸付可能金額(限度額)を変動させてもよい。
例えば、企業Aは、従業員100人であるが、資金需要対応サービス提供システムの利用実績が6か月と長いので、限度額が3000万円に設定されている。他方、企業Bは、利用実績が1か月と短いので、限度額が1000万円に設定されている。
企業Cは、与信に問題が生じた(請求書の支払い遅延が発生)ので、資金需要対応サービス提供システムの利用実績が6か月と長いが、限度額が1000万円に抑えられている。
すなわち、資金需要対応サービス提供システムの利用実績や、支払いの遅延、未払いなどの企業の与信によって、サービス提供事業者2が任意に、企業の利用限度額を定めることができる。また、未払いが続く場合など与信を大きく低くする事態が発生した場合は、資金需要対応サービス提供システムの利用の停止などを行うことが好ましい。
図22に示すように、複数の企業を管理する管理画面は、与信を把握できるように、企業名a、当月利用金額/残高b、継続月数c、従業員数d、等級(与信ランク)eなどが表示されており、企業名a、当月利用金額/残高b、継続月数c、従業員数dに基づいて、等級(与信ランク)eを設定する。
【0107】
資金需要対応サービス提供システム100によれば、選択情報が自動で行うことを選択している場合、貸付可能金額が増加したタイミングで、従業員に対する貸付可能金額の電子的価値情報のうち、所定の貸付可能金額増額分に対応する電子的価値情報を従業員の管理口座に移転する移転処理を行うオートチャージデータ出力部223を有し、オートチャージデータ出力部223は、増額情報が固定で行うことを指示している場合、所定の貸付可能金額増額分を、固定額が貸付可能金額の増額分より低い場合、固定額とし、増額分が固定額より低い場合、増額分とするので、給与の前払い可能枠の範囲内で、給与の前払いをすることができ、資金需要対応サービスを実現するために従業員側で銀行振込みにのみ依存することなくリアルタイムに利用することができる。
サービス提供事業者2が、資金立替を行うので、企業1は、立替資金を用意する必要がない。このため、企業1は、立替資金の負担を追うことなく、資金需要対応サービス提供システムを利用することができる。
【0108】
なお、貸付可能金額は、雇用条件で定められた給与金額と実労働時間により決定され、日々の労働時間は、従業員4が所属する企業1の勤怠サーバ11からCSV形式で自動的に受け渡されるようになっているため、企業担当者の負荷が大幅に軽減される。なお、日々の労働時間等の勤怠データは手動でアップロードしてもよい。
【0109】
また、本実施形態に係る資金需要対応サービス提供システム100によれば、貸付可能金額の自動チャージ(「自動」で電子的価値情報を移転する)が有効になっている場合、実労働時間が増えたタイミングで自動的にチャージすることができる。又、自動チャージが有効になっている場合、給与締め日の時点で利用されなかったチャージ分はリセットされ、利用した分だけ給与から控除された額が給与として従業員に支払われる。このため、企業1の経理担当者、及び利用者である従業員4の管理負荷が大幅に軽減される。又、自動チャージが無効(「手動」で立替資金の電子的価値情報を移転)になっている場合、貸付可能金額の範囲で従業員4の操作入力により手動でチャージすることが出来、この場合、従業員4の意思の下で手動チャージが可能になり、柔軟性の高い利用ができるため使い勝手が増す。
【0110】
(貸付資金需要対応サービス提供方法)
なお、本実施形態に係る、企業に所属する従業員に対して資金需要対応サービスを提供する資金需要対応サービス提供方法は、従業員の貸付実績金額と従業員に対する貸付限度金額とを管理する企業サーバと、従業員の勤怠データを管理する勤怠サーバと、従業員の電子的価値情報の管理口座を管理する事業者サーバとが、ネットワーク経由で接続され、事業者サーバは、企業サーバが管理する貸付限度金額と勤怠サーバが管理する勤怠データとに基づき、従業員に対する貸付可能金額を算出するステップと、管理口座の電子的価値情報のうち、算出された貸付可能金額の範囲で従業員に貸し付ける貸付金額に応じた電子的価値情報を管理口座に移転させるステップと、従業員に貸し付けた貸付金額を企業サーバに出力するステップと、を有し、企業サーバは、事業者サーバからの貸付金額を貸付実績金額に反映させ、貸付実績金額に応じて貸付限度金額を算出するステップを有する。
【0111】
本実施形態に係る資金需要対応サービス提供方法によれば、事業者サーバ20が、勤怠データに基づき従業員4に対する貸付可能金額を算出し、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報の移転処理を実行することにより、従業員4が、貸付を銀行振込みにのみ依存することなくリアルタイムに利用可能なビシネスモデルを実現することができる。
また、事業者サーバ20からの貸付金額を貸付実績金額に反映させ、貸付実績金額に応じて貸付限度金額を算出するので、企業側で従業員の貸付限度金額の引き上げや引き下げを行うことができる。
【0112】
(事業者サーバ)
また、事業者サーバ20は、例えば、
図4に示すように、企業1に所属する従業員4の勤怠管理を行う勤怠サーバ11と、事前に企業1から従業員4に対する貸付の立替資金の電子的価値情報の移転を自動又は手動で行うことを指示する選択情報と、選択情報が自動で行うことを指示している場合、移転処理の増額を予め決めた固定額とする固定で行うこと指示するか予め決めた変動率とする変動で行うことを指示する増額情報とを送信する従業員端末40と、がネットワークを経由して接続される。
【0113】
事業者サーバ20は、従業員の管理口座と企業からの立替資金とを管理し、立替資金を用いた資金需要対応サービスを提供する。本実施形態に係る事業者サーバ20によれば、事業者サーバ20は、貸付金額を貸付実績金額に反映させ、貸付実績金額に応じて貸付限度金額を算出するので、企業側で従業員の貸付限度金額の引き上げや引き下げを行うことができる。
【0114】
また、本実施形態に係るプログラムは、例えば、
図3に示すように、企業に所属する従業員の貸付実績金額と従業員に対する貸付限度金額とを管理する企業サーバと、従業員の勤怠データを管理する勤怠サーバと、が、ネットワーク経由で接続され、従業員に対して資金需要対応サービスを提供し、従業員の電子的価値情報の管理口座を管理する事業者サーバのプログラムである。そして、そのプログラムは、例えば、
図7のフローチャートに示すように、コンピュータ(事業者サーバ20)に、企業サーバが管理する貸付限度金額と勤怠サーバが管理する勤怠データとに基づき、従業員に対する貸付可能金額を算出する手順と、管理口座の電子的価値情報のうち、算出された貸付可能金額の範囲で従業員に貸し付ける貸付金額に応じた電子的価値情報を管理口座に移転させる手順と、従業員に貸し付けた貸付金額を企業サーバに出力する手順と、を実行させることを特徴とする。
【0115】
本実施形態に係るプログラムによれば、事業者サーバ20が、記憶部23のプログラム領域に記憶された本実施形態に係るプログラムを逐次読み出し実行することにより、従業員4が、貸付を銀行振込みにのみ依存することなくリアルタイムに利用することが可能となる。
【0116】
(第2実施形態の構成)
第2実施形態のビジネスモデルは、雇用側である企業1と、サービス提供事業者2と、カード会社3と、労働者側である従業員4と、銀行5により実現される。そして、サービス提供事業者2が、企業1から送信される従業員4の勤怠データに基づき従業員4に対する貸付可能金額を算出し、カード会社3に対し、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金30bの電子的価値情報の移転を指示する。これを受け、カード会社は、従業員4の管理口座30aに立替資金30bの電子的価値情報の移転処理を実行する。
【0117】
上記のビジネスモデルを実現するために、企業1は従業員4との間で雇用契約を締結しており、従業員4はサービス提供事業者2に対し資金需要対応サービス提供の申し込みを行っているものとする。また、カード会社3は、従業員4の管理口座30aと貸付の立替資金30bとを管理し、企業1は貸付の利用実績を控除した銀行口座50aへの給与振込みのために、銀行5との間で給与振込み利用契約を締結しているものとする。なお、ここでは、カード会社3が、管理口座30aと立替資金30bとを管理する場合を想定して説明するが、立替資金30bは、銀行5で管理する(立替資金50b)場合も想定される。また、企業1は、従業員4に対して個人情報使用許諾を得たうえ、貸付の立替資金を調達するカード会社3あるいは銀行5、又はサービス提供事業者2との間で、本ビジネスモデルの利用契約を締結しておく必要がある。
【0118】
本ビジネスモデルを実現するためのデータの流れについて説明すれば以下のようになる。
【0119】
図23に示すように、まず、従業員4は、雇用契約に基づき企業1に対し労務提供を行う(ステップa)。次に、企業1は、資金需要対応サービスを提供するサービス提供事業者2に対して従業員4の勤怠データを送信する(ステップb)。次に、サービス提供事業者2は、その勤怠データに基づき従業員4に対する貸付可能金額あるいはその枠を算出し、ここで算出した貸付可能金額が増えたタイミング(後述する自動チャージ)、あるいは従業員4により指定される任意のタイミング(後述する手動チャージ)で、カード会社3に対し、貸付するための立替資金の移転を申請する(ステップc)。このとき、申請を受けたカード会社3は、カード会社3において従業員4用に管理される管理口座30aへ立替資金の電子的価値情報の移転(以下、貸付チャージという)を実行する(ステップd)。
【0120】
なお、利用されずに残った貸付チャージ額は、毎月末にリセット(減算)される。そして、企業1は、従業員4による貸付チャージ額の利用実績に基づき作成される給与控除額をサービス提供事業者2から取得し(ステップe)、銀行5に対して従業員4の銀行口座50aへ利用した貸付額を控除した給与額の振込みを依頼し(ステップf)、銀行5は、その依頼に基づく振込み処理を実行する。
【0121】
なお、従業員4は、貸付を使用するために、カード会社3からの発注により印刷会社で製造されるカード40aを所持してもよい。カード40aは、カード会社以外で発行されるものも含まれる。カード40aは、クレジットカード、デビットカード、あるいは電子マネー等のプリペイドカードである。このカード40aは、カード会社3が管理する、企業1に所属する従業員4に対して割り当てられた管理口座30aとの間で、カード40aにユニークに割り当てられたカード番号、あるいは企業コードと従業員番号等の識別情報によって紐付けられている。このことにより、貸付の利用実績に基づく残額管理が行われる。したがって、管理口座30aとカード40aにチャージされる残額は常に同期している必要がある。
【0122】
なお、本ビジネスモデルを実現するうえでカード40aは必ずしも必須でなく、カード40aに対してユニークに付されるカード番号等の識別情報で代用してもよい。
【0123】
図24に示すように、本実施形態に係る資金需要対応サービス提供システム100は、企業1における従業員4の勤怠管理を行う勤怠サーバ11と、従業員4の管理口座30aと従業員4に対する貸付の立替資金30bとを管理するカード会社サーバ30と、その立替資金30bを用いた資金需要対応サービスを提供する事業者サーバ20aと、従業員4の銀行口座50aを管理する銀行サーバ50と、従業員4が所持する従業員端末40とが、IP(Internet Protocol)網等のネットワーク60経由で接続される。
なお、企業1には、給与会計処理のために企業1に所属する従業員4の従業員データを管理する企業サーバ10も設置されており、上記した勤怠サーバ11と同様、ネットワーク60に接続されている。カード会社サーバ30は、カード会社以外の場所に設置される場合も含まれる。
【0124】
なお、企業サーバ10と勤怠サーバ11、事業者サーバ20a、カード会社サーバ30、銀行サーバ50は、企業1、サービス提供事業者2、カード会社3、銀行5が、それぞれで管理運営するコンピュータシステム全体を含めるものとする。また、従業員端末40は、携帯電話、スマートホン、PC(Personal Computer)等、従業員4が所持する、ネットワーク60との接続環境を持つ端末をいう。
【0125】
上記したシステム構成において、事業者サーバ20aは、勤怠サーバ11から送信される従業員4の勤怠データに基づき、従業員4に対する貸付可能金額を算出し、カード会社サーバ30に対して、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30a(カード40a)に立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信する。カード会社サーバ30は、その電文を受信することにより、従業員4の管理口座30a(カード40a)に電子的価値情報の移転処理(貸付チャージ)を行う。
【0126】
事業者サーバ20aは、勤怠サーバ11から従業員4の勤怠データを受信したタイミングで、従業員4の雇用契約(雇用条件)に定められた所定時間単位当たりの給与と、従業員4の勤怠データに基づく実労働時間とに基づき貸付可能金額を算出し、カード会社サーバ30に、立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信してもよい。なお、支払い可能金額を算出するにあたり、雇用条件に時間単位当たりの給与が定められていない場合は、月給を日割りした金額が日時で増えるパターンや、例えば、固定額で月の半分勤務した時点で10万円までを支払い可能金額とするパターンも考えられる。
【0127】
事業者サーバ20aは、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を自動で行うことを指示する選択情報を受信していた場合(自動チャージ)、貸付可能金額が増加したタイミングで、カード会社サーバ30に立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を自動送信してもよい。一方、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を手動で行うことを指示する選択情報を受信していた場合(手動チャージ)、従業員端末40から移転の指示があったタイミングで、カード会社サーバ30に立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信してもよい。
【0128】
自動チャージが選択されていた場合、事業者サーバ20aは、移転された立替資金の電子的価値情報のうち、給与締日(毎月末)の時点で利用されなかった分の額をリセットし、利用した分の額を給与控除データとして生成してもよい。企業サーバ10は、事業者サーバ20aにより生成される給与控除データをダウンロードすることにより取得し、銀行サーバ50に対し、従業員4の銀行口座50aへ貸付額を控除した給与額の振込み処理を実行する。
【0129】
なお、本実施形態に係る資金需要対応サービス提供システム100は、IP網等のネットワーク60とは別の、図示省略したカード会社3のカード決済ネットワークも利用して上記したビジネスモデルを実現するものとする。このため、従業員4は、所持するカード40aにより、加盟店での買い物、提携ATM(Automatic Teller Machine)からの入出金が行なえる。なお、カード40aが、クレジットカード番号が付与されたデビットカードであればネットショッピングにも利用可能である。
【0130】
近年、カードの決済を容易にするため、カード決済に用いるカード端末の標準化が行われており、クレジット決済では、EMV(EuroPay International, MasterCard International and Visa International;登録商標)や国内アプリケーションなどの標準仕様が用いられ、銀行では全銀協仕様が制定されている。標準仕様の一例として、全国レベルでの決済用カード運営会社,流通企業及び金融機関等のサードパーティ(決済事業者),加盟店等をオンラインで接続し、クレジットカード及びキャッシュカード等のカードを用いた決済を行う汎用の決済ネットワークシステム、例えばCAFIS(Credit And Finance Information System:登録商標)が広く用いられている。
【0131】
また、他社との差別化を行うため、決済用カード運営会社が独自のサービスを行い集客する戦略に基づき、汎用の決済ネットワークではない、決済用カード運営会社毎のブランドの決済ネットワークが構築されている。例えば、JCB(ジェーシービー;登録商標)の場合はJCN(日本カードネットワーク;登録商標)、VISA(ビザインターナショナル;登録商標)の場合はVisaNet(ビザネット;登録商標)であり、これら決済ネットワークは、CAFISに代わる決済ネットワークとして利用されている。
【0132】
以下、
図25を参照しながら、
図24に示す本実施形態に係る資金需要対応サービス提供システム100の基本動作を説明する。なお、事業者サーバ20aとカード会社サーバ30とは、第1実施形態の事業者サーバ20に対応する。
【0133】
勤怠サーバ11が事業者サーバ20aに対し、従業員4の勤怠データを送信すると(ステップS11)、その勤怠データは、カード会社サーバ30へ転送される(ステップS12)。なお、従業員端末40は、事前に必要事項を入力して本ビジネスモデルを実現する資金需要対応サービス提供システム100の利用申し込みのための処理を実行済みとする。
【0134】
これを受けてカード会社3は、図示省略した印刷会社へ製造発注したカード40aを郵送等により引き渡す(ステップS13)。なお、本実施形態に係る資金需要対応サービス提供システム100において、カード40aは必須ではなく、最低限、カード会社サーバ30で管理することができて従業員と共有できるカード番号等の識別情報があればよい。
【0135】
次に、従業員4は、従業員端末40を操作することにより、郵送されたカード40aに同封されたログイン情報に基づきサービス提供事業者2のサイト(事業者サーバ20a)にログインする(ステップS14)。最初のログイン時に、従業員4は、従業員端末40を操作することにより、立替資金の電子的価値情報の移転を自動で行うか(自動チャージ)、あるいは手動で行うか(手動チャージ)を指示する選択情報を入力する。事業者サーバ20aは、この選択情報を受信することで、カード40aの利用を許可するカード有効化処理を実行し、カード会社サーバ30でも同様にカード40aの有効化処理を実行する(ステップS15)。ここで、有効化処理とは、管理口座30aとカード40aとを紐付ける処理をいう。
【0136】
以上の前処理を経て、事業者サーバ20aは、勤怠サーバ11から従業員4の勤怠データが、例えば、CSV(Comma Separated Value)形式で送信されると(ステップS16)、従業員4に対する貸付可能金額を算出し、カード会社サーバ30に対して、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報の移転(貸付チャージ)を指示する電文を送信する(ステップS17)。
【0137】
なお、貸付可能金額は、事業者サーバ20aが、勤怠サーバ11から勤怠データを受信したタイミングで、従業員4の雇用条件に定められた所定時間単位当たりの給与と、従業員4の勤怠データに基づく実労働時間とに基づき算出するものとする。例えば、時給1000円の雇用条件で8時間実労働し、貸付可能率を70%とした場合、給与は80000円で貸付可能金額は56000円になる。カード会社サーバ30は、事業者サーバ20aから貸付チャージを指示する電文を受信すると、従業員4の管理口座30aに電子的価値情報の移転処理を実行し、従業員が所持するカード40aに、管理口座30aと紐づいて管理される貸付チャージを行う(ステップS18)。
【0138】
なお、貸付チャージされた貸付額の利用は、ステップS14で、従業員4が事業者サーバ20aにログインしたときに入力される選択情報により管理される。すなわち、事業者サーバ20aは、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を「自動」で行うことを指示する選択情報を受信していた場合、貸付可能金額が所定額だけ増加したタイミングで、カード会社サーバ30に立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を自動送信する。一方、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を「手動」で行うことを指示する選択情報を受信していた場合、従業員端末40から移転の指示があったタイミングで、カード会社サーバ30に立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信する。
【0139】
図26に示すように、事業者サーバ20aは、通信部21と、処理部22と、記憶部23とが、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本で構成された双方向の入出力バス24経由で共通に接続されている。
【0140】
通信部21は、ネットワーク60と事業者サーバ20a(処理部22)との間の通信インタフェースを担う通信LSI(Large Scale Integration)であり、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)により、ネットワーク60に接続される企業サーバ10、カード会社サーバ30との間で、API(Application Program Interface)により連携されたファイル転送を行う。
【0141】
処理部22は、例えば、マイクロプロセッサが実装され、マイクロプロセッサに内蔵されるか、記憶部23の図示省略したプログラム領域に格納された本実施形態に係るプログラムにしたがい、企業サーバ10から送信される従業員4の勤怠データに基づき、従業員4に対する貸付可能金額を算出し、カード会社サーバ30に対して、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信する処理を、通信部21と記憶部23と連携しながら実行する。
【0142】
処理部22は、勤怠サーバ11から送信される従業員4の勤怠データに基づき、従業員4に対する貸付可能金額を算出し、カード会社サーバ30に対して、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信する処理手段としての機能を実行するために、勤怠データ取得部221と、算出部222と、オートチャージデータ出力部223と、控除データ生成部224と、をプログラム実行手段として有する。
【0143】
勤怠データ取得部221は、通信部21を介して勤怠サーバ11から対象となる従業員4の勤怠データをCSV形式で取得し、算出部222へ引き渡す。算出部222は、勤怠データを受信したタイミングで、従業員4の雇用条件に定められた所定時間単位当たりの給与と、従業員4の勤怠データに基づく実労働時間とに基づき貸付可能金額を算出してオートチャージデータ出力部223に引き渡す。オートチャージデータ出力部223は、通信部21を介してカード会社サーバ30に立替資金の電子的価値情報の移転(貸付チャージ)を指示する電文を送信する。
【0144】
なお、算出部222は、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を自動で行うことを指示する選択情報(自動チャージ)を受信していた場合、給与締日の時点で利用されなかった分をリセットする処理も実行し、さらに、控除データ生成部224が、貸付チャージされた額の中から従業員4により使用された額を給与控除データとして生成するための計算処理も実行する。
【0145】
オートチャージデータ出力部223は、事前に従業員端末40から自動チャージを行う旨を選択情報として受信していた場合、貸付可能金額が増加したタイミングで、カード会社サーバ30に立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を自動送信する。一方、手動チャージを行う旨を選択情報として受信していた場合、従業員端末40から移転の指示があったタイミングで、カード会社サーバ30に立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信する。
【0146】
控除データ生成部224は、移転された立替資金の電子的価値情報のうち、従業員が利用した分の額を給与控除データとしてCSV形式で生成する。企業サーバ10は、事業者サーバ20aから控除データ生成部224で生成された給与控除データ(CSV)を定期又は不定期に取得し、銀行サーバ50に対し、従業員4の銀行口座50aへ貸付額を控除した給与額の振込み処理の実行を要求する。
【0147】
記憶部23は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory),DRAM(Dynamic Random Access Memory),フラッシュRAM等の半導体記憶素子、あるいは光や磁気等の大容量記憶素子が実装され、上記した本実施形態に係るプログラムの他に、作業領域に、従業員データ231と、給与テーブル232と、チャージデータ233と、勤怠データ234とが割り当てられて記憶されている。
【0148】
図27(a)に示すように、従業員データ231は、少なくとも、本ビジネスモデルの利用契約を締結した企業1毎にユニークに付される「企業ID」と、その企業1と雇用契約を締結しており、かつ、事前に本ビジネスモデルの利用を申し込んだ従業員4毎にユニークに付される「従業員ID」と、カード会社サーバ30が管理する従業員の管理口座30aに紐づいて管理されるカード40a毎にユニークに付される「カードID」とをデータ項目として有する。
【0149】
図27(b)に示すように、給与テーブル232は、雇用契約に基づき企業担当者によって入力され転送される、少なくとも、「企業ID(identification)」と、「従業員ID」と、「時給/日給/月給」と、「給与額」とを、データ項目として有する。また、
図27(c)に示すように、チャージデータ(オートチャージデータ)233は、処理部22(オートチャージデータ出力部223、あるいは控除データ生成部224)によって生成され、少なくとも、「カードID」と、「貸付チャージの自動(オート)/手動の別」と、「チャージ金額(残額)」とをデータ項目として有する。また、
図27(d)に示すように、勤怠データ234は、企業担当者によって入力され転送される、少なくとも、「企業ID」と、「従業員ID」と、「労働日」、「労働時間」及び「労働月」の少なくとも1つとをデータ項目として有する。つまり、「企業ID」と、「従業員ID」と、「労働時間」とをデータ項目として有する場合もある。
【0150】
従業員データ231、給与テーブル232、オートチャージデータ233、勤怠データ234は、いずれも転送用にCSV形式で作成され、企業IDと従業員IDとにより紐付けられている。
【0151】
(実施形態の動作)
以下、
図26及び
図27に示す事業者サーバ20aの資金需要対応処理、及び資金需要対応集計処理について、それぞれ、
図28(a)(b)に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0152】
資金需要対応処理から説明する。
図28(a)において、事業者サーバ20aは、まず、処理部22が、企業サーバ10により生成されるCSV形式の給与テーブルの入力取り込みを行う(ステップS101)。続いて、勤怠データ取得部221が、勤怠サーバ11から通信部21を介してファイル転送によるCSV形式の勤怠データ234の取込みを行うと(ステップS102“YES”)、算出部222が、貸付可能金額の算出を行う(ステップS103)。貸付可能金額の算出は、勤怠サーバ11から勤怠データ234を受信したタイミングで記憶部23を参照し、給与テーブル232に記憶されている所定時間単位当たりの給与(時給/日給)と、従業員4の勤怠データ234にしたがう労働時間とに基づき算出され、算出された貸付可能金額をオートチャージデータ出力部223に引き渡す。
【0153】
このときオートチャージデータ出力部223は、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を「自動(自動チャージ)」で行うことを指示する選択情報を受信していた場合(ステップS104“自動”)、貸付可能金額が増加したタイミング(ステップS105“YES”)でオートチャージデータ233を生成し、記憶部23の所定の領域(オートチャージデータ233)に記憶すると共に、通信部21を介してカード会社サーバ30に立替資金の電子的価値情報の移転(貸付チャージ)を指示する電文を自動送信する(ステップS107)。カード会社サーバ30は、貸付チャージの電文を受信すると、カード会社により管理される従業員4の管理口座30aに電子的価値情報の移転処理を実行する。
【0154】
一方、事前に従業員端末40から立替資金の電子的価値情報の移転を「手動(手動チャージ)」で行うことを指示する選択情報を受信していた場合(ステップS104“手動”)、従業員端末40から移転の指示があったタイミングで(ステップS106“YES”)、通信部21を介してカード会社サーバ30に立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信する(ステップS107)。この場合もカード会社サーバ30は、貸付チャージの電文を受信すると、カード会社により管理される従業員4の管理口座30aに電子的価値情報の移転処理を実行する。
【0155】
次に、資金需要対応集計処理について説明する。
図28(b)において、給与締め日になると(ステップS201“YES”)、事業者サーバ20a(算出部222)は、手数料徴収処理の算出、及び、移転された立替資金の電子的価値情報のうち給与締め日の時点で利用されなかった分をリセットする処理を実行する(ステップS202)。続いて、控除データ生成部224は、算出部222から得られる従業員4の利用分の金額を給与控除データとして生成する(ステップS203)。そして、企業サーバ10は、事業者サーバ20a(控除データ生成部224)から、月末に控除データをダウンロードすることにより取得し、銀行サーバ50に対し、従業員4の銀行口座50aに使用した貸付を控除した給与額の振込み処理の実行を要求する。
【0156】
図29に、従業員端末40の画面遷移図が、
図30に、そのホーム画面とチャージ方式切り替え画面の画面構成の一例が示されている。
図29に示すように、従業員端末40のLCD(Liquid Crystal display)モニタには、ログイン画面、ホーム画面、あるいはログアウト画面が表示されている。
図30(a)に画面構成の一例を示す「ホーム画面」からは、手動チャージ画面、
図30(b)に画面構成の一例を示す「チャージ方式切替え画面」、本人口座(銀行口座50a)への送金画面、本人以外の口座(銀行口座50a)への送金依頼画面、チャージ履歴画面、カード利用明細画面への遷移が可能である。
【0157】
図30(a)に示すように、「ホーム画面」には、カード残高の他に、カードへチャージ、銀行送金、利用明細、口座管理のための各ボタンが割り付けられており、従業員4がこのボタンを選択(タップ)することにより、それぞれのボタンに応じたサービスである、カード40aへのチャージ、銀行への送金、利用明細の閲覧、口座管理が実行される。いずれかのボタンを押下することにより実行されるこれらサービス(アプリケーション)については後述する。
【0158】
また、
図30(b)に示すように、「チャージ方式切替え画面」では、自動/手動を切替えるチェックボタンが割り付けられている。従業員4が、初回ログイン時に従業員端末40を操作することによりいずれかを有効にして決定ボタンを押下することで、貸付可能金額が増加したタイミングで立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を自動送信する「オートチャージ」と、従業員4の指示があったタイミングで、立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信する「手動チャージ」の切替えが可能になる。ここで、いずれか選択されると、「チャージ方式切替え完了画面」が表示される(
図29参照)。
【0159】
なお、
図29において、「手動チャージ画面」を選択した場合、従業員端末40のLCDモニタに、貸付可能金額が表示され、従業員がその中からチャージ可能金額を入力すると、「手動チャージ確認画面」に遷移する。そして、従業員4の確認(図示省略したOKボタンのタップ)の下、「手動チャージ完了画面」が表示される。また、「本人口座への送金画面」を選択した場合、従業員4は、従業員端末40による、銀行と支店の名称、口座番号、送金金額の入力操作を要する。これら必要事項を入力すると、「本人口座への送金確認画面」に遷移し、従業員4の確認の下で「本人口座への送金完了画面」に遷移する。なお、予め従業員登録の際に口座情報が入力されていれば、その口座を選択すれば、「本人口座への送金確認画面」に遷移し、従業員4の確認の下で「本人口座への送金完了画面」に遷移する。
【0160】
なお、「本人以外の口座への送金画面」を選択した場合も同様、従業員4は、従業員端末40による、銀行と支店の名称、口座番号、送金金額の入力操作を要する。これら必要事項を入力すると、「本人以外の口座への送金確認画面」に遷移し、従業員4の確認の下で「本人以外の口座への送金完了画面」に遷移する。これら画面遷移は、事業者サーバ20a(処理部22)による制御の下、従業員端末40のGUI(Graphical User Interface)により実現される。
【0161】
図31に、従業員4が利用できるサービス(アプリケーション)の一例が示されている。
図31に示すように、本実施形態に係る資金需要対応サービス提供システム100によれば、カード会社3が管理する従業員の管理口座30aにより、その貸付可能金額をカード40aへチャージすることができ、そのカード40aから、本人名義の銀行口座への送金、他人名義の銀行口座への送金等が可能である。また、ATMでの入出金、及びカード40aでの買い物も可能になり、クレジットカード番号が付与されたカード40aであればネットショッピングにも利用可能である。なお、カード40aは、プリペイドカードに限らず、クレジットカード、交通機関で使用される電子マネー等でも代替が可能である。
【0162】
(実施形態の効果)
本実施形態に係る資金需要対応サービス提供システム100によれば、カード会社3が管理する従業員4の管理口座30aに紐づいた、プリペイドカード、クレジットカード、電子マネー等、カード40aにより、支払いを貸付可能金額から実行でき、本ビジネスモデルを実行するにあたり、労働者側である従業員4が、銀行振込みにのみ依存することなくリアルタイムに利用することができる。なお、カード40aは必須でなく、従業員4はカード番号のみで同じことを実現できる。
【0163】
なお、貸付可能金額は、雇用条件で定められた給与金額と実労働時間により決定され、日々の労働時間は、従業員4が所属する企業1の勤怠サーバ11からCSV形式で自動的に受け渡されるようになっているため、企業担当者の負荷が大幅に軽減される。なお、日々の労働時間等の勤怠データは手動でアップロードしてもよい。
【0164】
また、本実施形態に係る資金需要対応サービス提供システム100によれば、貸付可能金額の自動チャージ(「自動」で電子的価値情報を移転する)が有効になっている場合、実労働時間が増えたタイミングでカード40aに自動的にチャージすることができる。又、自動チャージが有効になっている場合、給与締め日の時点で利用されなかったチャージ分はリセットされ、利用した分だけ給与から控除された額が給与として従業員に支払われる。このため、企業1の経理担当者、及び利用者である従業員4の管理負荷が大幅に軽減される。又、自動チャージが無効(「手動」で立替資金の電子的価値情報を移転)になっている場合、貸付可能金額の範囲で従業員4の操作入力により手動でカード40aにチャージすることが出来、この場合、従業員4の意思の下で手動チャージが可能になり、柔軟性の高い利用ができるため使い勝手が増す。
【0165】
(貸付資金需要対応サービス提供方法)
なお、本実施形態に係る資金需要対応サービス提供方法は、カード会社サーバ30の決済ネットワークを使用して企業1に所属する従業員4の資金需要対応サービスを提供する資金需要対応サービス提供方法である。そして、その方法は、例えば、
図25に示すように、ネットワーク60経由で接続される勤怠サーバ11が、事業者サーバ20aに従業員4の勤怠データを送信するステップ(S11)と、事業者サーバ20aが、その勤怠データに基づき、従業員4に対する貸付可能金額を算出し、カード会社サーバ30に対し、算出された貸付可能金額の範囲でカード会社3が管理する従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信するステップ(S16,S17)と、カード会社サーバ30が、事業者サーバ20aからその電文を受信すると、従業員の管理口座30aに電子的価値情報の移転処理を実行するステップ(S18)と、を有する。
【0166】
本実施形態に係る資金需要対応サービス提供方法によれば、事業者サーバ20aが、勤怠データに基づき従業員4に対する貸付可能金額を算出し、カード会社サーバ30に対して算出された貸付可能金額の範囲でカード会社3が管理する従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信し、カード会社サーバ30が管理口座30aに電子的価値情報の移転処理を実行することにより、従業員4が、貸付を銀行振込みにのみ依存することなくリアルタイムに利用可能なビシネスモデルを実現することができる。
【0167】
(事業者サーバ)
また、本実施形態に係る事業者サーバ20aは、例えば、
図24に示すように、企業1に所属する従業員4の勤怠管理を行う勤怠サーバ11と、従業員4の管理口座30aと従業員4に対する貸付の立替資金とを管理するカード会社サーバ30とが、ネットワーク60経由で接続される、立替資金を用いた資金需要対応サービスを提供する事業者サーバである。そして、その事業者サーバ20aは、例えば、
図26に示すように、従業員4の勤怠データに基づき、従業員4に対する貸付可能金額を算出し、カード会社サーバ30に対して、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信する処理手段(処理部22)、を有する。
【0168】
本実施形態に係る事業者サーバ20aによれば、処理部22が、従業員4の勤怠データに基づき従業員4に対する貸付可能金額を算出し、カード会社サーバ30に対して算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報の移転を指示するため、従業員4が、貸付を銀行振込みにのみ依存することなくリアルタイムに利用することが可能な事業者サーバ20aを提供することができる。
【0169】
また、本実施形態に係るプログラムは、例えば、
図24に示すように、企業1に所属する従業員4の勤怠管理を行う勤怠サーバ11と、従業員4の管理口座30aと従業員4に対する貸付立替資金とを管理するカード会社サーバ30とが、ネットワーク60経由で接続される、立替資金を用いた資金需要対応サービスを提供する事業者サーバ20aのプログラムである。そして、そのプログラムは、例えば、
図28(a)のフローチャートに示すように、コンピュータ(事業者サーバ20a)に、勤怠サーバ11から送信される従業員4の勤怠データに基づき、従業員4に対する貸付可能金額を算出する手順(S103)と、カード会社サーバ30に対して、算出された貸付可能金額の範囲で従業員4の管理口座30aに立替資金の電子的価値情報の移転を指示する電文を送信する手順(S104〜S107)と、を実行させることを特徴とする。
【0170】
本実施形態に係るプログラムによれば、事業者サーバ20aが、記憶部23のプログラム領域に記憶された本実施形態に係るプログラムを逐次読み出し実行することにより、従業員4が、貸付を銀行振込みにのみ依存することなくリアルタイムに利用することが可能となる。
【0171】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0172】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。