(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249604
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】プロジェクタ、その制御方法、及び画像投影システム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20171211BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20171211BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20171211BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20171211BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
G09G5/00 510V
G03B21/00 D
G09G3/20 680C
G09G5/36 520L
H04N5/74 Z
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-14511(P2013-14511)
(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-145921(P2014-145921A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100106622
【弁理士】
【氏名又は名称】和久田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 京
【審査官】
斎藤 厚志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−279989(JP,A)
【文献】
特開2012−212105(JP,A)
【文献】
特開2001−281759(JP,A)
【文献】
特開2008−249905(JP,A)
【文献】
特開2010−122263(JP,A)
【文献】
特開2009−86369(JP,A)
【文献】
特開2000−350230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00
G03B 21/00
G09G 3/20
G09G 5/377
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロジェクタにより投影される複数の画像のうち、隣り合う画像同士の一部を重畳させるエッジブレンド処理により、前記複数の画像をスクリーン上で合成して1つの投影画像を投影する画像投影システムを構成するプロジェクタであって、
自プロジェクタが投影する画像を取得するとともに、前記画像投影システムを構成する他のプロジェクタから当該他のプロジェクタが投影する画像から重畳領域が除かれた切り出し画像を取得する取得手段と、
自プロジェクタが投影する画像と、前記取得手段により取得した他のプロジェクタの切り出し画像とを合成することにより前記画像投影システムにより投影される投影画像のキャプチャ画像を生成する生成手段とを有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
前記取得手段は、投影画像における複数の画像のレイアウト情報を更に取得し、前記生成手段は、前記取得手段により取得したレイアウト情報に基づいて画像の合成を行う請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記取得手段は、投影画像における画像の位置、重畳領域の位置、重畳領域のサイズ、及び重畳領域に適用するガンマカーブの情報の少なくともいずれかを含むレイアウト情報を更に取得し、
前記生成手段は、前記取得手段により取得したレイアウト情報に基づいて画像の合成を行う請求項1又は2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記取得手段は、他のプロジェクタにおいて画像処理が行われる前の画像を他のプロジェクタから取得し、
前記生成手段は、画像処理される前の自プロジェクタが投影する画像と、前記取得手段により取得した画像処理が行われる前の他のプロジェクタが投影する画像とを合成することによりキャプチャ画像を生成する請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記取得手段は、他のプロジェクタにおいて画像処理が行われた後の画像を他のプロジェクタから取得し、
前記生成手段は、画像処理された後の自プロジェクタが投影する画像と、前記取得手段
により取得した前記画像処理が行われた後の他のプロジェクタの画像とを合成することによりキャプチャ画像を生成する請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記画像処理は、エッジブレンド処理による重畳領域が黒浮きすることを抑制するための重畳領域以外の領域に対する輝度調整、重畳領域に対するガンマ調整、及び台形補正の少なくともいずれかを含む請求項4又は5に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
他のプロジェクタから、自プロジェクタが投影する画像を当該他のプロジェクタへ送信する指示を受信した場合に、当該画像を当該他のプロジェクタへ送信する送信手段を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
他のプロジェクタから、自プロジェクタが投影する画像を当該他のプロジェクタへ送信する指示を受信した場合に、当該画像から重畳領域を除いた切り出し画像を生成する手段と、
生成した切り出し画像を当該他のプロジェクタへ送信する送信手段と、
を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項9】
前記プロジェクタは、画像を入力する画像入力手段を更に有し、
前記画像投影システムは、前記投影画像内に一又は複数の子画面を表示させ、各子画面にいずれかのプロジェクタの画像入力手段に入力される画像を表示させることが可能であり、
前記プロジェクタは、子画面のキャプチャを行う指示及びキャプチャの対象とする子画面を選択する指示を入力するためのユーザ操作を受け付ける入力手段を更に有し、
前記生成手段は、子画面のキャプチャを行う指示が入力された場合、指定された子画面に表示される画像が入力されているプロジェクタから当該画像を取得し、取得した画像を用いて当該子画面のキャプチャ画像を生成する請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項10】
前記生成手段により生成されるキャプチャ画像を記憶する記憶手段を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項11】
複数のプロジェクタにより投影される複数の画像のうち、隣り合う画像同士の一部を重畳させるエッジブレンド処理により、前記複数の画像をスクリーン上で合成して1つの投影画像を投影する画像投影システムを構成するプロジェクタの制御方法であって、
自プロジェクタが投影する画像を取得するとともに、前記画像投影システムを構成する他のプロジェクタから当該他のプロジェクタが投影する画像から重畳領域が除かれた切り出し画像を取得する取得工程と、
自プロジェクタが投影する画像と、前記取得工程により取得した他のプロジェクタの切り出し画像とを合成することにより前記画像投影システムにより投影される投影画像のキャプチャ画像を生成する生成工程と、
を有するプロジェクタの制御方法。
【請求項12】
前記取得工程は、投影画像における複数の画像のレイアウト情報を更に取得し、
前記生成工程は、前記取得工程により取得したレイアウト情報に基づいて画像の合成を行う請求項11に記載のプロジェクタの制御方法。
【請求項13】
前記取得工程は、投影画像における画像の位置、重畳領域の位置、重畳領域のサイズ、及び重畳領域に適用するガンマカーブの情報の少なくともいずれかを含むレイアウト情報を更に取得し、
前記生成工程は、前記取得工程により取得したレイアウト情報に基づいて画像の合成を
行う請求項11又は12に記載のプロジェクタの制御方法。
【請求項14】
前記取得工程では、他のプロジェクタにおいて画像処理が行われる前の画像を他のプロジェクタから取得し、
前記生成工程では、画像処理される前の自プロジェクタが投影する画像と、前記取得工程で取得した画像処理が行われる前の他のプロジェクタが投影する画像とを合成することによりキャプチャ画像を生成する請求項11〜13のいずれか1項に記載のプロジェクタの制御方法。
【請求項15】
前記取得工程では、他のプロジェクタにおいて画像処理が行われた後の画像を他のプロジェクタから取得し、
前記生成工程では、画像処理された後の自プロジェクタが投影する画像と、前記取得工程で取得した画像処理が行われた後の他のプロジェクタが投影する画像とを合成することによりキャプチャ画像を生成する請求項11〜13のいずれか1項に記載のプロジェクタの制御方法。
【請求項16】
前記画像処理は、エッジブレンド処理による重畳領域が黒浮きすることを抑制するための重畳領域以外の領域に対する輝度調整、重畳領域に対するガンマ調整、及び台形補正の少なくともいずれかを含む請求項14又は15に記載のプロジェクタの制御方法。
【請求項17】
他のプロジェクタから、自プロジェクタが投影する画像を当該他のプロジェクタへ送信する指示を受信した場合に、当該画像を当該他のプロジェクタへ送信する送信工程を有する請求項11〜16のいずれか1項に記載のプロジェクタの制御方法。
【請求項18】
他のプロジェクタから、自プロジェクタが投影する画像を当該他のプロジェクタへ送信する指示を受信した場合に、当該画像から重畳領域を除いた切り出し画像を生成する工程と、
生成した切り出し画像を当該他のプロジェクタへ送信する送信工程と、
を有する請求項11〜16のいずれか1項に記載のプロジェクタの制御方法。
【請求項19】
前記プロジェクタは、画像を入力する画像入力手段を有し、
前記画像投影システムは、前記投影画像内に一又は複数の子画面を表示させ、各子画面にいずれかのプロジェクタの画像入力手段に入力される画像を表示させることが可能であり、
子画面のキャプチャを行う指示及びキャプチャの対象とする子画面を選択する指示を入力するためのユーザ操作を受け付ける入力工程を更に有し、
前記生成工程では、子画面のキャプチャを行う指示が入力された場合、指定された子画面に表示される画像が入力されているプロジェクタから当該画像を取得し、取得した画像を用いて当該子画面のキャプチャ画像を生成する請求項11〜18のいずれか1項に記載のプロジェクタの制御方法。
【請求項20】
マスタープロジェクタ及び少なくとも1つのスレーブプロジェクタの複数のプロジェクタを有し、複数のプロジェクタにより投影される複数の画像のうち、隣り合う画像同士の一部を重畳させるエッジブレンド処理により、前記複数の画像をスクリーン上で合成して1つの投影画像を投影する画像投影システムであって、
マスタープロジェクタは、
自プロジェクタが投影する画像を取得するとともに、スレーブプロジェクタから当該スレーブプロジェクタが投影する画像を取得する取得手段と、
自プロジェクタが投影する画像と、前記取得手段により取得したスレーブプロジェクタが投影する画像とを合成することにより前記画像投影システムにより投影される投影画像
のキャプチャ画像を生成する生成手段と、
を有し、
スレーブプロジェクタは、
マスタープロジェクタから、自プロジェクタが投影する画像をマスタープロジェクタへ送信する指示を受信した場合に、当該画像から重複領域を除いた画像をマスタープロジェクタへ送信する送信手段を有する画像投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の投影装置と連携して画像投影を行うことができるプロジェクタ、その制御方法、及び画像投影システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のプロジェクタを縦横(マトリクス状)に配列し、各プロジェクタが分割された画像をそれぞれ投影することで一つの大画面を構成するシステム(マルチプロジェクション)が知られている。
図5にマルチプロジェクションシステムの例を示す。
【0003】
図5のシステムでは、液晶プロジェクタ1、2が左右に2台並んで設置されている。画像出力装置3から、画像信号ケーブル(例えばDVIケーブル)を介して、2台の液晶プロジェクタ1,2による投影画像の合成により画像4を表示するための画像信号が、各液晶プロジェクタに入力されている。
【0004】
液晶プロジェクタ1,2は、入力される画像信号に対し、画像のつなぎ目をなめらかに見せるための画像処理を施し、各々画像処理後の画像をスクリーン5に投影している。この画像処理は、エッジブレンドと呼ばれる手法が代表的である。エッジブレンドでは、2台の液晶プロジェクタの投影領域における重畳領域6において、重畳領域開始点から終了点にかけて輝度を段階的に落とす。これにより2台のプロジェクタによる投影画像が重なっている領域の画像をなめらかに表示することができる。
【0005】
また、遠隔地にある機器の画面をネットワークを介して受信して表示する画面転送という技術が知られている。
図5のように、マルチプロジェクションシステムを構成する液晶プロジェクタ1がノートPC7からネットワーク越しにノートPC画面の画像8を受信し、DVI入力された画像と合成してスクリーンに投影することが考えられる。
【0006】
また、液晶プロジェクタには画面キャプチャ機能を備えているものもあり、ユーザ操作に応じてスクリーンに投影している画像を、画像データとして取得できる。
しかし、
図5のようなマルチプロジェクションシステムにおいて、スクリーン5の画像はスクリーン上にて合成された画像であり、ユーザがキャプチャ操作を行ってもスクリーン上の画像を一つの画像データとして取得できない。
【0007】
従来、マルチプロジェクションシステムがスクリーンに投影している画像をキャプチャするには、液晶プロジェクタと連携しスクリーン上の画像を撮影する撮像装置を用いる方法があった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−350230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の方法は、画面キャプチャに撮像装置やセンサーを用いるため、投影面上に存在する文字や柄などが一緒に記録されたり、人間が撮影画像に入り込んでしまったりすることがあった。すなわち、外的要因により撮影画面に不要な画像が残っ
てしまうことがあった。
【0010】
本発明の目的は、マルチプロジェクションシステムにおいて、撮像装置を用いずに投影画像をキャプチャすることを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数のプロジェクタにより投影される複数の画像のうち、隣り合う画像同士の一部を重畳させるエッジブレンド処理により、前記複数の画像をスクリーン上で合成して1つの投影画像を投影する画像投影システムを構成するプロジェクタであって、
自プロジェクタが投影する画像を取得するとともに、前記画像投影システムを構成する他のプロジェクタから当該他のプロジェクタが投影する画像
から重畳領域が除かれた切り出し画像を取得する取得手段と、
自プロジェクタが投影する画像
と、前記取得手段により取得した他のプロジェクタ
の切り出し画像
とを合成することにより前記画像投影システムにより投影される投影画像のキャプチャ画像を生成する生成手段とを有することを特徴とするプロジェクタである。
【0012】
本発明は、複複数のプロジェクタにより投影される複数の画像のうち、隣り合う画像同士の一部を重畳させるエッジブレンド処理により、前記複数の画像をスクリーン上で合成して1つの投影画像を投影する画像投影システムを構成するプロジェクタの制御方法であって、
自プロジェクタが投影する画像を取得するとともに、前記画像投影システムを構成する他のプロジェクタから当該他のプロジェクタが投影する画像
から重畳領域が除かれた切り出し画像を取得する取得工程と、
自プロジェクタが投影する画像
と、前記取得工程により取得した他のプロジェクタ
の切り出し画像
とを合成することにより前記画像投影システムにより投影される投影画像のキャプチャ画像を生成する生成工程と、を有するプロジェクタの制御方法である。
【0013】
本発明は、マスタープロジェクタ及び少なくとも1つのスレーブプロジェクタの複数のプロジェクタを有し、複数のプロジェクタにより投影される複数の画像のうち、隣り合う画像同士の一部を重畳させるエッジブレンド処理により、前記複数の画像をスクリーン上で合成して1つの投影画像を投影する画像投影システムであって、
マスタープロジェクタは、
自プロジェクタが投影する画像を取得するとともに、スレーブプロジェクタから当該スレーブプロジェクタが投影する画像を取得する取得手段と、
自プロジェクタが投影する画像と、前記取得手段により取得したスレーブプロジェクタが投影する画像とを合成することにより前記画像投影システムにより投影される投影画像のキャプチャ画像を生成する生成手段と、
を有し、
スレーブプロジェクタは、
マスタープロジェクタから、自プロジェクタが投影する画像をマスタープロジェクタへ送信する指示を受信した場合に、当該画像から重複領域を除いた画像をマスタープロジェクタへ送信する送信手段を有する画像投影システムである
。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マルチプロジェクションシステムにおいて、撮像装置を用いずに投影画像をキャプチャすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1、2におけるプロジェクタの概略構成を示すブロック図
【
図2】実施例1、2のマルチプロジェクションシステム構築処理のシーケンス図
【
図3】実施例1、2のプロジェクタのキャプチャ画像生成処理のシーケンス図
【
図4】実施例2の入力画像信号のキャプチャ画像生成処理のシーケンス図
【
図5】マルチプロジェクションシステムにおいて出力される画面イメージ
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明するが、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
(実施例1)
図1は、本実施例に係わるプロジェクタ100の概略構成を示すブロック図である。このプロジェクタ100は、複数のプロジェクタにより投影される複数の部分画像をスクリーン上でつなぎ合わせて1つの投影画像を投影する画像投影システムを構成している。
【0017】
以下、プロジェクタ100の構成について説明する。なお、本実施例のプロジェクタは、不図示のCPUとRAMからなる制御部により全体を制御されている。
画像入力部101は入力端子から画像信号を受信し、プロジェクタ100の内部で扱う画像データへと変換し、画像データを合成部104へ出力する。
【0018】
レイアウト部102は、プロジェクタ100に入力されている画像データの種類、数、ユーザ指示に応じて、各画像データの表示位置、前後関係を決定する。
画像処理部103は、合成部104、黒レベル調整部105、エッジブレンド処理部106、キーストン処理部107のモジュールを含んで構成される。画像処理部103は、画像入力部101から入力される画像データの表示位置や形状を変更したり、画像データの画素値を調整したりして、画像出力部108に出力する。
【0019】
合成部104は、レイアウト部102が持つレイアウト情報に応じて、入力された複数の画像データの配置と合成を行う。
黒レベル調整部105は、複数のプロジェクタの投影画像(投影光)が重なる重畳領域が黒浮きすることを抑制するために、重畳領域以外の画像データの黒レベルを輝度調整する。
【0020】
エッジブレンド処理部106は、隣り合う部分画像同士の一部を重畳させるエッジブレンド処理の有効・無効設定、重畳領域の位置とサイズ、ガンマカーブをエッジブレンド設定情報として管理しており、入力された画像データの重畳領域に対してガンマ調整を行う。これらの設定情報はユーザによって設定されるものとする。
【0021】
キーストン処理部107は、入力される画像データの台形補正を行う。
画像出力部108は液晶パネル、ランプ及び駆動部から構成され、画像処理部103から入力された画像データに基づく画像を外部へ投影表示する。
【0022】
マルチプロジェクション構成管理部109は、マルチプロジェクション構成情報を収集し、管理する。具体的には、マルチプロジェクション構成管理部109は、マルチプロジェクションシステムを特定できる情報と、自プロジェクタと共にマルチプロジェクションシステムを構成する他のプロジェクタのエッジブレンド設定情報を取得する。そして、これらの情報をマルチプロジェクション構成情報として管理する。本実施例においては、マルチプロジェクションシステムを特定できる情報は各プロジェクタにシステム名として設定されているものとする。
【0023】
フレームバッファ110は、画像処理部103を構成するモジュール(104〜107)の出力を選択して画像データの取得を行い、一時的に数フレーム分の画像データを保存
する。
【0024】
キャプチャ制御部111は、リモコンやプロジェクタ100の操作パネル等のユーザインターフェース116を介して入力されるユーザ操作に応じて、キャプチャ指示をネットワーク制御部114、画像切り出し部112、キャプチャ画像生成部113に出力する。また、キャプチャ制御部111は、キャプチャ画像として使用するフレームの情報と、フレームバッファ110が画像を取得するモジュール(104〜107)情報を含んだキャプチャ指示情報を生成する。
【0025】
画像切り出し部112は、キャプチャ制御部111からキャプチャ指示情報を取得し、指定されたモジュールから指定されたフレームの画像データをフレームバッファ110より取得する。画像切り出し部112は、更に、エッジブレンド処理部106からエッジブレンド設定情報を取得し、前記画像データからエッジブレンド領域を除いた画像を生成し、通信部115へ出力する。
【0026】
キャプチャ画像生成部113は、キャプチャ制御部111からキャプチャ指示情報を取得し、指定されたモジュールから指定されたフレームの画像データをフレームバッファ110より取得する。キャプチャ画像生成部113は、更に、マルチプロジェクション構成管理部109からマルチプロジェクション構成情報を取得し、キャプチャ画像用のレイアウトを決定する。キャプチャ画像生成部113は、前記レイアウトに基づいて、通信部115が別プロジェクタから受信した画像データと、フレームバッファ110から取得した画像データとを合成し、キャプチャ画像データを生成する。
【0027】
ネットワーク制御部114は、プロジェクタ間通信において、各種情報を送受信する順序や指示を決定するプロジェクタ(以下、マスタープロジェクタ)を決定する。
通信部115は他プロジェクタや外部機器と通信を行い、画像データやキャプチャ指示などの制御情報を送受信する。
なお、本実施例のマルチプロジェクションシステムにおいては、
図1に示すプロジェクタ100と同様の構成を持つ他のプロジェクタ200とを用いて投影を行う。
【0028】
以下、
図1、
図2、
図3を用いてマルチプロジェクションシステムがキャプチャ画像を生成するまでの具体的な処理を説明する。
図2は、プロジェクタ100が他プロジェクタ200と連携し、マルチプロジェクションシステムを構成する処理フローを示した図である。
本実施例では、マルチプロジェクションシステムを構成するプロジェクタのうち、最初に起動したプロジェクタがマスタープロジェクタに設定されるものとする。
【0029】
図2を用いて具体的に説明する。
プロジェクタ100に電源が投入されると、マルチプロジェクション構成管理部109はエッジブレンド処理部106よりエッジブレンド設定情報を取得し、エッジブレンド処理が有効になっているか確認を行う(S201)。
【0030】
エッジブレンド処理が有効になっている場合、マルチプロジェクション構成管理部109は、プロジェクタ100にあらかじめ設定されているマルチプロジェクションシステム名を確認する。そして、同じシステム名を持つプロジェクタの検索指示をネットワーク制御部114へ指示する(S202)。
【0031】
ネットワーク制御部114は、通信部115を介して、ネットワークに接続されているプロジェクタの中から同じシステム名を持つプロジェクタを検索し、更に検索したプロジェクタがマスタープロジェクタであるかを確認する(S203)。
【0032】
同じシステム名が設定されたプロジェクタが存在しない、又は同じシステム名は設定されているがマスタープロジェクタが存在しない場合、ネットワーク制御部114は自プロジェクタをマスタープロジェクタに設定する(S204)。
【0033】
マスタープロジェクタが存在する場合、ネットワーク制御部114はマスタープロジェクタに自プロジェクタ情報を送信しスレーブ登録依頼を行う(S205)。
マスタープロジェクタであるプロジェクタ200がプロジェクタ100のスレーブ登録を完了すると(S206)、プロジェクタ100は自身をスレーブプロジェクタに設定する(S207)。スレーブプロジェクタはマスタープロジェクタからクロック信号を受信し、マスタープロジェクタとの間の同期処理を行う(S208)。
【0034】
本実施例では、先に起動したプロジェクタがマスターになる処理を記載したが、あらかじめ各プロジェクタにマスター、スレーブの設定がなされていてもよい。
また、本実施例ではプロジェクタの電源起動時にマスター、スレーブプロジェクタの設定を行ったが、ユーザがエッジブレンド処理を有効設定した時に行っても良い。
【0035】
プロジェクタ間でマスター、スレーブの設定が行われると、マスタープロジェクタのマルチプロジェクション構成管理部はスレーブプロジェクタよりエッジブレンド情報を取得し、マルチプロジェクション構成情報を作成する。
【0036】
図3は、ユーザの指示に応じてマスタープロジェクタがスレーブプロジェクタにキャプチャ指示を行う処理フローを示した図である。
プロジェクタ100がマスタープロジェクタであり、プロジェクタ200がスレーブプロジェクタである。
【0037】
ユーザがプロジェクタ100に対して投影画像のキャプチャを指示する操作を行うと、キャプチャ制御部111はネットワーク制御部114、キャプチャ画像生成部113にキャプチャ指示を出力する(S301)。
また、キャプチャ制御部111は、ユーザがキャプチャ操作をした時のフレーム情報と、フレームバッファ110が出力画像データを取得するモジュール情報とを用いて、キャプチャ指示情報を生成する(S302)。本実施例においては、合成部104が指定されているものとする。
【0038】
キャプチャ画像生成部113は、キャプチャ指示が入力されるとキャプチャ制御部111からキャプチャ指示情報を取得し、フレームバッファ110が一時保存する画像のうち、合成部104から出力された、指定フレームの出力画像データを取得する(S303)。
ネットワーク制御部114は、キャプチャ指示が入力されるとキャプチャ制御部111からキャプチャ指示情報を取得し、スレーブプロジェクタであるプロジェクタ200へ送信する(S304)。
【0039】
プロジェクタ200のネットワーク制御部(図示なし)は、プロジェクタ100から受信したキャプチャ指示情報をキャプチャ制御部(図示なし)に渡す。
プロジェクタ200のキャプチャ制御部(図示なし)は、マスタープロジェクタよりキャプチャ指示情報が入力されるとキャプチャ指示を画像切り出し部(図示なし)へ出力する(S305)。
【0040】
画像切り出し部は、キャプチャ指示が入力されるとキャプチャ制御部よりキャプチャ指示情報を取得し、合成部(図示なし)の出力から指定フレームの画像データを取得する(
S306)。
また、エッジブレンド処理部(図示なし)からエッジブレンド領域の位置、サイズ情報を取得し、前記取得画像データからエッジブレンド領域以外を切り出す(S307)。
切り出した画像データはプロジェクタ200の通信部(図示なし)から、マスタープロジェクタであるプロジェクタ100へ送信される(S308)。
【0041】
プロジェクタ100のキャプチャ画像生成部113は、マルチプロジェクション構成管理部109よりマルチプロジェクション構成情報を取得する。そして、プロジェクタ100とプロジェクタ200の投影位置関係よりキャプチャ用画像の合成レイアウトを決定する(S309)。
【0042】
キャプチャ画像生成部113はS309で決定されたレイアウトに従って、S303で取得した画像データとプロジェクタ200より受信した画像データを合成し、キャプチャ画像データを生成する(S310)。
【0043】
生成されたキャプチャ画像データについては、黒レベル調整、キーストン処理を行い、画像出力部108から出力するようにしてもよい。
また、生成されたキャプチャ画像データはプロジェクタ内部に備えられた記憶部(図示なし)、又はプロジェクタに接続されている外部記憶装置に保存してもよい。
【0044】
このとき、キャプチャ画像データの保存を行うプロジェクタは、マスタープロジェクタのみに限らず、スレーブプロジェクタ、又はマルチプロジェクションシステムを構成するすべてのプロジェクタであってもよい。
また、生成されたキャプチャ画像データは通信部115を介してネットワーク上に存在する記憶領域に保存しても良い。
【0045】
複数の記憶部に保存することで、マルチプロジェクションシステムを構成するプロジェクタが交換されたり、電源が投入されていない状態となったりしても、キャプチャ画像データを後で取りだすことが可能となる。
【0046】
本実施例では、キャプチャ画像データの生成に、合成部104の出力画像データ、つまり黒レベル調整前の画像データを用いたことで、エッジブレンド処理前の高階調画像データを用いてキャプチャ画像データを生成することが可能となる。
【0047】
本実施例ではキャプチャ画像データの生成に、合成部104の出力画像データを用いたが、黒レベル調整部の出力画像データを用いてもよい。その場合、スクリーンに投影されている階調でのキャプチャ画像データ生成が可能となる。
【0048】
本実施例では、スレーブプロジェクタでエッジブレンド領域以外の画像を切り出してマスタープロジェクタに送信し、受信したマスタープロジェクタにてキャプチャ画像データを生成した。しかし、マスタープロジェクタで画像の切り出しを行い、スレーブプロジェクタで合成を行っても良い。
【0049】
(実施例2)
本実施例では、
図1、
図4を用いて、マルチプロジェクションシステムがマルチウィンドウ表示を行っている時に、ユーザが特定のウィンドウを選択してキャプチャ操作を実行した場合について記載する。マルチウィンドウ表示では、画像投影システムによる投影画像内に一又は複数の子画面(ウィンドウ)を表示させ、各子画面にいずれかのプロジェクタに入力される画像データに基づく画像を表示させることができる。
【0050】
図4は、スクリーンに投影されている画像全体をキャプチャした画像データと、ユーザが選択しているウィンドウの画像のみをキャプチャした画像データとを同時に生成する処理フローを示した図である。
マルチプロジェクションにおける通信制御のマスター、スレーブは、実施例1と同様に決定されており、プロジェクタ100がマスタープロジェクタであり、プロジェクタ200がスレーブプロジェクタであるとする。
【0051】
本実施例において、
図1のレイアウト部102は、画像信号やOSD等を固有の領域(ウ
ィンドウ)に割り当てて管理するウィンドウシステム機能を備える。
また、フレームバッファ110は、画像入力部101の出力から画像データを取得できる。
【0052】
ユーザが特定のウィンドウを選択し、プロジェクタ100でキャプチャ操作を実行すると、キャプチャ制御部111はレイアウト部102にキャプチャ指示を出力する。
【0053】
レイアウト部102はユーザがキャプチャの対象として選択したウィンドウに表示される画像に対応する画像データが、自身が受信した画像信号の画像データか、他プロジェクタが受信した画像信号の画像データかを判別する(S401)。
【0054】
ここでは、前記ユーザが選択したウィンドウに表示される画像の画像信号はプロジェクタ200に入力されているものとする。
プロジェクタ100は、前記ユーザが選択したウィンドウに表示される画像の画像信号が入力されているプロジェクタ200に、マスタープロジェクタへの変更を指示する(S402)。
【0055】
プロジェクタ200が自身をマスタープロジェクタに設定変更すると(S403)、プロジェクタ100は自身をスレーブプロジェクタに設定変更する(S404)。
マスタープロジェクタとなったプロジェクタ200は、実施例1の
図3で示される処理を行い、キャプチャ画像データの生成を行う。プロジェクタ200はプロジェクタ100より切り出し画像データを取得し、プロジェクタ200内で合成し、キャプチャ画像データの生成を行う(S405)。
【0056】
プロジェクタ200のキャプチャ画像生成部(図示なし)は、キャプチャ指示情報を用いて、フレームバッファ(図示なし)から画像入力部(図示なし)の出力画像データを取得する(S406)。
S405で生成したキャプチャ画像データと、S406で取得した入力画像データは、実施例1と同様に、各種記憶部に保存してもよい。その際、2つの画像を関連付けて保存してもよい。
【0057】
本実施例のキャプチャ処理では、ユーザが選択したウィンドウがスクリーン上で小さく表示されていても、入力信号の画像データの解像度(画素数)でキャプチャ画像データを取得することが可能となる。
【0058】
(その他の実施形態)
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。すなわち、黒画像を投影した場合でも輝度が0にならないような投影装置であればどのような装置であっても良い。例えば、液晶プロジェクタでない、レーザプロジェクタ、DMD(デジタルミラーデバイス)プロジェクタであっても、黒画像を投影する際に、投影画面上の輝度を変化させてしまうような投影装置であればどのような装置で
あっても適用可能である。
【0059】
また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、あるいは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【符号の説明】
【0060】
プロジェクタ100、キャプチャ画像生成部113、通信部115