特許第6249549号(P6249549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249549
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20171211BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20171211BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20171211BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20171211BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20171211BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20171211BHJP
【FI】
   B60Q1/04 E
   F21S8/10 532
   F21V29/503
   H05B37/02 K
   F21W101:10
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-163835(P2013-163835)
(22)【出願日】2013年8月7日
(65)【公開番号】特開2015-30442(P2015-30442A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100114122
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友和
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正人
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−129564(JP,A)
【文献】 特開2009−146648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
F21S 8/10
F21V 29/503
H05B 37/02
F21W 101/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーからの入力電圧に基づき得られる発光駆動電流が供給されて発光駆動される光源部と、
前記バッテリーからの入力電圧に基づき得られる、前記発光駆動電流とは異なる駆動電流が供給されて駆動される冷却ファンと、
前記入力電圧に基づき前記光源部を発光駆動するための出力電圧を生成するDC−DCコンバータと、
前記DC−DCコンバータに対して前記光源部と並列に接続されて、前記出力電圧に基づき前記冷却ファンを駆動するための前記駆動電流を前記冷却ファンに供給するファン用電源回路と、を備え、
前記光源部が一又は複数の半導体発光素子を有して構成されており、
前記光源部の点灯下限電圧値が前記冷却ファンの動作下限電圧値以上とされている
車両用灯具。
【請求項2】
電流検出用抵抗によって検出した電流値が一定となるように前記DC−DCコンバータを制御する制御部を備え、
前記電流検出用抵抗が、並列接続された前記光源部と前記ファン用電源回路のうち前記光源部側の回路内に挿入されている
請求項に記載の車両用灯具。
【請求項3】
バッテリーからの入力電圧に基づき得られる発光駆動電流が供給されて発光駆動される光源部と、
前記バッテリーからの入力電圧に基づき得られる、前記発光駆動電流とは異なる駆動電流が供給されて駆動される冷却ファンと、
記入力電圧に基づき前記光源部を発光駆動するための出力電圧を生成するDC−DCコンバータと、
前記DC−DCコンバータよりも前段側から入力した電圧に基づき前記冷却ファンを駆動するための前記駆動電流を前記冷却ファンに供給するファン用電源回路と、
前記ファン用電源回路への入力電圧値が前記冷却ファンの動作下限電圧値以上の値に設定された閾値以下であるか否かを判別した結果に基づき、前記光源部を消灯させる制御部と、を備える
両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ファンを備えた車両用灯具の技術分野に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2009−146648号公報
【特許文献2】特開2010−153343号公報
【背景技術】
【0003】
車両用灯具には、廃熱を行うための冷却ファンを備えたものがある(例えば上記特許文献1,2を参照)。冷却ファンを用いたいわゆる強制冷却方式は、廃熱性能に優れるためヒートシンクの小型化が可能であり、車両用灯具の小型化に貢献できる。
【0004】
車両用灯具には、バッテリーからの入力電圧に基づき光源部を発光駆動するための出力電圧を得るDC−DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)が備えられている。上記特許文献1,2にあるように、冷却ファンを備える従来の車両用灯具においては、冷却ファンを駆動するための電圧をDC−DCコンバータの前段から得るようにされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、冷却ファンを備える従来の車両用灯具においては、例えばランプを消し忘れたままエンジンを停止してしまったこと等によりバッテリーからの入力電圧が低下した際に、光源部が冷却されずに点灯し続けることで光源部が熱暴走してしまう虞がある。
具体的に、冷却ファンの動作下限電圧値が光源部を構成する例えばLED(発光ダイオード)などの半導体発光素子の点灯下限電圧値(点灯から消灯に切り替わる電圧値)よりも高い場合には、バッテリーからの入力電圧が低下していった際に冷却ファンの動作が先に停止してしまい、光源部が点灯しているにも関わらず冷却ファンが停止した状態となってしまい、光源部を構成する半導体発光素子が熱暴走する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題点を克服し、バッテリーからの入力電圧が低下した際の光源部の熱暴走の防止を図り、車両用灯具の安全性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1に、本発明の車両用灯具は、バッテリーからの入力電圧に基づき得られる発光駆動電流が供給されて発光駆動される光源部と、前記バッテリーからの入力電圧に基づき得られる、前記発光駆動電流とは異なる駆動電流が供給されて駆動される冷却ファンと、前記入力電圧に基づき前記光源部を発光駆動するための出力電圧を生成するDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータに対して前記光源部と並列に接続されて、前記出力電圧に基づき前記冷却ファンを駆動するための前記駆動電流を前記冷却ファンに供給するファン用電源回路と、を備え、前記光源部が一又は複数の半導体発光素子を有して構成されており、前記光源部の点灯下限電圧値が前記冷却ファンの動作下限電圧値以上とされているものである。
【0008】
これにより、冷却ファンが停止した状態で光源部が点灯され続けてしまう状況が生じない。
【0010】
第2に、上記した本発明に係る車両用灯具においては、電流検出用抵抗によって検出した電流値が一定となるように前記DC−DCコンバータを制御する制御部を備え、前記電流検出用抵抗が、並列接続された前記光源部と前記ファン用電源回路のうち前記光源部側の回路内に挿入されていることが望ましい。
これにより、光源部側に流れる発光駆動電流の電流値が正確に検出され、検出された電流値に基づきDC−DCコンバータの制御が行われる。
【0011】
また、本発明に係る車両用灯具は、バッテリーからの入力電圧に基づき得られる発光駆動電流が供給されて発光駆動される光源部と、前記バッテリーからの入力電圧に基づき得られる、前記発光駆動電流とは異なる駆動電流が供給されて駆動される冷却ファンと、記入力電圧に基づき前記光源部を発光駆動するための出力電圧を生成するDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータよりも前段側から入力した電圧に基づき前記冷却ファンを駆動するための前記駆動電流を前記冷却ファンに供給するファン用電源回路と、前記ファン用電源回路への入力電圧値が前記冷却ファンの動作下限電圧値以上の値に設定された閾値以下であるか否かを判別した結果に基づき、前記光源部を消灯させる制御部とを備えることが望ましい。
これにより、入力電圧の低下に伴い光源部が消灯するよりも前に冷却ファンが停止しない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バッテリーからの入力電圧が低下した際の光源部の熱暴走の防止が図られ、車両用灯具の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態の車両用灯具内部の回路構成を説明するためのブロック図である。
図2】入力電圧が徐々に低下していった際の第1の実施の形態の車両用灯具の動作について説明するための図である。
図3】第2の実施の形態の車両用灯具内部の回路構成を説明するためのブロック図である。
図4】第2の実施の形態の車両用灯具が備える制御部が実行する処理の手順を示したフローチャートである。
図5】入力電圧が徐々に低下していった際の第2の実施の形態の車両用灯具の動作について説明するための図である。
図6】変形例としての車両用灯具内部の回路構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態の車両用前照灯1内部の回路構成について説明するためのブロック図である。なお、図1では、車両用前照灯1の外部に設けられた車載バッテリー100と点灯スイッチ101も併せて示している。
本実施の形態の車両用灯具1は、いわゆる車両用前照灯であり、車体の前端部における左右両端部に取り付けられる。
【0015】
図示するように、車両用前照灯1には、入力フィルタ2、DC−DCコンバータ3、出力フィルタ4、光源部5、制御部6、ファン用電源回路7及び冷却ファン8と共に、電流検出用抵抗Rs、正極側入力端子10、負極側入力端子11及び調光信号入力端子12が設けられている。
【0016】
正極側入力端子10は点灯スイッチ101を介して車載バッテリー100の正極側に接続されている。負極側入力端子11は車載バッテリー100の負極(GND:グラウンド)側に接続されている。点灯スイッチ101がオンとされると、正極側入力端子10と負極側入力端子11との間に車載バッテリー100からの入力電圧Viが印加される。
【0017】
入力フィルタ2は、ノイズフィルタとダンプサージ等のサージ保護素子(サージアブソーバ・パワーツェナー)を備え、入力電圧Viに生じるコモンモードノイズを除去すると共にサージ電圧に対する保護を行う。
【0018】
DC−DCコンバータ3は、トランス又はコイル、コンデンサ、ダイオード、スイッチング素子を有するスイッチングレギュレータとして構成されている。DC−DCコンバータ3は、入力フィルタ2を介して入力された入力電圧Viを直流−直流変換して光源部5を発光駆動するための出力電圧Voを生成する。
DC−DCコンバータ3の出力側は、正極側が後述する電流検出用抵抗Rs及び出力フィルタ4を介して光源部5を構成するLED(発光ダイオード)のアノード端と接続され、負極側が出力フィルタ4を介して当該LEDのカソード端と接続されている。
出力フィルタ4は、例えばチョークコイルとコンデンサとを備えたフィルタ回路(ローパスフィルタ回路)として構成され、出力電圧Voに生じる高周波成分を除去する。
なお、本例における光源部5は、四つのLEDが直列接続されて形成されている。
【0019】
ファン用電源回路7は、入力端子(Vin)、出力端子(Vout)、接地端子(GND)及びイネーブル端子(EN)を有し、入力端子に入力された直流電圧に基づき出力端子と接地端子との間に冷却ファン8を駆動するためのファン駆動電圧を生成する。図のようにファン用電源回路7の出力端子と接地端子はそれぞれ冷却ファン8と接続され、これにより冷却ファン8に対してファン駆動電圧を印加可能とされている。すなわち、冷却ファン8を駆動するための駆動電流Ifを冷却ファン8に供給可能とされている。
【0020】
ファン用電源回路7は、いわゆるレギュレータであり、入力端子への入力電圧に基づき一定の電圧値によるファン駆動電圧を生成する。
但し、一般的なレギュレータと同様に、入力端子への入力電圧値が所定の下限値以下に低下した場合は、出力電圧(つまりファン駆動電圧)の電圧値が一定に維持されず、入力電圧値と同値によるファン駆動電圧が生成される。本例のファン用電源回路7は、入力電圧値についての上記下限値が5.0Vとされており、従って入力端子への入力電圧値が5.0V以下に低下するとファン駆動電圧の電圧値が出力電圧Voの電圧値と同値となる。
【0021】
冷却ファン8のオン/オフ制御は、制御部6がファン用電源回路7のイネーブル端子に対してオン/オフ指示信号を入力することで行われる。ファン用電源回路7は、イネーブル端子にオンを指示する信号が入力されたことに応じて駆動電流Ifを冷却ファン8に供給して冷却ファン8を動作させる。一方、イネーブル端子にオフを指示する信号が入力されたことに応じて駆動電流Ifの供給を停止して冷却ファン8を停止させる。
【0022】
なお、冷却ファン8は、回転駆動中においてFG信号を出力する。FG信号は、冷却ファン8の回転数と同期したパルス信号であり、図のように制御部6に対して供給される。
【0023】
ここで、本実施の形態では、ファン用電源回路7の入力端子にDC−DCコンバータ3の出力電圧Voが入力されている。すなわち、ファン用電源回路7は、DC−DCコンバータ3に対して光源部5と並列に接続されている。
これにより、DC−DCコンバータ3からの出力電流Ioは、光源部5側とファン用電源回路7とに分流して流れる。ここで、DC−DCコンバータ3から光源部5側に分流した電流は、出力電圧Voの印加に応じて発光部5を構成するLEDが点灯(発光)することに応じて流れる電流であり、以下「発光駆動電流Id」と表記する。
【0024】
電流検出用抵抗Rsは、発光駆動電流Idの電流値を検出するために設けられている。電流検出用抵抗Rsは、DC−DCコンバータ3に対して並列接続された光源部5とファン用電源回路7のうち光源部5側の回路内に挿入されている。具体的に、本例における電流検出抵抗Rsは、DC−DCコンバータ3の正極側出力端とファン用電源回路7の入力端子との接続点(つまり出力電流Ioの分流点)と出力フィルタ4の正極側入力端との間に挿入されている。
【0025】
制御部6は、制御IC(Integrated Circuit)を備えて構成され、電流検出用抵抗Rsによって検出される発光駆動電流Idの電流値と調光信号入力端子12を介して車両側より入力される調光信号Saとに基づき、DC−DCコンバータ3の制御を行う。
具体的に、制御部6は、電流検出用抵抗Rsの両端電圧に基づき発光駆動電流Idの電流値を検出し、検出した発光駆動電流Idの電流値と調光信号Saとに基づき、DC−DCコンバータ3が備えるスイッチング素子のオン/オフ動作を制御する。すなわち、上記スイッチング素子のオン/オフ制御信号のデューティを制御する。
このとき、制御部6は、発光駆動電流Idの電流値が目標値で一定となるように上記スイッチング素子のオン/オフ制御信号のデューティを制御する。これにより、発光駆動電流Idについての定電流制御(安定化制御)が実現される。すなわち、光源部5の発光量を一定に保つ制御が実現される。
また、制御部6は、上記定電流制御における目標値を調光信号Saに基づき変更する。これにより、光源部5の発光量が調光信号Saに応じた発光量に調整される(いわゆる調光制御)。
【0026】
また、制御部6は、ファン用電源回路7のイネーブル端子にオン/オフ指示信号を出力して冷却ファン8のオン/オフ動作を制御可能とされている。
【0027】
ここで、本実施の形態の車両用灯具1は、前述のようにファン用電源回路7がDC−DCコンバータ3に対して光源部5と並列に接続された上で、次の条件を満たすように構成されている。すなわち、光源部5を構成するLEDの数をn、LEDの点灯下限電圧値をa、冷却ファン8の動作下限電圧値をbとしたときに、

a×n≧b

の条件を満たすように構成されている。
【0028】
上記条件において、「点灯下限電圧値」とは、点灯状態を維持することのできる下限の電圧値を意味する。「a×n」は、n個のLEDで構成された光源部5の点灯下限電圧値を意味する。なお、本例の場合、光源部5を構成する個々のLEDの点灯下限電圧値はa=1.7V程度とされている。
また、「動作下限電圧値」とは、冷却ファン8が回転動作を維持することのできる下限の電圧値を意味する。本例の場合、冷却ファン8の動作下限電圧値はb=4.5Vとされている。
なお、前述したファン用電源回路7の入力電圧値についての下限値(本例では5.0V)は、冷却ファン8の動作下限電圧値bよりも高い値とすべきことは言うまでもない。
【0029】
図2は、入力電圧Viが徐々に低下していった際の車両用灯具1の動作について説明するための図である。なお、この図では「a×n>b」の条件を満たす場合を例示している。
例えばランプを消し忘れたままエンジンを停止してしまったこと等により車載バッテリー100からの入力電圧Viが大きく低下すると、DC−DCコンバータ3による出力電圧Voも低下する。図2では、このように入力電圧Viの低下に起因して低下する出力電圧Voと、光源部5の点灯下限電圧値(a×n)と、冷却ファン8の動作下限電圧値(b)との関係を模式的に示している。
【0030】
本実施の形態の車両用灯具1では、光源部5とファン用電源回路7がDC−DCコンバータ3に対して並列の関係にあるので、ファン用電源回路7の入力端子への入力電圧値と光源部5に印加される電圧値は同等とみなすことができる。
この点より、「a×n>b」の条件が満たされる場合には、入力電圧Viの低下に起因して出力電圧Voが低下すると、先ずは出力電圧Voの値が光源部5の点灯下限電圧値である「a×n」に達した時点(図中時点t1)で光源部5を構成する各LEDがオフし、その後、出力電圧Voがさらに低下して動作下限電圧値bに達した時点(時点t2)で冷却ファン8がオフとなる。
なお、「a×n=b」である場合は、光源部5と冷却ファン8が同時にオフすることは言うまでもない。
【0031】
上記のように本実施の形態の車両用灯具1は、ファン用電源回路7がDC−DCコンバータ3に対して光源部5と並列に接続されていると共に、光源部5の点灯下限電圧値が冷却ファン8の動作下限電圧値以上とされている。
これにより、入力電圧Viの低下に伴い光源部5が消灯するよりも前に冷却ファン8が停止しないようになる。従って、冷却ファン8が停止した状態で光源部5が点灯され続けてしまう状況を生じさせないようにでき、光源部5の熱暴走の防止が図られ車両用灯具の安全性を高めることができる。
【0032】
また、本実施の形態の車両用灯具1によれば、入力電圧Viの低下に伴い光源部5が消灯するよりも前に冷却ファン8が停止しないようにするにあたり、例えば入力電圧Vi等の電圧値を検出して光源部5を強制オフするなどの特段の制御を実行する必要がない。従って、回路構成を簡易化でき、部品点数の削減及び小型化を図ることができる。
【0033】
さらに、本実施の形態の車両用灯具1では、ファン用電源回路7をDC−DCコンバータ3に対して光源部5と並列に接続したことで、ファン用電源回路7が入力フィルタ2の後段に設けられている。
これにより、冷却ファン8の駆動側に対して光源部5側とは別途にサージ保護を行うための構成を設ける必要がなく、部品点数の削減及び小型化を図ることができる。
【0034】
また、本実施の形態の車両用灯具1では、電流検出用抵抗Rsによって検出した電流値が一定となるようにDC−DCコンバータ3を制御する制御部を備え、電流検出用抵抗Rsが、並列接続された光源部5とファン用電源回路7のうち光源部5側の回路内に挿入されている。
これにより、光源部5側に流れる発光駆動電流Idの電流値が正確に検出され、検出された電流値に基づきDC−DCコンバータ3の制御が行われる。従って、冷却ファン8側の負荷変動による影響を受けずに光源部5の発光量を一定に保つことができる。すなわち、光源部5の発光量制御の精度を向上できる。
【0035】
続いて、第2の実施の形態の車両用灯具1Aについて説明する。
図3は、車両用灯具1A内部の回路構成について説明するためのブロック図である。なお以下の説明において、既に説明済みとなった部分については同一符号を付して説明を省略する。
第1の実施の形態の車両用灯具1との差異は、ファン用電源回路7の入力端子(Vin)に対してDC−DCコンバータ3の前段側から入力電圧が与えられている点と、制御部6に代えて制御部6Aが設けられた点である。
本例では、入力フィルタ2からDC−DCコンバータ3に出力される電圧(以下「電圧Vfi」と表記)がファン用電源回路7の入力端子に分岐して入力されている。これにより、この場合のファン用電源回路7は電圧Vfiに基づき冷却ファン8に対して駆動電流Ifを供給する。
また、電圧Vfiは、制御部6Aに対しても入力される。
【0036】
制御部6Aは、前述した定電流制御及び調光制御を行う点は第1の実施の形態における制御部6と同様である。
制御部6Aは、電圧Vfiの電圧値を検出し、図4に示す処理を実行する。すなわち、電圧Vfiの電圧値が所定の閾値th以下であるか否かを判別し(S101)、電圧Vfiの電圧値が閾値th以下であった場合は光源部5をオフする(S102)。光源部5をオフ(消灯)させるにあたっては、例えばDC−DCコンバータ3のスイッチング素子のオン/オフ制御信号のデューティを制御する。すなわち、オン期間とオフ期間の比を0:1とする。
【0037】
図5は、入力電圧Viが低下していった際の車両用灯具1Aの動作について説明するための図である。
第2の実施の形態において、閾値thは、冷却ファン8の動作下限電圧値以上の値に設定されている。本例では、冷却ファン8の動作下限電圧値=4.5Vに対して閾値th=5.0Vに設定されている。
これにより、入力電圧Viの低下に伴って電圧Vfiの電圧値が閾値th=5.0Vに達すると、図のように光源部5が強制的にオフされる。その一方で、動作下限電圧値は4.5Vであるため、冷却ファン8はオン状態を維持する。従って、入力電圧Viの低下に伴い光源部5が消灯するよりも前に冷却ファン8が停止しない。
【0038】
このように第2の実施の形態の車両用灯具1Aでは、ファン用電源回路7がDC−DCコンバータ3よりも前段側から入力した電圧に基づき冷却ファン8を駆動するための駆動電流Ifを冷却ファン8に供給し、制御部6Aが、ファン用電源回路7への入力電圧値(電圧Vfiの電圧値)が冷却ファン8の動作下限電圧値以上の値に設定された閾値以下であるか否かを判別した結果に基づき、光源部5を消灯させている。
これにより、入力電圧Viの低下に伴い光源部5が消灯するよりも前に冷却ファン8が停止しないようになり、冷却ファン8が停止した状態で光源部5が点灯され続けてしまう状況を生じさせないようにできる。従って、光源部5の熱暴走の防止が図られ車両用灯具の安全性を高めることができる。
【0039】
また、第2の実施の形態の車両用灯具1Aとしても、車両用灯具1と同様にファン用電源回路7が入力フィルタ2の後段に設けられている。従って、光源部5側とは別途にサージ保護を行うための構成を設ける必要がなく、部品点数の削減及び小型化を図ることができる。
【0040】
なお、本発明は上記により説明した具体例に限定されるべきものではなく、多様な変形例が考えられるものである。
例えば上記では、電流検出用抵抗RsをDC−DCコンバータ3の正極側の出力ライン上に設ける場合を例示したが、例えば図6に車両用灯具1Bとして示すように、電流検出用抵抗RsはDC−DCコンバータ3の負極側の出力ライン上に設けることもできる。
ここで、先の図1に示した車両用灯具1では、ファン用電源回路7をDC−DCコンバータ3に対して光源部5と並列に接続するにあたり、ファン用電源回路7の入力端子をDC−DCコンバータ3と出力フィルタ4との接続点に対して接続したが、図6に示すようにファン用電源回路7の入力端子を出力フィルタ4と光源部5を構成するLEDのアノード端との接続点に対して接続しても、ファン用電源回路7をDC−DCコンバータ3に対して光源部5と並列に接続できる。
【0041】
なお、図6に示す車両用灯具1Bにおいては、出力フィルタ4と発光部5を構成するLEDのアノード端との接続点が出力電流Ioの分流点となり、当該分流点から光源部5側に流れる電流が発光駆動電流Idとなる。この場合における電流検出用抵抗Rsとしても、図1に示した車両用灯具1の場合と同様に、並列接続された光源部5とファン用電源回路7のうち光源部5側の回路内に挿入されているため、冷却ファン8側の負荷変動の影響を受けずに発光駆動電流Idの電流値を正確に検出できる。
【0042】
また、上記では、光源部5が四つのLEDで構成される場合を例示したが、光源部5を構成する半導体発光素子は例えば有機EL(Electro-Luminescence)発光素子などの他の半導体発光素子とすることができ、また光源部5を構成する半導体発光素子の数も四つに限定されず一又は複数であればよい。
【0043】
本発明の車両用灯具は、バッテリーからの入力電圧に基づき発光駆動される光源部と、前記バッテリーからの入力電圧に基づき駆動される冷却ファンとを備え、前記入力電圧の低下に伴い前記光源部が消灯するよりも前に前記冷却ファンが停止しないように構成されていればよい。
これにより、冷却ファンが停止した状態で光源部が点灯され続けてしまう状況が生じず、従って光源部の熱暴走の防止が図られ車両用灯具の安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0044】
1,1A,1B…車両用灯具、3…DC−DCコンバータ、5…光源部、6,6A…制御部、7…ファン用電源回路、8…冷却ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6