特許第6249629号(P6249629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249629
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】ステータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20171211BHJP
   H02K 15/12 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H02K1/18 E
   H02K15/12 E
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-91993(P2013-91993)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-217148(P2014-217148A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】原田 貴雄
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−214613(JP,A)
【文献】 特開昭63−116408(JP,A)
【文献】 特開昭63−056142(JP,A)
【文献】 特開2008−249148(JP,A)
【文献】 特開2006−020479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
H02K 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動弁や電磁弁のステータとして機能するコイルと、前記コイルに接続されたリード線と、前記コイルを収容する樹脂製のカップと、前記カップの一部として構成された樹脂注入口と、前記樹脂注入口から前記カップ内に注入されたモールド樹脂と、を有するステータユニットであって、
前記カップは、前記コイルの一方の端部と前記コイルの外周部を覆う第1のカップ部材と、前記第1のカップ部材の開口部に嵌合されて前記コイルの他方の端部を覆う蓋状の第2のカップ部材と、を備え、
前記樹脂注入口は、前記第1のカップ部材の一部を構成する第1の樹脂注入部と、前記第2のカップ部材の一部を構成する第2の樹脂注入部とを嵌合して構成され、前記コイルの軸線に平行な方向に突出して開口しており、
前記リード線は、前記樹脂注入口から注入された前記モールド樹脂と前記カップ内で一体にモールドされ、前記樹脂注入口から引き出されていることを特徴とするステータユニット。
【請求項2】
前記樹脂注入口の端部は前記第2のカップ部材より高い位置に形成され、前記モールド樹脂は前記第2のカップ部材より高い位置まで注入されたことを特徴とする請求項1記載のステータユニット。
【請求項3】
前記第2のカップ部材の外面に回り止め部材が取り付けられたことを特徴とする請求項1記載のステータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁などに装備されるステータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ボビンにコイルを巻回し、それを樹脂でモールドしてステータユニット(コイルモールド装置)としたものが下記の特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−65994号公報
【特許文献2】特開平10−132126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のステータユニットは、樹脂製のカップ部材内にコイルユニットを配置して、樹脂を注入してモールド成型される。注入する樹脂は、エポキシやウレタン等のように耐湿性に優れるが高粘性の樹脂が使用される。
そのため、樹脂注入の作業性に問題があり、モールド樹脂の硬化後のバリ取りなどを必要としていた。
本発明の目的は、上述した不具合を解消するステータユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のステータユニットは、電動弁や電磁弁のステータとして機能するコイルと、前記コイルに接続されたリード線と、前記コイルを収容する樹脂製のカップと、前記カップの一部として構成された樹脂注入口と、前記樹脂注入口から前記カップ内に注入されたモールド樹脂と、を有する。
前記カップは、前記コイルの一方の端部と前記コイルの外周部を覆う第1のカップ部材と、前記第1のカップ部材の開口部に嵌合されて前記コイルの他方の端部を覆う蓋状の第2のカップ部材と、を備え、前記樹脂注入口は、前記第1のカップ部材の一部を構成する第1の樹脂注入部と、前記第2のカップ部材の一部を構成する第2の樹脂注入部とを嵌合して構成され、前記コイルの軸線に平行な方向に突出して開口しており、前記リード線は、前記樹脂注入口から注入された前記モールド樹脂と前記カップ内で一体にモールドされ、前記樹脂注入口から引き出されている構成を装備している。
【0006】
前記樹脂注入口の端部は前記第2のカップ部材より高い位置に形成され、前記モールド樹脂は前記第2のカップ部材より高い位置まで注入され構成を有する。
さらに、前記第2のカップ部材の外面に回り止め部材が取り付けられた構成を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のステータユニットは上記のように、モールド樹脂を注入するカップ容器を2つの部材で構成し、この2つの部材を密閉度高く接合することで、樹脂の漏出を防止する。そして、樹脂の注入口を狭くし、かつ、その液面を高く制御することでカップ内の部材と完全に一体化したモールド製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のステータユニットの断面図である。
図2】本発明のステータユニットの上面図である。
図3】本発明ステータユニットのまわり止め部材を取り外した状態を示す断面図である。
図4】本発明ステータユニットのまわり止め部材を取り外した状態を示す上面図である。
図5】第1のカップ部材を示し、(a)は上面図、(b)は断面図、(c)は下面図である。
図6】第2のカップ部材を示し、(a)は上面図、(b)は断面図、(c)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び図2に示すように、本発明に係るステータユニット1は、樹脂製カップ100の内部にボビン10にまかれたコイル20を有するステータ30を収容し、溶融した樹脂Pを注入してステータ30、リード線40を一体にモールドして製作する。
【0010】
樹脂製カップ100は溶融した樹脂Pを注入するための樹脂注入口150を有し、ステータ30に連結されるリード線40はこの樹脂注入口150から外部に取り出される。
すなわち、リード線40は、樹脂注入口150を利用してそこからコイル20の軸心と平行に引き出される。リード線40のこの引き出し方向については、冷凍サイクルでの電動弁等としての使用形態では防水・防湿の観点で有利となる下向きになるよう使用される。
ステータ30の内周面はロータユニットなどが挿入される円筒状の中空部50を有する。
樹脂製カップ100は第1のカップ部材110と第2のカップ部材120の2つの部材で構成される。
【0011】
本実施例にあっては、樹脂製カップ100は、中心穴112を有するカップ形状の第1のカップ部材110と、第1のカップ部材110の上面に嵌合される中心穴122を有する蓋状の第2のカップ部材120で構成される。
【0012】
第1のカップ部材110と第2のカップ部材120の接合部Fは、第1のカップ部材110の内周壁114に対して第2のカップ部材120の外縁部126の内側に設けた脚部124を圧入させて形成される。
この構造により、注入された樹脂Pが外へ漏出することはない。
【0013】
また、第2のカップ部材120の上面には、弾性を有する金属板で作られる回り止め部材200が取り付けられる。回り止め部材200は第2のカップ部材120の上面に設けた突部128を利用して第2のカップ部材120上に取り付けられる。回り止め部材200は上方に折り曲げて形成した4本のまわり止め舌片210を有する。
【0014】
樹脂製カップ100は、第1のカップ部材110の底面が鉛直方向Gで下方に位置する姿勢で中空部50に中子を挿入した状態で樹脂Pが注型される。
樹脂製カップ100の樹脂注入口150の上端面の高さ位置Hは、第2のカップ部材120の上面の高さ位置Hより高い位置に設けてある。
【0015】
そして、注入される樹脂の液面HPは、第2のカップ部材120の上面の高さ位置Hより高い位置に設定される。
この構成により、樹脂製カップ100内に注入された樹脂Pはステータ30の周囲を隙間なく覆い、樹脂により確実にモールドされる。
【0016】
図3図4は、第2のカップ部材120の上面に回り止め部材200を取り付けていない状態のステータユニット1の断面図と上面図である。
【0017】
樹脂製カップ100の構成は、図1図2で説明したものと同様であるので、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0018】
第1のカップ部材110は、図5の(a)、(b)、(c)に示すように、中心穴112と上面が開口する内周壁114を有するカップ状のもので、側部に角柱状の樹脂注入部116が形成される。
【0019】
第2のカップ部材120は、図6の(a)、(b)、(c)に示すように、中心穴122を有していて、外縁部126の内側に脚部124が設けられる。
上部には4本のボス部128が設けられ、第1のカップ部材110の樹脂注入部116に対向する樹脂注入部130と係合部132とが形成される。
【0020】
図1の接合部Fで説明したように、第2のカップ部材120を第1のカップ部材110の上面の開口部に合わせ、第2のカップ部材120の脚部124を第1のカップ部材110の内周壁114に圧入することで、密閉度の高い樹脂製カップ100を構成することができる。
【0021】
第1のカップ部材110と第2のカップ部材120とによって構成される樹脂製カップ100は、ステータユニット1の樹脂モールドのためのモールド枠が本来の機能部品であるが、樹脂モールドが完成した完成体の状態では樹脂製カップ100はそのまま外観部品として機能する。
【符号の説明】
【0022】
1 ステータユニット
10 ボビン
30 ステータ
40 リード線
100 樹脂製カップ
110 第1のカップ部材
114 内周壁
116 樹脂注入部
120 第2のカップ部材
130 樹脂注入部
150 樹脂注入口
200 回り止め部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6