【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年4月24日に、任天堂ウェブサイトのアドレスhttp://www.nintendo.co.jp/wiiu/wcnj/index.htmlの「ポケモンスクランブルU」にて発売
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
<システム概要>
図1は、本実施の形態に係る情報処理システムの概要を説明するための模式図である。本実施の形態に係る情報処理システムは、ユーザが持ち運ぶことが可能な携帯型のゲーム機1と、ゲームに用いられる一又は複数のフィギュア5とを含んで構成されている。ゲーム機1は、扁平な略直方体形の筐体の一面に表示部11及び操作部12等が設けられた構成である。また本実施の形態に係るゲーム機1は、フィギュア5との間で非接触通信を行う非接触通信部14を筐体内部に備えている。
【0023】
フィギュア5は、本実施の形態に係るゲームプログラムをゲーム機1にて実行することで実現される特定のゲームにて、ユーザが用いるデータ記憶媒体である。本実施の形態に係るゲームでは、ユーザが操作するプレイヤオブジェクトとして、複数のキャラクタが用意されている。フィギュア5は、ゲームに登場するキャラクタの外観を模した形状をなし、合成樹脂などにより成形されている。本実施の形態に係るゲームでは、ユーザは少なくとも1つのフィギュア5を用いてゲームをプレイするものとする。ユーザは、好みに応じて適宜のフィギュア5を追加し、複数のフィギュア5をゲームに用いることもできる。本例では、カエル、ネズミ及びゾウのキャラクタに対応する3つのフィギュア5を用いてユーザがゲームをプレイしている。
【0024】
フィギュア5にはICタグなどが埋め込まれており、ゲーム機1との間で非接触通信を行うことができる。フィギュア5は記憶部を有しており、そのキャラクタに応じた各種のデータが記憶されている。ゲーム機1は、非接触通信によって、フィギュア5からデータを読み取ることができると共に、フィギュア5が記憶したデータの更新又はデータの追記等を行うことができる。
【0025】
本実施の形態においては、ゲームの各キャラクタには攻撃力、速さ、防御力及び耐久力等の能力値が設定されており、フィギュア5には対応するキャラクタの能力値を記憶することができる。ユーザは、例えばゲームの開始時点などにおいてゲームに用いるフィギュア5を適宜に選択し、このフィギュア5に記憶されたキャラクタの能力値などのデータをゲーム機1に読み込ませる。このときにユーザはゲーム機1の所定箇所(
図1において破線の正方形で示した箇所及びその周辺)に選択したフィギュア5を接触させることにより、フィギュア5のデータをゲーム機1に読み込ませることができる。なお、フィギュア5は必ずしもゲーム機1に接触させる必要はなく、ゲーム機1の所定箇所に近付ければよい。ゲーム機1は、非接触通信によってフィギュア5からデータを読み出し、ゲームのキャラクタの能力値に反映させる。
【0026】
ユーザはゲームのプレイにより得られた得点又は経験値等のポイントに基づいて、キャラクタの能力値を上昇させることができる。図示の例ではネズミのキャラクタの攻撃力を3から5へ上昇させている。またユーザは、キャラクタの能力値を上昇させた場合、このキャラクタに対応するフィギュア5に上昇後の能力値を書き込むことができる。このときにユーザはゲーム機1の所定箇所にフィギュア5を接触させることにより、フィギュア5にデータを書き込むことができる。ゲーム機1は、非接触通信によって上昇後のキャラクタの能力値をフィギュア5へ送信し、書き込みを行う。図示の例では、ネズミのフィギュア5をゲーム機1に接触させることにより、ネズミのキャラクタの能力値をフィギュア5に書き込んでいる。なおこのときにカエル又はゾウのフィギュア5をゲーム機1に接触させても、ネズミのキャラクタの能力値がこれらのフィギュア5に書き込まれることはない。
【0027】
本実施の形態に係るゲームでは、ゲームのプレイによって得られたポイントを用いて能力値を上昇させることによりキャラクタを成長させ、上昇した能力値をキャラクタに対応するフィギュア5に記憶する。これにより、例えば友人が所有するゲーム機1など、異なるゲーム機1にて本ゲームをプレイする場合であっても、ユーザがフィギュア5を所持していれば、このフィギュア5のデータをゲーム機1に読み込ませることによって、成長させたキャラクタを用いてゲームを楽しむことができる。またユーザは、異なるゲーム機1にてゲームをプレイした場合であっても、キャラクタを成長させて能力値をフィギュア5に書き込むことができる。
【0028】
またゲーム機1は、ゲームの進行状況に関する情報、いわゆるセーブデータを内部の記憶部などに記憶している。本実施の形態において、セーブデータとして記憶される情報には、例えばゲームにおいてクリアしたステージ、ユーザのゲームプレイに係る成績、及び、ユーザが所有しているポイント数等の情報が含まれる。ユーザはゲームを中断する際にセーブデータを作成して記憶しておくことにより、次回のゲームのプレイを前回の続きから行うことができる。
【0029】
上記のような情報処理システムにおいては、例えば以下の手順にてフィギュア5に記憶されたキャラクタの能力値を不正に上昇させることができる。まず、ユーザはゲーム機1にてフィギュア5のデータを読み出し、ゲームをプレイすることによってポイントを獲得して蓄積する。ユーザは、十分にポイントが蓄積された状態でゲームの進行状況の記憶、いわゆるゲームのセーブを行う。ユーザは、ゲーム機1に記憶されたセーブデータを、他の記憶媒体などにコピーする。バックアップ完了後、ユーザは蓄積したポイントを消費してキャラクタの能力値を上昇させ、上昇させた能力値をフィギュア5に書き込む。その後、ユーザはコピーしたセーブデータをゲーム機1に読み込ませることでポイント消費前の状態へ戻し、キャラクタの能力値の上昇を繰り返し行うことができる。
【0030】
そこで本実施の形態に係る情報処理システムでは、上記のようなキャラクタの能力値を不正に上昇させる行為を防止するための機能が備えられている。本実施の形態に係るゲーム機1は、フィギュア5に書き込んだ能力値などのデータと同じものをセーブデータと共に内部の記憶部などに記憶する。フィギュア5への書込データのバックアップデータは、セーブデータ内に埋め込まれる態様で記憶される。よってユーザがセーブデータをコピーした場合、フィギュア5のバックアップデータもコピーされる。ユーザがコピーしたセーブデータをゲーム機1に読み込ませてポイント消費前の状態へ戻した場合、フィギュア5のバックアップデータも能力値上昇前のものに戻る。
【0031】
ゲーム機1は、フィギュア5のデータを読み出した際に、読み出したデータとバックアップデータとを比較する。比較の結果、両データが一致しない場合、ゲーム機1は、不正な能力値上昇が行われたものとみなし、バックアップデータをフィギュア5に書き込む。これによりフィギュア5に記憶されたデータが、不正な能力値上昇が行われる前の状態に戻される。よってユーザは、セーブデータをコピーする方法によって、フィギュア5のキャラクタの能力値を不正に上昇させることができない。
【0032】
ただしフィギュア5はユーザのゲーム機1のみでなく、友人のゲーム機1など、複数のゲーム機1にて使用することができる。このため上記のようなフィギュア5内のデータとゲーム機1のバックアップデータとの一致を要求されるシステムでは、友人のゲーム機1にて能力値を上昇させてフィギュア5にデータを書き込んだ場合にデータが一致しないと判断される虞がある。そこで本実施の形態に係る情報処理システムでは、フィギュア5にゲーム機1毎のデータ記憶領域を設け、複数のゲーム機1が書き込んだ複数のデータをフィギュア5が記憶する構成とする。ゲーム機1は、フィギュア5が記憶する複数のデータのうち、自らが書き込んだデータについてバックアップデータとの一致を判断する。
【0033】
またゲーム機1及びフィギュア5のデータ送受信は非接触通信により行われる。例えば非接触通信によりゲーム機1がフィギュア5にデータの書き込みを行う際、書き込み完了前にユーザがフィギュア5をゲーム機1から離すなどの操作を行った場合、データ書込に不具合が生じる可能性がある。この場合、例えばゲーム機1はデータ書込に失敗したと判断しているが、フィギュア5にはデータが書き込まれている状況が発生し得る。また逆に、例えばゲーム機1はデータ書き込みを完了したと判断しているが、フィギュア5にはデータが書き込まれていない状況が発生し得る。このような状況が発生した場合、フィギュア5が記憶しているデータとゲーム機1のバックアップデータとが不一致となり、能力値の上昇が不正に行われたとゲーム機1が判断する虞がある。
【0034】
そこで本実施の形態に係る情報処理システムでは、フィギュア5に対するデータの書き込みを行った回数を計数し、計数結果をカウント値としてフィギュア5に書き込むと共に、カウント値をバックアップデータとしてゲーム機1が記憶しておく。データの書き込み(カウント値の更新)を行う際には、ゲーム機1のバックアップデータに書き込んでからフィギュア5に書き込むことにより、フィギュア5に対するデータの書き込みが失敗した場合、フィギュア5が記憶しているカウント値が、バックアップデータのカウント値より小さいという状況が発生し得る。そこでゲーム機1は、フィギュア5が記憶しているカウント値が、バックアップデータのカウント値以下の場合、他の情報が一致しない場合であっても、不正は行われていないと判断する。また逆に、不正なデータ書き換えなどが行われた場合、対応するゲーム機1のバックアップデータへの書き込みは行われずにフィギュア5に対するデータの書き込みのみが行われた可能性が高い。そのため、バックアップデータのカウント値は変化せずフィギュア5が記憶しているカウント値が増加すると考えられる。そこでゲーム機1は、フィギュア5が記憶しているカウント値が、バックアップデータのカウント値より大きい場合、不正が行われたと判断する。
【0035】
<システム構成>
図2は、ゲーム機1の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るゲーム機1は、処理部10、表示部11、操作部12、記録媒体装着部13、非接触通信部14、一次記憶部15、無線通信部16及び二次記憶部17等を備えて構成されている。ゲーム機1の処理部10は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置を用いて構成されている。処理部10は、二次記憶部17に記憶されたゲームプログラム91又は記録媒体装着部13に装着された記録媒体9に記録されたゲームプログラム91を一次記憶部15に読み出して実行することにより、ゲームに係る各種の情報処理を行う。例えば処理部10は、操作部12に対してなされた操作を受け付ける処理、受け付けた操作に応じてゲームの判定などを行う処理、受け付けた操作又はゲーム内のイベント等に応じて表示部11に表示するゲーム画像を生成する処理等を行う。
【0036】
表示部11は、液晶パネルなどを用いて構成され、処理部10から与えられた画像を表示する。操作部12は、例えば押下式のボタン又は表示部11に設けられたタッチパネル等であり、ユーザによりなされた操作の内容(例えばボタンの押し下げ又は解放等)を処理部10へ通知する。記録媒体装着部13は、カード型、カセット型又はディスク型等の記録媒体9を着脱できるように構成されている。処理部10は、記録媒体装着部13に装着された記録媒体9からゲームプログラム91及び種々のデータを読み出すことができる。
【0037】
非接触通信部14は、例えばISO/IEC18092(いわゆるNFC)の通信規格などに従って、フィギュア5などとの間で無線による非接触のデータ送受信を行うものであり、通信距離は数cm〜数m程度である。非接触通信部14は、フィギュア5に埋め込まれたICタグ50に対して、記憶したデータの読み出しを指示する信号を送信し、これに対する応答として所望のデータを受信する。非接触通信部14は、いわゆるICタグのリーダの機能を有するものである。また非接触通信部14は、書き込みデータと共に書き込みを指示する信号を送信することにより、ICタグ50にデータの書き込みを行わせることができる。即ち非接触通信部14は、ICタグのライタの機能を有する。ただし、非接触通信部14による通信方式はNFCに限らず、例えばRFIDなど、非接触通信又は近距離無線通信等として採用される種々の通信方式であってよい。
【0038】
一次記憶部15は、半導体メモリ素子などを用いて構成されている。一次記憶部15は、処理部10の演算処理に伴って生成される各種のデータが一時的に記憶される。無線通信部16は、携帯電話網又は無線LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して、サーバ装置又は他のゲーム機1等との間でデータの送受信を行う。例えばゲーム機1は、無線通信部16にてサーバ装置との通信を行ってゲームプログラム91などをダウンロードし、二次記憶部17に記憶することができる。
【0039】
二次記憶部17は、一次記憶部15と比較して大容量の不揮発性記憶装置を用いて構成されている。二次記憶部17は、ゲームプログラム91及びセーブデータ18等を記憶する。セーブデータ18は、ゲームプログラム91により実現されるゲームの進行状況及びユーザが所持するポイント数等の情報を記憶したデータである。本実施の形態においては、セーブデータ18には、フィギュア5に書き込んだデータのバックアップデータが含まれる。
【0040】
また本実施の形態に係るゲーム機1は、処理部10がゲームプログラム91を実行することにより、データ書込部21、データ読出部22、ゲーム処理部23、データ判定部24及びカウント処理部25等がソフトウェア的な機能ブロックとして処理部10に実現される。データ書込部21は、非接触通信によりフィギュア5に対してデータを書き込む処理を行う。データ読出部22は、非接触通信によりフィギュア5からデータを読み出す処理を行う。ゲーム処理部23は、ゲームに関する種々の判定処理又はイベント処理等を行う。データ判定部24は、フィギュア5に記憶されているデータと、ゲーム機1が二次記憶部17のセーブデータ18に記憶しているバックアップデータとの比較及び判定を行う。カウント処理部25は、フィギュア5に対するデータ書き込みを行った回数をカウントする処理を行う。
【0041】
図3は、フィギュア5の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るフィギュア5は、例えば合成樹脂などの成型体の内部に、ICタグ50及びアンテナ57が埋め込まれた構成のデータ記憶媒体である。アンテナ57は、例えばフィギュア5内に金属線を渦巻状に配し、その両端をICタグ50に接続した構成とすることができる。ICタグ50は、1つのICチップとして提供されるものであり、その内部に処理部51、非接触通信部52、記憶部53及び電力供給部54等を有している。
【0042】
ICタグ50は、電池などの電源を有しておらず、アンテナ57にてゲーム機1からの無線信号を受信した際に電磁誘導などによって発生する起電力により動作する。ICタグ50は、いわゆるパッシブ型のタグである。電力供給部54は、上記の起電力に基づき、ICタグ50内の処理部51、非接触通信部52及び記憶部53等への電力供給を行い、これにより各部の動作が行われる。なお本実施の形態においてはICタグ50をパッシブ型としたが、アクティブ型であってもよい。
【0043】
ICタグ50の非接触通信部52は、ゲーム機1から送信された信号をアンテナ57にて受信し、受信した信号に係るデータを処理部51へ与えると共に、処理部51から与えられたデータをアンテナ57からゲーム機1へ送信する。記憶部53は、データ書き換え可能な不揮発性のメモリ素子で構成され、ICタグ50に対して個別に付されるフィギュアID(IDentifier)53a、本実施の形態に係るゲームに関するゲームデータ53b及びキャラクタデータ53c等を記憶している。処理部51は、非接触通信部52から与えられたデータに応じて、記憶部53からデータを読み出し、読み出したデータをゲーム機1へ送信すべく非接触通信部52へ与える。また処理部51は、非接触通信部52から与えられたデータに応じて、記憶部53へのデータ書き込みを行う。
【0044】
<ゲーム処理>
次に、本実施の形態に係るゲームプログラム91をゲーム機1の処理部10が実行することで実現されるゲームの一例を説明する。本例のゲームでは、複数のキャラクタの中からユーザが一のプレイヤキャラクタを選択し、選択したプレイヤキャラクタを操作部12にて操作して、敵キャラクタとの戦闘又は競争等を行う。敵キャラクタの操作は、処理部10が行ってもよく、通信対戦などの場合には他のゲーム機1のユーザが行ってもよい。
【0045】
プレイヤキャラクタとして選択し得る複数のキャラクタは、フィギュア5として提供されている。例えば、ユーザはゲーム機1の表示部11に表示されたゲームのメニュー画面などからフィギュア5のデータ読出の項目を選択する。ゲーム機1の処理部10は、表示部11に「フィギュア5をタッチして下さい」などのメッセージを表示し、フィギュア5のICタグ50との非接触通信が可能となるまで待機する。ユーザは、自らが所持するフィギュア5からプレイヤキャラクタとするキャラクタのフィギュア5を選択し、選択したフィギュア5をゲーム機1の所定箇所に接触させる。これによりゲーム機1及びフィギュア5が非接触通信可能となり、ゲーム機1の処理部10のデータ読出部22は、フィギュア5のICタグ50から記憶部53に記憶されたフィギュアID53a、ゲームデータ53b及びキャラクタデータ53cを読み出す。
【0046】
フィギュア5のフィギュアID53aは、このフィギュア5に対して一意的に付される識別情報である。同じキャラクタのフィギュア5であっても、フィギュアID53aは異なるものが記憶される。フィギュアID53aは、書き換えることができないデータである。ゲーム機1の処理部10は、データ読出部22がフィギュア5から読み出したフィギュアID53aに基づいて、フィギュア5のキャラクタの種別を判断する。キャラクタの種別は、
図1に示した例ではカエル、ネズミ及びゾウ等である。ゲーム機1がキャラクタの種別を判断するため、フィギュア5に付されるフィギュアID53aとキャラクタの種別との対応表などのデータが、ゲームプログラム91と共に記憶部17又は記録媒体9に記憶されている。
【0047】
フィギュア5のゲームデータ53bは、本実施の形態に係るゲームを識別するための識別情報、及び、このゲームをプレイしたユーザ情報等を含む。ゲーム機1は、ゲームデータ53bに含まれる識別情報により、このフィギュア5が本実施の形態に係るゲームに用いられるものであることを確認することができる。またゲーム機1は、ゲームデータ53bに含まれるユーザ情報により、このフィギュア5の利用者を確認することができる。ゲームデータ53bは、書き換え可能なデータであってよい。
【0048】
フィギュア5のキャラクタデータ53cは、対応するキャラクタの能力値などの情報を含むものである。
図4は、フィギュア5のキャラクタデータ53cの一例を示す模式図である。フィギュア5がICタグ50の記憶部53に記憶しているキャラクタデータ53cには、ゲーム機ID、セーブデータID、カウント値、キャラクタ能力値及び更新日時等の情報が含まれている。上述のようにフィギュア5は異なるゲーム機1にてデータの読み出し及び書き込みが可能である。各ゲーム機1には一意的にゲーム機IDが付されており、フィギュア5のキャラクタデータ53cには、ゲーム機IDに対応付けてセーブデータID、カウント値、キャラクタ能力値及び更新日時が記憶される。
【0049】
セーブデータIDは、ゲーム機1が二次記憶部17に記憶するセーブデータ18に対して一意的に付される識別情報である。カウント値は、ゲーム機1のカウント処理部25がカウントしたデータの書き換え回数である。カウント値は、フィギュア5に対するデータ書き込みが行われる都度、その値に1が加算される。キャラクタ能力値は、このフィギュア5に対応するキャラクタの攻撃力及び速さ等の能力を示す値である。更新日時は、このデータがフィギュア5に対して書き込まれた日時を示す情報である。
【0050】
なお本実施の形態に係るキャラクタデータ53cにおいては、1つのゲーム機IDに対して記憶されるセーブデータID及びキャラクタ能力値等のデータは1組である。例えばゲーム機IDとして"ゲーム機A"が付されたゲーム機1(以下、単にゲーム機Aという)がフィギュア5に対してデータ書き込みを行った場合、キャラクタデータ53cのゲーム機Aに対応するセーブデータID及びキャラクタ能力値等の情報が更新される。ただしこの場合に、他のゲーム機IDのセーブデータID及びキャラクタ能力値等の情報は更新されない。またキャラクタデータ53cにゲーム機IDが記憶されていないゲーム機1がデータ書き込みを行った場合、キャラクタデータ53cに新たなゲーム機IDと、これに対応するセーブデータID及びキャラクタ能力値等の情報が追加される。更にこのときに新たな情報を追加する十分な空き容量が記憶部53に存在しない場合、更新日時が最も古い情報が削除されて、新たな情報が追加される。このようなデータ書込制御は、ゲーム機1が行ってもよく、フィギュア5のICタグ50の処理部51が行ってもよい。
【0051】
ゲーム機1のデータ読出部22は、フィギュア5からキャラクタデータ53cを読み出す場合、自らのゲーム機IDに対応するものだけでなく、全てのゲーム機IDに対応するキャラクタ能力値及び更新日時等の情報を読み出す。ゲーム機1の処理部10は、読み出したキャラクタデータ53cの中から、ゲーム機IDに関わらず更新日時が最新のものを選択し、最新のキャラクタ能力値をゲームのプレイヤキャラクタに反映させる。
【0052】
ユーザはフィギュア5から読み出したデータを反映させたキャラクタを選択してゲームを開始することができる。ゲーム機1の処理部10は、ユーザにより選択されたキャラクタをプレイヤキャラクタとしてゲーム処理を開始する。例えばゲーム機1は、ユーザにより選択されたプレイヤキャラクタと、ゲーム機1の処理部10が制御する複数の敵キャラクタとを表示部11に表示する。ユーザは、操作部12を用いてプレイヤキャラクタを移動させると共に、プレイヤキャラクタに敵キャラクタを攻撃させることができる。ゲーム機1の処理部10は、ユーザの操作に応じてプレイヤキャラクタによる敵キャラクタへの攻撃の成否判定、及び、敵キャラクタによるプレイヤキャラクタへの攻撃の成否判定等を行う。
【0053】
また本実施の形態に係るゲームでは、ゲームの成績などに応じてユーザはポイントを獲得することができ、このポイントを用いてキャラクタの攻撃力及び速さ等の能力値を上昇させることができる。ゲーム機1の処理部10は、ユーザによって例えばメニューなどからキャラクタの成長が選択された場合、
図1に示すようなキャラクタ成長画面を表示する。キャラクタ成長画面において、ユーザは操作部12を用いて、キャラクタの攻撃力及び速度等の能力値を適宜に選択し、自らが所持するポイントを消費して、選択した能力値を上昇させることができる。
【0054】
またユーザはキャラクタの能力値を上昇させた後、このキャラクタに対応するフィギュア5に上昇させた能力値の書き込みを行うことができる。ゲーム機1の処理部10は、操作部12にて能力値を上昇させる操作を受け付け、キャラクタの能力値を上昇させる。その後、処理部10は、対応するフィギュア5を読み込ませる操作をユーザに促すメッセージを表示する。
図1に示す例では、「ステータスを成長させるキャラクタをタッチして下さい」のメッセージをゲーム機1が表示部11に表示している。このメッセージに応じてユーザは、能力値を上昇させたキャラクタに対応するフィギュア5をゲーム機1の所定箇所に接触させる。これによりゲーム機1及びフィギュア5が非接触通信可能となる。
【0055】
ゲーム機1の処理部10は、非接触通信部14にてフィギュア5との非接触通信を行って、ICタグ50の記憶部53に記憶されたフィギュアID53aを取得する。処理部10は、フィギュア5から取得したフィギュアID53aに基づいて、非接触通信相手のフィギュア5が能力値を上昇させたキャラクタに対応するものであるか否かを判定する。非接触通信の相手であるフィギュア5が能力値を上昇させたキャラクタに対応するものでない場合、処理部10は、表示部11にエラーメッセージなどを表示する。フィギュア5が能力値を上昇させたキャラクタに対応するものである場合、処理部10は、非接触通信部14にてデータの書換命令を新たな能力値などの情報と共にフィギュア5へ送信する。フィギュア5のICタグ50は、ゲーム機1からの書換命令に応じて、記憶部53に記憶したキャラクタデータ53cを更新する。このように、フィギュア5の記憶部53に記憶したキャラクタデータ53cを更新することによって、ユーザは他のゲーム機1にてゲームを行う場合であっても、能力値を上昇させたキャラクタを用いてゲームを楽しむことが可能となる。
【0056】
<セーブデータ>
ユーザは、キャラクタの能力値をフィギュア5に書き込むのとは別に、ゲームの進行状況をゲーム機1に記憶させることができる。ゲーム機1が記憶するゲームの進行状況には、例えばゲームにおいてクリアしたステージ又はユーザのゲームプレイに係る成績等の情報が含まれ得る。また本実施の形態において、記憶するゲームの進行状況には、ユーザがゲームにおいて獲得し、その時点で所有しているポイント数についての情報が含まれる。ゲーム機1の処理部10は、例えばゲームのメニュー画面などにおいてゲームのセーブの項目が選択された場合、これらゲームの進行状況に係る情報をセーブデータ18として二次記憶部17に記憶する。
【0057】
図5は、ゲーム機1のセーブデータ18の一例を示す模式図である。ゲーム機1が二次記憶部17に記憶するセーブデータ18には、セーブデータID18a、ゲームの進行状況データ18b及びフィギュアのバックアップデータ18c等の情報が含まれている。ゲーム機1の処理部10は、例えばユーザが初めてゲームのセーブを行う場合など、二次記憶部17にセーブデータ18が記憶されていない場合に、新たなセーブデータ18を作成して記憶する。このとき処理部10は、例えば乱数などに基づいてセーブデータID18aを決定し、他の情報と共にセーブデータ18内に記憶する。以後、ユーザがゲームのセーブを繰り返し行った場合であっても、処理部10は、セーブデータ18に付されたセーブデータID18aは変更しない。なお、
図4に示したフィギュア5のキャラクタデータ53cに含まれるセーブデータIDは、フィギュア5に対してデータ書き込みを行ったゲーム機1にてユーザがプレイしていたゲームに係るセーブデータ18に付されたセーブデータID18aである。
【0058】
セーブデータ18のゲームの進行状況データ18bは、例えばユーザID、ポイント数及びゲーム成績等の複数の情報を含む。ゲームの進行状況データ18bは、中断されたゲームをゲーム機1の処理部10が続きから再開させるために必要な情報が含まれている。ゲーム機1にてユーザがゲームのセーブの操作を行った場合、処理部10は、セーブデータ18のゲームの進行状況データ18bを更新する。
【0059】
またセーブデータ18には、一又は複数のフィギュア5について、書き込みを行ったデータのバックアップがバックアップデータ18cとして含まれている。
図6は、セーブデータ18に含まれるフィギュア5のバックアップデータ18cの一例を示す模式図である。上述のように各フィギュア5には、一意的にフィギュアID53aが付されている。ゲーム機1のバックアップデータ18cには、このフィギュアIDに対応付けて、各フィギュア5に対して書き込んだデータが記憶される。バックアップデータ18cにバックアップされる書込データは、ゲーム機ID、セーブデータID、カウント値、キャラクタ能力値及び更新日時等の情報であり、
図4に示したフィギュア5のキャラクタデータ53cと略同じである。
【0060】
ゲーム機1の処理部10は、ユーザがキャラクタの能力値を上昇させて非接触通信によりフィギュア5にデータを書き込む際に、フィギュア5に書き込むものと同じデータを、フィギュア5のフィギュアIDに対応付けて、二次記憶部17のセーブデータ18に記憶する。本実施の形態に係るセーブデータ18においては、1つのフィギュアIDに対してバックアップされる書込データは1つである。例えばフィギュアIDとして"フィギュアa"が付されたフィギュア5(以下、単にフィギュアaという)に対してデータ書き込みを行った場合、処理部10は、セーブデータ18のフィギュアaに対応するデータを更新する。この場合に、他のフィギュア5に対応するデータは更新されない。またセーブデータ18にフィギュアIDが記憶されていないフィギュア5に対してデータ書き込みを行った場合、処理部10は、セーブデータ18に新たなデータを追加する。
【0061】
また処理部10は、フィギュア5に対するデータ書き込みを行う際に、カウント処理部25にて書込回数のカウント処理を行う。カウント処理部25は、書き込み対象のフィギュア5のフィギュアIDに対応するバックアップデータからカウント値を取得する。カウント処理部25は取得したカウント値に1を加算し、これにより値が増加したカウント値を処理部10はフィギュア5へ書き込むデータのカウント値とする。処理部10は、カウント処理部25が算出したカウント値を有するデータをフィギュア5に書き込むと共に、そのバックアップデータを二次記憶部17のセーブデータ18に記憶する。よって、不正などが行われていない限り、フィギュア5内のデータのカウント値と、このフィギュア5に対応するバックアップデータのカウント値とは、一致することが期待される。
【0062】
セーブデータ18に記憶できるフィギュア5のバックアップデータ18cの数は、例えば二次記憶部17の容量などに応じて1000個又は10000個等の十分に大きな上限値を設定すればよい。又は、特定の上限値を設けずに、二次記憶部17の空き容量がなくなるまで追加可能としてもよい。いずれの場合であっても、ゲーム機1は、バックアップデータ18cを追加できない状況に至った場合、更新日時が最も古いバックアップデータ18cを削除して、新たなバックアップデータ18cを記憶すればよい。
【0063】
なおゲーム機1において二次記憶部17に記憶されたセーブデータ18をメモリカードなどの記録媒体にバックアップする場合、セーブデータID18a、ゲームの進行状況データ18b及びフィギュア5のバックアップデータ18cが不可分にバックアップされる。このためセーブデータ18は、1つのファイルとして二次記憶部17に記憶されることが好ましい。
【0064】
また本実施の形態においては、ゲーム機1の二次記憶部17に記憶されるセーブデータ18は1つであり、複数のセーブデータ18が記憶されることはないものとする。ただし、例えばユーザ毎などに異なるセーブデータ18を作成することが可能な構成とし、二次記憶部17に複数のセーブデータ18を記憶することが可能な構成としてもよい。この場合、複数のセーブデータ18には、それぞれ異なるセーブデータID18aが付され、これにより区別される。
【0065】
<不正防止処理>
本実施の形態に係るゲーム機1は、処理部10のデータ読出部22が非接触通信によりフィギュア5からデータを読み出した場合、読み出したデータに基づいて、不正が行われたか否かの判定を行う。このときに処理部10のデータ判定部24は、フィギュア5から読み出したデータと、二次記憶部17のセーブデータ18に記憶されたバックアップデータ18cとを比較し、両データが所定の関係を満たすか否かに応じて、不正の有無を判定する。
【0066】
上述のように、フィギュア5からデータ読出部22が読み出すキャラクタデータ53cには、複数のゲーム機1についてのデータが含まれている。そこで処理部10のデータ判定部24は、読み出したデータに含まれるキャラクタデータ53c中に、自らのゲーム機1に付されたゲーム機IDと、ゲームにて利用されているセーブデータ18のセーブデータIDとに対応付けられたデータが存在するか否かを判定する。またデータ判定部24は、データ読出部22が読み出したフィギュアID53aに対応付けられたバックアップデータが、二次記憶部17のセーブデータ18に存在するか否かを判定する。データ判定部24によるフィギュア5内のキャラクタデータ53cの有無、及び、セーブデータ18内のバックアップデータの有無の判定結果には、4通りの組み合わせがあり得る。以下、各組み合わせについて説明する。
【0067】
(a)フィギュア5内にキャラクタデータ53cあり、且つ、セーブデータ18内にバックアップデータありの場合
フィギュア5から読み出したキャラクタデータ53cに自らのゲーム機ID及びセーブデータIDが対応付けられたものが含まれており、且つ、二次記憶部17のセーブデータ18にフィギュア5から読み出したフィギュアID53aに対応付けられたバックアップデータが含まれている場合である。即ち、フィギュア5のキャラクタデータ53cとセーブデータ18のバックアップデータについて、ゲーム機ID及びセーブデータIDが一致する場合である。この場合、処理部10のデータ判定部24は、キャラクタデータ53cに含まれるカウント値と、バックアップデータに含まれるカウント値とを比較する。
【0068】
フィギュア5のキャラクタデータのカウント値がゲーム機1のバックアップデータのカウント値より大きい場合、データ判定部24は、何らかの不正が行われたと判定する。この場合、処理部10は、例えば表示部にエラーメッセージなどを表示した後、バックアップデータと同じデータをフィギュア5に対して書き込む処理を行う。これによりフィギュア5のキャラクタデータ53cは、不正が行われる前の状態に戻される。
【0069】
フィギュア5のキャラクタデータのカウント値がゲーム機1のバックアップデータのカウント値以下の場合、データ判定部24は、不正は行われていないと判定する。以後、ゲーム機1の処理部10は、読み出したキャラクタデータ53cから更新日時が最新のものを選択し、最新のキャラクタ能力値を反映したキャラクタにてゲーム処理部23によるゲーム処理を行う。
【0070】
(b)フィギュア5内にキャラクタデータ53cなし、且つ、セーブデータ18内にバックアップデータなしの場合
フィギュア5から読み出したキャラクタデータ53cに自らのゲーム機ID及びセーブデータIDが対応付けられたものが含まれておらず、且つ、二次記憶部17のセーブデータ18にフィギュア5から読み出したフィギュアID53aに対応付けられたバックアップデータが含まれていない場合である。この場合、データ判定部24は、このフィギュア5について不正は行われていないと判定する。ただし処理部10によるその後の処理は、フィギュア5内に他のゲーム機ID又はセーブデータIDのキャラクタデータ53cが存在するか否かに応じて異なる。
【0071】
フィギュア5内に他のゲーム機ID又はセーブデータIDのキャラクタデータ53cが存在する場合、このフィギュア5は本ゲーム機1にてデータの書き込みはなされていないが、他のゲーム機1にてデータの書き込みがなされたものである。この場合、処理部10は、フィギュア5から読み出したキャラクタデータ53cから更新日時が最新のものを選択し、最新のキャラクタ能力値を反映したキャラクタにてゲーム処理部23によるゲーム処理を行う。
【0072】
フィギュア5内にキャラクタデータ53cが全く存在しない場合、このフィギュア5はユーザが初めてゲームに使用するものであると判断できる。この場合、処理部10は、フィギュア5のフィギュアID53aに応じたキャラクタにて、その能力値を初期値としてゲーム処理部23によるゲーム処理を行う。
【0073】
いずれの場合であっても、フィギュア5に対するデータの書き込みを行う際には、処理部10は、フィギュア5に新たなキャラクタデータ53cを追加して書き込む。新たなキャラクタデータ53cのカウント値は1とすればよい。また処理部10は、フィギュア5に書き込んだキャラクタデータ53cのバックアップデータを、二次記憶部17のセーブデータ18に追加して記憶する。
【0074】
(c)フィギュア5内にキャラクタデータ53cなし、且つ、セーブデータ18内にバックアップデータありの場合
この場合、データ判定部24は、このフィギュア5について不正は行われていないと判定する。このような状況となるのは、フィギュア5内に他のゲーム機ID又はセーブデータIDのキャラクタデータ53cが存在するか否かに応じて、2つのパターンが考え得る。
【0075】
フィギュア5内に他のゲーム機ID又はセーブデータIDのキャラクタデータ53cが存在する場合、例えばフィギュア5の記憶部53に記憶可能な容量を超えてデータ書き込みが行われ、更新日時の古いキャラクタデータ53cが削除された可能性が考えられる。この場合、処理部10は、二次記憶部17に記憶されたこのフィギュア5に係るバックアップデータを破棄する。処理部10は、フィギュア5から読み出したキャラクタデータ53cから更新日時が最新のものを選択し、最新のキャラクタ能力値を反映したキャラクタにてゲーム処理部23によるゲーム処理を行う。
【0076】
フィギュア5内にキャラクタデータ53cが全く存在しない場合、例えばユーザがこのフィギュア5を初期化した可能性が考えられる。この場合、処理部10は、二次記憶部17に記憶されたこのフィギュア5に係るバックアップデータを破棄し、このフィギュア5を新規のものとして扱えばよい。ただし、処理部10は、二次記憶部17に記憶されているバックアップデータをフィギュア5に対して書き込む構成としてもよい。
【0077】
いずれの場合であっても、フィギュア5に対するデータの書き込みを行う際には、処理部10は、フィギュア5に新たなキャラクタデータ53cを追加して書き込む。新たなキャラクタデータ53cのカウント値は1とすればよい。また処理部10は、フィギュア5に書き込んだキャラクタデータ53cのバックアップデータを、二次記憶部17のセーブデータ18に追加して記憶する。
【0078】
(d)フィギュア5内にキャラクタデータ53cあり、且つ、セーブデータ18内にバックアップデータなしの場合
この場合、データ判定部24は、このフィギュア5について不正は行われていないと判定する。例えばゲーム機1の二次記憶部17にバックアップ可能なデータ数を超えてフィギュア5に対する書き込みが行われ、更新日時の古いバックアップデータが削除されることで、このような状況となり得る。処理部10は、フィギュア5から読み出したキャラクタデータ53cのうち、ゲーム機ID及びセーブデータIDが一致するキャラクタデータ53cをバックアップデータとして二次記憶部17のセーブデータ18内に記憶する。以後、処理部10は、このフィギュア5を上記(a)の場合と同様に扱うことができる。
【0079】
<処理手順>
図7〜
図9は、本実施の形態に係るゲーム機1が行うフィギュア5のデータ読取処理の手順を示すフローチャートである。ゲーム機1の処理部10は、例えば表示部11に表示したゲームに係るメニュー画面などからフィギュア5のデータ読出の項目が選択されたか否かを判定する(ステップS1)。データ読出の項目が選択されていない場合(S1:NO)、処理部10は、データ読出の項目が選択されるまで待機する。
【0080】
データ読出の項目が選択された場合(S1:YES)、処理部10は、フィギュア5をゲーム機1の所定箇所に接触させる旨のメッセージを表示部11に表示する(ステップS2)。処理部10は、例えば非接触通信部14にて定期的にフィギュアID53aの送信命令をフィギュア5へ送信し、この送信命令に対する応答としてフィギュアID53aが得られたか否か等により、フィギュア5との非接触通信が可能となったか否かを判定する(ステップS3)。フィギュア5との非接触通信が可能となっていない場合(S3:NO)、処理部10は、ステップS2へ処理を戻してメッセージ表示を継続する。
【0081】
フィギュア5との非接触通信が可能となった場合(S3:YES)、処理部10のデータ読出部22は、非接触通信によりフィギュア5の記憶部53に記憶されたゲームデータ53b及びキャラクタデータ53c等のデータを読み出す(ステップS4)。処理部10のデータ判定部24は、読み出したキャラクタデータ53cの中に、自らのゲーム機1に付されたゲーム機ID及び二次記憶部17に記憶されたセーブデータ18のセーブデータIDと一致するIDを有するデータが含まれているか否かを判定する(ステップS5)。ゲーム機ID及びセーブデータIDが一致するキャラクタデータ53cが含まれている場合(S5:YES)、データ判定部24は、非接触通信を行ったフィギュア5から読み出したフィギュアID、自らのゲーム機ID及びセーブデータIDと一致するIDを有するデータがセーブデータ18のバックアップデータ18cに含まれているか否かを判定する(ステップS6)。
【0082】
フィギュアID、ゲーム機ID及びセーブデータIDが一致するバックアップデータ18cが含まれている場合(S6:YES)、これは上記(a)の場合である。よってデータ判定部24は、カウント値の比較を行い、フィギュア5のキャラクタデータ18cに含まれるカウント値Nfが、バックアップデータ18cに含まれるカウント値Nbを超えるか否かを判定する(ステップS11)。カウント値Nfがカウント値Nbを超える場合(S11:YES)、処理部10は、フィギュア5のデータを上書きする旨を警告するメッセージを表示部11に表示する(ステップS12)。このときに処理部10は、操作部12に対する操作により、データの上書きを行うか否かの選択を受け付ける(ステップS13)。上書きを行わない選択を受け付けた場合(S13:NO)、処理部10は、このフィギュア5を利用したゲーム処理を行うことなく、処理を終了する。
【0083】
フィギュア5の上書きを行う選択を受け付けた場合(S13:YES)、処理部10のデータ書込部21は、二次記憶部17のセーブデータ18に記憶されたバックアップデータ18cを非接触通信によりフィギュア5に書き込む(ステップS14)。つまり、フィギュア5のキャラクタデータ18cをバックアップデータ18cに書き換える。フィギュア5の上書き完了後、処理部10は、自らのゲーム機1についてはステップS14にて書き込んだデータ、及び、他のゲーム機1についてはステップS4にて読み出したデータについて、その更新日時を調べる。処理部10は、これらのデータの中から最新のデータ(実質的には、ステップS14にて書き込んだ自らのデータ)を選択し(ステップS15)、選択した最新のデータに基づくキャラクタによるゲーム処理を行って(ステップS16)、処理を終了する。
【0084】
また、ステップS11にてカウント値Nfがカウント値Nb以下であると判定した場合(S11:NO)、処理部10は、フィギュア5から読み出した一又は複数のキャラクタデータ53cから更新日時が最新のデータを選択する(ステップS15)。処理部10のゲーム処理部23は、選択した最新のデータに基づくキャラクタによるゲーム処理を行って(ステップS16)、処理を終了する。
【0085】
また、ステップS6にて、セーブデータ18の中にフィギュアID、ゲーム機ID及びセーブデータIDが一致するバックアップデータ18cが含まれていない場合(S6:NO)、これは上記(d)の場合であり、処理部10はステップS21へ処理を進める。処理部10は、フィギュア5から読み出したIDが一致するキャラクタデータ53cを、このフィギュア5のバックアップデータ18cとして二次記憶部17に記憶する(ステップS21)。次いで処理部10は、フィギュア5から読み出した一又は複数のキャラクタデータ53cから更新日時が最新のデータを選択する(ステップS24)。処理部10のゲーム処理部23は、選択した最新のデータに基づくキャラクタによるゲーム処理を行って(ステップS26)、処理を終了する。
【0086】
また、ステップ5にて、フィギュア5から読み出したキャラクタデータ53cにゲーム機ID及びセーブデータIDが一致するデータが含まれていない場合(S5:NO)、データ判定部24は、フィギュア5から読み出したフィギュアID、自らのゲーム機ID及びセーブデータIDと一致するIDを有するデータがセーブデータ18のバックアップデータ18cに含まれているか否かを判定する(ステップS7)。
【0087】
フィギュアID、ゲーム機ID及びセーブデータIDが一致するバックアップデータ18cが含まれている場合(S7:YES)、これは上記(c)の場合であり、処理部10は、このバックアップデータ18cを二次記憶部17のセーブデータ18から破棄して(ステップS22)、ステップS23へ処理を進める。またフィギュアID、ゲーム機ID及びセーブデータIDが一致するバックアップデータ18cが含まれていない場合(S7:NO)、これは上記(b)の場合であり、処理部10はステップS23へ処理を進める。
【0088】
処理部10のデータ判定部24は、フィギュア5から読み出したキャラクタデータ53cに、IDが一致しない他のキャラクタデータ53cが含まれているか否かを判定する(ステップS23)。他のキャラクタデータ53cが含まれている場合(S23:YES)、処理部10は、更新日時が最新のデータを選択し(ステップS24)、選択した最新のデータに基づくキャラクタによるゲーム処理を行って(ステップS26)、処理を終了する。他のキャラクタデータ53cが含まれていない場合(S23:NO)、処理部10は、フィギュア5のフィギュアID53aに応じたキャラクタの初期能力値を取得し(ステップS25)、この初期能力に基づくキャラクタによるゲーム処理を行って(ステップS26)、処理を終了する。
【0089】
図10は、本実施の形態に係るゲーム機1が行うフィギュア5のデータ書込処理の手順を示すフローチャートである。ゲーム機1の処理部10は、ゲーム処理部23のゲーム処理において、操作部12に対する操作に基づき、ゲームのキャラクタの能力値を上昇させる処理を行う(ステップS51)。能力値上昇処理の後、処理部10は、フィギュア5をゲーム機1の所定箇所に接触させる旨のメッセージを表示部11に表示する(ステップS52)。次いで処理部10は、フィギュア5との非接触通信が可能となったか否かを判定する(ステップS53)。フィギュア5との非接触通信が可能となっていない場合(S53:NO)、処理部10は、ステップS52へ処理を戻してメッセージ表示を継続する。
【0090】
フィギュア5との非接触通信が可能となった場合(S53:YES)、処理部10のカウント処理部25は、このフィギュア5に対するデータ書込回数、即ちカウント値を読み出す(ステップS53)。本実施の形態においてカウント処理部25は、二次記憶部17のバックアップデータ18cからカウント値を読み出すが、非接触通信によりフィギュア5からカウント値を読み出してもよい。カウント処理部25は、読み出したカウント値に対して1を加える処理を行う(ステップS54)。その後、処理部10のデータ書込部21は、ゲーム機ID、セーブデータID、上昇させた能力値、増加させたカウント値及び更新日時等の情報を含むデータを非接触通信にてフィギュア5に対して書き込む(ステップS55)。このときに処理部10は、フィギュア5に対して書き込んだデータに、このフィギュア5のフィギュアID53aを付したものをバックアップデータ18cとして二次記憶部17のセーブデータ18に記憶し(ステップS56)、処理を終了する。
【0091】
<まとめ>
以上の構成の本実施の形態に係る情報処理システムは、ゲーム機1の非接触通信部14がフィギュア5のICタグ50の非接触通信部52との非接触通信を行い、ゲーム機1のデータ書込部21がゲームに係るデータをフィギュア5の記憶部53に書き込む構成である。ゲーム機1の処理部10は、データ書込部21がフィギュア5に対して書き込んだデータを、二次記憶部17にバックアップデータ18cとして記憶しておく。処理部10のデータ判定部24は、フィギュア5からデータの読み出しを行う際に、フィギュア5に記憶したキャラクタデータ53c及び二次記憶部17に記憶したバックアップデータ18cが所定の関係にあるか否かを判定する。両データが所定の関係にない場合、処理部10は、二次記憶部17のバックアップデータ18cを、フィギュア5のキャラクタデータ53cに上書きする。これにより、フィギュア5のデータが不正に改変された場合であっても、改変されたデータをゲーム機1がバックアップしたデータに戻すことができる。
【0092】
また、ゲーム機1の処理部10は、ゲームの進行状況に係るセーブデータ18を生成して二次記憶部17に記憶する。セーブデータ18には一意的なセーブデータID18aが付され、セーブデータ18にはこのセーブデータID18aが含まれている。ゲーム機1のデータ書込部21は、セーブデータID18aを含むキャラクタデータ53cをフィギュア5に書き込む。データ判定部24は、フィギュア5に書き込んだキャラクタデータ53cのセーブデータIDと、二次記憶部17に記憶したバックアップデータ18cのセーブデータID18cとが一致するか否かを、所定の関係として判定する。またデータ判定部24は、ゲーム機1のセーブデータ18に含まれるセーブデータID18aと、セーブデータ18のバックアップデータ18cに含まれるセーブデータIDと、フィギュア5のキャラクタデータ53cに含まれるセーブデータIDとが一致するか否かを判定する。
【0093】
またゲーム機1には一意的なゲーム機IDが付されている。ゲーム機1のデータ書込部21は、ゲーム機IDを含むキャラクタデータ53cをフィギュア5に書き込む。データ判定部24は、フィギュア5に書き込んだキャラクタデータ53cのゲーム機IDと、二次記憶部17に記憶したバックアップデータ18cのゲーム機IDとが一致するか否かを、所定の関係として判定する。これらセーブデータID及びゲーム機ID等の情報が一致するか否かを判定することにより、フィギュア5のキャラクタデータ53cとゲーム機1のバックアップデータ18cとが一致するか否かを容易且つ確実に判定することが可能となる。
【0094】
また、本実施の形態に係るゲームでは、ユーザはゲームのプレイにより獲得したポイントを消費してキャラクタの能力値を上昇させ、上昇させた能力値をフィギュア5に書き込むことができる。ゲーム機1は、ユーザが所有するポイントの情報をセーブデータ18に記憶している。またセーブデータ18には、フィギュア5に対して書き込んだキャラクタデータ53cのバックアップデータ18cが含まれている。これらにより、セーブデータ18を別の記録媒体などにコピーし、キャラクタの能力値の上昇を繰り返し行う不正を防止することができる。
【0095】
また、ゲーム機1のカウント処理部25がフィギュア5に対するデータ書込の回数をカウント値として算出し、フィギュア5に書き込むキャラクタデータ53c及び二次記憶部17のバックアップデータ18cにこのカウント値を含む構成とする。ゲーム機1のデータ判定部24は、両データのカウント値を比較し、キャラクタデータ53cのカウント値がバックアップデータ18cのカウント値を超えるか否かを判定する。キャラクタデータ53cのカウント値がバックアップデータ18cのカウント値を超える場合、処理部10のデータ書込部21が、バックアップデータ18cをフィギュア5に書き込む。これにより、フィギュア5のキャラクタデータ53cとゲーム機1のバックアップデータ18cとが所定の関係を満たすか否かを容易に判定することができる。
【0096】
また、フィギュア5の記憶部53には、データ書き込みを行ったゲーム機1に対応付けて、複数のキャラクタデータ53cを記憶することができる。ゲーム機1のデータ処理部24は、フィギュア5に記憶された複数のキャラクタデータ53cのうち、自らのゲーム機1に対応付けられたいずれか1つのキャラクタデータ53cと、このフィギュア5に対応付けられた二次記憶部17のバックアップデータ18cとについて判定を行う。これにより、ユーザは1つのフィギュア5を複数のゲーム機1にて利用することができると共に、1つのゲーム機1にて複数のフィギュア5を利用することができる。
【0097】
なお本実施の形態においては、ユーザが操作するプレイヤキャラクタが敵キャラクタを攻撃するゲームを例に説明を行ったが、ゲームの内容は一例であって、これに限らない。またフィギュア5の記憶部53にキャラクタの能力値を記憶する構成としたが、これに限るものではない。例えばデータ記憶媒体に、ゲームに登場するステージや、プレイヤキャラクタが使用する武器又はアイテム等を記憶する構成としてよく、その他のデータを記憶する構成としてよい。また
図1に示した表示画面の構成は一例であって、これに限るものではない。
【0098】
また本技術はゲームに限らず、その他の種々のアプリケーションに適用することができる。データ記憶媒体にデータの書き込みを行うアプリケーションであり、データ記憶媒体に記憶されたデータの不正な書き換えなどが行われることを防止することが望まれるアプリケーションに対して本技術は好適である。例えば電子マネー又は換金可能なポイント等のデータをデータ記憶媒体に書き込む構成に対して本技術を適用することができる。いずれにせよ、情報処理により生成又は更新されたデータを非接触通信にてデータ記憶媒体に書き込む構成に対して、本技術を適用することができる。
【0099】
また本実施の形態においては、フィギュア5に記憶されたデータが不正に書き換えられたと判定した場合、ゲーム機1は、バックアップデータの上書きを行わない限りこのフィギュア5を用いたゲーム処理を行わない構成としたが、これに限るものではない。例えばゲーム機1は、不正が行われたと判定したフィギュア5から読み出したキャラクタデータに基づくゲームのプレイは許可するが、このキャラクタの能力値の上昇又は上昇させた能力値のフィギュア5に対する書き込み等を許可しない構成としてもよい。
【0100】
また本実施の形態においては、携帯型のゲーム機1を例に説明を行ったが、これに限るものではない。例えば据置型のゲーム機、汎用のコンピュータ、タブレット型端末装置又は携帯電話機等の種々の情報処理装置に同様の技術を適用可能である。なお据置型のゲーム機の場合、非接触通信部14は、本体部分に内蔵するのではなく、可搬型のコントローラなどに内蔵してもよい。また汎用のコンピュータなど、非接触通信部14を内蔵していない装置の場合には、非接触通信を行う別の装置を有線又は無線にて接続してもよい。
【0101】
またデータ記憶媒体をフィギュア5としたが、これに限るものではなく、ICカードなどであってもよく、その他の媒体であってもよい。またゲーム機1はNFCの規格に従って非接触通信を行う構成としたが、これに限るものではなく、その他の通信規格に従って非接触通信を行う構成であってもよい。またゲーム機1の処理部10が行う処理の一部又は全部を、例えばサーバ装置などの他の装置が行い、複数の装置の協働により処理を実現する構成としてもよい。
【0102】
またゲームプログラム91をゲーム機1の処理部10が実行することによって、処理部10にデータ書込部21〜カウント処理部25がソフトウェア的な機能ブロックとして設けられる構成としたが、これに限るものではない。データ書込部21〜カウント処理部25の一部の機能が、例えばOS(Operating System)の機能として提供されるものであってもよく、ハードウェア的な機能ブロックとして設けられる構成であってもよい。
【0103】
またゲーム機1はセーブデータ18を内蔵の二次記憶部17に記憶する構成としたが、これに限るものではない。例えばゲーム機1は、記録媒体装着部13に装着された記録媒体9にセーブデータ18を記憶してもよい。またゲーム機1の処理部10は、フィギュア5に対するデータ書き込みを行う際に、セーブデータ18にバックアップデータ18cを作成して記憶する構成としたが、これに限るものではない。例えばゲーム機1は、フィギュア5からのデータ読出を行う際にセーブデータ18を作成して記憶し、データ書込の際にはこれを更新する構成としてよい。またゲーム機1は、バックアップデータ18cとして自機に関するキャラクタデータ53cを記憶しておく構成としたが、これに限るものではない。例えばゲーム機1は、フィギュア5に記憶された全てのキャラクタデータ53cをバックアップデータ18cとして記憶しておく構成としてもよい。またゲーム機1は、データ書込回数をカウント値としてキャラクタデータ53c及びバックアップデータ18cに記憶しておき、キャラクタデータ53cのカウント値がバックアップデータ18cのカウント値を超える場合に不正が行われたと判定する構成としたが、これに限るものではない。例えばゲーム機1は、カウント値を用いずに、キャラクタデータ53c及びバックアップデータ18cの両データに含まれるゲーム機ID〜更新日時の情報が一致しない場合に、不正が行われたと判定とすることができる。