特許第6249580号(P6249580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オープンコネクションの特許一覧

<>
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000012
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000013
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000014
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000015
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000016
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000017
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000018
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000019
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000020
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000021
  • 特許6249580-保証支援システム及び保証支援方法 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249580
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】保証支援システム及び保証支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20171211BHJP
【FI】
   G06Q50/16 300
【請求項の数】9
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2017-99357(P2017-99357)
(22)【出願日】2017年5月18日
(65)【公開番号】特開2017-211991(P2017-211991A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2017年6月30日
(31)【優先権主張番号】特願2016-100704(P2016-100704)
(32)【優先日】2016年5月19日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516148542
【氏名又は名称】株式会社オープンコネクション
(74)【代理人】
【識別番号】100125933
【弁理士】
【氏名又は名称】野上 晃
(72)【発明者】
【氏名】園田 順治
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−213515(JP,A)
【文献】 特開2012−221113(JP,A)
【文献】 特開2001−282995(JP,A)
【文献】 特開2011−180849(JP,A)
【文献】 特開2016−071724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
申込者が操作する申込者端末との間でインターネット網を通じて接続され、当該申込者によって入力される申込者情報を取得可能な入力部と、保証審査判定部と、当該保証審査判定部からのリクエストにより識別符号を生成してこれを前記保証審査判定部に返す識別符号生成部と、出力部とを含み、
前記保証審査判定部は、前記申込者情報を保証会社から予め取得した審査基準データに則り審査した上で適正賃料を求め、かつ当該適正賃料を増減した場合の保証の可否を判定し、保証可能な場合に参考保証料を求め、また前記識別符号生成部に前記識別符号の生成をリクエストし、当該識別符号生成部から返された識別符号を前記適正賃料及び前記保証可能な場合の参考保証料とともに前記申込者に関連付けて前記出力部に送り、
前記出力部は前記保証審査判定部から受け入れた内容を送信出力するよう構成されたことを特徴とする保証支援システム。
【請求項2】
前記保証審査判定部における審査は、前記申込者情報について前記審査基準データと照合することにより点数評価した評価結果を合計して合計評価点を求め、また前記適正賃料は前記申込者情報と前記審査基準データ中の適正賃料評価テーブルとを.照合することで確定するように構成されてなる請求項1に記載の保証支援システム。
【請求項3】
前記参考保証料は、適用される保証プランごとに確定されるものである請求項1又は2に記載の保証支援システム。
【請求項4】
前記保証の可否についての判定の結果とこれに関連づけられた前記識別符号とは記憶部に格納され、その後に当該記憶部に格納されている登録者が、当該判定の結果保証可能である申込者情報の一部と前記識別符号とを取得するように構成されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の保証支援システム。
【請求項5】
申込者が操作する申込者端末との間でインターネット網を通じて接続され、当該申込者によって入力される申込者情報を取得する入力工程と、
保証審査判定工程と、
識別符号を生成してこれを前記保証審査判定工程に返す識別符号生成工程と、
出力工程とを含み、
前記保証審査判定工程は、前記申込者情報を保証会社から予め取得した審査基準データに則り審査した上で適正賃料を求め、かつ当該適正賃料を増減した場合の保証の可否を審査し参考保証料を求め、また前記識別符号生成工程に前記識別符号の生成をリクエストし、当該識別符号生成工程から返された識別符号と前記判定の結果とを前記申込者に関連付けて前記出力工程に送り、
前記出力工程は前記保証審査判定工程から受け入れた内容を送信出力するように構成されたことを特徴とする保証支援方法。
【請求項6】
前記保証審査判定工程は、前記申込者情報について前記審査基準データと照合することにより点数評価した評価結果を合計して合計評価点を求め、この合計評価点を用いて審査し、前記申込者情報と前記審査基準データ中の適正賃料評価テーブルとを.照合することで前記適正賃料を求めるものである請求項5に記載の保証支援方法。
【請求項7】
前記参考保証料は、適用される保証プランごとに確定されるものである請求項5又は6に記載の保証支援方法。
【請求項8】
前記保証の可否についての判定の結果とこれに関連づけられた前記識別符号とを記憶部に格納し、その後に当該記憶部に格納されている登録者が、当該判定の結果保証可能である申込者情報の一部と前記識別符号とを取得するように構成されてなる請求項5〜7のいずれか1項に記載の保証支援方法。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の保証支援方法を実行するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば不動産の賃貸の場合に、賃貸物件の賃借決定前に予め保証を与えることを可能にする保証支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
転居希望の個人(以下、転居希望者という。)が現在の住居から新たな賃貸物件に転居する場合には、大体次のような流れを経ることになる。転居希望者はまず、個人の感覚で部屋条件を決め、それに基づいて賃貸物件を探す。最近は、インターネット環境の普及により、不動産会社へ訪問し、あるいは賃貸物件募集のチラシなどを見ながら物件を検討することは少なくなっており、インターネット上で検索を行い賃貸物件を探すことが主流になってきている。そして、1又は複数の気に入った物件を見つけたら、不動産会社に連絡し、内見(現地見学)を行い、入居を希望する場合、賃貸借の申込を行う。その際、保証(入居審査)手続が必要となる。そうして、保証審査結果に問題がないか、或いは問題があっても連帯保証人を立てた場合に初めて賃貸借契約が締結される。その後、転居希望者は引越の手配を行い、所定の期日に引っ越しを行う。このように個人の転居希望者の場合に限られず、個人が入学や入社などにより新たに賃貸物件を借りようとする場合や法人の入居及び店舗やオフィス移転を目的として、ビルやアパートなどの賃貸物件を借りる場合にも、同様に保証手続が必要になる。
【0003】
しかし、通常、転居希望者は賃貸物件を決定してから保証サービスを申込むので、賃貸物件を探している段階では保証審査が通るかどうか不安を抱えていなければならず、例えば転居希望者の支払い能力に問題があったり、保証人を立てられないような場合には保証審査が通らず保証を受けられず、さらに保証が受けられない場合には転居希望者はその支払い能力に合った賃貸物件や保証サービスを受けられる可能性のある別の賃貸物件を改めて最初から探すなどの必要が生じる。転居希望者にとっては、希望の賃貸物件を探すのに時間がかかるだけでなく、転居の都度保証審査のやり直しが必要であり、費用負担が大きくなるという問題がある。
【0004】
他方、不動産仲介会社では、保証審査が通るかどうか不明のまま物件を案内しなければならず、また保証審査が通らないと作業が増加するだけでなく、賃貸物件が変わると再度保証審査を行う必要があり、不動産仲介会社にとっては業務が非効率になるという問題がある。また、不動産管理会社にとっては、保証審査が通るまで入居手続きが完了せず、賃貸物件オーナーへの状況報告が必要となるので、同様に業務が非効率になるという問題がある。さらに、保証会社(家賃保証会社)にとっては、保証審査が通らないと業務作業が増加し、収益が上がらないだけでなく、不動産会社から保証を強要されるケースも生じるという問題がある。
【0005】
従来、前記のような保証手続などの効率化、支援を目的としていくつか提案がなされている(例えば特許文献1〜3参照。)。これらのうち特許文献1記載の提案は、保証人を必要とする契約を締結する場合において、保証要求者から保証を要求された依頼者に、保証引受者を紹介する保証事業体を有する保証支援システムに関するものである。この保証支援システムでは、前記保証事業体は、依頼者から要求する情報( 氏名、住所、電話番号等)を含んだ申し込みがあることなどの条件を満たせば、前記依頼者へ識別符号を付与する識別符号付与手段と、前記保証事業体の審査に合格することで前記保証引受者に関する情報を前記依頼者に提供する保証引受者情報提供手段と、前記保証引受者情報提供手段によって提供された保証引受者に関する情報から前記依頼者によって選択された保証引受者と前記依頼者との間を仲介する仲介手段とを備えている。
【0006】
また、特許文献2記載の提案は、借主が自分で保証人を探さなくとも、物件情報を見た時に、その場で支払い能力があるか否かを確認して、所望の物件を賃貸できるか否かを知ることができる賃貸情報処理装置に関するものである。この仕組みは、クレジットカードの認証及び決済処理を行うクレジットカード会社のセンタと通信可能に構成され、借主が不動産賃貸物件の契約を行う際の処理を行う装置であって、借主の情報、借主が希望する賃貸物件の少なくとも賃料を含む物件情報及び、借主のクレジットカード情報を受信し受付け記賃貸物件の賃料総額から、当該賃貸物件に対して機関保証を行う場合の保証金額を算定し、借主のクレジットカード情報と算定した保証金額とをクレジットカード会社のセンタへ送信して決済が可能か否かの認証要求を行い、上記センタからクレジットカードによる決済可能であるとの通知を受けた場合に機関保証が可能である旨の通知を行うように構成されている。
【0007】
さらに、特許文献3記載の提案は、見込み客獲得の機会を確保しつつ、賃貸料滞納の発生を未然に防止して円滑な転居を支援する不動産賃貸業務支援システムに関するものである。この支援システムでは、賃貸料支払能力ランクの指定を伴う入居者(転居希望者)の転居先候補の検索依頼に従い、賃貸料ランクが対応付けられた複数の賃貸物件情報を賃貸料支払能力ランクに応じて転居先候補として提示するとともに、転居先物件の物件情報の指定を伴う入居者の住替費用の見積依頼に従い、物件の間取り情報に対応付けられた転居の際の搬送物の物量予測情報と入居中及び転居先の賃貸物件の所在地情報に基づいて求めた移動距離とから引越費用を決定し、この費用と転居先物件への入居に必要な諸費用とから、入居者が入居中の賃貸不動産物件から転居先物件への住替に必要な初期費用を算出している。
【0008】
なお、本明細書において、用語「賃貸物件」としては、前記した住居、店舗又はオフィスに限定されず、駐車場、工場や倉庫なども賃貸物件に含まれるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−140668号公報
【特許文献2】特開2007‐213515号公報
【特許文献3】特開2012−221113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記各特許文献記載の提案はいずれも、転居希望者又は借主が希望する賃貸物件を見つけている(賃貸物件ありきの状態である)ことを前提としており、結果として転居希望者などが保証を受けられない場合には、転居希望者は新たに賃貸物件を見つけ保証の再審査を受けなければならない。それだけでなく、保証審査が通らない場合、不動産仲介会社、不動産管理会社及び保証会社(家賃保証会社)においても保証審査のやり直しが必要であり非効率な業務は避けられない。即ち、前記各特許文献記載の提案ではいずれも、背景技術で説明した一連の保証手続きにおける問題は解決されない。
【0011】
本発明者らは、前記した転居希望者、不動産仲介会社、不動産管理会社及び保証会社の抱える問題を解決するためには、転居希望者が転居先の賃貸物件を具体的に決める前に保証手続きを行うことが必要との考えの下鋭意検討を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、転居先の賃貸物件の決定に先立ち保証会社における保証サービスを予め提供可能にする保証支援システム及び保証支援方法について提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は、本発明の一局面によれば、申込者が操作する申込者端末との間でインターネット網を通じて接続され、当該申込者によって入力される申込者情報を取得可能な入力部と、保証審査判定部と、当該保証審査判定部からのリクエストにより識別符号を生成してこれを前記保証審査判定部に返す識別符号生成部と、出力部とを含み、前記保証審査判定部は、前記申込者情報を保証会社から予め取得した審査基準データに則り審査した上で適正賃料を求め、かつ当該適正賃料を増減した場合の保証の可否を判定し、保証可能な場合に参考保証料を求め、また前記識別符号生成部に前記識別符号の生成をリクエストし、当該識別符号生成部から返された識別符号を前記適正賃料及び前記保証可能な場合の参考保証料とともに前記申込者に関連付けて前記出力部に送り、前記出力部は前記保証審査判定部から受け入れた内容を送信出力するよう構成されたことを特徴とする保証支援システムによって達成される。
【0013】
前記保証審査判定部における審査は、前記申込者データについて前記審査基準データと照合することにより点数評価した評価結果を合計して合計評価点を求めてこれを用い、また前記適正賃料は、前記申込者情報と前記審査基準データ中の適正賃料評価テーブルとを.照合することにより確定するように構成できる。前記保証の可否についての判定の結果、適正賃料及び参考保証料とこれらに関連づけられた前記識別符号とは記憶部に格納でき、その後に当該判定の結果が保証可能である申込者情報の一部と前記識別符号とを当該記憶部に格納されている登録者が取得するように構成できる。
【0014】
前記目的はまた、本発明の別の局面によれば、申込者が操作する申込者端末との間でインターネット網を通じて接続され、当該申込者によって入力される申込者情報を取得する入力工程と、保証審査判定工程と、識別符号を生成してこれを前記保証審査判定工程に返す識別符号生成工程と、出力工程とを含み、前記保証審査判定工程は、前記申込者情報を保証会社から予め取得した審査基準データに則り審査した上で適正賃料を求め、かつ当該適正賃料を増減した場合の保証の可否を審査し参考保証料を求め、また前記識別符号生成工程に前記識別符号の生成をリクエストし、当該識別符号生成工程から返された識別符号と前記判定の結果とを前記申込者に関連付けて前記出力工程に送り、前記出力工程は前記保証審査判定工程から受け入れた内容を送信出力するように構成されたことを特徴とする保証支援方法によって達成される。
【0015】
前記保証審査判定工程は、前記申込者情報について前記審査基準データと照合することにより点数評価した評価結果を合計して合計評価点を求め、当該合計評価点を用いて審査し、前記申込者情報と前記審査基準データ中の適正賃料評価テーブルとを.照合することで前記適正賃料を求めるよう構成できる。前記保証の可否についての判定の結果とこれに関連づけられた前記識別符号とを記憶部に格納し、その後に当該判定の結果が保証可能である申込者情報の一部と前記識別符号とを当該記憶部に格納されている登録者が取得するように構成できる。
【0016】
前記目的はさらに、本発明のさらに別の局面によれば、上記保証支援方法を実行するためのプログラムによって達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の保証支援システム及び保証支援方法によれば、事前に申込者端末からの申込者の入力事項(申込者情報)に基づいて適正賃料を求め、当該適正賃料を増減させた場合の保証の可否を判定し、さらに参考保証料を求め、判定結果を前記申込者に告知することとしたので、申込者は賃貸物件探しに際し、その条件を検討する前に予め保証の可否を確認できる。
【0018】
また、本発明の保証支援システム及び保証支援方法によれば、適正賃料や適正賃料を基準とする保証の可否及び参考保証料に関する情報が得られるため、申込者は賃貸物件探しに先だってこれらの情報を参考にでき、当該上限賃料を基準にして賃貸物件を検索し、現地を確認できるだけでなく、保証会社の保証サービスを受けられる状態で(物件入居審査不要で)申し込むことができる。その結果、申込者はよりスムーズに賃貸物件探しや転居ができるようになるとともに、不動産仲介会社においても賃貸物件を最初から探そうとする転居希望者への対応の手間と時間を削減できるので、省力化、効率化が可能となる。また、申込者(転居希望者など)と仲介会社などとが識別符号及び判定結果によって連絡可能となるので、インターネット網を介しての申込者に対する不動産その他の情報などに関する適切なサービスの提供も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の保証支援システムのハードウェア構成例を概略的に示すブロック図である。
図2図1に示す保証支援装置の機能構成例を概略的に示すブロック図である。
図3】本発明の保証支援方法の一例を説明するフロー図である。
図4A】本発明の保証支援方法のうち、申込者が個人の場合の保証審査判定部における審査判定方法の一例を説明するフロー図である。
図4B図4Aに続いて、保証審査判定部における審査判定方法の一例を説明するフロー図である。
図4C図4Bに続いて、保証審査判定部における審査判定方法の一例を説明するフロー図である。
図4D】登録保証会社の保証プランが適用される場合の参考保証料算出の一例を示すフロー図である。
図5図4Dにおける申込者への保証プラン振り分けの一例を説明する図である。
図6図4Dに示すフロー図に従った算出結果の一例を示す図である。
図7】本発明の保証支援方法のうち、申込者が法人の場合の保証審査判定部における審査判定方法の一例を説明するフロー図である。
図8】本発明の保証支援方法を実施することにより、申込者が保証可能と判定された後の保証契約締結に至るまでの流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を参照して、本発明の保証支援システム及び保証支援方法の一実施形態について詳細に説明する。
【0021】
本発明の保証支援システム
図1は、本発明の保証支援システムのハードウェア構成例を概略的に示すブロック図を示している。この図に示すように、本実施形態の保証支援システム1は、保証支援装置5と、これにインターネット網11を介して接続される申込者端末12、保証会社端末13、仲介会社端末14及び管理者端末15とから実質的に構成される。ここで、仲介会社端末14は不動産仲介会社の端末を意味するが、不動産仲介会社に限定されるわけではなく、これに代えて例えば不動産管理会社の端末(管理会社端末)であってもよい。
【0022】
保証支援装置5は、図1に示すように、入力部6、出力部7、演算制御部8、記憶部9及び内部バス10から主に構成されている。このような保証支援装置5としては、汎用のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどが挙げられる。これらは、スタンドアロンタイプの端末であってもよく、クライアント・サーバシステムにおいて、不図示の通信部を介してサーバと電気通信手段を介して接続されるクライアント端末であってもよい。後者の場合、記憶部3には、サーバ側が備える記憶部(不図示)が含まれるものとする。なお、内部バス4は、これを除く前記各部、即ち入力部6、出力部7、演算制御部8及び記憶部9を相互に接続して各部が信号の授受を行える機能を備えている。保証支援装置5は、保証会社内に設けられ同社によって管理されていてもよく、例えば別個のサーバー運営会社に設置されていてもよい。
【0023】
入力部6は、申込者端末12、保証会社端末13及び仲介会社端末14のそれぞれから保証支援装置5に対して送信された各種データを受け入れるものである。
【0024】
出力部7は、これを通して、演算制御部8からの指示信号に基づく種々のフォーマットやデータを申込者端末12、保証会社端末13、仲介会社端末14及び管理者端末15のディスプレイ(不図示)に表示させ、又はこれらの端末に必要に応じて接続されている不図示のプリンタに印字させる。種々のフォーマットには、申込者に申込者情報を入力させるための出力画面が含まれる。ディスプレイとしては、液晶モニターやプロジェクタなどが挙げられる。出力部7は、当該選出された各対象者情報を出力するように構成されている。本実施形態においては、ディスプレー上に表示させ、プリンターに印字させるように構成しているが、出力の方法はこれらに限定されず、他の方法によってもよい。
【0025】
演算制御部8は、CPUなどによって各部に対して各種制御を担う。演算制御部8は、ハードウェア的には、CPU、MPU、ROMなどを含む演算制御装置で構成されている。演算制御部8は、本発明の情報提供装置の電源ON後にROMに記憶されている起動用プログラムを実行し、記憶部3内に格納されているオペレーティングシステム(OS)、各種処理ドライバ及び本発明の保証支援方法を実行するためのプログラム及び各種データを主記憶装置であるRAMなどに読み込みをすると共に、RAMなどに展開された表示情報を出力部7を通して申込者端末12などに出力したり、当該端末12のプリンタなどに出力したりする。本実施形態においては、演算制御部2は、図2に示すように、保証審査判定部22、識別符号生成部23及び表示制御部26の各機能も有している。これら各機能部については後述する。なお、本発明の情報提供方法を実行するためのプログラム及び各種データは、例えばCD―R、DVD−Rなどの記録媒体に保存されていてもよく、その場合、これらは演算制御部2の指示に従い当該記録媒体から必要に応じて記憶部3に格納することもできる。
【0026】
記憶部9は、演算制御部8によって実行されるプログラムや後述する申込者情報及び審査基準データなどの各種データなどを一時的又は恒久的に保存、格納する。記憶部9は、各種RAMなどの揮発メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気ディスク、光ディスク、不揮発性メモリなどの副記憶装置で構成されている。
【0027】
申込者端末12としては、例えばラップトップ型やタブレット型を含む汎用コンピュータやスマートフォンなどが含まれる。申込者端末12は、保証支援装置5から出力された表示情報が表示されるディスプレイなどの表示装置、入力装置、インターネット接続機器、記憶装置などが含まれる。入力装置には、各種証明書類をスキャンして電子化可能なスキャナー装置も含まれる。この場合、スキャンされた証明書類の記載事項をOCRで読取り、審査に用いることができる。また、申込者端末12は、プリンターなどの出力機器を備えていてもよい。
【0028】
この申込者端末12は、申込者情報を入力するのに用いられるが、申込者が所有する端末に限られない。例えば、仲介会社店舗や保証会社などに設置された端末であっても、申込者情報の入力に使用される場合には、申込者端末に該当するものとする。また、申込者端末12の操作は、保証を希望する申込者(個人又は法人。法人の場合は、総務部などの部署の担当者)が直接行ってもよく、申込者の承諾を得た申込者情報の取得者が行ってもよい。ここで、申込者情報には、申込者が直接入力した単語、字句、文章のほか、複数の選択肢の中から選択した選択結果が含まれる。
【0029】
個人の場合の申込者情報としては、氏名、年齢、住所、連絡先、年収(支払能力)、家族構成、職業(勤務先、及び正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなどの雇用形態)、転居理由、現在(転居前)賃料、希望賃料などが含まれる。また、無職の高齢者などの場合を想定して、公的資金受給資格の有無、年金額、預貯金額及び親族の了承の有無なども含めることができる。さらに、申込者が転居先の地域などを決めている場合には、転居前後での通勤距離や交通費の増減なども申込者情報に含めることができる。
【0030】
また、法人の場合の申込者情報としては、担当者の氏名、所属部署、連絡先などの担当者情報、会社URL、売上、粗利益、営業利益、現預金などの資産状況、賃貸物件の使用目的、希望賃料、賃貸期間などが挙げられる。希望賃料は、いわゆる賃料のほか、管理費、共益費、駐車場代、水道光熱費などの変動費を含めたものであってもよい。法人が社宅として使用する場合、即ち賃貸物件に社員が入居するような場合、当該入居者の入居条件などを含めることができる。
【0031】
保証会社端末13は、申込者端末12と同様のコンピュータなどのハードウェア構成を備え、これを介して保証会社の保証サービス提供にあたっての審査基準などを入力し、保証支援装置5に送るように構成されている。送信された審査基準データ(後述)は記憶部9に格納される。保証会社端末13はまた、申込者に対する審査判定結果のうち保証可能と判定されたものをその識別符号とともに保証支援装置5から取得し、当該端末が備える記憶装置に記憶するように構成されている。
【0032】
仲介会社端末14としては、申込者端末12と同様のコンピュータなどのハードウェア構成を備えていればよい。仲介会社端末14は、例えば申込者が近い将来において転居を希望する賃貸物件を管理する特定の仲介会社の端末に限定されず、複数の仲介会社の端末であってもよい。仲介会社端末14は、管理者との契約により登録者(後述)として保証支援装置5へのアクセス権限を有しており、保証支援装置5における審査判定結果格納部15から審査判定結果が保証可能である申込者情報の一部(連絡先など)とこれに関連づけられた識別符号とを取得する。申込者情報の一部及び識別符号は、保証支援装置5へアクセスした上でこれらを要求することで取得する方法には限定されず、例えば保証支援装置5から審査判定結果及び識別符号を一括して自動配信されるようにしてもよい。このように仲介会社端末14を介して、不動産仲介会社が申込者情報などを取得することで、ネットでの賃貸物件情報の提供などの不動産に関するサービスを行うことができるようになる。このことにより、申込者が予め不動産物件の情報を知得した上で不動産仲介会社を訪れることが期待でき、結果として不動産会社においても省力化、効率化に資することになる。
【0033】
管理者端末15は、保証支援装置5の保守管理などを行うことを目的として、例えば保証会社や当該保証会社から外注委託された企業などに設置される端末である。管理者端末15は、必要に応じて保証支援装置5に接続可能とされるものであっても常時接続されているものであってもよい。管理者端末15としては、仲介会社端末14などと同様のハードウェア構成を備えるとともに、保証支援装置5の保守のための実行可能なプログラムを有していればよい。なお、管理者としては、通常、保証会社(同社の特定部署など)が挙げられるが、これに限定されない。
【0034】
図2は、図1に示す保証支援装置5の機能構成例を概略的に示すブロック図を示している。この図に示すように、本実施形態における保証支援装置5は、機能的には入力部6、出力部7、記憶部9、保証審査判定部22、識別符号生成部24、表示制御部26を備える。なお、入力部6及び出力部7については前記したので、以下ではこれらについての説明は省略する。
【0035】
記憶部9は、図2に示すように、申込者情報格納部20、審査基準データ格納部21、審査判定結果格納部25及び管理データ格納部27を少なくとも有している。申込者情報格納部20は、入力部6を介して入力された前記した申込者情報を格納するように構成されている。
【0036】
また、審査基準データ格納部21は、保証会社端末13から入力された審査基準データなどを格納するように構成されている。本実施形態の保証支援装置5では、審査基準データの具体例として申込者属性テーブル(表1参照)、家賃差額テーブル(表2参照)、契約者属性、家賃差額関係テーブル(表3参照)、転居費用支払い評価テーブル(表4参照)、職業、実収入評価テーブル(表5参照)、借入金・支払金評価テーブル(表6参照)、公的資金評価テーブル(表7参照)及び適性賃料評価テーブル(表8参照)、などが審査基準データとして審査基準データ格納部21に格納されている。また、適性賃料算出に用いられる世帯年収等統計データの一例(表8参照)及び消費支出算出データの一例(表9参照)もまた審査基準データ格納部21に格納されている。次に、これら各審査基準データについて説明する。
【0037】
(1)申込者属性テーブル(表1)
このテーブルは、申込者の年代と世帯構成との関係により申込者属性についての評価を行うためのものであり、列見出しに5つに分けた世帯構成(単独世帯、夫婦のみ世帯、夫婦と子の世帯、一人親と子の世帯、その他の世帯)を、行見出しに7つに分けた年代を設け、35のマス目に2から5までの評価点を2次元的に配置したものである。例えば申込者が20歳未満で独身(単独世帯)の場合には、評価点として4を、また30歳代の一人親と子供の世帯の場合、3を与えるように設定されている。
【0038】
【表1】
【0039】
(2)転居(入居)理由テーブル(表2)
転居(入居)理由(一人暮らし(独立)、通勤通学、進学・入学・就職、転職・退寮、結婚・出産・同居、離婚・別居、家賃を下げたい、取り壊し・立ち退き、年金・保護費受給)についての評価点を示すものである。このテーブルにおいて、一人暮らし(独立)や進学・入学・就職などの項目の「−」は、評価しないことを示している。
【0040】
【表2】
【0041】
(3)転居費用支払い評価テーブル(表3)
このテーブルは、転居費用を貯蓄から支払うか、借金(後払い又はクレジットカード決済)によって支払うかを評価するものであり、前者の場合には、評価点として1を与え、借金の場合には、評価点として−1を与えるように設定されている。
【0042】
【表3】
【0043】
(4)職業、実収入評価テーブル(表4)
このテーブルは、職業と実収入との関係から評価を行うものであり、列見出しに職業を、行見出しに実収入の5つの段階を配置し、表中の合計50のマス目にそれぞれ評価点を2次元的に配置している。ここで、職業は、表5に示すように、正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主(自営業)、年金受給者、生活保護費受給者、学生(仕送り・アルバイト)、無職(休職中)の9つに区分されている。また、実収入の5つの段階は、第1段階(352万円未満)、第2段階(352万円以上486万円未満)、第3段階(486万円以上624万円未満)、第4段階(624万円以上828万円未満)及び第5段階(828万円以上)に設定されている。実収入が第3段階の正社員である申込者の場合、評価点として2を与え、申込者が個人事業主であり、その実収入が第1段階である場合には、評価点として0を与えるように設定されている。
【0044】
【表4】
【0045】
なお、表4中、職業欄の最下行の項目「貯金(現金)」は、実収入と預貯金とのバランスをトータルで補正するために、第1〜4段階の実収入の数値範囲を貯金(預金)の範囲とみなし、これに基づいて申込者が入力した預貯金額に対して評価点を与えるものである。例えば、正社員で実収入、預貯金ともに第1段階相当であれば、0+0=±0、また契約社員で実収入が第1段階(±0)で、預貯金が第2段階(1)であれば、0+1=1、さらに年金生活者で実収入が第1段階(±0)で、預貯金が第5段階(4)であれば、−1+4=3となる。このように、「貯金(現金)」は、収入は少なくとも、ある程度まとまった預貯金を所有している個人を保証審査において救済することを目的としている。
【0046】
(5)借入金・支払金評価テーブル(表5)
このテーブルは、申込者が入力した申込者情報の中に借入金や教育資金などの支払いに関する情報が含まれる場合に、それらの額の大きさに応じて順次評価点の減点を行うよう設定されたものである。借入金、支払金がそれぞれ2万円未満である場合には最低0.5点、5万円以上である場合には最高2.5点の減点が設定されており、その間1万円ごとに各0.5点の減点が設定されている。
【0047】
【表5】
【0048】
(6)公的資金評価テーブル(表6)
このテーブルは、申込者情報の中に国民年金、厚生年金などの年金、生活保護、子供手当、母子手当などの公的資金が確実な収入として含まれている場合に、その種類に応じて0.5ないし1.5点の評価点の加点を行うように設定されている。
【0049】
【表6】
【0050】
(7)適性賃料評価テーブル(表7)
このテーブルは、年収の大きさと、表1〜表6の審査基準データを照合した評価結果としての合計評価点とから、適正賃料を確定し、当該適正賃料を増減させた場合の保証の可否を審査判定し、保証可能な場合の参考保証料の額を確定するものである。本実施形態においては、合計評価点がプラスの場合に、保証可能と判定する。そして、合計評価点の大きさにより安全に保証可能な賃料の範囲と、保証料を徴収することで保証可能な賃料の範囲とが適正賃料の範囲として求められる(適正賃料の最低値は、表中の「適正」の範囲と「境界線上」の範囲との境界として与えられる。)。なお、表中のパーセント表示は、各マス目における最大賃料を最大月収額で除して求めた値である(例えば、年収が501〜600万円で、賃料が2万円〜(3万円未満)の場合、3/(600/12)x100で求められる。)。この値の適正範囲は、単身の場合、25〜30%、世帯の場合20〜25%を想定している。
【0051】
また、評価点の合計がマイナスの場合、−3まではリスク大小の評価を行い、さらに追加の情報や連帯保証人を立てることを申込者に求めることとし、評価点がそれよりも小さい場合には保証不可であると判定する。なお、保証会社によっては、申込者情報の一部、例えば申込者属性、世帯構成、収入などに応じて各種保証プランを有している場合がある。そのような保証プランが用いられる場合については、後述する。
【0052】
【表7】
【0053】
(8)世帯年収等統計データ(表8)
このテーブルは、世帯全体の年収から実収入(月)、可処分所得(月)及び消費支出(月)を求めるための統計データをまとめたものである。そのようなデータには、例えば総務省が毎年発行する「家計調査」から抜粋したものなどを使用できる。
【0054】
【表8】
【0055】
(9)消費支出算出データ(表9)
このテーブルは、消費支出の内訳(食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物、保健医療、交通・通信、教育、教育娯楽、その他)の比率を統計的に求めたものである。そのようなデータには、例えば総務省が毎年発行する「家計調査」から抜粋したものなどを使用できる。
【0056】
【表9】
【0057】
図2に戻り、登録者情報格納部28は、本発明の保証支援システム1に加入することに関し管理者と契約を交わし、アクセス権限を与えられた不動産仲介会社、不動産売買会社、引越業者、ガス供給業者、電気事業者、電気通信事業者などの登録者の会社情報その他の情報が登録者情報として格納される。このような登録者各社が提供する情報としては、例えば多くの賃貸物件に関する検索可能な情報のほか、引越、ガス、電気、インターネットプロバイダに関する情報なども含まれる。また、本発明の保証支援システムにおいては、保証支援システムにより保証可能との判定の結果を受けた申込者(転居希望者など)と仲介会社などの登録者とが識別符号及び申込者情報の一部によって連絡可能となるので、登録者情報格納部28に格納されたこれらの不動産その他の適切な情報などをインターネット網を通じて申込者に提供することが可能となる。
【0058】
また、登録者情報格納部28には、登録された保証会社(以下、登録保証会社という。)の保証プランも格納できる。登録保証会社が複数社あり、それぞれが保証プランを有する場合には、申込者や管理者などが保証会社及び保証プランを選択可能に構成することができる。本実施形態では、例えば表10に示すような保証プランが登録者情報格納部28に格納されているものとする。
【0059】
【表10】
【0060】
表10は、登録保証会社の保証プランの一例を示している。このテーブルは、申込者属性、職業などによって個人の申込者を就業者、未就業者(学生含む)、留学生、生活保護費受給者の4つの区分に、また申込者が法人であって、使用目的が事務所、店舗である場合を1つの区分に振り分け、当該区分のそれぞれに応じた保証プランを提供している。前記した就業者のなかには、法人の社宅として使用する場合も含めている。社員が入居する点では、個人の場合と変わりがないからである。また、就業者に対する保証プランは、保証内容及び継続保証の発生期間を変えて2つの保証プラン(就業者A及び就業者B)を設けている。表10にはまた、それぞれの保証プランにおける契約者、保証内容及び参考保証料が掲載されている。例えば、就業者Aの保証プランの場合、契約者は本人であり、賃料12か月分、残置撤去及び訴訟費用を保証することとされる。また、参考保証料は、契約時に初回保証料として50%保証料(保証期間1年)、契約後1年目に継続保証料として1万円(保証期間1年)、さらにそれ以降は1年毎継続保証料1万円(保証期間1年)である。
【0061】
審査判定結果格納部25は、保証審査判定部22における審査判定結果(確定された適正賃料及び保証可能な場合の参考保証料など。後述。)を申込者情報と関連づけて格納するように構成されている。また、審査判定結果及び申込者情報には、識別符号生成部23で生成された識別符号が関連づけられて同様に審査判定結果格納部25に格納される。また、管理データ格納部27は、管理者端末15で入力された各種ソフトウェアや各種データを格納し、演算制御部8からの信号に基づいてソフトウェアを実行し、各種データを参照するように構成されている。
【0062】
保証審査判定部22は、申込者が個人の場合、申込者情報格納部20から取得した前記各申込者情報(例えば世帯構成、年収、職業など)を、審査基準データ格納部21から取得した審査基準データ(表1ないし表9)と照合し、前記各申込者情報をそれぞれの審査基準と照合して評価を行う保証審査判定機能を備えている。この保証審査判定では、審査基準データの各データについてそれぞれの申込者情報の点数評価を行い、さらにそれらの合計評価点を審査基準データの基準値と照合判定することによって行うことができる。本実施形態では、評価に合計評価点を用いるが、これに限定されず、例えば評価点の平均値を所定の基準値と照合判定することで評価してもよい。
【0063】
以上の保証審査結果に基づいて、保証支援装置5は、表7に示す適正賃料評価テーブルを参照して適性賃料額を確定させるとともに、当該適正賃料額を増減させて保証の可否が判定され、保証可能な場合には参考保証料が確定される。
【0064】
また、申込者が法人の場合、保証支援装置5は、申込者情報の各データから前記申込者の経営状況の安定性を審査する。審査は、個人の場合と同様、前記各データについて予め設定されている審査基準データとの照合により点数評価を行い、その合計評価点(評価点の平均値であってもよい。)を求める。次に、保証支援装置5は、審査基準データ格納部21に別途格納された適正賃料評価テーブルに則って申込者情報から適正賃料額を確定させる。そして、この適正賃料を増減させて前記合計評価点から保証の可否を判定し、保証可能な場合には、参考保証料額を確定させる。
【0065】
そうして、判定結果が保証可能である場合には、識別符号生成部24に対し、識別符号を生成し保証審査判定部22に送るようにリクエストを送る。一方、識別符号生成部24は、前記リクエストを受けた場合に識別符号を生成し、当該識別符号を保証審査判定部22に送る。識別符号としては特に制限されないが、例えば予め規定された桁数の英数文字列などが通常使用される。この識別符号には、有効期限(例えば3か月など)を設けることができる。このように有効期限を設けることで、賃貸物件への賃貸借や保証に関する契約の締結に至らない場合には、識別符号を消滅させるなどの措置をとり、その結果、申込者情報格納部20や審査判定結果格納部25などの記憶部9の管理が容易となる。一方、前記有効期間内に前記各契約が締結され、申込者(転居希望者)が希望の賃貸物件に入居した場合には、当該申込者についての識別符号はその後も引き継がれ、記憶部9に記録された状態が維持される。
【0066】
識別符号を受け取った保証審査判定部22では、この識別符号を判定結果に関連づけた上で、審査判定結果格納部25に格納する。審査判定結果格納部25にはまた、保証審査判定部22において保証不可の判定結果も格納される。
【0067】
表示制御部26は、例えば仲介会社端末14などの保証支援装置5外からのリクエスト信号に応じて審査判定結果格納部25から指定された審査判定結果を抽出し、リクエスト送信元に送信するようにして出力部7に送るように構成されている。また、表示制御部26は、申込者端末12からのリクエスト信号に応じて管理データ格納部27から表示情報を抽出し、出力部7を通して申込者端末12に向けて送信する機能を備えている。
【0068】
本実施形態の保証支援システムは、前記構成により、申込者端末から入力された申込者情報のそれぞれとそれに対応する審査基準データの各項目との照合、評価を行った上で、申込者情報と適正賃料評価テーブルとを照合することで適正賃料額を確定する。また、当該適正賃料を増減した場合の保証の可否について判定を行い、保証可能な場合には参考保証料額を確定させるように構成されており、これらの結果は前記申込者に告知されるので、申込者は賃貸物件探しをする前に予め適正賃料やその適正賃料を増減した場合の保証の可否を確認できる。また、本発明の保証支援システムで得られる適正賃料や参考保証料に関する情報は、申込者情報に変更がない限り有効であり、申込者が入居可能な賃貸物件の上限賃料決定の際に参考にでき、当該上限賃料を基準にして賃貸物件を検索し、実際の賃貸物件を確認できるだけでなく、保証会社の保証審査を(物件入居審査不要で)申し込むことができる。その結果、申込者はよりスムーズに賃貸物件探しや転居ができるようになるとともに、不動産仲介会社においても賃貸物件を最初から探そうとする転居希望者への対応の手間と時間を削減できるので、省力化、効率化が可能となる。また、保証支援システムにより保証可能との判定の結果を受けた申込者(転居希望者など)と仲介会社などの登録者とが識別符号及び申込者情報の一部によって連絡可能となるので、インターネット網を介しての申込者に対する不動産その他の情報などに関する適切なサービスの提供も可能となる。
【0069】
本発明の保証支援方法
次に、図3図8を参照しながら、本発明の保証支援方法の一例について説明する。図3は、本発明の保証支援方法の一例を示すフローチャートである。図4Aは、本発明の保証支援方法のうち、申込者が個人の場合の保証審査判定部における審査判定方法の一例を説明するフロー図である。また、図4Bは、図4Aに続いて保証審査判定部における審査判定方法の一例を説明するフロー図であり、図4Cは、図4Bに続いて、保証審査判定部における審査判定方法の一例を説明するフロー図である。さらにまた、図4Dは、登録保証会社の保証プランを適用する場合の参考保証料算出の一例を示す図であり、図5は、図4Dに示すフロー図に従った算出結果の一例を示す図である。さらにまた、図6は、本発明の保証支援方法のうち、申込者が法人の場合の保証審査判定部における審査判定方法の一例を説明するフロー図である。なお、以下の説明では、取得した申込者情報や保証審査判定部での審査判定結果などをそれぞれ記憶部9における所定の格納部(20、21、25、27、28)に格納する点に関し逐一触れていないところもあるが、当然のことながら前記した情報や審査判定結果は所定の格納部に格納されるものとする。
【0070】
図3に示すように、まず、申込者端末12の表示装置に保証支援装置5から本発明の保証支援方法を実行するに際しての初期画面が表示される。申込者は、その初期画面での表示に沿って、申込者が法人か個人かを選択する(ステップS1)。保証支援装置5は、申込者による選択結果が個人であるか法人であるかを判断する(ステップS2)。
【0071】
選択結果が個人の場合、保証支援装置5は申込者端末12に申込者情報入力画面を表示させるので、申込者は申込者情報の入力を行う(ステップS3)。その後、例えば自動車普通免許証などの必要な証明書類をスキャニングして得られる電子データを保証支援装置5に対して送信する(ステップS4)。保証支援装置5は、受信し記憶部に格納された証明書類の電子データからOCRなどを用いて記載事項を読み込む(ステップS5)。そうして、審査基準データ格納部21から個人用の審査基準データを読み出す(ステップS6)。
【0072】
他方、選択結果が法人の場合、申込者は申込者情報として、例えば担当者の氏名、所属部署、連絡先などの担当者情報、会社URL、売上、粗利益、営業利益、現預金などの資産状況、賃貸物件の使用目的、希望賃料及び賃貸期間などの財務情報の入力を行う(ステップS7)。その後、例えば決算書や履歴事項全部証明書などの必要な証明書類をスキャニングして得られる電子データを保証支援装置5に対して送信する(ステップS8)。保証支援装置5における保証審査判定部22は、OCR機能などにより、受信、記憶部に格納された各証明書類の電子データから必要記載事項を読み込む(ステップS9)。そうして、審査基準データ格納部21から法人用の審査基準データを読み出す(ステップS10)。
【0073】
次に、保証審査判定部22は、申込者が個人の場合、審査基準データ(表1〜表7)に則り、前記申込者情報について審査する(ステップS11)。保証審査は、前記申込者情報を複数項目にわたる所定の審査基準テーブルと照合し、当該テーブル中の各マス目に配列されている点数評価の中から該当するものの評価点を抽出する。そうして、各項目についての評価点の合計点(合計評価点)を求める。次に、保証審査判定部22は、申込者情報及び所定の審査基準テーブルに基づいて適正賃料額を確定する(ステップS12)。
【0074】
続いて保証審査判定部22は、適性賃料額を数段階増減した場合に、それぞれの段階で保証の可否を判定する(ステップS13)。そして、判定の結果が保証可能(保証サービスの提供が可能)な段階については、保証審査判定部22はそれぞれの段階で参考保証料額を確定するとともに(ステップS14)、識別符号生成部24に識別符号の生成をリクエストする。識別符号生成部24は、これに応えて後者は保証審査判定部22に対し識別符号を送る。保証審査判定部22では、送られてきた識別符号を保証の可否についての判定の結果に付与し(ステップS15)、識別符号を前記判定の結果に関連づけた状態で審査判定結果格納部25に格納する。
【0075】
その上で、出力部7は、申込者端末12に対して識別符号及び保証サービスを提供可能であることを送信する(ステップS16)。申込者端末12では、受信した識別符号などを表示装置やプリンター装置に出力するほか(ステップS16)、記憶装置に記憶する。他方、前記合計評価点が所定の基準を満たさず、保証不可との判定結果が出された場合には、その旨を申込者端末に送信する(ステップS17)。ステップS16及びステップS17の申込者端末への送信は、例えば申込者端末からのリクエストに応えて行うようにしてもよい。
【0076】
保証審査判定部22の保証審査判定方法の一例を具体的に示したものが図4A図4Eである。これらの図を参照しながら、より詳細に保証審査判定部22における保証審査判定方法を説明する。保証審査判定部22は、申込者情報のうち、申込者属性(年齢)及び世帯構成(単独世帯、夫婦のみ世帯、夫婦と子の世帯、一人親と子の世帯、その他の世帯)の中から申込者が選択した選択結果を抽出する。そうして、これらを契約者属性テーブル(表1)と照合し(ステップS21)、評価点Aを得る(図4A参照)。例えば、申込者が30歳代で世帯構成が夫婦と子とで構成されている場合には、保証審査判定部22は評価点Aとして「5」を得る。また、申込者が60歳代で一人の場合には、「4」の評価点Aを得る。
【0077】
次に、保証審査判定部22は、申込者情報のうち、転居理由(一人暮らし(独立)、通勤通学、進学・入学・就職、転職・退寮、結婚・出産・同居、離婚・別居、家賃を下げたい、取り壊し・立ち退き、年金・保護費受給)の中から申込者が選択した選択結果を抽出する。そうして、保証審査判定部22は、前記選択結果を転居理由テーブル(表2)と照合し(ステップ22)、評価点Bを得る(図4A参照)。
【0078】
続いて、保証審査判定部22は、申込者情報から転居費用の支払い方法に関する申込者の選択結果(貯蓄から支払うか、又は借金か)を抽出する。保証審査判定部22は、当該選択結果と転居費用支払いテーブル(表3)とを照合し(ステップS24)、評価点Cを得る(図4A参照)。例えば、保証審査判定部22は、「貯蓄から支払う」が選択されている場合には、「1」の評価点Cを得、「借金から」が選択されている場合には、「−1」の評価点Cを得る。
【0079】
続いて、保証審査判定部22は、申込者情報から職業(正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主(自営業)、年金受給者、生活保護受給者、学生(仕送り・アルバイト)、無職(休職中)、貯金(現金))に関する申込者の選択結果及び年収に関する情報を抽出する。保証審査判定部22は、これらの情報、結果と年収評価テーブル(表4)とを照合し(ステップS25)、評価点Dを得る(図4B参照)。例えば、申込者が正社員であり、年収が600万円の場合には、「2」の評価点Dを得、申込者が個人事業主であり、年収が450万円の場合には、「±0」の評価点Dを得る。
【0080】
次に、保証審査判定部22は、申込者情報から借入金・支払金の有無及びその額に関する情報を抽出する。そうして、当該情報と借入金等評価テーブル(表5)とを照合し(ステップS26)、評価点Eを得る(図4B参照)。例えば、保証審査判定部22は、毎月5万円以上の「借入返済」又は「教育資金」の返済がある場合には、「−2.5」の評価点Eを得、毎月2万円未満の「借入返済」又は「教育資金」の返済がある場合には、「−0.5」の評価点Eを得る。
【0081】
さらに、保証審査判定部22は、申込者情報から公的資金(年金(国民、厚生、傷害、企業)、生活保護、子供手当、母子手当)需給の有無に関する情報を抽出する。そうして、当該情報と公的資金評価テーブル(表6)とを照合し(ステップS27)、評価点Fを得る(図4B参照)。例えば、保証審査判定部22は、「国民年金」の受給がある場合には、「1」の評価点Fを得、「子供手当」の受給がある場合には、「0.5」の評価点Fを得る。
【0082】
以上の項目についての審査判定が完了した後、保証審査判定部22は、評価点A〜Fを合計し、合計評価点を求める(図4B参照)。
【0083】
次に、保証審査判定部22は、申込者情報から年収、非消費支出データ(各種税金、健康保険料、雇用保険料、年金・社会保険料の別)及び各種手当(児童手当、障害者手当、母子手当、各種年金の別)の受給に関する情報を抽出する。非消費支出があり前記のいずれかの手当を受けている場合、保証審査判定部22は、表8に例示したテーブルを用い、世帯年収から実収入の月額を、実収入の月額から非消費支出額を差し引いて可処分所得を求め(ステップS33)、さらに表9に例示した消費支出算出データから世帯構成に見合った住居費を求める(ステップS34)。そして、毎月借入金(ローン)の返済がある場合には、その月額を住居費から差し引いて差額を求める(ステップS35)。なお、前記演算を行うに際し、各種手当の受給がない場合には、当該手当は加算されないことはいうまでもない。
【0084】
次に、保証審査判定部22は、ステップS35の差額がマイナスの場合、預貯金額でマイナス分を充当できるか否かを評価する(ステップS36)。そして、ステップS35の差額がプラスの場合、及び差額がマイナスであっても貯金等で充足してさらにプラスにできる場合には、その差額又は充足後のプラスの金額を適正賃料として確定する(ステップS37)。そして、保証審査判定部22は、合計評価点によって適性賃料評価テーブル(表7参照)上において賃料額(適性賃料額)を1段階ごと右欄に移動し増減していった場合に、それぞれの段階で保証の可否を判定する(ステップS13)。そして、判定の結果が保証不可となるまで保証可能(保証サービスの提供が可能)な段階については(ステップS41)、保証審査判定部22はそれぞれ参考保証料額を確定し(ステップS42)、出力部7に対して出力指示を行う(ステップS43)。このとき、識別符号生成部24に識別符号を付与するようリクエストを発するのは前記の通りである。また、増減によって最初から保証不可となる場合には(ステップS40)、適性賃料額とともに保証不可である旨を出力部7に対して出力するよう指示する(ステップS43)。なお、参考保証料額の確定はこの保証審査に関与する保証会社の規定に従うことができる。
【0085】
次に、図4Dを参照して、登録保証会社の保証プラン(表10参照)が適用される場合の参考保証料の求め方の一例について説明する。まず、保証審査判定部22は、審査判定結果格納部25より適正賃料額を読み込む(ステップS42)。また、申込者情報格納部20から申込者属性(外国人か内国民か、年齢及び性別)、世帯構成、職業及び公的資金受給などの必要な情報を読み込む(ステップS43)。そうして、読み込んだ申込者情報から、申込者がどの保証プランに該当するかを振り分け照合し(ステップS44)、保証プランを確定させる(ステップS45)。保証審査判定部22は、確定した保証プランを、適正賃料とともに出力するように出力部7に指示する(ステップS46)。
【0086】
図5は、申込者の申込者情報に基づいた申込者(個人と法人の双方を含む。)への保証プランの振り分けの一例を説明するものである。この図に示すように、申込者の職業が正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト又は個人事業主であり、申込者属性(国籍)が日本人である場合、就業者A又は就業者Bの保証プランに該当する。両プランのいずれを選択するかは、基本的には賃貸物件の所有者が決定するが、例外的には申込者などが決定する場合もあり得る。また、職業が正社員で国籍が外国籍の場合も同様に就業者A又は就業者Bの保証プランに該当する。また、就業しており(職業を持ち)、女性、1人親と子供との世帯、母子手当を受けているといった条件を満たしている母子家庭もまた、就業者A又は就業者Bの保証プランに該当する。さらにまた、図5に示すように、申込者の職業が学生であって、日本国籍の場合には、学生向けの保証プランが、外国籍の場合には留学生向けの保証プランが該当する。さらに、申込者が生活保護費を受給している場合には、年齢確認が必要となるが、生活保護費受給者向け保証プランに該当する。
【0087】
図6は、表10に示した保証プランに申込者(個人)を振り分け、保証プランが確定した上で、参考保証料の算出例を示している。希望賃料を5万円とすると(適正賃料として5万円が算定されていてもよい。)、図6の例では、日本国籍の就業者は契約時、初回保証料として希望賃料(適正賃料)の50%、また入居時、継続保証料として1万円が求められる。また、学生の場合には、初回保証料として2万円、継続保証料として1万円が求められる。さらに、申込者が生活保護費受給者の場合、初回保証料として60%、継続保証料として2万円が求められる。これらから、参考保証料は、申込者が日本国籍の就業者の場合、契約時2.5万円、入居時1万円/年、申込者が学生の場合、契約時2万円、入居時1万円/年、申込者が生活保護費受給者である場合、契約時3万円、入居時2万円/年と求められる。
【0088】
また、申込者が法人の場合も同様に、保証審査判定部22は、審査基準テーブル(本明細書不掲載)に従い、申込者情報について審査し、適性賃料を確定するとともに、当該適正賃料を増減した場合に保証の可否を判定する。法人の保証審査においても、保証審査判定部22における審査は、個人の転居希望者の場合と同様に、保証審査に適した審査基準データ(テーブル)を適宜用意し、当該テーブルに配列された点数評価から該当する評価点を抽出し、その合計評価点を求めることにより行われる。そして、保証が可能な場合には、保証審査判定部22は、参考保証料を算出するように構成できる。
【0089】
図7は、申込者が法人の場合の保証審査判定部22の保証審査判定方法の一例を具体的に示している。この図の例では、法人が社宅や独身寮に不動産物件を探す場合を例にとり説明する。この場合、保証支援装置5には、あらかじめ使用目的として「住居用」が設定され、また賃貸条件は、入居者が申込者の正社員(及び同居家族)であり、賃貸期間は2年以上に設定されているものとする。なお、本発明の保証審査判定方法では、使用目的及び賃貸条件は前記のものに限定されず、例えば使用目的であれば、事務所、店舗、倉庫、工場などについてそれぞれ設定でき、賃貸条件も使用用途に応じて適宜変更して設定できる。
【0090】
例えば法人における総務部の担当者が申込者端末12の表示装置に現れる表示に従い、当該申込者端末12を操作して、会社情報を入力する(ステップS51)。ここで、会社情報には、例えば当該担当者の氏名、所属部署及び連絡先(連絡可能なメールアドレスを含む)、上場企業又は非上場企業の別、会社ウェブページURLといった情報のほか、決算情報の一部などが挙げられる。申込者端末12の表示装置には、申込者が上場企業の場合、会社ウェブページURLの入力を、 非上場企業の場合、会社ウェブページURLの入力の他、少なくとも1期分(好適には3期分)の決算情報の入力が必要である旨を表示させ申込者に告知するようにしてもよい。
【0091】
次に、担当者は使用目的として「住居用」を入力し、又は複数の選択肢の中から「住居用」を選択する。保証支援装置5は、申込者端末12からのこの情報を確認し(ステップS52)、使用目的が合致しているか否かを判定する(ステップS53)。使用目的が合致しない場合には、申込者に対しその旨を通知すべく出力する(ステップS61)。合致する場合には、保証支援装置5は、次に申込者からの賃貸条件の入力を待ち、入力があった場合には入力内容の確認を行い(ステップS54)、条件が合致するか否かを判定する(ステップS55)。条件が合致しない場合には、申込者に対しその旨を通知すべく出力する(ステップS61)。条件が合致する場合には、全項目の確認が完了したか否かを判定し(ステップS56)、入力漏れがある場合には賃貸条件の確認に戻る(ステップS54)。全項目の確認が完了している場合には、前記と同様に審査基準データ格納部21に別途格納されている適正賃料評価テーブルを用い、適正賃料額を確定させる(ステップS57)。続いて、前記と同様に適正賃料を増減した場合に保証が可能か否かを判定する(ステップS58)。保証不可能と判定される場合には、申込者に対しその旨を通知すべく出力し(ステップS61)、保証可能と判定される場合には、参考保証料額を前記と同様に確定させ(ステップS59)、識別符号を発行した上で(ステップS60)、申込者に当該識別符号とともに前記した適正賃料及び保証可能な場合の参考保証料などの通知を行うべく出力する(ステップS60)。なお、法人の場合にも、個人の場合と同様に、参考保証料額の確定は保証審査に関与する保証会社の規定に従うことができる。
【0092】
その後、保証支援装置5は、インターネットなどを通して申込者(法人)の実在を確認し、必要な場合には、申込者に対して法人登記簿や決算書の提出を要請する自動メールを送信するように構成してもよい。また、それらの資料について帝国データバンクや日系テレコンなどを活用して確認を行ってもよい。
【0093】
また、表10に示す保証プランが適用される場合には、保証支援装置5は、個人の場合と同様に、該当する保証プランを確定する。そうして、前記適正賃料及び前記参考保証料(保証プランが適用される場合には、該当する適用プランの詳細)を自動的に又はリクエストに応じて申込者に告知できる。
【0094】
図8は、前記した本発明の保証支援方法を実施することにより、申込者が保証サービスを受けることができる個人の場合に本発明の保証支援システム1が当該申込者などに対して提供可能な保証支援方法の別の例を示すフローチャートである。この図の例では、予め仲介会社は、自社が管轄する賃貸物件情報をアップロードし(ステップS65)、保証支援装置5は当該情報を受信し自身が備える記憶部に賃貸物件の詳細データを格納する(ステップS66)ものとし、申込者が賃貸物件の賃借を決めた場合に、本発明の保証支援システム1に加入し、当該賃貸物件を管轄する仲介会社が容易に契約書を出力できるようにしている。まず、申込者はインターネット上で賃貸物件について検索を行い、賃貸物件の絞り込みを行う(ステップS67)。このとき、申込者は、識別符号を入力することなく、保証支援装置5の記憶部9に格納された登録者情報の中から検索することもできる。転居を希望する賃貸物件を少なくとも1件(通常は、複数件になることが多い。)選択した申込者は、申込者端末12において識別符号を入力した上で(ステップS68)、保証支援装置5から送られてくる賃貸物件情報の中から絞り込んだ賃貸物件を選択し、それぞれ内見申し込みを行う(ステップS69)。
【0095】
申込者からの内見申し込みを受けた保証支援装置5は、本発明の保証支援システム1に加入し、申込者が選択した賃貸物件を管轄する仲介会社に対して連絡を行う(ステップS70)。連絡を受けた仲介会社(端末)は、賃貸物件の所有者への連絡を行うとともに、内見可否の連絡を申込者に返す(ステップS71)。このとき、内見可否の連絡は、保証支援装置5を介して行ってもよい。その後、申込者は実際に転居を希望する賃貸物件の内見を行い(ステップS72)、その中から転居する賃貸物件を決定する(ステップS73)。その後、申込者又は仲介会社担当者が保証支援装置5にアクセスし、決定した賃貸物件を選択することで、保証支援装置5は保証契約書を作成し(ステップS74)、仲介会社に作成した保証契約書を送る(ステップS75)。仲介会社では、この保証契約書をプリントアウトし(ステップS76)、契約締結を行う(ステップS77)。その後、申込者は保証代金の決済を行う(ステップS78)。このように、本発明の保証支援システム1を活用して契約締結までの手続の効率化が図られる。なお、今後は、合意成立の手段としてインターネットや専用回線などの通信回線による情報交換を用い、かつ合意成立の証拠として電子署名やタイムスタンプを付与した電子ファイルを利用する電子契約が増加することが予想されるので、前記した保証契約の締結も電子契約にて行ってもよい。このように電子契約を行うこととすると、インターネットなどの通信回線上で適性賃料及び参考保証料を求め、さらに保証契約も締結することができ、よりペーパレス、エコに資することができる。
【0096】
以上説明したように、本発明の保証支援システム及び保証支援方法によれば、転居(入居)先の賃貸物件が具体的に決定される前に申込者端末からの申込者の入力事項(申込者情報)に基づいて審査し、適性賃料を求めるとともに、当該適正賃料を増減させた場合の保証の可否を判定し、保証可能な場合の参考保証料を確定させ、これらの情報を前記申込者に告知することとしたので、申込者は賃貸物件探しに際し、予め適正賃料、保証の可否及び保証可能な場合の参考保証料を確認できる。申込者は、賃貸物件探しに先だってこれらの情報を参考にでき、前記適正賃料を基準にして賃貸物件を検索し、現地を確認できるだけでなく、保証会社の保証サービスを受けられる状態で(物件入居審査不要で)申し込むことができる。その結果、申込者はよりスムーズに賃貸物件探しや転居ができるようになるとともに、不動産仲介会社においても賃貸物件を最初から探そうとする転居希望者への対応の手間と時間を削減できるので、省力化、効率化が可能となる。また、本発明の保証支援システム及び保証支援方法による判定の結果、保証可能とされた申込者(転居希望者など)と仲介会社などの登録者とが識別符号及び申込者情報の一部によって連絡可能となるので、インターネット網を介しての申込者に対する不動産その他の情報などに関する適切なサービスの提供も可能となる。
【0097】
具体的には、今まで賃貸物件ありきで動いていた賃貸業界が、転居希望者が希望する転居先の賃貸物件がまだない状態の事前審査で保証サービスを提供可能とすることで、具体的な転居者に対してアクセスできる。賃貸物件の仲介会社や所有者は、識別符号を有し、入居可能な転居者に直接アプローチできるので、募集活動の効率化が可能となる。また、識別符号を有する具体的な転居者に対しては、家具、家電、生活インフラなどの総合的な提案を行うことができ、転居者にとっては転居前から計画的な準備が可能となる。また、個人だけでなく、法人の事前審査にも対応可能であり、入居審査が厳しい中小企業などにとっても有利となり、中小企業の福利厚生の充実にも資することができる。
【0098】
個人情報の問題はあるが、個人の年収を含めたデータにアクセス権限のある業者がアクセス可能であるので、種々の金融商品などの提案も可能となる。また、家族構成などの申込者情報に業者がアクセス可能となるので、年齢層に合わせた商品の提供が可能になる。さらにまた、年齢、性別、家族構成などのデータから転居の時期、エリア、広さ、家賃などの分析が可能となり、そのデータに基づいた不動産開発が可能となる。さらに、種々の商品に関する提案が可能になることから、携帯電話、電気の自由化、ネット回線、ウォーターサーバーなどパッケージで申込むと、保証料に関する特典などのサービスの提供が可能となる。管理会社と連携することで、リアルタイムでの空室情報の提供が可能となり、そのようなサイトの構築が可能となり、保証サービスの提供を受けた申込者に対しその識別符号により会員サービスを提供することができる。さらにまた、複数名でシェアハウスを借りる場合には、各人の上限賃料を合算することができる。
【符号の説明】
【0099】
1・・・保証支援システム、 5・・・保証支援装置、 6・・・入力部、 7・・・出力部、 8・・・演算制御部、 9・・・記憶部、 10・・・バス、 11・・・インターネット網、 12・・・申込者端末、 13・・・保証会社端末、 14・・・仲介会社端末、 15・・・管理者端末、 20・・・申込者情報格納部、
21・・・審査基準データ格納部、 22・・・保証審査判定部、 24・・・識別符号生成部、 25・・・審査判定結果格納部、 26・・・表示制御部、 27・・・管理データ格納部、 28・・・登録者情報格納部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8