特許第6249539号(P6249539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249539
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】テーパーねじの切削方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 15/06 20060101AFI20171211BHJP
   E21B 17/042 20060101ALI20171211BHJP
   B23G 1/22 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   F16L15/06
   E21B17/042
   B23G1/22 A
【請求項の数】30
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-12824(P2017-12824)
(22)【出願日】2017年1月27日
(62)【分割の表示】特願2014-545396(P2014-545396)の分割
【原出願日】2012年11月21日
(65)【公開番号】特開2017-125613(P2017-125613A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2017年1月27日
(31)【優先権主張番号】13/315,354
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516242471
【氏名又は名称】テナリス・コネクシヨンズ・ベー・ブイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガストン・マウロ・マザフエロ
(72)【発明者】
【氏名】トマソ・コツポラ
(72)【発明者】
【氏名】ステフアノ・アマート
(72)【発明者】
【氏名】ラモン・アルベルト・アギラル・アルメンダリス
(72)【発明者】
【氏名】フイリツプ・ピエール・ダルシス
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−231589(JP,A)
【文献】 米国特許第4549754(US,A)
【文献】 国際公開第2006/092649(WO,A1)
【文献】 米国特許第5060740(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1705415(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0038476(US,A1)
【文献】 米国特許第5163523(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0156385(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/06
B23G 1/22
E21B 17/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状要素の一末端上にテーパー雄ねじを切削する方法であって、前記方法が、
管状要素を提供する工程と、
前記管状要素の一末端上にテーパー雄ねじを切削する工程とを有し、ここで、前記テーパー雄ねじが、テーパーねじ谷の面とねじ切りの長手方向軸(aa)間で測定される第1のテーパー角度(β)をもつテーパーねじ谷の面を有し、前記テーパーねじ谷の面が第1の末端において、スタビングフランクに対して一定の曲率半径の凹状湾曲面により接線方向に接合され、前記テーパーねじ谷の面が第2の末端において、ねじ谷の溝に対して一定の曲率半径の凸状湾曲面により接合され、
前記ねじ谷の溝がテーパーねじ谷の面からロードフランクに延伸し、前記ねじ谷の溝が、変動可能な曲率半径をもつ第1の楕円面を有する第1の部分を含み、前記第1の楕円面が楕円の一部であり、そして
前記ねじ谷の溝が更に、変動可能な曲率半径をもつ第2の楕円面を有する第2の部分を含み、前記第2の楕円面が第2の楕円の一部であり、前記第2の楕円面が第1の末端において、第1の楕円面に対し接線方向に接合され、そして前記第2の楕円面が第2の末端において、ロードフランクに対し接線方向に接合される、
切削方法。
【請求項2】
テーパーねじ谷の面がネジ切り軸(aa)に平行であるように、第1のテーパー角度(β)が0度である、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項3】
第1のテーパー角度(β)が、雄ネジのスタビングフランクとネジ切り軸(aa)間で測定される角度の測定値より小さい、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項4】
ネジ切り軸(aa)と管状要素の側壁の長手方向軸(dd)間で測定される角度シータが1.5度〜12度の間である、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項5】
第2の楕円の長軸(cc)がロードフランクに垂直に配置されている、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項6】
第1の楕円の長軸(bb)が第2の楕円の長軸(cc)に垂直である、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項7】
第1の楕円の長軸(bb)が第2の楕円の短軸と一直線である、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項8】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして、第2の楕円が、第1の楕円の長軸(bb)に沿った直径(D1)に等しい長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第2の楕円が、第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)に等しい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項9】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および、短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして、第2の楕円が、第1の楕円の長軸(bb)に沿った直径(D1)に等しい、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第2の楕円が、第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)より大きい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項10】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして、第2の楕円が、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)より大きい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項11】
第1の楕円が、長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして、第2の楕円が、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)より小さい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項12】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして、第2の楕円が、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもちそして短軸に沿った第2の直径(D4)をもち、そして、第2の楕円の長軸(cc)に沿った直径(D3)が、第1の楕円の長軸(bb)に沿った直径(D1)より小さい、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項13】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして、第2の楕円が、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもちそして短軸に沿った第2の直径(D4)をもち、そして、第2の楕円の長軸(cc)に沿った直径(D3)が、第1の楕円の長軸(bb)に沿った直径(D1)より大きい、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項14】
ロードフランクがロードフランクとねじ切り軸(aa)に対する垂線との間で測定される角度に関して配置され、前記角度が−9〜5度の間の範囲にある、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項15】
第2の楕円面が第1の末端で、ねじ谷の溝の底部を区画する接合点において第1の楕円面に接線方向に接合される、請求項1のテーパー雄ねじの切削法。
【請求項16】
管状要素の一末端上にテーパー雌ねじを切削する方法で、前記方法が、
管状要素を提供する工程と、
前記管状要素の一末端上にテーパー雌ねじを切削する工程とを有し、ここで前記テーパー雌ねじが、テーパーねじ谷の面とねじ切りの長手方向軸(aa)との間で測定される第1のテーパー角度(β)をもつテーパーねじ谷の面を有し、前記テーパーねじ谷の面が第1の末端において、スタビングフランクに対して一定の曲率半径の凹状湾曲面により接線方向に接合され、前記テーパーねじ谷の面が第2の末端において、ねじ谷の溝に対して一定の曲率半径の凸状湾曲面により接合され、
前記ねじ谷の溝がテーパーねじ谷の面からロードフランクに延伸し、前記ねじ谷の溝が、変動可能な曲率半径をもつ第1の楕円面を有する第1の部分を含み、前記第1の楕円面が楕円の一部であり、そして
前記ねじ谷の溝が更に、変動可能な曲率半径をもつ第2の楕円面を有する第2の部分を含み、前記第2の楕円面が第2の楕円の一部であり、前記第2の楕円面が第1の末端で、第1の楕円面に対し接線方向に接合され、そして前記第2の楕円面が第2の末端で、ロードフランクに対し接線方向に接合される、
切削方法。
【請求項17】
テーパーねじ谷の面がネジ切り軸(aa)に平行であるように、第1のテーパー角度(β)が0度である、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項18】
第1のテーパー角度(β)が雄ねじのスタビングフランクとねじ切り軸(aa)間で測定される角度の測定値より小さい、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項19】
ねじ切り軸(aa)と管状要素の側壁の長手方向軸(dd)間で測定される角度シータが1.5度〜12度間である、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項20】
第2の楕円の長軸(cc)がロードフランクに垂直に配置される、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項21】
第1の楕円の長軸(bb)が第2の楕円の長軸(cc)に垂直である、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項22】
第1の楕円の長軸(bb)が第2の楕円の短軸と一直線である、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項23】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして、第2の楕円が第1の楕円の長軸(bb)に沿った直径(D1)に等しい、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第2の楕円が、第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)に等しい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項24】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして、第2の楕円が、第1の楕円の長軸(bb)に沿った直径(D1)に等しい長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第2の楕円が、第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)より大きい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項25】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして、第2の楕円が、長軸(cc)に沿った、前以て決定された直径(D3)をもち、そして第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)より大きい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項26】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして第2の楕円が、長軸(cc)に沿った、前以て決定された直径(D3)をもち、そして第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)より小さい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項27】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして第2の楕円が、長軸(cc)に沿った、前以て決定された直径(D3)をもちそして短軸に沿った第2の直径(D4)をもち、そして第2の楕円の長軸(cc)に沿った直径(D3)が、第1の楕円の長軸(bb)に沿った直径D1より小さい、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項28】
第1の楕円が長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして第2の楕円が長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして短軸に沿った第2の直径(D4)をもち、そして第2の楕円の長軸(cc)に沿った直径(D3)が、第1の楕円の長軸(b
b)に沿った直径(D1)より大きい、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項29】
ロードフランクが、ロードフランクとねじ切り軸(aa)に対する垂線との間で測定される角度に対して配置され、前記角度が−9度〜5度の範囲にある、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【請求項30】
第2の楕円面が第1の末端において、ねじ谷の溝の底部を区画する接合点において、第1の楕円面に接線方向に接合される、請求項16のテーパー雌ねじの切削法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概括的に管連結に関し、そしてとりわけ、疲れ抵抗を改善する改良されたねじ山の谷の形状のデザインをもつ、ねじ接続に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油およびガス田(リザーバ)は地中の比較的深部、または到達困難な場所に発見されるために、石油、またはより一般的には炭化水素の探索は、ハードウェアおよび装置に関して更に要求が厳しくなっている。
【0003】
多数の陸上の掘削および生産活動は、高度な疲れ抵抗性をもつ管状連結、例えば、掘削装置および熱による装置を必要とする。
【0004】
更に、深海環境(沖合の適用)における炭化水素田の探索および生産が増加し、また、疲れおよび腐食のような環境的試練に更に耐久性のある管状連結を必要とする。
【0005】
海上プラットフォームは海上に配置された生産施設をもつ。これらの施設はしばしば、海底の下に横たわる炭化水素田の探索のために使用される。これらのプラットフォームは海底に固定され、海底下のリザーバ中に掘削される井戸からの炭化水素を送達するために管状のひもが使用される。管状のひもは時々、当該技術分野で「ライザー(risers)」と呼ばれる。
【0006】
これらのライザーのひもは海中に沈められ、海流および海面の波の動きにより引き起こされる動きにさらされる。海の連続的および周期的な運動のために、管状のひもは不動のままでおらず、管状連結の特定の部分に変形を形成する可能性がある、僅かな大きさ(magnitude)の側面への動きにさらされる。これらのライザーのひもは、管および管状連結において、とりわけねじ接続の領域に関して、疲れ応力を誘発する荷重に耐えなければならない。これらの応力は、管および/または、ねじの近位における連結、に破壊を引き起こす傾向があり、ねじ接続の疲れ抵抗を改善する必要がある。
【0007】
幾つかの先行技術の特許、例えば特許文献1および2は、ライザーのコネクターを含む、疲れにさらされるフランクとフランク(「FtF」)の係合タイプの連結を開示している(特許文献1、2参照)。
その他の先行技術の従来の締まりばめのねじ接続(APIノコ歯スタイルのねじ形態を含む)は、そのねじが、組み込み時に片方のみのねじフランクに沿ってかみ合う形状をもつ。このタイプの連結は接触するフランクの荷重を完全に取り外し、反対側のフランクが接触するまで、ピンと軸継ぎ手(coupling)間の相対的動きに耐え、そして次に新たに接触するフランクに荷重を移動しなければならない。反復される、周期的な側面の荷重および荷重の移動は、これらの連結タイプを特に疲れ破壊に影響を受けやすくさせる。
【0008】
フランクとフランク(FtF)のねじにおいては、組み込み時にスタビングフランクとロードフランクの両者間に接触が実施される。ねじ山とねじの谷との間に透き間が存在する。ねじは他方の部材のかみ合う歯より広い、一方の部材のねじの歯を考慮するようになっている(例えば、フランクとフランクの締まり)。フランクの傾きにより、接触力(フランクの面に垂直)は軸方向に主成分を配置させ、ねじの歯を形成する材料を圧迫する。フランクとフランクの締まりを達成するためには、主として歯の弾性上に接触力が働く。歯の弾性は非常に低く、そのため、組み込み中に、高い接触圧が達せられる。これが、組み込み中に、FtFねじが高い磨損傾向を有する理由を説明する。
【0009】
FtFねじの更なる欠点は、管の軸に垂直な面に比較して、測定されるねじの食付き(lead−in)フランクの、非常に強い傾斜角度に対して存在する。圧迫力が特定の限度を超えると、このタイプの解決法は「ジャンプイン」と定義される現象の開始を助けるために、連結の圧迫作用は満足ではない。ジャンプインは、雄型管セグメントが雌型セグメント内に滑り込んで、二片のねじ切りにより与えられる抵抗を超える時に起こる。この現象は、ねじの引き込み角度が傾くほど、より頻繁に起こる。
【0010】
FtFタイプのねじのその他の欠点は、それが管の内部の流体の機密性シールを保証しない、結果的危険性を伴う、接合部の焼き付き(seizure)の高い危険性にさらされることである。焼き付き効果のために、接合部のねじ込み操作(組み込み)が進行するに従ってトルクが著明に変動する。このタイプの接合部は典型的に、より多くの湾曲部(turns)を有する。これが接合部を製造する際の困難を誘発し、正確な組み込みトルクを適用する際の不正確性の可能性を作り出す。
【0011】
ねじ山からねじ谷(CtR)のねじ(本開示のねじ接続に使用される)においては、組み込み時に、一対のかみ合いフランク(引っ張りに対するロードフランク、または圧迫に対するスタビングフランク)間の接触、および更にねじ山とねじ谷間の接触が実施される。CtRねじは、ねじ山とねじ谷の間に締まりを考慮して設計されている。この場合は、接触力(ねじ山/谷の面に垂直)の主成分は放射方向に配置され、従って、管を幾何学的に変形することにより、管状体の弾性を利用して、締まりが達成される。締まりのごく小部分のみがねじの歯の弾性により達成されるので、歯の上に達成される接触圧はFtFねじの場合より低く、従って組み込み中の磨損傾向が軽減される。
【0012】
本開示のCtRデザインは最適な疲労性能および更に組み込み中の非常に低い磨損の傾向を有する。従って、微細な亀裂の存在(このような磨損による)が最少化される。
【0013】
本開示物は、一体の連結、ねじ接続および結合接続(coupled connection)において、そして大きい外径(OD)のねじ込みコネクターにおいて、沖合および陸上の適用に対して使用することができる。生産用ライザーに使用される2つの主要タイプの大きい外径のねじ込みコネクターがある。第1のタイプは当該技術分野において「溶接」タイプと呼ばれ、ピンとボックスが厚肉の材料から別々に機械加工され、次に管に溶接される。当該技術分野で「ねじ接続」タイプと呼ばれる第2のタイプにおいては、ピンが典型的に管末端上に直接機械で加工される。ボックスは、管の末端を一緒に接合するために使用される、連結の両端中に加工される。
【0014】
更に、本開示のデザインは、内部および/または外部および/または中間の、金属から金属のシール構造、内部および外部エラストマーシール、中間の金属から金属のシールおよび2段階ねじ、と組み合わせることができる。大口径のコネクターに対しては、本開示のねじ形状と一緒に、スタビングガイドおよび回転抑制装置も使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7,780,202号明細書
【特許文献2】米国特許第6,609,735号明細書
【発明の概要】
【0016】
要約
本明細書には、疲れ応力を低減するための、ねじ谷に二重楕円をもつねじ接続デザインが開示される。本開示のデザインにおいて、二重楕円の構造(可変の半径をもつ湾曲面で
あり、一定の半径をもつ円の弧ではない)を使用して、応力集中部分(ねじ谷とロードフランク間の接合部に位置)の半径が増加される。この構造が応力集中部分の半径を最大にさせるがまた、ロードフランク間の接触のロスを最小にし、更に、連結領域を最小にし、「危険域(critical section)」が減少される。この形状の他の利点は、応力集中部分がピンとボックスとの間の接触地点から離され、そのため応力集中部分上の緊張状態が接合部の疲労性能に対して、より有利である点である。本明細書に開示される新規デザインにおいて、ロードフランクと、ねじ山とねじ谷間の最大の接触が確保され、従って接続の部品間の相対的動きが最小にされる。概括的に、本開示中のねじ谷の面の形状は、二重楕円の形状をもつ直線部分と湾曲部分により構成される。
【0017】
とりわけ、管状要素の一末端上に配置される雄ねじまたは雌ねじのデザインが開示される。雄ねじまたは雌ねじは、ねじ切りの長手方向軸(aa)から測定される、第1のテーパー角度(β)をもつテーパーねじ谷の面を含み、前記テーパーねじ谷の面が第1の末端で、スタビングフランクに対して一定の曲率半径の凹状湾曲面により接線方向に接合され、前記テーパーねじ谷の面が第2の末端で、ねじ谷の溝に対し、一定の曲率半径の凸状湾曲面により接合されている。ねじ谷の溝はテーパーねじ谷の面からロードフランクに延伸する。
【0018】
ねじ谷の溝は、変動可能な曲率半径をもつ第1の楕円面を含んでなる第1の部分を含み、前記第1の楕円面が楕円の一部であり、そして前記ねじ谷の溝が更に、変動可能な曲率半径をもつ第2の楕円面を含んでなる第2の部分を含み、前記の第2の楕円面が第2の楕円の一部であり、前記の第2の楕円面が第1の末端において、ねじ谷の溝の底部を区画する接合点において第1の楕円面に対し接線方向に接合され、そして前記の第2の楕円面が第2の末端において、ロードフランクに対して接線方向に接合されている。ねじ谷の溝の底部は、テーパーねじ谷の面のレベルより下方で管状要素の側壁に配置されている。
【0019】
テーパーねじ谷の面(101)は、テーパーねじ谷の面101とねじ切りの長手方向軸(aa)間で測定される第1のテーパー角度(β)を含む。幾つかの実施において、第1のテーパー角度(β)は、テーパーねじ谷の面(101,301)がねじ切りの軸(aa)に平行であるように、0度である。他の実施において、第1のテーパー角度(β)は0度より大きいが、雄ねじのスタビングフランク220とねじ切り軸(aa)間で測定される角度の測定値より小さい。
【0020】
幾つかの実施において、ねじ切りの軸(aa)と管状要素(11)の側壁の長手方向軸(dd)との間で測定される角度シータは1.5度〜12度の間である。
【0021】
本開示において、第2の楕円の長軸(cc)は、ロードフランクに垂直に配置され、そして第1の楕円の長軸(bb)は第2の楕円の長軸(cc)に垂直である。第1の楕円の長軸(bb)は第2の楕円の短軸と一致する(concurrent with)。
【0022】
幾つかの実施において、第1の楕円と第2の楕円は同一サイズである。例えば、第1の楕円は長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および、短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして第2の楕円は第1の楕円の長軸(bb)に沿った直径(D1)に等しい、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第2の楕円は第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)に等しい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ。
【0023】
他の実施において、楕円は異なる形態をもつことができる。例えば、第1の楕円は長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして第2の楕円は、第1の楕円の長軸(bb)に沿っ
た直径(D1)に等しい、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第2の楕円は、第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)より大きい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ。他の実施において、第2の楕円の短軸に沿った第2の直径(D4)は、第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)より大きいが、D1の直径は必ずしもD3の直径に等しいとは限らない。他の実施において、短軸に沿った第2の直径(D4)は、第1の楕円の短軸に沿った直径(D2)より小さい。他の実施において、第2の楕円の長軸(cc)に沿った直径(D3)は、第1の楕円の長軸(bb)に沿った直径(D1)より小さい。他の実施において、第2の楕円の長軸(cc)に沿った直径(D3)は第1の楕円の長軸(bb)に沿った直径(D1)より大きい可能性がある。一つ以上の前記の楕円の直径形態のあらゆる組み合わせ物を本発明の実施に組み合わせることができることは理解されると考えられ、また明白に開示されている。
【0024】
幾つかの実施において、ロードフランクはねじ谷の溝から傾斜して離れ、ロードフランクと、ねじ切り軸(aa)に対する垂線との間で測定される角度は0度〜5度の範囲にある。これは当該技術分野で台形ねじと呼ばれる。他の実施において、ロードフランクはねじ谷の溝に向かって傾斜し、そしてロードフランクと、ねじ切り軸(aa)に対する垂線との間で測定される角度は0度〜−9度である。これは当該技術分野でフックねじと呼ばれる。
【0025】
本発明の二重楕円のねじ谷形状の様々な実施は、テーパー軸(aa)をもつテーパー雄ねじを含む雄型管状要素、およびテーパー軸(aa)をもつテーパー雌ねじを含む雌型管状要素、を有するねじ連結に使用することができ、前記雌ねじは、ねじ接続が組み込まれる時に雄ねじと協力する。雄ねじと雌ねじの少なくとも一方におけるねじ谷の面は、テーパーねじ谷の面101とねじ切りの長手方向軸(aa)間で測定される第1のテーパー角度(β)をもつテーパーねじ谷の面を含み、前記テーパーねじ谷の面が第1の末端で、スタビングフランクに対し、一定の曲率半径の凹状湾曲面により接線方向に接合され、前記テーパーねじ谷の面が第2の末端で、ねじ谷の溝に対し、一定の曲率半径の凸状湾曲面により接合されている。ねじ谷の溝はテーパーねじ谷の面からロードフランクに延伸する。ねじ谷の溝は変動可能な曲率半径をもつ第1の楕円面を含んでなる第1の部分、を含み、前記第1の楕円面が楕円の一部であり、そして前記ねじ谷の溝が更に、変動可能な曲率半径をもつ第2の楕円面を含んでなる第2の部分を含み、前記第2の楕円面が第2の楕円の一部であり、前記第2の楕円面が第1の末端において、ねじ谷の溝の底部を区画する接合点において、第1の楕円面に対し接線方向に接合され、そして前記第2の楕円面が第2の末端において、ロードフランクに対し接線方向に接合されている。ねじ谷の溝の底部はテーパーねじ谷の面のレベルより下方で管状要素の側壁に配置されている。
【0026】
本発明の二重楕円のねじ谷形状の、テーパー雄ねじまたは雌ねじを切削する方法が開示される。該方法は、管状要素を提供する方法、前記管状要素の一末端上にテーパー雄ねじまたは雌ねじを切削する方法、を含み、ここで前記テーパー雄ねじまたは雌ねじがテーパーねじ谷の面101とねじ切りの長手方向軸(aa)との間で測定される第1のテーパー角度(β)をもつテーパーねじ谷の面を含み、前記テーパーねじ谷の面が第1の末端において、スタビングフランクに対して一定の曲率半径の凸状湾曲面により接線方向に接合され、前記テーパーねじ谷の面が第2の末端において、ねじ谷の溝に対して一定の曲率半径の凹状湾曲面により接合される。ねじ谷の溝はテーパーねじ谷の面からロードフランクに延伸する。ねじ谷の溝は、変動可能な曲率半径をもつ第1の楕円面を含んでなる第1の部分を含み、前記第1の楕円面が楕円の一部であり、そして前記ねじ谷の溝が更に、変動可能な曲率半径をもつ第2の楕円面を含んでなる第2の部分を含み、前記第2の楕円面が、第2の楕円の一部であり、前記第2の楕円面が第1の末端において、ねじ谷の溝の底部を区画する接合点において第1の楕円面に対して接線方向に接合され、そして前記第2の楕円面が、第2の末端において、ロードフランクに対して接線方向に接合される。ねじ谷の
溝の底部はテーパーねじ谷の面のレベルより下方で管状要素の側壁に配置される。
【0027】
本発明の一つ以上の実施の詳細は添付の図面および以下の説明中に示される。発明のその他の特徴物、目的および利点は、該説明および図面から、そして請求の範囲から明白になると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は疲れ応力を低減するための、ねじ谷に二重の楕円をもつねじ接続デザインの第1の実施の部分断面図である。
図1A図1Aはねじのテーパー角度が説明の目的で更に拡大されている図1の断面図の拡大部分である。
図2図2は疲れ応力を低減するための、ねじ谷に二重の楕円をもつねじ接続のデザインの第2の実施の部分断面図である。
図2A図2Aは、ねじのテーパー角度が説明の目的のために更に拡大されている、図2の断面図の拡大部分である。
図3図3は疲れ応力を低減するための、ねじ谷に二重の楕円をもつねじ接続デザインの第3の実施の部分断面図である。
図3A図3Aはねじのテーパー角度が説明の目的のために更に拡大されている図3の断面図の拡大部分である。
図4A-4D】図4A〜4Dはねじ山からねじ谷(CtR)ねじの、異なるねじ谷形状を表す部分断面図である。
図5図5図1のねじ切り形状をもつ管状連結の部分断面図である。
図6図6図2のねじ切り形状をもつ管状連結の部分断面図である。
図7図7図3のねじ切り形状をもつ管状連結の部分断面図である。
図8A図8Aは標準の先行技術のCtRねじの疲れ破壊に対する推定周期を示す、有限要素解析作成データのグラフ表示である。
図8B図8Bは本開示の二重楕円ねじの、疲れ破壊に対する推定周期を示す、有限要素解析作成データのグラフ表示である。
図9A図9Aは標準の先行技術のCtRねじの応力分布を示す、有限要素解析作成データのグラフ表示である。
図9B図9Bは本開示の二重楕円ねじの応力分布を示す有限要素解析法作成データのグラフ表示である。
【0029】
様々な図面における類似の参照記号は類似の要素を示す。
【0030】
詳細な説明
図1においては、疲れ応力を低減するための、ねじ谷に二重の楕円をもつねじ接続デザインの第1の実施が示される。管状要素は管状要素11のピン末端12上に雄ねじ100を配置されている。
【0031】
雄ねじ100はテーパーねじ谷の面101を含む。図1に示した第1の実施において、テーパーねじ谷の面101はねじ切り軸(aa)に平行である。ねじ切り軸(aa)は管11の壁の長手方向軸(dd)とほぼ2.4度の角度θを形成する。本実施におけるシータの範囲は約1.5度〜12度、そしてより好適には1.5度〜4.5度の範囲にあることができる。本実施形態において、テーパーねじ谷の面101はねじ切りの軸(aa)に平行であるので、テーパーねじ谷の面101とねじ切り軸(aa)との間の角度βは0に等しいと考えられることは理解されるであろう。しかし、本実施形態の修正案において、角度βは他の値をもつことができる(例えば、図2を参照されたい)。
【0032】
テーパーねじ谷の面101は第1の末端で、スタビングフランク120に対して一定の
曲率半径の凹状湾曲面102により接線方向に接合され、そしてテーパーねじ谷の面101は第2の末端で、ねじ谷の溝103に対して一定の曲率半径の凸状湾曲面104により接合されている。ねじ谷の溝103は、テーパーねじ谷の面101からロードフランク150に延伸する。
【0033】
ねじ谷の溝103は、変動可能な曲率半径をもつ第1の楕円面106を含んでなる第1の部分を含む。第1の楕円面106は楕円107の一部である。ねじ谷の溝103は更に、変動可能な曲率半径を伴う第2の楕円面108をもつ第2の部分を含む。第2の楕円面は第2の楕円110の一部である。第2の楕円面108は第1の末端で、ねじ谷の溝103の底部を区画する接合点109において第1の楕円面106に対して接線方向に接合されている。第2の楕円面は第2の末端で、ロードフランク150に対し接線方向に接合されている。
【0034】
ねじ溝103の底部は、テーパーねじ谷の面101のレベルより下方に配置されている。
【0035】
第1の楕円107の長軸(bb)は第2の楕円110の長軸(cc)に垂直に配置され、そして第1の楕円107の長軸(bb)は第2の楕円110の短軸と同一である(一直線であり、重なる)。この形態が、楕円107と110が接合点109において接線方向に接合することを確実にする。
【0036】
図1に示した第1の実施において、第2の楕円110の長軸(cc)はロードフランク150に垂直に配置されている。この形態は、第2の楕円110がロードフランク150に対して接線方向に接合されることを確実にする。
【0037】
図1に示した第1の実施において、第1の楕円107は長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および、短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして第2の楕円110は、第1の楕円107の長軸(bb)に沿った直径(D1)に等しい、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第2の楕円110は、第1の楕円107の短軸に沿った直径(D2)に等しい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ。この形態において、第1の楕円107と第2の楕円110は同一の形態をもつ。あるいはまた、ねじ切り100のデザインにおいて、第1の楕円107と第2の楕円110は異なる相対的直径をもつことができることは理解されるであろう。例えば、第1の楕円107は図1に示した実施より長く、そしてより狭い可能性がある(例えば、その楕円は図2に示した楕円207に類似の形態をもつことができる)。
【0038】
雌型ボックス状連結は、前記に図示され、考察された雄ねじ100と同様な要素および形状をもつことができることは理解されると考えられる。
【0039】
今度は図5において、第2の管13の雌型ボックスの末端14に対して組み込まれたテーパー雄ねじ100(図1に示したような)をもつ雄型ピン末端12を伴う第1の管11をもつ管状接続10が示される。雌型ボックスの末端14は雄ねじ100と同じねじ切り形状100を伴って示される。以下に考察されるように、雄ねじと雌ねじは同一でなければならないことはなく、雄ねじまたは雌ねじのいずれかは、以下に考察されるような変更部分をもつことができることは理解されると考えられる。
【0040】
図1、1Aおよび5に示される第1の実施において、ロードフランク150はねじ谷の溝103から正の方向に傾斜している(図1Aは説明の目的のために誇張されたロードフランク150の角度をもつことに気づくと考えられる)。このようなねじ形態は当該技術分野で台形ねじと呼ばれる。ねじ切りの軸(aa)対する垂線で測定されるロードフラン
クの角度は概括的に0度〜5度、そしてより好適には1.5度〜5度の範囲にあり、そして好適には約3度である。更に、0°からの角度(すなわち、ねじ切りの軸(aa)に垂直なロードフランク)も使用することができる。更に、本実施形態のバリエーションとして、−9°〜0(例えば、図3aを参照されたい)の負のフランク角度も使用することができる。すなわち、ロードフランクの角度範囲は−9°〜5°の範囲にあることができ、本実施形態の好適な範囲は1.5°〜5°であり、好適な値は3°である。
【0041】
図2に関しては、疲れ応力を軽減するための、ねじ谷に二重の楕円をもつねじ接続デザインの第2の実施が示される。ねじ切り軸(aa)が、管の壁21の長手方向軸(dd)とほぼ2.4度の好適な角度シータを形成する。本実施におけるシータの範囲は約1.5度〜12度、そしてより好適には1.5〜4.5度の範囲にあることができる。
【0042】
第2の実施において、テーパーねじ200は、ねじ谷の面201とねじ切りのテーパー軸(aa)間で測定されるテーパー角度(β)において配置されたテーパーねじ谷の面201を含む。ねじ切りのテーパーの軸(aa)から測定されるテーパー角度(β)は、スタビングフランク(220)とねじ切りの軸(aa)間の測定角度より小さい。テーパーねじ谷の面201は第1の末端において、スタビングフランク220に対し一定の曲率半径の凹状湾曲面202により接線方向に接合され、そしてテーパーねじ谷の面201は、第2の末端において、ねじ谷の溝203に対し一定の曲率半径の凸状湾曲面204により接合されている。ねじ谷の溝203はテーパーねじ谷の面201からロードフランク250に延伸する。
【0043】
ねじ谷の溝203は変動可能な曲率半径をもつ、第1の楕円面206をもつ第1の部分を含む。第1の楕円面206は楕円207の一部である。ねじ谷の溝203は更に、変動可能な曲率半径を伴う第2の楕円面208をもつ第2の部分を含む。第2の楕円面は第2の楕円210の一部である。第2の楕円面208は第1の末端において、ねじ谷の溝203の底部を区画する接合点209において第1の楕円面206に接線方向に接合されている。第2の楕円面は第2の末端において、ロードフランク250に対し接線方向に接合されている。溝203の底部はテーパーねじ谷の面201のレベルより下方に配置されている。
【0044】
第1の楕円207の長軸(bb)は第2の楕円210の長軸(cc)に垂直に配置され、そして第1の楕円207の長軸(bb)は第2の楕円210の短軸と同一である(一直線上にあり、重複する)。この形態が、楕円207と210が接合点209において接線方向に接合することを確実にする。
【0045】
図2に示した第2の実施において、第2の楕円210の長軸(cc)はロードフランク250に垂直に配置されている。この形態が、第2の楕円210がロードフランク250に接線方向に接合されることを確実にする。
【0046】
第2の実施において、第1の楕円207は、長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして第2の楕円210は、第1の楕円207の長軸(bb)に沿った直径(D1)に等しい、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第2の楕円210は、第1の楕円207の短軸に沿った直径(D2)より大きい、短軸に沿った第2の直径(D4)をもつ。あるいはまた、ねじ切り200のデザインにおいて、第1の楕円207と第2の楕円210は異なる相対的直径をもつことができることは理解されると考えられる。例えば、第2の楕円210は、第1の楕円の長軸に沿った直径(D1)より大きいことができる、長軸に沿った第1の直径(D3)をもつことができる。
【0047】
雌型ボックス連結は、前記に示され、考察された雄ねじ200と同様な要素および形状をもつことができることは理解されると考えられる。
【0048】
今度は図6においては、第2の管23の雌型ボックスの末端24に組み込まれたテーパー雄ねじ200(図2に示したような)をもつ雄型ピンの末端22を伴う第1の管21をもつ管状連結20が示される。雌型ボックスの末端24は修正されたねじ切り形状100(図3に示したような)を伴って示される。表面が適切にかみ合うようになっている限り、図6に示されるように雄ねじと雌ねじは同一である必要はないことは理解されると考えられる。更に、雄ねじと雌ねじは図1と5に関して本明細書で以前に考察されたように、同一であることができることも理解されると考えられる。
【0049】
第2の実施において(図2、2Aおよび6を参照)、ロードフランク250はねじ谷の溝203から離れて正に傾斜する。(図2Aは、説明の目的のために誇張されたロードフランク150の角度をもつことを認めるであろう)。このようなねじ形態は、当該技術分野で台形ねじと呼ばれる。ロードフランク250の、管のねじ切りの軸(aa)に対する垂線との間で測定される角度は概括的に0〜5度、そしてより好適には1.5〜5度の範囲にあり、そして好適には約3度である。本実施形態のバリエーションにおいて、0°の角度(すなわち軸(aa)に垂直なロードフランク)も使用することができる。更に、−9°〜0°の負のフランク角度(例えば、図3を参照)もまた、本実施形態に使用することができる。すなわち、ロードフランクの角度は−9°の〜5°の範囲にあることができ、本実施形態の好適な範囲は1.5°〜5°であり、好適な値は3°である。
【0050】
図3において、疲れ応力を軽減するための、ねじ谷に二重楕円をもつねじ接続のデザイン300の第3の実施が示される。テーパー雄ねじ300はテーパーねじ谷の面301を含む。ねじ切り軸(aa)は約8度の管の長手方向軸(dd)との好適な角度シータを形成する。本実施におけるシータの範囲は約1.5°〜12°、そしてより好適には4.5度〜12度の範囲にあることができる。
【0051】
図3に示される第3の実施において、テーパーねじ谷の面301は、図1の実施におけるようなねじ切り軸(aa)に平行である。本実施形態において、テーパーねじ谷の面301はねじ切りの軸(aa)に平行であるので、テーパーねじ谷の面301とねじ切り軸(aa)間の角度βは0度に等しいと考えられることは理解されるであろう。しかし、本実施形態の修正案において、角度βは他の値をもつことができる(例えば、図2を参照されたい)。
【0052】
テーパーねじ谷の面301は第1の末端で、スタビングフランク320に対して、一定の曲率半径の凹状湾曲面302により接線方向に接合され、そしてテーパーねじ谷の面301は第2の末端で、ねじ谷の溝303に対し、一定の曲率半径の凸状湾曲面304により接合されている。ねじ谷の溝303はテーパーねじ谷の面301からロードフランク350に延伸する。
【0053】
ねじ谷の溝303は変動可能な曲率半径をもつ第1の楕円面306をもつ第1の部分を含む。第1の楕円面306は楕円307の一部である。第2の楕円面は第2の楕円310の一部である。ねじ谷の溝303は更に、変動可能な曲率半径をもつ第2の楕円面308をもつ第2の部分を含む。第2の楕円面308は第1の末端で、ねじ谷の溝303の底部を区画する接合点309において、第1の楕円面306に対し接線方向に接合されている。第2の楕円面は第2の末端において、ロードフランク350に対し接線方向に接合されている。溝303の底部はテーパーねじ谷の面301のレベルより下方に配置されている。
【0054】
図3に示される第3の実施において、第1の楕円307は長軸(bb)に沿った第1の前以て決定された直径(D1)および短軸に沿った第2の前以て決定された直径(D2)をもち、そして、第2の楕円310は第1の楕円307の長軸(bb)に沿った直径(D1)に等しい、長軸(cc)に沿った前以て決定された直径(D3)をもち、そして第2の楕円310は第1の楕円307の短軸に沿った直径(D2)に等しい、短軸に沿った第2の直径(D4)を有する。あるいはまた、ねじ切り300のデザインにおいて、第1の楕円307と第2の楕円110は異なる相対的直径をもつことができることは理解されると考えられる。例えば、第1の楕円307は図3に示される実施より長く、狭いことができる(例えば、その楕円が図2に示される楕円207に類似の形状をもつことができる)。
【0055】
第1の楕円307の長軸(bb)は第2の楕円310の長軸(cc)に垂直に配置され、そして第1の楕円307の長軸(bb)は第2の楕円310の短軸と同一である(一直線上にあり、重複する)。この形態は楕円307と310が接合点309で接線方向に接合することを確実にする。
【0056】
図3に示される第3の実施において、第2の楕円310の長軸(cc)はロードフランク350に垂直に配置される。この形態は、第2の楕円310がロードフランク350に接線方向に接合されることを確実にする。他の軸のすべての配向は第2の楕円310の軸(cc)に対して規定される。
【0057】
雌型ボックス連結は、前記に示し、考察された雄ねじ300と同様な要素および形状をもつことができることは理解されると考えられる。
【0058】
今度は、図7に、第2の管33の雌型ボックス末端34に対して組み込まれるテーパー雄ねじ300(図3に示したように)を伴う雄型ピンの末端32を伴う第1の管31をもつ管状連結30が示される。雌型ボックスの末端34は雄ねじ300と同様なねじ切り形状300を伴って示されている。図2および6に関して以前本明細書で考察されたように、雄ねじと雌ねじは同一である必要はなく、また形状がかみ合う限り、雄ねじまたは雌ねじのいずれかに修正を与えることができる。
【0059】
図3、3Aおよび7に示された第3の実施において、ロードフランク350はねじ谷の溝303の方向に傾斜される。(図3Aは説明の目的のためにロードフランク350の角度が誇張されていることは認められるであろう)。このようなねじ形態は当該技術分野においてフックねじと呼ばれる。ねじ切りの軸(aa)に対する垂線を使用して測定されるロードフランクの角度は概括的に−9〜0度、そしてより好適には−9〜−1.5度の範囲にあり、好適には約−3度である。更に、0°の角度(すなわち軸(aa)に対して垂直なロードフランク)もまた使用することができる。更に、0°〜5度の正のフランク角度(例えば図1a参照)もまた、本実施形態のバリエーションに使用することができる。すなわち、ロードフランクの範囲角度は−9°〜5°の範囲であることができ、より好適にはその角度は−9〜−1.5°の範囲にあることができ、そして本実施形態の好適な値は−3°である。
【0060】
本開示はまた、管状要素の末端上に雄ねじまたは雌ねじ100、200、300を切削する方法を含む。該方法は、管状要素11、21、31、13、23、33を提供し、管状要素の各ピンの末端12、22、32上またはボックスの末端14、24、34上にテーパー雄ねじまたは雌ねじを切削する方法を含み、ここでテーパーねじ切りは、ねじ谷の面101、201、301を含む。テーパーねじ谷の面101、201、301は第1の末端において、スタビングフランク120、220、320に対して、一定の曲率半径の凹状湾曲面102、202、302により接線方向に接合される。テーパーねじ谷の面1
01、201、301は第2の末端において、ねじ谷の溝103に対し、一定の曲率半径の凸状湾曲面104により接合される。ねじ谷の溝103、203、303はテーパーねじ谷の面101、201、301からロードフランク150、250、350に延伸する。ねじ谷の溝103、203、303は変動可能な曲率半径をもつ第1の楕円面106、206、306を含んでなる第1の部分を含み、前記第1の楕円面106、206、306は楕円107、207、307の一部であり、そしてねじ谷の溝103、203、303は更に、変動可能な曲率半径をもつ第2の楕円面108、208、308を含んでなる第2の部分を含み、前記第2の楕円面は第2の楕円110、210、310の一部である。第2の楕円面108、208、308は第1の末端において、溝の底部を区画する接合点109、209、309において第1の楕円面106、206、306に対し接線方向に接合される。第2の楕円面は第2の末端において、ロードフランク105、205、305に対して接線方向に接合される。第2の楕円面はロードフランク150、250、350に垂直な長軸(cc)をもつ。長軸bbは長軸ccに垂直である。軸の配向は、ccがロードフランクに垂直でなければならず、またbbとccは相互に対して垂直でなければならないことを考慮して規定される。
【0061】
本発明の利点
本開示のねじ谷の形状のデザインは、連結の組み込み操作の最後に明白になる、幾つかの特徴の合わせた作用、によりねじ接続の疲れ抵抗を改善する:
a)ねじ谷からねじ山の締まりの機能(function)としての、大きいラジアル荷重(radial loads)(フープ荷重)の提供。大きなフープ荷重が疲れに対する抵抗を改善する、
b)疲れ抵抗を改善する大きなショルダー荷重の提供、および
c)(フランクにねじ谷を連接する曲線の孤の)延長された半径Rbの提供が、ねじ谷における応力集中を低下する。
【0062】
2個の楕円の本発明のデザインの形態は、ロードフランク150、250、350とねじ谷の面101、201、301間の接合部における応力集中部分の半径の最大化を許し、それにより接合部の疲労性能に対する応力集中部分の効果が最少化される。更に、連結10の雄型および雌型要素12および14のかみ合うロードフランク間の有効な接触も最大化され、従って、連結の効率も最大化される。
【0063】
図4A、4B、4Cおよび図4Dは、図4Dに示されるような本開示の代表的ねじ谷のデザインに対する図4Aの先行技術の標準のCtRデザインからのデザイン形態における付加的な変更の課題および利点を示す。図4A〜4Dにおいて、Rbは、雄ねじの谷を雄ねじのロードフランクに連結する円弧の半径である。Riは、雌ねじのねじ山とロードフランクとを連結する円弧の半径である。RbとRiが等しい、図4Aを参照されたい。
【0064】
図4Aにおいて、透き間のない(full load)ロードフランクの接触が示される。課題:応力集中部分に対する接触圧および低い応力集中部分の半径(Rb)。利点:最大化ロードフランク接触L1による高い引っ張り効率。
【0065】
図4Bにおいて、修正されたCtR形状(米国特許第20110042946 A1号明細書の先行技術のデザインと同様)が示される。利点:応力集中部分上の接触点を回避するために半径Riが拡大される。課題:応力集中部分の近位の応力状態が接触応力および遠隔応力により著明に影響を受ける。本形態の他の課題は、低い応力集中部分の半径(Rb)である。この形態は図4Aと同様なRbをもつ。
【0066】
応力集中部分の半径Rbを最大化するための図4Cにおいて、透き間のないロードフランク接触を回避することが重要であるために、(Rb)の限界が存在する。更に、Rbを
増加する時に、地点AとCがBにより近いために、応力集中部分の周囲の応力状態における接触応力の効果がより大きくなる。
【0067】
図4Dにおいて、ロードフランクの接触およびねじ山からねじ谷への接触を最大化するために、雄ねじの応力集中部分の半径(Ri)が拡大された。更に、応力集中部分中の応力状態は、接点AとCが応力集中部分から更に遠くに配置されている事実のために、接触応力による影響が少なく、遠隔の応力の関数のみである。この幾何学により、接触面L1は回復されるが、応力集中部分中の接触を伴わない。
【0068】
図4B(米国特許第2011 0042946 A1号明細書に類似の先行技術のデザイン)および図4D(本発明のねじ谷デザインの実施)において、本開示の図1、2および3に示されるような二重楕円のねじ溝を使用する他の利点は、応力集中部分周囲の応力状態(KT)は接触点(σA+σC)による応力成分(components)によりあまり影響を受けず、従って応力の値が、溝をもたない接合に対して得られるものより低く、遠隔の応力(σB)により影響を受けるのみである。
【0069】
幾つかの先行技術のCtRねじ(図4Bを参照)において、応力集中部分の周囲の応力状態KTは接触応力(σA+σC)および遠隔の応力(σB)の関数である:
σKT=σA+σB+σC
【0070】
しかし、本開示の接合部においては(図4D参照)、接点AとCは応力集中部分から遠いため、応力集中部分の周囲の応力状態KTは遠隔の応力(σB)のみの関数である:
σKT=σB
【0071】
ねじ溝を形成するための楕円の選択は、楕円が、点から点に変動する半径をもつ湾曲面をもつ2つの垂直な面を接合させる関数である、という事実に基づくことに注意することが重要である。従って、その半径は最大化そして最少化されることができる。例えば、KTにおける楕円の半径と同一の半径をもつ円弧は、ロードフランク間の接触のすべての可能性を排除すると考えられる(図1〜3参照)。
【0072】
KTの半径を最大化するために、ロードフランクからKTに行くために第2の楕円が使用され、次に、ねじ山からねじ谷への接触を早期に回復するために、デザインは第1の楕円に切り替わる。このデザインは、ねじ山からねじ谷への接触面の最少の除去を提供する。従って、接触圧が低く維持される(図1〜3参照)。
【0073】
第1の楕円の効果を高めるために、本開示の第2の実施に示されるようにそれを狭くすることができる(図2参照)。
【0074】
更に、第2の実施に示されるように(図2)、ねじ谷の面のテーパー部分のテーパーを増加することにより、ねじ山とねじ谷間の接触面が拡大され、そのため、接触圧が最少化され、磨損が最少にされる。ねじ山/谷における接触長さは、第1の実施に示されるデザインに比較すると、第2の実施においてはほぼ2倍である。このデザインは磨損を最少にする。更に、ねじ切りのテーパー軸(aa)から測定される正の(0より大きい)テーパー角度(β)は、ねじを締めたまま維持する助けをする。(β)角度はまた、ねじ山/谷接触面を拡大するのに有用であり、また同時にピンねじの谷における応力減少のために溝に更なる空間を提供する(図2参照)。
【0075】
今度は図8A、8B、9Aおよび9Bにおいて、本開示の代表的二重楕円デザイン(図4Dに示されたような)に対する標準のねじ山から谷(CtR)のねじ(図4Aに示されたような)のパラメータを比較するデータを作成するために、限定要素解析が使用された
図8Aにおいては、疲れ破壊の周期は標準のCtRねじデザインに対して示される。図8Bにおいては、疲れ破壊に対する周期は本開示の二重楕円のデザインにつき示される。図8Aおよび8Bにおいて、本発明の二重楕円のデザインは応力集中部分が配置される区域における破壊に対する周期数に、いかに直接に影響を与えるかを見ることができる。標準CtRのデザインにおける材料の第1の層(応力集中部分の領域、すなわちロードフランクとねじ谷の面の間との接合部)は、疲れ破壊に対して少ない数の周期1.120×10+3をもつものであり(図8A)、他方、二重楕円の形状における点線領域(応力集中部分の近位領域)(図8B)は、少ない数の周期1.0×10+4をもつものである。本発明の二重楕円のデザインにより、部品(component)の疲れ寿命が延長されることを見ることができる。
【0076】
図9Aおよび9Bにおいて、図9Aには標準CtRねじの応力分布および代表的von
Misses値が示され、そして図9Bには本開示の二重楕円のねじ形状が示されている。図9A(先行技術のCtRデザイン)においては、高い値のvon Misses応力が応力集中部分の周囲、および応力集中部分の近位の雄ねじと雌ねじ間の接点の近位に存在することが認められる。しかし、図9B(本発明の二重楕円のねじ形状)は、より低い応力レベル値および応力集中部分の近位の応力の、より均一な分布を示す。雄型および雌型部材間の接点は望ましくは、応力集中部分から遠くに配置され、そして従って応力集中部分の近位領域の応力状態には寄与しない。
【0077】
発明の多数の実施形態が記載されてきた。しかし、発明の精神および範囲から逸脱せずに様々な修正を実行することができることは理解されるであろう。従って、他の実施形態は以下の請求の範囲の精神内に入る。
図1
図1A
図2
図2A
図3
図3A
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B