(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサー固定手段が、前記吸収体の中央部を含めた広い領域に対応して配設され、前記裏面シートの非肌当接面上のセンサーの配置される領域全体を覆っている請求項2又は3に記載の吸収性物品。
前記印が前記裏面シートの肌当接面側に配された水分との接触により変色する有色のインジケーターによって形成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
前記センサーが目印を有し、該目印を、請求項1〜11のいずれか1項に記載の吸収性物品における前記印に合わせることで、前記センサーを前記吸収性物品に設置することができる、センサー及び吸収性物品のキット。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る吸収性物品の好ましい一実施形態として尿とりパッド(吸収性パッド)について、図面を参照しながら以下に詳述する。
【0012】
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側、肌当接面側、表面側または内側といい、これと反対側を非肌面側、非肌当接面側、裏面側または外側という。着用時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。この前端部と後端部とを結ぶ方向、つまり着用者の腹側部から排泄部対応領域を介して背側部に亘る方向を、吸収性物品の縦長方向ないし縦方向(Y方向)という。この縦方向と直交する方向を幅方向ないし横方向(X方向)という。また、吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚みという。
【0013】
図1には、本実施形態の大人用の尿とりパッド10が示されている。尿とりパッド10は、肌当接面側101に配された液透過性の表面シート1、非肌当接面側102に配された裏面シート2、及び前記両シートの間に介在配置された液保持性の吸収体5を備える。さらに肌当接面側には、表面シート1の両側に撥水性のサイドシート4,4が配されている。各サイドシート4は、弾性部材(図示せず)を伸長状態で挟持して防漏性の立体ギャザーを形成している。吸収体5は、親水性繊維と高吸水性ポリマーとを含有した混合積繊体を親水性の被覆シート54で覆ったものである(図示せず)。
【0014】
表面シート1は、肌触りが良く液透過性の部材からなり、例えば、親水性のエアスルー不織布からなる。裏面シート2は、吸収体5の非肌当接面側で液漏れを防ぐ観点から、液難透過性の部材からなり、例えば、液不透過性の多孔性フィルム等を用いて形成されたものである。また、ムレ防止の観点から透湿性を有することが好ましい。前記液難透過性とは、液を透過させにくい性質を意味し、防水性、撥水性及び液不透過性を含む。
【0015】
このようにして形成された尿とりパッド10は、縦方向(Y方向)と、該縦方向と直交する横方向(X方向)とを有する、縦長形状である。尿とりパッド10は、着用の際、表面シート1側を着用者の肌側に向けられる。そして、尿とりパッド10の縦方向を下腹部から臀部にかけて配し、その横方向を左右の足を繋ぐ方向に向けて配して着用される。
この装着を良好にする観点から、裏面シート2の非肌当接面側には、尿とりパッド10を外側(非肌当接面側)102から覆って人体に装着する外装部材との固定部22(以下、外装部材用固定部22ともいう。)を有していてもよい。前記外装部材としては、尿とりパッド10を覆い該尿とりパッド10を肌に固定することができるものであれば特に制限ない。例えば、おむつ、おむつカバー、ガードルやパンツ等などである。また外装部材用固定部22としては、使用後の引き剥がしができるものであれば特に制限なく、例えば、粘着剤や面ファスナ等である。
【0016】
本実施形態において、吸収体5を縦長方向に3等分し、着用者の腹側寄りに配される領域から順に、前方部F、中央部C、後方部Rと区分する(
図2参照)。この区分において、尿とりパッド10の肌当接面側で着用者の排泄部に対応する領域(排泄部対応領域3)は、前方部Fと中央部Cとの境界部分を跨ぐ領域にある(
図3参照)。
【0017】
図1及び2に示されるように、尿とりパッド10は、センサー7を裏面シート2側(尿とりパッド10の非肌当接面側102)に取り付けて使用される。センサー7は、吸収体5の縦方向に沿う縦長形状の面状のシート体である。センサー7は、基盤部71と複数のセンサー素子(電極部)72と縦方向に延びる複数の配線部75とを有する。複数のセンサー素子72は、基盤部71の一面上に離間して配列され、配線部75で縦方向に接続されている。このセンサー素子72の配置面を裏面シート2に向けてセンサー7を取り付ける。取り付けられたセンサー7が、排泄尿の拡散による尿とりパッド中の吸収体のインピーダンス変化領域を排泄尿の存在する部分に対応するセンサー素子72で検知することで排泄尿の拡散領域(面積)を検出する。その検知したデータは、配線部75を介し、これと電気的に接続された図示しない外部装置に送られる。該外部装置において、受信データに基づいて排泄時刻と排泄量とが算出される。
この排泄尿の拡散範囲のデータの取得のため、センサー7は、
図2に示されるように、尿とりパッド10の縦長方向(Y方向)に沿って広い範囲に配されている。これにより、排泄尿の拡散範囲だけでなく拡がる方向も把握し、尿とりパッド10全体での排泄量をより精度よく測定することができる。その結果、時系列的な排尿量の変化が把握できる。また、センサー7とともに要介護者の姿勢を把握する姿勢センサーを併用してもよい。
なお、
図2に示したセンサー7には、幅方向の中央に縦方向に延在する貫通孔73がある。この貫通孔73が配置された領域は、尿とりパッドを人体に装着したときに股下に配される部分である。この配置により、人体の両大腿部から内方への圧力に対しセンサーが柔軟に変形できる。貫通孔73の配設は任意である。
【0018】
このようにセンサー7は、吸収体5に対し広い範囲に取り付けられることが好ましい(
図3(A)参照)。特に、尿の濡れ拡がりを検知する観点から、センサー7は、その幅中央位置を吸収体5の縦方向に沿う幅方向中心線Lに合わせ左右対称に配置されることがさらに好ましい。また、センサー7が如何なる大きさで如何なる形状であっても、少なくとも、排泄部対応領域3を覆い縦方向に沿う幅方向中心線Lに沿って左右対称に配置されることが好ましい。
また、センサー7の縦方向の長さが吸収体5のものよりも短い場合でも、少なくとも吸収体5の縦長方向(Y方向)の8割以上を占める領域に配されることがより好ましい(
図3(B)参照)。この場合、着用者の排泄部に対応する領域(排泄部対応領域3)が含まれるように配されることがさらに好ましい(
図3(B)参照)。特に、寝たきりの被介護者などの場合は、尿が排泄部対応領域3から後方部Rに向かって拡散するため、センサー7は排泄部対応領域3を含み、後方部R寄りに配されることがより一層好ましい(
図3(C)参照)。
なお、
図3(A)〜(C)の裏面シート側(非肌当接面側)からみた平面図においては、センサー7と吸収体5との配置関係の理解のため、センサー7の輪郭のみを実線で示した。また縦方向に沿う幅方向中心線L及び幅方向に沿う縦方向中心線Mを一点鎖線で示し、排泄部対応領域を二点鎖線で示した(以下、
図4〜12においても同様に示した。)。
【0019】
センサー7の尿とりパッド10の裏面シート2への取り付け手段、すなわちセンサー固定手段としては、引き剥がし可能な固定手段であれば特に制限なく用いられる。例えば、ホットメルト型等の粘着剤や両面テープ、面ファスナなどが挙げられ、特に両面テープは貼り直しがしやすい点で好ましい。このホットメルト粘着剤は、この種の物品に用いられる材料を用いることができる。塗布方法としては、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターン塗工などこの種の物品に用いられる方法を採用できる。
また、このセンサー固定手段は、センサー7側にあっても裏面シート2側にあってもよいが、センサー7の繰り返し使用を考慮すれば、裏面シート2側にあることが好ましい。この具体的な実施態様については、
図7−1及び
図7−2を参照しながら後述する。
【0020】
前述の好ましい領域にセンサー7を適切に誘導するべく、尿とりパッド10には、センサー7が少なくとも幅方向で常に適正配置される領域を想起させる印8が配され、裏面シート2側から視認可能とされている(例えば後述の実施態様(
図4〜6及び8など参照))。特に、印8はセンサー7が平面方向で常に適正配置される領域を想起させることが好ましい。
【0021】
この印8によって想起される領域は、センサー7を少なくとも幅方向で常に適正な配置位置に誘導できる領域であれば、センサー7の大きさ(
図3(A)及び(B)参照)に一致する大きさに限らず、その一部を示す大きさであってもよい。
前述の好ましい領域の観点から、少なくとも、尿とりパッド10の縦方向に沿う幅方向中心線Lとこれを中心とする左右対称の配置幅を示す印8があればよい。これにより、幅方向中心線Lの延在方向とともに、センサー7を少なくとも幅方向で常に適正な配置位置に誘導できる領域が想起される。
さらに想起される領域の尿とりパッド10の幅方向(X方向)に沿う横線Wと尿とりパッド10の縦方向(Y方向)に沿う縦線Sとによる印8がより好ましい。この印8によって、左右対称の横線Wと延在方向を示す縦線Sとからなる四角形が想起される。特に腹側寄りに配されるよう、吸収体5の前方部Fにおいて、センサー7の端部の配置位置が示されることが好ましい。また、排泄部対応領域3を含む縦方向の所定長さが示されることがより好ましい。この領域が想起されることで、これを視認した人がセンサー7の配置領域を認識し、如何なる煩雑な取り付け環境にあっても、これを頼りにセンサー7を常に素早く適切配置することができる。
【0022】
印8は、裏面シート2側から視認可能であれば、裏面シート2の非肌当接面側に配設されてもよく、肌当接面側に配設されてもよく、他の部材に配設されてもよい。その配設方法は、例えば、裏面シート2等に印刷する方法、有色の部材を裏面シート側から視認できるように配置する方法、顔料や染料等の着色剤をホットメルトに含有させる方法などがある。前記印刷方法としては、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等のこの種の物品に用いられる方法を採用できる。この場合の「色」とは、有彩色のみならず、グレーや黒などの無彩色を含む意味である。
【0023】
有色の部材の配置としては、例えば、大きさの異なる2層吸収体の間に色つきの親水性シートを配置する方法(この具体的な実施態様は、
図8−1及び
図8−2を参照して後述する。)や、裏面シート2の肌当接面側や被覆シート54(図示せず)に水分との接触により変色する有色のインジケーター(図示せず)を塗布する方法などがある。また、前記着色剤を含有するホットメルトとしては、例えば、センサー7を裏面シート2に固定するためのセンサー固定用粘着剤15(この具体的な実施態様は、
図9を参照して後述する。)、吸収体5と裏面シート2とを接合固定するホットメルト接着剤などが挙げられる。
【0024】
前記インジケーターは、排尿等の水分に反応するものを用いることができ、例えば、pHの変化によって色が変化する呈色指示薬を含む親水性組成物からなるものが挙げられる。センサー7が検知できないほど少量の排泄があった場合でも、姿勢によって横や背中側から漏れることがあるが、インジケーターによって印8を表示することで、どの部分まで排泄物が到達しているかがわかり、漏れを防止できる。また、インジケーターによる印8がセンサー7の外側に配置されることで、尿とりパッド10のセンサー7が存在しない部位に尿が到達したことがわかり、尿とりパッド10から排泄物が漏れ、センサーを汚す前に、尿とりパッド10を交換することができる。
【0025】
印8の表示形態としては、上記の領域が想起されるものであれば種々の形態を採用できる。例えば、領域の輪郭及びこれに囲まれる領域を面で表示する形態、前記領域の輪郭を線や点で表示する形態、該輪郭の一部を線や点で表示する形態などがある。少なくとも、尿とりパッド10の長手方向に延在する幅方向中心線を認識できる2点の印があることが好ましい。また、前述した四角形の横線Wの幅と縦線Sの長さが認識できる3点の印があることがより好ましい(この実施態様については、
図4〜6を参照して後述する。)。ここで、線や面は点の集合体であり、例えば
図6−1(C)では、複数かつ無数の点が配されることによって横線を示す印85が形成されている。前記3点の印については、例えば、1点の印を軸に、横方向及び縦方向に離間配置される2点との組み合わせが挙げられる。言い換えると、2点は、吸収体5の縦方向に沿う幅方向中心線Lに対し線対称に配し、残りの1点を前記2点のうちの一方と縦方向で一致し、かつ、幅方向で不一致となるように配する組み合わせである。あるいは、2点は、吸収体5の幅方向に沿う縦方向中心線Mに対し線対称に配し、残りの1点を前記2点のうちの一方と幅方向で一致し、かつ、縦方向で不一致となるように配する組み合わせである。
また印8は、点として表示する場合、視認できるものであればどのような形状としてもよく、例えば円形、四角、ひし形、星型、ハート型など種々の図形とすることができる。また、線として表示する場合、直線に限らず、波線等の曲線や破線など種々の形態とすることができ、線自体が幅を有するものであってもよい。点や線、面として表示する場合に、有色の柄として表示することもできる。ここでいう有色の柄における「色」は前述の定義と同義である。
【0026】
次に、センサー7が常に適正配置される領域を想起させる印8の配置の好ましい実施態様(第1〜第7実施態様)について、四角形の領域が想起される態様として、
図4〜6を参照して以下に説明する。
【0027】
図4が示す第1実施形態では、尿とりパッド10の裏面シート2側の平面上に、2つの線状の印81(81A及び81B)が示されている。この線状の印81は、尿とりパッド10内部の吸収体5の切欠き部分からなる。より具体的には、該切欠き部分は、尿とりパッド10の縦方向に沿う幅方向中心線Lの両脇でこれを軸に左右対称とされ、該幅方向中心線Lと平行に所定長さで形成されている。この部分は、裏面シート2側からは吸収体5の白色が薄くされた部分として映り、印81A及び81Bと認識される。これにより、幅方向中心線Lの延在方向と左右対称の配置幅が示され、センサー7の常に適正配置される領域が想起される。すなわち、センサー7の配置されるべき領域の幅方向と縦方向が示され、縦方向に沿う幅方向中心線Lから外れることなく、縦長の尿とりパッド10の形状と印81A及び81Bの方向とで適正配置ができる。
さらに、印81A及び81Bは、図示されるとおり、排泄部対応領域3の近傍に配されていると、排尿に関するデータ取得に必要なこの必須領域を外すことなくセンサー7を配置でき、好ましい。
なお、本実施形態における印81について、吸収体5の切欠き部分に代えて、第2実施形態における裏面シート2上の円形の印として形成されていてもよい。
【0028】
図5(A)が示す第2実施態様では、尿とりパッド10の裏面シート2側の平面上に、3つの円形の印82(82A、82B及び82C)が配されている。
図5(A)に示されるように、印82A及び82Bが幅方向の同一直線状に並び、仮想の横線W1が想起される。この印82A及び82Bは、吸収体5の縦方向に沿う幅方向中心線Lに対し線対称に配置されている。一方、印82A及び82Cが縦方向の同一直線状に並び、幅方向中心線Lに平行な仮想の縦線S1が想起される。この横線W1を印82Cへ平行移動させ、縦線S1を印82Bに平行移動させて、仮想の四角形61が想起される。つまり、印82A、82B及び82Cは、仮想の四角形61の外縁上に位置することになる。なお、第1実施態様において、裏面シート2側から目視されるよう形成された印8は、印82A,82B及び82Cのみである。ただし
図5(A)においては、印82A,82B及び82Cの他に、想起される四角形61の理解のため、便宜上、この四角形61(横線W1及び縦線S1を含む)を一点鎖線で示している(以下の
図5(B)〜12においても同様に、想起される横線及び縦線を含む四角形を便宜的に一点鎖線で示す。)。
【0029】
この想起される四角形61が、センサー7の配置領域を示し、センサー7の大きさに一致する。すなわち、印82A、82B及び82Cは、センサー7の配置領域の4頂点(四隅)のうち3点を示している。印82A及び82Bは、吸収体5を縦方向に3等分に領域区分したときの最も腹側寄りの領域(前方部F)にあり、センター部7の腹側寄りの端部の配置位置を示している。
【0030】
このように第1実施態様においては、必要最小限の印82A,82B及び82Cを表示することで、センサー7の取り付け位置を的確に認識することができる。取り付け領域の全体を確認しなくても、印82A及び82Bにセンサー7の腹側寄りの端部を合わせ、残りの背側寄りの端部を印82Cに合わせることで、素早い的確な取り付けが可能である。すなわち、取り付け作業が煩雑にならず、データ取得に必要な正確な位置決めを繰り返し行うことができる。これにより、如何なる煩雑な環境下でも素早く的確な取り付けが可能となる。
【0031】
図5(B)は、前述の第2実施態様の変形例である。すなわち、3つの印82D、82E、82F)が配されている。これにより想起される仮想の四角形62は、
図5(A)のものよりも小さく、センサー7の配置領域よりも小さい。この場合、印82D及び82Eで、幅方向中心線Lに対し線対称の仮想の横線W2が想起される。この横線W2の幅はセンサー7を取り付けるべき位置の幅方向に一致する。これにより、センサー7の幅方向位置を正確に決めることができ、幅方向の液の拡散を精度良く測定することができる。また、印82D及び82Fで、幅方向中心線Lに平行な仮想の縦線S2が想起される。この縦線S2は、センサー7の縦方向長さよりも短い。これにより、部分的ではあるが、横線W2でセンサー7の吸収体5に対する横方向の配置位置が認識され、縦線S2で縦方向におけるセンサー7の延在方向が認識される。これを頼りに、尿とりパッド10の全体を伸長させずとも、印82D、82E及び82Fの3点を目安にまずセンサー7を合わせて固定し徐々に全体を取り付けることができる。特に、3つの印82D、82E及び82Fで想起される四角形が、前述した排泄部対応領域3にあると、必須の領域(四角形62の領域)を中心に前後の配置を決められる。これにより、データ取得に必要な正確な位置決めを繰り返し行うことができ、如何なる煩雑な環境下でも素早く的確な取り付けが可能となる。また、この場合、センサー7の形状及び大きさが様々であっても、必須の領域(四角形62の領域)をカバーすることで好適な取り付けとなる。
なお、
図5(B)の印82D、82E及び82Fは、
図5(A)の印82A、82B及び82Cと組み合わされる態様であってもよい。この場合、センサー7の腹側寄りの端部の取り付け位置を決め、かつ、排泄部対応領域3を外さない取り付け位置を決められるので好ましい。
【0032】
なお、
図5(A)で示された第2実施形態において、3点の印の他、82Aと82BだけがあってW1を想起させる場合や、82Aと82CだけがあってS1を想起させる場合であってもよい。
図5(B)において、82Dと82EでW2を想起させる場合や、82Dと82FだけがあってS2を想起させる場合であってもよい。これらW1(W2)やS1(S2)があれば、尿とりパッドの長方形内で、センサー7の適正配置される領域が想起できる。
【0033】
図6−1(A)〜(C)並びに
図6−2(D)及び(E)は、第3〜第7実施態様の、四角形を想起させる印8の配置を示している。
図6−1(A)の第3実施態様では、
図5(A)の第2実施態様より1点多い、印83(印83A、83B、83C及び83D)が配されている。これらの印83は、センサー7の配置領域の4頂点(四隅)を示しており、第2実施形態の場合と同じ四角形61が想起される。これにより、前述のデータ取得に必要な位置決めの正確性がさらに高まる。
【0034】
図6−1(B)の第4実施態様では、L字形状の印84(印84A、84B、84C及び84D)が配されている。これらの印84も、第3実施態様と同様に、センサー7の配置領域の4頂点(四隅)を示しており、第2実施形態の場合と同じ四角形61が想起される。また、印84が、所定長さで、四角形61の各頂点間を結ぶ線上に延出しているので、さらに四角形が想起されやすくなっている。これにより、前述の位置決めの正確性がさらに高まる。
【0035】
次に
図6−1(C)並びに
図6−2(D)及び(E)の第5〜第7実施態様では、想起される四角形61の4つの頂点のいずれかを端部とする線状の印が少なくとも2本存在し、該線状の印は互いに平行または垂直な関係である。すなわち、線状の印が想起される四角形の少なくとも2辺を示す。これにより、センサー7の取り付けの正確性がさらに高まる。これらの第5〜第7実施態様について以下に詳述する。
図6−1(C)の第5実施態様では、想起される四角形61の前方部F側及び後方部R側の横線を示す印85(85A及び85B)が配されている。印85A及び85Bは、それぞれの線分の端部(合計4つの端部)でセンサー7の配置領域(想起される四角形)の4頂点(四隅)を示すとともに、センサー7の前後端部の配置位置を示す。これにより、センサー7の前後端部の取り付け位置を明確に認識でき、前述の位置決めの正確性がさらに高まる。
図6−2(D)の第6実施態様では、想起される四角形61の横方向の1辺及び縦方向の1辺をそれぞれ示す印86A及び86Cが配されている。横方向の1辺を示す印86Aは、吸収体5の前方部F側(腹側寄り)でもよく、後方部R(背側寄り)でもよい。排泄部対応領域3を確実に覆う観点から、前方部F側(腹側寄り)が好ましい。この場合、想起される四角形61の縦方向の1辺全体が印86Cで示されているので、センサー7の延在方向を的確に捉えて、前述の位置決めの正確性がさらに高まる。
図6−2(E)の第7実施態様では、横線の印87A及び87B、縦線の印87C及び87Dにより、想起される四角形61の四辺を示している。これにより、センサー7の配置領域が明確に示され、前述の位置決めの正確性がさらに高まる。
【0036】
次に、センサー7を裏面シート2側に固定するためのセンサー固定用粘着剤15の配置について説明する。前述のとおり、センサー固定用粘着剤15は、センサー7の繰り返し使用を考慮すれば、裏面シート2側にあることが好ましい。これにより、尿とりパッド10を交換するたびに、新しい尿とりパッド10に設けられたセンサー固定用粘着剤15の粘着力でセンサー7をしっかりと固定できる。
この場合における、センサー固定用粘着剤15と前述の四角形を想起させる印8との配置関係の好ましい実施態様について、
図7−1(A)〜(C)及び
図7−2(D)を参照して説明する。なお、ここでは、センサー固定用粘着剤15の配置態様を、
図6−1(A)で示される第3実施態様の印8の配置との組み合わせで説明する。ただし印8はこれに限定されない。
図7−1(A)〜(C)及び
図7−2(D)の実施態様において、印8を、第3実施態様(
図6−1(A)参照)に代えて、第1、第2及び第4〜第7実施態様(
図4、
図5(A)及び(B)、
図6−1(B)及び(C)、
図6−2(D)及び(E)参照)のものとしてもよい。
【0037】
図7−1(A)に示すセンサー固定用粘着剤15の第1実施態様では、吸収体5の前方部F及び後方部Rのそれぞれの領域に対応して、横長のセンサー固定用粘着剤15A,15Aが配設されている。これにより、少ない粘着剤の量で、装着時に股下に配される中央部Cよりも変形が小さい前方部F及び後方部Rにしっかり固定することができ、安定的にセンサー7による測定が可能となる。
また、各センサー固定用粘着剤15Aは、変形し難い前方部F及び後方部Rに設けたことで、塗布されるホットメルト粘着剤等の粘着剤の塗布量を通常よりも抑えることができる。該坪量の上限は、30g/cm
2以下とすることが好ましく、25g/cm
2以下とすることがより好ましい。また下限は、5g/cm
2以上とすることが好ましく、10g/cm
2以上とすることがより好ましい。
【0038】
一方、
図7−1(B)に示すセンサー固定用粘着剤15の第2実施態様では、吸収体5の中央部Cを含めた広い領域に対応して、センサー固定用粘着剤15Bが配設されている。すなわち、裏面シート2の非肌当接面でセンサー7の配置される領域全体を覆っている。これにより、中間部Cでセンサー7が裏面シート2に密着し、排尿のしっかりと検知することができ好ましい。
この場合のセンサー固定用粘着剤15Bにおいては、ホットメルト粘着剤等の粘着剤の塗布面積が大きいため、坪量は比較的小さく抑えることができる。該坪量の上限は、20g/cm
2以下とすることが好ましく、15g/cm
2以下とすることがより好ましい。また下限は、2g/cm
2以上とすることが好ましく、5g/cm
2以上とすることがより好ましい。
【0039】
図7−1(C)及び
図7−2(D)に示す第3及び第4実施態様では、それぞれ、想起される四角形61に囲まれた領域内に、縦長の帯状のセンサー固定手段が複数配置されている。第3実施形態では、前記センサー固定手段として縦長の帯状のセンサー固定用粘着剤15Cを例として示し得ているが、これに限定されるものではなくセンサーを適切に固定できる手段を種々採用できる。第3実施体態様では2本配設されており、第4実施態様では3本配設されている。
センサー固定用粘着剤15Cが想起される四角形61に囲まれた領域内にありはみ出さないことで、併用されるおむつ、おむつカバー等への汚染が抑えられ好ましい。また第3及び第4実施態様では、粘着剤のはみ出し部分にごみ等が付着してセンサー7を汚染することを回避することができる。
加えて第3及び第4実施態様では、縦長の帯状のセンサー固定用粘着剤15Cとすることで、粘着剤の塗布量を抑えながら、縦方向にセンサー7をしっかり固定でき、尿の縦方向の拡がりをしっかりと検知できるので好ましい。
この場合の各センサー固定用粘着剤15Cにおける粘着剤の塗布坪量の上限は、30g/cm
2以下とすることが好ましく、25g/cm
2以下とすることがより好ましい。また下限は、5g/cm
2以上とすることが好ましく、10g/cm
2以上とすることがより好ましい。
【0040】
次に、
図8−1及び
図8−2を参照して、複数の四角形が想起される印8の配置の好ましい実施態様(第1〜第4実施態様)について説明する。これは、大きさの異なるセンサー7を裏面シート2に取り付けできるようにしたものである。なお
図8−1及び
図8−2が示す実施態様では、個々の印を線や有色の柄として示したがこれに限定されるものではなく、点(
図5(A)及び(B)の第2実施態様など)として示されてもよい。また、他の実施態様(
図1〜7等)を適宜組み合わせてもよい。
また、想起される四角形の数は、
図8−1及び
図8−2で示される各実施態様のものに限定されず、適宜決定することができる。
【0041】
図8−1(A)が示す第1実施態様では、囲み線で示される印88Aと、印88Aとは異なる第二の印88Bが配されており、印88Bは印88Aより小さな相似形状とされている。これにより第1の領域である四角形61とこれより小さい第2の領域である四角形63とが想起される。いずれも、幅方向中央線Lを中心に左右線対称とし、腹側寄り(吸収体5の前方部F寄り)とされている。これにより、センサー7の大きさ(長さ)に合わせて、腹側寄りの適切な位置への取り付けが可能となる。本実施態様では、想起される四角形は、四角形61及び63の2つであったが、これに限らず、3つ以上であってもよい。
【0042】
図8−1(B)が示す第2実施態様は、
図8−1(A)が示す第1実施態様の変形例である。すなわち、囲み線で示される印88Aの中に、幅を狭めた縦線の第二の印88C、88Cを示している。この縦線88C、88Cは縦方向に沿う幅方向中央線Lに対し左右対称に配置されている。その長さは、印88Aのものより短く、少なくとも排泄部対応領域3に対応して配されている。これにより、幅の異なるセンサーに対応した2種類の四角形(第1の領域及び第2の領域)が想起され、常に同じ位置に配置する目安となる。また、排泄部対応領域3を漏らさずカバーすることができる。なお、この縦線の数や配置位置はこれに限定されず適宜設定できる。
【0043】
図8−1(C)が示す第3実施態様では、囲み線で示される印89Aと、この囲み線の外側に有色の柄で示される第二の印89Bとが配されている。印89Aは、例えば、裏面シート2上に印刷により形成される。この印89Aにより四角形64が想起される。一方、印89Bは、例えば
図8−1(C)下段の断面図に示されるように、吸収体5を肌側の上層吸収体51とこれより幅の狭い非肌側の下層吸収体52とし、両層間に配される有色の親水性シート53で形成される。親水性シート53の下層吸収体52からはみ出した部分が裏面シート2側に映し出され、所定幅の囲み枠で示される印89Bとなる。映し出された第二の印89Bの外側輪郭部分に四角形65(第1の領域)、内側輪郭部分に四角形66の2種類からなる第二の四角形(第2の領域)が想起される。これにより、異なる種類の印89Aと89Bとで印象の異なる四角形を想起させるので、適切な取り付け位置を選別し易くなり好ましい。この場合、前述の四角形64は、四角形65(第1の領域)内にある第2の領域となる。
【0044】
なお、印89Aの囲み線及び印89Bの囲み枠の大きさが逆であってもよく、親水性シート53は下層吸収体52と裏面シート2との間に配されてもよい。また、本実施態様においても、想起させる四角形の数は、これに限定されず任意に設定できる。例えば、図示しないが、下層吸収体52と裏面シート2とを接合するホットメルト型接着剤に着色したものを用い、その色が裏面シート2側から視認される別の印となってもよい。また、下層吸収体52と裏面シート2との間に、親水性シート53とは別の有色の親水性シートを異なる大きさで配し、さらに別の印となってもよい。これらにより、上記の四角形64、65及び66とは異なる大きさの四角形が想起できる。
【0045】
図8−2(D)が示す第4実施態様は、
図8−1(A)が示す第1実施態様の変形例である。すなわち、囲み線で示される印88Aで想起される第1の領域の中に、センサー7の腹側寄りの端部の配置位置を示す、横線の印を複数縦方向にずらして示している。
図8−2(D)では、3つの横線88D、88E及び88Fが第二の印として示され、複数のの第2の領域が想起される。これにより、センサー7の配置領域としての4種類の四角形(第1の領域と第2の領域)が想起される。この横線88D、88E及び88Fの端部が並ぶ列で幅方向の位置を間違えることなく、縦方向の適切な位置にセンサー7を取り付けることができる。なお、この横線の数や配置位置はこれに限定されず適宜設定できる。
【0046】
さらに、前述のセンサー固定用粘着剤も着色した粘着剤を用いて形成し、四角形を想起させる印としてもよい。例えば、
図9(A)が示すセンサー固定用粘着剤15の第5実施態様では、
図7−2(D)に示される3本のセンサー固定用粘着剤15Cが着色されて印となり、これを繋いで四角形67が想起される。さらにこの実施態様では、粘着剤15Cを囲むようにして、裏面シート2に四角形61の四辺を示す印87が示されている。
また、
図9(B)が示すセンサー固定用粘着剤15の第6実施態様では、想起される四角形61の四辺にセンサー固定用粘着剤15Dが配され印となっている。
これらの実施態様においては、粘着剤15が、無色の場合に比べて視認し易く、センサー7と粘着剤15との誤った接触を回避できる。これにより、センサー7と尿とりパッド10との適切な距離をはかりながら、的確な位置決めを行うことができる。
【0047】
次に、
図10を参照して、尿とりパッド10の裏面シート2側に配設される、おむつやおむつカバーなどの外装部材との固定部22(外装部材用固定部22)について説明する。
図10では、裏面シート2の非肌当接面側に、尿とりパッド10を外側(非肌当接面側)から覆って人体に装着するおむつやおむつカバー等の外装部材との固定部22が配されている。この外装部材用固定部22は、着色された3本のセンサー固定用粘着剤15Cの前後端外方に位置している。これにより、外装部材用固定部22及びセンサー固定用粘着剤15Cの固定力を、それぞれ求める固定性能に応じて分けることができる。
センサー固定用粘着剤15Cは、繰り返しの貼り直しができるよう、外装部材用固定部22よりも弱い固定力に設定することができる。また弱い固定力とすることにより、繰り返しの引き剥がしでも、センサー7への粘着剤の付着が抑えられ、センサー7の性能が阻害されずに好ましい。
また、尿とりパッド10とその外側に使用されるおむつ等(外装部材)との固定を確実にし、それらの間にセンサー7を挟み込んで固定する観点から、外装部材用固定部22に用いられる粘着剤は、センサー固定用粘着剤15Cよりも坪量が大きいことが好ましい。外装部材用固定部22に用いられる粘着剤とセンサー固定用粘着剤15Cとの坪量の比の下限は、1.2倍以上とすることが好ましく、1.4倍以上とすることがより好ましい。また、尿とりパッド10にセンサー7を貼り付けた状態で、尿とりパッド10をおむつ等に貼り直し可能とするため、外装部材用固定部22に用いられる接着剤とセンサー固定用粘着剤15Cとの坪量の比の上限は、4倍以下とすることが好ましく、3倍以下とすることがより好ましい。
【0048】
センサー固定用粘着剤15と外装部材用固定部22との区別をより明確にするため、例えば、次のようにすることができる。センサー固定用粘着剤15及び外装部材用固定部22がホットメルト型接着剤で形成されている場合、両者の塗工形状を変えることで区別して視認し易くなる。例えば、センサー固定用粘着剤15を縦方向(Y方向)に沿う長方形状とし、外装部材用固定部22を横方向(X方向)に沿う長方形状に塗工する場合などである。また、両者に異なる着色を施してもよい。あるいは、外装部材用固定部22のみをメカニカルファスナーで形成されて、ホットメルトで形成されたセンサー固定用粘着剤15と区別するようにしてもよい。
【0049】
次に、
図11を参照して、センサー7に目印9が配された態様を説明する。
図11の平面図では、尿とりパッド10の裏面シート2側(非肌当接面側102)にセンサー7が取り付けられた状態として示されている。まず尿とりパッド10には、裏面シート2側に、横線の印87A及び87B、縦線の印87C及び87Dにより、想起される四角形61の四辺が示されている。加えて、縦線の印87C及び87D上のそれぞれに、円形の印87Eが2ずつ示されている。これに対し、センサー7には、印87Eに対応する4か所に、星型の目印9が示されている。この目印9は、インクジェット印刷等の方法により形成できる。
この実施態様においては、尿とりパッド10と裏面シート2との全体を見ながら位置決めせずとも、各4つの目印9と印87Eを部分的に合わせるだけで、全体的な正確な位置決めが素早くできる。この印87Eと目印9との組み合わせがあれば、正確な位置決めを素早く繰り返し行うことができる。
センサー7側の目印9は、取り付けの際に目視できる裏面側、すなわちセンサー素子(電極部)72配置面と反対側の面に配設されてもよい。また、センサー7の基盤部71が透明や半透明などで裏面シート2側まで透かして目視できるものであれば、目印9は、裏面シート2との対向面側、すなわちセンサー素子(電極部)72配置面に配設されてもよい。これにより、基盤部71を介して印87Eを目視できるので、位置合わせがより確かなものとなる。なお、この場合、目印9は、排尿検知を妨害しない観点から、センサー素子72と重ならないことが好ましい。一方、目印9は、それ自体が視認可能であり、センサー素子で検知したデータの伝送を妨げない限り、配線部75と重なっていてもよい。
なお、本実施態様において、四辺の印87A、87B、87C及び87Dがないものであってもよく、上述の他の実施態様(
図1〜10の態様など)の印と適宜組み合わせてもよい。あるいは、尿とりパッド10には印87Eがいずれか2点だけが示され、センサーの対応箇所に目印9があるものであってもよい。
【0050】
次に、
図12を参照して、センサー固定用粘着剤15とセンサー7に配列されたセンサー素子(電極部)72及び配線部75との好ましい配置関係について説明する。
図12の平面図では、尿とりパッド10の裏面シート2側(非肌当接面側102)にセンサー7が取り付けられた状態として示されている。
センサー7のセンサー素子72は、裏面シート2に密着して排尿を検知するため、できるだけ間に他の部材が介在しないことが好ましい。そのため、
図12に示すように、センサー固定用粘着剤15Cが、センサー素子72の配列のない領域(左右両脇と中央)で縦方向に延在して配されることが好ましい。一方、前述のとおり、センサー素子72で検知したデータの伝送を妨げない限り、センサー固定用粘着剤15Cと配線部75とは重なっていてもよい。また両者が重ならない配置としてもよい。
図12においては、配線部75とセンサー固定部用粘着剤15Cとは重ならない配置として示している。
【0051】
以上、説明した各実施態様は、センサーの正確な位置決めを繰り返し行うことができる限り、互いに適宜組み合わせることができる。
【0052】
さらに本実施形態では、前述した種々の尿とりパッドとセンサーとを組み合わせたキットとして提供することもできる。センサーの大きさや形状と裏面シートに示される印やセンサー固定用粘着剤の配置とが好適な組み合わせであれば、センサーの尿とりパッドへの正確な位置決めがより確実となる。これにより、複数回の交換があっても、排泄検地装置による排泄量の把握を正確に行うことができる。とりわけ、目印を有するセンサーと、前述の各実施態様で示された印を有する尿とりパッドとを組み合わせたキットが好ましい。また、センサーと、前述の各実施態様で示された印を有し、センサー用固定粘着剤をセンサー素子と重ならない配置とする尿とりパッドとを組み合わせたキットが好ましい。
ここでいう「キット」とは、センサー及び尿とりパッドの数(単数及び複数を含む)が一致する組み合わせ、いずれか一方の数が他方より多い組み合わせなど種々のパターンを含む。たとえば、1つのセンサーに対して複数の尿とりパッドを組み合わせてもよい。尿とりパッドを複数とした場合、前記キットは、センサーを尿とりパッドに取り付けた複合体を一部に含むものであってもよい。
【0053】
本発明の吸収性物品に用いられる表面シート1、裏面シート2、吸収体5の形成材料としては、この種の物品に採用されるものを特に制限なく用いることができる。
【0054】
例えば、表面シート1は、排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。表面層1は親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
【0055】
裏面シート2としては、防水性があり透湿性を有していれば特に限定されないが、例えば、疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。
【0056】
吸収体5内部の積繊体を形成する親水性繊維としては、例えば、木材パルプ、コットン、麻などの天然繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオフィレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を用いることができる。合成繊維からなる繊維を用いる場合、該繊維は熱によって形状が変化する熱収縮繊維であってもよい。例えば、熱によって繊度は大きくなるが繊維長は短くなるものや、熱によって繊度はほとんど変化しないが、形状がコイル状に変化することでみかけの繊維の占有する長さが短くなるものであってもよい。
高吸水性ポリマーとしては、この種の物品に通常使用されている各種のポリマー材料を用いることがでる。高吸水性ポリマーは、自重の20倍以上の水又は生理食塩水を吸収し保持し得る性能を有するような超吸収性高分子化合物であることが好ましい。
【0057】
前記積繊体を包む被覆シート54は、親水性の部材であり、例えば、親水性のティッシュペーパー等の薄手の紙(薄葉紙)、クレープ紙、コットンやレーヨンなどの親水性繊維からなる不織布、合成樹脂の繊維に親水化処理を施してなる不織布、例えばエアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等からなるものを用いることができる。
また、前述した親水性シート53についても被覆シート54と同様の素材を用いて形成することができる。
【0058】
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態の尿とりパッドに制限されるものではなく、例えば幼児又は成人用の展開型又はパンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキンやパンティライナ等に適応することができる。なお吸収性物品の構成部材として、表面シート1、吸収体3、裏面シート2の他にも用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。
【0059】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の吸収性物品及びその製造方法を開示する。
【0060】
<1>吸収体と裏面シートとを備え、面状のセンサーを前記裏面シートの非肌当接面側に固定して使用する吸収性物品であって、
前記センサーが少なくとも幅方向で常に適正配置される領域を想起させる印が、前記裏面シート側から視認可能とされている吸収性物品。
【0061】
<2>前記印が前記領域内の2つ以上の点を示す前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>前記2つ以上の点が前記領域の外縁上に位置する前記<2>に記載の吸収性物品。
<4>前記印が前記領域内の3つ以上の点を示し、そのうち2点は、縦長の前記吸収体を該縦長方向に3等分に領域区分したときの最も腹側寄りの領域にあり、他の点はそれ以外の領域にある前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<5>前記3つ以上の点が前記領域の外縁上に位置する前記<4>に記載の吸収性物品。
【0062】
<6>前記裏面シートの非肌当接面側にセンサー固定手段が施されている前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<7>前記センサー固定手段が、前記印で想起される領域内にある前記<6>に記載の吸収性物品。
<8>前記センサー固定手段が着色され、四角形を想起させる前記印とされている前記<6>又は<7>に記載の吸収性物品。
<9>前記センサー固定手段が、横長形状とされ、前記吸収体の前方部及び後方部のそれぞれの領域に対応して配設されている前記<6>〜<8>に記載の吸収性物品。
<10>前記センサー固定手段が、前記吸収体の中央部を含めた広い領域に対応して配設され、前記裏面シートの非肌当接面上のセンサーの配置される領域全体を覆っている前記<6>〜<8>に記載の吸収性物品。
<11>前記センサー固定手段が、想起される四角形に囲まれた領域内に、縦長の帯状とされ複数配置されている前記前記<6>〜<8>に記載の吸収性物品。
<12>前記センサー固定手段がセンサー固定用粘着剤からなる前記<6>〜<11>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0063】
<13>前記領域内に、さらに第二の領域を有する前記<1>〜<12>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0064】
<14>前記印により想起される領域が四角形である前記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<15>前記印が前記四角形の外縁上の少なくとも3点を示し、そのうち2点は、縦長の前記吸収体を該縦長方向に3等分に領域区分したときの最も腹側寄りの領域にあり、他の点はそれ以外の領域にある前記<14>に記載の吸収性物品。
<16>前記2点が、前記四角形の4つの頂点のうち腹側寄りの2つの頂点である前記<15>に記載の吸収性物品。
<17>想起される領域の横線によって縦方向に沿う幅方向中心線Lを中心とする左右対称の配置幅が示される前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0065】
<18>前記印が前記四角形の四辺を示す前記<14>〜<17>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<19>前記印がL字形状である前記<14>〜<17>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<20>前記印が、前記四角形の4つの頂点のいずれかを端部とする線状として少なくとも2本存在し、該線状の印は互いに平行または垂直な関係である前記<14>〜<17>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0066】
<21>前記四角形に囲まれた領域内に、前記印とは異なる第二の印を有し、該第二の印が前記四角形とは異なる第二の四角形を想起させる前記<14>〜<20>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<22>前記四角形に囲まれた領域内に、該四角形より小さな相似形状の印を前記複数の別の四角形を想起させる印として有する前記<21>に記載の吸収性物品。
<23>前記四角形に囲まれた領域内に、これより幅を狭めた縦線の印を前記複数の別の四角形を想起させる印として示している前記<21>に記載の吸収性物品。
<24>前記四角形に囲まれた領域内に、前記複数の別の四角形を想起させる印として、前記センサーの背側寄りの端部の配置位置を示す横線の印を複数縦方向にずらして示している前記<21>に記載の吸収性物品。
【0067】
<25>前記裏面シートの非肌当接面側にセンサー固定手段が施され、該センサー固定手段が色を有する前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<26>前記印が前記裏面シートに印刷されている前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<27>前記印が、有色の部材を裏面シート側から視認できるように配置することで示されている前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<28>前記吸収体が肌側の上層吸収体とこれより幅の狭い非肌側の下層吸収体とからなり、両層間に配される有色の親水性シートで前記印が形成されている前記<27>に記載の吸収性物品。
<29>前記下層吸収体と前記裏面シートとの間に、前記親水性シートとは別の有色の親水性シートを異なる大きさで配し前記印が形成されている前記<28>に記載の吸収性物品。
<30>前記印が前記裏面シートの肌当接面側に配された水分との接触により変色する有色のインジケーターによって形成されている前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0068】
<31>前記裏面シートの平面方向において、前記印により想起される領域の外側に、前記吸収性物品と該吸収性物品を覆って人体に装着する外装部材との固定部が配設されている前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<32>前記センサー固定手段は、前記外装部材用固定部よりも弱い固定力に設定されている前記<31>に記載の吸収性物品。
<33>前記センサー固定手段が縦方向(Y方向)に沿う長方形状で形成され、前記外装部材用固定部が横方向(X方向)に沿う長方形状で形成されている前記<31>に記載の吸収性物品。
<34>前記外装部材用固定部がメカニカルファスナーで形成され、ホットメルトで形成されたセンサー固定用粘着剤と区別して視認可能とされている前記<31>に記載の吸収性物品。
【0069】
<35>前記センサーと前記<1>〜<34>のいずれか1に記載の前記吸収性物品とを備えたキット。
<36>前記センサーが目印を有し、該目印を、前記<1>〜<34>のいずれか1に記載の吸収性物品における前記印に合わせることで、前記センサーを前記吸収性物品に設置することができる、センサー及び吸収性物品のキット。
<37>前記センサーが有する電極に対し、前記<6>〜<34>のいずれか1に記載の吸収性物品における前記センサー固定手段が厚み方向に重ならない配置とされている、センサー及び吸収性物品のキット。
<38>前記センサーには、幅方向の中央に縦方向に延在する貫通孔がある、前記<35>〜<37>のいずれか1に記載のセンサー及び吸収性物品のキット。
<39>前記センサーの縦方向の長さが吸収体のものよりも短く、少なくとも前記吸収体の縦長方向の8割以上を占める領域に配される、前記<35>〜<38>のいずれか1に記載のセンサー及び吸収性物品のキット。
<40>前記センサーが如何なる大きさで如何なる形状であっても、少なくとも排泄部対応領域を覆い縦方向に沿う幅方向中心線に沿って左右対称に配置される、前記<35>〜<39>のいずれか1に記載のセンサー及び吸収性物品のキット。