特許第6249601号(P6249601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6249601制御装置、画像形成装置、画像処理システム、制御方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249601
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】制御装置、画像形成装置、画像処理システム、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20171211BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20171211BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   G06F3/12 392
   B41J29/00 E
   B41J29/00 T
   H04N1/00 C
   H04N1/00 107Z
【請求項の数】22
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-1130(P2013-1130)
(22)【出願日】2013年1月8日
(65)【公開番号】特開2014-134868(P2014-134868A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年8月17日
【審判番号】不服2017-354(P2017-354/J1)
【審判請求日】2017年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船川 尚孝
【合議体】
【審判長】 新川 圭二
【審判官】 和田 志郎
【審判官】 千葉 輝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−96053(JP,A)
【文献】 特開2012−114694(JP,A)
【文献】 特開2007−34686(JP,A)
【文献】 特開2011−198118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置を制御可能な制御装置であって、
前記画像形成装置に対して前記制御のための通信の接続を要求するための通信要求手段と、
前記制御のための通信の確立した状態の前記画像形成装置から、操作画面の表示データの入力を受け付けるためのデータ入力手段と、
前記表示データに基づいて前記操作画面を接続された表示装置に表示するための表示手段と、
前記操作画面に対する操作を受け付けるための操作手段と、
前記操作を特定する情報を操作情報として前記画像形成装置に対して送信するための送信手段と、
前記制御のための通信が確立している間に前記操作手段によって受け付けた操作を特定する前記操作情報をメモリーに記憶するための記憶手段とを備え、
前記操作情報は、前記操作画面に対する操作によって前記操作画面上で指定された位置を表わす情報を含み、
前記記憶手段は、前記操作情報を前記操作の対象となった前記操作画面を特定する情報と関連付けて前記メモリーに記憶し、
前記送信手段は、前記画像形成装置との間で前記制御のための通信が確立したときに前記メモリーに前記操作情報が記憶されている場合には、前記メモリーに記憶されている前記操作情報を、操作の対象となった操作画面を特定する情報と関連付けて前記画像形成装置に対して送信する、制御装置。
【請求項2】
前記送信手段は、前記メモリーに記憶されている前記操作情報を操作の順に前記画像形成装置に対して送信する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記送信手段は、前記メモリーに記憶されている前記操作情報のうち、少なくとも、最後の操作を特定する操作情報を前記画像形成装置に対して送信する、請求項に記載の制御装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記メモリーに記憶されている前記操作情報のうち、最後の操作を特定する操作情報を前記画像形成装置に対して送信する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記画像形成装置との間での制御のための通信が切断されてから予め
規定している時間に前記表示装置に表示された前記操作画面に対する操作を受け付けると、前記操作を特定する操作情報を前記メモリーに記憶する、請求項1〜4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記操作画面に対して、当該操作画面が予め規定されている初期画面に更新される操作が行なわれると、前記記憶手段は、前記メモリーに記憶した前記操作情報を削除する、請求項1〜5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記メモリーに記憶されている前記操作情報を、前記送信手段で送信するタイミングを指示するための指示手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記メモリーに記憶されている前記操作情報を、前記操作画面に対する操作を受け付けたことによって送信する操作情報とは区別して送信する、請求項1〜のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
制御装置と通信可能な画像形成装置であって、
前記制御装置からの要求に応じて、前記制御装置との間で制御のための通信を行なうための通信手段と、
操作画面の表示データを前記制御装置に対して送信するための送信手段と、
前記制御装置から、前記制御のための通信が確立している間に行われた前記操作画面に対する操作であって、かつ、前記制御装置に記憶された操作を特定する情報である操作情報の入力を受け付けるための入力手段と、
前記操作画面と前記操作情報とによって特定される設定動作を実行するとともに、前記設定動作によって前記操作画面を更新するための処理手段とを備え、
前記処理手段は、前記制御のための通信が確立すると、前記画像形成装置の操作画面のうちの予め規定されている初期画面に対して前記制御装置からの前記操作情報で表わされる操作を行なうことで特定される設定動作を実行して前記予め規定されている操作画面を更新し、その後、前記更新後の操作画面に対して前記制御装置からの操作情報で表わされる操作を行なうことで特定される設定動作を順次実行することで操作画面を順次更新してゆき、
前記送信手段は、前記更新後の前記操作画面の表示データを前記制御装置に対して送信する、画像形成装置。
【請求項9】
前記操作情報は、前記操作画面に対する操作によって前記操作画面上で指定された位置を表わす情報を含み、
前記入力手段は、前記操作情報を、操作の対象となった操作画面を特定する情報と関連付けられた状態で入力を受け付け、
前記処理手段は、前記操作画面を特定する情報に基づいて前記操作情報で表わされる操作が行われた順番を特定し、当該特定された順番に前記位置を表す情報で表わされる操作を行なうことで特定される設定動作を順次実行する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記操作情報が操作の対象となった操作画面と関連付けられたものであるとき、前記処理手段は、前記操作情報に関連付けられた前記操作画面と前記制御装置からの前記操作情報とによって特定される設定動作を実行する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記操作情報が前記制御装置のメモリーに操作履歴として記憶されていた操作情報であるとき、前記処理手段は、前記初期画面に対して前記操作履歴として記憶されていた操作情報で表わされる操作を行なう、請求項または10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
複数の制御装置から前記要求があるときに、前記複数の制御装置のうちの前記制御のための通信を確立する制御装置の選択を受け付けるための選択手段をさらに備える、請求項〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
制御装置と通信可能な画像形成装置であって、
前記制御装置からの要求に応じて、前記制御装置との間で制御のための通信を行なうための通信手段と、
操作画面の表示データを前記制御装置に対して送信するための送信手段と、
前記制御装置から、前記制御のための通信が確立している間に行われた前記操作画面に対する操作であって、かつ、前記制御装置に記憶された操作を特定する情報である操作情報の入力を受け付けるための入力手段と、
前記操作画面と前記操作情報とによって特定される設定動作を実行するとともに、前記設定動作によって前記操作画面を更新するための処理手段とを備え、
前記入力手段は、前記操作情報を、操作の対象となった操作画面を特定する情報と関連付けられた状態で入力を受け付け、
前記処理手段は、前記制御のための通信が確立すると、前記操作画面を特定する情報に基づいて最終の操作画面を特定し、当該最終の操作画面を特定する情報に関連付けられた操作情報に従って設定動作を行なうことで操作画面を更新し、
前記送信手段は、前記更新後の前記操作画面の表示データを前記制御装置に対して送信する、画像形成装置。
【請求項14】
画像処理システムであって、
画像形成装置と、
前記画像形成装置を制御可能な制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記画像形成装置に対して前記制御のための通信の接続を要求し、
前記画像形成装置は、前記制御装置からの要求に応じて、前記制御装置との間で制御のための通信を確立して、操作画面の表示データを前記制御装置に対して送信し、
前記制御装置は、
接続された表示装置に前記表示データに基づいて前記操作画面を表示して、前記操作画面に対する操作を受け付けると、前記操作を特定する情報を操作情報として前記画像形成装置に対して送信し、
さらに、前記制御のための通信が確立している間に行われた前記操作画面に対する操作を特定する前記操作情報を前記操作の対象となった前記操作画面と関連付けてメモリーに記憶し、
前記操作情報は、前記操作画面に対する操作によって前記操作画面上で指定された位置を表わす情報を含み、
前記画像形成装置は、前記制御装置から前記操作情報の入力を受け付けると前記操作画面と前記操作情報とによって特定される設定動作を実行するとともに、前記設定動作によって前記操作画面を更新して更新後の操作画面の表示データを前記制御装置に対して送信し、
前記制御装置は、前記画像形成装置との間で前記制御のための通信が確立したときに前記メモリーに操作情報が記憶されている場合には、前記メモリーに記憶されている前記操作情報を、操作の対象となった操作画面と関連付けて前記画像形成装置に対して送信する、画像処理システム。
【請求項15】
制御装置として動作するコンピューターで、画像形成装置を制御する方法であって、
前記画像形成装置に対して前記制御のための通信の接続を要求するステップと、
前記制御のための通信を確立した前記画像形成装置より、操作画面の表示データを受信するステップと、
前記表示データに基づいて前記操作画面を表示するステップと、
前記操作画面に対する操作を受け付けると、前記操作を特定する情報を操作情報として前記画像形成装置に対して送信するステップと、
前記制御のための通信が確立している間に行われた前記操作画面に対する操作を特定する前記操作情報を前記操作の対象となった前記操作画面と関連付けてメモリーに記憶するステップと、
前記操作画面と前記操作情報とによって特定される設定動作を実行した前記画像形成装置から、前記設定動作によって更新された操作画面の表示データを受信するステップとを備え、
前記操作情報は、前記操作画面に対する操作によって前記操作画面上で指定された位置を表わす情報を含み、
前記画像形成装置との間で前記制御のための通信が確立したときに前記メモリーに操作情報が記憶されている場合には、前記メモリーに記憶されている前記操作情報を、操作の対象となった操作画面と関連付けて前記画像形成装置に対して送信するステップをさらに備える、制御方法。
【請求項16】
コンピューターを、画像形成装置の制御装置として動作させるためのプログラムであって、
前記画像形成装置に対して前記制御のための通信の接続を要求するステップと、
前記制御のための通信を確立した前記画像形成装置より、操作画面の表示データを受信するステップと、
前記表示データに基づいて前記操作画面を表示するステップと、
前記操作画面に対する操作を受け付けると、前記操作を特定する情報を操作情報として前記画像形成装置に対して送信するステップと、
前記制御のための通信が確立している間に行われた前記操作画面に対する操作を特定する前記操作情報を前記操作の対象となった前記操作画面と関連付けてメモリーに記憶するステップと、
前記操作画面と前記操作情報とによって特定される設定動作を実行した前記画像形成装置から、前記設定動作によって更新された操作画面の表示データを受信するステップとを前記コンピューターに実行させ、
前記操作情報は、前記操作画面に対する操作によって前記操作画面上で指定された位置を表わす情報を含み、
前記画像形成装置との間で前記制御のための通信が確立したときに前記メモリーに操作情報が記憶されている場合には、前記メモリーに記憶されている前記操作情報を、操作の対象となった操作画面と関連付けて前記画像形成装置に対して送信するステップをさらに前記コンピューターに実行させる、制御プログラム。
【請求項17】
前記送信するステップは、前記メモリーに記憶されている前記操作情報を操作の順に前記画像形成装置に対して送信することを含む、請求項16に記載の制御プログラム。
【請求項18】
前記送信するステップは、前記メモリーに記憶されている前記操作情報のうち、少なくとも、最後の操作を特定する操作情報を前記画像形成装置に対して送信することを含む、請求項16に記載の制御プログラム。
【請求項19】
前記送信するステップは、前記メモリーに記憶されている前記操作情報のうち、最後の操作を特定する操作情報を前記画像形成装置に対して送信することを含む、請求項16に記載の制御プログラム。
【請求項20】
前記記憶するステップは、前記画像形成装置との間での制御のための通信が切断されてから予め規定している時間に、前記操作画面に対する操作を受け付けると、前記操作を特定する操作情報を前記メモリーに記憶することを含む、請求項16〜19のいずれかに記載の制御プログラム。
【請求項21】
前記操作画面に対して、当該操作画面が予め規定されている初期画面に更新される操作が行なわれると、前記メモリーに記憶した前記操作情報を削除するステップをさらに備える、請求項16〜20のいずれかに記載の制御プログラム。
【請求項22】
前記送信するステップは、
前記メモリーに記憶されている前記操作情報を前記画像形成装置に対して送信するタイミングを指示することと、
前記メモリーに記憶されている前記操作情報を、前記操作画面に対する操作を受け付けたことによって送信する操作情報とは区別して送信することとを含む、請求項16〜21のいずれかに記載の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御装置、画像形成装置、画像処理システム、制御方法、および制御プログラムに関し、特に、画像形成装置を遠隔操作可能な制御装置、画像形成装置、該制御装置および該画像形成装置を含む画像処理システム、該制御装置の制御方法、およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレットやスマートフォンなどの端末装置の普及に伴って、それら端末装置を制御装置として、端末装置とMFP(Multi-Functional Peripheral)などの画像形成装置とを連携する技術が増えている。
【0003】
その中の1つにリモートパネルシステムが有る。リモートパネルシステムでは、画像形成装置と端末装置とが無線接続(以下、リモートパネル接続という)される。そして、画像形成装置に搭載される操作パネルの表示が、制御装置としての端末装置のディスプレイに表示される。ユーザーは、端末装置のタッチパネルを操作することで、端末装置のディスプレイに表示されるUI(ユーザーインターフェース)を用いて画像形成装置の操作パネルでの操作と同じ操作を行なうことができる。すなわち、ユーザーは、制御装置としての端末装置に表示される画像形成装置と同じUIを用いて、遠隔で、画像形成装置を操作することができる。
【0004】
このようなリモートパネルシステムでは、汎用の端末装置を制御装置として利用することができるように、画像形成装置側で制御が行なわれていることが多い。すなわち、操作画面の表示データは画像形成装置から端末装置に対して無線回線を通して送信されている。端末装置側は、単に、表示データをディスプレイに転送して表示するものである。また、操作情報についても、端末装置側は、単に、タッチパネルでの操作位置を表わす情報である操作情報(たとえば押下位置を表わす座標データ)を画像形成装置に送信する。画像形成装置は、操作位置に基づいて処理を行なったり、画面遷移させたりするための制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−96053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リモートパネルシステムでは、端末装置に画像形成装置の操作画面を表示し、その操作画面を用いて画像形成装置が遠隔操作される。このとき、画像形成装置では、ディスプレイでの操作画面の更新や、操作の検出など、自身を操作されているときと同様の制御が行なわれる。そのため、該リモートパネルシステムに複数の端末装置が含まれる場合であっても、1台の端末装置のみが画像形成装置に対してリモートパネル接続が可能であり、他の端末装置は遠隔操作ができない。そこで、たとえば、ある端末装置がリモートパネル接続中に、一時的に他の端末装置でのリモートパネル接続に切り替える場合には、前者の端末装置は独占的な操作状態を失い、切り替えるまでに行なっていた画像形成装置の設定がリセットされてしまうことになる。そのため、この場合には、前者の端末装置のユーザーは、再度、画像形成装置の一連の設定を始めからやり直す必要がある、という問題がある。
【0007】
また、端末装置が画像形成装置にリモートパネル接続中に画像形成装置との間の通信が切断した場合も、同様に、通信の切断までの画像形成装置の設定がリセットされてしまうことになる。そのため、この場合にも、端末装置のユーザーは、再度、画像形成装置の一連の設定を始めからやり直す必要がある、という問題がある。
【0008】
この問題に対して、たとえば、特開2011−96053号公報(特許文献1)は、端末装置側にてメモリーに設定状態を保持しておき、端末装置との間での通信が再開したときに端末装置から画像形成装置に対して設定情報を送信する、という技術を開示している。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、端末装置は画像形成装置の設定項目ごとの設定内容をマッピングして記憶する必要があるため、端末装置に大きな記憶容量が要求されることになる。また、画像形成装置側ではマッピングされた記憶情報を解析して機器動作を復元するための処理が必要となる。
【0010】
また、特許文献1に開示された技術では、予期せぬタイミングで通信が切断したり無効となったりした場合に備えて、端末装置で各設定項目を常にサンプリングし、設定伏態を更新し続ける制御が必要となる。そのため、汎用の端末装置では対応が困難となり、専用の端末装置が必要となる場合もある。
【0011】
本発明は、端末装置が画像形成装置と通信することで画像形成装置を遠隔から操作する画像処理システムにおいて、端末装置と画像形成装置との間のリモートパネル接続が中断された後に復帰した際に、端末装置の表示を中断時の表示に容易に復元することのできる端末装置、画像形成装置、画像処理システム、制御方法、および制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある局面に従うと、制御装置は画像形成装置を制御可能な制御装置であって、画像形成装置に対して制御のための通信の接続を要求するための通信要求手段と、制御のための通信の確立した状態の画像形成装置から、操作画面の表示データの入力を受け付けるためのデータ入力手段と、表示データに基づいて操作画面を接続された表示装置に表示するための表示手段と、操作画面に対する操作を受け付けるための操作手段と、操作を特定する情報を操作情報として画像形成装置に対して送信するための送信手段と、制御のための通信が確立している間に操作手段によって受け付けた操作を特定する操作情報をメモリーに記憶するための記憶手段とを備える。操作情報は、操作画面に対する操作によって操作画面上で指定された位置を表わす情報を含む。記憶手段は、操作情報を操作の対象となった操作画面を特定する情報と関連付けてメモリーに記憶する。送信手段は、画像形成装置との間で制御のための通信が確立したときにメモリーに操作情報が記憶されている場合には、メモリーに記憶されている操作情報を、操作の対象となった操作画面を特定する情報と関連付けて画像形成装置に対して送信する。
【0013】
好ましくは、送信手段は、メモリーに記憶されている操作情報を操作の順に画像形成装置に対して送信する。
【0015】
より好ましくは、送信手段は、メモリーに記憶されている操作情報のうち、少なくとも、最後の操作を特定する操作情報を画像形成装置に対して送信する。
より好ましくは、送信手段は、メモリーに記憶されている操作情報のうち、最後の操作を特定する操作情報を画像形成装置に対して送信する。
【0016】
好ましくは、記憶手段は、画像形成装置との間での制御のための通信が切断されてから予め規定している時間に表示装置に表示された操作画面に対する操作を受け付けると、操作を特定する操作情報をメモリーに記憶する。
【0017】
好ましくは、記憶手段は、操作画面に対して、当該操作画面が予め規定されている初期画面に更新される操作が行なわれると、メモリーに記憶した操作情報を削除する。
【0018】
好ましくは、操作情報は、操作画面に対する操作によって操作画面上で指定された位置を表わす情報を含む。
【0019】
好ましくは、制御装置は、メモリーに記憶されている操作情報を、送信手段で送信するタイミングを指示するための指示手段をさらに備え、送信手段は、メモリーに記憶されている操作情報を、操作画面に対する操作を受け付けたことによって送信する操作情報とは区別して送信する。
【0020】
本発明の他の局面に従うと、画像形成装置は制御装置と通信可能な画像形成装置であって、制御装置からの要求に応じて、制御装置との間で制御のための通信を行なうための通信手段と、操作画面の表示データを制御装置に対して送信するための送信手段と、制御装置から、制御のための通信が確立している間に行われた操作画面に対する操作であって、かつ、制御装置に記憶された操作を特定する情報である操作情報の入力を受け付けるための入力手段と、操作画面と操作情報とによって特定される設定動作を実行するとともに、設定動作によって操作画面を更新するための処理手段とを備える。処理手段は、制御のための通信が確立すると、画像形成装置の操作画面のうちの予め規定されている初期画面に対して制御装置からの操作情報で表わされる操作を行なうことで特定される設定動作を実行して予め規定されている操作画面を更新し、その後、更新後の操作画面に対して制御装置からの操作情報で表わされる操作を行なうことで特定される設定動作を順次実行するこ
とで操作画面を順次更新してゆき、送信手段は、更新後の操作画面の表示データを制御装置に対して送信する。
好ましくは、操作情報は、操作画面に対する操作によって操作画面上で指定された位置を表わす情報を含む。入力手段は、操作情報を、操作の対象となった操作画面を特定する情報と関連付けられた状態で入力を受け付ける。処理手段は、操作画面を特定する情報に基づいて操作情報で表わされる操作が行われた順番を特定し、当該特定された順番に位置を表す情報で表わされる操作を行なうことで特定される設定動作を順次実行する。
【0021】
好ましくは、操作情報が操作の対象となった操作画面と関連付けられたものであるとき、処理手段は、操作情報に関連付けられた操作画面と制御装置からの操作情報とによって特定される設定動作を実行する。
【0022】
好ましくは、操作情報が制御装置のメモリーに操作履歴として記憶されていた操作情報であるとき、処理手段は、初期画面に対して操作履歴として記憶されていた操作情報で表わされる操作を行なう。
【0023】
好ましくは、画像形成装置は、複数の制御装置から上記要求があるときに、複数の制御装置のうちの制御のための通信を確立する制御装置の選択を受け付けるための選択手段をさらに備える。
本発明のさらに他の局面に従うと、制御装置と通信可能な画像形成装置が提供される。この画像形成装置は、制御装置からの要求に応じて、制御装置との間で制御のための通信を行なうための通信手段と、操作画面の表示データを制御装置に対して送信するための送信手段と、制御装置から、制御のための通信が確立している間に行われた操作画面に対する操作であって、かつ、制御装置に記憶された操作を特定する情報である操作情報の入力を受け付けるための入力手段と、操作画面と操作情報とによって特定される設定動作を実行するとともに、設定動作によって操作画面を更新するための処理手段とを備える。入力手段は、操作情報を、操作の対象となった操作画面を特定する情報と関連付けられた状態で入力を受け付ける。処理手段は、制御のための通信が確立すると、操作画面を特定する情報に基づいて最終の操作画面を特定し、当該最終の操作画面を特定する情報に関連付けられた操作情報に従って設定動作を行なうことで操作画面を更新する。送信手段は、更新後の操作画面の表示データを制御装置に対して送信する。
【0024】
本発明のさらに他の局面に従うと、画像処理システムは、画像形成装置と、画像形成装置を制御可能な制御装置とを備える。制御装置は、画像形成装置に対して制御のための通信の接続を要求する。画像形成装置は、制御装置からの要求に応じて、制御装置との間で制御のための通信を確立して、操作画面の表示データを制御装置に対して送信する。制御装置は、接続された表示装置に表示データに基づいて操作画面を表示して、操作画面に対する操作を受け付けると、操作を特定する情報を操作情報として画像形成装置に対して送信し、さらに、制御のための通信が確立している間に行われた操作画面に対する操作を特定する操作情報を操作の対象となった操作画面と関連付けてメモリーに記憶する。操作情報は、操作画面に対する操作によって操作画面上で指定された位置を表わす情報を含み、画像形成装置は、制御装置から操作情報の入力を受け付けると操作画面と操作情報とによって特定される設定動作を実行するとともに、設定動作によって操作画面を更新して更新後の操作画面の表示データを制御装置に対して送信する。制御装置は、画像形成装置との間で制御のための通信が確立したときにメモリーに操作情報が記憶されている場合には、メモリーに記憶されている操作情報を、操作の対象となった操作画面と関連付けて画像形成装置に対して送信する。
【0025】
本発明のさらに他の局面に従うと、制御方法は制御装置として動作するコンピューターで画像形成装置を制御する方法が提供される。この方法は、画像形成装置に対して制御のための通信の接続を要求するステップと、制御のための通信を確立した画像形成装置より、操作画面の表示データを受信するステップと、表示データに基づいて操作画面を表示するステップと、操作画面に対する操作を受け付けると、操作を特定する情報を操作情報として画像形成装置に対して送信するステップと、制御のための通信が確立している間に行われた操作画面に対する操作を特定する操作情報を操作の対象となった操作画面と関連付けてメモリーに記憶するステップと、操作画面と操作情報とによって特定される設定動作を実行した画像形成装置から、設定動作によって更新された操作画面の表示データを受信するステップとを備える。操作情報は、操作画面に対する操作によって操作画面上で指定された位置を表わす情報を含む。画像形成装置との間で制御のための通信が確立したときにメモリーに操作情報が記憶されている場合には、メモリーに記憶されている操作情報を、操作の対象となった操作画面と関連付けて画像形成装置に対して送信するステップをさらに備える。
【0026】
本発明のさらに他の局面に従うと、制御プログラムは、コンピューターを画像形成装置の制御装置として動作させるためのプログラムであって、画像形成装置に対して制御のための通信の接続を要求するステップと、制御のための通信を確立した画像形成装置より、操作画面の表示データを受信するステップと、表示データに基づいて操作画面を表示するステップと、操作画面に対する操作を受け付けると、操作を特定する情報を操作情報として画像形成装置に対して送信するステップと、制御のための通信が確立している間に行われた操作画面に対する操作を特定する操作情報をメモリーに記憶するステップと、操作画面と操作情報とによって特定される設定動作を実行した画像形成装置から、設定動作によって更新された操作画面の表示データを受信するステップとをコンピューターに実行させ、画像形成装置との間で制御のための通信が確立したときにメモリーに操作情報が記憶されている場合には、メモリーに記憶されている操作情報を画像形成装置に対して送信するステップをさらにコンピューターに実行させる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によると、端末装置が画像形成装置と通信することで画像形成装置を遠隔から操作する、いわゆるリモートパネル制御を行なう画像処理システムにおいて、端末装置と画像形成装置との間のリモートパネル接続が中断された後に復帰した際に、同じ操作を繰り返すことなく、端末装置および画像形成装置の機器の状態を切断時の状態に容易に復元することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施の形態にかかる画像処理システムの構成の具体例を示す図である。
図2】画像処理システムに含まれるMFP(Multi-Functional Peripheral)のハードウェア構成の具体例を示す図である。
図3】MFPの操作パネルの具体例を示す図である。
図4】画像処理システムに含まれる端末装置のハードウェア構成の具体例を示す図である。
図5】復元制御を行なわない場合の、リモートパネル制御の流れを表わした図である。
図6】復元制御を行なう場合の、リモートパネル制御の流れを表わした図である。
図7】端末装置の操作パネルに表示される操作画面での操作および操作情報を表わしている。
図8】端末装置での操作情報の、メモリーへの記憶方法の第1の例について説明するための図である。
図9】端末装置での操作情報の、メモリーへの記憶方法の第2の例について説明するための図である。
図10】復元制御を伴うリモートパネル制御の、他の例を表わした図である。
図11】端末装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。
図12】端末装置での、通常のリモートパネル動作の流れを表わした図である。
図13】端末装置での、復元制御のための動作の流れを表わした図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0030】
<システム構成>
図1は、本実施の形態にかかる画像処理システムの構成の具体例を示す図である。
【0031】
図1を参照して、画像処理システムは、画像形成装置の一例としてのMFP(Multi-Functional Peripheral)100と、制御装置の一例としての端末装置200とを含み、これらがネットワーク300に接続されている。
【0032】
制御装置の一例としての端末装置200はネットワーク300に接続可能であって、ユーザーからの指示入力が可能な装置であればどのような装置であってもよい。端末装置200としては、たとえば携帯電話機やタブレット型端末装置や小型コンピューターなどが該当する。さらには、制御装置は端末装置に限定されない。たとえば、ネットワーク300に接続された汎用のコンピューターや、他の画像形成装置であってもよい。
【0033】
ネットワーク300は、たとえばLAN(Local Area Network)などが該当し、有線での接続であっても無線での接続であってもよい。
【0034】
画像処理装置はMFPに限定されず、プリンターやファクシミリ送受信機やコピー機などのその他の装置であってもよい。MFP100は、これら機能を複合的に備えた画像処理装置である。
【0035】
<装置構成>
図2は、MFP100のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【0036】
図2を参照して、MFP100は、全体を制御するための演算装置であるCPU(Central Processing Unit)10と、メモリーとして機能する、CPU10で実行されるプログラムなどを記憶するためのROM(Read Only Memory)11、CPU10でプログラムを実行する際の作業領域として機能するためのRAM(Random Access Memory)12、および画像データなどを保存するためのHD(ハードディスク)16と、図示しない原稿台に載置された原稿を光学的に読み取って画像データを得るためのスキャナー13と、画像データを印刷用紙上に固定するためのプリンター14と、情報を表示したり当該MFP100に対する操作入力を受け付けたりするためのタッチパネルを含んだ操作パネル15と、ネットワーク300を介した通信の制御するためのネットワークコントローラー17とを含む。
【0037】
図3は、操作パネル15の具体例を示す図である。
図3を参照して、操作パネル15は、タッチパネル51と操作キー群52とを含む。タッチパネル51は、液晶表示装置などの表示装置と、光学式タッチパネルや静電容量タッチパネルなどの位置指示装置とが重なって構成され、操作画面を表示して、その操作画面上の指示位置を特定する。CPU10は予め記憶されている画面表示をさせるためのデータに基づいてタッチパネルに操作画面を表示させる。
【0038】
図4は、端末装置200のハードウェア構成の具体例を示す図である。
図4を参照して、端末装置200は、全体を制御するための演算装置であるCPU20と、メモリーとして機能する、CPU20で実行されるプログラムや各種情報などを記憶するためのROM21、およびCPU20でプログラムを実行する際の作業領域として機能するためのRAM22と、情報を表示したり当該端末装置200に対する操作入力を受け付けたりするためのタッチパネルを含んだ操作パネル25と、ネットワーク300を介した通信の制御するためのネットワークコントローラー27とを含む。
【0039】
操作パネル25は、MFP100の操作パネル15と同様の構成であってよい。すなわち、一例として、液晶表示装置などの表示装置と光学式タッチパネルや静電容量タッチパネルなどの位置指示装置とが重なって構成されたタッチパネルと、操作キーとを含む。
【0040】
なお、端末装置200の操作パネル25は、表示装置と入力装置とを兼ねる装置の具体例である。たとえば制御装置がコンピューターである場合には、制御装置としてのコンピューターは、操作パネル25に替えてディスプレイとマウスおよびキーボードとを備えてもよい。
【0041】
CPU20は予め記憶されている画面表示をさせるためのデータに基づいてタッチパネルに操作画面を表示させる。タッチパネルでは操作画面上の指示位置が特定され、その位置を示す操作信号がCPU20に入力される。また、押下されたキーを示す操作信号がCPU20に入力される。CPU20は押下されたキー、または表示している操作画面と指示位置とから操作内容を特定し、それに基づいて処理を実行する。
【0042】
<動作概要>
本画像処理システムでは、端末装置200は、MFP100とネットワーク300を介して通信することで、MFP100を遠隔で操作する。以降の説明において、端末装置200によるMFP100の遠隔での制御をリモートパネル制御と言い、これらの通信をリモートパネル通信、またはリモートパネル接続と称する。
【0043】
端末装置200のメモリーには、リモートパネル制御を行なうためのアプリケーションが記憶されている。このアプリケーションは、MFPの機種に対応したものとする。
【0044】
リモートパネル制御の際、MFP100から端末装置200に、操作パネル15の表示画面を表示するための表示データが、ネットワークコントローラー17を介して送信される。端末装置200は、MFP100から送信された表示データをネットワークコントローラー27を介して受信する。そして、その表示データに基づく表示画面が操作パネル25に表示される。
【0045】
端末装置200は、タッチパネルである操作パネル25が表示画面に基づく操作(タッチ)を受け付けると、その操作を表わす操作情報を、ネットワークコントローラー27を介してMFP100に対して送信する。操作情報は、操作画面での操作を特定する情報であればよく、一例として、操作画面上の操作(たとえばタッチ)された位置を表わす座標が挙げられる。他の例として、操作されたボタンの名称や、操作によって指示されたMFP100での設定内容などであってもよい。
【0046】
MFP100は、端末装置200から送信された操作情報をネットワークコントローラー17を介して受信する。そして、MFP100は、受信した操作情報に応じて自身の設定を変更する。
【0047】
MFP100は、新たな設定状態に応じた操作画面を表示させるための表示データを、ネットワークコントローラー17を介して端末装置200に対して送信する。端末装置200は、MFP100から送信された表示データをネットワークコントローラー27を介して受信すると、その表示データに基づいて、操作パネル25の表示画面を更新する。
【0048】
リモートパネル制御の途中にMFP100と端末装置200との間の通信が切断されたり無効化されたりして、通信が中断すると、端末装置200での操作によるMFP100の設定はリセットされてしまう。そのため、本実施の形態にかかる画像処理システムでは、リモート制御において、後述する復元制御をさらに行なう。
【0049】
(リモートパネル制御の説明)
図5は、復元制御を行なわない場合の、リモートパネル制御の流れを表わした図である。
【0050】
図5を参照して、操作パネル25などからリモートパネル制御を行なうためのアプリケーションに対する操作を受け付けて、端末装置200がリモートパネル制御の対象としてMFP100を特定すると、端末装置200は、MFP100に対してリモートパネル接続を要求する(ステップS300)。リモートパネル接続の要求とは、端末装置200がMFP100に対して遠隔制御のための通信の接続を要求することであり、具体的には、MFP100の操作画面を表示するための表示データを要求することを指す。
【0051】
MFP100は、端末装置200から接続要求を受けると、端末装置200との間での通信を許可するか否かを判断する(ステップS301)。ここでの判断の一つとして、複数の端末装置からの接続要求に対して、MFP100において、その中からリモートパネル接続する1つの端末装置を判断することが挙げられる。この判断の一例として、MFP100は、操作パネル15にリモートパネル接続を要求する複数の端末装置を選択可能に提示し、その中から接続する端末装置200を選択するユーザーの操作を受け付けることで、その端末装置200をリモートパネル接続する端末装置として判断する方法が挙げられる。また、すでにMFP100が他の端末装置との間でリモートパネル接続し、当該他の端末装置によるリモートパネル制御が行なわれている場合、MFP100は、その途中に受けた端末装置200からのリモートパネル接続の要求に対して、接続不可と判断する。なお、ここでの判断の一例は、以降の説明でも同様とする。
【0052】
この判断の結果、端末装置200に対するリモートパネル接続が可能と判断すると、MFP100は、端末装置200に対して接続を許可する旨を通知する(ステップS302)。これにより、MFP100と端末装置200との間の無線通信が有効となり、これらの間の通信が確立する。
【0053】
端末装置200との間の無線通信が確立すると、MFP100は、端末装置200に対して、MFP100の操作画面のうちの予め規定されている操作画面の一例としての、リモートパネル開始時の操作画面(以下、初期画面)を表示するための表示データを送信する(ステップS303)。端末装置200は、MFP100から表示データを受信すると、表示データに基づいて初期画面を操作パネル25に表示する。そして、端末装置200は、初期画面に基づく操作を受け付け可能となる。つまり、このタイミングから、端末装置200側でのMFP100の遠隔操作が有効となる。
【0054】
端末装置200は、操作パネル25によってユーザーからの操作(操作1)を受け付けると(ステップS304)、MFP100に対して操作情報を送信する(ステップS305)。操作情報とは、操作パネル25に表示される操作画面上での、操作対象とされた位置を表わす情報を指す。その具体的な内容については後述する。
【0055】
MFP100は、端末装置200から操作情報を受信すると、操作情報と操作画面とに基づいてユーザーによる操作内容を特定する。そして、その操作内容に従った設定動作(機器設定1)を実行する(ステップS306)。MFP100は、設定動作によって更新された操作画面を表示するための新たな表示データ(表示データ1)を、端末装置200に対して送信する(ステップS307)。
【0056】
その後、同様に、端末装置200側でユーザーによる他の操作(操作2)を受け付けると(ステップS308)、端末装置200は、MFP100に対してその操作情報を送信する(ステップS309)。MFP100は、受信した操作情報に応じた設定動作(機器設定2)を実行し(ステップS310)、その設定動作によって更新された操作画面を表示するための新たな表示データ(表示データ2)を、端末装置200に対して送信する(ステップS311)。
【0057】
画像処理システムでは、その後も同様に、端末装置200側でのユーザーによる操作に応じて、MFP100において機器設定と表示データの送信とが繰り返される。
【0058】
このようなリモートパネル制御中にMFP100と端末装置200との間の無線通信が切断したり、他の端末装置がリモートパネル接続を行なうなどの理由でリモートパネル接続が無効の状態になったりしてリモートパネル接続が中断されると、端末装置200は再接続、または通信の有効化を試みる。そして、MFP100との間の無線通信が復帰すると、端末装置200は、再度、上記ステップS300に動作を戻して、MFP100に対してリモートパネル接続を要求する。なお、以降の説明において、無線通信が切断したり、他の端末装置がリモートパネル接続を行なうなどの理由でリモートパネル接続が無効の状態になったりしたことでリモートパネル接続が中断されることを、まとめて、通信が中断される、または通信が不可な状態となる、と表わすものとする。
【0059】
この場合、上記ステップS306および上記ステップS310のMFP100での設定動作によってなされた機器設定は、クリア(リセット)される。そのため、リモートパネル制御において後述する復元制御を行なわない場合、端末装置200は、上記ステップS304以降の動作を再度、行なう必要がある。つまり、ユーザーは、再度、一連の操作をやり直す必要がある。
【0060】
そこで、画像処理システムでは、リモートパネル制御においてMFP100と端末装置200との間での通信の中断後に機器状態を復元するために、復元制御を行なう。復元する機器状態は、通信が中断したタイミングでなされていたMFP100の機器設定および表示されていた操作画面、ならびに、端末装置200に表示されていた操作画面を含む。そのため、復元制御には、操作情報を端末装置200のメモリーに操作履歴として記憶する処理と、端末装置200が操作履歴に基づく操作情報をMFP100に対して送信してMFP100がその操作情報に基づいて設定動作を行なう処理とが含まれる。
【0061】
(復元制御を伴ったリモートパネル制御の説明)
図6は、復元制御を行なう場合の、リモートパネル制御の流れを表わした図である。
【0062】
図6を参照して、復元制御を行なう場合も、上記ステップS300〜S303と同様にして、リモートパネル接続が確立すると、MFP100から端末装置200に対して初期画面用の表示データが送信される(ステップS350〜S353)。
【0063】
復元制御を行なう場合、端末装置200は、MFP100との間のリモートパネル接続が開始したタイミングで、操作履歴に基づく操作情報をMFP100に送信するか否かを判断する(ステップS354)。ステップS354で端末装置200は、一例として、リモートパネル接続されたMFP100についての操作履歴を自身のメモリーに保持している場合には送信すると判断し、保持していない場合には送信しないと判断する。
【0064】
図6の例では、上記ステップS354の段階ではリモートパネル制御が開始された直後であるため、端末装置200のメモリーにMFP100の操作履歴を保持していない。そこで、端末装置200は、上記ステップS354ではMFP100に対して操作履歴に基づく操作情報を送信しないと判断する。このように判断すると、端末装置200は、MFP100からの表示データの送信を待機する。そして、端末装置200は、MFP100から表示データを受信すると、その表示データに基づいて初期画面を操作パネル25に表示する。これにより、端末装置200は、初期画面に基づく操作を受け付け可能な状態となる。
【0065】
その後、上記ステップS304〜S306と同様に、端末装置200は、操作パネル25によってユーザーからの操作(操作1)を受け付けると(ステップS355)、MFP100に対して操作情報を送信する(ステップS356)。そして、MFP100は、端末装置200からの操作情報に基づいて設定動作(機器設定1)を実行する(ステップS358)。そして、MFP100は、設定動作によって更新された操作画面を表示するための新たな表示データ(表示データ1)を、端末装置200に対して送信する(ステップS359)。
【0066】
このとき、端末装置200は、上記操作1についての操作情報を、操作履歴としてメモリーに記憶する(ステップS357)。操作履歴は、その操作によってリモートパネル制御する対象であるMFP100を特定する情報と関連付けてメモリーに記憶される。以降、上記ステップS355〜S359と同じ動作が繰り返される。
【0067】
このようなリモートパネル制御中にMFP100と端末装置200との間の通信が中断すると、端末装置200は、再接続、または通信の有効化を試みる(ステップS365)。そして、MFP100との間の通信が復帰し、再度、制御のための通信が確立すると(ステップS366,S367)、上記ステップS353と同様に、MFP100から初期画面用の表示データが送信される(ステップS368)。
【0068】
端末装置200は、リモートパネル接続の開始のタイミングに応じて、上記ステップS354と同様に、操作履歴に基づく操作情報をMFP100に送信するか否かを判断する(ステップS369)。ステップS369の段階では、MFP100と端末装置200との間の通信が不可な状態となる以前に端末装置200側でリモートパネル操作が行なわれている。そのため、端末装置200は、メモリーにMFP100の操作履歴を保持している。そこで、上記ステップS369で端末装置200は、MFP100に対して操作履歴に基づく操作情報を送信すると判断する。
【0069】
上記ステップS369で操作履歴に基づく操作情報を送信すると判断すると、端末装置200は、操作順に従って操作情報をMFP100に対して送信する。つまり、端末装置200は、まず、上記操作1についての操作情報をMFP100に対して送信し(ステップS370)、次に、上記操作2についての操作情報をMFP100に対して送信する(ステップS371)。
【0070】
MFP100は、上記ステップS370,S371で端末装置200から送信された操作情報を受信すると、受信した順に従って、操作情報に基づいて設定動作(機器設定1、機器設定2)を実行する(ステップS372,S374)。そして、MFP100は、各設定に伴って更新される操作画面を表示するための表示データ(表示データ1、表示データ2)を、それぞれの機器設定の後に、端末装置200に対して送信する(ステップS373、S375)。
【0071】
このとき、端末装置200は、MFP100からの表示データに基づいて操作画面を表示してもよい。上述のように、MFP100からは表示データが順次送られてくるため、端末装置200の操作パネル25では、自動的に操作画面が切り替わって表示されることになる。そのため、端末装置200は、無線通信の復帰の後は液晶パネルである操作パネル25のバックライトを消灯しておき、操作履歴に記憶された最後の操作情報に従う設定操作での表示データに基づいて操作画面を表示する際に転倒するようにしてもよい。これにより、操作画面が切り替わっていく途中は操作パネル25に表示されず、通信が不可な状態となったときの操作画面が復元された状態で初めて操作パネル25に表示されることになる。
【0072】
画像処理システムにおいて、上記の制御が実行されることで、端末装置200でのリモートパネル操作に従って、操作履歴がメモリーに蓄積されていく。リモートパネル操作に従ってMFP100の機器設定がなされている途中で無線通信が切断されるなどして不可な状態となった後に無線通信が復帰すると、端末装置200がメモリーに保持している操作履歴に基づく操作情報がMFP100に対して送信される。MFP100ではこの操作情報に基づいて初期画面から順に用いて設定動作を順次行なうことで、通信が不可な状態となったときの機器設定に復元することができる。
【0073】
なお、図6の例では、MFP100と端末装置200との間の通信が不可となったタイミングで端末装置200での操作情報の記憶が終了している。しかしながら、他の例として、端末装置200は、その後も、所定時間、通信が不可となったときに操作パネル25に操作画面の表示を維持し、その操作画面に対する操作を受け付けて操作情報として記憶していてもよい。つまり、その期間、端末装置200は操作を受け付けると操作情報をMFP100には送信せず、メモリーに記憶する。
【0074】
端末装置200が通信が不可となったタイミングから所定時間の操作情報を記憶することで、通信が不可となったと同時またはその直後に行なわれた操作も操作情報として記憶されることになる。これにより、無線通信が復帰すると、その操作まで機器設定が復元されることになる。そのため、ユーザーにより違和感のない復元を可能とする。
【0075】
なお、図6には表わされていないが、端末装置200は、メモリーに記憶された操作履歴を、所定のタイミングで削除する。所定のタイミングは、一連の動作を終了して、操作画面を初期画面に更新する操作がなされたタイミングが該当する。具体的には、端末装置200に表示される操作画面を用いて、MFP100の機能の動作が終了する操作がなされたタイミングが該当する。たとえば、上記機能がプリントである場合、端末装置200に表示された操作画面を用いてプリント枚数やカラー/モノクロなどを指定する操作がなされた後にプリントの実行を指示する操作がなされると、MFP100においてプリント動作が実行されて、その機能の動作が終了する。そのため、この例の場合、端末装置200は、MFP100のプリント動作を実行させるための一連の操作の操作履歴を、プリントの実行を指示する操作がなされたタイミングで削除する。
【0076】
上記所定のタイミングの他の例として、端末装置200に表示される操作画面を用いて、当該操作画面で操作できるMFP100の機能に対する操作とは異なる操作がなされたタイミングが該当する。たとえば、上記機能がプリントである場合、端末装置200に表示された操作画面に含まれる電源キーやリセットキーなどは、MFP100にプリント動作を実行させるための操作に用いられるものではない。そのため、この例の場合、端末装置200は、MFP100のプリント動作を実行させるための一連の操作の操作履歴を、電源キーやリセットキーなどのMFP100にプリント動作を実行させるための操作に用いられるキー以外のキーが操作されたタイミングで削除する。
【0077】
このように、端末装置200が所定のタイミングでメモリーから操作履歴を削除することで、端末装置200のメモリー消費を抑えることができると共に、上記ステップS354,S369での、復元制御としての操作履歴に基づく操作情報を送信する動作を行なうか否かの判断を容易にすることができる。
【0078】
(操作履歴の記憶する第1の方法についての説明)
図7および図8は、端末装置200での操作情報の、メモリーへの記憶方法の第1の例について説明するための図である。図7は、端末装置200の操作パネル25に表示される操作画面での操作および操作情報を表わし、図8は、操作履歴の具体例を表わしている。
【0079】
図7を参照して、操作画面において、表示される第1のボタンをタッチする操作1がなされると、一例として、端末装置200は、操作情報として、タッチされた位置を座標として特定する。この例では、たとえば、(x,y)=(120,100)が特定されたものとする。
【0080】
次に、操作画面において、表示される第2のボタンをタッチする操作2がなされると、端末装置200は、操作情報として、たとえば、(x,y)=(300,100)を特定したものとする。その後、順に、端末装置200は、操作3および操作4についての操作情報として、(x,y)=(480,100)および(x,y)=(660,100)を特定したものとする。
【0081】
図8を参照して、以上の操作1〜4がこの順に行なわれると、端末装置200は、一例として、メモリーの記憶領域の先頭から順に、操作1〜4の操作情報(x,y)=(120,100),(300,100),(480,100),(660,100)を操作履歴として格納する。または、端末装置200は、操作順を表わす情報(たとえば操作番号や操作時刻情報、など)と関連付けてこれら操作情報を操作履歴として格納してもよい。
【0082】
図8のように操作履歴をメモリーに記憶しておくことで、端末装置200は、上記ステップS369で履歴情報に基づいて操作情報をMFP100に対して送信すると判断すると、図8の操作履歴の操作順(たとえば上から順)に操作情報を読み出してMFP100に対して送信することができる。MFP100は、初期画面から開始して、受信した順に操作情報に従って操作内容を特定して設定動作を実行することで、無線通信が不可な状態となったタイミングでの設定および操作画面を復元することができる。
【0083】
(操作履歴の記憶する第2の方法についての説明)
図9は、端末装置200での操作情報の、メモリーへの記憶方法の第2の例について説明するための図である。図9の左側は、端末装置200の操作パネル25に表示される操作画面の遷移を表わしており、右側は、メモリーに記憶される操作履歴の遷移を表わしている。
【0084】
第2の例による記憶を行なうため、MFP100は、操作画面の表示データを端末装置200に送信する際に、表示データと共に操作画面を特定する情報(たとえば画面番号等)をMFP100に対して送信する。操作画面を特定する情報は、一例として、MFP100の各機能を実行させるための基本画面に対して予め付与されているものであって、該基本画面内でポップアップなどで表示される、該基本画面に関連した画面には付与されていなくてもよい。もちろん、操作画面を特定する情報はすべての操作画面に対して付与されていてもよいが、基本画面に対してのみ付与することで、後述するように、操作履歴として記憶するためのメモリー消費をより抑えることができる。
【0085】
図9を参照して、端末装置200に表示された、画面番号「0」が付与された初期画面に対して操作1が行なわれると、端末装置200に表示される操作画面は、MFP100からの、操作1での機器設定に伴って更新された操作画面用の表示データに基づいて次の操作画面である画面1に遷移する。画面1は基本画面であり、画面番号「1」が付与されている。
【0086】
端末装置200に表示された、画面番号「1」が付与された画面1に対して操作2が行なわれると、端末装置200は、操作2でタッチされた位置を表わす座標を操作情報として記憶する。このとき、端末装置200は、タッチされた操作画面を特定する情報である画面番号「1」に関連付けて操作2の操作情報を記憶する。また、端末装置200に表示される操作画面は画面1−1に遷移する。画面1−1は画面1に関連した画面であるため、画面1−1に対しては画面番号が付与されていない。
【0087】
端末装置200に表示された画面1−1に対して操作3が行なわれると、端末装置200は、操作3でタッチされた位置を表わす座標を操作情報として記憶する。このとき、端末装置200は、画面1−1を特定する情報ではなく、画面番号「1」に関連付けて操作3の操作情報を記憶する。また、端末装置200に表示される操作画面は画面1−2に遷移する。画面1−2もまた画面1に関連した画面であるため、画面1−2に対しては画面番号が付与されていない。
【0088】
端末装置200に表示された画面1−2に対して操作4が行なわれると、端末装置200は、操作4でタッチされた位置を表わす座標を操作情報として記憶する。このとき、端末装置200は、画面1−2を特定する情報ではなく、画面番号「1」に関連付けて操作4の操作情報を記憶する。また、端末装置200に表示される操作画面は画面2に遷移する。画面2は基本画面であり、画面番号「2」が付与されている。
【0089】
端末装置200に表示された、画面番号「2」が付与された画面2に対して操作5が行なわれると、端末装置200は、操作5でタッチされた位置を表わす座標を操作情報として記憶する。このとき、端末装置200は、タッチされた操作画面を特定する情報である画面番号「2」に関連付けて操作5の操作情報を記憶する。また、端末装置200に表示される操作画面は画面2−1に遷移する。画面2−1は画面2に関連した画面であるため、画面2−1に対しては画面番号が付与されていない。
【0090】
図9のように操作情報を画面情報と関連付けて操作履歴としてメモリーに記憶しておくことで、端末装置200は、上記ステップS369で履歴情報に基づいて操作情報をMFP100に対して送信すると判断すると、操作情報を画面情報と共にMFP100に対して送信する。このようにすることで、端末装置200側から操作順に操作情報を送信しなくてもMFP100側で操作順を特定することができ、MFP100側で無線通信が不可な状態となったタイミングの機器状態を容易に復元することができる。
【0091】
好ましくは、端末装置200は操作情報を送信する際に、画面番号に基づいて最終の画面を特定し、少なくとも、その画面の画面情報に関連付けられた操作情報をMFP100に対して送信するようにしてもよい。図9の例の場合、端末装置200は、図9右側の最も下に表わされた、操作5がなされたことを表わす操作情報のみMFP100に送信するようにすればよい。
【0092】
MFP100は、受信した操作情報に関連付けられている画面情報に基づいて最終の画面を特定し、その画面に対する操作履歴を表わした操作情報に従って設定動作を行なうことで、通信が不可な状態となったタイミングの機器状態を復元することができる。上記のように、端末装置200から最終の操作情報のみが送信される場合、その操作情報で表わされる操作画面にその操作情報で表わされる操作がなされた場合の設定動作を行なって、次の操作画面を得ることができる。図9の例の場合、図9右側の最も下に表わされた操作情報を受信することで、MFP100は、画面番号「2」の操作画面に対して操作5がなされたときの設定動作を行なって、画面2−1に操作画面を遷移し、その表示データを端末装置200に送信することができる。これにより、端末装置200の操作画面は画面2−1に復元されることになる。
【0093】
このようにすることで、端末装置200からMFP100への復元制御での通信を抑えることができ、また、復元のための処理を早くすることができる。
【0094】
なお、この方法の場合、端末装置200は、少なくとも最終の画面についての操作情報のみを記憶しておけばよく、それ以前の画面についての操作情報は記憶していなくてもよい。そのため、端末装置200のメモリー消費をより抑えることができる。また、MFP100での復元のための処理時間を抑えることもできる。
【0095】
(復元制御を伴ったリモートパネル制御の他の例)
なお、復元制御では、端末装置200での操作の度に操作情報をメモリーに記憶しておく必要はない。上述の第2の記憶方法で説明されたように、最終の画面以外の操作画面に関連付けられた操作情報や、基本画面が切り替わる操作についての操作情報は端末装置200のメモリーに記憶されていなくてもよい。また、ユーザーによって操作情報の記憶を停止する指示がなされた場合に、端末装置200は、以降の操作についての操作情報を記憶しないようにしてもよい。
【0096】
また、復元制御では、履歴情報に基づく操作情報を端末装置200からMFP100に対して送信するタイミングは無線通信が復帰したタイミングに限定されない。他の例として、ユーザーからの指示に従ったタイミングであってもよい。
【0097】
図10は、復元制御を伴うリモートパネル制御の、他の例を表わした図である。
図10を参照して、この例の場合も、上記ステップS350〜S359と同様にして、端末装置200での操作に応じて操作情報が端末装置200からMFP100に送信され、それに基づいた設定動作がMFP100で実行され、更新された操作画面用の表示データがMFP100から端末装置200に送信される。また、端末装置200では、操作情報が履歴情報として記憶される(ステップS600〜S609)。
【0098】
図10の例では、ここで、端末装置200は、ユーザーから操作情報の記憶を停止する指示(操作情報記憶停止指示)を受け付ける(ステップS610)。この指示を受け付けると、端末装置200は、以降の処理において操作画面に対する操作を受け付けても、操作情報を操作履歴として記憶する処理を行なわない。すなわち、表示された操作画面に対して操作2を受け付けた場合(ステップS611)、端末装置200は、その操作情報をMFP100に送信するものの(ステップS612)、上記ステップS607のような、その操作情報をメモリーに記憶する処理は行なわない。そして、MFP100で操作2に従った機器設定動作が行なわれた後に(ステップS613)、表示データが送信されると(ステップS614)、端末装置200はその表示データを用いて操作画面を表示する。
【0099】
図10の例では、このタイミングで、端末装置200は、ユーザーから操作履歴に基づく操作情報の送信を行なう指示(操作情報通知指示)を受け付ける(ステップS615)。この指示を受け付けると、端末装置200は、操作履歴に基づいて操作情報を送信する。この例では、操作履歴として操作情報1が記憶されているため、端末装置200は、MFP100に対して操作情報1を送信する(ステップS616)。
【0100】
なお、ステップS616で端末装置200は、上記ステップS606での操作情報の送信とは区別して、操作情報をMFP100に対して送信する。すなわち、メモリーに操作履歴として記憶されている操作情報を送信する際には、たとえば、その旨を表わす情報を添付したり、初期画面から設定動作を行なわせるためのコマンドを添付したり、フラグを立てたりなど、通常の、操作を受け付けて操作情報を送信するときとは異なる態様であって、予めMFP100との間で取り決めた方法で操作情報を送信する。
【0101】
MFP100は、この操作情報1を受信すると、上記ステップS603以降と同様の処理を行なう。すなわち、MFP100は、端末装置200からの情報を解析することで操作履歴としてメモリーに記憶されていた操作情報(操作情報1)を受信したことを検出すると、まず、処理画面の表示データを端末装置200に送信し(ステップS617)、その画面に対する操作情報1で表わされた操作に従う機器設定動作(機器設定1)を行なう(ステップS618)。そして、MFP100は、その動作によって初期画面から遷移した操作画面用の表示データ(表示データ1)を端末装置200に対して送信する(ステップS619)。
【0102】
このように、端末装置200がユーザー指示に従う期間、操作情報を操作履歴として記憶し、ユーザー指示に応じてその操作情報をMFP100に送信するようにすることで、ユーザーは、MFP100の設定状態を任意のタイミングに戻すことができる。
【0103】
<機能構成>
図11は、上記動作を行なうための端末装置200の機能構成の具体例を示すブロック図である。図11の各機能は、端末装置200のCPU20が、ROM21に記憶されているリモートパネル制御を行なうためのアプリケーションであるプログラムをRAM22上に読み出して実行することによって、主にCPU20によって実現される。しかしながら、少なくとも一部が、図4に表わされたハードウェア構成、またはその他の電気回路などによって実現されてもよい。
【0104】
図11を参照して、メモリーとして機能するROM21には、操作情報を操作履歴として記憶するための記憶領域である履歴記憶部211が設けられる。
【0105】
さらに図11を参照して、CPU20は、MFP100との間でのリモートパネル制御のための通信が切断されると、ネットワークコントローラー27を介してMFP100に対して上記制御のための通信の接続を要求するための接続要求部201と、リモートパネル制御のための通信が確立した状態のMFP100から操作画面を表示するための表示データの入力を受け付けるためのデータ入力部202と、表示データに基づいて操作画面を操作パネル25に表示するための表示処理部203と、表示された操作画面に対する操作パネル25への操作(タッチ)を表わす操作信号の入力を受け付けることで、操作画面に対する操作を受け付けるための指示入力部204と、操作画面に対する操作を特定する情報を操作情報として、ネットワークコントローラー27を介してMFP100に対して送信するための操作送信部205と、MFP100に送信した操作情報を操作履歴としてメモリーに記憶するための履歴処理部206と、MFP100との間で上記要求したことによってリモートパネル制御のための通信が確立したときに、メモリーにMFP100の操作履歴が記憶されているか否かに応じて、操作履歴として記憶されている操作情報をMFP100に対して送信するか否かを判断するための判断部207とを含む。
【0106】
履歴処理部206は、上記の第1の方法で操作履歴を記憶する場合には、操作の順に操作情報を操作履歴としてメモリーに記憶する。また、履歴処理部206は、上記の第2の方法で操作履歴を記憶する場合には、操作情報を当該操作の対象とされた操作画面を特定する情報に関連付けて操作履歴としてメモリーに記憶する。このとき、履歴処理部206は、少なくとも最新の操作画面に対する操作についての操作情報をメモリーに記憶すればよい。
【0107】
さらに、履歴処理部206は、たとえば、操作画面に対して当該操作画面で操作する機能を実行させるための必要な操作以外の操作、または該機能の実行の終了を指示する操作などの操作画面を初期画面に戻すような操作が行なわれると、操作履歴を削除する。
【0108】
判断部207は、MFP100との間でリモートパネル制御のための通信が確立したときに、メモリーにMFP100の操作履歴が記憶されている場合、操作履歴として記憶されている操作情報をMFP100に対して送信すると判断する。上記の第1の方法で操作履歴が記憶されている場合、上記判断を受けて、操作送信部205は、該当する操作履歴を履歴記憶部211から読み出して、操作順にMFP100に対して送信する。上記の第2の方法で操作履歴が記憶されている場合、上記判断を受けて、操作送信部205は、履歴記憶部211に記憶されている該当する操作履歴より、少なくとも最新の操作画面に関連付けられている操作情報(最後の操作を特定する操作情報)を読み出して、MFP100に対して送信する。
【0109】
<動作フロー>
図12は、端末装置200での、通常のリモートパネル動作の流れを表わした図である。端末装置200のCPU20は、端末装置200のROM21に記憶されているリモートパネル制御を行なうためのアプリケーションを起動することによって、該アプリケーションである制御プログラムをRAM22上に読み出して実行し、図11の各機能を実現することによって、図12のフローチャートに表わされた動作を実行する。
【0110】
図12を参照して、CPU20は上記アプリケーションを起動すると、MFP100に対してリモートパネル接続を要求する(ステップS101)。
【0111】
MFP100から、リモートパネル操作での操作画面を表示するための表示データを受信すると(ステップS103でYES)、CPU20は、その表示データを用いて操作パネル25に操作画面を表示する(ステップS105)。表示した操作画面に対してユーザーからの操作を受け付けると(ステップS107でYES)、CPU20は、MFP100に対して操作情報を送信する(ステップS109)。また、CPU20は、操作情報を操作履歴としてメモリーに記憶する(ステップS111)。
【0112】
CPU20は、上記ステップS103〜S111を繰り返すことで、MFP100に対するリモートパネル制御を行なう。
【0113】
なお、図12には表わされていないものの、MFP100での最終的な画像形成動作(印刷等)を指示する操作や、電源キーやリセットキーなどの一連の指示とは関係しない操作などの、操作画面を初期画面に戻すような操作がなされて一連のリモートパネル制御が終了すると、CPU20は、メモリーに操作履歴として記憶した操作情報を削除する。
【0114】
図13は、端末装置200での復元制御のための動作の流れを表わした図である。端末装置200のCPU20は、図12のフローチャートに表わされたリモートパネル動作に並行して、図13のフローチャートに表わされた復元制御のための動作を行なう。
【0115】
図13を参照して、CPU20は、リモートパネル動作中、常時、MFP100との間の通信状況を監視しておく。MFP100との間の通信が不可な状態となったことが検知されると(ステップS201でYES)、CPU20は、MFP100に対してリモートパネル接続を要求する(ステップS203)。
【0116】
MFP100との間のリモートパネル接続がMFP100によって許可され、その旨がMFP100から通知されると(ステップS205でYES)、CPU20は、メモリーに記憶している操作情報をMFP100に対して送信するか否かを判断する。ここでは、CPU20は、一例として、リモートパネル接続が許可されたMFP100についての操作履歴がメモリーに記憶されているか否かを確認し、記憶されている場合には操作情報をMFP100に対して送信すると判断する(ステップS207でYES)。そして、この場合、CPU20は、MFP100についての操作履歴をMFP100に対して送信する(ステップS209)。
【0117】
<実施の形態の効果>
以上の動作が端末装置200で行なわれることで、MFP100と端末装置200との間のリモートパネル接続が中断した場合であっても、その後にリモートパネル接続が復帰したタイミングで、少なくとも中断したタイミングの機器状態が復元される。そのため、ユーザーは、通信の復帰後に、再度、同じ操作を行なう必要がなく、通信の切断を意識することなくリモートパネル操作を継続することが可能となる。さらに、端末装置200が上述のように、中断後の所定期間、操作情報を記憶しておく構成とすることで、通信の復帰後に、中断中の操作も含めて復元される。
【0118】
端末装置200はリモートパネル制御において表示した操作画面上における操作位置を表わす情報である操作情報を操作履歴として記憶するものであるため、MFP100での各設定状態をマッピングして記憶するよりもメモリー消費を抑えることができる。また、MFP100での復元のための処理を容易にすることができる。
【0119】
さらに、上述の処理を端末装置200のCPU20に実行させるための制御プログラム(アプリケーション)を提供することもできる。このようなプログラムは、コンピューターに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピューター読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピューターに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0120】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピューターのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0121】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0122】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0123】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
10,20 CPU、11,21 ROM、12,22 RAM、13 スキャナー、14 プリンター、15,25 操作パネル、17,27 ネットワークコントローラー、51 タッチパネル、52 操作キー群、100 MFP、200 端末装置、201 接続要求部、202 データ入力部、203 表示処理部、204 指示入力部、205 操作送信部、206 履歴処理部、207 判断部、211 履歴記憶部、300 ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13