(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の表面保護フィルムは、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有し、前記基材が、ポリエステルフィルムであり、前記ポリエステルフィルムの幅方向1.5mの配向
角が、75〜90°の範囲内であることを特徴とし、好ましくは、77〜90°、より好ましくは、79〜90°である。前記範囲内にあると、低配向性のポリエステルフィルムとなり、フィルムの中央部以外の大部分においても、物性ムラ(虹ムラ)を抑制することになり、外観検査の精度向上が図れ、更にフィルムを無駄なく使用でき、生産性に優れ、実用上、好ましい態様となる。
【0024】
<基材>
本発明で使用するポリエステル(ポリエステルフィルム)は、ジカルボン酸成分とジオール成分、あるいはヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とするモノマー成分を重合することにより得られる。
【0025】
前記ジカルボン酸成分としては、特に制限されないが、機械的強度の観点から、芳香族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸であることがより好ましい。
【0026】
前記芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0027】
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を挙げることができる。中でも好ましくはテレフタル酸とイソフタル酸を挙げることができる。これらモノマー成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0028】
また、ジオール成分としては、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらモノマー成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
また、前記ヒドロキシカルボン酸成分としては、特に制限されないが、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等を挙げることができる。これらモノマー成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0030】
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びその共重合体、ポリブチレンナフタレート(PBN)、及びその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレート、及びその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレート、及びその共重合体等を挙げることができ、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が、より好ましい。
【0031】
本発明におけるポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ、重縮合させることによって製造する方法や、ジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法等がある。
【0032】
また、必要に応じて、反応触媒として、従来公知のものを使用することができ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物等を用いることができる。
【0033】
本発明におけるポリエステルフィルムの製造方法としては、幅方向1.5mの配向
角が、75〜90°の範囲内という低配向性(狭い配向
角に調整)を有するポリエステルフィルムを製造できる方法であれば、従来公知の方法を、制限されることなく使用できる。また、このような低配向性のポリエステルフィルムが得られる製造方法を採用することにより、フィルムの中央部以外の大部分においても、物性ムラ(虹ムラ)を抑制することになり、外観検査の精度向上が図れ、更にフィルムを無駄なく使用でき、生産性に優れ、実用上、好ましい態様となる。なお、本発明における「幅方向1.5m」とは、ポリエステルフィルムの製造工程において、幅(ヨコ)方向に、1.5mの範囲内における配向
角が、75〜90°の範囲内に調整されたものを意味する。
【0034】
本発明で使用される、幅方向1.5mの配向
角が、75〜90°の範囲内という低配向性のポリエステルフィルムを製造する方法としては、例えば、テンター(横延伸機)を用いた二軸延伸による製膜方法が用いられる。より具体的には、溶融ポリエステルを押出機に供給して、T型口金等を用いてシート状に溶融押出し、その後、キャスティングドラム上で冷却固化して、無延伸(未延伸)フィルムとする。この無延伸フィルムをそのまま、もしくは80℃〜120℃未満の延伸温度で長手(タテ)方向に1段階的に、もしくは多段階的に分けて2.5倍〜5倍に延伸し、テンターへと導かれる。ボーイング現象を抑え、低配向性(配向
角が、75〜90°の範囲内)のポリエステルフィルムを得る観点から、延伸温度は、100℃以上、延伸倍率は、3.5倍以下に調整することが好ましい。
【0035】
次いで、テンターにてフィルム端部をクリップにより把持しながら、ポリエステルフィルムの幅(ヨコ)方向に横延伸すると同時に、レール上のクリップ間隔を1〜20%収縮させる長手(タテ)方向に弛緩処理を施すことが必要である。この際の横延伸温度は、80℃〜110℃であり、延伸倍率は、3倍〜5倍である。
【0036】
また、ボーイング現象、及び厚みムラの悪化を抑制するという観点から、横延伸温度が80℃〜100℃、及び3.7〜5倍の横延伸倍率が好ましい態様となる。
【0037】
また、無延伸(未延伸)フィルムをテンターに導いた場合は、前述同様の幅(ヨコ)方向に横延伸した後に、80℃〜120℃の延伸温度で長手(タテ)方向にクリップ間隔が広がることによって、延伸倍率2.5〜5倍の長手(タテ)方向延伸する逐次二軸延伸を行なうことも好ましい態様である。
【0038】
本発明において、フィルム延伸終了後、次いで加熱処理工程を施す前に、ガラス転移温度(Tg)以下の冷却工程を設けることが好ましく、より好ましくは70℃以下の冷却工程を設けることが好ましい。さらに、加熱処理工程が、3つの温度領域に分けられており、第1加熱処理区間(横延伸温度+40℃以下)、次いで第2加熱処理区間(200〜240℃)で1〜20%横延伸しながら、最後に第3加熱処理区間(横延伸温度〜第二加熱処理区間)で、幅(ヨコ)方向に1〜20%の弛緩処理を施すことが好ましい。このような工程を用いることにより、ボーイング現象を抑制でき、低配向性のポリエステルフィルムを容易に得ることができ、好ましい態様となる。
【0039】
本発明で使用されるポリエステルには、必要に応じて、さらに難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはシロキサン等の消泡剤等を配合することができる。滑剤としては、有機、無機滑剤を用いることができる。その形状としては、凝集粒子、真球状粒子、数珠状粒子、コンペイト状粒子、鱗片状粒子などの形状粒子を使うことができる。また、その材質としては、例えば、無機系としては、酸化珪素、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、珪酸アルミニウム、マイカ、クレー、タルク、酸化マグネシウム等を、有機系としては、ポリイミド系樹脂、オレフィンあるいは変性オレフィン系樹脂、架橋ないし無架橋ポリスチレン系樹脂、架橋ないし無架橋アクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂等の樹脂、また有機滑剤としてステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、フマル酸アミドなどの各種アミド化合物を挙げることができる。
【0040】
前記基材であるポリエステルフィルムの表面は、必要に応じて、粘着剤層や帯電防止層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理を施すことができ、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗布等が施されていてもよい。
【0041】
前記基材であるポリエステルフィルムの厚さとしては、適宜選択することができるが、例えば、150μm以下が好ましく、5〜100μm程度であることがより好ましく、10〜50μm程度が特に好ましい。前記範囲内であると、作業性や外観検査性に優れ、好ましい態様となる。
【0042】
また、前記幅方向1.5mの配向
角が、75〜90°の範囲内にあるポリエステルフィルムの市販品の具体例としては、たとえば、三菱樹脂(株)社製のT190シリーズや、帝人デュポンフィルム(株)社製のGFKシリーズなどが挙げられる。
【0043】
<粘着剤層>
本発明の表面保護フィルムは、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有するが、前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとする粘着剤を適宜に選択して用いることができる。
【0044】
特に、本発明で使用される前記粘着剤層としては、アクリル系粘着剤から形成されることが好ましい。前記アクリル系粘着剤は、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性などの粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れる理由から、好ましい態様となる。
【0045】
前記アクリル系粘着剤としては、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分として有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有することがより好ましい態様である。なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
【0046】
前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマーとしては、前記(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位(全モノマー成分)100重量%に対して、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートをモノマー成分として、50〜99.9重量%含有することが好ましく、60〜99重量%含有することがより好ましく、70〜98重量%含有することが更に好ましい。前記モノマー成分が前記範囲内にあると、粘着剤(層)を形成するために使用する粘着剤組成物に適度な濡れ性と凝集力を得られる観点から好ましい態様となる。
【0047】
前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0048】
なかでも、表面保護フィルムとして用いるため、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好適なものとしてあげられる。炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、再剥離性に優れた表面保護フィルムを得ることができる。
【0049】
また、その他の重合性モノマー成分として、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、Tgが0℃以下(通常−100℃以上)になるようにして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0050】
前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられるその他の重合性モノマーとしては、たとえば、カルボキシル基、スルホネート基、リン酸基、酸無水物基含有モノマーなどを有する(メタ)アクリレート以外の成分であれば特に限定することなく用いることができる。なかでも特に架橋の制御が容易に行えることからヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー)がより好ましく用いられる。
【0051】
前記ヒドロキシル基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
【0052】
前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを含む場合において、前記(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位(全モノマー成分)100重量%に対して、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーが15重量%以下であることが好ましく、1〜13重量%であることがより好ましく、2〜11重量%であることが更に好ましく、3.5〜10重量%であることが最も好ましい。前記範囲内にあると、粘着剤組成物の濡れ性と凝集力のバランスを制御しやすくなるため、好ましい。
【0053】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて、上記モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、たとえば、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなどの接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分を適宜用いることができる。これらモノマー成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0054】
前記シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがあげられる。
【0055】
前記ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
【0056】
前記芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
【0057】
前記アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
【0058】
前記イミド基含有モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
【0059】
前記アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0060】
前記エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0061】
前記ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0062】
前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、前記(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位(全モノマー成分)中、0〜40重量%であることが好ましく、0〜35重量%であることがより好ましく、0〜30重量%であることが更に好ましい。前記その他の重合性モノマーを、前記範囲内で用いることにより、良好な再剥離性を適宜調節することができる。
【0063】
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が10万〜500万、好ましくは20万〜400万、さらに好ましくは30万〜300万であることが望ましい。重量平均分子量が10万より小さい場合は、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。一方、重量平均分子量が500万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し、例えば、偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シート(表面保護フィルム)の粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
【0064】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下、更に好ましくは−41℃以下、特に好ましくは−51℃以下、最も好ましくは−61℃以下である(通常−100℃以上)。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく、例えば、偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シート(表面保護フィルム)の粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。特にガラス転移温度を−61℃以下にすることで、偏光板への濡れ性と軽剥離性に優れる粘着剤組成物が得られ易くなる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
【0065】
前記(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、特に作業性の観点や、被保護体への低汚染性など特性面から、溶液重合がより好ましい態様である。また、得られるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0066】
本発明の表面保護フィルムは、前記粘着剤層を形成することができる粘着剤組成物に、架橋剤を含有することが好ましい。前記(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位、構成比率、架橋剤の選択および添加比率等を適宜調節して架橋することにより、より耐熱性に優れた粘着剤層を得ることができる。
【0067】
前記架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物などを用いてもよく、特にイソシアネート化合物の使用は、好ましい態様となる。また、これらの架橋剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0068】
前記イソシアネート化合物としては、たとえば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族イソシアネート類、上記イソシアネートをアロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレア結合、カルボジイミド結合、ウレトンイミン結合、オキサジアジントリオン結合などにより変性したポリイソシネート変性体が挙げられる。たとえば、市販品として、商品名タケネート300S、タケネート500、タケネートD165N、タケネートD178N(以上、武田薬品工業社製)、スミジュールT80、スミジュールL、デスモジュールN3400(以上、住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR、ミリオネートMT、コロネートL、コロネートHL、コロネートHX(以上、日本ポリウレタン工業社製)などがあげられる。イソシアネート化合物は2種以上混合して使用してもよく、2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用して用いることも可能である。架橋剤を併用して用いることにより、粘着性と耐反発性を両立することが可能となり、より粘着特性(接着信頼性)に優れた表面保護フィルムを得ることができる。
【0069】
前記エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。
【0070】
前記メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、TAZM、TAZO(以上、相互薬工社製)などがあげられる。
【0071】
前記金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。
【0072】
本発明に用いられる架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.01〜10重量部含有されていることが好ましく、0.1〜8重量部含有されていることがより好ましく、0.5〜5重量部含有されていることがさらに好ましい。前記含有量が0.01重量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が10重量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、偏光板への濡れが不十分となって偏光板と粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。また、これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0073】
さらに本発明の表面保護フィルムに用いられる粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、イオン性化合物などの帯電防止剤、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
【0074】
前記粘着剤層の形成方法としては、従来公知の方法を採用することができるが、たとえば、粘着剤組成物(粘着剤組成物を溶剤に溶解した粘着剤組成物溶液や、熱溶融液)を、前記基材に塗布・乾燥して粘着剤層を形成する方法や、前記粘着剤組成物を、前記基材に塗布・乾燥して、粘着剤組成物層とし、更に架橋処理することにより粘着剤層を形成する方法、剥離ライナー上に塗布・形成した粘着剤層を基材上に移着(転写)する方法、粘着剤層形成材を基材上に押出し形成塗布する方法、基材と粘着剤層を二層または多層にて押出しする方法、基材上に粘着剤層を単層ラミネートする方法などの公知の粘着シート(表面保護フィルム)の製造方法に基づき、行うことができる。なお、本発明におけるフィルムとは、テープやシート等を含むものである。
【0075】
前記粘着剤組成物(溶液)を塗布する方法としては、従来公知の方法を採用することができるが、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースロールコート、ロールブラッシュコート、エアーナイフコート、スプレーコート、ダイコーター等による押し出しコートなどが挙げられる。
【0076】
前記剥離ライナーとしては、特に限定されず、従来公知のものを適宜使用することができる。例えば、基材(剥離ライナー用基材)の少なくとも片面に、剥離コート層を形成したものを用いることができる。なお、剥離ライナー用基材は、単層、複数層のいずれの形態も用いることができる。
【0077】
前記剥離ライナー用基材としては、プラスチックフィルム、紙、発泡体、金属箔等の各種薄葉体等を用いることができ、特に好ましくは、プラスチックフィルムである。また、プラスチックフィルムの原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルや、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0078】
前記剥離ライナー用基材の厚さは、目的に応じて、適宜選択することができる。
【0079】
前記粘着剤層の形成にあたっては、特に制限されないが、例えば、粘着剤組成物(溶液)を塗布後、乾燥する温度としては、通常、60〜150℃、好ましくは70〜140℃である。
【0080】
<帯電防止層>
更に、本発明の表面保護フィルムは、前記基材が、前記粘着剤層を有する面と反対側の面に帯電防止層を有することが好ましい。前記表面保護フィルムが、帯電防止層を有することにより、表面保護フィルム自体の帯電を抑えることができ、塵埃が吸着しにくくなり、好ましい態様となる。
【0081】
前記帯電防止層は、帯電防止剤と樹脂成分から成る帯電防止性樹脂や導電性ポリマー、導電性物質を含有する導電性樹脂を塗布する方法や導電性物質を蒸着あるいはメッキする方法があげられる。
【0082】
前記帯電防止性樹脂に含有される帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1、第2、第3アミノ基などのカチオン性官能基を有すカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤、アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体などの両性型帯電防止剤、アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体などのノニオン型帯電防止剤、さらには、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有するモノマーを重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0083】
前記カチオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートなどの4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0084】
前記アニオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホン酸基含有スチレン共重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0085】
前記両性イオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、カルボベタイングラフト共重合があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0086】
前記ノニオン型の帯電防止剤として、たとえば、脂肪酸アルキロールアミド、ジ(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテルとポリエステルとポリアミドからなる共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0087】
前記導電性ポリマーとしては、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0088】
前記導電性物質としては、たとえば、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、およびそれらの合金または混合物があげられる。
【0089】
前記帯電防止性樹脂および導電性樹脂に用いられる樹脂成分としては、ポリエステル、アクリル、ポリビニル、ウレタン、メラミン、エポキシなどの汎用樹脂が用いられる。なお、高分子型帯電防止剤の場合には、樹脂成分を含有させなくてもよい。また、帯電防止樹脂成分に、架橋剤としてメチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系などの化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物を含有させることも可能である。
【0090】
前記帯電防止層の形成方法としては、たとえば、上述帯電防止性樹脂、導電性ポリマー、導電性樹脂を有機溶剤もしくは水などの溶媒で希釈し、この塗液をプラスチックフィルムに塗布、乾燥することで形成される。
【0091】
前記帯電防止層の形成に用いる有機溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどがあげられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0092】
前記帯電防止層の形成における塗布方法については公知の塗布方法が適宜用いられ、具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、含浸およびカーテンコート法があげられる
【0093】
前記導電性物質の蒸着あるいはメッキの方法としては、たとえば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着、スプレー熱分解、化学メッキ、電気メッキ法などがあげられる。
【0094】
前記帯電防止性樹脂層、導電性ポリマー、導電性樹脂の厚みとしては、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.03〜1μm程度である。前記範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
【0095】
前記導電性物質層の厚みとしては、通常0.002〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。前期範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
【0096】
<トップコート層>
また、本発明の表面保護フィルムは、前記基材が、前記粘着剤層を有する面と反対側の面にトップコート層を有し、前記トップコート層が、滑り剤としてワックス、及び、バインダとしてポリエステル樹脂を含有し、前記ワックスが、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルであることが好ましい。前記表面保護フィルムが、トップコート層を有することにより、表面保護フィルムの耐スクラッチ性が向上し、好ましい態様となる。
【0097】
<バインダ>
前記トップコート層は、バインダとしてのポリエステル樹脂と、滑り剤としてのワックスとを含むことが好ましい。上記ポリエステル樹脂は、ポリエステルを主成分(典型的には50重量%超、好ましくは75重量%以上、例えば90重量%以上を占める成分)として含む樹脂材料であることが好ましい。上記ポリエステルは、典型的には、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸類(典型的にはジカルボン酸類)およびその誘導体(当該多価カルボン酸の無水物、エステル化物、ハロゲン化物等)から選択される1種または2種以上の化合物(多価カルボン酸成分)と、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコール類(典型的にはジオール類)から選択される1種または2種以上の化合物(多価アルコール成分)とが縮合した構造を有することが好ましい。
【0098】
上記多価カルボン酸成分として採用し得る化合物の例としては、シュウ酸、マロン酸、ジフルオロマロン酸、アルキルマロン酸、コハク酸、テトラフルオロコハク酸、アルキルコハク酸、(±)−リンゴ酸、meso−酒石酸、イタコン酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、メチルフマル酸、アセチレンジカルボン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、メチルグルタル酸、グルタコン酸、アジピン酸、ジチオアジピン酸、メチルアジピン酸、ジメチルアジピン酸、テトラメチルアジピン酸、メチレンアジピン酸、ムコン酸、ガラクタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、パーフルオロスベリン酸、3,3,6,6−テトラメチルスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、パーフルオロセバシン酸、ブラシル酸、ドデシルジカルボン酸、トリデシルジカルボン酸、テトラデシルジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸類;シクロアルキルジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸)、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸(ハイミック酸)、アダマンタンジカルボン酸、スピロヘプタンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、ジチオイソフタル酸、メチルイソフタル酸、ジメチルイソフタル酸、クロロイソフタル酸、ジクロロイソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、クロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキソフルオレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニレンジカルボン酸、ジメチルビフェニレンジカルボン酸、4,4”−p−テレフェニレンジカルボン酸、4,4”−p−クワレルフェニルジカルボン酸、ビベンジルジカルボン酸、アゾベンゼンジカルボン酸、ホモフタル酸、フェニレン二酢酸、フェニレンジプロピオン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジプロピオン酸、ビフェニル二酢酸、ビフェニルジプロピオン酸、3,3'−[4,4’−(メチレンジ−p−ビフェニレン)ジプロピオン酸、4,4’−ビベンジル二酢酸、3,3’(4,4’−ビベンジル)ジプロピオン酸、オキシジ−p−フェニレン二酢酸などの芳香族ジカルボン酸類;上述したいずれかの多価カルボン酸の酸無水物;上述したいずれかの多価カルボン酸のエステル(例えばアルキルエステル。モノエステル、ジエステル等であり得る。);上述したいずれかの多価カルボン酸に対応する酸ハロゲン化物(例えばジカルボン酸クロリド);等が挙げられる。
【0099】
上記多価カルボン酸成分として採用し得る化合物の好適例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類およびその酸無水物;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ハイミック酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類およびその酸無水物;ならびに上記ジカルボン酸類の低級アルキルエステル(例えば、炭素原子数1〜3のモノアルコールとのエステル)等が挙げられる。
【0100】
一方、上記多価アルコール成分として採用し得る化合物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、キシリレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA等のジオール類が挙げられる。他の例として、これらの化合物のアルキレンオキサイド付加物(例えば、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。
【0101】
好ましい一態様では、上記ポリエステル樹脂が水分散性ポリエステルを含む(典型的には、該水分散性ポリエステルを主成分として含む)。かかる水分散性ポリエステルは、例えば、ポリマー中に親水性官能基(例えば、スルホン酸金属塩基、カルボキシル基、エーテル基、リン酸基などの親水性官能基等のうち1種または2種以上)を導入することにより水分散性を高めたポリエステルであり得る。ポリマー中に親水性官能基を導入する手法としては、親水性官能基を有する化合物を共重合させる方法、ポリエステルまたはその前駆体(例えば、多価カルボン酸成分、多価アルコール成分、それらのオリゴマー等)を変性して親水性官能基を生じさせる方法、等の公知の手法を適宜採用することができる。好ましい水分散性ポリエステルの一例として、親水性官能基を有する化合物が共重合されたポリエステル(共重合ポリエステル)が挙げられる。
【0102】
ここに開示される技術において、トップコート層のバインダとして用いられるポリエステル樹脂は、飽和ポリエステルを主成分とするものであってもよく、不飽和ポリエステルを主成分とするものであってもよい。ここに開示される技術の好ましい一態様では、上記ポリエステル樹脂の主成分が飽和ポリエステルである。水分散性が付与された飽和ポリエステル(例えば、飽和共重合ポリエステル)を主成分とするポリエステル樹脂を好ましく採用し得る。
このようなポリエステル樹脂(水分散液の形態に調製されたものであり得る。)は、公知の方法により合成することができ、あるいは市販品を容易に入手することができる。
【0103】
上記ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、例えば0.5×10
4〜15×10
4程度(好ましくは1×10
4〜6×10
4程度)であり得る。また、上記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば0〜100℃(好ましくは10〜80℃)であり得る。
【0104】
上記トップコート層は、ここに開示される表面保護フィルムの性能(例えば、透明性、耐スクラッチ性、耐白化性等の性能)を大きく損なわない限度で、バインダとして、ポリエステル樹脂以外の樹脂(例えば、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、アクリル−スチレン樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリシラザン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂等から選択される1種または2種以上の樹脂)をさらに含有し得る。ここに開示される技術の好ましい一態様では、トップコート層のバインダが実質的にポリエステル樹脂のみからなる。例えば、該バインダに占めるポリエステル樹脂の割合が98〜100重量%であるトップコート層が好ましい。トップコート層全体に占めるバインダの割合は、例えば50〜95重量%とすることができ、通常は60〜90重量%とすることが適当である。
【0105】
<滑り剤>
ここに開示される技術におけるトップコート層は、滑り剤として、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル(以下「ワックスエステル」ともいう。)を含むことが好ましい。ここで、「高級脂肪酸」とは、炭素原子数が8以上(典型的には10以上、好ましくは10以上40以下)のカルボン酸(典型的には一価のカルボン酸)をいう。また、「高級アルコール」とは、炭素原子数が6以上(典型的には10以上、好ましくは10以上40以下)のアルコール(典型的には一価または二価のアルコール。好ましくは一価のアルコール)をいう。このようなワックスエステルと上記バインダ(ポリエステル樹脂)とを組み合わせて含む組成のトップコート層は、高温多湿条件に保持されても白化しにくい。したがって、かかるトップコート層を有する基材を備えた表面保護フィルムは、より外観品位の高いものとなり得る。
【0106】
ここに開示される技術を実施するにあたり、上記構成のトップコート層により優れた耐白化性(例えば、高温多湿条件に保持されても白化しにくい性質)が実現される理由を明らかにする必要はないが、ひとつの可能性として以下の理由が考えられる。すなわち、従来使用されているシリコーン系滑剤は、トップコート層の表面にブリードすることにより該表面に滑り性を付与する機能を発揮するものと推察される。しかし、これらシリコーン系滑剤は、保存条件(温度、湿度、経時等)の違いによって上記ブリードの程度が変動しやすい。このため、例えば、通常の保存条件(例えば、25℃、50%RH)に保持された場合に表面保護フィルムの製造直後から比較的長期間(例えば約3ヶ月)に亘って適度な滑り性が得られるようにシリコーン系滑剤の使用量を設定すると、この表面保護フィルムが高温多湿条件(例えば、60℃、95%RH)で2週間保存された場合には、滑剤のブリードが過剰に進行してしまう。このように過剰にブリードしたシリコーン系滑剤は、トップコート層(ひいては表面保護フィルム)を白化させる。
【0107】
ここに開示される技術では、滑り剤としてのワックスエステルと、トップコート層のバインダとしてのポリエステル樹脂という特定の組合せを採用する。かかる滑り剤とバインダとの組合せによると、上記ワックスエステルのトップコート層からのブリードの程度が保存条件の影響を受けにくい。このことによって表面保護フィルムの耐白化性が向上したものと考えられる。
【0108】
上記ワックスエステルとしては、下記一般式(W)で表わされる化合物の1種または2種以上を好ましく採用し得る。
X−COO−Y (W)
ここで、上記式(W)中のXおよびYは、それぞれ独立に、炭素原子数10〜40(より好ましくは10〜35、さらに好ましくは14〜35、例えば20〜32)の炭化水素基から選択され得る。上記炭素原子数が小さすぎると、トップコート層に滑り性を付与する効果が不足しがちとなることがあり得る。上記炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。通常は飽和炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、芳香族の環を含む構造であってもよく、かかる芳香環を含まない構造(脂肪族性炭化水素基)であってもよい。また、脂肪族性の環を含む構造の炭化水素基(脂環式炭化水素基)であってもよく、鎖状(直鎖状および分岐鎖状を包含する意味である。)の炭化水素基であってもよい。
【0109】
ここに開示される技術における好ましいワックスエステルとして、上記式(W)におけるXおよびYが、それぞれ独立に、炭素原子数10〜40の鎖状アルキル基(より好ましくは直鎖状アルキル基)である化合物が例示される。かかる化合物の具体例としては、セロチン酸ミリシル(CH
3(CH
2)
24COO(CH
2)
29CH
3)、パルミチン酸ミリシル(CH
3(CH
2)
14COO(CH
2)
29CH
3)、パルミチン酸セチル(CH
3(CH
2)
14COO(CH
2)
15CH
3)、ステアリル酸ステアリル(CH
3(CH
2)
16COO(CH
2)
17CH
3)等が挙げられる。
【0110】
上記ワックスエステルは、融点が50℃以上(より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、例えば75℃以上)であることが好ましい。かかるワックスエステルによると、より高い耐白化性が実現され得る。また、上記ワックスエステルは、融点が100℃以下であることが好ましい。かかるワックスエステルは、滑り性を付与する効果が高いので、より耐スクラッチ性の高いトップコート層を形成し得る。上記ワックスエステルの融点が100℃以下であることは、該ワックスエステルの水分散液を調製しやすいという点からも好ましい。例えば、セロチン酸ミリシルを好ましく採用し得る。
【0111】
上記トップコート層の原料としては、このようなワックスエステルを含有する天然ワックスを利用することができる。かかる天然ワックスとしては、不揮発分(NV)基準で、上記ワックスエステルの含有割合(2種以上のワックスエステルを含む場合にはそれらの含有割合の合計)が50重量%よりも多い(好ましくは65重量%以上、例えば75重量%以上である)ものを好ましく採用し得る。例えば、カルナバワックス(一般に、セロチン酸ミリシルを60重量%以上、好ましくは70重量%以上、典型的には80重量%以上の割合で含む。)、パームワックス等の植物性ワックス;蜜ロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;等の天然ワックスを用いることができる。使用する天然ワックスの融点は、通常、50℃以上(より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、例えば75℃以上)であることが好ましい。また、上記トップコート層の原料としては、化学的に合成されたワックスエステルを用いてもよく、天然ワックスを精製して該ワックスエステルの純度を高めたものを用いてもよい。これらの原料は、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
【0112】
トップコート層全体に占める滑り剤の割合は、5〜50重量%とすることができ、通常は10〜40重量%とすることが適当である。滑り剤の含有割合が少なすぎると、耐スクラッチ性が低下しやすくなる傾向にある。滑り剤の含有割合が多すぎると、耐白化性の向上効果が不足しやすくなることがあり得る。
【0113】
ここに開示される技術は、その適用効果を大きく損なわない限度で、トップコート層が、上記ワックスエステルに加えて他の滑り剤を含む態様で実施され得る。かかる他の滑り剤の例としては、石油系ワックス(パラフィンワックス等)、鉱物系ワックス(モンタンワックス等)、高級脂肪酸(セロチン酸等)、中性脂肪(パルミチン酸トリグリセリド等)のような、ワックスエステル以外の各種ワックスが挙げられる。あるいは、上記ワックスエステルに加えて、一般的なシリコーン系滑剤、フッ素系滑剤等を補助的に含有させてもよい。ここに開示される技術は、かかるシリコーン系滑剤、フッ素系滑剤等を実質的に含有しない態様(例えば、これらの合計含有量がトップコート層全体の0.01重量%以下、もしくは検出限界以下である態様)で好ましく実施され得る。ただし、ここに開示される技術の適用効果を大きく損なわない限度において、滑剤とは別の目的で(例えば、後述するトップコート形成用コーティング材の消泡剤として)用いられるシリコーン系化合物の含有を排除するものではない。
【0114】
ここに開示される技術におけるトップコート層は、必要に応じて、帯電防止成分、架橋剤、酸化防止剤、着色剤(顔料、染料等)、流動性調整剤(チクソトロピー剤、増粘剤等)、造膜助剤、界面活性剤(消泡剤、分散剤等)、防腐剤等の添加剤を含有し得る。
【0115】
<トップコート層の帯電防止成分>
ここに開示される技術は、トップコート層が帯電防止成分を含有する態様で好ましく実施され得る。上記帯電防止成分は、表面保護フィルムの帯電を防止または抑制する作用を発揮し得る成分である。トップコート層に帯電防止成分を含有させる場合、その帯電防止成分としては、例えば、有機または無機の導電性物質、各種の帯電防止剤等を用いることができる。また、上記帯電防止層で使用される帯電防止成分を使用することも可能である。
【0116】
上記有機導電性物質としては、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基等のカチオン性官能基を有するカチオン型帯電防止剤;スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤;アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体等の両性イオン型帯電防止剤;アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体等のノニオン型帯電防止剤;上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基(例えば、4級アンモニウム塩基)を有するモノマーを重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体;ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンイミン、アリルアミン系重合体等の導電性ポリマー;が挙げられる。このような帯電防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0117】
上記無機導電性物質の例としては、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)等が挙げられる。このような無機導電性物質は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0118】
上記帯電防止剤の例としては、カチオン型帯電防止剤、アニオン型帯電防止剤、両性イオン型帯電防止剤、ノニオン型帯電防止剤、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有する単量体を重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体、等が挙げられる。
【0119】
好ましい一態様では、上記トップコート層に用いられる帯電防止成分が有機導電性物質を含む。上記有機導電性物質としては、各種の導電性ポリマーを好ましく用いることができる。かかる構成によると、良好な帯電防止性と高い耐スクラッチ性とを両立させやすい。導電性ポリマーの例としては、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンイミン、アリルアミン系重合体等が挙げられる。このような導電性ポリマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、他の帯電防止成分(無機導電性物質、帯電防止剤等)と組み合わせて用いてもよい。導電性ポリマーの使用量は、トップコート層に含まれるバインダ100重量部に対して、例えば10〜200重量部とすることができ、通常は25〜150重量部(例えば40〜120重量部)とすることが適当である。導電性ポリマーの使用量が少なすぎると、帯電防止効果が小さくなる場合がある。導電性ポリマーの使用量が多すぎると、トップコート層における導電性ポリマーの相溶性が不足気味となって、該トップコート層の外観品位が低下したり、耐溶剤性が低下傾向となったりすることがあり得る。
【0120】
ここに開示される技術において好ましく採用し得る導電性ポリマーとして、ポリチオフェンおよびポリアニリンが例示される。ポリチオフェンとしては、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」と表記する場合がある。)が40×10
4以下であるものが好ましく、30×10
4以下がより好ましい。ポリアニリンとしては、Mwが50×10
4以下であるものが好ましく、30×10
4以下がより好ましい。また、これら導電性ポリマーのMwは、通常は0.1×10
4以上であることが好ましく、より好ましくは0.5×10
4以上である。なお、本明細書中においてポリチオフェンとは、無置換または置換チオフェンの重合体をいう。ここに開示される技術における置換チオフェン重合体の一好適例として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が挙げられる。
【0121】
トップコート層を形成する方法として、トップコート層形成用のコーティング材を基材に塗付して乾燥または硬化させる方法を採用する場合、該コーティング材の調製に用いる導電性ポリマーとしては、該導電性ポリマーが水に溶解または分散した形態のもの(導電性ポリマー水溶液)を好ましく使用し得る。かかる導電性ポリマー水溶液は、例えば、親水性官能基を有する導電性ポリマー(分子内に親水性官能基を有するモノマーを共重合させる等の手法により合成され得る。)を水に溶解または分散させることにより調製することができる。上記親水性官能基としては、スルホ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドラジノ基、カルボキシル基、四級アンモニウム基、硫酸エステル基(−O−SO
3H)、リン酸エステル基(例えば−O−PO(OH)
2)等が例示される。かかる親水性官能基は塩を形成していてもよい。ポリチオフェン水溶液の市販品としては、ナガセケムテック社製の商品名「デナトロン」シリーズが例示される。また、ポリアニリンスルホン酸水溶液の市販品としては、三菱レイヨン社製の商品名「aqua−PASS」が例示される。
【0122】
ここに開示される技術の好ましい一態様では、上記コーティング材の調製にポリチオフェン水溶液を使用する。ポリスチレンスルホネート(PSS)を含むポリチオフェン水溶液(ポリチオフェンにPSSがドーパントとして添加された形態であり得る。)の使用が好ましい。かかる水溶液は、ポリチオフェン:PSSを1:1〜1:10の質量比で含有するものであり得る。上記水溶液におけるポリチオフェンとPSSとの合計含有量は、例えば1〜5重量%程度であり得る。このようなポリチオフェン水溶液の市販品としては、H.C.Stark社の商品名「ベイトロン(Baytron)」が例示される。なお、上記のようにPSSを含むポリチオフェン水溶液を用いる場合には、ポリチオフェンとPSSとの合計量を、バインダ100重量部に対して5〜200重量部(通常は10〜100重量部、例えば25〜70重量部)とするとよい。
【0123】
ここに開示されるトップコート層は、必要に応じて、導電性ポリマーと、他の1種または2種以上の帯電防止成分(導電性ポリマー以外の有機導電性物質、無機導電性物質、帯電防止剤など)とを共に含んでもよい。好ましい一態様では、上記トップコート層が、導電性ポリマー以外の帯電防止成分を実質的に含有しない。すなわち、ここに開示される技術は、上記トップコート層に含まれる帯電防止成分が実質的に導電性ポリマーのみからなる態様で好ましく実施され得る。
【0124】
<架橋剤>
ここに開示される技術の好ましい一態様では、トップコート層が架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、一般的な樹脂の架橋に用いられるメラミン系、イソシアネート系、エポキシ系等の架橋剤を適宜選択して用いることができる。かかる架橋剤を用いることにより、耐スクラッチ性の向上、耐溶剤性の向上、印字密着性の向上、摩擦係数の低下(すなわち、滑り性の向上)、のうち少なくとも1つの効果が実現され得る。好ましい一態様では、上記架橋剤がメラミン系架橋剤を含む。架橋剤が実質的にメラミン系架橋剤(メラミン系樹脂)のみからなる(すなわち、メラミン系架橋剤以外の架橋剤を実質的に含有しない)トップコート層であってもよい。
【0125】
<トップコート層の形成>
上記トップコート層は、上記樹脂成分および必要に応じて使用される添加剤が適当な溶媒に分散または溶解した液状組成物(トップコート層形成用のコーティング材)を基材に付与することを含む手法によって好適に形成され得る。例えば、上記コーティング材を基材の第一面に塗付して乾燥させ、必要に応じて硬化処理(熱処理、紫外線処理など)を行う手法を好ましく採用し得る。上記コーティング材のNV(不揮発分)は、例えば5重量%以下(典型的には0.05〜5重量%)とすることができ、通常は1重量%以下(典型的には0.10〜1重量%)とすることが適当である。厚みの小さいトップコート層を形成する場合には、上記コーティング材のNVを例えば0.05〜0.50重量%(例えば0.10〜0.30重量%)とすることが好ましい。このように低NVのコーティング材を用いることにより、より均一なトップコート層が形成され得る。
【0126】
上記トップコート層形成用コーティング材を構成する溶媒としては、トップコート層形成成分を安定して溶解または分散し得るものが好ましい。かかる溶媒は、有機溶剤、水、またはこれらの混合溶媒であり得る。上記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル等のエステル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル類;n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等の脂肪族または脂環族アルコール類;アルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル)、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;等から選択される1種または2種以上を用いることができる。好ましい一態様では、上記コーティング材の溶媒が、水または水を主成分とする混合溶媒(例えば、水とエタノールとの混合溶媒)である。
【0127】
<トップコート層の性状>
ここに開示される技術におけるトップコート層の厚さは、典型的には3nm〜500nm(好ましくは3nm〜100nm、例えば3nm〜60nm)である。トップコート層の厚さが大きすぎると、表面保護フィルムの透明性(光線透過性)が低下しやすくなる傾向にある。一方、トップコート層の厚みが小さすぎると、該トップコート層を均一に形成することが困難となり(例えば、トップコート層の厚みにおいて、場所による厚みのバラツキが大きくなり)、このため表面保護フィルムの外観にムラが生じやすくなることがあり得る。
【0128】
ここに開示される技術の好ましい一態様では、トップコート層の厚さが3nm以上30nm未満(例えば、3nm以上10nm未満)である。かかるトップコート層を備える表面保護フィルムは、より外観品位に優れたものとなり得る。このように外観品位に優れた表面保護フィルムによると、該フィルム越しに製品(被着体)の外観検査をより精度よく行うことができる。上記トップコート層の厚みが小さいことは、基材の特性(光学特性、寸法安定性等)に及ぼす影響が少ないという観点からも好ましい。
【0129】
上記トップコート層の厚さは、該トップコート層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察することにより把握することができる。例えば、目的の試料(トップコート層が形成された基材、該基材を備える表面保護フィルム等であり得る。)について、トップコート層を明瞭にする目的で重金属染色処理を行った後、樹脂包埋を行い、超薄切片法により試料断面のTEM観察を行って得られる結果を、ここに開示される技術におけるトップコート層の厚さとして好ましく採用することができる。TEMとしては、日立社製のTEM、型式「H−7650」等を用いることができる。後述する実施例では、加速電圧:100kV、倍率:60,000倍の条件で得られた断面画像について、二値化処理を行った後、視野内のサンプル長さでトップコートの断面積を除算することでトップコート層の厚さ(視野内の平均厚さ)を実測した。なお、重金属染色を行わなくてもトップコート層を十分明瞭に観察し得る場合には、重金属染色処理を省略してもよい。あるいは、TEMにより把握される厚さと、各種の厚み検出装置(例えば、表面粗さ計、干渉厚み計、赤外分光測定機、各種X線回折装置等)による検出結果との相関につき、検量線を作成して計算を行うことにより、トップコート層の厚さを求めてもよい。
【0130】
ここに開示される表面保護フィルムの好ましい一態様では、トップコート層の表面における測定される表面抵抗率が10
12Ω以下(典型的には10
6Ω〜10
12Ω)である。かかる表面抵抗率を示す表面保護フィルムは、例えば、液晶セルや半導体装置等のように静電気を嫌う物品の加工または搬送過程等において使用される表面保護フィルムとして好適に利用され得る。表面抵抗率が10
11Ω以下(典型的には5×10
6Ω〜10
11Ω、例えば10
7Ω〜10
10Ω)の表面保護フィルムがより好ましい。上記表面抵抗率の値は、市販の絶縁抵抗測定装置を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で測定される表面抵抗の値から算出することができる。
【0131】
トップコート層の摩擦係数は、0.4以下であることが好ましい。このように摩擦係数の低いトップコート層によると、該トップコート層に荷重(スクラッチ傷を生じさせるような荷重)が加わった場合に、その荷重をトップコート層の表面に沿って受け流し、該荷重による摩擦力を軽減することができる。このことによって、トップコート層の凝集破壊(トップコート層がその内部で破壊する損傷態様)や界面破壊(トップコート層が基材背面から剥がれる損傷態様)が起こりにくくなる。したがって、表面保護フィルムにスクラッチ傷を生じる事象をよりよく防止することができる。摩擦係数の下限は特に限定されないが、他の特性(外観品位、印字性等)とのバランスを考慮して、通常は摩擦係数を0.1以上(典型的には0.1以上0.4以下)とすることが適当であり、0.15以上(典型的には0.15以上0.4以下)とすることが好ましい。上記摩擦係数としては、例えば、23℃、50%RHの測定環境下において、トップコート層の表面を垂直荷重40mNで擦過して求められる値を採用することができる。上記ワックスエステル(滑り剤)の使用量は、上記の好ましい摩擦係数が実現されるように設定するとよい。上記摩擦係数の調整には、例えば、架橋剤の添加や成膜条件の調整によりトップコート層の架橋密度を高めることも有効である。
【0132】
ここに開示される表面保護フィルムは、その背面(トップコート層の表面)が、油性インキにより(例えば、油性マーキングペンを用いて)容易に印字できる性質を有することが好ましい。かかる表面保護フィルムは、該表面保護フィルムを貼り付けた状態で行われる被着体(例えば光学部品)の加工や搬送等の過程において、保護対象たる被着体の識別番号等を上記表面保護フィルムに記載して表示するのに適している。したがって、外観品位に加えて印字性にも優れた表面保護フィルムが好ましい。例えば、溶剤がアルコール系であって顔料を含むタイプの油性インキに対して高い印字性を有することが好ましい。また、印字されたインキが擦れや転着により取れにくい(すなわち、印字密着性に優れる)ことが好ましい。ここに開示される表面保護フィルムは、また、印字を修正または消去する際に該印字をアルコール(例えばエチルアルコール)で拭き取っても外観に目立った変化を生じない程度の耐溶剤性を有することが好ましい。この耐溶剤性の程度は、例えば、後述する耐溶剤性評価により把握することができる。
【0133】
ここに開示される技術におけるトップコート層は、滑り剤としてのワックスエステルを含有するため、該トップコート層の表面にさらなる剥離処理(例えば、シリコーン系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤等の公知の剥離処理剤を塗付して乾燥させる処理)を施さない態様においても、十分な滑り性(例えば、上述した好ましい摩擦係数)を実現し得る。このようにトップコート層の表面にさらなる剥離処理が施されていない態様は、剥離処理剤に起因する白化(例えば、加熱加湿条件下に保存されることによる白化)を未然に防止し得る等の点で好ましい。また、耐溶剤性の点からも有利である。
【0134】
ここに開示される表面保護フィルムは、基材、粘着剤層、及び、トップコート層に加えて、さらに他の層を含む態様でも実施され得る。かかる「他の層」の配置としては、基材の第一面(背面)とトップコート層との間、基材の第二面(前面)と粘着剤層との間等が例示される。基材背面とトップコート層との間に配置される層は、例えば、帯電防止成分を含む層(帯電防止層)であり得る。基材前面と粘着剤層との間に配置される層は、例えば、上記第二面に対する粘着剤層の投錨性を高める下塗り層(アンカー層)、帯電防止層等であり得る。基材前面に帯電防止層が配置され、該帯電防止層の上にアンカー層が配置され、その上に粘着剤層が配置された構成の表面保護フィルムであってもよい。
【0135】
<表面保護フィルム>
また、本発明の表面保護フィルムは、配向
角が、75〜90°の範囲内であることが好ましく、77〜90°の範囲内であることがより好ましく、79〜90°の範囲内であることが最も好ましい。前記範囲内であると、低配向性、つまりは、配向
角が狭い範囲内に調整されていることになるため、表面保護フィルムを偏光板などの光学フィルムに貼付した状態で、クロスニコル法により外観検査などを行う場合に、虹ムラの発生が抑制され、外観検査をスムーズに行うことができ、検査精度を落とすことなく使用でき、好ましい態様となる。なお、前記粘着剤層には、アクリル系粘着剤を使用し形成することが好ましく、その理由としては、粘着特性や透明性に優れ、外観検査の精度向上や、生産性に優れることになり、有用となる。なお、前記帯電防止層やトップコート層は、厚みが薄く、前記配向
角に影響を及ぼさない。
【0136】
本発明の表面保護フィルムは、総厚みが、1〜150μmであることが好ましく、3〜120μmであることがより好ましく、5〜100μmであることが最も好ましい。前記範囲内であると、粘着特性、作業性、外観特性に優れ、好ましい態様となる。また、前記総厚みとは、基材、粘着剤層、及び帯電防止層やトップコート層などの全ての層を含む厚みの合計を意味する。
【0137】
また、本発明の光学部材は、前記表面保護フィルムにより、保護されていることが好ましい。前記表面保護フィルムを使用することにより、クロスニコル法を用いた前記光学部材の検査時において、前記表面保護フィルムに起因する虹ムラを抑制することができ、前記光学部材の外観検査をスムーズに行うことができ、作業性に優れることになり、有用である。
【実施例】
【0138】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0139】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
【0140】
サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
なお、重量平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
【0141】
<ガラス転移温度の理論値>
ガラス転移温度Tg(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tgn(℃)として下記の文献値を用い、下記の式により求めた。
【0142】
式:1/(Tg+273)=Σ[Wn/(Tgn+273)]
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wn(−)は各モノマーの重量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。〕文献値:
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA):−15℃
【0143】
なお、文献値として、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途展開」(中央経営開発センター出版部発行)及び「Polymer Handbook」(John Wiley & Sons)を参照した。
【0144】
<ガラス転移温度の測定>
ガラス転移温度(Tg)(℃)は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、ARES)を用いて、下記の方法により求めた。
【0145】
(メタ)アクリル系ポリマーのシート(厚み:20μm)を積層して約2mmの厚みとし、これをφ7.9mmに打ち抜き、円柱状のペレットを作製してガラス転移温度測定用サンプルとした。
【0146】
上記測定サンプルをφ7.9mmパラレルプレートの治具に固定し、上記動的粘弾性測定装置により、損失弾性率G’’の温度依存性を測定し、得られたG’’カーブが極大となる温度をガラス転移温度(℃)とした。
【0147】
測定条件は下記の通りである。
・測定:せん断モード
・温度範囲:−70℃〜150℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
【0148】
[実施例1]
<帯電防止処理フィルムの作製>
帯電防止剤(ソルベックス社製、マイクロソルバーRMd−142、酸化スズとポリエステル樹脂を主成分とする)10重量部を、水30重量部とメタノール70重量部からなる混合溶媒で希釈することにより帯電防止剤溶液を調製した。
【0149】
得られた帯電防止剤溶液を、基材である二軸延伸後のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂株式会社製、T190−38、厚さ:38μm、配向
角:83°)上にマイヤーバーを用いて塗布し、130℃で1分間乾燥することにより溶剤を除去して、帯電防止層(厚さ:0.2μm)を形成し、帯電防止処理フィルムを作製した。
【0150】
<アクリル系ポリマーの調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)200重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を調製した。前記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は54万、ガラス転移温度(Tg)は、−68℃であった。
【0151】
<粘着剤溶液の調製>
上記アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、架橋剤としてトリメチロ−ルプロパン/トリレンジイソシアネ−ト(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL、75重量%)1.0重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液を調製した。
【0152】
<表面保護フィルムの作製>
上記アクリル系粘着剤溶液を、上記帯電防止処理フィルムの帯電防止処理面とは反対の面に塗布し、130℃で2分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離ライナー、厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、表面保護フィルム(配向
角:83°)を作製した。
【0153】
[実施例2]
実施例1の基材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂株式会社製、T190−38、厚さ:38μm、配向
角:83°)の代わりに、二軸延伸後のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム社製、GFK38、厚さ:38μm、配向
角:87°)を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により、表面保護フィルム(配向
角:87°)を作製した。
【0154】
[実施例3]
<コーティング材の調製>
バインダとしてのポリエステル樹脂(バインダ)を25重量%含む分散液(東洋紡株式会社製品、商品名「バイナロールMD−1480」(飽和共重合ポリエステル樹脂の水分散液);以下「バインダ分散液」ともいう。)を用意した。
また、滑り剤として、カルナウバワックス(日本ワックス社製、商品名「精製カルナウバワックッス2号粉末」)の水分散液(以下「滑り剤分散液」ともいう。)を用意した。
さらに、導電性ポリマーとして、ポリ(3,4−ジオキシチオフェン)(PEDOT)0.5重量%、及び、ポリスチレンスルホネート(数平均分子量15万)(PSS)0.8重量%を含む水溶液(H.C.Stark社製品、商品名「Baytron P」;以下「導電性ポリマー水溶液」ともいう。)を用意した。
水とエタノールとの混合溶媒(重量比が、50:50)に、上記バインダ分散液を固形分量で100重量部と、上記滑り剤分散液を固形分量で30重量部と、上記導電性ポリマー水溶液を固形分量で50重量部と、メラミン系架橋剤7重量部とを加え、約20分間攪拌して、十分に混合した。このようにして、NV約0.15重量%のコーティング材を調製した。
【0155】
<トップコート層の形成>
基材である二軸延伸後のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂株式会社製、T190−38、厚さ:38μm、配向
角:83°)上に、上記コーティング材をバーコーターで塗付し、130℃に2分間加熱して乾燥させた。このようにして、PETフィルムの片面に厚さ10nmの透明なトップコート層を有する基材(トップコート付き基材)を作製した。
【0156】
<粘着剤溶液の調製>
上記得られたポリマー溶液(アクリル系ポリマーのトルエン溶液)に、その固形分100重量部に対して、アルキレンオキシド化合物としての数平均分子量(Mn)2000のジオール型ポリプロピレングリコール(PPG)(和光純薬工業社製)0.5重量部と、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートL」)4.5重量部と、架橋触媒としてのジラウリン酸ジブチルスズ(1%酢酸エチル溶液)0.20重量部と、最終的なNVが25重量%となる分量のトルエンとを加え、常温(25℃)下で約1分間混合攪拌して、アクリル系粘着剤溶液を調製した。
【0157】
<表面保護フィルムの作製>
PETフィルムの片面にシリコーン系剥離処理剤による剥離処理が施された離型シートを用意した。この離型シートの剥離面(上記剥離処理が施された面)上に上記粘着剤組成物(溶液)を塗付し、乾燥させて、厚み20μmのアクリル系粘着剤層を形成した。その粘着剤層を上記トップコート付き基材の他方の面(第二面、すなわち上記トップコート層が設けられていない面)に貼り合わせた後、50℃、15%RHの環境下で3日間養生(エージング)して、表面保護フィルム(配向
角:83°)を得た。
【0158】
[実施例4]
トップコート層の厚みを、50nmに調製した以外は、実施例3と同様の手法により、表面保護フィルム(配向
角:83°)を得た。
【0159】
[比較例1]
実施例1の基材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂株式会社製、T190−38、厚さ:38μm、配向
角:83°)の代わりに、二軸延伸後のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂株式会社製、T100−38、厚さ:38μm、配向
角:55°)を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により、表面保護フィルム(配向
角:55°)を作製した。
【0160】
上記実施例および比較例で得られた表面保護フィルムについて、以下の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0161】
<ポリエステルフィルムの配向
角>
大塚電子株式会社製RETS-100を用いて、実施例、及び比較例で使用する基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの幅(ヨコ)方向(1.5m)に等間隔で(37.5cm間隔)で、合計5点を測定し、その最小値を配向
角(°)とした。
【0162】
<表面保護フィルムの配向
角>
大塚電子株式会社製RETS-100を用いて、実施例、及び比較例の表面保護フィルムから、前記剥離ライナーを剥離した後の表面保護フィルムの幅(ヨコ)方向(1.5m)に等間隔(37.5cm間隔)で、合計5点を測定し、その最小値を配向
角(°)とした。
【0163】
<虹ムラ(クロスニコル法)>
クロスニコル状態にした2枚の偏光板(日東電工株式会社製、SEG1423DU)の間に、実施例、及び比較例で得られた表面保護フィルムを、表面保護フィルムのMD(縦)方向と、片方の偏光板の透過軸とが平行になるように配置し、偏光板の下側から蛍光灯の光を照射した際の虹ムラの発生具合を目視にて、評価した。
○:虹ムラ発生なし
×:虹ムラ発生あり
【0164】
<トップコート層の厚み測定>
各例に係る表面保護フィルムにつき、重金属染色処理を行った後に樹脂包埋を行い、超薄切片法により、日立社製のTEM「H−7650」を用いて、加速電圧:100kV、倍率:60,000倍の条件で断面画像を得た。この断面画像の二値化処理を行った後、視野内のサンプル長さでトップコートの断面積を除算することにより、トップコート層の厚さ(視野内の平均厚さ)を実測した。
【0165】
<耐白化性評価>
各例に係る表面保護フィルムの背面(トップコート層の表面)を、手袋をはめた試験者が1回強く擦り、その擦られた部分(擦過部)が周囲(非擦過部)と比べて透明に抜けるか否かを目視にて観察した。その結果、非擦過部と擦過部との透明性の違いが目視で確認できた場合には、白化が認められたと判定した。白化が顕著になると、透明な擦過部とその周囲(白化した非擦過部)とのコントラストが、よりはっきりする現象がみられる。
上記目視観察は、以下のとおり、暗室(反射法、透過法)および明室において行った。
(a)暗室での反射法による観察:外光を遮った室内(暗室)にて、各例に係る表面保護フィルムの背面(トップコート層の表面)から100cmの位置に100Wの蛍光灯(三菱電機株式会社製、商品名「ルピカライン」)を配置し、視点を変えながらサンプルの背面を目視観察した。
(b)暗室での透過法による観察:上記暗室にて、表面保護フィルムの前面(トップコートが設けられた側とは反対側の表面)から10cmの位置に上記蛍光灯を配置し、視点を変えながらサンプルの背面を目視観察した。
(c)明室での観察:外光の入る窓を有する室内(明室)にて、晴天の日中に、直射日光の当たらない窓際にてサンプルの背面を目視観察した。
これら3種類の条件下における観察結果を、以下の5段階で表記した。
0:いずれの観察条件においても白化(擦過部と非擦過部とのが透明に)は認められなかった。
1:暗室での反射法による観察において僅かな白化が認められた。
2:暗室での透過法による観察において僅かな白化が認められた。
3:明室での観察において僅かな白化が認められた。
4:明室での観察において明らかな白化が認められた。
上記の耐白化性評価を、初期(作製後、50℃、15%RHの条件下に3日間保持したもの)および加温加湿後(作製後、50℃、15%RHの条件下に3日間保持し、さらに60℃、95%RHという高温多湿条件下に2週間保持したもの)の表面保護フィルムについて行った。なお、加熱加湿後の評価においては、前記5段階評価の2以下(0〜2)の場合を良好と判断した。
【0166】
<耐溶剤性評価>
上記暗室において、各例に係る表面保護フィルムの背面(すなわち、トップコート層の表面)をエチルアルコールを染み込ませたウェス(布)で5回拭き、その背面の外観を目視観察した。その結果、エチルアルコールで拭いた部分と他の部分との間に外観上の相違が確認されなかった場合(エチルアルコールで拭いたことによる外観変化がみられなかった場合)には耐溶剤性「良」、拭きムラが確認された場合には耐溶剤性「不良」と評価した。
【0167】
<背面剥離強度測定>
図1に示すように、各例に係る表面保護フィルム1を幅70mm、長さ100mmのサイズにカットし、この表面保護フィルム1の粘着面(粘着剤層が設けられた側)20Aを、両面粘着テープ130を用いてSUS304ステンレス板132上に固定した。ポリエステルフィルム(基材)164上にアクリル系粘着剤162を有する片面粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」、幅24mm)160を100mmの長さにカットした。この粘着テープ160の粘着面162Aを、表面保護フィルム1の背面(すなわち、トップコート層14の表面)1Aに、0.25MPaの圧力、0.3m/分の速度で圧着した。これを23℃、50%RHの条件下に30分間放置した。その後、万能引張試験機を用いて、表面保護フィルム1の背面1Aから粘着テープ160を、剥離速度0.3m/分、剥離角度180度の条件で剥離し、このときの剥離強度[N/24mm]を測定した。
なお、前記背面剥離強度が、3〜10N/24mmであることが好ましく、5〜8N/24mmであることがより好ましい。
【0168】
<ピックアップ性>
図2に示すように、各例に係る表面保護フィルム1を幅50mm、長さ100mmのサイズにカットし、この表面保護フィルム1の粘着面(粘着剤層が設けられた側)20Aを、プレーン偏光板(日東電工社製のTAC偏光板、SEG1425DU)50上に0.25MPaの圧力、0.3m/分の速度で圧着した。
片面粘着テープ60(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」、幅24mm)を50mmの長さにカットした。この粘着テープ60の粘着面62を、端部が30mmはみ出るように表面保護フィルム1幅50mmの背面(すなわち、トップコート層14の表面)中心上に、手で圧着した。これを23℃、50%RHの条件下に10秒間放置した。その後、片面粘着テープ60を手で剥離し、表面保護フィルム1の剥がれ具合(ピックアップ性)を評価した。
評価基準は表面保護フィルムが剥離可能な場合は○、剥離できずに表面保護フィルムが残ってしまう場合は×とした。
【0169】
<対偏光板剥離強度測定>
被着体として、幅70mm、長さ100mmのプレーン偏光板(日東電工社製のTAC偏光板、SEG1425DU)を用意した。各例に係る表面保護フィルムを幅25mm、長さ100mmのサイズにカットし、その粘着面を上記偏光板に、0.25MPaの圧力、0.3m/分の速度で圧着した。これを23℃、50%RHの環境下に30分間放置した後、同環境下で万能引張試験機を用いて剥離速度30m/分(min)、剥離角度180°の条件で上記偏光板から表面保護フィルムを剥離し、このときの剥離強度(高速剥離強度)[N/25mm]を測定した。
なお、前記剥離強度が、2.0N/25mm未満であることが好ましく、1.5N/25mm以下であることがより好ましい。
【0170】
【表1】
注)表1中の表面保護フィルムとは、基材及び帯電防止層を有する帯電防止フィルムと、粘着剤層を合わせた全体を意味する。
【0171】
【表2】
【0172】
上記表1の評価結果より、実施例1及び2においては、基材であるポリエステルフィルム単体の配向
角を、特定範囲内に調整したものを使用したことにより、虹ムラの発生が抑制され、外観検査を精度よく行うことができることが確認できた。一方、比較例1においては、基材単体の配向
角が、特定範囲を外れたものを使用したことにより、虹ムラの発生が認められ、外観検査の精度が落ちることが確認された。
【0173】
上記表2の評価結果より、実施例3及び4においては、基材であるポリエステルフィルム単体の配向
角を、特定範囲内に調整したものを使用したことにより、虹ムラの発生が抑制され、更に、トップコート層を設けたため、耐白化性や耐溶剤性、剥離強
角やピックアップ性にも優れることが確認された。