特許第6249684号(P6249684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6249684-セメント組成物の製造方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249684
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】セメント組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/02 20060101AFI20171211BHJP
   C04B 28/04 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   C04B7/02
   C04B28/04
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-177498(P2013-177498)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2015-44717(P2015-44717A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103539
【弁理士】
【氏名又は名称】衡田 直行
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100162145
【弁理士】
【氏名又は名称】村地 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】森 寛晃
(72)【発明者】
【氏名】久我 龍一郎
【審査官】 永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−198646(JP,A)
【文献】 特開2007−302548(JP,A)
【文献】 特開2004−196624(JP,A)
【文献】 特開2001−220197(JP,A)
【文献】 特開2009−234821(JP,A)
【文献】 特開2007−22913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B2/00−32/02
C04B40/00−40/06
C04B103/00−111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポルトランドセメントに含まれる石膏の全量中の二水石膏と半水石膏の合計量の割合が、SO換算で90質量%以上ポルトランドセメントに含まれる二水石膏と半水石膏の合計量中の半水石膏の量の割合が、SO換算で70質量%以上、かつ、ポルトランドセメント中の二水石膏と半水石膏の合計量の割合が、SO換算で1.0質量%以上となるように、ポルトランドセメントクリンカに添加される石膏の種類及び量を決定した後、ポルトランドセメントクリンカと石膏を材料として用いて、蒸気養生製品用ポルトランドセメントを得て、次いで、該蒸気養生製品用ポルトランドセメント及び水を含む混練用材料を、水セメント比が20〜40%となるように混練して、セメント組成物を得るセメント組成物の製造方法であって、上記ポルトランドセメントが、普通ポルトランドセメントまたは早強ポルトランドセメントであり、上記蒸気養生製品用ポルトランドセメント中のポルトランドセメントクリンカ粉砕物のブレーン比表面積が3,000〜4,800cm/gであり、上記蒸気養生製品用ポルトランドセメント中の二水石膏と半水石膏のブレーン比表面積が5,680〜6,190cm/gであることを特徴とするセメント組成物の製造方法。
【請求項2】
上記石膏の種類及び量の決定の前に、ポルトランドセメントクリンカ粉砕物と、予め定めた配合量の石膏を用いて、蒸気養生製品用ポルトランドセメントを得て、該蒸気養生製品用ポルトランドセメントに含まれる二水石膏と半水石膏の合計量中の半水石膏の量の割合を測定する、請求項1記載のセメント組成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセメント組成物の製造方法によって、セメント組成物を得た後、該セメント組成物を蒸気養生して、蒸気養生製品を得ることを特徴とする蒸気養生製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気養生製品用ポルトランドセメントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モルタルやコンクリート等のセメント硬化体を製造する際に、セメント組成物を蒸気養生する方法が知られている。
蒸気養生により得られるセメント硬化体(例えば、コンクリート二次製品等)の強度を向上させる方法として、特許文献1には、3CaO・3Al・CaSO、無水石膏及び生石灰を主成分として含有してなるカルシウムサルフォアルミネート系物質に対し、CaO含有率が49〜62重量%の無定形カルシウムアルミネートを0.5〜8重量%存在せしめてなる蒸気養生用セメント混和材を配合する方法が記載されている。
また、特許文献2には、高温高圧養生や蒸気養生により得られるセメント硬化体の強度を向上させるとともに、養生期間を短縮または養生温度を低減させる方法として、(a)ポルトランドセメント100重量部、(b)アルミナセメント1〜10重量部および(c)石膏1〜20重量部からなるセメント混合物を成形した後、常圧高温養生(例えば、常圧蒸気養生等)する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−149358号公報
【特許文献2】特開平1−261254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜2に記載された方法では、蒸気養生製品の強度を高めるために、ポルトランドセメント以外にセメント混和材やアルミナセメントを必須としている。
本発明の目的は、ポルトランドセメント以外の混和材あるいは特定の水硬性材料を用いることなく、セメントの製造において、セメントの凝結制御を目的として添加する石膏の種類ならびに量を調整することで、蒸気養生条件下での強度発現性に優れる蒸気養生製品用ポルトランドセメントの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポルトランドセメントに含まれる石膏の全量中の二水石膏と半水石膏の合計量の割合が、SO換算で70質量%以上で、かつ、ポルトランドセメントに含まれる二水石膏と半水石膏の合計量中の半水石膏の量の割合が、SO換算で60質量%以上となるように、ポルトランドセメントクリンカに添加される石膏の種類及び量を決定した後、ポルトランドセメントクリンカと石膏を材料として用いて、ポルトランドセメントを得た場合に、このポルトランドセメントを蒸気養生製品の材料として用いれば、蒸気養生製品の強度を高めることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1] ポルトランドセメントに含まれる石膏の全量中の二水石膏と半水石膏の合計量の割合が、SO換算で70質量%以上で、かつ、ポルトランドセメントに含まれる二水石膏と半水石膏の合計量中の半水石膏の量の割合が、SO換算で60質量%以上となるように、ポルトランドセメントクリンカに添加される石膏の種類及び量を決定した後、ポルトランドセメントクリンカと石膏を材料として用いて、蒸気養生製品用ポルトランドセメントを得ることを特徴とする蒸気養生製品用ポルトランドセメントの製造方法。
[2] 上記石膏の種類及び量の決定は、ポルトランドセメント中の二水石膏と半水石膏の合計量の割合が、SO換算で1.0質量%以上となるように行われる、前記[1]に記載の蒸気養生製品用ポルトランドセメントの製造方法。
[3] 上記ポルトランドセメントが、普通ポルトランドセメントまたは早強ポルトランドセメントである、前記[1]又は[2]に記載の蒸気養生製品用ポルトランドセメントの製造方法。
[4] 上記蒸気養生製品用ポルトランドセメント中のポルトランドセメントクリンカ粉砕物のブレーン比表面積が3,000〜5,000cm/gであり、上記蒸気養生製品用ポルトランドセメント中の二水石膏と半水石膏のブレーン比表面積が3,000〜10,000cm/gである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の蒸気養生製品用ポルトランドセメントの製造方法。
[5] 上記石膏の種類及び量の決定の前に、ポルトランドセメントクリンカ粉砕物と、予め定めた配合量の石膏を用いて、蒸気養生製品用ポルトランドセメントを得て、該蒸気養生製品用ポルトランドセメントに含まれる二水石膏と半水石膏の合計量中の半水石膏の量の割合を測定する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の蒸気養生製品用ポルトランドセメントの製造方法。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載の蒸気養生製品用ポルトランドセメントの製造方法によって、蒸気養生製品用ポルトランドセメントを得た後、蒸気養生製品用ポルトランドセメント及び水を含む混練用材料を、水セメント比が20〜40%となるように混練して、セメント組成物を得ることを特徴とするセメント組成物の製造方法。
[7] 前記[6]に記載のセメント組成物の製造方法によって、セメント組成物を得た後、該セメント組成物を蒸気養生して、蒸気養生製品を得ることを特徴とする蒸気養生製品の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法によれば、蒸気養生製品用ポルトランドセメントの蒸気養生条件下での強度発現性を向上させることができる。
本発明の製造方法によって得た蒸気養生製品用ポルトランドセメントを含むセメント組成物によれば、蒸気養生によって、強度に優れたモルタル及びコンクリート等を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例および比較例における養生パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の蒸気養生製品用ポルトランドセメントの製造方法は、ポルトランドセメントに含まれる石膏の全量中の二水石膏と半水石膏の合計量の割合が、SO換算で70質量%以上で、かつ、ポルトランドセメントに含まれる二水石膏と半水石膏の合計量中の半水石膏の量の割合(以下、「半水化率」ともいう。)が、SO換算で60質量%以上となるように、ポルトランドセメントクリンカに添加される石膏の種類及び量を決定した後、ポルトランドセメントクリンカと石膏を材料として用いて、蒸気養生製品用ポルトランドセメントを得るものである。
【0009】
本発明で用いられるポルトランドセメントは、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントを使用することができる。中でも、強度発現性やコストの観点から、普通ポルトランドセメントまたは早強ポルトランドセメントが好ましい。
【0010】
ポルトランドセメントに含まれる二水石膏及び半水石膏を上述した数値範囲内となるように調整することで、調整されたポルトランドセメントを用いて蒸気養生を行った場合の、ポルトランドセメントの強度発現性を向上させることができる。
ポルトランドセメントに含まれる石膏の全量(100質量%)中の二水石膏と半水石膏の合計量の割合は、SO換算で70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
上記二水石膏と半水石膏の合計量の割合が、SO換算で70質量%未満の場合、モルタル及びコンクリートの作業性が低下する。
また、ポルトランドセメントに含まれる二水石膏と半水石膏の合計量100質量%中の半水石膏量の割合は、SO換算で60質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
上記半水石膏の割合が、SO換算で60質量%未満の場合、蒸気養生製品用ポルトランドセメントの強度発現性の向上効果が低減する。
【0011】
ポルトランドセメントの半水化率を調整する方法としては、例えば、ポルトランドセメントクリンカと、予め定めた配合量の石膏(例えば、二水石膏)を混合し、同時粉砕した後、粉砕された混合物(ポルトランドセメント)の半水化率を測定し、得られた測定値に基づいて、混合後のポルトランドセメントの半水化率が上述した数値範囲内となるように、上記粉砕された混合物に別途粉砕した石膏(例えば、半水石膏)を加えて混合する方法が挙げられる。該方法では、上記粉砕された混合物の代わりに、市販されているポルトランドセメントを用いてもよい。
【0012】
また、ポルトランドセメントクリンカ、二水石膏、及び半水石膏を別々に粉砕した後、混合物(ポルトランドセメント)の半水化率が上述した数値範囲内となるような配合で、ポルトランドセメントクリンカ、二水石膏、及び半水石膏を混合する方法が挙げられる。
さらに、ポルトランドセメントクリンカと二水石膏を混合して、粉砕後の混合物(ポルトランドセメント)の半水化率が上述した数値範囲内となるまで粉砕する方法が挙げられる。ポルトランドセメントクリンカと二水石膏を同時に粉砕すると、粉砕温度の上昇(120℃程度)により、二水石膏の一部が半水化することから、上記方法では、粉砕後の混合物の半水化率が上述した数値範囲内となるように粉砕条件(例えば粉砕時間や散水量)を調整すればよい。
なお、いずれの方法においても、得られた混合物(ポルトランドセメント)中に含まれる石膏の全量(100質量%)中の二水石膏及び半水石膏の合計量の割合が、SO換算で70質量%以上となるようにポルトランドセメントクリンカ、二水石膏、及び半水石膏の配合量を調整する必要がある。
【0013】
ポルトランドセメントクリンカ、二水石膏および半水石膏等の粉砕は、ボールミル、ロッドミル等の一般的な粉砕機を用いればよい。
なお、本発明の蒸気養生製品用ポルトランドセメント中のポルトランドセメントクリンカ粉砕物のブレーン比表面積は、好ましくは3,000〜5,000cm/g、より好ましくは3,100〜4,800cm/gである。
上記ブレーン比表面積が3,000cm/g以上であると、ポルトランドセメントの強度発現性が向上する。また、上記ブレーン比表面積が5,000cm/g以下であると、モルタル、コンクリート等の作業性が向上する。
また、本発明の蒸気養生製品用ポルトランドセメント中の二水石膏および半水石膏のブレーン比表面積は、好ましくは3,000〜10,000cm/g、より好ましくは3,500〜8,000cm/gである。
上記ブレーン比表面積が3,000cm/g以上であると、ポルトランドセメントの強度発現性が向上する。また、上記ブレーン比表面積が10,000cm/g以下であると、粉砕にかかるコストが低くなる。
【0014】
上記粉砕の際に、粉砕効率を高める観点から、粉砕助剤を添加して粉砕してもよい。粉砕助剤としては、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン、及びトリイソプロパノールアミン等が挙げられる。中でも、セメント組成物の強度発現性向上の観点からトリイソプロパノールアミンが好ましい。これらの粉砕助剤は、粉砕対象物(例えば、ポルトランドセメントクリンカ)100質量部に対して0.01〜1質量部添加することが好ましい。
【0015】
また、本発明において、ポルトランドセメント100質量%中の二水石膏と半水石膏の合計量の割合が、SO換算で、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.2〜3.0質量%、特に好ましくは1.3〜2.8質量%となるように調整することが好ましい。
上記二水石膏と半水石膏の合計量の割合が、1.0質量%以上であると、モルタル、コンクリート等の作業性が向上する。
【0016】
また、本発明において、ポルトランドセメントは、少量混合成分として、石灰石粉末、シリカ質混合材、フライアッシュおよび高炉スラグ粉末から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
上記ポルトランドセメント100質量%中、少量混合成分の割合は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。上記割合が5質量%を超えると、蒸気養生製品用ポルトランドセメントの強度発現性の向上効果が低減する場合がある。また、JIS規格の製品として認定を受けることができなくなる。
【0017】
本発明の方法で強度発現性が向上した蒸気養生製品用ポルトランドセメント、並びに、水、骨材(粗骨材、細骨材)、及び必要に応じて配合される他の材料を含む混練用材料を混練したセメント組成物を、蒸気養生することで得られるセメント硬化体(モルタルまたはコンクリート)は、圧縮強度に優れている。
上記蒸気養生製品用ポルトランドセメントを含むセメント組成物の水セメント比は、好ましくは20〜40%、より好ましくは25〜35%である。水セメント比が40%以下の場合、セメント硬化体の強度が向上する。水セメント比が20%以上の場合、セメント組成物が流動性に優れるため、成型が容易となる。
上記必要に応じて配合される他の材料としては、高炉スラグ、シリカフューム、フライアッシュ等のセメント混和材や、減水剤、消泡剤等のセメント混和剤が挙げられる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
使用材料としては、以下に示す材料を使用した。
(1)普通ポルトランドセメントクリンカA:太平洋セメント大分工場製(クリンカ中のSO量:0.48質量%)
(2)普通ポルトランドセメントクリンカB:太平洋セメント熊谷工場製(クリンカ中のSO量:0.47質量%)
(3)二水石膏:試薬(密度:2.33g/cm、ブレーン比表面積:5,680cm/g)
(4)半水石膏:試薬(密度:2.72g/cm、ブレーン比表面積:6,190cm/g)
(5)石灰石粉末:太平洋セメント大分工場製(密度:2.77g/cm、ブレーン比表面積:4,100cm/g)
(6)高炉スラグ粉末:デイ・シイ社製、商品名「ファインセラメント10A」(密度:2.91g/cm、ブレーン比表面積:8,560cm/g)
(7)水:上水道水
(8)細骨材:掛川産山砂(表乾密度:2.58g/cm、吸水率:1.85%)
(9)高性能減水剤:BASFジャパン社製、商品名「SP8000SM」
(10)消泡剤:BASFジャパン社製、商品名「マイクロエア404」
【0019】
[クリンカA〜Bの粉砕物の製造]
上記普通ポルトランドセメントクリンカAを、その粒径が5mm以下となるように粗粉砕した後、中型ミルに投入した。さらに、粉砕助剤としてジエチレングリコールをクリンカの全質量に対して200ppmの割合で添加し、石膏等を加えずに粉砕を行った。得られた普通ポルトランドセメントクリンカAの粉砕物の密度は3.17g/cmであり、ブレーン比表面積は3,150cm/gであった。
同様にして、上記普通ポルトランドセメントクリンカBを粉砕した。得られた普通ポルトランドセメントクリンカBの粉砕物の密度は3.16g/cmであり、ブレーン比表面積は3,180cm/gであった。
【0020】
[セメント1〜16の製造]
上記普通ポルトランドセメントクリンカAまたはBの粉砕物と試薬の石膏(二水石膏、半水石膏)を混合して、混合物(セメント)100質量%中の全SO量(クリンカ中に含まれるSO量を含む。)が2.0質量%となるように調整した。
また、半水石膏と二水石膏の混合割合を変えることで、セメントの半水化率(半水石膏中のSO量/半水石膏及び二水石膏中のSO量の合計量)が、表2に示される数値(0%、50%、75%、または90%)となるように調整した。
さらに、少量混合成分として、石灰石粉末および高炉スラグ粉末を、表2で示される配合で添加、混合することで、セメント1〜16を製造した。
【0021】
[実施例1]
表1に示される配合に従って、モルタルを製造した。具体的には、セメント1と細骨材を、5リットルのホバートミキサに投入して、低速(自転速度:毎分140±5回転、公転速度:毎分62±5回転)で30秒間空練りした後、水と、高性能減水剤と、消泡剤を投入して、さらに低速で60秒間練り混ぜた。その後、ミキサー内部の掻き落としを行った後、回転速度を高速(自転速度:毎分285±10回転、公転速度:毎分125±10回転)にして90秒間練り混ぜた。
得られたモルタルをφ5×10cmのサミットモールドに打ち込んだ。打ち込み面をポリエチレン製ビニールで覆った後、蒸気養生槽内へ移動した。蒸気養生は、コンクリート二次製品工場で一般的に行われるものを想定して、図1で示される養生パターン(前置き温度20℃で3時間、65℃まで昇温速度20℃/時間、最高温度65℃で3時間保持、その後、20℃まで8時間で降温する。)で行った。
24時間経過後、脱型を行って供試体を得た。該供試体の圧縮強度(材齢1日における圧縮強度)を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
また、脱型を行った供試体を20℃、相対湿度60%の恒温室に静置して、材齢が14日になるまで気中養生を行った。その後、供試体の材齢14日における圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
結果を表2に示す。
【0022】
[実施例2〜8、比較例1〜8]
セメント1の代わりに、表2に示されるセメント2〜16を用いた以外は、実施例1と同様にして、モルタルを製造し、材齢1日及び14日における圧縮強度を測定した。
結果を表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
図1