(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1〜第nの発光素子部は車両用のターンシグナルランプを構成し、車両側制御部から供給されるパルス電圧を受けることで前記第1〜第nの発光素子部での点滅発光を行う車両用灯具であって、
前記車両側制御部が、車両用灯具への出力電流が所定電流値以上の場合に第1周波数のパルス電圧を車両用灯具に供給し、車両用灯具への出力電流が所定電流値未満の場合に前記第1周波数より高い第2周波数のパルス電圧を車両用灯具に供給するものである場合に、
前記車両側制御部から供給される入力電流について、前記第1〜第nの発光素子部に係るn個の発光系統で消費される入力電流の和をIdal、電力消費部で消費される入力電流をIr、前記第1〜第nの発光素子部によるn個の発光系統のうちの1つで断線が生じたときの残りの(n−1)個の発光系統で消費される入力電流の和としての最大値をIdsとして、
Ids<前記所定電流値<(Idal+Ir)
を満たす請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車両用灯具。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態の車両用灯具について
図1〜
図4を参照しながら説明する。実施の形態の車両用灯具1は、ターンシグナルランプとして用いられる例とする。
図1に示すように車両用灯具1は、車両側制御部2と端子10,11が接続されている。端子11は例えばグランド端子である。
車両側制御部2は、ドライバーのターンシグナルランプ点灯操作に応じて、一例として0.7秒周期で24Vのパルス電圧Vpを端子10に供給する。この端子10に入力されるパルス電圧Vpは、直接発光駆動電圧として用いられる。
【0014】
なお車両側制御部2は、出力するパルス電圧Vpの周期を出力電流に応じて変化させるようにしている。例えば出力電流値が所定値以上であれば例えば0.7秒周期のパルス、所定値未満となったら例えば0.35秒周期のパルスとするなどである。
車両用灯具1は、このパルス電圧Vpに基づく駆動電流で半導体発光素子が発光駆動される構成であるため、例えば0.7秒周期のパルスが供給された場合は、通常の0.7秒周期のターンシグナルランプの点滅が行われる。0.35秒周期のパルスが供給された場合は、0.35秒周期の高速点滅が行われる、いわゆるハイフラッシャー状態となる。
【0015】
本実施の形態の車両用灯具1は、
図1に示すように、保護回路12、電圧制御回路13、過電圧監視部14、基準電圧生成部15、低電圧監視部16、発光素子部17A、17B、17C、定電流回路18A、18B、18C、断線検出部19A、19B、19C、電力消費用スイッチ20、電力消費部21、スイッチ制御部22を有する。
【0016】
端子10からの駆動電力供給ライン31上には、保護回路12,電圧制御回路13が設けられている。
保護回路12は、逆接保護回路やサージ保護回路により構成される。
電圧制御回路13は、過電圧が印加された場合に遮断する過電圧保護スイッチと、入力電圧(=Vp)を昇圧又は降圧させるDC/DCコンバータの少なくとも一方を含む。
ここでは少なくとも過電圧保護スイッチを有するものとして説明する。過電圧保護スイッチは、通常はオンとされ、パルス電圧Vpを発光素子部17A、17B、17Cに与えるが、過電圧状態となったらオフとされる。
この動作のため、過電圧監視部14が、端子10から駆動電力供給ライン31に供給された電圧が過電圧状態(例えば36V以上)となっているか否かを監視し、過電圧状態を検出した際に電圧制御回路13内の過電圧保護スイッチをオフとする回路構成を採る。
過電圧保護スイッチがオフとされることで、後段の発光素子部17A、17B、17Cが駆動電力供給ライン31から切り離され、駆動電流供給が行われなくなる。つまり発光素子部17A、17B、17Cに過大な電圧が印加されることを防止して、発光素子部17A、17B、17Cの保護が図られる。
【0017】
発光素子部17A、17B、17Cは、それぞれ
図2に示すように半導体発光素子としての6個のLEDの直列接続で構成されている。発光素子部17A、17B、17Cは駆動電力供給ライン31からみて互いに並列に接続されている。
発光素子部17A、17B、17Cに対しては、それぞれ定電流回路18A、18B、18Cが設けられている。定電流回路18A、18B、18Cによって、発光素子部17A、17B、17Cとしての各LED群は、定電流で発光駆動される。
【0018】
基準電圧生成部15は、入力電圧を用いて必要な基準電圧Vrefを生成する。この基準電圧Vrefは、定電流回路18A、18B、18Cにおいて、発光素子部17A、17B、17Cに流す電流の定電流制御のための比較基準として用いられる。
【0019】
低電圧監視部
16は、端子10に供給されたパルス電圧Vpが低電圧状態(例えば16V以下)となっているか否かを監視する。低電圧が検出された場合、低電圧監視部16は低電圧検出信号Suを検出ライン32によりスイッチ制御部22に供給する。
また発光素子部17A、17B、17Cに対しては、それぞれ断線検出部19A、19B、19Cが設けられている。断線検出部19A、19B、19Cは、それぞれ対応する発光素子部17A、17B、17Cにおける断線状態を検出する。断線検出部19A、19B、19Cのいずれか1つでも断線を検出した場合、検出ライン30により断線検出信号Sdがスイッチ制御部22に供給される。
【0020】
駆動電力供給ライン31上では、発光素子部17A、17B、17Cと並列に、電力消費用スイッチ部20と電力消費部21が接続されている。
電力消費部21は、
図3に示すように多数のダミー抵抗r群によるダミー負荷回路として構成される。
電力消費用スイッチ部20は、この電力消費部21を駆動電力供給ライン31から切り離して、電力消費部21への電流供給をオフとすることができるスイッチ回路で構成されている。
電力消費用スイッチ部20は、スイッチ制御部22の制御により電流供給のオン/オフを行う。
スイッチ制御部22は、上述の断線検出信号Sdや、低電圧検出信号Suに応じて、電力消費用スイッチ部20をオフ状態にする動作を行う。
【0021】
ここで以上の
図1の構成において、端子10の入力電流について、発光素子部17A、17B、17Cと定電流回路18A、18B、18Cで消費される入力電流をIin1,Iin2,Iin3、電力消費部21で消費される入力電流をIrとする。
また発光素子部17A、17B、17Cに係る3つの発光系統で消費される入力電流の和(=Iin1+Iin2+Iin3)をIdalとする。
さらに発光素子部17A、17B、17Cに係る3つの発光系統のうちの1つで断線が生じたときの残りの2つの発光系統で消費される入力電流の和としての最大値をIdsとする。
車両側制御部2は、
・車両用灯具1に対する出力電流が所定の電流値Ic以上の場合に通常の点滅動作を行うように所定の周波数(第1周波数)のパルス電圧Vpを供給し、
・車両用灯具1に対する出力電流が所定の電流値Ic未満の場合に通常の点滅より早い点滅動作を行うようにより高い周波数(第2周波数)のパルス電圧Vpを供給する
ように構成されている。
この場合に本実施の形態の車両用灯具1においては、
Ids<Ic<(Idal+Ir)
を満たすように、Iin1,Iin2,Iin3,Irが設定されている。
但し“Ids”は、発光素子部17A、17B、17Cに係る3つの発光系統のうちの1系統で断線が生じたときの残りの2系統で消費される入力電流の和としての最大値を示す。
例えば発光素子部
17Bが断線した場合は残りの2系統よる消費電流=Iin1+Iin3、発光素子部
17Aが断線した場合は残りの2系統による消費電流=Iin2+Iin3、発光素子部
17Cが断線した場合は残りの2系統による消費電流=Iin1+Iin2となるが、“Ids”は、「Iin1+Iin3」「Iin2+Iin3」「Iin1+Iin2」のうちの最大値となる。
【0022】
図2により、断線検出部19A、19B、19Cの回路構成を説明する。
断線検出部19A、19B、19Cはそれぞれ同一の回路構成とされている。それぞれ差動アンプAP1、抵抗R1〜R5、コンデンサC1〜C3、NPNトランジスタQ1を有する。また各断線検出部19A、19B、19Cには、所定の電圧Vccラインから抵抗R10、R11で分圧して生成した比較電圧Vcpが供給されている。
【0023】
断線検出部19Aで代表して説明する。発光素子部17AのLEDの直列接続におけるカソード側が、抵抗R1を介して差動アンプAP1の反転入力端に接続されている。またこの反転入力端とグランドの間にコンデンサC1が接続されている。差動アンプAP1の非反転入力端には比較電圧Vcpが抵抗R5を介して入力される。抵抗R2は差動アンプAP1の帰還抵抗である。
差動アンプAP1の出力端は、抵抗R3を介してNPNトランジスタQ1のベースに接続される。また差動アンプAP1の出力端とグランドの間にコンデンサC3が接続されている。NPNトランジスタQ1のベース−エミッタ間に抵抗R4が接続され、エミッタはグランドに接続されている。NPNトランジスタQ1のコレクタは、出力ライン30に接続されている。検出ライン30とグランドの間は検出信号のノイズ除去のためのコンデンサC2が挿入されている。
【0024】
このような断線検出部19Aでは、次のように断線検出を行う。
ターンシグナルランプとしての発光動作が行われる場合、発光素子部17Aに対しては、パルス電圧Vpが印加され、その電圧印加に応じて発光駆動電流が断続的に流れる。断線がなく、発光駆動電流が正常に断続的な周期で流れる場合は、コンデンサC1での充放電により平滑化された電圧が差動アンプAP1の反転入力端に印加される。一方、発光素子部17AでのLED直列回路において断線が発生し、電流が流れなくなると、差動アンプAP1の反転入力端の電位が低下することとなる。
つまり断線により差動アンプAP1の反転入力端の電位が比較電圧Vcpよりも低下した場合、差動アンプAP1の出力電圧が上昇し、NPNトランジスタQ1にベース電流が与えられてNPNトランジスタQ1がオンする。これによって検出ライン30が、ほぼグランドレベルとなる。
図4で後述するが、検出ライン30は、通常は所定電位とされている。この検出ライン30の電位が断線検出信号Sdであり、この電位がほぼグランドレベルとなることが、断線検出を示すこととなる。
【0025】
ここで
図2からわかるように、検出ライン30は、断線検出部19A、19B、19Cについて共通となっている。即ち断線検出部19A、19B、19CのそれぞれのNPNトランジスタQ1が接続されている。従って、発光素子部17A、17B、17Cのいずれか1つでも断線が生じた場合、検出ライン30の電位、つまり断線検出信号Sdはグランドレベルとなる。
【0026】
続いて
図3で電力消費用スイッチ部20の回路構成を説明する。電力消費用スイッチ部20は、スイッチ用トランジスタQ10,制御用トランジスタQ11、抵抗R11〜R13、コンデンサC10,C11を有する。
スイッチ用トランジスタQ10は、例えばPチャネルFET(Field Effect Transistor)で構成され、そのソース−ドレインが、駆動電力供給ライン31と電力消費部21の間に接続されている。即ちスイッチ用トランジスタQ10がオンされることで電力消費部21に電流が流れ、オフされることで電力消費部21への電流供給がオフされる。
スイッチ用トランジスタQ10のゲート−ソース間にはコンデンサC10と抵抗R12が接続され、またスイッチ用トランジスタQ10のゲートには抵抗R11を介してNPNトランジスタによる制御用トランジスタQ11のコレクタが接続されている。
制御用トランジスタQ11のベース−エミッタ間には抵抗R15が接続され、ベースは抵抗R14,R13を介して駆動電力供給ライン31に接続されている。またベース−グランド間はコンデンサC11が挿入されている。制御用トランジスタQ11のエミッタはグランドに接続されている。ここで抵抗R14とコンデンサC11の接続点を接続点TAとして示しているが、この接続点TAは次に
図4で説明するスイッチ制御部22と接続されている。
【0027】
図4でスイッチ制御部22及び低電圧監視部16の回路構成を説明する。
低電圧監視部16は、
図4に示すようにカソード側が駆動電力供給ライン31に接続されたツェナーダイオードZD、コンデンサC20、抵抗R20,R21、NPNトランジスタQ20を有する。ツェナーダイオードZDのアノードは抵抗R20を介してNPNトランジスタQ20のベースに接続され、またアノード−グランド間はコンデンサC20が接続されている。抵抗R21はNPNトランジスタQ20のベース−エミッタ間に接続され、エミッタは接地されている。
この場合、駆動電力供給ライン31に与えられるパルス電圧Vpが、例えば24Vの正常状態であると、NPNトランジスタQ20はオン状態となるが、ツェナーダイオードZDの降伏電圧の選定に応じた所定電圧、例えば16V以下となるとNPNトランジスタQ20はオフする。NPNトランジスタQ20のオン/オフによって変動する検出ライン32の電位状態が、低電圧検出信号Suとなる。
【0028】
スイッチ制御部22は、断線対応部22Aと低電圧対応部22Bが設けられている。
まず断線対応部22Aは、抵抗R30〜R35、コンデンサC30〜C33、NPNトランジスタQ30、Q31を有する。
所定電位+Bに対して抵抗R30,R31で分圧された電位が、上述の断線検出部19A、19B、19Cとの間の検出ライン30に与えられ、またNPNトランジスタQ30のベース電圧となる。NPNトランジスタQ30のベースとグランドの間はコンデンサC30が接続される。NPNトランジスタQ30のエミッタは接地されている。
また所定電位Vccとグランド間で抵抗R32とコンデンサC31が接続され、その接続点が抵抗R33を介してNPNトランジスタQ30のコレクタに接続される。
また抵抗R32とコンデンサC31の接続点は抵抗R34を介してNPNトランジスタQ31のベースに接続されている。NPNトランジスタQ30のベースとグランド間は抵抗R35、コンデンサC32,C33が接続されている。NPNトランジスタQ30のエミッタは接地され、コレクタは上述した接続点TA(
図3の接続点TA参照)に接続されている。
【0029】
スイッチ制御部22における低電圧対応部22Bは、抵抗R40〜R43、コンデンサC40〜C42、NPNトランジスタQ40を有する。
所定電位Vccとグランド間で抵抗R41とコンデンサC40が接続され、その接続点が抵抗R40を介して検出ライン32に接続される。
また抵抗R41とコンデンサC40の接続点は抵抗R42を介してNPNトランジスタQ40のベースに接続されている。NPNトランジスタQ40のベースとグランド間は抵抗R43、コンデンサC41,C42が接続されている。NPNトランジスタQ40のエミッタは接地され、コレクタは上述した接続点TA(
図3の接続点TA参照)に接続されている。
【0030】
以上の構成においてスイッチ制御部22は、断線が検出された場合と、低電圧状態が検出された場合に、電力消費用スイッチ部20のスイッチ用トランジスタQ10をオフに制御して、電力消費部21への電流供給をオフとすることになる。以下、この動作を説明する。
【0031】
まず断線検出信号Sdに応じた動作を述べる。
断線検出部19A、19B、19Cのいずれもが断線を検出していないとき、つまり発光素子部17A、17B、17Cに正常に電流が流れている場合、検出ライン30の電位は、
図4に示した抵抗R30,R31で分圧された電位となる。この場合、NPNトランジスタQ30にベース電流が流れてNPNトランジスタQ30はオン状態であるため、所定電位Vccからの電流が抵抗R33→NPNトランジスタQ30→グランドと流れる。この場合、NPNトランジスタQ31はベース電流が得られずオフ状態となり、接続点TAはグランドから切り離される。
従って
図3の電力消費用スイッチ部20では、制御用トランジスタQ11がオンとなり、これによってスイッチ用トランジスタQ10はオンとなる。これにより電力消費部21は駆動電力供給ライン31に接続され、ダミー抵抗r群に電流が流れることになる。
【0032】
断線検出部19A、19B、19Cのいずれか1つでも断線が生じた場合、検出ライン30の電位状態は、ほぼグランドレベルとなる。この場合、
図4のスイッチ制御部22のNPNトランジスタQ30がオフとなり、所定電位Vccからの電流が抵抗R34を介してNPNトランジスタQ31のベース電流となるためNPNトランジスタQ31はオン状態となる。これによって接続点TAからグランドへの電流経路ができる。
従って
図3の電力消費用スイッチ部20では、制御用トランジスタQ11がオフとなり、これによってスイッチ用トランジスタQ10はオフとなる。従って電力消費部21は駆動電力供給ライン31から切り離され、ダミー抵抗r群への電流がオフとなる。
なおこの場合、発光素子部17A、17B、17Cは駆動電力供給ライン31に接続されたままであるため、断線が生じていない発光素子部では発光動作が維持される。
また、電力消費部21への電流供給をオフすることで車両用灯具1に流される電流量が低下する。発光素子部17A、17B、17Cの少なくとも1つが断線し、また電力消費部21が駆動電力供給ライン31から切り離されることで、車両側制御部2にとっては、車両用灯具1に対する出力電流が所定の電流値Ic未満となる。このため車両側制御部2は、当該車両用灯具1についての電流低下に応じてパルス電圧Vpの周期を短くする(第2周波数のパルス電圧Vp出力)。これによって断線が生じていない発光可能な発光素子部での点滅発光は、ハイフラッシャー状態となる。
【0033】
次に低電圧検出信号Suに応じた動作を述べる。
パルス電圧Vpが所定電圧以下とはなっていない場合、
図4の低電圧監視部16のNPNトランジスタQ20はオンである。従って所定電位Vccからの電流が抵抗R40→NPNトランジスタQ20→グランドと流れる。この場合、NPNトランジスタQ40はベース電流が得られずオフ状態となり、接続点TAはグランドから切り離される。
従って
図3の電力消費用スイッチ部20では、制御用トランジスタQ11がオンとなり、これによってスイッチ用トランジスタQ10はオンとなる。従って電力消費部21は駆動電力供給ライン31に接続され、ダミー抵抗r群に電流が流れる。
【0034】
パルス電圧Vpが所定電圧以下となると、
図4の低電圧監視部16のNPNトランジスタQ20はオフとなる。このため所定電位Vccからの電流が抵抗R42を介してNPNトランジスタQ40のベース電流となるためNPNトランジスタQ40はオン状態となる。これによって接続点TAからグランドへの電流経路ができる。
従って
図3の電力消費用スイッチ部20では、制御用トランジスタQ11がオフとなり、スイッチ用トランジスタQ10もオフとなる。これにより電力消費部21は駆動電力供給ライン31から切り離され、ダミー抵抗r群への電流がオフとなる。
【0035】
以上の説明からわかるように本実施の形態では、それぞれが複数のLEDを有して構成され、互いに並列関係に接続される第1〜第3の発光素子部17A、17B、17Cと、これら複数の発光素子部17A、17B、17Cと並列に接続される電力消費部21と、電力消費部21への電流供給をオン/オフする電力消費用スイッチ部20を備える。また第1〜第3の発光素子部17A、17B、17Cのそれぞれに対応して設けられ、対応する発光素子部についての断線検出を行う第1〜第3の断線検出部19A、19B、19Cと、断線検出部19A、19B、19Cのいずれかによって断線が検出された場合に、電力消費用スイッチ部20をオフに制御するスイッチ制御部22とを備える。
これにより、発光素子部17A、17B、17Cのいずれかで断線があっても、電力消費部21への電流供給が停止されるが、発光素子部に対する電力供給は停止されない。つまり断線していない発光素子部は通常に機能する。例えば発光素子部17Aに断線が発生しても、発光素子部17B、17Cの発光動作は継続される。従って、一部に断線が生じた場合でも車両用灯具1としての発光機能をできうる限り発揮させることができる。
そのうえで、電力消費部21への電流供給をオフすることで車両用灯具1に流される電流量が低下する。上述のようにIds<Ic<(Idal+Ir)を満たすように、第1〜第3の発光素子部17A、17B、17Cの各系統で消費される電流値Iin1、Iin2、Iin3、及び電力消費部2で消費される電流値Irが設定されていることで、車両側制御部2(
図1参照)は、当該車両用灯具1についての電流低下に応じてパルス電圧Vpの周期を短くする。これによって発光可能な発光素子部での点滅発光はハイフラッシャー状態となる。従ってドライバー等は、断線等による異常等を認識できることになる。つまり本実施の形態は、異常告知機能を発揮させたうえで、できる限り点滅発光を継続できるものとなる。
【0036】
また電力消費用スイッチ部20は電力消費部21と直列接続され、電力消費用スイッチ部20と電力消費部21の直列接続が、発光素子部17A、17B、17Cと並列に接続されている。これにより電力消費用スイッチ部21による、電力消費部のみに対する電流オン/オフが行われる構成が具体的に実現される。
また発光素子部17A、17B、17Cのそれぞれは、複数の半導体発光素子(LED)の直列接続で構成されている。このため断線が生じた発光素子部は点灯不能となるが、他の発光素子部においては複数のLEDの直列接続による十分な光量の発光動作が行われる。
【0037】
本実施の形態の車両用灯具1はターンシグナルランプとして用いることが望ましい。電力消費部21を有する構成であることから発光動作以外に電力が消費されてしまうが、点灯時間が短いターンシグナルランプであれば、不要な電力消費が低減されるためである。また、断線時に高速点滅することになるが、これは点滅発光するターンシグナルランプとしての機能も損なわないためである。
【0038】
また本実施の形態では、スイッチ制御部22は、低電圧監視部16によって入力電圧(Vp)が所定電圧以下となったことが検出された場合に、電力消費用スイッチ部20をオフに制御する。即ち発光駆動のために供給される電圧(Vp)が低下した場合に、電力消費部21を切り離すことで負荷を低減し、発光素子部17A、17B、17Cの各LEDへの駆動電流を確保することができる。従って、ある程度の低電圧状態が生じても、発光動作を維持できる。
また発光素子部17A、17B、17Cが並列であるが、発光光量の都合などで複数の発光素子を用いる場合、複数の発光素子部を互いに並列接続される構成とすることで、1つの直列系統における順電圧(Vf)があまり大きくならないようにできる。これにより発光可能な低電圧の範囲を広げることができる。
【0039】
そして本実施の形態では、断線が生じた場合と、低電圧状態となった場合の両方に対応して、発光素子部17A、17B、17Cへの電流供給を継続したまま電力消費部21に対しての電流供給をオフするものであるが、このような動作を実現する構成をスイッチ制御部22と電力消費用スイッチ部20を用いて効率的な回路構成で実現できる。
【0040】
以上、実施の形態を説明したが、本発明に該当する変形例は多様に考えられる。
例えば電力消費部21はダミー抵抗rによるダミー負荷回路としたが、これ以外に他の受動素子や能動素子を用いたものや、白熱電球の電流−電圧特性を擬製した回路、さらにはダミーでは無く何らかの他の動作機能を持つ回路部としてもよい。
また第1〜第nの発光素子部としてnの数は3に限らない。nは2以上であればよい。また発光素子部を構成するLEDの数は複数でなくても1つであってもよい。
また本発明は、ターンシグナルランプ以外のランプ、例えばテールランプ、ストップランプ等への適用にも適している。