(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吐水口に止栓及び開放が可能な誘導板が回動自在に外設され、該吐水口からの放水が該誘導板を介して誘導されることを特徴とする請求項1に記載の消防用ホースノズル。
前記開塞装置における蓋体周縁の所定箇所に誘導板が回動自在に外設され、該吐水口からの放水が該誘導板を介して誘導されることを特徴とする請求項3に記載の消防用ホースノズル。
【背景技術】
【0002】
従来より提供されている消火用ホースノズルを放水方式的に大別すると、ノズル先端から放射される水流が連続した棒状として、放水圧力の強弱により距離が進むにつれて水滴状の飛沫になることで、消火が必要な地点に的確に着水させることができる棒状放水式や、ノズル先端に水流方向を変化させる開口又は段差を設け、該水流をノズル内部で多様な方向に変化させることで、あらかじめ小さな粒状にして先端より放射することで、水粒を先端の構造により様々な大きさに変化させることができる噴霧放水式、そして該棒状放水式と噴霧放水式の両者を組み合わせた様々な種類の消火用ノズルがある。上記の棒状放水式と噴霧放水式における消火用ノズルの違いは、放水時における放水方向と、逆方向に作用する反力の大きさと、放水する水の角度調整の機能の有無であり、ノズル先端における放水圧力が同じ場合、放水時における反力の違いは、ノズル先端部で粒状になって放水されることによりエネルギーが分散される噴霧放水式に比べ、棒状放水式の方がノズルの先端から放射される水流が連続してつながって大きくなることから、かかる棒状放水式は屋外消火活動に適し、また、噴霧放水式は屋内消火活動に適している。
【0003】
上記における具体的な消火用ノズルの提案としては、例えば、霧状放水と集中放水の同時消火を行うという要求に応えることができ、また、消火作業者の体感温度があがりすぎたり、消火作業中に消火作業者が熱中症となったりする可能性を抑制することができる「流体噴出継ぎ手」(特許文献1)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ホース又は流体ノズルの接続部或いは前記いずれかの先部に介設可能な筒状の継ぎ手本体と、前記継ぎ手本体の周方向に亘って配設された複数個の噴口ヘッドと、前記噴口ヘッドよりも軸方向後方寄りの継ぎ手本体周部、又は噴口ヘッドよりも筒径方向内側の継ぎ手本体周部の少なくともいずれかに設けられた噴出調整機構を具備してなる流体噴出継ぎ手であることから、構造的に前方の火災に対して霧状放水と集中放水による消火作業を同時に行うことができる提案である。
【0004】
しかしながら、かかる「流体噴出継ぎ手」の提案は、真横ならびに後方の消火活動ができない構造であることから、屋内消火活動での広範囲な消火作業ができないと共に、消火作業に携わる消防士を火災の熱さから防御し切れないといった問題があった。
【0005】
また、日常の散水用として低水圧、低水量に切り替えて使用することができると共に、消火活動時に消火用ホースの長さが不足する場合に、消火用ホースの先端部に接続した消火用ノズルを外すことなく、消火用ノズル自体に他の消火用ホースを簡単且つ容易に接続できるようにした「消火用ノズル」(特許文献2)が提案され、公知技術となっている。具体的には、水路を形成する内筒と、内筒の先端部外周面に回転自在且つ前後方向へ進退移動自在に螺着され、先端部内周面に弁座部を形成した外筒と、内筒の先端部内方に配設され、先端部に外筒の弁座部に当離座し得るデフレクターを設けたスピンドルと、内筒の基端部外周面に相対回転自在に嵌合され、消火用ホースの先端部に接続される筒状の受け金具とを具備し、外筒の進退移動によって放水状態を放水停止又は棒状放水若しくは噴霧放水に切り替え可能な消火用ノズルにおいて、前記消火用ノズルは、大流量から小流量まで流量調整を行える流量調整機構と、他の消火用ホースの基端部に設けた雌型金具に着脱自在に接続される雄型金具とを備えていることによって、消火設備として必要な水圧、水量を確保しつつ、操作の習熟を目的とした日常の散水用として低水圧、低水量に切り替えて使用することができると共に、消火活動時に消火用ホースの長さが不足する場合に、消火用ホースの先端部に接続した消火用ノズルを外すことなく、消火用ノズル自体に他の消火用ホースを簡単且つ容易に接続することができる提案である。
【0006】
しかしながら、かかる「消火用ノズル」の提案は、上記提案と同様に真横ならびに後方の消火活動ができない構造であることから、屋内消火活動での広範囲な消火作業ができないと共に、消火作業に携わる消防士を火災の熱さから防御し切れないといった問題があった。
【0007】
本出願人は、消火活動における上記問題点に着目し、特に屋内の消火活動が従来に増して広範囲にできると同時に、消火活動中における消防士の身の安全を確保した上で、上記の問題を解決することができないものかという着想の下、前方噴射と、横方噴射と、後方噴射を容易に切り替えて消火効率と消防士の身の安全を守ることができる消防用ホースノズルを開発し、本発明における「消防用ホースノズル」の提案に至るものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明にかかる消防用ホースノズル10は、前方噴射Fや横方噴射Sだけでなく、後方噴射Bを可能ならしめる手段を採用したことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる消防用ホースノズル10の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0020】
尚、本発明にかかる消防用ホースノズル10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で、適宜変更することができる。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明にかかる消防用ホースノズル10の実施形態を示す説明図である。
本発明にかかる消防用ホースノズル10は、筒状のホースノズル11と、該ホースノズル11の先端に取り付けられる開塞装置20と、該ホースノズル11の外筒部を前後に移動する放水方向変換キャップ30と、で構成されている。
【0022】
ホースノズル11は、先端に放水口12を備えると共に、内筒部に放水路13が形成され、且つ、外筒部先端部に所要長さを有する移動手段14が形成され、外筒部の所定箇所には内筒部と連通する一乃至複数の吐水口15が穿設されると共に、該吐水口15が穿設される位置から手元方向の位置にテーパー状に肉厚になる止水壁16が形成された構成となっている。
【0023】
移動手段14は、放水方向変換キャップ30をホースノズル11の外筒部において前後に移動させるためのものであって、その具体的構造については特に限定するものではないが、例えば図示の様に、外筒部先端部に所要長さを有する雄ねじ部を設けて形成され、放水方向変換キャップ30に設けられた雌ねじ部と螺合して達成される手段である。かかるねじ構造から成る移動手段14によれば、放水方向変換キャップ30を単に回動させることで消火活動における前方放水と、横方放水と、後方放水を可能にする。
【0024】
吐水口15は、ホースノズル11の外筒部の所定箇所に内筒部と連通する様に穿設されるもので、その形状に限定はなく、一乃至複数の吐水口15が穿設される。前方噴射F時は、ホースノズル11の止水壁16に放水方向変換キャップ30の口外筒縁部に設けられた係止面34が密着止して吐水口15からの放水が停止され、横方噴射S時及び後方噴射B時は放水方向変換キャップ30を前方に移動させて前記ホースノズル11の止水壁16から係止面34を離すことで吐水口15からの放水が行われる。
【0025】
止水壁16は、ホースノズル11の外筒部吐水口15が穿設される位置から手元方向の位置にテーパー状に肉厚になる形状を有して形成されるもので、放水方向変換キャップ30の口外筒縁部に設けられた係止面34が密着止する形状に形成される。尚、テーパー部分の傾斜角度については、設計段階で任意に設定可能であり、該傾斜角度を急傾斜即ちできるだけ垂直に近い角度とすることで、横方から後方までより広い範囲の放水を可能にすることができる。
【0026】
開塞装置20は、放水口12を閉塞可能な形状に形成された蓋体22であって、該蓋体22に放水の止栓と開放を行う開塞手段21を具備して成る。かかる開塞手段21の具体的構造については特に限定するものではないが、例えば
図6(a)に示す様に絞り羽によるシャッター方式や、
図6(b)に示すように互い違いによる重ね合わせ穴方式による開塞手段21が考え得る。
図6(a)は、開塞手段21をシャッター方式とした場合の概略説明図であり、外筒リングを回動させて絞り羽の開閉を行うことで、前方放水を可能にする構造である。
図6(b)は、開塞手段21を重ね合わせ穴方式とした場合の概略説明図であり、重合される同形の放水穴の重なり具合によって、前方放水を可能にする構造である。
【0027】
放水方向変換キャップ30は、一方にフランジ面31を備え他方が開口する筒状に形成され、ホースノズル11の外筒部との間に放水隙間32が形成されると共に、該フランジ面31の略中心位置にホースノズル11を貫通しつつ移動手段14と係合可能な貫通穴33が設けられ、該開口外筒縁部にはホースノズル11の止水壁16に密着止する係止面34が形成された構成となっている。
【0028】
放水隙間32は、ホースノズル11の外筒部と放水方向変換キャップ30の内筒部の間に形成される隙間空間で、移動手段14によって放水方向変換キャップ30が前方へ移動することで、吐水口15からの放水が該放水隙間32を介して横方及び後方へと放水される。
【0029】
貫通穴33は、ホースノズル11の外筒部に形成された移動手段14と係合可能に形成されて成る。即ち、移動手段14の構造によって係合手段の具体的構造が決定される。
【0030】
以上の構成から成る本発明にかかる消防用ホースノズル10の使用態様について、図面を参照しつつ説明する。
図1(a)は、前方噴射F時の説明図である。ホースノズル11の先端に装着された開塞手段21を全開にした状態で、放水方向変換キャップ30の係止面34とホースノズル11の止水壁16が密着することで、前方放水を可能にする。このとき、前方噴射F時の放水を棒状やシャワー状に可変する常法手段・構造を本発明にかかる消防用ホースノズル10に採用することも可能である。
【0031】
図1(b)は、横方噴射S時の説明図である。ホースノズル11の先端に装着された開塞手段21を全塞にした状態で、放水方向変換キャップ30の係止面34をホースノズル11の吐水口15の位置より前方に位置させることによって、横方放水を可能にする。
【0032】
図1(c)は、後方噴射B時の説明図である。ホースノズル11の先端に装着された開塞手段21を全塞にした状態で、放水方向変換キャップ30の係止面34をホースノズル11の止水壁16近傍に位置させることによって、後方放水を可能にする。このとき、放水方向変換キャップ30の係止面34とホースノズル11の止水壁16との間隔によって、後方噴射Bの角度を決定することが可能であると共に、放水圧・放水量を調整することも可能となる。
【0033】
以上で構成される本発明にかかる消防用ホースノズル10は、前方噴射Fと、横方噴射Sと、後方噴射Bをホースノズル11の先端に取り付けられる開塞装置20と放水方向変換キャップ30を操作することによって容易に切り替えることができ、さらに横方放水と、後方放水が可能になることから、特に屋内の消防活動において従来に増して効率よく且つ広範囲に消火活動ができると同時に、消火活動中における消防士の身の安全を守ることができる。
【実施例2】
【0034】
図2は、本発明にかかる消防用ホースノズル10の他の実施形態を示す説明図である。上記実施例1と同様の部分は省略する。
本発明にかかる消防用ホースノズル10は、吐水口15に止栓及び開放が可能な誘導板40が回動自在に外設され、該吐水口15からの放水が該誘導板40を介して誘導されるように形成されている。
【0035】
誘導板40は、ホースノズル11の外筒部に穿設される吐水口15の先端側を回動枢軸として吐水口15の止栓及び開放を可能とする回動自在に外設され、該吐水口15からの横方噴射Sと、後方噴射Bの放水を誘導する形状に形成される。尚、該誘導板40の具体的形状について、図示の様に側面視で平らな平板状とすることも考え得るが、強力な水圧を受けても大きなストレス(負荷)なく放水を自然に誘導可能とすべく、側面視で緩やかな弧状とする態様も可能である。また、該誘導板40の大きさも任意に決定し得る。
【0036】
以上の構成から成る本発明にかかる消防用ホースノズル10の使用態様について、図面を参照しつつ説明する。
図2(a)は、前方噴射F時の説明図である。ホースノズル11の先端に装着された開塞手段21を全開にした状態で、放水方向変換キャップ30の係止面34とホースノズル11の止水壁16が密着し、放水方向変換キャップ30の内筒部とホースノズル11の外筒部との間に形成される放水隙間32内に誘導板40が格納されることで、前方放水を可能にする。
【0037】
図2(b)は、横方噴射S時の説明図である。ホースノズル11の先端に装着された開塞手段21を全塞にした状態で、放水方向変換キャップ30の係止面34をホースノズル11の吐水口15の位置よりさらに前方に位置させることで誘導板40が水圧で横方に拡開して、横方放水を可能にする。
【0038】
図2(c)は、後方噴射B時の説明図である。ホースノズル11の先端に装着された開塞手段21を全塞にした状態で、放水方向変換キャップ30の係止面34をホースノズル11の吐水口15の上方位置に位置させることで誘導板40が水圧で傾斜しつつ係止面34に当接し、後方放水を可能にする。このとき、放水方向変換キャップ30の係止面34の位置によって誘導板40の傾斜角度を任意に変えることができ、後方噴射Bの角度を自在に決定することが可能である。
【0039】
以上で構成される本発明にかかる消防用ホースノズル10は、前方噴射Fと、横方噴射Sと、後方噴射Bをホースノズル11の先端に取り付けられる開塞装置20と放水方向変換キャップ30を操作することによって容易に切り替えることができ、さらに誘導板40の傾斜角度を任意に決定することで、横方放水及び後方放水の角度を自在に決定することができることから、特に屋内の消防活動において従来に増して効率よく且つ広範囲に消火活動ができると同時に、消火活動中における消防士の身の安全を守ることができる。
【実施例3】
【0040】
図3は、本発明にかかる消防用ホースノズル10の他の実施形態を示す説明図である。
本発明にかかる消防用ホースノズル10は、筒状のホースノズル11と、該ホースノズル11の先端に取り付けられて該ホースノズル11の先端方向に延伸する開塞装置20と、で構成されている。
【0041】
ホースノズル11は、先端に放水口12を備えると共に、内筒部に放水路13が形成され、且つ、内筒部先端部に所要長さを有する延伸手段41が形成された構成となっている。
【0042】
延伸手段41は、開塞装置20をホースノズル11の内筒部において前後に移動させるためのものであって、その具体的構造については特に限定するものではないが、例えば図示の様に、内筒部先端部に所要長さを有する雌ねじ部を設けて形成され、開塞装置20の延伸部42に設けられた雄ねじ部と螺合して達成される手段である。かかるねじ構造から成る延伸手段41によれば、開塞装置20を単に回動させることで消火活動における前方放水と、横方放水と、後方放水を可能にする。
【0043】
開塞装置20は、放水口12を閉塞可能な形状に形成された蓋体22であって、該蓋体22に放水の止栓と開放を行う開塞手段21を具備し、且つ、延伸手段41と係合可能な延伸部42が手元方向へ立設されると共に、該延伸部42に一乃至複数の吐水口15が蓋体22に隣接した状態で穿設された構成となっている。かかる開塞手段21の具体的構造については特に限定するものではないが、例えば
図6に示す様に、絞り羽によるシャッター方式や、互い違いによる重ね合わせ穴方式による開塞手段21が考え得る。
【0044】
吐水口15は、開塞装置20に立設された延伸部42の所定箇所に内筒部と連通する様に穿設されるもので、その形状に限定はなく、一乃至複数の吐水口15が穿設される。前方噴射F時は、開塞装置20を延伸させずに蓋体22がホースノズル11と接した状態とすることで、延伸部42に穿設された吐水口15がホースノズル11の内筒部によって塞がれ、横方噴射S時及び後方噴射B時は開塞装置20を延伸させて吐水口15をホースノズル11から露出させることで、吐水口15からの放水が行われる。
【0045】
以上の構成から成る本発明にかかる消防用ホースノズル10の使用態様について、図面を参照しつつ説明する。
図3(a)は、前方噴射F時の説明図である。開塞手段21を全開にした状態で開塞装置20を延伸させずに蓋体22がホースノズル11と接した状態とすることで、延伸部42に穿設された吐水口15をホースノズル11の内筒部によって塞いで露出させず、前方放水を可能にする。このとき、前方噴射F時の放水を棒状やシャワー状に可変する常法手段・構造を本発明にかかる消防用ホースノズル10に採用することも可能である。
【0046】
図3(b)は、横方噴射S時及び後方噴射B時の説明図である。開塞手段21を全塞にした状態で開塞装置20を延伸させて吐水口15をホースノズル11から露出させることで、横方及び後方への放水を可能にする。このとき、吐水口15の露出量によって、放水圧・放水量を調整することも可能となる。
【0047】
以上で構成される本発明にかかる消防用ホースノズル10は、前方噴射Fと、横方噴射S及び後方噴射Bと、をホースノズル11の先端に取り付けられる開塞装置20を操作することによって容易に切り替えることができることから、特に屋内の消防活動において従来に増して効率よく且つ広範囲に消火活動ができると同時に、消火活動中における消防士の身の安全を守ることができる。
【実施例4】
【0048】
図4は、本発明にかかる消防用ホースノズル10の他の実施形態を示す説明図である。上記実施例3と同様の部分は省略する。
本発明にかかる消防用ホースノズル10は、開塞装置20における蓋体22周縁の所定箇所に誘導板40が回動自在に外設され、該吐水口15からの放水が該誘導板40を介して誘導される構成となっている。
【0049】
誘導板40は、開塞装置20における蓋体22周縁を回動枢軸として回動自在に外設され、該吐水口15からの横方噴射Sと、後方噴射Bの放水を誘導する形状に形成される。尚、該誘導板40の具体的形状について、図示の様に側面視で平らな平板状とすることも考え得るが、強力な水圧を受けても大きなストレス(負荷)なく放水を自然に誘導可能とすべく、側面視で緩やかな弧状とする態様も可能である。
【0050】
以上の構成から成る本発明にかかる消防用ホースノズル10の使用態様について、図面を参照しつつ説明する。
図4(a)は前方噴射F時の説明図である。ホースノズル11の先端に装着された開塞装置20に具備される開塞手段21を全開にした状態で、該開塞装置20を延伸させずに蓋体22がホースノズル11と接した状態とすることで、延伸部42に穿設された吐水口15をホースノズル11の内筒部によって塞いで露出させず、前方放水を可能にする。このとき、前方噴射F時の放水を棒状やシャワー状に可変する常法手段・構造を本発明にかかる消防用ホースノズル10に採用することも可能である。
【0051】
図4(b)は、横方噴射S時の説明図である。開塞手段21を全塞にした状態で開塞装置20を延伸させて吐水口15をホースノズル11から露出させ、且つ、誘導板40を横方に拡開することで、横方放水を可能にする。このとき、吐水口15の露出量によって、放水圧・放水量を調整することも可能となる。
【0052】
図4(c)は、後方噴射B時の説明図である。開塞手段21を全塞にした状態で開塞装置20を延伸させて吐水口15をホースノズル11から露出させ、且つ、誘導板40を斜め後方に傾斜させることで、後方放水を可能にする。このとき、吐水口15の露出量によって、放水圧・放水量を調整することが可能なことは、前記同様である。
【0053】
以上で構成される本発明にかかる消防用ホースノズル10は、前方噴射Fと、横方噴射Sと、後方噴射Bをホースノズル11の先端に取り付けられる開塞装置20及び誘導板40を操作することによって容易に切り替えることができことから、特に屋内の消防活動において従来に増して効率よく且つ広範囲に消火活動ができると同時に、消火活動中における消防士の身の安全を守ることができる。
【実施例5】
【0054】
図5は、本発明にかかる消防用ホースノズル10の他の実施形態を示す説明図である。
本発明にかかる消防用ホースノズル10は、筒状のホースノズル11と、該ホースノズル11の先端より先方に所定間隔を空けて固定的に取り付けられる開塞装置20と、で構成されている。
【0055】
ホースノズル11は、先端に放水口12を備えると共に、内筒部に放水路13が形成された構成となっている。
【0056】
開塞装置20は、放水口12の口径より大径の開口を有する環状フレームにより形成され、ホースノズル11の先端と連結フレーム24を介して連結されている。これにより、該開塞装置20は、ホースノズル11の先端より先方に所定間隔を空けて固定的に取り付けられることとなり、かかる所定間隔が横方噴射S時及び後方噴射B時の吐水口15として機能する。
また、開塞装置20(環状フレーム)には、放水の止栓と開放を行う開塞手段21を先端に具備する複数の誘導板40が回動自在に外設された構成となっている。
【0057】
開塞装置20(環状フレーム)の具体的な平面視形状については、無端環状のフレーム構造であれば特に限定するものではなく、円形状や多角形状など種々形状が考え得るが、誘導板40が回動自在に外設されることに鑑みると、 開塞装置20(環状フレーム)を多角形状として該形状の一辺を誘導板40の回動枢軸とすることが好ましい。尚、
図6(c)及び(d)では、開塞装置20(環状フレーム)を平面視六角形状とした場合について示しているが、五角形状や八角形状などであっても構わない。
【0058】
誘導板40は、開塞装置20における環状フレーム周縁を回動枢軸として回動自在に外設され、先端に開塞手段21を具備すると共に、後端部分は側方(吐水口15)からの横方噴射Sと、後方噴射Bの放水を誘導する形状に形成される。尚、該誘導板40の具体的形状について特に限定はないが、開塞手段21の形状は、開塞装置20(環状フレーム)の開口を複数の誘導板40の開塞手段21により閉塞可能な形状であることを要し、例えば
図6(c)に示す様に、開塞手段21の形状について環状フレームの一辺を底辺とし開口の中心を頂点とする二等辺三角形に形成して、複数の開塞手段21が合体して開塞装置20(環状フレーム)の開口と同形状を為すように構成することが考え得る。但し、開塞手段21の形状については、開口を確実に閉塞し得るという機能性に鑑み、隣接する開塞手段21と一部が重なり合う形状としても構わない。
【0059】
誘導板40は、
図5(c)及び(d)に示す様に、所定中間位置において屈曲可能に構成することが考え得る。屈曲可能な箇所については特に限定はないが、図示の様に、一の誘導板40に一乃至複数の屈曲可能な箇所を形成し得る。尚、図面では、誘導板10先端の開塞手段21との境であって開塞装置20(環状フレーム)と回動自在に外設された回動枢軸部分、そして後端には2箇所、の計3箇所を屈曲可能とした場合について示している。
また、誘導板40を屈曲させるための方法については、特に限定するものではなく、ワイヤーを介して絞る方法や機械的な制御方法など、適宜任意の方法を用いればよい。
【0060】
以上の構成から成る本発明にかかる消防用ホースノズル10の使用態様について、図面を参照しつつ説明する。
図5(a)は、前方噴射F時の説明図である。誘導板40をホースノズル11と平行状態となるように回動することで、該誘導板40の先端に具備された開塞手段21が全開状態となり、且つ、該誘導板40の後端部分がホースノズル11と開塞装置20との間を閉塞することで、前方放水を可能にする。このとき、前方噴射F時の放水を棒状やシャワー状に可変する常法手段・構造を本発明にかかる消防用ホースノズル10に採用することも可能である。
【0061】
図5(b)は、横方噴射S時の説明図である。誘導板40をホースノズル11と垂直状態となるように回動することで、該誘導板40の先端に具備された開塞手段21が全塞状態となり、且つ、該誘導板40の後端部分がホースノズル11と開塞装置20との間を開放することで、横方放水Sを可能にする。
【0062】
図5(c)は、後方噴射B時の説明図である。誘導板40を屈曲可能な構造とし、
図5(b)に示す状態から、誘導板10先端の開塞手段21との境であって開塞装置20(環状フレーム)と回動自在に外設された回動枢軸部分を屈曲することで、該誘導板40の先端に具備された開塞手段21が全塞状態となり、且つ、該誘導板40の後端部分がホースノズル11と開塞装置20との間を開放しつつ斜め後方に位置することで、斜め後方への後方放水Bを可能にする。
【0063】
図5(d)は、後方噴射B時の説明図である。誘導板40を屈曲可能な構造とし、
図5(c)に示す状態から、誘導板10の後端の2箇所を屈曲することで、該誘導板40の先端に具備された開塞手段21が全塞状態となり、且つ、該誘導板40の後端部分がホースノズル11と開塞装置20との間を開放しつつ該ホースノズル11の先端を包み込む様(
図6(d)参照)に位置することで、真後への後方放水Bを可能にする。
【0064】
ところで、誘導板40を屈曲可能な構造とした場合に、各誘導板40の屈曲状態を夫々違える態様、即ち各誘導板40が夫々独立して屈曲する態様も可能である。例えば、前方噴射Fと横方噴射Sや後方噴射Bを同時に行いたい場合に、複数ある誘導板40のうち幾つかを
図5(a)の状態とし、残りを
図5(b)乃至(d)の状態とするなど、
図5(a)〜(d)の状態を適宜組み合わせる態様とすることも可能である。
また、誘導板40の屈曲方向は図示した様な一方向(内側)のみならず、他方向(外側)へ屈曲させる態様も考え得る。
【0065】
以上で構成される本発明にかかる消防用ホースノズル10は、前方噴射Fと、横方噴射S及び後方噴射Bと、をホースノズル11の先端に取り付けられる開塞装置20の誘導板40を操作することによって容易に切り替えることができることから、特に屋内の消防活動において従来に増して効率よく且つ広範囲に消火活動ができると同時に、消火活動中における消防士の身の安全を守ることができる。
【解決手段】筒状のホースノズル11と、該ホースノズル11の先端に取り付けられる開塞装置20とから構成される。ホースノズル11は、先端に放水口12を備えると共に、内筒部に放水路13が形成されている。開塞装置20は、放水口12を閉塞可能であって、放水の止栓と開放を行う開塞手段21を具備して成る。開塞手段21により放水口12が閉塞されると前方噴射Fがストップし、代わって吐水口15からの横方噴射S若しくは後方噴射Bが行われる。