特許第6249527号(P6249527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249527
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】レバースイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/04 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   H01H25/04 N
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-124952(P2014-124952)
(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公開番号】特開2016-4698(P2016-4698A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 静始
(72)【発明者】
【氏名】田邉 伸幸
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−277431(JP,A)
【文献】 実開昭57−170102(JP,U)
【文献】 特開平10−021796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーと、
該操作レバーを第1の揺動軸を支点として揺動可能に支持するレバー支持体と、
該レバー支持体を介して前記操作レバーを第1の揺動軸と略直交する第2の揺動軸を支点として揺動可能に支持するハウジングと、
前記操作レバーの前記第1の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って駆動される第1のスライダと、
前記操作レバーの前記第2の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って駆動される第2のスライダと、
前記第1のスライダに設けられた第1の可動接点と、
前記第2のスライダに設けられた第2の可動接点と、
前記第1の可動接点が摺接する第1の固定接点体と、
前記第2の可動接点が摺接する第2の固定接点体と、
を備えた車両用のレバースイッチ装置において、
前記第1のスライダは、前記操作レバーの前記第1の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って前記操作レバーと一体に揺動するとともに、
前記第1の固定接点体は、前記第1の揺動軸を中心とする円弧に沿って複数の固定接点が配置されており、
前記第1の固定接点体が配置される第1の固定接点部と、
前記第2の固定接点体が配置される第2の固定接点部と、
前記第1の固定接点部と前記第2の固定接点部とを接続する接続部と、を有し、
前記第1の固定接点部と前記第2の固定接点部と前記接続部とが一体のフレキシブル基板に形成されていることを特徴とするレバースイッチ装置。
【請求項2】
操作レバーと、
該操作レバーを第1の揺動軸を支点として揺動可能に支持するレバー支持体と、
該レバー支持体を介して前記操作レバーを第1の揺動軸と略直交する第2の揺動軸を支点として揺動可能に支持するハウジングと、
前記操作レバーの前記第1の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って駆動される第1のスライダと、
前記操作レバーの前記第2の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って駆動される第2のスライダと、
前記第1のスライダに設けられた第1の可動接点と、
前記第2のスライダに設けられた第2の可動接点と、
前記第1の可動接点が摺接する第1の固定接点体と、
前記第2の可動接点が摺接する第2の固定接点体と、
を備えた車両用のレバースイッチ装置において、
前記第1のスライダは、前記操作レバーの前記第1の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って前記操作レバーと一体に揺動するとともに、
前記第1の固定接点体は、前記第1の揺動軸を中心とする円弧に沿って複数の固定接点が配置されており、
前記レバー支持体には、前記第1のスライダと組み合うポスト部が設けられ、
該ポスト部の先端には爪部が形成され、
該爪部によって、前記第1のスライダと前記第1の固定接点体との距離が規制されていることを特徴とするレバースイッチ装置。
【請求項3】
前記レバー支持体には、前記第1のスライダと組み合うポスト部が設けられ、
該ポスト部の先端には爪部が形成され、
該爪部によって、前記第1のスライダと前記第1の固定接点体との距離が規制されていることを特徴とする請求項1に記載のレバースイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバースイッチ装置に関し、特に、自動車等のワイパのスイッチ動作やターンシグナルライトのスイッチ動作を操作レバーの操作に適用されるレバースイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載用のレバースイッチ装置は、ステアリングコラム等から筒状の操作レバーを突出させており、この操作レバーが互いに略直交する2つの操作面内で揺動操作できるようになっている。操作レバーをそれぞれの操作面に沿って選択的に操作することで、ターンシグナルの点滅動作、ヘッドライトのビーム切換えやパッシング等の動作を行うことができる。
【0003】
特許文献1(従来例)に記載のストークスイッチ(レバースイッチ)装置900では、図11に示すように、操作レバー901と、レバー支持体902と、ハウジング903と、回路基板と、回転部材906と、第1のスライダ907と、第2のスライダ908と、リンク駆動体916と、を備えている。また、第1のスライダ907には第1の摺動子917が取り付けられており、第2のスライダ908には第2の摺動子918が取り付けられている。
【0004】
操作レバー901を第1の操作面に沿って揺動操作すると、その揺動運動がリンク駆動体916を介して回転部材906の回転運動に変換されるとともに、回転部材906の回転動作に伴って第1のスライダ907が直線的にスライド移動する。このため第1のスライダ907に取り付けられた第1の摺動子917が回路基板に直線状にパターン形成された第1の固定接点と接離する。また、操作レバー901を第1の操作面と略直交する第2の操作面に沿って揺動操作すると、レバー支持体902の駆動ピン902eと係合する第2のスライダ908が直線的にスライド移動する。このため、第2のスライダ908に取り付けられた第2の摺動子918が回路基板に直線状にパターン形成された第2の固定接点と接離する。
【0005】
このように、第1及び第2のスライダ(907,908)に対応する第1及び第2の固定接点をいずれも回路基板に直線状にパターン形成することができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009‐277431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来例では、操作レバー901に対する第1の操作面に沿った揺動操作と第2の操作面に沿った揺動操作とを直線動作へ変換させているため、構造が複雑になって組立性が悪いという課題があった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するもので、構造が簡単で組立性が良い車両用のレバースイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明のレバースイッチ装置は、操作レバーと、該操作レバーを第1の揺動軸を支点として揺動可能に支持するレバー支持体と、該レバー支持体を介して前記操作レバーを第1の揺動軸と略直交する第2の揺動軸を支点として揺動可能に支持するハウジングと、前記操作レバーの前記第1の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って駆動される第1のスライダと、前記操作レバーの前記第2の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って駆動される第2のスライダと、前記第1のスライダに設けられた第1の可動接点と、前記第2のスライダに設けられた第2の可動接点と、前記第1の可動接点が摺接する第1の固定接点体と、前記第2の可動接点が摺接する第2の固定接点体と、を備えた車両用のレバースイッチ装置において、前記第1のスライダは、前記操作レバーの前記第1の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って前記操作レバーと一体に揺動するとともに、前記第1の固定接点体は、前記第1の揺動軸を中心とする円弧に沿って複数の固定接点が配置されており、前記第1の固定接点体が配置される第1の固定接点部と、前記第2の固定接点体が配置される第2の固定接点部と、前記第1の固定接点部と前記第2の固定接点部とを接続する接続部と、を有し、前記第1の固定接点部と前記第2の固定接点部と前記接続部とが一体のフレキシブル基板に形成されていることを特徴とする。
【0010】
これによれば、第1のスライダが操作レバーの揺動操作と一体に揺動するので、操作による動きを直線運動等の他の動きに変換する必要がないので簡単な構造となる。また動きを変換するための部品も不要となるため部品点数を少なくすることができるので組立性を向上することができる。また第1の固定接点部と第2固定接点部と接続部とが一体のフレキシブル基板に形成されているので、第1の固定接点部と第2の固定接点部が同一平面上に配置されない場合でも簡単に組み立てることができる。従って、構造が簡単で組立性が良い車両用のレバースイッチ装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明のレバースイッチ装置は、操作レバーと、該操作レバーを第1の揺動軸を支点として揺動可能に支持するレバー支持体と、該レバー支持体を介して前記操作レバーを第1の揺動軸と略直交する第2の揺動軸を支点として揺動可能に支持するハウジングと、前記操作レバーの前記第1の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って駆動される第1のスライダと、前記操作レバーの前記第2の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って駆動される第2のスライダと、前記第1のスライダに設けられた第1の可動接点と、前記第2のスライダに設けられた第2の可動接点と、前記第1の可動接点が摺接する第1の固定接点体と、前記第2の可動接点が摺接する第2の固定接点体と、を備えた車両用のレバースイッチ装置において、前記第1のスライダは、前記操作レバーの前記第1の揺動軸を支点としての揺動操作に伴って前記操作レバーと一体に揺動するとともに、前記第1の固定接点体は、前記第1の揺動軸を中心とする円弧に沿って複数の固定接点が配置されており、前記レバー支持体には、前記第1のスライダと組み合うポスト部が設けられ、該ポスト部の先端には爪部が形成され、該爪部によって、前記第1のスライダと前記第1の固定接点体との距離が規制されていることを特徴とする。
【0014】
これによれば、第1のスライダが操作レバーの揺動操作と一体に揺動するので、操作による動きを直線運動等の他の動きに変換する必要がないので簡単な構造となる。また動きを変換するための部品も不要となるため部品点数を少なくすることができるので組立性を向上することができる。また爪部によって、前記第1のスライダと前記第1固定の接点体との距離が規制されているので、可動接点の弾性力による、摺動面への接触圧を一定に保つことができ、固定接点体と安定した離接をすることができる。また、ポスト部の先端に爪部を形成したので、レバー支持体に第1のスライダを組み付ける場合スナップインで簡単に組み立てることができる。従って、構造が簡単で組立性が良い車両用のレバースイッチ装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、構造が簡単で組立性が良い車両用のレバースイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るレバースイッチ装置の外観を示す図である。
図2】本実施形態に係るレバースイッチ装置の構成部品を示す分解斜視図である。
図3】ハウジングの基部を示す部品図である。
図4】ハウジングの上カバーを示す部品図である。
図5】操作レバーの背面側を示す図である。
図6】レバー支持体を示す図である。
図7】第1のスライダ及び第2のスライダを示す斜視図である。
図8】フレキシブル基板と基板保持部を説明する図である。
図9図1(b)に示すA‐A断面を示す断面図である。
図10】レバースイッチ装置の動作を説明する図である。
図11】従来技術のストークスイッチ(レバースイッチ)装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態における車両用のレバースイッチ装置100について説明する。
【0018】
まず始めに本実施形態における車両用のレバースイッチ装置100の構成について図1から図7を用いて説明する。図1は、レバースイッチ装置100の外観形状を示す図で、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は図1(a)をZ1側から見た上面図である。図2は、レバースイッチ装置100の構成部品を示す分解斜視図である。図3は、ハウジング10の基部11を示す斜視図で、図3(a)は上側(図2及び図3に示すZ1)側を見た斜視図であり、図3(b)は下(図2及び図3に示すZ2)側を見た斜視図である。図4は、ハウジング10の上カバー12を示す平面図で、図4(a)は上側(図2に示すZ1)側を見た図であり、図4(b)は下(図2に示すZ2)側を見た図である。図5は、操作レバー20の背面(図2に示すX1)側を示す図である。図6は、レバー支持体30を示す図で、図6(a)は斜視図であり、図6(b)は側面(図2に示すY2)側を示す図であり、図6(c)は背面(図2に示すX1)側を示す図である。図7は、第1のスライダ40及び第2のスライダ50を示す図で、図7(a)は第1のスライダ40を示す図であり、図7(b)は第2のスライダ50を示す図であり、図7(c)は可動接点(42,52)を示す図である。図8は、フレキシブル基板61と基板保持部62を示す図である。
【0019】
レバースイッチ装置100は、図1(a)及び図1(b)に示すように、ハウジング10に、操作レバー20と、レバー支持体30と、が組み合わされることによってその外観が形成されている。
【0020】
また、レバースイッチ装置100は、図2に示すように、ハウジング10と、操作レバー20と、レバー支持体30と、第1のスライダ40と、第2のスライダ50と、基板組立体60と、を備え、ガイドピン21と、ガイド体70を有している。
【0021】
ハウジング10は図1(a)及び図2に示すように、基部11と、上カバー12と、と、下カバー13と、ネジ14と、によって構成される。
【0022】
基部11は合成樹脂からなり、図2及び図3(a)に示すように、上(図に示すZ1)側及び側面の一方(図に示すX2)側が開放された直方体の箱状に形成されており、内部にはレバー支持体30等が収納可能な空間を有している。
【0023】
図2及び図3(a),(b)に示すように、基部11の内側には内底部11aが設けられ、開放された側面(以下、開放面と記す)側には第1の軸受け穴11bと切欠き部11cが設けられており、開放面と向かい合う側面側には矩形状の駆動孔11dが設けられている。また、内底部11aの下面には、図3(b)に示すように駆動孔11dを囲むようにガイド部11eが設けられている。
【0024】
開放面と隣り合う両側面には、内底部11aの下(図に示すZ2)側に、図2及び図3(b)に示すように嵌合孔11fが形成されている。開放面の両端の上側にはネジ穴11gが形成され、開放面と向かい合う側面の両端に、上(図2に示すZ1)側に突出する上側接続部11hが設けられている。
【0025】
上カバー12は合成樹脂からなり、図2及び図4に示すように、基部11の上面を覆う略矩形状に形成されている。図4(b)に示すように、上カバー12の下面(図2に示すZ2)側には、基部11に設けられた第1の軸受け穴11bと向かい合う位置に第2の軸受け穴12aが設けられている。また、上カバー12が基部11と組み合わされた際に、基部11の開放面側に位置する両側の上部にはネジ孔12bが形成され、開放面と向かい合う側面側には、接続孔12cが設けられている。
【0026】
下カバー13は合成樹脂からなり、図2に示すように基部11の下面を覆う矩形状に形成されている。下カバー13が基部11と組み合わされた際に、基部11に設けられた嵌合孔11fに対応する箇所には、それぞれ側面爪13aが設けられている。
【0027】
ネジ14は、鉄や真鍮などの金属材料で形成されており、図示しない螺旋状のネジ山が形成されている。
【0028】
操作レバー20は合成樹脂からなり、図2及び図5に示すように略円筒状の操作部20aと略角柱状の被支持部20bとが形成されており、被支持部20bの先端にはガイドピン保持穴20cが設けられている。また、被支持部20bの両側面(図2に示すX−Z面のY1側及びY2側)には図5に示すように、円柱状の第1支軸20dがそれぞれ設けられている。また、第1支軸20dにはスライダ嵌合穴20eが設けられている。
【0029】
ガイドピン21は合成樹脂からなり、図2に示すように頂点が丸まった円錐状の先端部21aと円柱状の軸部21bと、が形成されている。
【0030】
レバー支持体30は合成樹脂からなり、図6に示すように、長手(X1‐X2)方向の一端側の上(図に示すZ1)側、及び下(図に示すZ2)側それぞれに略円筒状の第2支軸30aが設けられている。また、長手方向の他端の下側にはスライダ駆動部30bが下方に突出して形成されている。
【0031】
レバー支持体30の長手方向には図6(a)及び図6(c)に示すように、略角柱状の挿通孔30cが形成されており、上下(図に示すZ1‐Z2)方向は被支持部20bより広く、幅(図に示すY1−Y2)方向は被支持部20bと略同じ幅で形成されている。また、両側面(図2に示すX−Z面)には図6(a),(b)に示すように円形状の軸受け孔30dが設けられ、一方(図に示すY2)側の軸受け孔30dには、その外周に沿って円柱状の側壁部30eが形成されている。
【0032】
レバー支持体30の一方(図に示すY2)側の側面には図6に示すように第1のスライダ40と組み合うポスト部30fが設けられており、ポスト部30fの先端には爪部30gが形成されている。また、2つの位置決め突起30hが設けられている。
【0033】
第1のスライダ40は図7(a)に示すように、合成樹脂材によって成形された第1スライダ本体部41と、第1の可動接点42と、で構成されている。第1スライダ本体部41は図2及び図7(a)に示すように、円筒状のスライダ基部41aと、スライダ基部41aから突出するスライダ軸部41bと、スライダ基部41aから延設された腕部41cと、を有している。腕部41cには、レバー支持体30に設けられたポスト部30fが挿通される孤状の結合孔41dが設けられており、腕部41cの摺接面(図に示すY1)側に図7(c)に示す第1の可動接点42が設けられている。
【0034】
第2のスライダ50は図7(b)に示すように、合成樹脂材によって成形された第2スライダ本体部51と、第2の可動接点52と、で構成されている。第2スライダ本体部51は、略直方体状に形成されており、レバー支持体30に設けられたスライダ駆動部30bが挿入される長円状の連結孔51aが設けられており、摺接面(図2に示すZ2)側には図7(c)に示す第2の可動接点52が設けられている。
【0035】
第1の可動接点42と第2の可動接点52は、リン青銅等ばね性を有する金属薄板が折り返されて形成されており、図7(c)に示すように折り返された先端付近に複数の接点部(42a,52a)が設けられている。
【0036】
基板組立体60は図2に示すように、フレキシブル基板61と、基板保持部62と、が組み合わされて構成されている。
【0037】
フレキシブル基板61は、ポリイミド等の可撓性を有する基材の表面に、銅等の導電性材料でパターンが形成されている。フレキシブル基板61は図8に示すように、第1の固定接点部61aと、第2の固定接点部61bと、接続部61cと、が一体に形成されている。第1の固定接点部61aにはパターンよって形成された第1の固定接点体61dが配置され、第2の固定接点部61bには第2の固定接点体61eが形成されている。
【0038】
第1の固定接点部61aには、レバー支持体30に設けられた側壁部30eが挿通可能な側壁挿通孔61gと、ポスト部30fが挿通可能なポスト挿通孔61hと、位置決め突起30hが挿通可能な位置決め孔61iとが設けられている。また、第2の固定接点部61bにも、位置決め孔61iが設けられている。
【0039】
第1の固定接点体61dには図8に示すように、第1の固定接点61jが側壁挿通孔61gを中心とする第1の円弧に沿って配置されるとともに、第2の固定接点61kと、第3の固定接点61mが、第1の円弧より径方向に遠い位置に側壁挿通孔61gを中心とする第2の円弧にそって配置されている。従って、側壁挿通孔61gを中心とした2つの円弧上に複数(本実施形態では3つ)の固定接点が配置されている。
【0040】
第2の固定接点体61eには図8に示すように、第4の固定接点61nが、第5の固定接点61pと、第6の固定接点61qと、に沿うように直線状に配置されている。
【0041】
基板保持部62は合成樹脂からなり、図8に示すように略矩形で板状の外形を有しており、基板保持部62の上面(図2に示すZ1)側には、フレキシブル基板61を位置決めするための突起62aが形成されている。
【0042】
ガイド体70は合成樹脂からなり、図2に示すように湾曲した曲面を有するガイド面70aが形成されており、ハウジング10を構成する基部11の内部に組み付け可能に形成されている。
【0043】
次にレバースイッチ装置100の構造について図2図5及び図9を用いて説明する。図9は、レバースイッチ装置100の構造を説明する図で、図1(b)に示すA‐A断面を示す断面図である。
【0044】
操作レバー20の被支持部20bに設けられたガイドピン保持穴20cには、図5及び図9に示すように、図示しないコイルばねとガイドピン21の軸部21bが挿入されており、ガイドピン21がコイルばねによってガイドピン保持穴20cの外(図2に示すX1)側に付勢されている。
【0045】
被支持部20bはガイドピン21が挿入された状態でレバー支持体30に設けられた挿通孔30cに挿入され、被支持部20bの両側面に設けられた第1支軸20dが軸受け孔30dに軸支される。挿通孔30cは被支持部20bに対して上下方向には広く、幅方向は略同じ幅で形成されているため、操作レバー20はレバー支持体30に対して第1支軸20dの中心を通る第1の揺動軸C1を支点として図2に示すX‐Z面内で揺動可能に支持される。
【0046】
基板組立体60は図8及び図9に示すように、フレキシブル基板61が基板保持部62の下面側と上面側とを覆うように折り返されて基板保持部62に保持されており、基板保持部62の上面側で第1の固定接点部61aが上方に折り曲げられている。基板保持部62に設けられた突起62aがフレキシブル基板61の第2の固定接点部61bに設けられた位置決め孔61iに挿通されることで、基板保持部62に対してフレキシブル基板61の第2の固定接点部61bが位置決めされる。
【0047】
基板組立体60は、下カバー13の上側に位置決めされ、基部11の下面に設けられたガイド部11eの内側に第2のスライダ50が位置する状態で下カバー13を基部11の下方から上方に向かって圧入することで下カバー13が基部11に嵌め込まれる。基部11に設けられた嵌合孔11fに下カバー13に設けられた側面爪13aが嵌合することで、基部11の内底部11aの下側と下カバー13の上面との間に、基板組立体60と、第2のスライダ50がより確実に保持される。このように組み合わされた状態で、第2のスライダ50はフレキシブル基板61に設けられた第2の固定接点体61eの上側に配置されており、第2のスライダ50に設けられた第2の可動接点52の接点部52aは第2の固定接点体61eの表面に位置している。
【0048】
フレキシブル基板61の第1の固定接点部61aは、基部11の内底部11aに設けられた切欠き部11cを通して、内底部11aの上側に配置されている。第1の固定接点部61aは、側壁挿通孔61gがレバー支持体30に設けられた側壁部30eに挿通されるとともに、位置決め孔61iに位置決め突起30hが挿通されることで、レバー支持体30の一方の側面(図2に示すY2)側に支持されている。この状態では、第1の固定接点部61aに設けられた第1の固定接点61jが第1の揺動軸C1を中心とする第1の円弧に沿って配置されることになる。また、第2の固定接点61kと、第3の固定接点61mが、第1の円弧より径方向に遠い位置に第1の揺動軸C1を中心とする第2の円弧にそって配置されることになる。
【0049】
第1のスライダ40は、第1スライダ本体部41に設けられたスライダ軸部41bが、レバー支持体30に設けられた軸受け孔30dを通して操作レバー20の第1支軸20dの中心部に設けられたスライダ嵌合穴20eに嵌合している。第1のスライダ40の第1スライダ本体部41に設けられた腕部41cの結合孔41dに、レバー支持体30に設けられたポスト部30fが挿通されて組み合わされている。この状態では、第1のスライダ40に設けられた第1の可動接点42の接点部42aは第1の固定接点体61dの表面に位置している。第1スライダ本体部41は、第1の可動接点42の弾性によって、レバー支持体30から離れる(図2に示すY2)方向に付勢され、ポスト部30fの先端に形成された爪部30gによって、第1のスライダ40と第1の固定接点体61dとの距離が規制されている。
【0050】
ハウジング10を構成する基部11の内部には、内底部11aに設けられた第1の軸受け穴11bにレバー支持体30の下側に設けられ第2支軸30aが軸支された状態でレバー支持体30と、ガイド体70が組み合わされて収納されている。この状態では、レバー支持体30に挿入された操作レバー20に保持されたガイドピン21が、操作レバー20の揺動操作に伴って、先端部21aがガイド体70のガイド面70aに案内されるようになる。このため、操作レバー20が操作される範囲を規制するとともに、操作時のクリック感等の操作感触を与えることができる。
【0051】
基部11の上側からは図9に示すように、上カバー12に設けられた第2の軸受け穴12aにレバー支持体30の上側に設けられ第2支軸30aが軸支された状態で上カバー12に覆われている。このため、操作レバー20はレバー支持体30を介してレバー支持体30と一体的に、ハウジング10に対して第1の揺動軸C1と略直交し第2支軸30aの中心を通る第2の揺動軸C2(図2図6参照)を支点として揺動可能に支持される。
【0052】
上カバー12は、基部11に設けられた上側接続部11hによって位置決めされてネジ14によって基部11に固定される。この状態では図9に示すように、レバー支持体30に設けられたスライダ駆動部30bが、基部11の内底部11aに設けられた駆動孔11dを通して、第2スライダ本体部51に設けられた連結孔51aに挿入されて連結されている。
【0053】
次に、レバースイッチ装置100の動作について、図1及び図9図10を用いて説明する。図10はレバースイッチ装置100の動作を示す図であり、図10(a)は操作前のレバースイッチ装置100の状態を示す図で、図10(b)は操作レバー20を下側に操作した後のレバースイッチ装置100の状態を示す図であり、図10(c)は操作レバー20を上側に操作した後のレバースイッチ装置100の状態を示す図である。尚、操作に伴う内部の動作を表すために、ハウジング10を省略し、操作レバー20、ガイドピン21及び第1のスライダ40を二点鎖線で示し、第1の可動接点42に設けられている接点部42aの位置を黒丸で示している。
【0054】
操作レバー20を揺動操作する前の初期状態では図10(a)に示す状態となっている。この状態では第1のスライダ40に設けられた第1の可動接点42の接点部42aは、2つが第1の固定接点61jに接しており、1つが第2の固定接点61kと第3の固定接点61mとの間に位置している。このため、第1の固定接点61jと、第2の固定接点61k及び第3の固定接点61mとは電気的に接続されていない開状態(OFF)となっている。
【0055】
操作レバー20を第1の揺動軸C1を支点として下(図1に示すZ2)側に揺動操作を行うと、揺動操作に伴って操作レバー20に設けられた第1支軸20dは操作された角度だけ回転する。第1支軸20dに設けられたスライダ嵌合穴20eには、第1スライダ本体部41のスライダ軸部41bが嵌合しているので、第1のスライダ40は、操作レバー20の揺動操作に伴って第1の揺動軸C1を支点として操作レバー20と一体に揺動する。このため、第1スライダ本体部41の腕部41cが上側に移動し、第1の可動接点42が第1の固定接点体61dを摺接して図10(b)に示す状態となる。この状態では第1のスライダ40に設けられた第1の可動接点42の接点部42aは、2つが第1の固定接点61jに接しており、1つが第2の固定接点61kに接している。このため、第1の固定接点61jと第2の固定接点61kとが電気的に接続された閉状態(ON)となり、第1の固定接点61jと第3の固定接点61mとは電気的に接続されていない開状態(OFF)となる。
【0056】
操作レバー20を第1の揺動軸C1を支点として上(図1に示すZ1)側に揺動操作を行うと、揺動操作に伴って操作レバー20に設けられた第1支軸20dは操作された角度だけ回転する。第1のスライダ40は、操作レバー20の揺動操作に伴って第1の揺動軸C1を支点として操作レバー20と一体に揺動する。このため、第1スライダ本体部41の腕部41cが下側に移動し、第1の可動接点42が第1の固定接点体61dを摺接して図10(c)に示す状態となる。この状態では第1のスライダ40に設けられた第1の可動接点42の接点部42aは、2つが第1の固定接点61jに接しており、1つが第3の固定接点61mに接している。このため、第1の固定接点61jと第3の固定接点61mとが電気的に接続された閉状態(ON)となり、第1の固定接点61jと第2の固定接点61kとは電気的に接続されていない開状態(OFF)となる。
【0057】
以上のように、操作レバー20を第1の揺動軸C1を支点として揺動動作を行うことで第1のスライダ40が一体的に駆動される。第1のスライダ40が駆動されることで、第1の固定接点61jと、第2の固定接点61k及び第3の固定接点61mとの導通状態を切換えて、操作に応じたON/OFFの状態を出力することができる。
【0058】
操作レバー20を揺動操作する前の初期状態では操作レバー20は揺動操作される範囲の略中間に位置する。この状態では第2のスライダ50に設けられた第2の可動接点52の接点部52aは、1つが第4の固定接点61nに接しており、2つが第5の固定接点61pと第6の固定接点61qとの間に位置している。このため、第4の固定接点61nと、第5の固定接点61p及び第6の固定接点61qとは電気的に接続されていない開状態(OFF)となっている。
【0059】
操作レバー20を第2の揺動軸C2を支点として手前(図1に示すY2)側に揺動操作を行うと、レバー支持体30に設けられた第2支軸30aは操作された角度だけ揺動し、スライダ駆動部30bが奥(図2に示すY1)側に駆動される。第2のスライダ50が奥側に移動することで、第2の可動接点52が第2の固定接点体61eを摺接して、第4の固定接点61nと第5の固定接点61pとが電気的に接続された閉状態(ON)となる。また第4の固定接点61nと第6の固定接点61qとは電気的に接続されていない開状態(OFF)となる。
【0060】
操作レバー20を第2の揺動軸C2を支点として奥(図1に示すY1)側に揺動操作を行うと、スライダ駆動部30bが手前(図2に示すY2)側に移動し、スライダ駆動部30bの移動に伴って第2のスライダ50が手前側に駆動される。第2のスライダ50が手前側に移動することで、第2の可動接点52が第2の固定接点体61eを摺接して、第4の固定接点61nと第6の固定接点61qとが電気的に接続された閉状態(ON)となる。また第4の固定接点61nと第5の固定接点61pとは電気的に接続されていない開状態(OFF)となる。
【0061】
以上のように、操作レバー20を第2の揺動軸C2を支点として揺動動作を行うことで第2のスライダ50が駆動される。第2のスライダ50が駆動されることで第4の固定接点61nと、第5の固定接点61p及び第6の固定接点61qとの導通状態を切換えて、操作に応じたON/OFFの状態を出力することができる。
【0062】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0063】
本実施形態の車両用のレバースイッチ装置100では、操作レバー20と、操作レバー20を第1の揺動軸C1を支点として揺動可能に支持するレバー支持体30と、レバー支持体30を介して操作レバー20を第1の揺動軸C1と略直交する第2の揺動軸C2を支点として揺動可能に支持するハウジング10と、操作レバー20の第1揺動軸を支点としての揺動操作に伴って駆動される第1のスライダ40と、操作レバー20の第2の揺動軸C2を支点としての揺動操作に伴って駆動される第2のスライダ50と、第1のスライダ40に設けられた第1の可動接点42と、第2のスライダ50に設けられた第2の可動接点52と、第1の可動接点42が摺接する第1の固定接点体61dと、第2の可動接点52が摺接する第2の固定接点体61eと、を備え、第1のスライダ40は、操作レバー20の揺動操作に伴って第1の揺動軸C1を支点として操作レバー20と一体に揺動するとともに、第1の固定接点体61dは、第1の揺動軸C1を中心とする円弧に沿って複数の固定接点(61j,61k、61m)が配置される構造とした。
【0064】
これにより、第1のスライダ40が操作レバー20の揺動操作と一体に揺動するので、操作による動きを直線運動等の他の動きに変換する必要がないので簡単な構造となる。また動きを変換するための部品も不要となるため部品点数を少なくすることができるので組立性を向上することができる。従って、構造が簡単で組立性が良い車両用のレバースイッチ装置を提供することができる。ことができる。
【0065】
また、本実施形態のレバースイッチ装置100では、第1の固定接点体61dが配置される第1の固定接点部61aと、第2の固定接点体61eが配置される第2の固定接点部61bと、第1の固定接点部61aと第2の固定接点部61bとを接続する接続部61cと、を有し第1の固定接点部61aと第2の固定接点部61bと接続部61cとが一体のフレキシブル基板61に形成されている構造とした。
【0066】
これにより、第1の固定接点部61aと第2の固定接点部61bと接続部61cとが一体のフレキシブル基板61に形成されているので、第1の固定接点部61aと第2の固定接点部61bが同一平面上に配置されない場合でも簡単に組み立てることができる。
【0067】
また、本実施形態のレバースイッチ装置100では、レバー支持体30には、第1のスライダ40と組み合うポスト部30fが設けられ、ポスト部30fの先端には爪部30gが形成され、爪部30gによって、第1のスライダ40と第1の固定接点体61dとの距離が規制されている構造とした。
【0068】
これにより、爪部30gによって、第1のスライダ40と第1の固定接点体61dとの距離が規制されているので、第1の可動接点42の弾性力による、摺動面への接触圧を一定に保つことができ、第1の固定接点体61dと安定した離接をすることができる。また、ポスト部30fの先端に爪部30gを形成したので、レバー支持体30に第1のスライダ40を組み付ける場合スナップインで簡単に組み立てることができる。
【0069】
以上のように、本発明の実施形態に係る車両用のレバースイッチ装置100を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0070】
(1)本実施形態において、第1の固定接点部61aと第2の固定接点部61bと接続部61cとが一体のフレキシブル基板61に形成されている例を示して説明を行ったが、第1の固定接点部と第2の固定接点部をガラスエポキシ等の基材を用いた基板で構成し、接続部をフレキシブル基板で構成し、これらを接続して一体的に構成するように変更しても良い。
【0071】
(2)本実施形態において、レバー支持体30には、第1のスライダ40と組み合うポスト部30fが二カ所に設けられている例を示して説明を行ったが、ポスト部の数や位置は適宜変更して実施しても良い。
【符号の説明】
【0072】
10 ハウジング
11 基部
12 上カバー
13 下カバー
14 ネジ
20 操作レバー
21 ガイドピン
21a 先端部
21b 軸部
30 レバー支持体
30a 第2支軸
30b スライダ駆動部
30c 挿通孔
30d 軸受け孔
30e 側壁部
30f ポスト部
30g 爪部
30h 位置決め突起
40 第1のスライダ
41 第1スライダ本体部
41a スライダ基部
41b スライダ軸部
41c 腕部
41d 結合孔
42 第1の可動接点
42a 接点部
50 第2のスライダ
51a 連結孔
52 第2の可動接点
52a 接点部
60 基板組立体
61 フレキシブル基板
61a 第1の固定接点部
61b 第2の固定接点部
61c 接続部
61d 第1の固定接点体
61e 第2の固定接点体
61g 側壁挿通孔
61h ポスト挿通孔
61i 位置決め孔
61j 第1の固定接点
61k 第2の固定接点
61m 第3の固定接点
61n 第4の固定接点
61p 第5の固定接点
61q 第6の固定接点
62 基板保持部
62a 突起
70 ガイド体
70a ガイド面
100 レバースイッチ装置
C1 第1の揺動軸
C2 第2の揺動軸


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11