特許第6249584号(P6249584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249584
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】薬物含有徐放性微粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/52 20060101AFI20171211BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20171211BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20171211BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   A61K9/52
   A61K47/34
   A61K31/517
   A61P25/18
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-527522(P2017-527522)
(86)(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公表番号】特表2017-524035(P2017-524035A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】KR2015006771
(87)【国際公開番号】WO2016021835
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年2月6日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0102640
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517039472
【氏名又は名称】ビーシーワールド ファーム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BCWORLD PHARM. CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】スー ヘラン
(72)【発明者】
【氏名】アン テクン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジュフェン
(72)【発明者】
【氏名】オウ スンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム アラム
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンミン
(72)【発明者】
【氏名】アン グクホアン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ユンジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン デヨン
(72)【発明者】
【氏名】オウ ヨンフン
(72)【発明者】
【氏名】ハン サンミン
(72)【発明者】
【氏名】ぺ ミンヒ
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第1994/10982(WO,A1)
【文献】 特開2000−239152(JP,A)
【文献】 特表2013−531061(JP,A)
【文献】 特開平09−221417(JP,A)
【文献】 特表2010−531303(JP,A)
【文献】 特表2013−538855(JP,A)
【文献】 特表2011−508733(JP,A)
【文献】 特表2001−510510(JP,A)
【文献】 特表2005−502674(JP,A)
【文献】 特表2000−503663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61K 47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
B01J 13/02−13/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)生分解性高分子及び薬物をハロゲン化アルカン溶媒に溶解させて薬物含有生分解性高分子溶液を製造する段階と、
(b)前記薬物含有生分解性高分子溶液を、界面活性剤を含む連続相で均質に混合して分散相を形成する段階と、
(c)前記連続相及び分散相を含むエマルションをハロゲン化アルカン溶媒の沸点未満の温度で保持し、前記連続相内に微粒子を形成する段階と、
(d)前記微粒子を1次乾燥する段階と、
(e)1次乾燥された微粒子をアルコール水溶液に混合した後、前記アルコール水溶液をハロゲン化アルカン溶媒の沸点以上の温度で保持し、残留するハロゲン化アルカン溶媒を微粒子から抽出及び蒸発させる段階と、
(f)得られた微粒子を2次乾燥して薬物含有微粒子を生成する段階と、を含む薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記生分解性高分子は、ポリカプロラクトン、乳酸‐カプロラクトン共重合体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸‐グリコール酸共重合体及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記薬物は、抗癌剤、抗精神病薬物、高脂血症治療剤、高血圧治療剤、てんかん治療剤、胃腸関係治療剤、リュウマチ治療剤、鎮痙剤、結核治療剤、筋弛緩剤、不整脈治療剤、骨粗鬆症治療剤、勃起不全治療剤、止血剤、抗ウイルス剤、ホルモン剤、抗生剤、糖尿治療剤、抗真菌剤、抗血栓剤、解熱鎮痛消化剤及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記抗精神病薬物は、ハロペリドール、ブロムペリドール、マレイン酸フルフェナジン、クロルプロマジン、ヒベンズ酸クロルプロマジン、スルピリド、塩酸カルピプラミン、マレイン酸カルピプラミン、塩酸クロカプラミン、塩酸モサプラミン、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、セルチンドール及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項3に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記ハロゲン化アルカン溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記界面活性剤を含む連続相がポリビニルアルコール水溶液である、請求項1に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項9】
前記1次乾燥及び2次乾燥は真空乾燥で行われる、請求項1に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項10】
段階(c)と段階(d)との間に、濾過及び洗浄を通じて連続相を除去して微粒子を得る段階をさらに含む、請求項1に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項11】
段階(e)と段階(f)との間に、濾過及び洗浄を通じてアルコール水溶液を除去して微粒子を得る段階をさらに含む、請求項1に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【請求項12】
前記薬物含有微粒子は、前記薬物含有微粒子の全体重量に対し、20重量%〜99重量%の生分解性高分子を含む、請求項1に記載の薬物含有徐放性微粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物含有徐放性微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長期投与を要する薬物に対して多様な剤形が適用されている。投与回数を減らし、体内における安定的な薬物濃度を提供するため、このような薬物は徐放性製剤で提供されることが望ましい。徐放性製剤の一類型は、薬物が微小球体内に封じ込まれた生分解性微粒子(microparticle)である。その例として、黄体形成ホルモン放出ホルモン(リュープロライド(leuprolide)またはLHRH)を含む生分解性微粒子であるリュープロンデポット(LUPRON Depot)が挙げられる。リュープロライドは、ホルモン依存性癌、特に前立腺癌及び性早熟症の治療に使用される。
【0003】
微粒子は直径が約1〜1000ミクロンである粒子である。注入のため、微粒子は125ミクロン以下であることが望ましい。このような大きさの微粒子は、外科的な移植の代りに、標準皮下注射用針で注入することができる。微粒子の一類型は、薬物を捕捉する生分解性高分子ネットワークで構成される。前記生分解性高分子が体内で生分解することによって薬物が放出される。最も多く使用される生分解性高分子は、ポリ乳酸、または乳酸‐グリコール酸共重合体である。
【0004】
最も多く用いられる徐放性微粒子の製造方法は、相分離法(phase separation)、噴霧乾燥法(spray drying)及び溶媒蒸発法(solvent evaporation)である。コアセルベーション(coacervation)とも呼ばれる相分離法は、非溶媒を添加することで高分子の溶解度を減少させる。一般的な微粒子の製造方法では、生分解性高分子をジクロロメタンのような有機溶媒に溶解させる。脂溶性薬物は前記生分解性高分子溶液に溶解させる。親水性薬物は、水に溶解させてから前記生分解性高分子溶液に分散させるか(W/O(Water−in−Oil)乳剤)、又は、固形粉末として分散させる。非溶媒(通常、シリコーンオイル)を徐々に添加することで、2つの相が形成される;すなわち、高分子を含むシリコーンオイル相及び高分子が除去された(高分子を含まない)有機溶媒相である。有機溶媒を抽出するか又は蒸発させることによって、薬物を含む生分解性高分子微粒子がシリコーンオイル相で固形化される。コアセルベート(シリコーンオイル)は高分子微粒子に吸着される。
【0005】
噴霧乾燥法において、生分解性高分子はジクロロメタンのような揮発性有機溶媒に溶解される。薬物は前記生分解性高分子溶液に溶解されるか又は分散される。前記溶液または分散液は加熱された空気中に噴射される。溶媒が蒸発しながら固形微粒子を形成する。
【0006】
溶媒蒸発法は微粒子の製造に最も多く用いられる。溶媒蒸発法では、薬物を含む有機高分子溶液を分散媒質に乳化させ、分散媒質は通常水溶性であるが、オイルであっても良い。前記方法はO/W(Oil−in−Water)法、W/O/W(Water−in−Oil−in−Water)法、及びO/O(Oil−in−Oil)法に細分化することができる。
【0007】
O/W法において、薬物及び高分子はジクロロメタンまたはメタノール/ジクロロメタン混合物のような有機溶媒に溶解される。前記薬物−高分子−有機溶媒の溶液は水相に分散される。水相における有機溶媒液滴(droplet)の形成を補助するため、乳化剤(通常、界面活性剤)が水相に加えられる。撹拌を通じて有機溶媒を蒸発させ、液滴が封入薬物とともに高分子微粒子として固形化される。
【0008】
W/O/W法において、薬物及び有機溶媒を含むW/O乳剤を製造するため、水溶性薬物溶液を用意した後、それを有機溶媒内の高分子溶液に分散させる。W/O/W乳剤を形成するため、前記W/O高分子−薬物乳剤を水相に乳化させる。撹拌しながら有機溶媒を蒸発させ、乳剤内の高分子−薬物液滴を微粒子として固形化させる。
【0009】
O/O法において、薬物及び高分子を水と混合される溶媒(例えば、アセトニトリル)に溶解させる。O/O乳剤を製造するため、前記溶液をSPAN80のような乳化剤の存在下でオイル相に乳化させる。有機溶媒はオイルによって抽出され、濾過によって微粒子が得られる。
【0010】
国際出願PCT/JP1993/01673号には、溶媒蒸発法のうちO/W法を用いて抗精神病薬含有徐放性微粒球を製造する方法が開示されている。具体的に、該特許文献には、ハロゲン化アルカン溶媒、例えば、ジクロロメタンを用いて徐放性微粒球を製造する方法が開示されているが、ハロゲン化アルカンを溶媒として用いる場合、生分解性高分子及び薬物からなる微粒球内に前記ハロゲン化アルカン溶媒が残留することがあり、これは除去し難い。このような微粒球内におけるハロゲン化アルカン溶媒の残存は毒性及び発癌性を引き起こす恐れがあるため、生体内投与のため、徐放性微粒球の製造過程で必ず解決すべき重要な課題の1つである。
【0011】
このような残存ハロゲン化アルカン溶媒を除去するため、一般に徐放性微粒球の製造過程で熱を加えるが、このように加熱すれば、PLGAのようなポリエステル類生分解性高分子の加水分解が促進されて分子量が急激に落ち、薬物の徐放性が低下するという問題が生じる。したがって、ハロゲン化アルカン溶媒を容易に除去すると共に、生分解性高分子の加水分解を最小化できる徐放性微粒子の製造方法の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、溶媒蒸発法を用いた薬物含有徐放性微粒子の製造方法において、前記微粒子内に残留するハロゲン化アルカン溶媒を容易に除去すると共に、前記微粒子内の生分解性高分子の分子量減少を最小化することで、薬物の優れた徐放性を維持することができる薬物含有徐放性微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための手段として、
(a)生分解性高分子及び薬物をハロゲン化アルカン溶媒に溶解させて薬物含有生分解性高分子溶液を製造する段階;
(b)前記薬物含有生分解性高分子溶液を、界面活性剤を含む連続相で均質に混合して分散相を形成する段階;
(c)前記連続相及び分散相を含むエマルションをハロゲン化アルカン溶媒の沸点未満の温度で保持し、前記連続相内に微粒子を形成する段階;
(d)前記微粒子を1次乾燥する段階;
(e)1次乾燥された微粒子をアルコール水溶液に混合した後、前記アルコール水溶液をハロゲン化アルカン溶媒の沸点以上の温度で保持し、残留するハロゲン化アルカン溶媒を微粒子から抽出及び蒸発させる段階;及び
(f)得られた微粒子を2次乾燥して薬物含有微粒子を生成する段階を含む薬物含有徐放性微粒子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の薬物含有徐放性微粒子の製造方法によれば、微粒子内に残留するハロゲン化アルカン溶媒を容易に除去すると共に、微粒子内の生分解性高分子の加水分解による分子量減少を最小化することができ、それによって薬物の優れた徐放性を有する薬物含有徐放性微粒子を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、(a)生分解性高分子及び薬物をハロゲン化アルカン溶媒に溶解させて薬物含有生分解性高分子溶液を製造する段階;(b)前記薬物含有生分解性高分子溶液を、界面活性剤を含む連続相で均質に混合して分散相を形成する段階;(c)前記連続相及び分散相を含むエマルションをハロゲン化アルカン溶媒の沸点未満の温度で保持し、前記連続相内に微粒子を形成する段階;(d)前記微粒子を1次乾燥する段階;(e)1次乾燥された微粒子をアルコール水溶液に混合した後、前記アルコール水溶液をハロゲン化アルカン溶媒の沸点以上の温度で保持し、残留するハロゲン化アルカン溶媒を微粒子から抽出及び蒸発させる段階;及び(f)得られた微粒子を2次乾燥して薬物含有微粒子を生成する段階を含む薬物含有徐放性微粒子の製造方法に関する。
【0016】
以下、本発明の薬物含有徐放性微粒子の製造方法を具体的に説明する。
【0017】
本願で用いられる用語「溶媒蒸発法」は、生分解性高分子及び薬物を有機溶媒に溶解させて製造した薬物含有生分解性高分子溶液を、界面活性剤を含む連続相に添加した後、それから得られた微粒子をアルコール水溶液に添加して薬物含有微粒子を形成し、前記薬物含有微粒子から残留する有機溶媒を除去する方法を称する。
【0018】
本発明の製造方法は、(a)生分解性高分子及び薬物をハロゲン化アルカン溶媒に溶解させて薬物含有生分解性高分子溶液を製造する段階を含む。
【0019】
前記段階(a)は、生分解性高分子をハロゲン化アルカン溶媒に溶解させて生分解性高分子溶液を製造した後、前記生分解性高分子溶液に薬物を溶解または分散させて薬物含有生分解性高分子溶液を製造する方法、または生分解性高分子及び薬物を同時にハロゲン化アルカン溶媒に溶解させて薬物含有生分解性高分子溶液を製造する方法で行うことができる。
【0020】
前記生分解性高分子の重量平均分子量は、特に制限されないが、その下限が10,000以上、望ましくは30,000以上、より望ましくは50,000以上、さらに望ましくは75,000以上であり得、その上限が500,000以下、望ましくは400,000以下、より望ましくは300,000以下、さらに望ましくは200,000以下であり得る。
【0021】
前記生分解性高分子の種類は、特に制限されないが、望ましくはポリエステルが使用でき、特にポリカプロラクトン、乳酸‐カプロラクトン共重合体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸‐グリコール酸共重合体及びこれらの混合物からなる群より選択でき、より望ましくは乳酸‐グリコール酸共重合体を使用することができる。
【0022】
前記生分解性高分子として乳酸‐グリコール酸共重合体を使用する場合、前記共重合体内の乳酸とグリコール酸とのモル比は99:1〜50:50であり得、望ましくは75:25であり得る。本発明で使用可能な市販中の生分解性高分子の例としては、エボニック社製のResomer RG 755S、Resomer RG 756S及びResomer RG 858Sなどが挙げられる。
【0023】
前記段階(a)で使用される薬物の種類は、特に制限されず、例えば、抗癌剤;抗不安剤、抗うつ剤、神経安定剤及び抗精神神経用剤などのような抗精神病薬物;高脂血症治療剤、高血圧治療剤、低血圧治療剤、抗血栓剤、血管弛緩剤及び不整脈治療剤などのような心血関係治療剤;てんかん治療剤;抗潰瘍剤などのような胃腸関係治療剤;リュウマチ治療剤;鎮痙剤;結核治療剤;筋弛緩剤;骨粗鬆症治療剤;勃起不全治療剤;止血剤;性ホルモン剤などのようなホルモン剤;糖尿治療剤;抗生剤;抗真菌剤;抗ウイルス剤;解熱鎮痛消化剤;自律神経調節剤;コルチコステロイド;利尿剤;抗利尿剤;鎮痛剤;麻酔剤;抗ヒスタミン剤;抗原虫剤;抗貧血剤;抗喘息剤;痙攣防止剤;解毒剤;抗片頭痛剤;抗嘔吐剤;抗パーキンソン剤;抗てんかん剤;抗血小板剤;鎮咳去たん剤;気管支拡張剤;強心剤;免疫調節剤;タンパク質薬物;遺伝子薬物;及びこれらの混合物から選択でき、望ましくは抗癌剤、抗精神病薬物、高脂血症治療剤、高血圧治療剤、てんかん治療剤、胃腸関係治療剤、リュウマチ治療剤、鎮痙剤、結核治療剤、筋弛緩剤、不整脈治療剤、骨粗鬆症治療剤、勃起不全治療剤、止血剤、抗ウイルス剤、ホルモン剤、抗生剤、糖尿治療剤、抗真菌剤、抗血栓剤、解熱鎮痛消化剤及びこれらの混合物からなる群より選択することができる。
【0024】
上述した薬物のうち抗精神病薬物の種類は、特に制限されないが、望ましくはハロペリドール(haloperidol)、ブロムペリドール(bromperidol)、マレイン酸フルフェナジン(fluphenazinemaleate)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、ヒベンズ酸クロルプロマジン(chlorpromazinehibenzate)、スルピリド(sulpiride)、塩酸カルピプラミン(carpipraminehydrochloride)、マレイン酸カルピプラミン(carpipramine maleate)、塩酸クロカプラミン(clocapramine hydrochloride)、塩酸モサプラミン(mosapraminehydrochloride)、リスペリドン(risperidone)、クロザピン(clozapine)、オランザピン(olanzapine)、セルチンドール(sertindole)及びこれらの混合物からなる群より選択でき、より望ましくはリスペリドンまたはその酸付加塩を使用することができる。
【0025】
前記段階(a)において、生分解性高分子及び薬物を溶解させる溶媒として使用されるハロゲン化アルカンは、沸点が120℃以下であり、水と混和しない性質を有することが望ましい。ハロゲン化アルカン溶媒の水と混和しない性質を用いることで、後述する段階(b)で、界面活性剤を含む連続相内に薬物含有生分解性高分子溶液を均質に混合して分散相または不連続相を形成することができる。
【0026】
前記段階(a)で使用されるハロゲン化アルカン溶媒の種類は、特に制限されないが、望ましくは塩化アルカンであり得、より望ましくはジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン及びこれらの混合物からなる群より選択でき、最も望ましくはジクロロメタンを使用することができる。
【0027】
本発明の製造方法は、(b)前記薬物含有生分解性高分子溶液を界面活性剤を含む連続相で均質に混合して分散相を形成する段階を含む。
【0028】
前記段階(b)において、薬物含有生分解性高分子溶液と界面活性剤とを含む連続相を均質に混合する方法は、特に制限されないが、望ましくは高速撹拌機を用いて行うことができる。
【0029】
前記段階(b)のように、前記連続相及び分散相を含むエマルションを形成する場合、薬物含有生分解性高分子溶液は、界面活性剤を含む連続相内で均質に分散され、液滴状の分散相または不連続相を形成する。
【0030】
前記段階(b)で使用される界面活性剤の種類は、特に制限されず、薬物含有生分解性高分子溶液が連続相内で安定的な液滴の分散相を形成し、O/Wエマルションの形成を補助できるものであれば、如何なるものでも使用することができる。望ましくは、前記界面活性剤として、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンヒマシ油誘導体などのような非イオン性界面活性剤;ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸ナトリウムなどのような陰イオン性界面活性剤;イミダゾール、エステルアミン、線状ジアミン及び脂肪族アミンなどのような陽イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物からなる群より選択でき、最も望ましくはポリビニルアルコールを使用することができる。
【0031】
前記段階(b)において、界面活性剤を含む連続相中の界面活性剤の含量は、界面活性剤を含む連続相の全体体積を基準にして、0.01w/v%〜20w/v%、望ましくは0.1w/v%〜5w/v%であり得る。界面活性剤の含量が0.01w/v%未満であれば、連続相内に液滴状の分散相または不連続相が形成されないことがあり、界面活性剤の含量が20w/v%を超えれば、過量の界面活性剤のため、連続相内に微粒子が形成された後、界面活性剤を除去することが困難である。
【0032】
前記段階(b)で使用される連続相としては水を使用することができる。連続相として水を使用する場合、後述する段階(c)で連続相内に微粒子を形成した後、後述する段階(d)を行う前に、濾過及び洗浄を通じて微粒子の表面に残留する連続相及びポリビニルアルコールのような水溶性界面活性剤をより容易に除去することができる。
【0033】
前記段階(b)で使用される、界面活性剤を含む連続相としては、ポリビニルアルコール水溶液を使用することが望ましい。すなわち、界面活性剤としてポリビニルアルコールを使用し、連続相として水を使用することができる。
【0034】
本発明の製造方法は、(c)前記段階(b)で形成された分散相及び連続相を含むエマルションをハロゲン化アルカン溶媒の沸点未満の温度で保持し、前記連続相内に微粒子を形成する段階を含む。
【0035】
前記段階(c)において、液滴状の薬物含有生分解性高分子溶液(分散相または不連続相)及び界面活性剤を含む連続相を含むエマルションを、ハロゲン化アルカン溶媒の沸点未満の温度で一定時間、例えば、2〜3時間保持または撹拌すれば、分散相または不連続相である液滴状の薬物含有生分解性高分子溶液から連続相側にハロゲン化アルカン溶媒が抽出される。液滴状の薬物含有生分解性高分子溶液からハロゲン化アルカン溶媒が抽出されながら、前記液滴状の分散相または不連続相は固形化されて微粒子を形成することができる。
【0036】
従来の溶媒蒸発法を用いた微粒子の製造方法では、前記液滴状の分散相または不連続相からハロゲン化アルカン溶媒を除去するため加熱し、その熱によって生分解性高分子の加水分解が生じて分子量が減少するという問題がある。
【0037】
一方、本発明では、前記段階(c)がハロゲン化アルカン溶媒の沸点未満の温度で行われるため、熱による生分解性高分子の加水分解を最小化しながら前記液滴状の分散相または不連続相が固形化され、それにより生分解性高分子及び薬物を含む微粒子を前記連続相内で形成することができる。
【0038】
本発明の製造方法は、前記段階(c)と後述する段階(d)との間に、濾過及び洗浄を通じて連続相を除去して微粒子を得る段階をさらに含むことができる。
【0039】
前記段階(c)を行った結果、生分解性高分子、薬物及び残存するハロゲン化アルカン溶媒からなる微粒子が前記連続相内に分散され、懸濁液が生成される。前記懸濁液内には液体連続相、界面活性剤、抽出されたハロゲン化アルカン溶媒、及び分散された微粒子が存在する。したがって、後述する乾燥段階(d)を行う前に、前記懸濁液を濾過して固形化された微粒子を得て、前記固形化された微粒子を水で1回以上、望ましくは1回〜3回洗浄して界面活性剤を除去し、さらに濾過して洗浄された微粒子を得ることができる。
【0040】
残存する界面活性剤を除去するための洗浄段階は、通常連続相で使用された水を用いて行うことができ、前記洗浄段階は数回繰り返すことができる。
【0041】
本発明の製造方法は、(d)前記段階(c)の後、または、前記濾過及び洗浄段階の後、前記微粒子を1次乾燥する段階を含む。
【0042】
前記段階(d)において、1次乾燥方法は特に制限されないが、望ましくは熱による生分解性高分子の損傷を最小化するため、真空乾燥で行うことができる。濾過及び洗浄を通じて得られた微粒子に対して真空乾燥を行う場合、微粒子内に存在する水分を蒸発または昇華によって除去することができる。前記真空乾燥は常温で行うことが望ましい。
【0043】
前記段階(d)の結果、前記1次乾燥によって得られた固形化された微粒子には固体膜が形成され、後述する段階(e)でアルコール水溶液の温度をハロゲン化アルカン溶媒の沸点以上で保持させても、熱による生分解性高分子の加水分解を防止することができる。
【0044】
本発明の製造方法は、(e)前記段階(d)で得られた1次乾燥された微粒子をアルコール水溶液に混合した後、前記アルコール水溶液をハロゲン化アルカン溶媒の沸点以上の温度で保持し、残留するハロゲン化アルカン溶媒を微粒子から抽出及び蒸発させる段階を含む。
【0045】
前記段階(d)で得られた1次乾燥された微粒子内には、生分解性高分子及び薬物の外にも、ハロゲン化アルカン溶媒が残存しているため、前記微粒子から残存する前記溶媒を除去する必要がある。
【0046】
したがって、段階(d)で得られた1次乾燥された微粒子をアルコール水溶液に混合した後、ハロゲン化アルカン溶媒の沸点以上の温度で一定時間、2時間〜3時間保持または撹拌すれば、前記微粒子内に残存するハロゲン化アルカン溶媒が前記アルコール水溶液中に溶解され、抽出及び蒸発することができる。
【0047】
前記段階(e)で使用されるアルコールの種類は特に制限されないが、望ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合物からなる群より選択でき、エタノールであることがより望ましい。
【0048】
前記アルコール水溶液中のアルコールの含量は、アルコール水溶液の全体体積に対し、5体積%〜80体積%、望ましくは10体積%〜50体積%であり得る。前記アルコールの含量が5体積%未満の場合は、前記微粒子内に残存するハロゲン化アルカン溶媒の抽出が容易でなく、さらに工程時間が長くなる恐れがある。前記アルコールの含量が80体積%を超える場合は、前記微粒子同士で凝集が起きる恐れがある。
【0049】
本発明の製造方法は、前記段階(e)と後述する段階(f)との間に、濾過及び洗浄を通じてアルコール水溶液を除去して微粒子を得る段階をさらに含むことができる。
【0050】
前記段階(e)を行った結果、アルコール水溶液はアルコール;水;及び生分解性高分子と薬物からなる微粒子;を含む。したがって、後述する乾燥段階(f)を行う前に、前記アルコール水溶液を濾過して固形化された微粒子を得て、前記固形化された微粒子を水で1回以上、望ましくは1回〜3回洗浄してアルコールを除去し、さらに濾過して洗浄された微粒子を得ることができる。
【0051】
前記アルコールを除去するための洗浄段階は、通常連続相で使用される水を用いて行うことができ、前記洗浄段階は数回繰り返すことができる。
【0052】
本発明の製造方法は、(f)前記段階(e)の後、または、前記濾過及び洗浄段階の後、得られた微粒子を2次乾燥して薬物含有微粒子を生成する段階を含む。
【0053】
前記段階(f)において、2次乾燥方法は特に制限されないが、望ましくは熱による生分解性高分子の損傷を最小化するため、真空乾燥で行うことができる。濾過及び洗浄を通じて得られた微粒子に対して真空乾燥を行う場合、水、洗浄後残存するアルコール及び水内に残存するハロゲン化アルカン溶媒を蒸発または昇華を通じて微粒子から除去することができる。前記真空乾燥は、常温で行われることが望ましい。
【0054】
前記段階(f)の結果、生分解性高分子及び薬物からなる薬物含有徐放性微粒子を得ることができる。
【0055】
本発明の製造方法によって製造された薬物含有徐放性微粒子には、ハロゲン化アルカン溶媒が残存せず、残存したときに問題となるハロゲン化アルカン溶媒の毒性及び発癌性を解消することができ、このように微粒子内に残存するハロゲン化アルカン溶媒の除去過程で、生分解性高分子の加水分解を最小化し、微粒子の薬物放出の徐放性を維持することができる。
【0056】
従来技術のように、溶媒蒸発法を用いた薬物含有微粒子の製造過程において、前記微粒子内の生分解性高分子が加水分解して分子量が減少する場合、前記製造された微粒子を生体内に投与すれば、分子量の減少によって生分解性高分子の加水分解が速まり、薬物を徐々に放出する薬物の徐放性効果が奏されない恐れがある。
【0057】
一方、本発明の製造方法によって薬物含有徐放性微粒子を製造すれば、生分解性高分子の加水分解を最小化して分子量の減少を防止できるため、前記微粒子を生体内に投与したとき、薬物の優れた徐放性効果を奏することができる。
【0058】
本発明の製造方法によって製造された薬物含有徐放性微粒子は、微粒子全体重量に対して20重量%〜99重量%、望ましくは50重量%〜80重量%の生分解性高分子を含むことができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明による実施例及び本発明によらない比較例を通じて本発明を詳しく説明するが、本発明の範囲が下記実施例によって制限されることはない。
【0060】
実施例1
生分解性高分子として10gのPLGA(乳酸‐グリコール酸共重合体であって、乳酸とグリコール酸とのモル比が75:25である)及び薬物として8gのリスペリドンを40mlのジクロロメタン(沸点:39.6℃)溶媒に溶解させて薬物含有生分解性高分子溶液を製造した。また、界面活性剤としてポリビニルアルコールを使用し、連続相として水を使用して5Lのポリビニルアルコール水溶液(濃度:0.25w/v%)を製造した。次いで、前記薬物含有生分解性高分子溶液を前記ポリビニルアルコール水溶液に混合した後、高速撹拌して液滴状の分散相を形成した。また、前記連続相及び分散相を含むエマルションを15℃で2時間〜3時間保持し、液滴状の薬物含有生分解性高分子溶液からポリビニルアルコール水溶液側にジクロロメタン溶媒を抽出して、前記液滴の固形化を通じて前記連続相内に微粒子を形成した。その後、固形化された微粒子を濾過した後、前記微粒子を水で3回洗浄してポリビニルアルコールを除去した。次いで、再度濾過して前記洗浄された微粒子を得た後、1次真空乾燥して微粒子内に残存する水分及びジクロロメタンを蒸発させることで、1次乾燥された微粒子を得た。前記1次乾燥された微粒子を500mLのエタノール水溶液(濃度:25v/v%)に混合した後、45℃で2時間〜3時間微粒子を撹拌して前記微粒子内に残留するジクロロメタンをエタノール水溶液側に抽出しながら蒸発させた。次いで、前記微粒子を含むエタノール水溶液を濾過した後、前記微粒子を水で3回洗浄してエタノールを除去した。その後、さらに濾過を通じて前記洗浄された微粒子を得た後、2次真空乾燥して微粒子内に残存する水分、ジクロロメタン及びエタノールを除去することで、薬物含有徐放性微粒子を得た。
【0061】
比較例1
実施例1と同じ方法で薬物含有生分解性高分子溶液及び5Lのポリビニルアルコール水溶液を製造した。次いで、前記薬物含有生分解性高分子溶液を前記ポリビニルアルコール水溶液に混合した後、高速撹拌して液滴状の分散相を形成した。また、前記連続相及び分散相を含むエマルションを15℃で2時間〜3時間保持して液滴状の薬物含有生分解性高分子溶液からポリビニルアルコール水溶液側にジクロロメタン溶媒を抽出し、前記液滴の固形化を通じて連続相内に微粒子を形成した。その後、微粒子を含む連続相を45℃で2時間〜3時間撹拌して前記微粒子からジクロロメタンを蒸発させた後、固形化された微粒子を濾過した後、水で3回洗浄してポリビニルアルコールを除去した。次いで、再度濾過して前記洗浄された微粒子を得た後、真空乾燥して微粒子内に残存する水分及びジクロロメタンを蒸発させることで、薬物含有微粒子を得た。
【0062】
比較例2
実施例1と同じ方法で薬物含有生分解性高分子溶液及び5Lのポリビニルアルコール水溶液を製造した。次いで、前記薬物含有生分解性高分子溶液を前記ポリビニルアルコール水溶液に混合した後、高速撹拌して液滴状の分散相を形成した。また、前記連続相及び分散相を含むエマルションを15℃で2時間〜3時間保持して、液滴状の薬物含有生分解性高分子溶液からポリビニルアルコール水溶液側にジクロロメタン溶媒を抽出し、前記液滴の固形化を通じて前記連続相内に微粒子を形成した。その後、微粒子を含む連続相を45℃で2時間〜3時間撹拌して前記微粒子からジクロロメタンを蒸発させ、前記微粒子をさらに固形化した。その後、固形化された微粒子を濾過した後、水で3回洗浄してポリビニルアルコールを除去した。次いで、再度濾過して前記洗浄された微粒子を得た後、1次真空乾燥して微粒子内に残存する水分及びジクロロメタンを蒸発させることで、1次乾燥された微粒子を得た。前記1次乾燥された微粒子を500mLのエタノール水溶液(濃度:25v/v%)に混合した後、45℃で2時間〜3時間微粒子を撹拌して残留するジクロロメタンを前記微粒子からエタノール水溶液の方に抽出しながら蒸発させた。次いで、前記微粒子を含むエタノール水溶液を濾過した後、前記微粒子を水で3回洗浄してエタノールを除去した。その後、再度濾過して前記洗浄された微粒子を得た後、2次真空乾燥して微粒子内に残存する水分、ジクロロメタン及びエタノールを除去することで薬物含有微粒子を得た。
【0063】
試験例1:微粒子内の生分解性高分子の重量平均分子量の測定
実施例1、比較例1及び2で得られた、薬物含有微粒子内の生分解性高分子(すなわち、PLGA)の重量平均分子量を高性能液体クロマトグラフィー(ウォーターズ社製、GPC−150C Plus)を用いて下記のように測定した。分離カラムはShodex GPC KF−G、804、803、802及び801の順に直列で連結して使用した。コラム温度を50℃にし、移動相としてテトラヒドロプランを用いて1.0ml/分に移動させ、検出機は示差屈折計を使用した。その後、それぞれのポリスチレン標準液重量平均分子量の検量線を用いて試験液の重量平均分子量を計算した。
【0064】
試験例2:微粒子内の残留溶媒量の測定
実施例1、比較例1及び2で得られた薬物含有微粒子内の残留溶媒量を、検査液及び標準液をヘッドスペースバイアルに5mlずつ正確に採取して測定した。検査液及び標準液における、ジクロロメタン及びエタノールのピーク面積であるAT及びASをそれぞれ測定し、得られた微粒子内の残留溶媒量を下記式で計算した。
【0065】
【数1】
【0066】
AT:検査液におけるジクロロメタン及びエタノールのピーク面積
AS:標準液におけるジクロロメタン及びエタノールのピーク面積
WT:得られた微粒子の採取量(g)
WS:標準品の採取量(g)
【0067】
実施例1、比較例1及び2の試験例の測定結果を下記表1に示した。
【0068】
【表1】
【0069】
表1に記載されたように、実施例1の場合、ハロゲン化アルカン溶媒の沸点未満の温度で連続相及び分散相を含むエマルションを保持して連続相内に微粒子を形成した後、1次真空乾燥して得られた微粒子をアルコール水溶液に混合し、ハロゲン化アルカン溶媒の沸点以上の温度で保持し、微粒子内に残留するハロゲン化アルカン溶媒を抽出及び蒸発させて除去した後、2次真空乾燥することで、微粒子内の生分解性高分子の加水分解を最小化しながら微粒子内の残存するハロゲン化アルカン溶媒を完全に除去した。
【0070】
しかし、比較例1の場合、実施例1と異なって、1次真空乾燥及びアルコール水溶液による追加的なハロゲン化アルカン溶媒の除去なく、ハロゲン化アルカン溶媒の沸点以上の温度で微粒子を含む連続相を保持して、微粒子をさらに固形化させた後、真空乾燥を通じて微粒子を得ることで、微粒子内に残存するハロゲン化アルカン溶媒が多量存在することが分かる。
【0071】
また、比較例2の場合、実施例1と異なって、1次真空乾燥の前にハロゲン化アルカン溶媒の沸点以上の温度で微粒子を含む連続相を保持して、微粒子をさらに固形化させる段階をさらに行うことで、微粒子内に残存するハロゲン化アルカン溶媒をすべて除去したが、それによって微粒子内の生分解性高分子の加水分解が起き、生分解性高分子の重量平均分子量が減少したことが分かる。
【0072】
以上のように、本発明の製造方法によって薬物含有徐放性微粒子を製造する場合、微粒子内に残存するハロゲン化アルカン溶媒をすべて除去でき、その過程で微粒子内の生分解性高分子が加水分解して分子量が減少する問題も最小化することができる。したがって、本発明の製造方法によって製造された薬物含有徐放性微粒子は、毒性及び発癌性を有するハロゲン化アルカン溶媒を完全に除去すると共に、生分解性高分子の重量平均分子量を維持して薬物の徐放性を良好に維持することができる。