(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願発明者らは、鋭意検討の結果、繊維物質を炭化して賦活することにより得られる活性炭が含浸性に優れていることに着目し、綿状の活性炭又は重ね合わされた複数の活性炭を、分極性電極として用い、この分極性電極に電解液を含有させることにより、電気二重層キャパシタの静電容量が増加することを見出し、これを利用するものである。
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0025】
図1,
図2は、本発明を適用した複数の電気二重層キャパシタをユニット化することによりなるキャパシタユニットの側面図及び平面図である。キャパシタユニットは、厚板状に形成された複数の電気二重層キャパシタ1と、該複数の電気二重層キャパシタ1を厚み方向に重ね合せた状態で、該重ね合せ方向両端側から挟持する一対の挟持プレート2,2と、該一対の挟持プレート2,2同士を連結する複数の連結ボルト3とを備えている。
【0026】
連結ボルト3は、挟持プレート2,2間において、電気二重層キャパシタ1を避けるようにして、挟持プレート2,2の四隅にそれぞれ配置されている。各連結ボルト3は、一方の挟持プレート2から他方の挟持プレート2に挿通されており、該他方の挟持プレート2から突出した連結ボルト3の先端部に連結ナット4をネジ係合されて締付けることにより、挟持プレート2,2間の電気二重層キャパシタ1が互いに密着圧縮された状態で、締着固定される。
【0027】
この複数の電気二重層キャパシタ1は、後述するように隣接するもの同士が互いに直列接続されるとともに、両端側の電気二重層キャパシタ1を介して、電気の充放電が行われる。以下、この電気二重層キャパシタ1の構成について、詳述する。
【0028】
図3乃至
図5は、
図1及び
図2に示す電気二重層キャパシタの正面図、側面図及び平断面図である。電気二重層キャパシタ1は、平行な状態で対向する板状の一対の集電極6,6と、この2つの集電極6,6間のスペースを仕切る方形シート状のセパレータ7と、各集電極6とセパレータ7との間に充填状態で介挿された分極性電極8と、一対の集電極間6,6に介在するように各分極性電極8に含浸された電解液と、各種部材を収容する収容部9と、各集電極6,6に取付けられたプレート状の接続端子11とを備えている。
【0029】
上記集電極6は、上下方向が長手方向となる方形板状に成形され、少なくとも分極性電極8と接する側の面(内面)を、導体によって構成する必要があるが、本例では全体が導体で構成されている。導体として用いる金属は、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、銀、金又は白金であり、これらの組合せであってもよいが、本例では、この中でも、コスト面を考慮して、鉄を集電極6用の導体として用いている。なお、樹脂シートの表面に、導体層をコーティングすることにより集電極6を構成してもよく、具体的には、樹脂シートの表面に金属膜をメッキする。
【0030】
また、集電極6の内面の表層部分には、該分極性電極8として用いる活性炭に形成された無数の細孔のサイズに対応した(細孔のサイズに近い)図示しない凹凸が形成され、具体的には、該集電極6の前記表面に0.1mm〜数mm程度の細穴を複数形成してもよい。
【0031】
なお、繊維状の樹脂シートの表面に集電極6用の導体をコーティングすることにより集電極6を構成した場合、集電極6の表面には、自然に上記大きさの凹凸が形成される。この他、集電極6用金属からなる金属線又は集電極6用金属をメッキした金属線を編みこんで網状シートを形成し、この網状シートを板状の集電極6として用いれば、該集電極6の表面にも上述の凹凸が形成される。これら細穴や凹凸を形成することにより、集電極6と分極性電極8の接触面間の電気抵抗を低減できる。
【0032】
上記電解液としては、水系の電解液であり、具体的には、濃度が10〜40重量%の水酸化カリウム水溶液か、或いは濃度が10〜30重量%の水酸化ナトリウム水溶液か、炭酸カリウム水溶液等を用いる。ちなみに、強アルカリとなる電解液は、塩酸等によって容易に中和処理できるため、使用後も安全に廃棄することができ、環境負荷も少ない。
【0033】
上記分極性電極8は、シート状活性炭を複数重ね合せることにより構成されるか、或いは、ある程度の厚みを有する綿状活性炭から構成される。このシート状又は綿状(図示する例ではシート状活性炭)の活性炭8は、シート状又は綿状の繊維物質を炭化処理することにより製造される繊維状炭を、ガス賦活又はアルカリ賦活することにより得られる繊維状活性炭である。
【0034】
繊維物質としては、例えば、セルロール繊維や、ポリアクリロニトリル(PAN)系繊維や、石炭タール若しくは石油ピッチからつくるピッチ系炭素繊維や、レーヨンやフェノール等からなる炭素繊維を用いることができる。そして、このなかでも、特に、織布若しくは不織布の木綿、或いは綿状の木綿を、セルロース繊維として、用いることがコスト的に好ましい。
【0035】
このように、繊維物質を炭化及び賦活して得られる繊維状活性炭8は、含浸性に優れているため、多量の電解液を含有させることが可能である。ちなみに、この繊維状活性炭はそのまま分極性電極8に用いることも可能であるし、或いは、所定サイズに切断して、分極性電極8に用いることも可能である。以下、ガス賦活の場合と、アルカリ賦活の場合に分けて、分極性電極8の製造方法を詳述する。
【0036】
まず、ガス賦活処理による製造方法について詳述すると、繊維物質を設置した炭化炉において、300〜800℃(さらに好ましくは、400〜800℃)まで昇温させ、その状態で25分〜8時間保持した後に、常温まで降温させることにより繊維状炭を得る。続いて、この繊維状炭を設置した管状炉に、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下において、水蒸気、炭酸ガス又はこれらの混合気体を注入しながら、450〜950℃まで昇温して、この状態を25分〜8時間保持するガス賦活を行い、繊維状活性炭8を得る。
【0037】
一方、アルカリ賦活処理による製造方法について詳述すると、繊維物質を設置した炭化炉において、400℃〜1200℃まで昇温させ、その状態で5分〜20時間保持した後に、常温まで降温させることにより繊維状炭を得る。ちなみに、950℃以上の温度で炭化処理を行うと後述の賦活速度が遅くなり、処理に時間がかかる。
【0038】
続いて、窒素ガス、アルゴンガス又はこれらの混合物等からなる不活性ガスと、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液又は炭酸カリウム水溶液とを用いて、上記繊維状炭のアルカリ賦活処理を行う。詳しくは、上記水溶液を、上記炭の重量に対して0.5〜4倍程度用意し、これを上記繊維状炭に加えて十分吸着させる。その後、不活性ガス雰囲気下において、加熱処理を行うことによってアルカリ賦活処理を行い、繊維状活性炭8を得る。
【0039】
この加熱処理は、繊維状炭に吸着させた水溶液が、急激に蒸発することを防ぐため、室温から150℃までは、毎分2℃で昇温させる。そして、150℃から所定の賦活温度までは、毎分5℃で昇温させる。このときの賦活温度は、500〜1000℃程度とする。加熱処理は10分〜6時間程度行う。
【0040】
なお、このように、電解液に用いるものと同一又は同質のものを用いてアルカリ賦活処理を行うため、賦活処理によって得られた繊維状活性炭8を、そのまま電解液に浸すことが可能になり、酸洗浄による中和処理や、イオン交換水による繰返しの洗浄処理や、乾燥処理を軽減若しくは不要とすることが可能になる。
【0041】
上記セパレータ7は、一方の分極性電極8及び集電極6と、他方の分極性電極8及び集電極6との接触(特に集電極9,9間の接触)を防止する耐アルカリ性の絶縁シートであり、集電極9,9間のイオンの流通及び分極性電極8,8間のイオンの流通を妨げないように構成されている。具体的には、液体が含浸させた際に収縮し難い耐アルカリ性のろ紙や、セルロース繊維やポリビニルアルコール繊維からなるセパレータ7を用いる。
【0042】
上記接続端子11は、一対の集電極6,6の外面側に各別に設けられた方形板状部材であり、自身の長手方向が集電極6方向に向けられた状態で、該集電極6に設置されている。具体的には、接続端子11が、導体(さらに具体的には金属)で構成され、図示する例では、集電極6と同一の金属である鉄によって構成されている。
【0043】
各接続端子11の下半部は、集電極6の外面上部に密着している一方で、接続端子11の上半部は、集電極6の上端よりも上方に延出されている。この接続端子11を介して、図示する電気二重層キャパシタ1の充填及び放電を行う。これ加えて、一方の接続端子11は、集電極6の幅方向一方寄りに配置されるとともに、他方の接続端子11は、集電極6の幅方向他方寄りに配置されている。
【0044】
上記収容部9は、フレキシブルに変形可能な耐アルカリ性(具体的には、ポリエチレン製)の収容袋(収容体)12の内部に形成されている。この収容袋12は、扁平な筒状に成形され、収容袋12の内部、すなわち、収容部9には、セパレータ7の全部と、一対の集電極6,6の全部と、電解液を含浸させた一対の分極性電極8,8の全部と、一対の接続端子11,11の一部とが、厚み方向を収容袋12と一致させた状態で、差込み収容され、開放された収容袋12の上端部または下端部が、対向面同士で熱圧着されて密閉される。
【0045】
また、収容袋12には、接続端子11を内部から外側に上方突出させるスリット状の挿通口12aが、接続端子11毎に形成されている。この挿通口12aを介して、下部側が密着状態で集電極6に接触した接続端子11の上部が、収容袋12外に露出した状態になる。
【0046】
また、挿通口12aと接続端子11との間は、密閉手段によって密閉されている。具体的には、接続端子11の集電極9側面(内面)と、収容袋12の収容部9と反対側の面(外面)とを、固着して密閉する両面テープ又は接着材等の内側固着手段13と、接続端子11の集電極6と反対側の面(外面)と、収容袋12の収容部9側の面(内面)とを、固着して密閉する両面テープ又は接着剤等の外側固着手段14と、接続端子11の外面と収容袋12の外面との境界を覆うように接続端子11外面及び収容袋12外面に固着される撥水性の高い密封シール16とによって、上述の密着手段が構成されている。
【0047】
この密着手段による挿通口12a側での密閉と、上述した開口端側での対向面同士の熱圧着による密閉とによって、収容部9は密封された空間になる。このように収容部9が密閉空間となるため、分極性電極8に含有させた電解液が収容部9から流出することを防止できるとともに、外部の空気が収容部9内に流入することも防止できる。
【0048】
さらに、収容部9から、真空ポンプ等によって空気を排出し、該収容部9内を真空状態又は真空に違い低圧状態に設定する。これによって、集電極6の電解液と接する部分(具体的には、集電極6の内面)の酸化がより抑制されるため、錆を効率的に防止できる。
【0049】
また、一対の集電極1,1間を押圧することによって、分極性電極8及びセパレータ7に含浸させた電解液が若干量流出して底側に溜まるが、収容袋12の一部を切断等によって開口することにより、この電解液を外部に排出し、その後、この開口部分を介して、真空ポンプ等により、空間を排出し、収容部9を低圧状態又は真空状態とした後、この開口部を熱圧着等によって密封してもよい。
【0050】
このように、収容袋12の内部を低圧又は真空とすることにより、収容袋12の内面によって各集電極6が内部に押圧され、この集電極6,6間に配された一対の分極性電極8,8が圧縮された状態になり、この結果、集電極6と分極性電極8とセパレータ7とが、隣接するもの同士で、互いに押圧されて密着した状態となり、この電気二重層キャパシタ1の内部抵抗が低減される。
【0051】
なお、収容部を不活性ガス雰囲気として、集電極6の酸化を防止してもよい。具体的には、不活性ガス雰囲気下の室内に、上端、下端側又はその他の部分が開口した状態の電気二重層キャパシタ1を導入することにより、収容袋12内に該不活性ガスを充填し、この室内で、電気二重層キャパシタ1の開口部分を密封する。ちなみに、図示しないグローブボックス内に不活性ガス雰囲気を形成し、このグローブボックスの内部で、グローブによって上述の作業を行うことにより、効率的な組立作業を行うことが可能になる。
【0052】
また、上述した通り、
図1及び
図2に示すキャパシタユニットでは、厚み方向に並べられた複数の電気二重層キャパシタ1において、隣接するもの同士が互いに圧着するように、両端の挟持プレート2によって挟持されているため、分極性電極8及びセパレータ7が厚み方向に圧縮され、分極性電極8と集電極6との密着性がさらに高まる。
【0053】
さらに、キャパシタユニットにおいて、隣接する電気二重層キャパシタ1,1同士は、接続端子11,11同士が直接密着するように、互いの密着面を境に対称な形状に成形され、これによって、キャパシタユニット内で、厚み方向に並べられた複数の電気二重層キャパシタ11が電気的に直列接続され、両端側の電気二重層キャパシタ11,11における挟持プレート2に近い側の接続端子11A,11Bが、キャパシタユニットの充放電用端子となる。
【0054】
ちなみに、密着する接続端子11,11同士は、互いに自身の電気二重層キャパシタ側に押圧され、隣接する電気二重層キャパシタ1,1同士は、互いの対向面全体が密着又はほぼ密着した状態になり、接続端子11,11間の接触抵抗も最小限に抑制される。
【0055】
以上のように構成される本キャパシタユニットによれば、空気中で酸化し易い鉄を集電極6として用いた場合でも、収容部9の内部を密閉することにより、酸化を防止できるため、大容量のキャパシタユニットを安価に製造できる。
【0056】
また、集電極6と分極性電極8とが密着するため、内部抵抗も低くなり、エネルギー効率も向上する。ちなみに、収容部9内を不活性ガスで充填して酸化を防止するような場合でも、一対の挟持プレート2,2及び複数の連結ボルト3によって、電気二重層キャパシタ1が厚み方向に圧縮されため、集電極6と分極性電極8の密着性が保持される。
【0057】
さらに、電解液の含漬性が良好な繊維状活性炭を分極性電極8に用いるため、集電極6及び分極性電極8の全体を、電解液に浸す必要がなく、構成も簡略化され、コストも低減される。
【0058】
なお、電解液として、水系電解液を用いる例を上述したが、有機系の電解液を用いてもよい。この場合には、分極性電極の賦活方法は、上述した例と同様であるが、電解液と、賦活処理に用いる水溶液とが異なるため、洗浄作業と乾燥をより念入りに行う必要がある。
【0059】
さらに、分極性電極8を集電極6に押圧して密着させているが、導電接着剤によって、両者を密着させてもよい。具体的には、上述の活性炭の粉末、鉄粉又はニッケル粉末を混合して得られた導電性の接着剤である導電性接着剤によって、上述した集電極6に接着させる。
【0060】
具体的には、スチレンブタジエンゴム(43%)をジクロヘキサン、アセトン又はこれらの混合物等の有機溶剤(57%)で溶かした接着剤(商品名:コニシ株式会社製、GPクリアー)に、分極性電極8で用いる活性炭を粉砕したものを重量比で1:9となるように混練することにより、接着剤を製造し、これを前記導電接着剤として用いる。そして、この導電接着剤を集電極6に塗布した後、シート状の活性炭を集電極6側へ圧着し、100℃程度の温度で2時間程かけて乾燥させることによって、導電接着剤中の有機溶剤を揮発させることにより、集電極6と分極性電極8とを一体化させる。
【0061】
また、シート状活性炭8は、1枚毎に形成してもよいが、シート状の繊維物質を、予め複数枚重ねた状態で、炭化処理及び賦活処理することにより、複数枚重ね合されたシート状活性炭8をまとめて一体形成してもよい。
【0062】
図6は、
図1及び
図2に示すキャパシタユニットの変形例を示す平面図である。図示する例では、キャパシタユニットを構成する複数の電気二重層キャパシタ1が、平面視で、同一姿勢になるように厚み方向に並列させている。
【0063】
これによって、隣接する電気二重層キャパシタ1,1同士において、対向面同士の接続端子11,11が、幅方向で隣接して側面視ラップするように配置される。ちなみに、幅方向で隣接する接続端子11,11同士を電気的に接続する配線を施すことにより、並べられた複数の電気二重層キャパシタが電気的に直列接続される。
【0064】
次に、
図7乃至
図9に基づき、電気二重層キャパシタの別実施形態について説明する。
【0065】
図7及び
図8は、電気二重層キャパシタの別実施形態の構成を示す側断面図及び分解側断面図であり、
図9は、
図7及び
図8に示す集電極の平面図である。各集電極6は、一端が開放され且つ他端が閉塞された筒状(さらに具体的には円筒状)の電極容器からなる。この導電性の電極容器6の開放端側には、円形リング状のフランジ部17が一体形成され、この電極容器6の内周側には、上述した収容部9が形成されている。
【0066】
この収容部9内には、綿状活性炭からなる分極性電極8または複数枚のシート状活性炭が重ね合わされることによりなる分極性電極8(図示する例では綿状活性炭からなる分極性電極8)が、電解液を最大限含浸された状態で、圧縮充填されている。このようにして、分極性電極8が収容された一対の電極容器6,6は、互いの開放端側が向き合うようにして、フランジ部17,17同士が締着固定される。この際、収容部9,9同士は、電極容器6,6間に介在されたシート状の1枚又は2枚のセパレータ7によって、区切られる。
【0067】
また、フランジ部17,17同士を締着固定する固定部材は、図示する例では、締着ボルト18及び締着ナット19になり、このフランジ部17及びセパレータ7には、該フランジ部17の周方向に沿って所定間隔毎に取付孔17a,7aが穿設され、この取付孔17a,7aに挿通された締着ボルト18の先端部に締着ナット17がネジ係合されて、フランジ部17,17同士が締着固定される。
【0068】
さらに、締着ボルト18又は締着ナット19が、集電極6,6同士を導通させることがないように、締着ボルト18又は締着ナット19と、集電極6とを絶縁させる絶縁手段が設けられている。具体的には、締着ボルト18のボルトヘッドとフランジ部17との間、及び締着ナット19とフランジ部17との間に、締着ボルト18の軸部が挿通される絶縁リング21が介挿されるとともに、締着ボルト18の軸部には、絶縁スリーブ22が外装され、これらの絶縁リング21や絶縁スリーブ22が上述の絶縁手段を構成している。なお、固定部材自体を絶縁体で構成することにより、絶縁手段を構成してもよい。
【0069】
以上のように構成される電気二重層キャパシタ1によれば、集電極6によって、収容部9を形成するため、分極性電極8や電解液を収納する収容体12を、別途設ける必要がなく、部品点数が減少して、製造コストが低減される。また、集電極6が外部に露出するため、接続端子11も不要になり、さらにコストが低減される。
【0070】
次に、
図10に基づき、電気二重層キャパシタ1の静電容量と内部抵抗を測定する方法について説明する。
【0071】
図10(A)は電気二重層キャパシタの測定回路であり、(B)は電気二重層キャパシタの充放電の特性グラフである。図示する測定回路31は、2つのスイッチSW1,SW2を有し、この2つのスイッチSW1,SW2は、両方とも同時にONされることはなく、何れか一方がONで且つ他方がOFF、或いは、両方ともOFFに操作される。
【0072】
スイッチSW1がON且つスイッチSW2がOFFの場合、測定対象の電気二重層キャパシタ1と、充電電流検知抵抗R
cとは、直列接続されて電源Eに直結された状態になり、充電電流検知抵抗R
cにかかる電圧V
cと、電気二重層キャパシタ1にかかる電圧であるキャパシタ電圧Vとは電圧計で測定される。また、充電電流検知抵抗R
cに流れる充電電流I
cは以下の式から求める。
【0074】
一方、スイッチSW1がOFF且つスイッチSW2がONの場合、測定対象の電気二重層キャパシタ1と、放電抵抗R
Dとが直結されてRC回路を構成し、キャパシタ電圧Vがダイレクトに放電抵抗R
Dにかかる状態になり、放電抵抗R
Dにかかる電圧V
Dと、キャパシタ電圧Vとは電圧計で測定される。また、放電抵抗R
Dに流れる充電電流I
Dは以下の式から求める。
【0076】
また、測定回路31の動作としては、まず、スイッチSW1をONするとともにスイッチSW2をOFFにする充電工程を行い、充電工程が完了すると、スイッチSW1及びスイッチSW2をOFFして電気二重層キャパシタ1を非接続とする自己放電工程を経て、スイッチSW1をOFFするとともにスイッチSW2をONする放電工程を行う。
【0077】
上記充電工程では、充電電流I
cが減少して0又はそれに近い値になるとともに、キャパシタ電圧Vが増加して電源Eと同一の最大値(最大電圧V
max)になり、その値で一定値又して時点で、電気二重層キャパシタ1への充電が完了する。
【0078】
充電工程後の自己放電工程では、電気二重層キャパシタ1の自己放電によって、キャパシタ電圧Vが最大電圧V
maxよりも減少電圧ΔV
SD分だけ減少する。この自己放電工程後に下記放電工程に移行するが、この移行直前のキャパシタ電圧Vを初期電圧V
0とする。
【0079】
放電工程では、初期段階で、一気にキャパシタ電圧Vが降下電圧ΔV
D分だけ減少して、その後、徐々に放電され、キャパシタ電圧Vが減少していく。放電開始からt秒後のキャパシタ電圧Vは、測定対象の電気二重層キャパシタの静電容量をCとした場合、以下の式で表される。
【0083】
こので、t=τの場合のキャパシタ電圧は以下の式で求まる。
【0085】
すなわち、キャパシタ電圧Vが初期電圧V
0から1/e倍に減少する時間が時定数τとなり、この時定数τが求まれば、放電抵抗R
Dも既知であるため、上述の式から電気二重層キャパシタの静電容量Cを測定することが可能になる。
【0086】
また、放電工程を開始した瞬間に流れる放電電流I
Dである初期電流I
0を測定すれば、この初期電流I
0から電気二重層キャパシタ1の内部抵抗rも算出することができる。ちなみに、その際の算出式は以下の式に基づく。
【0088】
以上のように単純な測定回路31で、電気二重層キャパシタ1の静電容量Cや内部抵抗rを測定できる。
【0089】
続いて、上述のように構成された電気二重層キャパシタ1の静電容量C及び内部抵抗rを測定した実験結果について説明する。
【0090】
<実験1>
繊維物質としては、タオル地の木綿を用い、炭化時の温度が450℃に設定され、賦活温度が750〜850℃に設定され、水酸化カリウムを用いたアルカリ賦活によって賦活処理を行い、その後、酸性の水溶液等で洗浄したものを乾燥させることにより、繊維状のシート状活性炭を製造し、これを一辺の長さが5cmとなる正方形状に切断したもの分極性電極8として用い、集電極1としては鉄、電解液としては、水酸化カリウムの濃度が30重量%の水酸化カリウム水溶液をそれぞれ使用して、電気二重層キャパシタ1を製造した。
【0091】
この電気二重層キャパシタ1は、
図3乃至
図5に示すものであり、器具等によって集電極6,6同士を近づく方向に圧縮した状態で実験を行った。
【0092】
ちなみに、電気二重層キャパシタ1としては、各分極性電極8がシート状活性炭を1枚用いて構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を2枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を3枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を5枚積層して構成されたものとの4種類を用いた。
【0093】
そして、それぞれの種類の電気二重層キャパシタ1毎に、
図10に示す方法により、一日毎に5回づつで5日間、計25回測定し、その測定値の平均値を、各電気二重層キャパシタ1の静電容量C及び内部抵抗rとした。その測定結果を下記に示す。
【0095】
上記表の結果によれば、シート状活性炭の枚数を増加させることにより、静電容量Cが比例的に増加している状態が観察された。また、シート状活性炭の枚数の増加によって、内部抵抗rが増加しないことも観察された。
【0096】
<実験2>
繊維物質としては、織布の木綿を用い、その他の条件は実験1と同一にして実験を行った。電気二重層キャパシタ1としては、各分極性電極8がシート状活性炭を1枚用いて構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を2枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を3枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を5枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を10枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を15枚積層して構成されたものとの6種類を用いた。その測定結果を下記に示す。
【0098】
上記表の結果によれば、シート状活性炭の枚数を増加させることにより、静電容量Cが比例的に増加している状態が観察された。また、シート状活性炭の枚数の増加によって、内部抵抗rが増加しないことも観察された。
【0099】
<実験3>
一辺の長さが2.5cmとなる正方形状に切断した繊維状のシート状活性炭を分極性電極8として用いた以外は、実験2同一条件で、実験を行った。ちなみに、電気二重層キャパシタ1としては、各分極性電極8がシート状活性炭を1枚用いて構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を2枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を3枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を5枚積層して構成されたものとの4種類を用いた。その測定結果を下記に示す。
【0101】
上記表の結果によれば、シート状活性炭の枚数を増加させることにより、静電容量Cが比例的に増加している状態が観察された。また、シート状活性炭の枚数の増加によって、内部抵抗rが増加しないことも観察された。
【0102】
<実験4>
一辺の長さが7.5cmとなる正方形状に切断した繊維状のシート状活性炭を分極性電極8として用いた以外は、実験2と同一条件で、実験を行った。ちなみに、電気二重層キャパシタ1としては、各分極性電極8がシート状活性炭を1枚用いて構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を2枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を3枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を5枚積層して構成されたものとの4種類を用いた。その測定結果を下記に示す。
【0104】
上記表の結果によれば、シート状活性炭の枚数を増加させることにより、静電容量Cが比例的に増加している状態が観察された。また、シート状活性炭の枚数の増加によって、内部抵抗rが増加しないことも観察された。
【0105】
<実験5>
縦10cm且つ横17cmとなる長方形状に切断した繊維状のシート状活性炭を分極性電極8として用いた以外は、実験2と同一条件で、実験を行った。ちなみに、電気二重層キャパシタ1としては、各分極性電極8がシート状活性炭を1枚用いて構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を2枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を3枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を5枚積層して構成されたものとの4種類を用いる。その測定結果を下記に示す。
【0107】
上記表の結果によれば、シート状活性炭の枚数を増加させることにより、静電容量Cが比例的に増加している状態が観察された。また、シート状活性炭の枚数の増加によって、内部抵抗rが増加しないことも観察された。
【0108】
さらに、実験2〜実験5の結果から、シート状活性炭の積層数だけでなく、シート状活性炭の面積についても、静電容量Cに比例関係または略比例関係にあることが明らかになった。これらからシート状活性炭の静電容量Cは、活性炭の体積に比例すると考えられる。この実験結果から、安価に体積を大きくできる綿屑から活性炭を製造し、これを分極性電極8に使用できる可能性について、下記実験6を行った。
【0109】
<実験6>
繊維物質としては、綿屑を用い、アルカリ賦活には炭酸カリウムを使用し、それ以外は、実験1と同一の方法で炭化及び賦活処理し、一辺の長さが5cmとなる正方形状に切断した厚板状のもの分極性電極8として用い、他の実験条件は、実験1と同一にして実験を行った。ちなみに、電気二重層キャパシタ1としては、各分極性電極8がシート状活性炭を1つ用いて構成されたものを用いた。その測定結果を下記に示す。
【0111】
上記表の結果によれば、綿状活性炭を用いても、織布の木綿と同程度の体積当りの静電容量Cが得られた。また、内部抵抗rも小さいことも観察された。この実験では、アルカリ賦活には、炭酸カリウム水溶液を用い、電解液には水酸化カリウムを用いたが、この2つの物質によって化学的反応は起こらなかったため、これらの性質が異なる物質を用いても、電
気二重層キャパシタ1としては、問題がないことが確認された。
【0112】
<実験7>
アルカリ賦活には炭酸カリウムを使用するとともに、電解液として、濃度が50重量%の炭酸カリウム水溶液を用い、その他の条件は実験2と同一にして実験を行った。ちなみに、電気二重層キャパシタ1としては、各分極性電極8がシート状活性炭を1枚用いて構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を2枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を3枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を5枚積層して構成されたものとの4種類を用いた。その測定結果を下記に示す。
【0114】
上記表の結果によれば、電解液に炭酸カリウムを用いても、シート状活性炭の枚数を増加させることにより、静電容量Cが比例的に増加している状態が観察された。また、シート状活性炭の枚数の増加によって、内部抵抗rが増加しないことも観察された。しかしながら、電解液に炭酸カリウムを用いた場合には、水酸化カリウムを用いた場合に比べ、体積当りの静電容量が小さいことも明らかになった。
【0115】
<実験8>
アルカリ賦活には炭酸カリウムを使用するとともに、その他の条件は実験2と同一にして実験を行った。ちなみに、電気二重層キャパシタ1としては、各分極性電極8がシート状活性炭を1枚用いて構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を2枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を5枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を10枚積層して構成されたものとの4種類を用いる。その測定結果を下記に示す。
【0117】
上記表の結果によれば、シート状活性炭の枚数を増加させることにより、静電容量Cが比例的に増加している状態が観察された。また、実験2の結果と比較すると、水酸化カリウムを電解液に使用した場合、炭酸カリウムで賦活された織布の木綿も、水酸化カリウムで賦活されたものと同等の静電容量を持つことが明らかになった。
【0118】
<実験9>
炭酸カリウムを用いたアルカリ賦活によって賦活処理を行い、その他の条件は実験1と同一にして実験を行った。ちなみに、電気二重層キャパシタ1としては、各分極性電極8がシート状活性炭を1枚用いて構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を3枚積層して構成されたものと、各分極性電極8がシート状活性炭を5枚積層して構成されたものとの3種類を用いる。その測定結果は下記に示す。
【0120】
上記表の結果によれば、シート状活性炭の枚数を増加させることにより、静電容量Cが比例的に増加している状態が観察された。また、シート状活性炭の枚数の増加によって、内部抵抗rが増加しないことも観察された。炭酸カリウムで賦活したタオル地の木綿も、水酸化カリウムで賦活で賦活したものと同等の静電容量を持つことが明らかになった。