(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249643
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20171211BHJP
【FI】
H01R12/71
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-125555(P2013-125555)
(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公開番号】特開2015-2057(P2015-2057A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】513314171
【氏名又は名称】宏致電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACES ELECTRONICS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宣和
(72)【発明者】
【氏名】座間 洋平
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−190818(JP,A)
【文献】
特開平09−180822(JP,A)
【文献】
特開平05−251119(JP,A)
【文献】
特許第4333884(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタを受入れるための略四角筒状の内壁面で形成された受入れ凹部と、前記受入れ凹部を構成する一対の対向壁間に設けられた中央凸部が形成され、回路基板上に配置されるハウジングと、
前記一対の対向壁のそれぞれに複数形成された端子溝にそれぞれ収容された、前記相手コネクタの相手端子と接触する複数の端子と、
前記相手コネクタが有する板状のグランドプレートと接続するグランド金具と、
を備える電気コネクタにおいて、
前記中央凸部は、前記相手コネクタに対向する対向面を有し、
前記ハウジングは、前記グランド金具を収容する前記複数の端子の配列方向に延びる内部空間を前記中央凸部内に有し、前記内部空間の上部は、前記対向面に形成された前記グランドプレートを受け入れる、前記複数の端子の配列方向に延びる開口部に連通し、
前記グランド金具は、前記複数の端子の配列方向に延びる第1接続部、前記複数の端子の配列方向に延びる第2接続部及び前記第1接続部と前記第2接続部が対向するように前記回路基板側で連結する連結部を備え、
前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれの下端部は、前記回路基板に実装されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記内部空間は、前記複数の端子の配列方向に交差する方向の断面が凸形状を有し、
前記グランド金具の第1接続部は、前記凸形状の前記内部空間を形成する第1の内壁に沿って屈曲した弾性部であり、
前記グランド金具の第2接続部は、前記凸形状の前記内部空間を形成する第2の内壁に沿って屈曲した弾性部であることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記複数の端子の配列方向において所定間隔で形成された切り込みを有することを特徴とする請求項1または2記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に実装され相手コネクタと接続される電気コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気信号に対するノイズの影響を除去するために、ハウジングの周囲に電気信号へのノイズの混入を防止するためのシェルを設けた電気コネクタが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4333884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の電気コネクタにおいては、回路基板のグランドパターンに接続されるグランド端子がシェルの4隅及び両側部のそれぞれの中央部に設けられているのみであるため、近接した位置にグランド端子が存在しない端子を介して伝送される電気信号はノイズの影響を受け易いという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、高速伝送される電気信号へのノイズの影響を除去することができる電気コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気コネクタは、相手コネクタを受入れるための略四角筒状の内壁面で形成された受入れ凹部と、前記受入れ凹部を構成する一対の対向壁間に設けられた中央凸部が形成され、回路基板上に配置されるハウジングと、前記一対の対向壁のそれぞれに複数形成された端子溝にそれぞれ収容された、前記相手コネクタの相手端子と接触する複数の端子と、前記相手コネクタが有する板状のグランドプレートと接続するグランド金具と、
を備える電気コネクタにおいて、
前記中央凸部は、前記相手コネクタに対向する対向面を有し、前記ハウジングは、前記グランド金具を収容する前記複数の端子の配列方向に延びる
内部空間を
前記中央凸部内に有し、前記
内部空間の上部は、前記
対向面に形成された
前記グランドプレートを受け入れる、前記複数の端子の配列方向に延びる開口部に連通し、前記グランド金具は、前記複数の端子の配列方向に延びる第1接続部、前記複数の端子の配列方向に延びる第2接続部及び前記第1接続部と前記第2接続部が対向するように前記回路基板側で連結する連結部を備え、前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれの下端部は、前記回路基板に実装されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の電気コネクタは、前記ハウジングの前記
内部空間は、前記複数の端子の配列方向に交差する方向の断面が凸形状を有し、前記グランド金具の第1接続部が、前記凸形状の
前記内部空間を形成する第1の内壁に沿って屈曲した弾性部であり、前記グランド金具の第2接続部は、前記凸形状の
前記内部空間を形成する第2の内壁に沿って屈曲した弾性部であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電気コネクタは、前記第1接続部及び前記第2接続部が、前記複数の端子の配列方向において所定間隔で形成された切り込みを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気コネクタによれば、高速伝送される電気信号へのノイズの影響を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係るレセプタクルコネクタの斜視図である。
【
図2】実施の形態に係るレセプタクルコネクタの断面図である。
【
図3】実施の形態に係るグランド金具の斜視図である。
【
図4】実施の形態に係るプラグコネクタの斜視図である。
【
図5】実施の形態に係るプラグコネクタの断面図である。
【
図6】実施の形態に係るレセプタクルコネクタとプラグコネクタが嵌合した状態を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態に係るレセプタクルコネクタとプラグコネクタが嵌合した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る電気コネクタについて説明する。
図1は実施の形態に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)の斜視図であり、
図2はその断面図である。また、
図3はレセプタクルコネクタの内部に配置されるグランド金具の斜視図である。
【0012】
図1に示すように、レセプタクルコネクタ2は、絶縁性を有する部材から成る平面視矩形状のハウジング4を備えており、ハウジング4の短手方向の両端部には長手方向に延びる側壁部4bが形成されている。また、ハウジング4の長手方向の両端部には、ロック金具4dを収容する収容部4eが設けられている。ここで、ロック金具4dは、レセプタクルコネクタ2にプラグコネクタ10(
図4参照)を嵌合させた場合に、レセプタクルコネクタ2からプラグコネクタ10が抜出することを阻止するための金具である。
【0013】
また、ハウジング4の中央には、プラグコネクタ10を受け入れるための、側壁部4bの内壁面と収容部4eとによって囲まれた略四角筒状の受入れ凹部4hが形成されている。受入れ凹部4hの中央には、ハウジング4の長手方向に延びる中央凸部4kが形成されている。
【0014】
また、中央凸部4kと一方の側壁部4bとの間には、ハウジング4の長手方向に延びる一方のレセプタクル嵌合溝4mが構成されている。同様に、中央凸部4kと他方の側壁部4bとの間にも、ハウジング4の長手方向に延びる他方のレセプタクル嵌合溝4mが構成されている。
【0015】
また、中央凸部4kの下側には、
図2に示すように、ハウジング4の長手方向に延びる断面凸形状の空間が形成されている。この空間は、一方の側壁部4bと他方の側壁部4bとの間の中央部に位置しており、空間の上部が中央凸部4kの中央に形成された矩形状の開口部4qに連通している。また、この空間内には、
図3に示すように、ハウジング4の長手方向に延びるグランド金具8が配置されている。
【0016】
ここで、一方の側壁部4bの内壁面側には、端子6を収容保持するための端子溝4pが所定の間隔で複数形成されている。端子溝4pに収容保持される端子6は略S字形状を有しており、湾曲部分6aがレセプタクル嵌合溝4m内に位置し、折返し部6cが側壁部4bの上端に位置している。また、半田付けによって回路基板に接続される下側の端部6eの先端部分6fが側壁部4bの外側に露出している。
【0017】
同様に、他方の側壁部4bの内壁面側にも端子6を収容保持するための端子溝4pが所定の間隔で複数形成されている。端子溝4pに収容保持される端子6も略S字形状を有しており、湾曲部分6aがレセプタクル嵌合溝4m内に位置し、折返し部6cが側壁部4bの上端に位置している。また、半田付けによって回路基板に接続される下側の端部6eの先端部分6fが側壁部4bの外側に露出している。
【0018】
グランド金具8は、一方の側壁部4b側にグランドプレート16(
図5参照)と接続される第1接続部8aを備え、他方の側壁部4b側に第1接続部8aと対向し、グランドプレート16(
図5参照)と接続される第2接続部8bを備えている。また、第1接続部8aの下部の第1基底部8cと、第2接続部8bの下部の第2基底部8dは、グランド金具8の長手方向の両端部に形成された連結部8eによって連結されている。
【0019】
ここで、第1接続部8aは、上端部に第2接続部8bの方向に屈曲する屈曲部を有すると共に、屈曲部から第1基底部8cに向かって下方向に傾斜する傾斜部を有する弾性部材である。同様に、第2接続部8bは、上端部に第1接続部8aの方向に屈曲する屈曲部を有すると共に、屈曲部から第2基底部8dに向かって下方向に傾斜する傾斜部を有する弾性部材である。
【0020】
また、第1接続部8aには、上端部から下方に向かう複数の切り込み8gが所定の間隔で形成されている。同様に、第2接続部8bにも、上端部から下方に向かう複数の切り込み8gが所定の間隔で形成されている。なお、第1接続部8aの屈曲部と第2接続部8bの屈曲部との間には、複数の端子6の配列方向に延びる間隙
8fが形成されている。
【0021】
また、第1基底部8cの下面の全体、第2基底部8dの下面の全体は、回路基板のグランドパターンに接続されている。
【0022】
図4は実施の形態に係るプラグコネクタ(相手コネクタ)の斜視図であり、
図5はその断面図である。
図4に示すように、プラグコネクタ10は、絶縁性を有する部材から成る矩形状のハウジング12を備えている。また、ハウジング12の短手方向の両端部には長手方向に延びる側壁部12bが形成され、側壁部12bに沿って相手端子14が所定の間隔で配列されている。また、
図5に示すように、ハウジング12の中央には、一枚板でありハウジング12の長手方向に延びるグランドプレート16がインサート成形されている。
【0023】
ここで、一方の側壁部12b側に配置される相手端子14は略L字形状を有しており、上側の端部14aが半田付けによって図示しない相手回路基板の回路パターンに接続される。同様に、他方の側壁部12b側に配置される相手端子14も略L字形状を有し、上側の端部14aが半田付けによって図示しない相手回路基板の回路パターンに接続される。
【0024】
図6は実施の形態に係るレセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ10が嵌合した状態を示す斜視図であり、
図7はその断面を示す図である。プラグコネクタ10がレセプタクルコネクタ2に嵌合された場合、
図6に示すように、プラグコネクタ10がレセプタクルコネクタ2の受入れ凹部4hに受け入れられる。
【0025】
即ち、一方の側壁部12bが一方のレセプタクル嵌合溝4mに嵌合され、他方の側壁部12bが他方のレセプタクル嵌合溝4mに嵌合されることにより、相手端子14と端子6とが電気的に接続される。
【0026】
この際には、グランドプレート16が中央凸部4kの開口部4qを介してグランド金具8の間隙8fに挿入される。この場合、第1接続部8aが弾性力によって常時
図7の紙面の右方向に付勢され、かつ第2接続部8bが弾性力によって常時
図7の紙面の左方向に付勢されるため、第1接続部8a及び第2接続部8bが十分な接触力でグランドプレート16と接触する。
【0027】
この実施の形態に係るレセプタクルコネクタ2によれば、ハウジング4の中央に複数の端子6の配列方向に延びるグランド金具8を配置し、かつ第1基底部8cの下面の全体、及び第2基底部8dの下面の全体をそれぞれ連続して回路基板のグランドパターンに接続させることにより、全ての端子6に略等しい距離でグランド金具8を近接させることができる。したがって、各端子6を介して高速伝送される電気信号へのノイズの影響を除去することができる。
【0028】
また、第1接続部8a及び第2接続部8bにそれぞれ切り込み8gを形成することにより、第1接続部8a及び第2接続部8bをムラなくグランドプレート16に接触させることができる。
【符号の説明】
【0029】
2…レセプタクルコネクタ、4…ハウジング、4b…側壁部、4h…受入れ凹部、4k…中央凸部、4m…レセプタクル嵌合溝、4q…開口部、6…端子、8…グランド金具、8a…第1接続部、8b…第2接続部、8c…第1基底部、8d…第2基底部、8e…連結部、8g…切り込み、10…プラグコネクタ、12…ハウジング、14…相手端子、16…グランドプレート