(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249627
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】音質向上装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G10L 21/0388 20130101AFI20171211BHJP
G10L 21/057 20130101ALI20171211BHJP
G10L 21/034 20130101ALI20171211BHJP
【FI】
G10L21/0388
G10L21/057
G10L21/034
【請求項の数】23
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-84883(P2013-84883)
(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2013-222205(P2013-222205A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年11月27日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0039223
(32)【優先日】2012年4月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】李 康 殷
(72)【発明者】
【氏名】金 度 亨
(72)【発明者】
【氏名】李 時 和
【審査官】
鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/012414(WO,A1)
【文献】
特開2009−300707(JP,A)
【文献】
特開2010−020251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の低周波数帯域に対する周波数包絡線を探知する包絡線探知部と、
前記探知された周波数包絡線に基づいて周波数フォールディングを行うことにより前記入力信号の高周波数帯域を復元する信号復元部と、
を備え、
前記信号復元部は、周波数軸上で現在の周波数セクションより低周波数帯域に属する以前周波数セクションに対応する周波数包絡線が平坦であるか否かを決定し、前記決定に基づいて前記現在の周波数セクションに対応する周波数包絡線の平坦化を行うことを特徴とする音質向上装置。
【請求項2】
前記包絡線探知部は、高周波数帯域が除外された入力信号の周波数バンド別のエネルギーを用いて入力信号の周波数包絡線を抽出することを特徴とする請求項1に記載の音質向上装置。
【請求項3】
前記包絡線探知部は、前記周波数包絡線の傾きを時間軸にスムージングして周波数包絡線の時間的な変化に対して平坦化を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の音質向上装置。
【請求項4】
前記信号復元部は、前記高周波数帯域に対して以前周波数セクションに対応する信号をフォールディングして現在の周波数セクションに対応する信号を復元することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の音質向上装置。
【請求項5】
前記信号復元部は、現在の周波数セクションが最初周波数セクションである場合、低周波数帯域に属する以前周波数セクションに対応する信号をフォールディングして現在の周波数セクションに対応する信号を復元することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の音質向上装置。
【請求項6】
入力信号の低周波数帯域に対応する周波数包絡線の傾きを考慮して復元された高周波数帯域に対応する周波数包絡線を調整する包絡線調整部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の音質向上装置。
【請求項7】
前記包絡線調整部は、前記入力信号の現在のフレームに対する全ての周波数フォールディングが行われた後、前記復元された高周波数帯域に対応する周波数包絡線の調整を行うことを特徴とする請求項6に記載の音質向上装置。
【請求項8】
前記低周波数帯域はカットオフ周波数以前に対応する周波数であり、前記高周波数帯域はカットオフ周波数以後に対応する周波数であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の音質向上装置。
【請求項9】
入力信号の低周波数帯域の周波数包絡線を探知する包絡線探知部と、
前記探知された周波数包絡線のうち、カットオフ周波数に隣接する周波数セクションの周波数包絡線を用いて前記入力信号の高周波数帯域を復元する信号復元部と、
前記低周波数帯域の周波数包絡線の傾きに基づいて前記高周波数帯域の周波数包絡線を調整する包絡線調整部と、
を備え、
前記信号復元部は、周波数軸上で現在の周波数セクションより低周波数帯域に属する以前周波数セクションに対応する周波数包絡線が平坦であるか否かを決定し、前記決定に基づいて前記現在の周波数セクションに対応する周波数包絡線の平坦化を行うことを特徴とする音質向上装置。
【請求項10】
前記包絡線探知部は、前記低周波数帯域の周波数バンドを用いて周波数包絡線を探知することを特徴とする請求項9に記載の音質向上装置。
【請求項11】
前記信号復元部は、前記カットオフ周波数以前の低周波数帯域に基づいて周波数フォールディングを行うことにより前記入力信号の高周波数帯域を復元することを特徴とする請求項9又は10に記載の音質向上装置。
【請求項12】
入力信号の低周波数帯域に対する周波数包絡線を探知するステップと、
前記探知された周波数包絡線に基づいて周波数フォールディングを行うことにより前記入力信号の高周波数帯域を復元するステップと、
を含み、
前記入力信号の高周波帯域を復元するステップは、周波数軸上で現在の周波数セクションより低周波数帯域に属する以前周波数セクションに対応する周波数包絡線が平坦であるか否かを決定し、前記決定に基づいて前記現在の周波数セクションに対応する周波数包絡線の平坦化を行うことを特徴とする音質向上方法。
【請求項13】
前記周波数包絡線を探知するステップは、高周波数帯域が除外された入力信号の周波数バンド別のエネルギーを用いて入力信号の周波数包絡線を抽出することを特徴とする請求項12に記載の音質向上方法。
【請求項14】
周波数包絡線を探知するステップは、前記周波数包絡線の傾きを時間軸にスムージングして周波数包絡線の変化に対して平坦化を行うことを特徴とする請求項12又は13に記載の音質向上方法。
【請求項15】
前記高周波数帯域の入力信号を復元するステップは、前記高周波数帯域に対して以前周波数セクションに対応する信号をフォールディングして現在の周波数セクションに対応する信号を復元することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の音質向上方法。
【請求項16】
前記高周波数帯域の入力信号を復元するステップは、現在の周波数セクションが最初周波数セクションである場合、低周波数帯域に属する以前周波数セクションに対応する信号をフォールディングして現在の周波数セクションに対応する信号を復元することを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載の音質向上方法。
【請求項17】
入力信号の低周波数帯域に対応する周波数包絡線の傾きを考慮して復元された高周波数帯域に対応する周波数包絡線を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12乃至16のいずれか一項に記載の音質向上方法。
【請求項18】
前記復元された高周波数帯域に対応する周波数包絡線を調整するステップは、前記入力信号の現在のフレームに対する全ての周波数フォールディングが行われた後、前記復元された高周波数帯域に対応する周波数包絡線の調整を行うことを特徴とする請求項12乃至17のいずれか一項に記載の音質向上方法。
【請求項19】
前記低周波数帯域はカットオフ周波数以前に対応する周波数であり、前記高周波数帯域はカットオフ周波数以後に対応する周波数であることを特徴とする請求項12乃至18のいずれか一項に記載の音質向上方法。
【請求項20】
入力信号の低周波数帯域の周波数包絡線を探知するステップと、
前記探知された周波数包絡線のうち、カットオフ周波数に隣接する周波数セクションの周波数包絡線を用いて前記入力信号の高周波数帯域を復元するステップと、
前記低周波数帯域の周波数包絡線の傾きに基づいて前記高周波数帯域の周波数包絡線を調整するステップと、
を含み、
前記入力信号の高周波帯域を復元するステップは、周波数軸上で現在の周波数セクションより低周波数帯域に属する以前周波数セクションに対応する周波数包絡線が平坦であるか否かを決定し、前記決定に基づいて前記現在の周波数セクションに対応する周波数包絡線の平坦化を行うことを特徴とする音質向上方法。
【請求項21】
前記低周波数帯域の周波数包絡線を探知するステップは、前記低周波数帯域の周波数バンドを用いて周波数包絡線を探知することを特徴とする請求項20に記載の音質向上方法。
【請求項22】
前記高周波数帯域の入力信号を復元するステップは、前記カットオフ周波数以前の低周波数帯域に基づいて周波数フォールディングを行うことにより前記入力信号の高周波数帯域を復元することを特徴とする請求項20又は21に記載の音質向上方法。
【請求項23】
請求項12乃至22のいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムが記録されたコンピュータで読み出し可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下記の説明は音質向上装置及び方法に関し、より詳しくは、低周波数帯域に対応する信号を用いて高周波数帯域に対応する信号を復元する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オーディオコンテンツは、主にMP3またはWMA(Windows(登録商標)Media Audio)などのような符号化技術によって圧縮されて表現されたり、格納される。このような符号化技術は、周波数領域で人の聴覚特性を示す心理音響モデルを用いる方式が活用される。ここで、従来の符号化技術は、符号化効率を向上させながらも音質が低下されることを防止するために人の耳によく聞こえない高周波成分を符号化しない。また、圧縮されたオリジナル音源が低ビット率に圧縮されていなくても、サンプリングレートが低くて高周波数帯域の音源が存在しない場合も存在することがある。
【0003】
この場合に、周波数帯域の拡張技術によって高周波数帯域の信号を復元する方法が必要である。ここで、周波数帯域の拡張技術は、低周波数帯域の信号を周波数軸に応じて高周波数帯域にシフトしてもよい。
【0004】
この場合、従来の場合は、
図2に示すように低周波数帯域と高周波数帯域を区分するカットオフ周波数で不連続性が発生することがある。そして、従来の場合は、
図3に示すように実際に高周波数帯域の包絡線が低周波数帯域の包絡線とは異なる傾向を表すにもかかわらず、単に低周波数帯域の信号をシフトすることで高周波数帯域の信号にエラーが発生することがある。
【0005】
このような問題により高周波数帯域の信号を復元しても低い音質の結果が導出される。したがって、より優れた音質を有する信号を復元する方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、低周波数帯域の信号から高周波数帯域の信号を復元することによって音源の明瞭度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る音質向上装置は、入力信号の低周波数帯域に対する周波数包絡線を探知する包絡線探知部と、前記周波数包絡線により周波数セクション単位に周波数フォールディングを行って高周波数帯域の入力信号を復元する信号復元部とを備える。
【0008】
一実施形態に係る音質向上装置は、入力信号の低周波数帯域の周波数包絡線を探知する包絡線探知部と、前記探知された周波数包絡線のうち、カットオフ周波数に隣接する周波数セクションの周波数包絡線を用いて高周波数帯域の入力信号を復元する信号復元部と、前記低周波数帯域の周波数包絡線の傾きを考慮して前記高周波数帯域の周波数包絡線を調整する包絡線調整部とを備える。
【0009】
一実施形態に係る音質向上方法は、入力信号の低周波数帯域に対する周波数包絡線を探知するステップと、前記周波数包絡線により周波数セクション単位に周波数フォールディングを行って高周波数帯域の入力信号を復元するステップとを含む。
【0010】
一実施形態に係る音質向上方法は、入力信号の低周波数帯域の周波数包絡線を探知するステップと、前記探知された周波数包絡線のうち、カットオフ周波数に隣接する周波数セクションの周波数包絡線を用いて高周波数帯域の入力信号を復元するステップと、前記低周波数帯域の周波数包絡線の傾きを考慮して前記高周波数帯域の周波数包絡線を調整するステップとを含む。
【発明の効果】
【0011】
一実施形態によれば、音源の明瞭度が向上される。一実施形態によれば、カットオフ周波数前後の不連続性を減らし、低周波数帯域のハーモニックノイズ発生を減らすことができる。
【0012】
一実施形態によれば、誤った高周波数帯域の信号による音質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係るオーディオを処理する過程を示す図である。
【
図2】カットオフ周波数の近所における不連続性を説明するための図である。
【
図3】従来の高周波数帯域の包絡線を調整する過程を説明するための図である。
【
図4】一実施形態に係る音質向上装置を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る音質向上装置の細部構成を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る音質向上装置の細部動作を説明するための図である。
【
図7】一実施形態に係る低周波数帯域に対する周波数包絡線を探知する過程を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る高周波数帯域の信号を復元する過程を示す図である。
【
図9】一実施形態に係る第1フォールディング方式と第2フォールディング方式とを比較した結果を示す図である。
【
図10】一実施形態に係る高周波数帯域の周波数包絡線を平坦化する過程を示す図である。
【
図11】一実施形態に係る高周波数帯域の包絡線を調整した結果を示す図である。
【
図12】一実施形態に係る音質向上方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を添付する図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、一実施形態に係るオーディオを処理する過程を示す図である。一実施形態によれば、低ビット率または低いサンプリングレートで圧縮されたオーディオは、オーディオデコーダ101によって復元される。ここで、圧縮されたオーディオは、単に低周波数帯域信号または広帯域信号の低周波数帯域に対するオーディオ信号を示してもよい。または、圧縮されたオーディオは、例えば、大部分が低周波数情報を含んでいる広帯域信号を示したり、または、単に最小限の低周波数情報のみを有している広帯域信号を示してもよい。次に、デジタルリサンプラ102によって高周波数帯域の音源が消失した信号が出力される。その後、一実施形態に係る音質向上装置103は、高周波数帯域が除外された入力信号で高周波数帯域の信号を復元する。グラフ105は、高周波数帯域が除外された入力信号を意味する。そして、グラフ106は、低周波数帯域及び復元された高周波数帯域の出力信号を意味する。グラフ106は、復元された高周波数帯域信号106bだけではなく、例えば、高周波数帯域を復元する前に実際にフィルタリングできる補助的な高周波数帯域情報106aを示す。復元された出力信号は、デジタル−アナログコンバータ104を介して最終的に出力される。
【0016】
図2は、カットオフ周波数の近所での不連続性を説明するための図である。
図2に示すように、高周波数帯域の信号を復元するために、単にカットオフ周波数帯域を中心に低周波数帯域の信号をシフトすれば、カットオフ周波数の近所で不連続性が発生することがある。ここで、カットオフ周波数は、低周波数帯域と高周波数帯域を区分する周波数を意味する。人は高周波数帯域の信号より低周波数帯域の信号をさらに敏感に聴取する。したがって、低周波数帯域の信号を高周波数帯域の信号よりも巧みに復元しなければならない。
【0017】
しかし、単に低周波数帯域の信号をカットオフ周波数を中心にシフトする場合、復元された高周波数帯域のうち最も低い周波数帯域の信号はオリジナル信号と全く類似しない場合もある。
【0018】
図3は、従来の高周波数帯域の包絡線を調整する過程を説明するための図である。従来には、復元された高周波数帯域の包絡線を調整するとき、カットオフ周波数の前に位置する2つの周波数バンドE
i−2とE
i−1に対応する包絡線の傾きを利用すれば、
図3に示すような問題が発生し得る。具体的に、周波数バンドE
i−2とE
i−1の関係が例外的である場合、周波数バンドE
i−2とE
i−1を用いて復元された高周波数帯域の包絡線を調整すれば、実際包絡線302とは異なって、包絡線301のようなエラーが発生することがある。このようなエラーによって音質の低下が発生する。
【0019】
一実施形態は、
図2及び
図3に示すような問題が発生しないと共に最もオリジナル信号と類似するように復元することのできる方法を提供する。
【0020】
図4は、一実施形態に係る音質向上装置を示す図である。
図4を参考にすると、音質向上装置401は入力信号を用いて出力信号を生成する。ここで、入力信号は、高周波数帯域の信号が消失されて低周波数帯域の信号のみが存在すると仮定する。これによって、音質向上装置401は、低周波数帯域の信号を用いて高周波数帯域の信号を復元することで最終的な出力信号を生成することができる。
【0021】
一実施形態によれば、低周波数帯域の信号から高周波数帯域の信号を復元することによって音源の明瞭度が向上される。
【0022】
一実施形態によれば、カットオフ周波数の近所で周波数セクション単位に応じて順次フォールディングして高周波数帯域の信号を復元することによって、カットオフ周波数前後の不連続性を減らし、低周波数帯域のハーモニックノイズの発生を減らすことができる。
【0023】
一実施形態によれば、復元された高周波数帯域の信号を低周波数帯域の包絡線の傾きに応じて調整することによって、誤った高周波数帯域の信号による音質の低下を防止することができる。
【0024】
以下は、音質向上装置の動作に対して具体的に説明する。
【0025】
図5は、一実施形態に係る音質向上装置の細部構成を示す図である。
図5を参考にすると、音質向上装置501は、包絡線探知部502、信号復元部503及び包絡線調整部504を備える。
【0026】
包絡線探知部502は、入力信号の低周波数帯域の周波数包絡線を探知する。一例として、包絡線探知部502は、高周波数帯域が除外された入力信号の周波数バンド別のエネルギーを用いて入力信号の包絡線を抽出する。ここで、包絡線探知部502は、包絡線の傾きを時間軸にスムージングして包絡線の変化度に対して平坦化を行う。本発明において、低周波数帯域はカットオフ周波数の前に対応する周波数を意味し、高周波数帯域はカットオフ周波数の後に対応する周波数を意味する。
【0027】
信号復元部503は、探知された包絡線のうちカットオフ周波数に隣接するセクションの包絡線を用いて高周波数帯域の入力信号を復元する。一例として、信号復元部503は、周波数包絡線により周波数セクション単位で周波数フォールディングを行って高周波数帯域の入力信号を復元してもよい。具体的に、信号復元部503は、高周波数帯域に対して以前周波数セクションに対応する信号をフォールディングして現在の周波数セクションに対応する信号を生成してもよい。ここで、現在の周波数セクションが最初周波数セクションである場合、信号復元部503は低周波数帯域に属する以前周波数セクションに対応する信号をフォールディングして現在の周波数セクションに対応する信号を生成してもよい。そして、信号復元部503は、以前周波数セクションに対応する包絡線が平坦であるか否かを考慮して現在の周波数セクションに対応する包絡線の平坦化を行う。
【0028】
包絡線調整部504は、入力信号の低周波数帯域に対応する包絡線の傾きを考慮して復元された高周波数帯域に対応する包絡線を調整する。
【0029】
図6は、一実施形態に係る音質向上装置の細部動作を説明するための図である。
【0030】
ステップ601において、時間ドメインの入力信号x(t)は周波数ドメインの入力信号であるX(m、k)に変換される。ここで、x(t)は高周波数帯域の信号が消失した入力信号を意味する。本発明において、音質向上の過程はフレーム単位で行われ、このようなフレームインデックスはmに表現される。そして、kは周波数インデックスを示す。周波数ドメインに変換された入力信号は音質向上装置に入力されてもよい。
【0031】
ステップ602において、音質向上装置は、入力信号X(m、k)で低周波数帯域に対応する周波数バンド別のエネルギー値を決定する。その後、音質向上装置は、周波数バンド別のエネルギー値を用いて低周波数帯域に対応する周波数包絡線の傾きγ(m)を導き出すことができる。
【0032】
ステップ603において、音質向上装置は、復元する高周波数帯域に対応する信号を復元する。一例として、音質向上装置は、カットオフ周波数を中心に低周波数帯域の信号をフォールディングして高周波数帯域の信号を復元してもよい。ここで、フォールディングされる低周波数帯域の包絡線が平坦化されない場合、音質向上装置は、フォールディングされる低周波数帯域の包絡線を平坦化してもよい。
【0033】
その後、音質向上装置は、高周波数帯域に対して周波数セクション単位に応じて順次信号をフォールディングすることによって、高周波数帯域に対応する信号を復元する。
【0034】
ステップ604において、音質向上装置は、ステップ602で導き出された低周波数帯域の包絡線の傾きに基づいて復元された高周波数帯域の包絡線を調整する。ステップ605において、最終的に導き出された周波数ドメインの信号Y(m、k)は、時間ドメインに変換されて出力信号y(t)が生成される。出力信号y(t)は、高周波数帯域の信号が復元されたため、高周波数帯域の信号が損失された入力信号x(t)に比べて優れた明瞭度を有し、さらに豊かな音質を有する。
【0035】
図7は、一実施形態に係る低周波数帯域に対する周波数包絡線を探知する過程を示す図である。
【0036】
ステップ701において、音質向上装置は、入力信号X(m、k)で低周波数帯域に対応する周波数バンド別のエネルギーE
iを算出する。ここで、X(m、k)は周波数ドメインに変換された入力信号を意味する。ここで、低周波数帯域は、I個の周波数バンドに区分されてもよい。
【0037】
音質向上装置は、下記の数式(1)により周波数バンド別のエネルギーを算出する。
【0038】
【数1】
ここで、E
iは周波数バンドに対応するエネルギーを意味する。そして、iは周波数バンドのインデックスを示し、f
iはi番目の周波数バンドで開始周波数のインデックスを示す。そして、*は共役複素数を意味する。
【0039】
ステップ702において、音質向上装置は、周波数バンド別のエネルギーを用いて低周波数帯域に対応する周波数包絡線の傾きを算出する。
【0040】
【数2】
ここで、V
n(α)は周波数包絡線を意味する。そして、αは周波数包絡線の傾きを意味する。Iは周波数バンドの個数を意味する。
【0041】
実際周波数包絡線に対して最も類似の周波数包絡線の傾きを導出するために、音質向上装置は数式(3)により周波数包絡線と傾き間の誤差を算出する。
【0042】
【数3】
ここで、Err(α)は、低周波数帯域の周波数包絡線と傾きによる周波数包絡線との間の誤差を示す。そして、Aは周波数包絡線に対する傾き候補の最大値を示す。フレームmで低周波数帯域の周波数包絡線と傾きによる周波数包絡線間の誤差を最小化する傾き値γ’(m)は数式(4)により導き出されたγ’(m)は時間ドメイン上で突然の変化によって発生するノイズを減らすためにスムージングが必要である。
【0043】
これによって、ステップ703において、音質向上装置は周波数包絡線のスムージングを行う。一例として、音質向上装置は、下記の数式(4)により周波数包絡線のスムージングを行う。
【0044】
【数4】
数式(4)によると、以前フレームの傾きと現在フレームの傾きを組み合わせて周波数包絡線のスムージングを行ってもよい。具体的に、音質向上装置は、包絡線の傾きを時間軸にスムージングして包絡線の変化度に対して平坦化を行う。ここで、γ’(m)はスムージングが適用された最終周波数包絡線の傾きを意味する。βは組合係数として現在包絡線の傾きを最終結果にどれほど反映するかを示す。mは現在のフレームに対応し、m−1は以前フレームに対応する。
【0045】
もし、βが1に近接すれば、最終的な周波数包絡線の傾きγ(m)は現在のフレームに対応する包絡線の傾きとして決定され、βが0に近接すれば、最終的な周波数包絡線の傾きγ(m)は以前フレームに対応する包絡線の傾きとして決定される。
【0046】
図8は、一実施形態に係る高周波数帯域の信号を復元する過程を示す図である。
図8から分かるように、高周波数帯域は予め決定されたN個の周波数セクション単位に区分してもよい。音質向上装置は、周波数セクション別に高周波数帯域の信号を復元する。ここで、音質向上装置は、高周波数帯域に対して低い周波数から高い周波数の順序に応じて移転周波数セクションに対応する信号をフォールディングすることで、高周波数帯域の信号を復元してもよい。ここで、最初に位置する周波数セクションの場合、カットオフ周波数以前に位置する低周波数帯域の信号をフォールディングすることによって当該の周波数セクションに対応する信号が復元されてもよい。
【0047】
図8に示す方式によれば、音質向上装置は、低周波数帯域の信号全体をそのままフォールディングする場合、低周波数帯域の強いハーモニック信号によるノイズの発生を減らすことができる。
【0048】
図9は、一実施形態に係る第1フォールディング方式と第2フォールディング方式とを比較した結果を示す図である。
【0049】
第1フォールディング方式は、カットオフ周波数を中心に低周波数帯域の信号全体を高周波数帯域でフォールディングしたことを意味する。そして、第2フォールディング方式は、高周波数帯域の信号を周波数セクション単位に応じて順次フォールディングすることを意味する。周波数セクション0に対応する信号は、カットオフ周波数以前の低周波数帯域の信号一部をフォールディングすることによって復元される。そして、周波数セクション1に対応する信号は、周波数セクション0に対応する信号をフォールディングすることによって復元される。このような方式により、高周波数帯域に対して周波数セクション1から周波数セクションNまで信号が復元され得る。
【0050】
第1フォールディング方式によれば、低周波数帯域における強いハーモニックノイズが高周波数帯域に含まれる。しかし、第2フォールディング方式は、低周波数帯域のハーモニックノイズが高周波数帯域に含まれないため、ノイズによる音質劣化は発生しない。
【0051】
図10は、一実施形態に係る高周波数帯域の周波数包絡線を平坦化する過程を示す図である。
図10において、n番目の周波数セクションの開始周波数インデックスをf
nとすれば、最後の周波数インデックスはf
n+1−1となる。ここで、周波数セクション0の開始周波数インデックスは、復元しなければならない高周波数帯域の最初の周波数インデックスであるカットオフ周波数となる。
【0052】
ステップ1001において、音質向上装置は周波数セクション単位にフォールディングを行う。ここで、音質向上装置は、以前周波数セクションに対応する信号をフォールディングして現在の周波数セクションに対応する信号を復元する。信号をフォールディングする過程は下記の数式(5)によって表現される。
【0053】
【数5】
f
nはn番目の周波数を意味する。
【0054】
ステップ1002において、音質向上装置は、flat_frequencyが0であるか否かを判断する。ここで、flat_frequencyは、以前周波数セクションに対応する包絡線が平坦化されたか否かを示す。もし、flat_frequencyが0であれば、包絡線が平坦化されていないことを意味し、flat_frequencyが1であれば、包絡線が平坦化された結果を意味する。
【0055】
これによって、flat_frequencyが0であれば、ステップ1003によって音質向上装置は周波数包絡線の平坦化を行う。周波数包絡線の平坦化は数式(6)により行われる。
【0056】
【数6】
ここで、v
kは周波数包絡線に対する最適の傾きによって生成された包絡線を意味する。大部分の周波数包絡線の平坦化は、高周波数帯域に対して最初の周波数セクションで行われる。
【0057】
そして、ステップ1004において、次の周波数セクションで重複に周波数包絡線の平坦化が行われないように音質向上装置はflat_frequencyを1にセッティングしてもよい。先のステップ1002において、flat_frequencyが1であれば、音質向上装置は周波数セクション単位のフォールディング後にいずれの動作も行うことなく終了する。
【0058】
図11は、一実施形態に係る高周波数帯域の包絡線を調整した結果を示す図である。
図11は、復元された高周波数帯域の包絡線を調整してシェーピングした結果を示す。グラフ1101は周波数包絡線のシェーピングを行う前の結果を示し、グラフ1102は周波数包絡線のシェイプを行った後の結果を示す。周波数包絡線のシェーピングは、低周波数帯域の包絡線の傾向を高周波数帯域の包絡線にも適用することを意味する。
【0059】
図11を参照すると、低周波数帯域の包絡線の傾きに応じて高周波数帯域の包絡線も減少することが分かる。高周波数帯域の周波数包絡線は下記の数式(7)により調整される。
【0060】
【数7】
ここでf
cut_offはカットオフ周波数を示し、f
maxは最大周波数を示す。そして、v
kは周波数包絡線に対する最適の傾きによって生成された包絡線を意味する。
【0061】
図12は、一実施形態に係る音質向上方法を説明するための図である。ステップ1201において、音質向上装置は入力信号の低周波数帯域の周波数包絡線を探知する。一例として、音質向上装置は、高周波数帯域が除外された入力信号の周波数バンド別のエネルギーを用いて入力信号の包絡線を抽出してもよい。ここで、音質向上装置は包絡線の傾きを時間軸にスムージングして包絡線の変化度に対して平坦化を行う。
【0062】
ステップ1202において、音質向上装置は探知された包絡線のうち、カットオフ周波数に隣接するセクションの包絡線を用いて高周波数帯域の入力信号を復元する。一例として、音質向上装置は、周波数包絡線により周波数セクション単位に周波数フォールディングを行って高周波数帯域の入力信号を復元してもよい。具体的に、音質向上装置は、高周波数帯域に対して以前周波数セクションに対応する信号をフォールディングして現在の周波数セクションに対応する信号を生成してもよい。ここで、現在の周波数セクションが最初の周波数セクションである場合、音質向上装置は、低周波数帯域に属する以前周波数セクションに対応する信号をフォールディングして現在の周波数セクションに対応する信号を生成する。そして、音質向上装置は、以前周波数セクションに対応する包絡線が平坦であるか否かを考慮して現在の周波数セクションに対応する包絡線の平坦化を行う。
【0063】
ステップ1203において、音質向上装置は入力信号の低周波数帯域に対応する包絡線の傾きを考慮して復元された高周波数帯域に対応する包絡線を調整する。
【0064】
実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段を介して様々な処理を実行することができるプログラム命令の形態で実現され、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読取可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などのうちの1つまたはその組合せを含んでもよい。媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり、使用可能なものであってもよい。コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、光ディスクのような光磁気媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれてもよい。
【0065】
上述したように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような実施形態から多様な修正及び変形が可能である。
【0066】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲だけではなく特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
【符号の説明】
【0067】
501 音質向上装置
502 包絡線探知部
503 信号復元部
504 包絡線調整部