(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249632
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】ベアリングのセンサユニットのための一時的な支持部材、ならびにそうした支持部材を備えるセンシングサブアセンブリおよびベアリングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16C 35/06 20060101AFI20171211BHJP
F16C 41/00 20060101ALI20171211BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20171211BHJP
G01D 11/30 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
F16C35/06 Z
F16C41/00
F16C19/06
G01D11/30 S
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-100987(P2013-100987)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2013-238315(P2013-238315A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】12305539.4
(32)【優先日】2012年5月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508282993
【氏名又は名称】アクティエボラゲット・エスコーエッフ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ロイク・アブグラル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・タイユピエ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・ヴェルブ
【審査官】
瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05310266(US,A)
【文献】
特開2005−113930(JP,A)
【文献】
特開2004−278619(JP,A)
【文献】
特表2006−528341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 35/06
F16C 19/06
F16C 41/00
G01D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベアリングアセンブリのセンサユニット(7)のための一時的な支持部材(2)であって、前記支持部材は、センサユニット(7)が前記支持部材(2)に取り付けられかつ別のセンサユニット(7’)が同様の支持部材(2’)に取り付けられた際に、前記同様の支持部材(2’)と積層可能であり、
複数の屈曲部(308)を具備してなり、前記屈曲部(308)はそれぞれ、別の一時的な支持部材に取り付けられたセンサユニット(7)に配置されたセンサ本体(74)の一部または別の一時的な支持部材に取り付けられたセンサユニット(7)と協働するベアリング(8)の一部(82)を収容するためのくぼみ(V308)を形成し、
前記屈曲部(308)は、複数のアーム(304)の自由端に設けられており、前記アーム(304)は、前記支持部材の中央軸線(X2)に平行に延在し、かつ前記センサユニット(7)に配置されたコネクタ(78)を収容するための容積(V30)を前記アーム同士の間に規定することを特徴とする一時的な支持部材。
【請求項2】
前記くぼみ(V308)はそれぞれ、前記中央軸線(X2)を中心とした第1の円筒状壁(3082)と、前記中央軸線に直交する第2の壁(3084)と、によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の一時的な支持部材。
【請求項3】
− 前記センサユニット(7)のセンサ本体(74)の少なくとも一部を収容するための第1の部分(10)と、
− 前記センサ本体に接続されたケーブル(76)を、巻きつけ構造で収容するための第2の部分(20)と、
− 前記ケーブルの自由端(761)に取り付けられたコネクタ(78)を収容するための第3の部分(30)と、
を具備してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の一時的な支持部材(2)。
【請求項4】
前記第1の部分(10)は、共通の軸線(X2)に直交する環状部分(102)と前記軸線を中心とする円筒状スカート(104)とによって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の一時的な支持部材。
【請求項5】
前記第2の部分(20)は、前記第1の部分(10)の前記環状部分(102)と前記第3の部分(30)に設けられたディスク(302)との間に規定されていることを特徴とする請求項4に記載の一時的な支持部材。
【請求項6】
前記アーム(304)は前記第3の部分(30)に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の一時的な支持部材。
【請求項7】
前記第1の部分(10)と前記第2の部分(20)とは、円形であり、かつ共通の軸線(X2)を中心としていることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の一時的な支持部材。
【請求項8】
前記共通の軸線(X2)に沿って、前記第2の部分(20)は、前記第1および第3の部分(10,30)の間に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の一時的な支持部材。
【請求項9】
前記第1、第2および第3の部分(10,20,30)は、合成材料からなる一体部品(4)に形成されていることを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の一時的な支持部材。
【請求項10】
前記第3の部分(30)内の適所に前記コネクタ(78)を保持するためのアダプタ(6)を含むことを特徴とする請求項3から請求項9のいずれか一項に記載の一時的な支持部材。
【請求項11】
センサ本体(74)と、前記センサ本体に接続されたケーブル(76)と、前記ケーブルの自由端(761)に取り付けられたコネクタ(78)と、を備えるセンサユニット(7)を具備してなるセンシングサブアセンブリ(A)であって、
前記センシングサブアセンブリはまた、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の一時的な支持部材(2)を含み、かつ前記センサユニット(7)は、前記支持部材(2)に取り付けられていることを特徴とするセンシングサブアセンブリ。
【請求項12】
前記一時的な支持部材は、前記センサユニット(7)のセンサ本体(74)の少なくとも一部を収容するための第1の部分(10)と、前記センサ本体に接続されたケーブル(76)を、巻きつけ構造で収容するための第2の部分(20)と、前記ケーブルの自由端(761)に取り付けられたコネクタ(78)を収容するための第3の部分(30)と、を具備してなり、かつ前記センサユニットの前記コネクタ(78)を収容するための前記第3の部分(30)によって規定された容積(V30)の、前記支持部材(2)の中央軸線(X2)に平行に測定された、軸方向寸法(H30)は、前記コネクタが前記容積内に受容される際に前記軸線と平行となる前記コネクタの寸法(H78)よりも大きいことを特徴とする請求項11に記載のセンシングサブアセンブリ。
【請求項13】
前記一時的な支持部材は、前記センサユニット(7)のセンサ本体(74)の少なくとも一部を収容するための第1の部分(10)と、前記センサ本体に接続されたケーブル(76)を、巻きつけ構造で収容するための第2の部分(20)と、前記ケーブルの自由端(761)に取り付けられたコネクタ(78)を収容するための第3の部分(30)と、を具備してなり、かつ前記センサ本体(74)は、前記一時的な支持部材の前記第1の部分(10)の第1の容積(V10)内に受容され、前記ケーブル(76)は、前記一時的な支持部材の前記第2の部分(20)の第2の容積(V20)内で巻かれ、かつ前記コネクタ(78)は、前記一時的な支持部材の前記部分(30)の第3の容積(V30)内に受容されていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のセンシングサブアセンブリ。
【請求項14】
回転リング(84)と、非回転リング(82)と、前記回転リングに取り付けられたエンコーダワッシャ(9)と、を有するベアリング(8)を具備してなるベアリングアセンブリ(B)であって、
前記ベアリングアセンブリはまた、前記非回転リング(82)に取り付けられる、請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のセンシングサブアセンブリ(7)を具備してなることを特徴とするベアリングアセンブリ(B)。
【請求項15】
前記屈曲部(308)によって形成された前記くぼみ(V308)は、前記一時的な支持部材の中央軸線(X2)の周囲に分布しており、その最大直径(d308)は、前記ベアリング(8)の外径(D8)と、または前記センサ本体(74)の外径(D7)と実質的に同一であることを特徴とする請求項14に記載のベアリングアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアリングのセンサユニットのための一時的な支持部材に関するものである。本発明はまた、センサ本体と、当該センサ本体に接続されたケーブルと、当該ケーブルの自由端に取り付けられたコネクタと、一時的な支持部材と、を備えるセンサユニットを具備するセンシングサブアセンブリに関するものである。最終的に、本発明は、ベアリングと上記のようなセンシングサブアセンブリとを備えるベアリングアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベアリングの分野において、ベアリングによって支持された回転部分の、非回転部分に対する回転速度などの回転パラメータを測定するためにタコメータを使用することが知られている。特許文献1に開示されるように、ベアリングの回転リングとともに高速で回転される磁極を備えるエンコーダワッシャと、エンコーダワッシャの周囲でセンサ本体内に分布されるかまたはその前方に配置される1つ以上のセンサと、を使用することができる。そうしたセンサ本体は、ケーブルを介して電力を供給され、このケーブルは、センサ本体に、一般的にはセンサを保持するプリント基板およびセンサ本体内のいくつかの他の電子要素に接続される。このケーブルは、センサ本体の外側に配置された電子制御ユニットへ向けて、センサの出力信号を伝達するよう使用することもできる。そうしたケーブルには、センサ本体とは反対側の自由端において、電源におよび/または電子信号を分配するためのネットワークに接続するためのコネクタが設けられる。センサユニットの意図された用途に応じて、このケーブルは、250mmから850mmの間でおおむね変更される長さを有し、かつこのコネクタは、センサユニットの状況に適応される。
【0003】
そうしたケーブルは、大体において、いくつかのセンサユニットが箱の中で格納される場合にこれらセンサユニットの個々のケーブルが絡み合う傾向を有する限りにおいて、センサユニットの製造工程の自動化を妨げる。さらに作業者がセンサユニットをそのセンサ本体によって把持する際に、ケーブルおよびコネクタは、センサユニットの側方に垂れ下がる傾向がある。そのため、機器を搭載したベアリングアセンブリ(instrumented bearing assemblies)のための製造ラインにあるセンサユニットをロボットが把持して移動させることが困難であった。また公知のセンサユニットのケーブルは、機器を搭載したベアリングアセンブリを組み立てるために、そうしたセンサユニットをいくつかのベアリングに取り付けなければならない作業者にとって扱いにくいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 933 155号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規な支持部材を用いて、こうした問題を解決することを目的としており、この支持部材は、センサユニットをそれぞれ含むベアリングアセンブリの積層体またはそうしたセンサユニットをそれぞれ含むセンシングサブアセンブリの積層体の形成を両立でき、これらベアリングアセンブリまたはセンシングサブアセンブリが使用できる状態にある構造でセンサユニットを保持するのに有効である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明は、ベアリングアセンブリのセンサユニットのための一時的な支持部材に関し、当該支持部材は、センサユニットがこれら支持部材のそれぞれに取り付けられた際に、同様の支持部材と積層可能である。
【0007】
本発明により、いくつかのセンサユニットを堆積体または積層体の形で、場合により関連するベアリングとともに、保管することができる。これは、そうしたセンサユニットまたはベアリングアセンブリを用いる製造工程の自動化を容易にする。
【0008】
本明細書において、回転パラメータは、ベアリングアセンブリのエンコーダワッシャの回転動作の代表的なものである。そうしたパラメータ、角度、速度、変位、加速度、または振動とすることができる。
【0009】
有利ではあるが必須ではない本発明のさらなる態様によれば、この一時的な支持部材は、任意の可能な構造において採用される1つ以上の以下の特徴部を含むことができる。
− 一時的な支持部材は、いくつかの屈曲部を備え、当該屈曲部はそれぞれ、別の一時的な支持部材に取り付けられたセンサユニットに配置されたセンサ本体の一部を収容するための、または別の一時的な支持部材に取り付けられたセンサユニットと協働するベアリングの一部を収容するための、くぼみを形成する。
− 屈曲部は、いくつかのアームの自由端に設けられており、これらアームは、支持部材の中央軸線に平行であり、かつセンサユニットに配置されたコネクタを収容するための容積をこれらアームの間に規定する。
− 各くぼみは、中央軸線を中心とする第1の円筒状壁と、この中央軸線に直交する第2の壁と、によって形成される。
− 一時的な支持部材は、センサユニットのセンサ本体の少なくとも一部を収容するための第1の部分と、センサ本体に接続されたケーブルを巻きつけ構造で収容するための第2の部分と、ケーブルの自由端に取り付けられたコネクタを収容するための第3の部分と、を備える。
− これらアームは、一時的な支持部材の第3の部分に配置されている。
− 第1の部分および第2の部分は、円形でありかつ共通の軸線を中心とする。
− 当該共通の軸線に沿って、第2の部分は、第1の部分と第3の部分との間に配置される。
− 第1、第2および第3の部分は、合成材料からなる一体部品に形成される。
− 一時的な支持部材は、第3の部分内の適所にコネクタを保持するためのアダプタを含む。
【0010】
本発明はまた、センサ本体と、当該センサ本体に接続されたケーブルと、当該ケーブルの自由端に取り付けられたコネクタと、を備えるセンサユニットを具備するセンシングサブアセンブリに関するものである。このセンシングサブアセンブリはまた、上記のような一時的な支持部材を含む。このセンサユニットは、当該支持部材に取り付けられている。
【0011】
有利なことに、この一時的な支持部材は、上述のような第1、第2および第3の部分を含む。また、センサユニットのコネクタを収容するための第3の部分によって規定された容積の、支持部材の中央軸線に平行に測定された、軸方向寸法は、コネクタが当該容積に受容される際の上記軸線に平行なコネクタの寸法よりも大きい。
【0012】
一時的な支持部材が上記のように3つの部分を規定する場合、第1の部分の第1の容積内に受容されるセンサユニットのセンサ本体と、第2の部分の第2の容積内で巻かれるセンサユニットのケーブルと、第3の部分の第3の容積内に受容されるセンサユニットのコネクタと、を有することが可能となる。
【0013】
最終的に、本発明は、回転リングと、非回転リングと、回転リングに取り付けられたエンコーダワッシャと、を有するベアリングを備えるベアリングアセンブリに関するものである。当該ベアリングアセンブリはまた、ベアリングの非回転リング上に取り付けられた上述のセンシングサブアセンブリを備える。
【0014】
本発明の有利な態様によれば、一時的な支持部材は、上記のようないくつかの屈曲部を備える。これら屈曲部のくぼみは、一時的な支持部材の中央軸線の周囲に分布される。くぼみの最大直径は、ベアリングの外径またはセンサ本体の外径と実質的に同一である。
【0015】
本発明は、本発明の対象を制限しない実例として、添付された図面に対応して付与された以下の説明に基づきよりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に基づく一時的な支持部材の斜視図である。
【
図2】より小さなスケールでの、取り付け工程の第1のステップにおける、ベアリングアセンブリのセンサユニットとともに使用される、
図1の支持部材の斜視図である。
【
図3】取り付け工程のさらなるステップに関する、
図2と同様の斜視図である。
【
図4】取り付け工程のさらなるステップに関する、
図2と同様の斜視図である。
【
図5】取り付け工程のさらなるステップに関する、
図2と同様の斜視図である。
【
図6】取り付け工程のさらなるステップに関する、
図2と同様の斜視図である。
【
図7】より大きなスケールでの、
図6のベアリングアセンブリの平面図である。
【
図8】
図7における線VIII−VIIIに沿った断面図である。
【
図9】
図7における線IX−IXに沿った断面図である。
【
図10】一方のベアリングアセンブリ上に他方のベアリングアセンブリが積み重ねられている、
図6のベアリングアセンブリと類似した2つのベアリングアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示される支持部材2は、ホルダ4とアダプタ6とを含み、そのそれぞれは、ポリアミドなどの合成材料から一体部品として形成されている。
【0018】
符号X2は支持部材2の中央軸線を示す。
【0019】
ホルダ4は、軸線X2に直交する環状部分102によって形成された第1の部分10と、軸線X2を中心とする円筒状スカート104と、を有する。符号V10は、部分10の内部容積を示す。
【0020】
本明細書において、軸線X2は、
図1において垂直となるよう仮定されており、かつ支持体2は、スカート104の下縁部1042によって、図示されていない水平面上に位置する。したがって、ホルダ2の一部は、
図1の上方へ向けて方向付けられた場合には上部と言え、また
図1の下方へ向けて方向付けられた場合には下部と言える。
【0021】
ノッチ106は、スカート104に形成されており、かつ環状部102の反対側にある当該スカートの縁部1042まで延在する。
【0022】
ホルダ4の第2の部分20は、部分102と、ホルダ4の第3の部分30に配置されたディスク302と、の間に規定される。第2の部分20は円筒壁202を含み、当該円筒壁202は軸線X2を中心としかつ円形断面を有する。当該円形断面の直径は、スカート104およびディスク302の直径より小さく、スカート104の直径およびディスク302の直径は実質的に等しい。符号V20は部分20の容積を示しており、当該容積は、部分102とディスク302との間で軸線X2に沿って軸線方向において、かつ円筒壁202の外側において、軸線X2に対して半径方向に規定される。
【0023】
ホルダ4の第3の部分30は、4つのアーム304を含み、これらアーム304は、同一であり、かつ軸線X2の周囲において90°で一定の間隔で分布されている。各アームは、全体的に軸線X2に平行に延在し、かつそれぞれの補強ブラケット306を介して、ディスク302のうちの容積V20とは反対側の表面に接続される。ブラケット306のそれぞれは、隣接アーム304が軸線X2に平行な方向に負荷をかけられた場合であっても隣接アーム304を軸線X2に平行な状態に保つことを保証する。
【0024】
アーム304のうちのディスク302とは反対側にある上端部において、各アーム304には屈曲部308が設けられており、屈曲部308は、軸線X2を中心とする円筒の一部分の形態の垂直壁3082と軸線X2に直交する水平壁3084との間に、凹状くぼみV308を形成する。
【0025】
符号V30は部分30の容積を示しており、当該容積は、軸線X2の周囲においてアーム304同士の間で半径方向に規定される。容積V30は、軸線X2に沿って、ディスク302から、屈曲部308の水平壁3024まで広がっている。符号H30は、軸線X2に沿って測定された、容積V30の軸方向高さを示す。
【0026】
ホルダ4はまた、突出部50を含み、当該突出部50は、軸線方向X2に対して半径方向にある方向Δ50に沿って、スカート104から外側に延在する。突出部50は、ノッチ106に隣接して配置され、かつ突出部50のうちスカート104とは反対側の端部において凹状溝502を設けられており、当該凹状溝502は、軸線X2に対して半径方向外側に方向付けられた凹状くぼみV502を規定する。
【0027】
本発明の付加的な態様によれば、ディスク302には、ホルダ4をより軽くより容易に成型されるようにするいくつかの開口303が設けられる。
【0028】
アダプタ6は、ベースプレート61と、プレート61に平行な2つのレール62および63と、を含む。レール62および63は、ホルダ4へのアダプタ6の取り付け構造において、当該プレートの上に延在する。アダプタ6はまた、ベースプレート61に対してレール62および63と同じ側に延在する突起64を含む。アダプタ6はまた、ベースプレート61のうち部分62から64とは反対の面上に延在する3つのピン66,67および68を含む。ピン67には中央スロットが設けられており、そのためピン67は弾性変形可能である。
【0029】
一方で、ディスク302には3つの孔305が設けられており、それぞれの孔305は、ピン66から68のうちの1つを収容するよう構成されている。ピン66から68および孔305は、アダプタ6をホルダ4の第3の部分30の容積V30内に可逆的に取り付け可能とする。
【0030】
支持部材2は、センサユニット7をあらかじめ規定された構造に保持するよう設計されており、このセンサユニットは、ベアリングアセンブリBを構成するためにベアリング8と協働するよう設計されている。
【0031】
ベアリング80は、ベアリング8の中央軸線X8を中心とする非回転外側リング82と回転可能な内側リング84とを含む。単列のボール86が、回転体8の回転チャンバ87内に取り付けられ、かつケージ88によって適所に保持される。符号D8は、ベアリング8の外径を示す。
【0032】
エンコーダワッシャ9は、内側リング84に固定状態で取り付けられ、かついくつかの磁極92を含む。磁極92は、センサユニット7に配置されたいくつかのセンサ72によって検出される回転磁界を発生するよう構成され、かつセンサユニット7の環状センサ本体74内に組み込まれる。
【0033】
符号X7はセンサ本体74の中心軸線を示しており、センサ本体74がセンサ本体74のいくつかのタブ741の弾性変形により外側リング82に取り付けられた場合に、軸線X7は軸線X8と整列されて重なる。
【0034】
センサユニット7はまた、少なくとも1つの導電体を、好ましくは複数の導電体を含む電気ケーブル76を含む。ケーブル76は、センサユニット7のプリント基板77に接続されており、プリント基板77はまた、センサ本体74内に組み込まれ、かつセンサ72を適所に保持する。ケーブル76は、軸線X7に対して半径方向にある方向Δ76に沿ってセンサ本体74に進入する。
【0035】
ケーブル76のうちのセンサ本体74とは反対側にある自由端761において、ケーブル76には、いくつかのピン782を有するコネクタ78が設けられる。これらピン782の形状寸法および分布は、センサユニット7とベアリング8と対象物9とから形成されるベアリングアセンブリBの意図された用途に適応される。コネクタ78はまたプラスチック体784を含む。符号H78は、軸線X2に平行に測定された、プラスチック体784の最大垂直方向厚さを示す。
【0036】
垂直方向厚さH78は、容積V30の軸方向高さH30より小さい。
【0037】
支持部材2の第1の部分10は、容積V10内にセンサ本体74の一部を収容するよう設計されかつ構成されている。より正確には、
図9に示されるように、センサ本体74は、軸線X2と軸線X7とが重なり合う構造において、容積V10内に導入可能となる。この構造において、センサ本体74の外側シールド742は、軸線X2に直交する環状面743を形成し、第1の部分10の環状部分102の底面と面接触するようになる。この構造において、センサ本体74のうちの、シールド742によって部分的に形成される半径方向外面744は、スカート104に包囲される。センサ本体74およびホルダ4の第1の部分10の形状寸法は、円筒スカート104の弾性変形によりセンサ本体74が第1の部分10内に弾性的に保持可能なように選択できる。特に、センサ本体7の外径D7は、容積V10の直径と等しいスカート104の内径と等しいかあるいはそれよりわずかに大きくなるように選択できる。言い換えると、容積V10は、センサ本体74の形状に対して実質的に相補的なものである。
【0038】
符号746は、センサ本体74のうちの、ケーブル76が通過してセンサ本体74へ進入する部分を示す。部分746は、面744に対して外側において半径方向に突出する。上述の構造において、部分746はノッチ106に受容される。これは、ケーブル76が、部分746内で軸線X7に対して半径方向X76に沿って延在するという事実と両立できる。
【0039】
一方で、アダプタ6の形状寸法は、
図1におけるベースプレート61の上側に延在するアダプタ6の部分62から64に関係して、コネクタ78の形状寸法に基づいて設計される。言い換えると、アダプタ6の形状寸法は、コネクタ78に基づいて変更される。
【0040】
センサユニット7とともにアダプタ2を使用する第1のステップにおいて、
図2における矢印A1で示されるように、アダプタ6をコネクタ78に取り付けることができる。これは、アダプタ6とコネクタ78との間の形状の連携により達成される。レール62および63と回転部64とは、プラスチック体784を固定するよう設計されている。
【0041】
図3の構造に到達すると、コネクタ78およびアダプタ6は、矢印A2で示されるように容積V30内へ導入可能となる。このステップの終了時において、アダプタ6のピン66から68はホルダ4の孔305に受容され、それによりコネクタ78は、容積V30内に受容されかつ固定される。これは、
図4に示される構造である。
【0042】
この構造から、円筒壁202の周囲にケーブル76を連続的に周回させることによって、ホルダ2の第2の部分20の容積V20内でケーブル76を巻くことが可能である。これは
図4において矢印A3で示される。ケーブル76の大部分が容積V20内に受容されると、ケーブル76の残りの部分をくぼみ506の周囲を周回させて矢印A4で示されるように容積V10内にセンサ本体74を導入できるようになる。続いて
図5の構造に到達すると、センシングサブアセンブリAが、支持部材2に取り付けられたセンサユニット7によって形成される。この構造において、ケーブル76の部分762は、くぼみ502の容積502内に受容され、それにより、センサ本体74の部分746は、ケーブル76がセンサ本体74から容積V20へ直接延在する場合に生じ得るせん断応力にさらされない。
【0043】
センシングサブアセンブリAは、
図6に示されるように機器を搭載したベアリングアセンブリBを構成するために、矢印A5で示されるようにベアリング8に取り付けられるよう構成されている。そうした機器を搭載したベアリングは、センサ72によって内側リング84の回転パラメータの検出と両立できる。
【0044】
ベアリング8へのサブアセンブリAの取り付けは、
図5の構造において容積10から軸方向に突出するタブ741の弾性変形によって実現する。
【0045】
これに関し、支持部材2は、リング82にセンサ本体74を取り付けるための軸方向の力Eを伝達するために使用できる。
【0046】
図5の構造におけるセンサユニット7または
図6の構造におけるベアリングアセンブリBは、ケーブル76がセンサ本体74の側方またはベアリング8の側方に垂れ下がらない限りは、非常に簡単な方法で作業者またはロボットによって容易に取り扱われる。
【0047】
図8および
図9に示されるように、ケーブル76によって4つの巻き線が容積V20内に形成されている。巻き線の数は、ケーブル76の実際の長さを考慮するため、円筒壁202の軸方向寸法および半径方向寸法を調節することによって状況に合わせて変更される。
【0048】
図7および
図8において明確に見られるように、突出部50は、ケーブル76のうちのセンサ本体74に最も近接する部分に対して所定の構造を付与でき、当該構造は、一方ではセンサ本体74内に進入するケーブル76の方向Δ76と両立でき、かつ他方では当該ケーブルが容積V20内に受容されなければならないという事実と両立できる。
【0049】
図10に示されるように、アーム304の形状および屈曲部308の形状は、固定リング82の形状寸法に適合される。より正確には、屈曲部308の2つの対向する垂直壁3082の間に規定されるくぼみV308の最大内径d308は、ベアリング8の外径D8、つまりリング82の外径と実質的に同一である。本明細書において「実質的に同一」とは、d308/D8の比が0.90から1.10であることを意味する。したがって、支持部材をそれぞれ備えるベアリングアセンブリの積層体または堆積体を構成するために、ベアリング8’を、第1の支持部材2のアーム304の上端部に形成された各くぼみに部分的に導入できる。
【0050】
図10において、2つのそうしたベアリングアセンブリBおよびB’の積層体が示されており、それぞれ、1つのベアリング8または8’と、1つのセンサユニット7または7’を保持する1つの支持部材2または2’と、を備える。センサユニット7または7’は、センサ本体74または74’と、ケーブル76または76’と、1つのコネクタ78または78’と、から形成される。
【0051】
図10において明らかなように、アーム304の長さは、下側の支持部材2の容積V30内にコネクタ78を収容するのに十分であり、このコネクタ78の周囲に分布されたこれらアーム304のくぼみV308に受容される上側のベアリングアセンブリB’のベアリング8’との干渉がない。言い換えると、コネクタ78の垂直方向高さH78が容積V30の軸方向高さH30よりも小さいため、コネクタ78は、リング82がくぼみV308に部分的に挿入されることを妨げない。
【0052】
突出部50により、アダプタ2は、アダプタ2が平坦な面上に落下した際に、長い距離にわたって転がる恐れがない。なぜなら、突出部50が軸線X2回りでの支持部材2の回転を阻止するからである。これは、突出部50が、部分10,20および30に比べて外側に、軸線X2に対して半径方向に延在するという事実による。これは、
図1に示される支持部材2の空の構造において、
図5および
図6に示される積載された構造において、かつ任意の中間構造において有利である。
【0053】
本発明の図示されない代替実施形態によれば、突出部50よりも外側に、軸線X2に対して半径方向に延在するほど大きい、より長大な直径を備えるディスク302または部分102を使用できる。これは、アダプタ2を回転動作と両立できるようにし、かつ状況に応じて構成できるようにする。
【0054】
本発明の図示されない変形例によれば、ベアリングを用いずに、
図10の積層体と同様の積層体を形成するために、
図5に示されたいくつかのセンシングサブアセンブリAを積層することもできる。この場合、センサユニットのセンサ本体74は、下方に配置された支持部材2の屈曲部308に直接的に受容され、かつ直径d308およびD7は実質的に等しい、つまり比率d308/D7は0.90から1.10となる。
【0055】
スカート104の形状は、センサ本体74の大部分が容積V10から軸方向に突出するように構成できる。これは、上記センサ本体74の大部分を、下方に配置された同様の支持部材のアームの屈曲部308と直接的に相互作用させるためである。
【0056】
図示されない代替実施形態によれば、センサ本体74は内側リング84に取り付け可能であり、これに対してエンコーダワッシャ9は外側リング82に取り付けられる。
【0057】
上で挙げられた実施形態および変形例の技術的特徴部は、任意の技術的に実現可能な構造において組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0058】
10 部分
102 環状部分
2,2’ 支持部材
20 第2の部分
30 第3の部分
302 ディスク
304 アーム
308 屈曲部
3082 第1の壁
3084 第2の壁
4 一体部品
50 突出部
502 半径方向外側凹部
6 アダプタ
7,7’ センサユニット
72 センサ
74,74’環状センサ本体
76,76’電気ケーブル
761 ケーブル自由端
78,78’コネクタ
8,8’ ベアリング
82 部分
9 エンコーダワッシャ
A センシングサブアセンブリ
B ベアリングアセンブリ
X2 中央軸線
V10 第1の容積
V20 第2の容積
V30 第3の容積
V308 くぼみ