(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮機本体と,前記圧縮機本体を駆動するモータと,前記モータに入力する交流電流を発生させるインバータを備え,前記圧縮機本体の吐出側圧力が所定の目標圧力となるように前記インバータの出力周波数を可変として前記圧縮機本体の回転速度を可変としたインバータ駆動圧縮機において,
前記圧縮機本体の吐出口から消費側に至る空気流路中に逆止弁を設け,前記逆止弁の一次側における前記空気流路を吐出流路と,前記逆止弁の二次側における前記空気流路を供給流路と成すと共に,前記目標圧力に対し所定の高い圧力を無負荷運転開始圧力として設定し,
前記供給流路内の圧力が前記無負荷運転開始圧力未満のとき,前記供給流路内の圧力を前記目標圧力と一致させるように前記インバータが出力する交流電流の周波数を所定の下限周波数と上限周波数間で変化させて前記圧縮機本体の回転速度を制御する回転速度制御を行い,
前記供給流路内の圧力が前記無負荷運転開始圧力となったとき,前記吐出流路を大気開放した無負荷運転に移行すると共に,前記無負荷運転に移行した後で前記供給流路内の圧力が前記目標圧力以下となったときに前記回転速度制御に復帰するよう構成し,
前記回転速度制御時において前記圧縮機本体が,所定の低負荷運転状態となったとき,前記回転速度制御を停止すると共に,前記インバータの出力周波数を,前記供給流路内の圧力を前記無負荷運転開始圧力以上に上昇させる周波数である圧力上昇周波数まで増大させて前記無負荷運転に強制的に移行する強制移行制御を行うことを特徴とするインバータ駆動圧縮機の運転制御方法。
前記下限周波数に対し所定の高い周波数を判定基準周波数として設定し,前記インバータによる前記判定基準周波数以下の周波数の継続出力時間をカウントし,前記判定基準周波数以下の周波数の出力が所定時間継続して行われたとき,前記低負荷運転状態になったと判定することを特徴とする請求項1記載のインバータ駆動圧縮機の運転制御方法。
前記インバータが前記判定基準周波数以下の周波数を出力し,且つ,前記供給流路内の圧力が前記目標圧力に対し所定値高い判定基準圧力以上となったとき,前記判定基準周波数以下の周波数の継続出力時間のカウントを開始することを特徴とする請求項2記載のインバータ駆動圧縮機の運転制御方法。
前記供給流路内の圧力が,目標圧力より所定値高い判定基準圧力以上となったとき,前記低負荷運転状態になったと判定することを特徴とする請求項1記載のインバータ駆動圧縮機の運転制御方法。
圧縮機本体と,前記圧縮機本体を駆動するモータと,前記圧縮機本体の吐出側の圧力を検知する圧力検知手段と,前記モータに入力する交流電流を発生させるインバータを備えると共に,前記圧力検知手段が検知する圧力を所定の目標圧力に一致させるように,前記インバータの出力周波数を変化させる制御装置を備えたインバータ駆動圧縮機において,
前記圧縮機本体の吐出口から消費側に至る空気流路中に逆止弁を設け,前記逆止弁の一次側における前記空気流路を吐出流路と成すと共に該吐出流路を大気開放可能とする放気手段を設け,前記逆止弁の二次側における前記空気流路を供給流路と成すと共に該供給流路に前記圧力検知手段を設け,
前記制御装置が,
前記目標圧力に対し所定の高い圧力を無負荷運転開始圧力として記憶すると共に,圧力検知手段が検知した供給流路内の圧力と比較して,前記圧力検知手段の検知圧力が前記無負荷運転開始圧力未満のとき,前記供給流路内の圧力を前記目標圧力と一致させるように前記インバータが出力する交流電流の周波数を所定の下限周波数と上限周波数間で変化させる制御信号を出力して前記圧縮機本体の回転速度を制御する回転速度制御と,
前記圧力検知手段の検知圧力が前記無負荷運転開始圧力となったとき,前記放気手段を操作して前記吐出流路を大気開放した無負荷運転に移行すると共に,前記無負荷運転に移行した後で前記圧力検知手段の検知圧力が前記目標圧力以下となったときに前記回転速度制御に復帰する運転状態切換と,
前記回転速度制御時において前記圧縮機本体が所定の低負荷運転状態になったと判定したとき,前記回転速度制御を停止すると共に,前記インバータの出力周波数を,前記供給流路内の圧力を前記無負荷運転開始圧力以上に上昇させる周波数である圧力上昇周波数まで増大させて前記無負荷運転に強制的に移行させる,強制移行制御を行うことを特徴とするインバータ駆動圧縮機。
前記制御装置が,前記下限周波数に対し所定の高い周波数を判定基準周波数として記憶し,前記インバータによる前記判定基準周波数以下の周波数の継続出力時間をカウントすると共に,前記判定基準周波数の継続出力時間が所定時間継続したとき,前記低負荷運転状態になったと判定して前記強制移行制御を実行することを特徴とする請求項5記載のインバータ駆動圧縮機。
前記制御装置が,前記インバータが前記判定基準周波数以下の周波数を出力し,且つ,前記圧力検知手段の検知圧力が前記目標圧力に対し所定値高い判定基準圧力以上となったとき,前記判定基準周波数以下の周波数の継続出力時間のカウントを開始することを特徴とする請求項6記載のインバータ駆動圧縮機。
前記制御装置が,前記圧力検知手段の検知圧力が,目標圧力より所定値高い判定基準圧力以上となったとき,前記低負荷運転状態になったと判定することを特徴とする請求項5記載のインバータ駆動圧縮機。
【背景技術】
【0002】
インバータ駆動圧縮機では,圧縮機本体の駆動源として設けられているモータと電源間にインバータを配置し,このインバータによって電源からモータに入力される交流電流の周波数を変化させて,モータの回転速度を制御することができるように構成されている。
【0003】
このようなインバータ駆動型圧縮機では,圧力センサ等の圧力検知手段によって圧縮機本体の吐出側圧力を検知し,検知した圧力を,消費側に供給しようとする圧縮気体の圧力(目標圧力)に一致させるようにインバータがモータに対し出力する交流電流の周波数を変化させてモータの回転速度,従って圧縮機本体の回転速度を制御するもので,検知された圧力が目標圧力を超えているとモータに出力する交流電流の周波数を減少させてモータの回転速度を低下させる一方,圧縮機本体の吐出側圧力が前記目標圧力未満に低下すると,モータの回転速度を上昇させる交流電流をモータに出力する制御が行われている。
【0004】
以上のように構成されたインバータ駆動圧縮機では,消費側で行われる圧縮空気の消費量に応じて圧縮機本体の回転速度が制御されることにより,不必要な動力の消費が抑えられるため,このような速度制御を行わないモータ駆動型の圧縮機に比較して消費電力の低減が可能となるが,このようなインバータ駆動圧縮機においても更なる消費電力の減少によるランニングコストの低減を目的として,種々の運転制御方法の改良が提案されている。
【0005】
このような運転制御方法の一例として後掲の特許文献1では,動力の軽減とオイルセパレータ内でのドレン発生防止を目的として,負荷の変化に対応して圧縮機本体の回転速度を変化させる回転速度制御と,圧縮機本体の回転速度を前記回転速度制御の下限回転速度として圧縮機本体の吸込側に設けた吸込絞り弁を閉じると共にオイルセパレータ内の圧縮空気を放気する無負荷運転を可能とし,この無負荷運転時に圧縮機本体の吐出側圧力を減圧することで,消費動力を減少すると共に,前記無負荷運転が所定時間以上継続したとき,又は,前記容量制御による無負荷運転と負荷運転との時間比率が所定割合を超えたときに,前記スクリュ圧縮機を停止する制御を行うことが提案されている(特許文献1の請求項1,2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上で説明した特許文献1に記載の発明では,無負荷運転が所定時間継続した場合,あるいは,負荷運転に対する無負荷運転の割合が増大することにより,モータの回転を停止して圧縮機本体を停止しようというものであることから,無負荷運転中,常にモータを継続して駆動する場合に比較して消費動力を減少することができる。
【0008】
また,無負荷運転時,あるいはモータの停止時にはオイルセパレータ内の圧力は放気によって低下するため,露点が下がりドレンも発生し難くなる。
【0009】
しかし,圧縮機本体の吐出側圧力が低減された状態で行われる無負荷運転時には,モータにかかる負荷は十分に小さなものとなっていることから,無負荷運転時に圧縮機を停止してもこれによる大幅な動力の減少は得られない。
【0010】
また,無負荷運転への移行により圧縮機本体は圧縮空気の吐出を停止すると共にオイルセパレータ内の圧縮空気が放気されてオイルセパレータ内におけるドレン発生量は減少することから,圧縮機本体を無負荷運転に移行することによりドレンの発生量の減少は既に達成されているため,無負荷運転状態にある圧縮機本体を更に停止させても,ドレンの発生量の更なる減少は期待できない。
【0011】
これに対し,無負荷運転時に消費される動力に比較して,負荷運転時に消費される動力は大きく,このことは,上限あるいは上限付近の回転速度で行われる全負荷運転あるいは高負荷運転(以下,これらを総称して「高負荷運転」という。)の場合との比較のみならず,圧縮機本体を下限の回転速度付近で運転する低負荷運転時においても当て嵌まる。
【0012】
しかも,高負荷運転時に比較して低負荷運転時には動力の消費は少なくなるものの,単位空気量当たりの圧縮空気の生成に必要な動力について比較すると,高負荷運転時に比較して,低負荷運転時では,より大きな動力が必要であることが本発明の発明者による研究の結果明らかとなっている。
【0013】
そのため,例えば消費側に接続された空圧機器が常時少量の圧縮空気を消費するものである場合や,インバータ駆動型圧縮機と消費側に設けられた空圧機器間を接続する空気配管中に,接続不良やガスシールの劣化等に伴う僅かな漏れが生じている場合のように,消費側において常に少量の圧縮空気の消費が行われていると,前掲の特許文献1に記載の運転制御方法にあっては,この少量の圧縮空気の消費を補うために,圧縮機は無負荷運転へ移行せずに低負荷運転を長時間継続することとなり,ランニングコストが高くなる。
【0014】
また,圧縮機が油冷式圧縮機の場合,特にインバータ駆動圧縮機の場合,低負荷運転を長時間継続すると,低負荷運転時には高負荷運転時と比べ発熱量が非常に少なくなるために,圧縮機本体より吐出される吐出空気温度が低下し,また,相対的にオイルセパレータを通過する圧縮気体の流速が遅くなり,圧縮空気がオイルセパレータ内に滞留する時間が長くなることから,低負荷運転を長時間継続していると,オイルセパレータ内の温度が露点温度以下に低下して,オイルセパレータ内で水蒸気が凝集し易くなるために,ドレンの発生防止という点でも,低負荷運転を長時間行うことは好ましくない。
【0015】
そこで本発明は,消費側における圧縮空気の消費量に応じて回転速度を可変とするインバータ駆動圧縮機において,より一層の消費動力の低減と,圧縮機本体の吐出側に接続された空気流路(例えばオイルセパレータやレシーバタンク)内でのドレンの発生を抑制することができる運転制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0017】
上記目的を達成するために,本発明のインバータ駆動圧縮機1の運転制御方法は,圧縮機本体10と,前記圧縮機本体10を駆動するモータ15と,前記モータ15に入力する交流電流を発生させるインバータ30を備え,前記圧縮機本体10の吐出側圧力が所定の目標圧力Ptとなるように前記インバータ30の出力周波数を可変として前記圧縮機本体10の回転速度を可変としたインバータ駆動圧縮機1において,
前記圧縮機本体10の吐出口10bから消費側に至る空気流路50中に逆止弁54を設け,前記逆止弁54の一次側における前記空気流路を吐出流路51と,前記逆止弁54の二次側における前記空気流路50を供給流路52と成すと共に,前記目標圧力Ptに対し所定の高い圧力を無負荷運転開始圧力Pulとして設定し,
前記供給流路52内の圧力Pdが前記無負荷運転開始圧力Pul未満のとき,前記供給流路52内の圧力Pdを前記目標圧力Ptと一致させるように前記インバータが出力する交流電流の周波数を所定の下限周波数fminと上限周波数fmax間で変化させて前記圧縮機本体10の回転速度を制御する回転速度制御を行い,
前記供給流路52内の圧力Pdが前記無負荷運転開始圧力Pulとなったとき,前記吐出流路51を大気開放した無負荷運転に移行すると共に,前記無負荷運転に移行した後で前記供給流路52内の圧力Pdが前記目標圧力Pt以下となったときに前記回転速度制御に復帰するよう構成し,
前記回転速度制御時において前記圧縮機本体10が所定の低負荷運転状態となったとき,前記回転速度制御を停止すると共に,前記インバータ30の出力周波数
を,前記供給流路52内の圧力Pdを前記無負荷運転開始圧力Pul以上に上昇させ
る周波数である圧力上昇周波数fbまで増大させて前記無負荷運転に強制的に移行する強制移行制御を行うことを特徴とする(請求項1)。
【0018】
上記構成のインバータ駆動圧縮機1において,前記下限周波数fminに対し所定の高い周波数を判定基準周波数faとして設定し,前記インバータ30による前記判定基準周波数fa以下の周波数の継続出力時間をカウントし,前記判定基準周波数fa以下の周波数の出力が所定時間t(又はt’)継続して行われたとき,前記低負荷運転状態になったと判定するようにすることができる(請求項2)。
【0019】
また,前記インバータ30が前記判定基準周波数fa以下の周波数を出力し,且つ,前記供給流路52の圧力Pdが前記目標圧力Ptに対し所定値P2(0.01MPa)高い判定基準圧力Pj以上となったとき,前記判定基準周波数fa以下の周波数の継続出力時間のカウントを開始するようにしても良い(請求項3)。
【0020】
また,前記判定基準周波数fa以下の周波数の出力時間のカウントに代えて,前記供給流路52内の圧力Pdが,目標圧力Ptより所定値P2(0.01MPa)高い判定基準圧力Pj以上となったとき,前記低負荷運転状態になったと判定するものとしても良い(請求項4)。
【0021】
また,本発明のインバータ駆動圧縮機1は,圧縮機本体10と,前記圧縮機本体10を駆動するモータ15と,前記圧縮機本体10の吐出側の圧力を検知する圧力検知手段60と,前記モータ15に入力する交流電流を発生させるインバータ30を備えると共に,前記圧力検知手段60が検知する圧力を所定の目標圧力Ptに一致させるように,前記インバータ30の出力周波数を変化させる制御装置2を備えたインバータ駆動圧縮機1において,
前記圧縮機本体10の吐出口10bから消費側に至る空気流路50中に逆止弁54を設け,前記逆止弁54の一次側における前記空気流路50を吐出流路51と成すと共に該吐出流路51を大気開放可能とする放気手段40を設け,前記逆止弁54の二次側における前記空気流路50を供給流路52と成すと共に該供給流路52に前記圧力検知手段60を設け,
前記制御装置2が,
前記目標圧力Ptに対し所定の高い圧力を無負荷運転開始圧力Pulとして記憶すると共に,圧力検知手段60が検知した供給流路52内の圧力と比較して,前記圧力検知手段60の検知圧力Pdが前記無負荷運転開始圧力Pul未満のとき,前記供給流路52内の圧力を前記目標圧力Ptと一致させるように前記インバータ30が出力する交流電流の周波数を所定の下限周波数fminと上限周波数fmax間で変化させる制御信号を出力して前記圧縮機本体10の回転速度を制御する回転速度制御と,
前記圧力検知手段60の検知圧力Pdが前記無負荷運転開始圧力Pulとなったとき,前記放気手段40を操作して前記吐出流路51を大気開放した無負荷運転に移行すると共に,前記無負荷運転に移行した後で前記圧力検知手段60の検知圧力Pdが前記目標圧力Pt以下となったときに前記回転速度制御に復帰する運転状態の切換と,
前記回転速度制御時において前記圧縮機本体10が所定の低負荷運転状態になったと判定したとき,前記回転速度制御を停止すると共に,前記インバータ30の出力周波数
を,前記供給流路52内の圧力を前記無負荷運転開始圧力Pul以上に上昇させ
る周波数である圧力上昇周波数fbまで増大させて前記無負荷運転に強制的に移行させる,強制移行制御を行うことを特徴とする(請求項5)。
【0022】
前記構成のインバータ駆動圧縮機1において,前記制御装置2が,前記下限周波数fminに対し所定の高い周波数を判定基準周波数faとして記憶し,前記インバータ30による前記判定基準周波数fa以下の周波数の継続出力時間をカウントすると共に,前記判定基準周波数faの継続出力時間が所定時間t(又はt’)継続したとき,前記低負荷運転状態になったと判定して前記強制移行制御を実行するように構成することができる(請求項6)。
【0023】
上記構成のインバータ駆動圧縮機1において,前記制御装置2が,前記インバータ30が前記判定基準周波数fa以下の周波数を出力し,且つ,前記圧力検知手段60の検知圧力Pdが前記目標圧力Ptに対し所定値P2(0.01MPa)高い判定基準圧力Pj以上となったとき,前記判定基準周波数fa以下の周波数の継続出力時間のカウントを開始するように構成するものとしても良い(請求項7)。
【0024】
更に,前記判定基準周波数fa以下の周波数の出力継続時間のカウントに代え,前記制御装置2が,前記圧力検知手段60の検知圧力Pdが,目標圧力Ptより所定値P2(0.01MPa)高い判定基準圧力Pj以上となったとき,前記低負荷運転状態になったと判定するように構成しても良い(請求項8)。
【発明の効果】
【0025】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のインバータ駆動圧縮機1では,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0026】
負荷運転が行われている回転速度制御時において,インバータ駆動圧縮機1の運転状態が所定の低負荷運転状態になったと判定したとき,回転速度制御を停止してインバータ30の出力周波数を増大して圧縮機本体10の回転速度を上昇させて供給流路52内の圧力を無負荷運転開始圧力Pulまで上昇させることで,低負荷運転状態を打ち切り,無負荷運転に強制的に移行することができるようにした。
【0027】
その結果,圧縮気体の生産効率が悪い低負荷運転が強制的に停止される一方,低負荷運転の停止に伴い生じた不足分の圧縮空気は,無負荷運転への移行前の回転速度の上昇,及び,供給流路内の圧力Pdが目標圧力Ptに低下して回転速度制御が再開される際に行われる高負荷運転,すなわち,低負荷運転に対しよりエネルギー効率の高い運転状態によって生成するものとしたことから,インバータ駆動圧縮機1の消費動力を大幅に減少させることができた。
【0028】
またこの構成により,インバータ駆動圧縮機の全運転時間中に占める低負荷運転時間を短くすることができるため,吐出流路51,例えば吐出流路51を構成するレシーバタンク51b内の温度が低下することが防止され,その結果,レシーバタンク51b等の吐出流路51の構成機器内におけるドレンの発生量を減少させることができた。
【0029】
更に,無負荷運転時には,吐出流路51は放気手段40によって大気開放されて内部の圧力が低下しているため,この圧力低下によって吐出流路51内の露点が下がり,吐出流路51内では水蒸気の凝集が生じ難くなること,この大気開放により圧縮空気が吐出流路51内に滞留する時間が短くなることから,吐出流路51内でのドレンの発生を大幅に抑制することができた。
【0030】
なお,インバータ30が判定基準周波数fa以下の周波数を出力したというだけでなく,これを所定時間t(又はt’)連続して出力した時に前述した低負荷運転状態にあると判定するようにした場合には,所定時間t(又はt’)の低負荷運転が行われることで,短時間の間に頻繁に回転速度制御から無負荷運転への強制的な移行が繰り返されることを防止することができた。
【0031】
インバータ30が出力する周波数が判定基準周波数fa(22Hz)以下で,かつ吐出側圧力,すなわち供給流路52内の圧力Pdが目標圧力Pt(0.69MPa)よりも所定値P2(0.01MPa)高い判定基準圧力Pjとなったときに判定基準周波数faの出力継続時間のカウントを開始するようにした構成では,消費側における圧縮空気の消費が少なくなり,低負荷運転の状態であることを確実に検知することができ,無用な圧力上昇や放気を防止することができた。
【0032】
インバータ駆動圧縮機1が前述した低負荷運転状態にあるか否かの判定は,前述した判定基準周波数fa以下の周波数の出力継続時間のカウントに代えて,吐出側圧力Pdが目標圧力Pt(0.69MPa)よりも所定値P2(0.01MPa)高い判定基準圧力Pjとなったか否かに基づいて判定するものとしても良い。この場合には,圧力検知手段60からの検知信号に基づいて低負荷運転状態にあるか否かの判定が可能となり,低負荷運転の継続時間をカウントするためのタイマー等が不要となり,制御装置2の構成をより簡単なものとすることができた。
【0033】
もっとも,判定基準圧力Pjに基づいて低負荷運転の判定を行う場合においても,制御装置2にタイマーを設け,例えば判定基準圧力Pj以上,無負荷運転開始圧力Pul未満の圧力状態が所定時間継続した際に前述した低負荷運転状態であることを判定するものとしても良い。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に,添付図面を参照しながら本発明のインバータ駆動圧縮機について説明する。
【0036】
図1において,符号1はインバータ駆動圧縮機であり,図示の実施形態においてこのインバータ駆動圧縮機1は,圧縮機本体10と,この圧縮機本体10の駆動源であるモータ15,及び電源からの交流電流の周波数を変換して前記モータ15に出力するインバータ30を備え,前記モータ15により圧縮機本体10を駆動することにより,該圧縮機本体10の吸入口10aに連結された吸入弁45を介して圧縮機本体10のシリンダ内に被圧縮気体,図示の例では空気が導入されると共に,このシリンダ内に導入された被圧縮気体がロータの回転により圧縮され,得られた圧縮空気が圧縮機本体10の吐出口10bより吐出されるように構成されている。
【0037】
圧縮機本体10として,シリンダ内に潤滑油を注入し,被圧縮気体を圧縮して吐出する油冷式のスクリュ圧縮機を使用した本実施形態にあっては,該圧縮機本体10より前記潤滑油と共に吐出された圧縮気体が導入されるレシーバタンク51bを設け,このレシーバタンク51b内において圧縮気体と潤滑油とを分離すると共に,分離された圧縮気体を消費側に設けた空圧機器(図示せず)に対し供給できるようにしていると共に,レシーバタンク51bにおいて回収された潤滑油を,給油回路を介して圧縮機本体10の給油口10cに供給できるようにしている。
【0038】
この圧縮機本体10の吐出口10bから消費側に設けられた空圧機器(図示せず)に至る圧縮空気の流路(空気流路50)には,その途中に逆止弁54を設け消費側から圧縮機本体10側に向かって圧縮空気の逆流が生じることが防止されている。
【0039】
なお,本願発明の説明において,圧縮機本体10の吐出口10bから前述した逆止弁54に至る迄の空気流路50(逆止弁54の一次側の空気流路50)を「吐出流路(51)」,逆止弁54から消費側に至る空気流路50(逆止弁54の二次側の空気流路50)を「供給流路(52)」として説明する。
【0040】
従って,
図1に示す実施形態において,逆止弁54の一時側に設けられているレシーバタンク51bは上記で規定した吐出流路51の一部を構成し,このレシーバタンク51bと,該レシーバタンク51bに連通された管路51a,51cによって前述の吐出流路51が形成されている。
【0041】
前述の吐出流路51,図示の例ではこの吐出流路51の一部を構成するレシーバタンク51bには,内部の圧縮空気を放気するための放気手段40が設けられており,前述の制御装置2による放気手段40の制御によって,吐出流路51を大気開放することができるように構成している。
【0042】
図示の実施形態では,この放気手段40として,レシーバタンク51bと吸入弁45の一次側を連通する管路42,43と,この管路42,43を開閉する電磁弁41を設け,制御装置2からの制御信号によって電磁弁41を開閉することで,レシーバタンク51b内の圧縮空気を放気し,又は放気を停止することができるように構成している。
【0043】
図示の実施形態にあっては,この放気手段40を,圧縮機本体10の吸入側に設けた吸入弁45の開閉機構と一部構成を共用するものとして設けており,レシーバタンク51bに連通した管路42を,電磁弁41の二次側で分岐し,一方の分岐路を吸入弁45の閉弁受圧室に,他方の分岐路である放気管路43を,オリフィスを介して吸入弁45の一次側の吸入通路に連通することで,電磁弁41を開くとレシーバタンク51b内の圧縮空気が吸入弁45の閉弁受圧室内に導入されて吸入弁45を閉じると共に,レシーバタンク51b内の圧縮空気がオリフィスを介して吸入弁45の一次側の吸入通路に導入され,吸入弁45の一次側に設けられたエアフィルタを介して放気することができるように構成されている。
【0044】
なお,
図1に示す実施形態では,圧縮機本体10の吸入側に吸入弁45を設け,無負荷運転への移行時に圧縮機本体10の吸入口10aを閉じて圧縮機本体10の吸気を停止するようにしているが,この吸入弁45は必ずしも設ける必要はなく,一例として
図3に示すように,吸入弁45を省略した構成とするものとしても良い。
【0045】
以上で説明したインバータ駆動圧縮機1に設けられた各部の動作は,圧力検知手段60からの検知信号を受信して供給流路52内の圧力を監視している制御装置2からの制御信号により制御されており,制御装置2は,記憶手段に記憶した目標圧力Pt,無負荷運転開始圧力Pulと圧力検知手段60が検知した供給流路52内の圧力Pdとを比較して,各部へ制御信号を出力し,下記の通り各部の動作を制御する。
【0046】
圧力検知手段60が検知した供給流路52内の圧力Pdが目標圧力Pt未満のとき,制御装置2は電磁弁41を閉じる制御信号を出力し,電磁弁41はこの制御信号を受信して管路42,43を閉じ,圧力検知手段60が検知した供給流路52内の圧力Pdが無負荷運転開始圧力Pul以上であるとき,制御装置2は電磁弁41を開く制御信号を出力し,電磁弁41はこの制御信号を受信して管路42,43を開く。圧力検知手段60が検知した供給流路52内の圧力Pdが目標圧力Pt以上で無負荷運転開始圧力Pul未満の範囲にあるとき,制御装置2は電磁弁41への制御信号を変更することなく前の制御信号を継続する。即ち,圧力検出手段60が検知した供給流路52内の圧力Pdが目標圧力Ptから無負荷運転開始圧力Pulまで上昇する間,制御装置は電磁弁41を閉じる制御信号を継続して出力し,圧力検出手段60が検知した供給流路52内の圧力Pdが無負荷運転開始圧力Pulから目標圧力Ptまで低下する間,制御装置2は電磁弁41を開く制御信号を出力する。
【0047】
また,制御装置2は,供給流路52内の圧力Pdが目標圧力Pt未満に低下すると,電磁弁41を閉じる制御信号を出力すると共に,圧力検知手段60が検知した供給流路52内の圧力Pdと目標圧力Ptとの圧力差を算出し,この圧力差に基づきPI演算処理又はPID演算処理によりインバータ30が出力する交流電流の周波数を求め,これに対応する回転速度指令(周波数指令)を生成し,これをインバータ30に対して制御信号として出力することで,インバータ30が出力する周波数を所定の下限値fminと上限値fmax間で変化させて前記圧縮機本体の回転速度を制御する「回転速度制御」を行う。
【0048】
一例として,回転速度制御は,圧力検知手段60が検知した吐出流路52内の圧力Pdが目標圧力Ptを超えたとき,インバータ30はモータ15に出力する交流電流の周波数を上限値fmaxよりも低い所定の周波数まで減少させモータ15を低速運転に移行し,圧力Pdが無負荷運転開始圧力Pulに達したときには既に周波数は下限値fminになっている。一方,供給流路52内の圧力Pdが所定の目標圧力Pt未満に低下したとき,インバータ30はモータ15に出力する交流電流の周波数を下限値fminよりも高い所定の周波数,例えば最高周波数fmaxにする。このような動作を繰り返すことで供給流路52内の圧力Pdを目標圧力Ptに一致させる。
【0049】
なお,上記説明において,「インバータ30」はインバータの本体を指し,PI演算処理やPID演算処理を行う演算処理部等の,インバータ(本体)の出力周波数を制御するための装置は,装置構成としてインバータ本体と一体的な構成を取るか,あるいは,インバータ本体とは別個の装置を取るかに拘わらず,本願における制御装置2の構成要素を成す。
【0050】
また,消費側における圧縮空気の消費が停止する等して供給流路52内の圧力Pdが上昇して無負荷運転開始圧力Pulに達すると,前述とおり電磁弁41が開き,これにより吸入弁45を閉じて圧縮機本体10に対する被圧縮気体の導入を停止すると共に,レシーバタンク51b内の圧縮空気を放気通路43を介して大気開放して下限圧力Pminまで圧力を低下させ,インバータ30の出力周波数を下限周波数fminになった状態の無負荷運転に移行する。
【0051】
この下限圧力Pminは,レシーバタンク51bから圧縮機本体10へ確実に潤滑油を圧送するために必要な圧力であって,レシーバタンク51b内の圧力が下限圧力Pminに維持されるよう,放気管路43に設けたオリフィスの開口面積により放気される圧縮空気の流量が調整されている。
【0052】
このようにして無負荷運転に移行すると,吐出流路51(レシーバタンク51b)内の圧縮空気は放気されて圧力が下限値Pminまで低下するが,逆止弁54の一次側にある吐出流路51(レシーバタンク51b)内の圧力低下は,逆止弁54の二次側にある供給流路52内の圧力を低下させることなく,消費側における圧縮空気の消費が停止した状態では,供給流路52内の圧力は無負荷運転開始圧力Pulに維持され,この間,制御装置2は無負荷運転の状態を維持する。
【0053】
その後,消費側における圧縮空気の消費が再開されて,供給流路52内の圧力が目標圧力Ptまで低下すると,電磁弁41が閉じて吸入弁45を開くと共に,吐出流路51の放気を停止し,圧力検知手段60が検知した供給流路52内の圧力Pdが目標圧力Ptとなるように,インバータ30の出力周波数を制御する前述の回転速度制御に復帰する。このようにインバータ駆動圧縮機は,供給流路52内の圧力に従って,前述した回転速度制御と無負荷運転への移行を繰り返す基本動作を行うように制御されている。
【0054】
本発明のインバータ駆動圧縮機1において,前述の制御装置2は,以上で説明した基本動作に加え,更に,前記回転速度制御時において前記圧縮機本体10が所定の低負荷運転状態となったことを判定すると,前述の回転速度制御を停止すると共に,インバータ30の出力周波数を増大させて,前記供給流路52内の圧力Pdを前記無負荷運転開始圧力Pul以上に上昇させ,これにより前述の無負荷運転に強制的に移行させる,強制移行制御を行うように構成されている。
【0055】
本実施形態にあっては,一例としてインバータ30の出力周波数が所定時間t(又はt’)継続して下限周波数fminに対し所定の高い周波数として設定された判定基準周波数fa以下の周波数を出力すると,制御装置2は,前述の低負荷運転状態となったものと判定して,前述の強制移行制御を実行する。
【0056】
このような制御を,
図2を参照して説明すると,回転速度制御中に供給流路52内の圧力Pdが目標圧力Ptになると,インバータ30は,出力周波数を低下させる制御を開始し(
図2のT1),インバータ30の出力周波数はやがて判定基準周波数fa以下に迄低下し(
図2のT2),下限周波数fminに至る(
図2のT3)。
【0057】
ここで,消費側における圧縮空気の消費が行われていない場合,圧縮機本体10は低回転速度で運転されているものの,少量の圧縮空気を吐出しているため,供給流路52内の圧力は徐々に上昇して,供給流路52内の圧力Pdは最終的には無負荷運転開始圧力Pul以上に上昇することから,前述の基本動作に従って無負荷運転への移行を行うことになる。
【0058】
しかし,消費側において判定基準周波数fa以下の周波数に対応した回転速度で発生する圧縮空気量と同程度の少量の圧縮空気の消費(漏れを含む)が行われている場合,供給流路52内の圧力Pdは無負荷運転圧力Pulまで上昇せずに,目標圧力Pt以上,無負荷運転開始圧力Pul未満の圧力が維持されるために無負荷運転に移行せず,負荷がかかった状態で最低回転速度,あるいはそれよりも僅かに高い回転速度で運転される,低負荷運転が継続されることとなることから,本発明のインバータ駆動圧縮機1では,このような低負荷運転状態が生じた場合,強制的に無負荷運転への移行させることができるようにした。
【0059】
このような強制的な運転状態の移行を可能とするために,前述の制御装置2は,インバータ30の出力を受信できるように構成し,回転速度制御が行われている負荷運転中に,インバータ30に対し出力する制御信号が,前述した判定基準周波数fa以下の周波数の出力を指令した後,制御装置2はインバータ30から判定基準周波数fa以下の周波数を受信すると(
図2のT2),タイマーを起動して判定基準周波数fa以下の周波数の出力が継続して行われている時間のカウントを開始する。
【0060】
なお,このようなカウントは,上記の構成に代えて,制御装置2がインバータ30に対し判定基準周波数fa以下の周波数の出力を指令する制御信号を出力したときに開始するものとしても良い。
【0061】
この判定基準周波数faは,本実施例では前述した回転速度制御で使用する周波数の可変域(一例として20〜58Hz)における下限周波数fmin(20Hz)に対して僅かに高い値に設定しており,本実施例では判定基準周波数faを下限周波数fmin(20Hz)よりも2Hz高い,22Hzとしている。
【0062】
このようにしてカウントを行っているときに,消費側における圧縮空気の消費量が増加する等して吐出側圧力Pdが目標圧力Ptを下回ると,制御装置2はインンバータに対し出力周波数を増加させる制御信号を出力し,判定基準周波数faを上回る周波数の出力を指令する制御信号を出力すると,タイマーによるカウントを停止してリセットする。
【0063】
一方,供給流路52内の圧力が低下せず,判定基準周波数fa以下の周波数の出力が所定時間t継続してカウントされると(
図2のT5),制御装置2は,インバータ駆動圧縮機1が低負荷運転状態になったと判定し,インバータ30に対し判定基準周波数faよりも高い周波数として設定されている,圧力上昇周波数fbの出力を指令する制御信号を出力する。
【0064】
この圧力上昇周波数fbは,低負荷運転状態にある圧縮機の供給流路52内の圧力を速やかに無負荷運転開始圧力Pul以上に上昇させることができる周波数に設定することが必要で,本実施形態では,下限周波数fmin(20Hz)に対し2倍の周波数である40Hzを圧力上昇周波数fbとして設定している。
【0065】
そのため,制御装置2からの制御信号を受けてインバータ30が前記圧力上昇周波数fbの交流電流をモータ15に対し出力すると,モータ15,従って圧縮機本体10の回転速度が急激に上昇して供給流路52内の圧力Pdは速やかに無負荷運転開始圧力Pulに迄上昇し(
図2中のT6),運転状態を強制的に無負荷運転に移行させることが可能となる。
【0066】
上記の説明では,圧力上昇周波数fbを判定基準周波数fa(22Hz)より高く,定格値ft(53.5Hz)よりも低い40Hzとして設定しているが,強制移行制御中に圧縮機本体の動力がモータの許容動力(最大出力)を超えない(過負荷とならない)周波数であれば,この周波数値に限定されず,他の周波数を選定することも可能で,例えば定格値ft(53.5Hz)を圧力上昇周波数fbとしても良く,また,目標圧力の設定により制御装置が自動的に圧力上昇周波数fbを演算し設定するようにしてもよく,または,その時に供給流路52内の圧力に応じて制御装置2が圧縮機本体10の動力がモータ15の許容動力を超えない最大の周波数を演算し設定するようにしてもよい。
【0067】
なお,インバータ30が前記圧力上昇周波数fbを出力している際に消費側における圧縮空気の消費が開始されて供給流路52内の圧力が目標圧力Pt以下に低下した場合には,制御装置2は,強制移行制御を停止して,供給流路52内の圧力Pdを目標圧力に近付ける回転速度制御に移行し,回転速度制御に移行した後にインバータ30が出力する周波数が判定基準周波数fa以下に低下したら,再度カウントを開始し,先に説明した工程に従い,強制移行制御を行う。
【0068】
以上の説明では,インバータ30が判定基準周波数fa以下の周波数を所定時間t継続して出力したことを以て,圧縮機が低負荷運転状態にあることの判定基準としたが,低負荷運転状態であることの判定基準としては,他の基準を使用するものとしても良い。
【0069】
例えば,インバータが判定基準周波数faあるいは下限周波数fminを出力したこと,供給流路内の圧力が目標圧力Ptに対し所定の高い圧力,例えば目標圧力Ptより所定値p2(一例として0.01MPa)高い判定基準圧力Pjに達したことを以て,低負荷運転状態であることを判定しても良く,又は,前述の判定基準圧力Pj以上,無負荷運転開始圧力Pul未満の圧力が所定時間継続して検出されたことを以て,低負荷運転状態にあることを判定するものとしても良い。
【0070】
更に,前述の実施例で行った判定基準周波数fa以下の周波数の出力時間のカウントを,判定基準周波数fa以下の周波数の出力が開始された後,供給流路52内の圧力Pdが判定基準圧力Pj以上であることの2つの条件が満たされた際(
図2のT4)に所定時間t’のカウントを開始するようにしても良く,このように構成することで判定精度を高めて誤判定が行われることを防止できるようにしても良い。
【0071】
なお,前述の目標圧力Ptは設定値を変更することが可能であり,目標圧力Ptの変更に合わせて制御装置2が無負荷運転開始圧力Pulを自動で算出して自動的に変更できるようにしても良い。
【0072】
以上で説明した本発明のインバータ駆動圧縮機1の構成にあっては,判定基準周波数faを所定時間継続して出力する等,所定の低負荷運転状態にあることが判定されたら,速やかに周波数を圧力上昇周波数fb迄上昇させて,供給流路52内の圧力Pdを無負荷運転開始圧力Pulに上昇させ,強制的に無負荷運転に移行するようにしたことから,低負荷運転の時間を短縮することができた。
【0073】
その結果,圧縮機の効率が悪い低負荷運転を長時間継続しないので,圧縮機の消費動力を低減することができると共に,無負荷運転への移行により吐出流路51(レシーバタンク51b)内でのドレンの発生についても大幅に抑制することのできるインバータ駆動圧縮機1を提供することができた。