特許第6249514号(P6249514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249514
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】筆圧検出モジュール及び電子ペン
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20171211BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20171211BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   G06F3/03 400A
   G06F3/041 600
   G06F3/046 B
【請求項の数】31
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-528396(P2017-528396)
(86)(22)【出願日】2016年7月5日
(86)【国際出願番号】JP2016069831
(87)【国際公開番号】WO2017010336
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2017年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-138316(P2015-138316)
(32)【優先日】2015年7月10日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】藤塚 広幸
(72)【発明者】
【氏名】金田 剛典
(72)【発明者】
【氏名】新井 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】二宮 健一
(72)【発明者】
【氏名】田中 航平
【審査官】 萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−206775(JP,A)
【文献】 特開2014−127009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03 − 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加された圧力に応じた電気情報を電極を通じて出力する感圧部と、
前記感圧部を保持すると共に、前記保持された前記感圧部と、前記感圧部から出力される前記電気情報に基づいて前記印加された圧力を検出する回路を有する回路基板とを電気的に接続するホルダーと、
を備え、
前記ホルダーは、前記感圧部を保持する保持部と、前記回路基板との係合部を備えると共に、前記ホルダーの表面上には前記保持部から前記係合部にまで亘る配線が形成されており、前記ホルダーと前記回路基板とが係合されたときに、前記感圧部の前記電極と前記回路基板とが、前記配線を介して電気的に接続される
ことを特徴とする筆圧検出モジュール。
【請求項2】
前記ホルダーは、樹脂による射出成型品に、前記配線が立体微細パターンとして形成されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項3】
前記ホルダーの表面上の前記配線には、導電性材料のメッキが施されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項4】
印加された圧力に応じた電気情報を電極を通じて出力する感圧部と、
前記感圧部を保持するための保持部と、前記保持部に保持された前記感圧部の前記電極と、前記感圧部から出力される前記電気情報に基づいて前記印加された圧力を検出する回路を有する回路基板とを電気的に接続するための導電性材料からなる端子部材を具備する接続部を有するホルダーと、
を備え、
前記ホルダーの前記保持部と前記接続部とは、前記保持部が前記圧力が印加される側となる状態で、前記圧力の印加方向に沿って並ぶように構成されると共に、
前記ホルダーの前記接続部は、前記圧力が印加される側とは反対側において、前記回路基板と係合する係合部を備え、前記端子部材は前記保持部から前記係合部にまで亘って形成されており、
前記ホルダーの前記接続部の前記係合部が前記回路基板と係合したときに、前記端子部材を介して前記感圧部と前記回路基板とが電気的に接続される
ことを特徴とする筆圧検出モジュール。
【請求項5】
前記ホルダーの前記接続部の前記係合部は、前記圧力が印加される側とは反対側において、前記圧力の印加方向と同方向に突出する突出部を有し、
前記突出部の本体部分は、樹脂からなると共に、前記回路基板の基板面と平行となる平面を有し、
前記端子部材の一方の端部は、前記保持部に保持された前記感圧部の前記電極と電気的に接続されるように形成されていると共に、
前記端子部材の他方の端部側は、前記突出部の本体部分の前記回路基板の基板面と平行となる平面側の表面に露出するように設けられており、
前記ホルダーと前記回路基板とが係合したときに、前記突出部の前記回路基板の基板面と平行となる面が前記回路基板の基板面に接触して、前記端子部材の前記他方の端部が前記回路基板に形成されている導体パターンに電気的に接続される
ことを特徴とする請求項4に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項6】
前記ホルダーは、樹脂による射出成型品に、前記端子部材が立体微細パターンとして形成されたものである
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項7】
前記端子部材には、導電性材料のメッキが施されている
ことを特徴とする請求項6に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項8】
前記突出部においては、前記端子部材の前記他方の端部側が、前記突出部の前記回路基板の基板面と平行となる面の、前記圧力の印加方向と直交する両端縁に形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項9】
前記接続部の係合部には、前記突出部の前記回路基板の基板面と平行となる面との間で前記回路基板を厚さ方向に挟む突起が形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項10】
前記突出部の本体部分は、前記回路基板の端縁が衝合する衝合面を有し、
前記突出部の前記衝合面に前記回路基板の端縁が衝合する状態で前記接続部と前記回路基板とが係合したときに、前記ホルダーの前記接続部の前記突出部の前記回路基板の基板面と平行となる面が前記回路基板の基板面に接触して、前記端子部材の前記他方の端部が前記回路基板に形成されている導体パターンに電気的に接続される
ことを特徴とする請求項5に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項11】
前記接続部には、前記突出部の前記回路基板の基板面と平行となる面との間で前記回路基板を厚さ方向に挟む突起が形成されていると共に、前記衝合面は、前記突出部と前記突起部との間に形成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項12】
前記感圧部を構成する感圧用部品は、誘電体と、導電体と、前記誘電体と前記導電体との間に介在される絶縁性材料からなるスペーサとを含む
ことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項13】
前記感圧部を構成する感圧用部品は、印加される圧力に応じて静電容量を変化させる半導体素子を含む
ことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項14】
前記感圧部の前記電極は、前記保持部に前記感圧部が保持されたときに、前記配線と電気的に接続される
ことを特徴とする請求項に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項15】
前記感圧部の前記電極は、前記保持部に前記感圧部が保持されたときに、前記端子部材の前記一方の端部と電気的に接続される
ことを特徴とする請求項5に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項16】
圧力伝達部材を前記圧力の印加方向に摺動可能に保持すると共に、前記ホルダーの前記保持部と係合する係合部を備える係合部材を備え、
前記係合部材を前記ホルダーの前記保持部と係合させることで、前記圧力伝達部材が前記感圧部に対して前記圧力を伝達可能とする状態で、前記感圧部が前記保持部に保持される
ことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の筆圧検出モジュール。
【請求項17】
芯体と、
前記芯体の先端に印加される圧力を筆圧として検出する筆圧検出モジュールと、
前記筆圧検出モジュールで検出された前記筆圧に応じた信号を生成するための回路素子が配置されている回路基板と、
前記筆圧検出モジュールと、前記回路基板を保持するための第1のホルダーと、
を有し、筒状の筐体の中空部内に、前記芯体と、前記筆圧検出モジュールと、前記回路基板とが、軸心方向に順次に配列される電子ペンであって、
前記筆圧検出モジュールは、
印加された圧力に応じた電気情報を電極を通じて出力する感圧部と、
前記感圧部を保持すると共に、前記保持された前記感圧部と、前記感圧部から出力される前記電気情報に基づいて前記印加された圧力を検出する回路を有する回路基板とを電気的に接続する第2のホルダーと、
を備え、
前記第2のホルダーは、前記感圧部を保持する保持部と、前記回路基板との係合部を備えると共に、前記第2のホルダーの表面上には前記保持部から前記係合部にまで亘る配線が形成されており、前記第2のホルダーと前記回路基板とが係合されたときに、前記感圧部の前記電極と前記回路基板とが、前記配線を介して電気的に接続される
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項18】
芯体と、
前記芯体の先端に印加される圧力を筆圧として検出する筆圧検出モジュールと、
前記筆圧検出モジュールで検出された前記筆圧に応じた信号を生成するための回路素子が配置されている回路基板と、
前記筆圧検出モジュールと、前記回路基板を保持するための第1のホルダーと、
を有し、筒状の筐体の中空部内に、前記芯体と、前記筆圧検出モジュールと、前記回路基板とが、軸心方向に順次に配列される電子ペンであって、
前記筆圧検出モジュールは、
印加された圧力に応じた電気情報を電極を通じて出力する感圧部と、
前記感圧部を保持するための保持部と、前記保持部に保持された前記感圧部の前記電極と、前記感圧部から出力される前記電気情報に基づいて前記印加された圧力を検出する回路を有する回路基板とを電気的に接続するための導電性材料からなる端子部材を具備する接続部を有する第2のホルダーと、
を備え、
前記第2のホルダーの前記保持部と前記接続部とは、前記保持部が前記圧力が印加される側となる状態で、前記圧力の印加方向に沿って並ぶように構成されると共に、
前記第2のホルダーの前記接続部は、前記圧力が印加される側とは反対側において、前記回路基板と係合する係合部を備え、前記端子部材は前記保持部から前記係合部にまで亘って形成されており、
前記第2のホルダーの前記接続部の前記係合部が前記回路基板と係合したときに、前記端子部材を介して前記感圧部と前記回路基板とが電気的に接続される
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項19】
前記第2のホルダーは、樹脂による射出成型品に、前記端子部材が立体微細パターンとして形成されたものである
ことを特徴とする請求項18に記載の電子ペン。
【請求項20】
前記第1のホルダーは、前記回路基板を載置する載置台を備えると共に、前記筆圧検出モジュールの前記第2のホルダーの接続部と嵌合する嵌合部を備え、
前記筆圧検出モジュールの前記第2のホルダーの接続部が、前記第1のホルダーの前記嵌合部に嵌合されることで、前記載置台に載置されている前記回路基板に形成された導体に、前記筆圧検出モジュールの前記接続部に形成された前記端子部材が電気的に接続される
ことを特徴とする請求項18に記載の電子ペン。
【請求項21】
前記第2のホルダーの前記接続部においては、前記端子部材の前記圧力が印加される側とは反対側の端部側が、前記接続部の前記回路基板の基板面と平行となる面の、前記圧力の印加方向と直交する両端縁に形成されており、
前記回路基板の前記基板面には、前記端子部材に対応して、前記圧力の印加方向に沿って延在する導体パターンが形成されており、
前記筆圧検出モジュールの前記第2のホルダーの接続部が、前記第1のホルダーの前記嵌合部に嵌合したときに、前記端子部材と、前記導体パターンとが対応して電気的に接続される
ことを特徴とする請求項20に記載の電子ペン。
【請求項22】
前記筆圧検出モジュールの前記接続部には、当該接続部が前記第1のホルダーの嵌合部に嵌合されたときに、前記接続部の前記回路基板の基板面と平行となる面との間で前記回路基板を厚さ方向に挟む突起が形成されている
ことを特徴とする請求項21に記載の電子ペン。
【請求項23】
前記筆圧検出モジュールの前記感圧部を構成する感圧用部品は、誘電体と、導電体と、前記誘電体と前記導電体との間に介在されるスペーサとを含む
ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の電子ペン。
【請求項24】
前記筆圧検出モジュールの前記感圧部を構成する感圧用部品は、印加される圧力に応じて静電容量を変化させる半導体素子を含む
ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の電子ペン。
【請求項25】
前記筆圧検出モジュールの前記感圧部の前記電極は、前記保持部に前記感圧部が保持されたときに、前記配線または前記端子部材と電気的に接続される
ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の電子ペン。
【請求項26】
前記第2のホルダーの前記接続部の前記係合部は、前記圧力が印加される側とは反対側において、前記圧力の印加方向と同方向に突出する突出部を有し、
前記突出部の本体部分は、前記回路基板の端縁が衝合する衝合面を有し、
前記突出部の前記衝合面に前記回路基板の端縁が衝合する状態で前記接続部と前記回路基板とが係合したときに、前記第2のホルダーの前記接続部の前記突出部の前記回路基板の基板面と平行となる面が前記回路基板の基板面に接触して、前記端子部材の前記圧力が印加される側とは反対側の端部が前記回路基板に形成されている導体パターンに電気的に接続される
ことを特徴とする請求項18に記載の電子ペン。
【請求項27】
前記接続部には、前記回路基板の基板面と平行となる面との間で前記回路基板を厚さ方向に挟む突起が形成されていると共に、前記衝合面は、前記回路基板の基板面と平行となる面と前記突起部との間に形成されている
ことを特徴とする請求項26に記載の電子ペン
【請求項28】
前記芯体と結合して前記芯体に印加される圧力を前記感圧部に伝達するための圧力伝達部材と、
前記第2のホルダーの前記保持部側と嵌合して、前記圧力伝達部材を、前記感圧部に対して前記圧力を伝達するように結合させる嵌合部材と、
を備え、前記嵌合部材を前記第2のホルダーの前記保持部側と嵌合させることで、前記圧力伝達部材が前記感圧部と結合した状態で、前記感圧部が前記保持部に保持される
ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の電子ペン。
【請求項29】
前記筒状の筐体において、前記筆圧検出モジュールの前記芯体側には、磁性体コアに巻回されたコイルが配され、前記芯体が前記磁性体コアに設けられている貫通孔を挿通することで、前記芯体に印加される圧力を前記筆圧検出モジュールに伝達するようにする
ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の電子ペン。
【請求項30】
前記コイルと電気的に接続されて、共振回路を構成するキャパシタが前記回路基板に形成されている
ことを特徴とする請求項29に記載の電子ペン。
【請求項31】
前記芯体は、導電性を有する部材で構成されている
ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の電子ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出装置と共に使用され、筆圧検出機能を有する電子ペンに関する。特に、この発明は、電子ペンに使用される筆圧検出モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペンは、ペン先に加わる筆圧(圧力)を伝達する芯体と、筆圧(圧力)を検出するための感圧部を含む筆圧検出モジュールと、感圧部で検出した筆圧に応じた電気的な出力信号を得るための筆圧検出回路を備える。
【0003】
一般的には、感圧部は、ペン先に加わる筆圧(圧力)を、例えば静電容量やインダクタンスなどの電気的な特性量(電気情報)の変化として捉える。このため、感圧部は、2個の電極を有し、筆圧検出モジュールは、この感圧部の2個の電極に電気的に接続されている2個の端子を備える。
【0004】
筆圧検出回路はプリント基板に配されており、筆圧検出モジュールは、2個の端子がプリント基板に例えば半田付けされることにより電気的に接続されて、筆圧検出回路に接続される。これにより、筆圧検出回路は、筆圧検出モジュールの感圧部で検出された筆圧に応じた電気的な特性量の変化量を検出し、電気的な出力信号を得ることができる。
【0005】
ところで、電子ペンのペン先に印加される筆圧は、非常に大きな圧力となる場合がある。例えば、ペン先に瞬間的に500g以上の力が常時・断続的に加わる場合がある。そのため、筆圧検出モジュールにおいては、
・感圧部の周辺は、筆圧の強い力に対する耐久性が必要とされている、
・感圧部の周辺を構成する部品には精度の高い部品が要求される、
・高圧力の中、感圧部との電気的な接続を確保する必要がある、
などの条件を満足することが重要となる。
【0006】
そして、筆圧検出モジュールを構成する部品にズレ・ブレがあると、
・筆圧検出モジュールで破損が生じる、
・筆圧値の正確な検出ができない、
・筆圧検出モジュールと筆圧検出回路との電気的な接続が切断されてしまう
などの問題が生じる。
【0007】
具体例を挙げて説明する。従来、この種の電子ペンとしては、電磁誘導方式の位置検出装置用のものがよく知られている。この電磁誘導方式の電子ペンは、フェライトコアに巻回されたコイルに対して、共振用キャパシタが接続されて構成されている共振回路を有している。そして、この電子ペンは、共振回路で得られた共振信号を位置検出装置に送信することにより位置検出装置の位置検出センサ上での位置を指示するようになっている。
【0008】
そして、この電磁誘導方式の電子ペンにおいては、芯体の先端部(ペン先)に印加された圧力を、共振回路の共振周波数の変化として、位置検出装置に伝達するように構成されている。この場合に、筆圧を検出する筆圧検出モジュールとしては、共振回路を構成するコイルのインダクタンスを筆圧に応じて変化させる感圧部を用いる方法や、共振回路を構成するキャパシタの静電容量を筆圧に応じて変化させる感圧部を用いる方法が知られている。
【0009】
図12は、電子ペンの共振回路を構成するキャパシタの静電容量を筆圧に応じて変化させる容量可変キャパシタ型の感圧部を備える筆圧検出モジュールの従来の構成例を示すものであり、特許文献1(特開平4−96212号公報)に記載されているものである。
【0010】
この図12は、この例の筆圧検出モジュールの構成例を説明するための断面図である。また、図13(A)及び(B)は、図12の例の筆圧検出モジュールの一部の部品を説明するための図である。
【0011】
図12の例の筆圧検出モジュール100は、電子ペンの芯体101に加えられた圧力(筆圧)に対応して静電容量を変化させる容量可変キャパシタを感圧部110として用いる。この例の筆圧検出モジュール100においては、図12に示すように、例えば樹脂からなるホルダー102内に、感圧部110が設けられると共に、この感圧部110に対して芯体101に印加される圧力(筆圧)を伝達する圧力伝達部材103が設けられる。
【0012】
ホルダー102は、第1のホルダー102aと第2のホルダー102bとが嵌合することで構成される。感圧部110は、第1の電極導体111と、誘電体112と、スペーサ113と、第2の電極導体114と、弾性部材115とにより容量可変キャパシタとして構成されている。
【0013】
誘電体112は、図13(A)に示すように、例えば略円板状をなしており、互いに対向する円形の一方の面112a及び他方の面112bを有する。そして、誘電体112の一方の面112a上に第1の電極導体111が形成されている。
【0014】
スペーサ113は絶縁性材料からなり、図13(B)に示すように、外径が誘電体112の径と同一とされているリング形状の薄い板状体113aの外径の周縁から、1個の突出部113bが半径方向の外方に突出するように形成された形状とされている。
【0015】
第2の電極導体114は導電性材料からなり、図13(C)に示すように、外径が誘電体112の径と同一とされている円板状の薄い板状体114aの周縁から、1個の突出部114bが半径方向の外方に突出するように形成された形状とされている。
【0016】
弾性部材115は、例えばゴムなどの弾性を有する材料からなり、図13(D)に示すように、外径が誘電体112の径と同一とされている円板状の薄い板状体115aの互いに180角間隔離れた周縁から、2個の突出部115b,115cが形成された形状とされている。
【0017】
図12に示すように、誘電体112は、第1のホルダー102a内に収納されていて、この誘電体112の一方の面112aに形成されている第1の電極導体111には、第1のホルダー102aから外部に導出されている第1の端子104が電気的に接続される。第1の端子104は、導電性材料例えば導電性金属で構成され、図13(E)に示すように、第1の電極導体111と接触することで電気的に接続される円板状の接触片104aと、この円板状の接触片104aの中心位置に植立されている棒状部104bとからなり、棒状部104bが、図12に示すように、第1のホルダー102aから外部に導出されている。
【0018】
そして、図12に示すように、誘電体112の他方の面112b側は、スペーサ113を介して第2の電極導体114が対向するように配されている。そして、第2の電極114のスペーサ113側とは反対側には、弾性部材115が重ねられるように配される。この場合に、スペーサ113の突出部113aは、弾性部材115の突出部115bと空間的に重なる位置に配置され、第2の電極導体114の突出部114aは、弾性部材115の突出部115cと重なる位置に配置される。
【0019】
そして、第2の電極114の突出部114aに、第1のホルダー102aから外部に導出されている第2の端子105が電気的に接続される。第2の端子105は、導電性材料、例えば導電性金属で構成され、図13(F)に示すように、第2の電極導体114の突出部114aと接触することで電気的に接続される小円板状の接触片105aと、この小円板状の接触片105aの中心位置に植立されている棒状部105bとからなり、棒状部105bが、図12に示すように、第1のホルダー102aから外部に導出されている。
【0020】
第2のホルダー102bには、圧力伝達部材103が、弾性部材115の板状体115aを軸心方向に押圧可能の状態で、かつ、当該第2のホルダー102bの軸心方向に移動可能の状態で配置されている。この圧力伝達部材103は、例えば砲弾型に形成されており、弾性部材115の板状体115aを押圧する側が曲面状端面103aとされている。そして、この圧力伝達部材103は、図12に示すように、芯体101のペン先側とは反対側の端部が嵌合される嵌合凹部103bを備える。
【0021】
そして、以上のように構成されている筆圧検出モジュール100の第1の端子104の棒状部104bと、第2の端子105の棒状部105bとが、プリント基板の導体パターンに半田付けされて、筆圧検出モジュール100が、当該プリント基板に配設されている筆圧検出回路に電気的に接続される。そして、筆圧検出モジュールの圧力伝達部材103の嵌合凹部103bに、芯体101が嵌合されることで、芯体101の先端に印加される筆圧が筆圧検出回路で検出される。
【0022】
すなわち、筆圧検出モジュール100においては、図12に示すように、芯体101のペン先側に圧力(筆圧)が加わっていない状態(初期状態)では、第2の電極導体114が、スペーサ113により誘電体112の第2の面部112bから物理的に離れており、第2の面部112bと接触していない。
【0023】
そして、芯体101のペン先側に圧力が加わると、その圧力が圧力伝達部材103を介して弾性部材115に伝達されて、圧力伝達部材103の曲面状端面103aにより弾性部材115が誘電体112側に押圧変位される。この弾性部材115の押圧変位に応じて第2の電極導体114と誘電体112の第2の面部112bとの間の空気層の厚さは、初期状態よりも薄くなる。さらに、芯体101のペン先側に加わる圧力が増加して、圧力伝達部材103の曲面状端面103aの押圧により、第2の電極導体114が誘電体112の第2の面部112bに接触し、その接触面積は、芯体101に印加される圧力に応じたものとなる。
【0024】
筆圧検出モジュール100の感圧部110の容量可変キャパシタの静電容量は、第1の電極導体114と第2の電極導体115との間の様子が、芯体101に加わる押圧力に応じて、以上のように変化するので、芯体101に加わる押圧力に応じて変化する。プリント基板に配されている筆圧検出回路は、この容量可変キャパシタの静電容量に基づいて、芯体101に印加される筆圧を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開平4−96212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
ところで、筆圧検出モジュールは、大きな力(筆圧)を受ける部品であるため、そのプリント基板への取り付け方、取付位置の精度によっては、筆圧検出モジュールの2個の端子の部分に大きなストレスがかかり、接触不良が生じることがある。
【0027】
ところが、上述したように、従来の筆圧検出モジュール100から導出している第1及び第2の端子104及び105は、金属片及び金属棒から構成されていた。そのため、筆圧検出モジュール100に、これら第1及び第2の端子104,105を取り付ける際の取付精度又は扱い方によっては、プリント基板に対する筆圧検出モジュール100の固定位置が、適正な所定の位置からずれた位置となってしまう場合があった。
【0028】
したがって、従来の筆圧検出モジュール100の場合には、第1及び第2の端子104及び105を、当該筆圧検出モジュール100に対して取り付ける際の取付精度が大きな課題であり、製造に熟練と最新の注意が必要であって手間がかかるという問題があった。
【0029】
また、従来の筆圧検出モジュール100は、第1及び第2の端子104及び105に導電性の金属部品を使用することで、高圧力に対する耐久性を高めると同時に導電性を確保していた。しかし、金属部品を含んだ複数の部品からなる筆圧検出モジュール100を組み上げるには工程が多くなり、組み上げた筆圧検出モジュール100全体の精度もばらつきが出てくるという問題があった。更に、筆圧検出モジュール100からの信号をプリント基板の筆圧検出回路に伝達するため、筆圧検出モジュール100の金属端子104及び105とプリント基板の導体パターンとを、半田付けにより、しっかりと取り付ける必要があった。
【0030】
しかも、近年の携帯端末の小型化に伴い、携帯端末で使用される電子ペンの細化も要求されている。そのため、筆圧検出モジュールの小型化が求められており、上記の筆圧検出モジュールの耐久性、精度、電気的な接続性は重要な問題となっていた。
【0031】
この発明は、以上の問題点に鑑み、部品の組み立て精度を容易に確保することができると共に、大きな筆圧の印加があっても、プリント基板との接続強度を維持することができるようにした筆圧検出モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記の課題を解決するために、この発明は、
印加された圧力に応じた電気情報を電極を通じて出力する感圧部と、
前記感圧部を保持すると共に、前記保持された前記感圧部と、前記感圧部から出力される前記電気情報に基づいて前記印加された圧力を検出する回路を有する回路基板とを電気的に接続するホルダーと、
を備え、
前記ホルダーは、前記感圧部を保持する保持部と、前記回路基板との係合部を備えると共に、前記ホルダーの表面上には前記保持部から前記係合部にまで亘る配線が形成されており、前記ホルダーと前記回路基板とが係合されたときに、前記感圧部の前記電極と前記回路基板とが、前記配線を介して電気的に接続される
ことを特徴とする筆圧検出モジュールを提供する。
【0033】
上述の構成の発明による筆圧検出モジュールにおいては、感圧部を保持する保持部と、回路基板と係合する係合部を有するホルダー部を備える。そして、ホルダーの表面上には保持部から係合部にまで亘る配線が形成されており、ホルダーと回路基板とが係合されたときに、感圧部の電極と回路基板とが、配線を介して電気的に接続される。
【0034】
したがって、この発明による筆圧検出モジュールによれば、感圧部をホルダーの保持部に収納して保持させ、ホルダーを回路基板と係合させることにより、感圧部の電極と回路基板との電気的な接続ができ、従来例のように、端子部材を、独立の金属部材として組み立てる必要がなく、筆圧検出モジュールにおける端子部材の取り付け精度は、高精度にすることが容易である。
【0035】
また、筆圧検出モジュールにおける感圧部の電極と回路基板との電気的な接続は、ホルダーに形成されている線路を介してなされるので、筆圧検出モジュールと、プリント基板との電気的な接続においても位置決めが容易に、且つ、高精度にできる。また、感圧部の電極と回路基板との電気的な接続を行う線路は、ホルダーの表面に形成されているので、筆圧の印加に対しても強度を確保することができる。
【0036】
さらに、筆圧検出モジュールのホルダーとプリント基板とが係合したときに、保持部に保持されている感圧部と回路基板とが電気的に接続されるようにされている。したがって、筆圧検出モジュールのホルダーに保持されている感圧部と回路基板との電気的な接続が、容易かつ高精度でなされる。
【0037】
また、この発明においては、ホルダーは、樹脂による射出成型品に、2個の端子部材が立体微細パターンとして形成されたものとするように構成することができる。
【0038】
このようにした場合には、2個の端子部材は、ホルダーに対して一体的に形成されていて、別部品として組み立てる必要がないので、従来例のように2個の端子部材についての取り付け精度を気にしながら組み立てる必要がなく、高精度の筆圧検出モジュールの組み立てが容易になる。
【発明の効果】
【0039】
この発明によれば、部品の組み立て精度を容易に確保することができると共に、大きな筆圧の印加があっても、プリント基板との接続強度を維持することができるようにした筆圧検出モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】この発明による電子ペンの実施形態の内部構成例を説明するための分解斜視図である。
図2】この発明による電子ペンの実施形態が用いられる電子機器の例を説明するための図である。
図3】この発明による筆圧検出モジュールの実施形態の構成例を説明するための分解斜視図である。
図4】この発明による筆圧検出モジュールの実施形態に用いる感圧用部品群を説明するための図である。
図5図3に示した実施形態の筆圧検出モジュールの各構成部品を組み立てた状態の斜視図である。
図6図3に示した実施形態の筆圧検出モジュールを基板ホルダーと嵌合させたときの嵌合部分を、プリント基板の基板面に垂直な上方から見た図である。
図7図3に示した実施形態の筆圧検出モジュールを基板ホルダーと嵌合させたときの嵌合部分を、プリント基板の基板面に垂直な裏側から見た図である。
図8】この発明による電子ペンの実施形態と共に使用される位置検出装置の回路構成例を示す図である。
図9】この発明による電子ペンの他の実施形態と共に使用される位置検出装置の回路構成例を示す図である。
図10】この発明による電子ペンのさらに他の実施形態の構成例を説明するための図である。
図11】この発明による電子ペンのさらに他の実施形態と共に使用される位置検出装置の回路構成例を示す図である。
図12】筆圧検出モジュールの従来の構成例を説明するための図である。
図13図12の従来の筆圧検出モジュールの一部の部品を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、この発明による筆圧検出モジュールの実施形態を、電子ペンの実施形態と共に、図を参照しながら説明する。先ず、電子ペンによる指示位置が、位置検出装置に対して電磁誘導方式で伝達される場合の実施形態について説明する。
【0042】
図2は、この実施形態の電子ペン1を用いる電子機器200の一例を示すものである。この例では、電子機器200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面200Dを備える高機能携帯電話端末であり、表示画面200Dの下部(裏側)に、電磁誘導方式の位置検出装置202を備えている。
【0043】
この例の電子機器200の筐体は、電子ペン1を収納する収納凹穴201を備えている。使用者は、必要に応じて、収納凹穴201に収納されている電子ペン1を、電子機器200から取り出して、表示画面200Dを入力面として位置指示操作を行う。
【0044】
電子機器200においては、表示画面200D上で、電子ペン1により位置指示操作がされると、表示画面200Dの裏側に設けられた位置検出装置202が、電子ペン1で操作された位置及び筆圧を検出し、電子機器200の位置検出装置202が備えるマイクロコンピュータが、表示画面200Dでの操作位置及び筆圧に応じた表示処理を施す。
【0045】
この実施形態の電子ペン1においては、例えば樹脂からなる筒状のケース(筐体)2の中空部内に、電子ペン1の複数個の部品が軸心方向に並べられて収納されている。そして、筒状のケースの一端側は先細形状にされると共に、その端部に開口(図2では図示を省略)が設けられ、その開口を通じて後述する芯体3の先端部32がペン先として露出するようにされている。そして、ケース2のペン先側とは反対側は、ケースキャップ2aが嵌合されて、閉塞されている。
【0046】
図1は、電子ペン1のケース2内に収納される部品群を、部品毎に並べた分解斜視図である。この実施形態では、ケース2の中心軸に直交する方向の外形形状(ケース2の横断面の輪郭形状に等しい)は、扁平形状とされている。そして、このケース2の内部の中空部も、その横断面形状がケース2の外形形状に応じた扁平形状とされており、ケース2内に収納される部品も中空部の扁平形状に対応した形状とされている。
【0047】
図1に示すように、ケース2の中空部内には、ペン先側から順に、軸心方向に、コイル4が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア5と、筆圧検出モジュール6と、基板ホルダー7とが配置される。基板ホルダー7の基板載置台部71には、プリント基板8が載置されて係止される。プリント基板8は、回路基板の一例である。
【0048】
フェライトコア5は、この例では、中心軸位置に、芯体3の芯体本体部31を挿通するために、芯体本体部31の径よりも若干大きい径の貫通孔5aを有する柱状形状を備える。このフェライトコア5は、この実施形態では、ケース2の中空部の横断面形状に対応した扁平の横断面形状を有し、ペン先側は、先細となるようにテーパ状に構成されている。
【0049】
そして、このフェライトコア5に巻回されているコイル4の一端4a及び他端4b(コイル4の巻き始め端及び巻き終わり端)は、ペン先側とは反対側において軸心方向に延伸されて、基板ホルダー7に載置されているプリント基板8に半田付けすることが可能なようにされている。
【0050】
筆圧検出モジュール6は、この実施形態では、後述する複数個の感圧用部品からなる感圧部61と、ホルダー62と、係合部材63とを備えている。ホルダー62は、絶縁性材料例えば樹脂からなり、感圧部61を保持する保持部621と、この保持部621に保持されている感圧部61が備える2個の電極を基板ホルダー7に載置されているプリント基板8と電気的に接続するための接続部622とを一体として備える。後述するように、ホルダー62の接続部622は、プリント基板8との係合部となる。
【0051】
係合部材63は、ホルダー62の保持部621と係合することで、感圧部61の複数個の感圧用部品を、ホルダー62の保持部621に保持させるようにする。係合部材63は、また、フェライトコア5を嵌合保持するための嵌合部も備える。係合部材63のフェライトコア5を嵌合保持する嵌合部には、フェライトコア5のテーパ部とは反対側の端部が嵌合されて、筆圧検出モジュール6と、コイル4が巻回されているフェライトコア5とが結合されるように構成されている。
【0052】
基板ホルダー7は、絶縁性材料例えば樹脂からなり、基板載置台部71と、筆圧検出モジュール6との嵌合部72とを備える。
【0053】
基板ホルダー7の基板載置台部71は、細長の矩形形状のプリント基板8の長辺方向を電子ペン1の軸心方向として載置するようにする載置面71aを備える。そして、基板載置台部71は、載置面71aのケースキャップ側の端部位置に、当該載置面71aとでプリント基板8のケースキャップ側の端部8aを挟持するようにする突部71b,71cを備える。また、基板載置台部71は、プリント基板8のペン先側の端部を係止させるために、載置面71aのペン先側の端部近傍において載置面71aから上方に突出する突部71d,71eを備える。
【0054】
一方、プリント基板8のペン先側の端部近傍においては、基板載置台部71の載置面71aの突部71d,71eに対応する位置に、突部71d,71eと係合するように切欠き部8b,8cが形成されている。そして、プリント基板8は、ケースキャップ側の端部8aが、基板載置台部71の突部71b,71cと載置面71aとで挟持されるように結合されると共に、切欠き部8b,8cが基板載置台部71の突部71d,71eと係合するように載置されることで、基板載置台部71に係止される。
【0055】
また、基板ホルダー7の嵌合部72は、この実施形態では、筆圧検出モジュール6のホルダー62の接続部622が挿入される中空部を有する筒状形状を有する。後述するように、ホルダー62の接続部622には、感圧部61の2個の電極に接続されている2個の端子部材が、プリント基板8に形成されている導体パターン81,82と接続するように形成されている。
【0056】
そして、後述するように、筆圧検出モジュール6のホルダー62の接続部622は、嵌合部72に挿入されると、基板載置台部71に載置されているプリント基板8を、その板厚方向に挟むように係合する。これにより、筆圧検出モジュール6に保持されている感圧部61の2個の電極と、プリント基板8の基板面8dに形成されている導体パターン81及び82とが、接続部622の2個の端子部材を通じて、電気的に接続される。後述するように、筆圧検出モジュール6のホルダー62の接続部622の2個の端子部材と、プリント基板8の導体パターン81,82とは、筆圧検出モジュール6と基板ホルダー7及びプリント基板8との嵌合結合により接触して電気的に接続される状態となるが、この実施形態では、電気的な接続をより強固にするために半田付けされる。
【0057】
なお、この実施形態の電子ペン1は、その指示位置を位置検出装置に伝達するために、フェライトコア5に巻回されているコイル4とキャパシタとからなる共振回路を用いるが、その共振回路を構成するキャパシタ83が、プリント基板8の基板面8dに形成されている。そして、この実施形態の筆圧検出モジュール6は、感圧部61として、筆圧に応じた静電容量を呈する容量可変キャパシタを用いる。電子ペン1は、この筆圧検出モジュール6の感圧部61の容量可変キャパシタを、前記共振回路に接続することで、共振回路の共振周波数を筆圧に応じたものとするようにする。電子ペン1に対応する位置検出装置202は、電子ペン1からの電磁結合信号の共振周波数の変化を検出することで、電子ペン1のペン先に印加されている筆圧を検出する機能を有する。上述の導体パターン81及び82は、筆圧検出モジュール6の感圧部61により構成される容量可変キャパシタを、共振回路に接続するための端子部となっている。
【0058】
以上のようにして、フェライトコア5が筆圧検出モジュール6の係合部材63に嵌合されて結合され、そして、筆圧検出モジュール6のホルダー62の接続部622が基板ホルダー7の嵌合部72を介してプリント基板8と結合される。これにより、コイル4が巻回されているフェライトコア5と、筆圧検出モジュール6と、プリント基板8が保持される基板ホルダー7とは、互いに結合されて、一つのモジュール(ペンモジュール部品)の構成となる。
【0059】
なお、この場合に、フェライトコア5に巻回されているコイル4の一端4a及び他端4bは、後述するように、筆圧検出モジュール6の外側を通って、プリント基板8の基板面8dとは反対側の面に延伸されて、当該基板面8dとは反対側に形成されている導体パターンと半田付けされる。この基板面8dとは反対側に形成されている導体パターンは、プリント基板8に形成されるスルーホールを通じて、基板面8dに形成されているキャパシタ83に並列に接続されて、共振回路を構成する。
【0060】
そして、上述したフェライトコア5と、筆圧検出モジュール6と、プリント基板8が保持される基板ホルダー7とが互いに結合されて一つのモジュールの構成とされたペンモジュール部品が、電子ペン1のケース2の中空部内に収納される。この場合に、ケース2の中空部のペン先側の開口部近傍には、フェライトコア5のテーパ部が位置するようにされるが、この実施形態では、フェライトコア5のテーパ部は保護キャップ9により覆われて保護されるようにされる。
【0061】
なお、この実施形態では、筆圧検出モジュール6の係合部材63の嵌合部にコイル4が巻回されたフェライトコア5が嵌合されることにより、筆圧検出モジュール6の軸心方向の中心線位置と、フェライトコア5の軸心方向の中心線位置とが一致するようになる。そして、基板ホルダー7の嵌合部72に筆圧検出モジュール6が嵌合されてプリント基板8に対して、筆圧検出モジュール6が結合されることにより、筆圧検出モジュール6は、基板ホルダー7及びプリント基板8に対して既定の位置で結合するようになる。また、ペンモジュール部品を、ケース2の中空部内に収納した状態では、筆圧検出モジュール6の軸心方向の中心線位置及びフェライトコア5の軸心方向の中心線位置が、当該ケース2の中空部の軸心方向の中心線位置と一致するように、基板ホルダー7がケースキャップ2aに結合されている。
【0062】
そして、芯体3の芯体本体部31は、ケース2の開口(図示は省略)及び保護キャップ9の貫通孔9a、更に、フェライトコア5の貫通孔5aを挿通されて、筆圧検出モジュール6の感圧部61に係合される。この場合に、芯体3は、先端部32に印加される圧力(筆圧)を、筆圧検出モジュール6の感圧部61に伝達することができるように、硬質の非導電性材料の例としての樹脂、例えばポリカーボネート、合成樹脂やABS(acrylonitrile−butadiene−styrene)樹脂等からなる。この芯体3は、電子ペン1に対して、挿脱可能とされている。
【0063】
[筆圧検出モジュールの実施形態の説明]
図3は、筆圧検出モジュール6の構成例を説明するための分解斜視図である。図4は、感圧用部品群を説明するための図である。また、図5は、図3に示した筆圧検出モジュール6の各構成部品を組み立てた状態の斜視図である。また、図6は、筆圧検出モジュール6を基板ホルダー7と嵌合させたときの嵌合部分を、プリント基板8の基板面8dに垂直な上方から見た図であり、図7は、逆に、プリント基板8の基板面8dに垂直な裏側から見た図である。
【0064】
感圧部61は、この実施形態では、図3及び図4に示すように、誘電体611と、スペーサ612と、導電性弾性体613とで構成されている。
【0065】
誘電体611は、図4(A)に示すように、例えば略円板状をなしており、互いに対向する円形の一方の面611a及び他方の面611bを有し、誘電体611の一方の面611a上に円形の導体層614が形成されている。この導体層614は、この例の感圧部61としての容量可変キャパシタの第1の電極を構成する。
【0066】
スペーサ612は絶縁性材料からなり、図4(B)に示すように、外径が誘電体611の径と同一とされているリング形状の薄い板状体の構成とされている。
【0067】
導電性弾性体613は、この例では、弾性ゴムで構成されている。この例の導電性弾性体613は、冒頭の従来例で説明した第2の電極導体と弾性部材とを兼用した構成とされており、図4(C)に示すように、外径が誘電体611の径と同一とされている円板状の薄い板状体613aの互いに180角間隔離れた周縁から、2個の突出部613b,613cが形成された形状とされている。スペーサ612は、この導電性弾性体613の円板状板状体613aに、例えば接着されている。
【0068】
そして、誘電体611の他方の面611b側に、スペーサ612を介して導電性弾性体613を重ねることで、この例の感圧部61としての容量可変キャパシタが構成される。この例の感圧部61としての容量可変キャパシタは、誘電体611の一方の面611aに形成されている導体層614からなる第1の電極と、導電性弾性体613で構成される第2の電極とを備える。
【0069】
筆圧検出モジュール6のホルダー62は、樹脂を用いた例えば射出成型品として、保持部621と接続部622とを一体に備える構成とされている。そして、この実施形態では、ホルダー62には、導電性の立体微細パターンとして、保持部621から接続部622にまでに亘って、2個の端子部材623及び624(理解を容易にするために、図3図5及び図6では、斜線を付して示す)が、筆圧が印加される方向に沿って、すなわち、電子ペン1の軸心方向に形成されている。この結果、端子部材623及び624は、ホルダー62に一体的に形成されている状態となる。
【0070】
ここで、2個の端子部材623及び624を、ホルダー62の表面に立体微細パターンとして形成する方法としては、例えばパナソニック社により開発されたMIPTEC(Micorscopic Integrated Processing Technology)を用いることができる。立体微細パターンとして形成された端子部材623及び624の表面には、接触により電気的な接続を容易にするために、ニッケルメッキ層が形成され、更に、その上に金メッキ層が形成されている。
【0071】
ホルダー62の保持部621は、誘電体611とスペーサ612と導電性弾性体613とが結合された感圧部61を収納する凹部621aを備えると共に、この凹部621aから、軸心方向に係合部材63側(芯体3側)に向かって突出する係合突部621b、621c、621d,621eを備える。凹部621aの底部には、端子部材624の一方の端部624aが露出して形成されている(図3の斜線部参照)。誘電体611は、一方の面611aに形成されている導体層614が凹部621aの底部の端子部材624の一方の端部624aに当接するように収納される。したがって、凹部621a内に誘電体611が収納保持される状態では、感圧部61の第1の電極としての導体層614と、端子部材624の一方の端部624aとが接触して電気的に接続される状態となる。
【0072】
また、ホルダー62の保持部621の係合突部621bと621cとの間、及び係合突部621dと621eとの間には、導電性弾性体613の突出部613b及び613cが衝合する端面が形成されている。そして、この実施形態では、係合突部621bと621cとの間の端面には、端子部材623の一方の端部623aが露出して形成されている(図3の斜線部参照)。したがって、凹部621a内に、導電性弾性体613が、誘電体611及びスペーサ612と共に収納保持される状態では、導電性弾性体613の突出部613bが、端子部材623の一方の端部623aと衝合することで、導電性弾性体613と端子部材623とが接触して電気的に接続される。
【0073】
こうして、この実施形態では、ホルダー62の保持部621に感圧部61を収納保持することにより、感圧部61の第1の電極及び第2の電極は、接続部622の2個の端子部材623及び624に自動的に電気的に接続される状態となる。
【0074】
筆圧検出モジュール6の係合部材63は、コイル4が巻回されたフェライトコア5と嵌合する嵌合部631と、ホルダー62の保持部との係合部632とを備える。嵌合部631は、図7に示すように、フェライトコア5の一部を嵌合収納する嵌合凹穴631aを備える。
【0075】
係合部材63の係合部632は、図示は省略するが、嵌合部631の嵌合凹穴631aと連通する軸心方向の貫通孔を備え、その貫通孔内に、感圧部61に筆圧を伝達するための筆圧伝達部材としての押圧部材615を、軸心方向に摺動可能に収納する。押圧部材615は、絶縁性材料例えば樹脂により構成されている。
【0076】
押圧部材615は、芯体3の芯体本体部31の端部が挿入嵌合される凹部615aを備えている。芯体3の芯体本体部31の端部は、押圧部材615の凹部615aに圧入嵌合されるが、引き抜くことも可能とされている。芯体3の先端に筆圧が印加されると、その筆圧が、この押圧部材615に伝達され、当該押圧部材615により、導電性弾性体613の円板状の板状体613aが軸心方向に筆圧に応じて押圧される。これにより、スペーサ612を介して離間されている導電性弾性体613と誘電体611とが接触し、その接触面積が筆圧に応じて変化する。この導電性弾性体613と誘電体611との接触面積に応じた静電容量が、感圧部61の第1の電極と第2の電極との間に得られる。
【0077】
係合部材63の係合部632には、また、ホルダー62の保持部621の係合突部621b及び621cと係合する係合突起632aと、係合突部621d及び621eと係合する係合突起632bとが形成されている。ホルダー62の保持部621の係合突部621b及び621cの先端には係合突起632aと係合する係合爪部621bt及び621ctが形成されており、また、係合突部621d及び621e先端には、係合突起632bと係合する係合爪部621dt及び621etが形成されている。
【0078】
そして、ホルダー62の保持部621に感圧部61を収納している状態において、ホルダー62に対して、係合部材63を軸心方向に結合させると、図5に示すように、両者が結合して、これにより、感圧部61がホルダー62の保持部621に保持されるようになる。このとき、ホルダー62の保持部621の係合突部621b及び621cの先端の係合爪部621bt及び621ctが係合部材63の係合突起632aと係合すると共に、係合突部621d及び621e先端の係合爪部621dt及び621etが係合突起632bと係合して、ホルダー62の保持部621に対して係合部材63が係合して、これにより、ホルダー62に対して係合部材63が係止して、両者が結合する状態となる。
【0079】
係合部材63がホルダー62に係合する状態では、保持部621において、前述したように、感圧部61の誘電体611の一方の端面の導体層614(第1の電極)が、端子部材624に電気的に接続されると共に、導電性弾性体613(第2の電極)の突出部613bが、端子部材623に電気的に接続されている。
【0080】
そして、ホルダー62の接続部622は、プリント基板8の基板面8dに対して平行な方向であって軸心方向(筆圧の印加方向と同方向)に突出する板状の突出部6221を備える。突出部6221は、プリント基板8の基板面8dと平行となる平面6221a(図5参照)を備える。この突出部6221の平面6221aは、筆圧検出モジュール6が基板ホルダー7と嵌合してプリント基板8と係合したときに、基板面8dと丁度接するように設けられている。
【0081】
2個の端子部材623及び624は、図3及び図5に示すように、この突出部6221においては、平面6221aの、短辺方向の両端縁(筆圧が印加される方向に直交する方向の端部)に、筆圧が印加される方向の長辺に沿って、互いに離間する状態で形成されている。そして、2個の端子部材623及び624は、少なくとも突出部6221の平面6221a側に露出するように形成されている。
【0082】
また、図3及び図5に示すように、接続部622には、板状の突出部6221と同方向に突出する突起部6222が形成されている。突起部6222は、突出部6221の前記平面6221aとの間でプリント基板8を板厚方向に丁度挟持するような位置関係で形成されている。この場合に、突起部6222を、その先端側になるほど、徐々に突出部6221側との間隔がわずかに狭くなるように形成して、突起部6222の弾性力により、プリント基板8を、常に突出部6221が変位させるように、突起部6222を構成してもよい。
【0083】
そして、この実施形態では、接続部622の突出部6221の根本と突起部6222の根本との間には、プリント基板8の長辺方向の端縁(圧力の印加方向の端縁)が衝合する衝合面6223(図5参照)が形成されている。
【0084】
したがって、筆圧検出モジュール6を基板ホルダー7と嵌合させたときには、突出部6221と突起部6222とによりプリント基板8の板厚方向が挟持される状態となると共に、プリント基板8の長辺方向の端縁(圧力の印加方向の端縁)は、接続部622の突出部6221と突起部6222との間の衝合面6223に衝合する状態となる。基板ホルダー7は、ケースキャップ2aにより、芯体3に印加される筆圧の印加方向には移動不可とされている。このため、このプリント基板8の長辺方向の端縁と接続部622の衝合面6223との衝合により、電子ペン1のケース2内においては、筆圧検出モジュール6は、軸心方向には移動しないようにされる。
【0085】
そして、この筆圧検出モジュール6と基板ホルダー7との嵌合状態では、接続部622とプリント基板8とが係合する状態となる。そして、この接続部622とプリント基板8とが係合する状態においては、図6に示すように、突出部6221の短辺方向の両端縁において、平面6221aの表面に露出するように形成されている2個の端子部材623および624が、プリント基板8の基板面8dに形成されている導体パターン81及び82と接触して、電気的に接続される状態となる。
【0086】
この実施形態では、プリント基板8に形成されている導体パターン81及び82のそれぞれは、図6に示すように、筆圧が印加される方向に沿って延在するように形成されている。筆圧検出モジュール6の2個の端子部材623及び624も、接続部622の突出部6221において、筆圧が印加される方向に沿って延在するように形成されている。したがって、2個の端子部材623および624と、導体パターン81及び82とは、確実に電気的に接続されるようになる。よって、半田付けをしなくても、2個の端子部材623および624と導体パターン81及び82との電気的な接続は可能となるが、この実施形態では、2個の端子部材623および624と、導体パターン81及び82とは半田付けされて、より強固に電気的に接続される。そして、この半田付けにより、筆圧検出モジュール6は基板ホルダー7に係止されたプリント基板8とが互い固定される。
【0087】
以上のようにして、この実施形態によれば、筆圧検出モジュール6を、プリント基板8が係止された基板ホルダー7に対して嵌合するだけで、筆圧検出モジュール6の2個の端子部材623および624が、プリント基板8の基板面8dに形成されている導体パターン81及び82と接触して電気的な接続がされる。すなわち、筆圧検出モジュール6の2個の端子部材623および624と、プリント基板8の導体パターン81及び82との電気的な接続についての位置合わせは、筆圧検出モジュール6を基板ホルダー7に嵌合するだけで自動的になされる。
【0088】
しかも、筆圧検出モジュール6を、プリント基板8が係止された基板ホルダー7に対して嵌合するだけで、上述したように、プリント基板8の長辺方向の端縁(圧力の印加方向の端縁)は、接続部622の突出部6221と突起部6222との間の端面6223に衝合する状態となるので、筆圧の印加を、筆圧検出モジュール6と基板ホルダー7とは、一体的に受けるようになり、筆圧の印加に対して、筆圧検出モジュール6とプリント基板8との電気的な接続部分が影響を受けることが無い。
【0089】
そして、筆圧検出モジュール6の係合部材63の嵌合部631の凹穴631a内には、図7に示すように、コイル4が巻回されたフェライトコア5が嵌合される。このように筆圧検出モジュール6にコイル4が巻回されたフェライトコア5が嵌合された状態で、筆圧検出モジュール6と基板ホルダー7とが嵌合されたときには、筆圧検出モジュール6に嵌合されたフェライトコア5に巻回されているコイル4の一端4a及び他端4bは、図7に示すように、基板ホルダー7の基板載置台部71の裏側に延長して配設されている状態となる。
【0090】
そして、プリント基板8の基板面8dとは反対側の面8eには、図7に示すように、コイルの一端4a及び他端4bが接続されるべき導体パターン84及び85が形成されている。この導体パターン84及び85は、基板ホルダー7の基板載置台部71に形成されている切欠き部71f及び71gにより、外部に露出している。コイルの一端4a及び他端4bは、露出している導体パターン84及び85に半田付けされる。この導体パターン84及び85は、図示を省略したスルーホールを通じて基板面8dに形成されているキャパシタ83の両端に接続されている。したがって、導体パターン84及び85に、コイル4の一端4a及び他端4bが半田付けされることにより、コイル4とキャパシタ83とにより並列共振回路が形成される。
【0091】
[位置検出装置202における電子ペン1の位置検出及び筆圧検出のための回路構成]
次に、上述の実施形態の電子ペン1を用いて指示位置の検出および筆圧の検出を行う位置検出装置における回路構成例について、図8を参照して説明する。図8は、この例の位置検出装置202の回路構成例を示すブロック図である。
【0092】
電子ペン1は、コイル4と、キャパシタ83と、筆圧検出モジュール6の感圧部61で構成される容量可変キャパシタ61Cとの並列回路からなる共振回路1Rを備える。この場合、筆圧検出モジュール6の感圧部61で構成される容量可変キャパシタの静電容量が、印加される筆圧に応じて変化するので、共振回路1Rの共振周波数が筆圧に応じて変化する。
【0093】
位置検出装置202では、電子ペン1の共振回路1Rから電磁結合により受信する信号が検出されるセンサ上の位置から、電子ペン1により指示されたセンサ上の位置を検出すると共に、電子ペン1の共振回路1Rから電磁結合により受信する信号の位相変化を検出することより共振周波数の変化を検出して、電子ペン1の芯体3に印加された筆圧を検出するようにする。
【0094】
位置検出装置202には、X軸方向ループコイル群211と、Y軸方向ループコイル群212とが積層されて位置検出コイル210が形成されている。また、位置検出装置202には、X軸方向ループコイル群211及びY軸方向ループコイル群212が接続される選択回路213が設けられている。この選択回路213は、2つのループコイル群211,212のうちの一のループコイルを順次選択する。
【0095】
さらに、位置検出装置202には、発振器231と、電流ドライバ232と、切り替え接続回路233と、受信アンプ234と、検波器235と、ローパスフィルタ236と、サンプルホールド回路237と、A/D変換回路238と、同期検波器239と、ローパスフィルタ240と、サンプルホールド回路241と、A/D変換回路242と、処理制御部243とが設けられている。処理制御部243は、マイクロコンピュータにより構成されている。
【0096】
発振器231は、周波数f0の交流信号を発生する。そして、発振器231は、発生した交流信号を、電流ドライバ232と同期検波器239に供給する。電流ドライバ232は、発振器231から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路233へ送出する。切り替え接続回路233は、処理制御部243からの制御により、選択回路213によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ232が、受信側端子Rには受信アンプ234が、それぞれ接続されている。
【0097】
選択回路213により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路213及び切り替え接続回路233を介して受信アンプ234に送られる。受信アンプ234は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器235及び同期検波器239へ送出する。
【0098】
検波器235は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、ローパスフィルタ236へ送出する。ローパスフィルタ236は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器235の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路237へ送出する。サンプルホールド回路237は、ローパスフィルタ236の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路238へ送出する。A/D変換回路238は、サンプルホールド回路237のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部243に出力する。
【0099】
一方、同期検波器239は、受信アンプ234の出力信号を発振器231からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号をローパスフィルタ240に送出する。このローパスフィルタ240は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器239の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路241に送出する。このサンプルホールド回路241は、ローパスフィルタ240の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路242へ送出する。A/D変換回路242は、サンプルホールド回路241のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部243に出力する。
【0100】
処理制御部243は、位置検出装置202の各部を制御する。すなわち、処理制御部243は、選択回路213におけるループコイルの選択、切り替え接続回路233の切り替え、サンプルホールド回路237、241のタイミングを制御する。処理制御部243は、A/D変換回路238、242からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群211及びY軸方向ループコイル群212から一定の送信継続時間をもって電波を送信させる。
【0101】
X軸方向ループコイル群211及びY軸方向ループコイル群212の各ループコイルには、電子ペン1から送信される電波によって誘導電圧が発生する。処理制御部243は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて電子ペン1のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理制御部243は、送信した電波と受信した電波との位相差に応じた信号のレベルに基づいて筆圧を検出する。
【0102】
このようにして、位置検出装置202では、接近した電子ペン1の位置を処理制御部243で検出することができる。しかも、受信した信号の位相(周波数偏移)を検出することにより、電子ペン1において、電子ペン1の芯体3に印加された筆圧を検出することができる。
【0103】
[実施形態の効果]
上述した実施形態の筆圧検出モジュール6によれば、2個の端子部材623および624が、基板ホルダーと嵌合する筆圧検出モジュール6のホルダー62の接続部622の表面に一体的に形成されている。このため、従来例のように2個の端子部材についての取り付け精度を気にしながら組み立てる必要がなく、高精度の筆圧検出モジュールの組み立てが容易になる。
【0104】
また、筆圧検出モジュール6のホルダー62を、プリント基板8が係止された基板ホルダー7に対して嵌合するだけで、筆圧検出モジュール6の2個の端子部材623および624が、プリント基板8の基板面8dに形成されている導体パターン81及び82と自動的に位置合わせされて接触して電気的な接続がされる。したがって、筆圧検出モジュール6とプリント基板8との組み立て及び電気的な接続が容易になる。
【0105】
しかも、筆圧検出モジュール6を、プリント基板8が係止された基板ホルダー7に対して嵌合するだけで、上述したように、プリント基板8の長辺方向の端縁(圧力の印加方向の端縁)は、筆圧検出モジュール6のホルダー62の接続部622の突出部6221と突起部6222との間の衝合面6223に衝合する状態となるので、筆圧検出モジュール6と基板ホルダー7とは、筆圧の印加を、一体的に受けるようになる。このため、筆圧の印加に対して、筆圧検出モジュール6とプリント基板8との電気的な接続部分が影響を受けることが無く、大きな筆圧の印加があっても、筆圧検出モジュール6の、プリント基板との接続強度を維持することができるという効果がある。
【0106】
[上述の実施形態の変形例]
なお、上述の例では、プリント基板8の端部は、接続部622の突出部6221と突起部6222とで挟持して、突出部6221と突起部6222との間の端面を衝合面6223とした。しかし、要は、接続部622の突出部6221に形成されている2個の端子部材623及び624とプリント基板8の導体パターン81,82とが電気的に接続されるように、筆圧検出モジュール6の接続部622とプリント基板8が係合するように構成されればよいので、筆圧検出モジュール6に、プリント基板8の長手方向の端縁が衝合する衝合面を形成する必要はない。例えば、筆圧検出モジュール6を、接続部622の突出部6221に形成されている2個の端子部材623及び624とプリント基板8の導体パターン81,82とが電気的に接続される係合状態となるように、基板ホルダー7に係止させるように構成してもよい。
【0107】
また、2個の端子部材623及び624は、突出部6221の両脇に形成するようにしたが、平面6223側に露出して形成されてプリント基板の導体パターンと接続するように構成されていればよいの、突出部の両脇ではなく、平面6223において、互いに離れた位置に形成されていてもよい。
【0108】
上述の実施形態の電子ペン1では、筆圧検出モジュール6の感圧部61で検出される筆圧に応じた静電容量変化を、共振回路の周波数変化として位置検出装置に送信するようにしたが、電子ペンからの筆圧情報の位置検出装置への伝達方法は、この例に限られるものではない。
【0109】
図9の例は、電子ペンによる指示位置の検出は、上述の実施形態と同様に、コイル4とキャパシタ83との共振回路からの信号を受信するセンサ上の位置を検出することで行うが、電子ペンの芯体に印加される筆圧は、電子ペンから位置検出装置にデジタル信号として伝送するようにする。
【0110】
この図9の例の位置検出装置203においては、図8に示した位置検出装置202と同様に、X軸方向ループコイル群211と、Y軸方向ループコイル群212とが積層された位置検出コイル210が形成されていると共に、2つのループコイル群211,212のうちの一のループコイルを順次選択する選択回路213も、同様に設けられている。そして、この図9の例の位置検出装置203においては、2つのループコイル群211,212の周囲に、この例の電子ペン1Aに電源を供給するための励磁コイル214が設けられている。
【0111】
図9の例の電子ペン1Aは、IC回路で構成される信号制御回路301を備えている。そして、インダクタンス素子としてのコイル4と、プリント基板8に配設されているキャパシタ83とにより共振回路1RAが構成されており、この共振回路1RAに並列に、スイッチ302が接続されている。このスイッチ302は、信号制御回路301によりオン・オフ制御されるように構成されている。この信号制御回路301によるスイッチ302のオン・オフ制御により、共振回路からの信号はASK(Amplitude Shift Keying)変調されて、位置検出装置203に供給されることになる。
【0112】
信号制御回路301は、コイル4とキャパシタ83にて構成される共振回路1RAにて位置検出装置203から電磁誘導により受信した交流信号を、ダイオード303及びキャパシタ304からなる整流回路(電源供給回路)305にて整流して得られる電源Vccにより動作するように構成されている。信号制御回路301は、共振回路1RAとはキャパシタ306を介して接続されており、共振回路1RAの動作状況をモニターしている。共振回路1RAの動作状況をモニターすることで、位置検出装置203の励磁コイル214との電磁結合状況、あるいは、この例では説明を省略するが、2つのループコイル群211,212を使用して位置検出装置203から送信された制御データなどの信号を信号制御回路301で検出し、所望の動作制御を行うことができるようになっている。
【0113】
更に、信号制御回路301には、筆圧検出モジュール6の感圧部61により構成される容量可変キャパシタ61Cが接続されており、信号制御回路301は、筆圧に応じた容量可変キャパシタ61Cの静電容量を検出することができるように構成されている。信号制御回路301は、容量可変キャパシタ61Cの静電容量の値から電子ペン1Aにおける筆圧を検出し、その検出した筆圧を、複数ビット例えば8ビットのディジタル信号に変換する。そして、信号制御回路301は、その筆圧に対応するディジタル信号により、スイッチ302を制御する。なお、コイル4と、感圧部61で構成される容量可変キャパシタの他は、全て、プリント基板8上に配設されている。
【0114】
なお、図9の例では、位置検出装置203のループコイル群211,212は電子ペン1Aの共振回路1RAからの電磁結合信号の受信にのみ用いられるものとして説明するが、電子ペン1Aとの間で電磁結合することで、励磁コイル214に代えて電子ペン1Aに備えられた信号制御回路301を駆動する電圧を生成するために用いることを排除するものではない。また、電子ペン1Aに備えられた信号制御回路301に対して、位置検出装置301から所定の制御データなどの信号を送信することを排除するものではない。
【0115】
この図9の例の位置検出装置203においては、励磁コイル214は、ドライブ回路252に接続されている。ドライブ回路252は、所定の周波数foで発振する発振回路251に接続されている。
【0116】
ドライブ回路252は、マイクロコンピュータで構成される処理制御部258により制御される。処理制御部258は、ドライブ回路252を制御して、発振回路251からの周波数foの発振信号の、励磁コイル214への供給を制御して、励磁コイル214からの電子ペン1Aへの信号送信を制御する。
【0117】
選択回路213は、処理制御部258により、前述した位置検出装置202と同様に選択制御されて一つのループコイルを選択する。この選択回路213により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、受信アンプ253にて増幅され、バンドパスフィルタ254に供給され、周波数foの成分のみが抽出される。バンドパスフィルタ254は、その抽出した成分を検波回路255に供給する。
【0118】
検波回路255は、周波数foの成分を検出し、その検出した周波数foの成分に応じた直流信号をサンプルホールド回路256に供給し、更にA/D変換回路257へ送出する。A/D変換回路257は、サンプルホールド回路256のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部258に出力する。
【0119】
そして、処理制御部258は、A/D変換回路257からのディジタル信号が所定のスレッショールド値を超えた値であるか否かを判定して、選択回路213で選択されているループコイルが電子ペン1Aで位置指示された位置のループコイルであるか否かを判定する。
【0120】
処理制御部258は、また、電子ペン1Aによる指示位置の検出とは別に、電子ペン1Aからの信号の断続を、数ビット例えば8ビットのディジタル信号として検出して、筆圧を検出するようにする。
【0121】
[電子ペンの他の実施形態]
以上は、電磁誘導方式の電子ペンの場合にこの発明を適用した場合である。しかし、この発明は、静電容量方式の電子ペンの例であるアクティブ静電ペンにも適用できる。以下に説明するアクティブ静電ペンの例の電子ペンにおいては、フェライトコアに巻回されたコイルは、アクティブ静電ペンが備える信号発信回路の電源を充電する充電回路の一部とされる。
【0122】
図10は、この例のアクティブ静電ペンの構成の電子ペン1Bの回路構成例を示すものである。このアクティブ静電ペンの構成の電子ペン1Bにおいては、芯体3Bは、導体、例えば導電性金属や導電性粉末を混入した硬質樹脂からなる電極芯の構成とされる。以下の説明では、芯体3Bを、電極芯3Bと称する。なお、図示は省略するが、この電子ペン1Bの筆圧検出モジュールは、上述の実施形態と同様に形成されていて感圧部61Bを備えており、コイル4Bが巻回されているフェライトコアと嵌合すると共に、基板ホルダーと嵌合して、基板ホルダーに係止されているプリント基板に形成されている電子回路(図10参照)に電気的に接続されている。
【0123】
この例では、プリント基板に形成されている電子回路は、図10に示すように、信号発信回路51と、この信号発信回路51を駆動するための駆動電圧(電源電圧)を発生する蓄電素子の例としての電気二重層キャパシタ52と、整流用ダイオード53と、電圧変換回路54とを含む回路構成を有する。信号発信回路51は、この例では発振回路で構成されている。
【0124】
電極芯3Bは、上述の実施形態の場合と同様にして、フェライトコアの貫通孔を挿通して、筆圧検出モジュールの押圧部材(圧力伝達部材)に嵌合され、この押圧部材を介して筆圧を感圧部61Bに伝達する。そして、電極芯3Bは、接続線55により、プリント基板の信号発信回路51と電気的に接続されている。この場合、電極芯3Bは、筆圧検出モジュールの押圧部材に直接に嵌合するのではなく、導電性ゴムなどの導電性弾性部材を介して押圧部材に嵌合するようにすると共に、導電性弾性部材を接続線55を介して信号発信回路51に電気的に接続するようにする構成とする。これにより、電極芯3Bを導電性弾性部材を介して押圧部材に嵌合することで、電極芯3Bを信号発信回路51と接続することができる。
【0125】
そして、筆圧検出モジュールの2個の端子部材623B及び624Bは、図10に示すように、プリント基板に形成されている信号発信回路51に電気的に接続されている。信号発信回路51を構成する発振回路は、筆圧検出モジュールの感圧部61Bの容量可変キャパシタ61BCの容量に応じて周波数が変化する信号を発生し、その発生した信号を電極芯3Bに供給する。
【0126】
この例の電子ペン1Bは、図示しない充電器に装着したときに、充電器が発生する交番磁界によりコイル4Bには誘導起電力が発生して、ダイオード53を介して電気二重層キャパシタ52を充電する。電圧変換回路54は、電気二重層キャパシタ52に蓄えられた電圧を一定の電圧に変換して信号発信回路51の電源として供給する。
【0127】
この例の静電方式スタイラスペンとしての電子ペン1Bが通常動作するとき(充電動作を行わないとき)は、コイル4Bは固定電位(この例では接地電位(GND))となるため、電極芯3Bの周囲に設けたシールド電極として作用する。なお、静電方式スタイラスペンが通常動作するときのコイル4Bの固定電位は、接地電位に限らず、電源のプラス側電位であっても良いし、電源のプラス側電位と接地電位との中間の電位であっても良い。
【0128】
信号発信回路(発振回路)51は、筆圧検出モジュールの感圧部61Bで構成される可変容量キャパシタ61BCの容量に応じて周波数が変化する信号を発生し、その発生した信号を電極芯3Bに供給する。信号発信回路51からの信号は、電極芯3Bよりその信号に基づく電界として放射される。信号発信回路51を構成する発振回路は、例えばコイルとキャパシタによる共振を利用したLC発振回路により構成される。この実施形態の電子ペン1Bの例の静電方式スタイラスペンの座標位置を検出する位置検出装置では、この信号の周波数より電極芯3Bに加えられた筆圧を求めることができる。
【0129】
図11は、静電方式スタイラスペンの構成である電子ペン1Bからの信号を受け、センサ上の位置を検出すると共に、筆圧を検出するようにする位置検出装置700を説明するためのブロック図である。
【0130】
この実施形態の位置検出装置700は、図11に示すように、センサ710と、このセンサ710に接続されるペン検出回路720とからなる。センサ710は、この例では、断面図は省略するが、下層側から順に、第1の導体群711、絶縁層(図示は省略)、第2の導体群712を積層して形成されたものである。第1の導体群711は、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体711Y、711Y、…、711Y(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、Y軸方向に配置したものである。
【0131】
また、第2の導体群712は、第1の導体711Y、711Y、…、711Yの延在方向に対して交差する方向、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数の第2の導体712X、712X、…、712X(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置したものである。
【0132】
このように、位置検出装置700のセンサ710では、第1の導体群711と第2の導体群712を交差させて形成したセンサパターンを用いて、電子ペン1Bが指示する位置を検出する構成を備えている。
【0133】
なお、以下の説明において、第1の導体711Y、711Y、…、711Yについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第1の導体711Yと称する。同様に、第2の導体712X、712X、…、712Xについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第2の導体712Xと称することとする。
【0134】
ペン検出回路720は、センサ710との入出力インターフェースとされる選択回路721と、増幅回路722と、バンドパスフィルタ723と、検波回路724と、サンプルホールド回路725と、AD(Analog to Digital)変換回路726と、制御回路727とからなる。
【0135】
選択回路721は、制御回路727からの制御信号に基づいて、第1の導体群711および第2の導体群712の中から1本の導体711Yまたは712Xを選択する。選択回路721により選択された導体は増幅回路722に接続され、電子ペン1Bからの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路722により増幅される。この増幅回路722の出力はバンドパスフィルタ723に供給されて、電子ペン1Bから送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
【0136】
バンドパスフィルタ723の出力信号は検波回路724によって検波される。この検波回路724の出力信号はサンプルホールド回路725に供給されて、制御回路727からのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路726によってデジタル値に変換される。AD変換回路726からのデジタルデータは制御回路727によって読み取られ、処理される。
【0137】
制御回路727は、内部のROMに格納されたプログラムによって、サンプルホールド回路725、AD変換回路726、および選択回路721に、それぞれ制御信号を送出するように動作する。そして、制御回路727は、AD変換回路726からのデジタルデータから、電子ペン1Bによって指示されたセンサ710上の位置座標を算出すると共に、電子ペン1Bの筆圧検出モジュールで検出された筆圧を検出するようにする。
【0138】
動作の流れとしては、制御回路727は、選択信号を選択回路721に供給し、第2の導体712Xのそれぞれを選択し、AD変換回路726から出力されるデータを信号レベルとして読み取る。
【0139】
第2の導体712Xのいずれかから所定値以上のレベルの信号が検出された場合には、制御回路727は、最も高い信号レベルが検出された第2の導体712Xの番号とその周辺の複数個の第2の導体712Xを記憶する。同様にして、制御回路727は、選択回路721を制御して、第1の導体711Yのうちの最も大きい信号レベルが検出された第1の導体711Yとその周辺の複数個の第1の導体711Yの番号を記憶する。
【0140】
そして、制御回路727は、以上のようにして記憶した、第2の導体712Xの番号及び第1の導体711Yの番号から、電子ペン1Bにより指示されたセンサ710上の位置を検出する。
【0141】
制御回路727は、また、AD変換回路726からの信号の周波数を検出し、その検出した周波数から、電子ペン1Bの筆圧検出モジュールで検出された筆圧値を検出する。すなわち、前述したように、電子ペン1Bの信号発信回路51を構成する発振回路の発振周波数は、筆圧検出モジュールの感圧部61Bで構成される可変容量キャパシタ61BCの静電容量に応じた周波数となっている。制御回路727は、例えば、電子ペン1Bの信号発信回路51を構成する発振回路の発振周波数と筆圧値との対応テーブルの情報を備えており、この対応テーブルの情報から、筆圧値を検出する。
【0142】
なお、上述の例では、電子ペン1Bは、筆圧検出モジュールの感圧部61Bで検出した筆圧を周波数に変換して電極芯3Bに供給するようにしたが、筆圧を対応させる信号属性としては周波数に限られるものではなく、信号の位相や信号の断続回数などに筆圧を対応させるようにしても良い。
【0143】
また、上述の例のアクティブ静電ペンの構成の電子ペン1Bにおいては、フェライトコアに巻回されたコイル4Bを、充電用のコイルとしたが、信号発信回路51の電源電圧の供給源として電池(バッテリー)を内蔵するように構成してもよい。その場合には、コイルを巻回したフェライトコアは不要となる。
【0144】
また、上述の例のアクティブ静電ペンの構成の電子ペン1Bにおいては、信号発信回路51は、発振回路のみの構成とし、筆圧をその発振周波数の変化として位置検出装置に伝送するようにしたが、信号発信回路を、発振回路と、その発振信号に対して所定の変調を行う回路とで構成し、筆圧情報を、例えば上述したASK信号などとして位置検出装置に伝送するようにしてもよい。
【0145】
[その他の実施形態又は変形例]
上述の実施形態では、筆圧検出モジュールの感圧部で構成される容量可変キャパシタは、上述の例のような複数の部品を組み合わせた機構的な構成を有するものに限られるものではなく、例えば特開2013−161307号公報に開示されているような筆圧に応じて静電容量を可変とする半導体素子を用いた1部品の構成とすることもできる。
【0146】
また、筆圧検出モジュールの感圧部は、上述の実施形態では、筆圧に応じて静電容量を可変する可変容量キャパシタを用いるようにしたが、共振回路の共振周波数を変化させる変化素子としてのインダクタンス値や抵抗値を可変するものであってもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0147】
1…電子ペン、2…ケース、3…芯体3…コイル、5…フェライトコア、6…筆圧検出モジュール、7…基板ホルダー、8…プリント基板、61…感圧部、62…ホルダー、63…係合部材、621…保持部、622…接続部、623,624…端子部材、81,82…導体パターン
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