(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のフレームで構成される動画の1フレームに対応する画像内の特定の領域における平均の階調値と、前記画像を表示するために液晶パネルに対して発光を行う発光部に応じて決まるピーク輝度とを乗算することで得られる輝度情報を取得する取得手段と、
前記画像を表示するための前記発光部の発光強度と1フレームあたりの発光期間とを制御する制御手段であって、前記取得手段により取得される輝度情報が所定の閾値以上の輝度に対応する場合には、前記取得手段により取得される輝度情報が前記所定の閾値未満の輝度に対応する場合よりも、前記発光強度が小さく且つ前記発光期間が長くなるように制御する制御手段とを有することを特徴とする表示装置。
前記特定の領域は前記画像内の複数の領域のうちの1領域であって、前記特定の領域における平均の階調値は前記複数の領域のうちの他の領域における平均の階調値よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
前記制御手段は、前記輝度情報が前記所定の閾値以上の輝度に対応する場合と前記輝度情報が前記所定の閾値未満の輝度に対応する場合とで、前記発光強度と前記発光期間との積が等しくなるように、前記発光強度と前記発光期間とを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
前記制御手段は、前記輝度情報が前記所定の閾値以上の輝度に対応する場合に、前記輝度情報が前記所定の閾値未満の輝度に対応する場合よりも、前記発光強度と前記発光期間との積が大きくなるように、前記発光強度と前記発光期間とを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
前記表示装置は、前記制御手段による制御に応じて前記液晶パネルに対して前記発光部により発光を行うことにより画像を投影するプロジェクターであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の表示装置。
前記特定の領域は前記画像内の複数の領域のうちの1領域であって、前記特定の領域における平均の階調値は前記複数の領域のうちの他の領域における平均の階調値よりも高いことを特徴とする請求項9に記載の表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
まず、映像の見え方について
図2を参照して説明する。
図2は、映像の見え方を比較した図である。
図2(a)は、インパルス発光したフレーム周波数60Hzの表示の見え方を示す図である。
図2(b)は、ホールド発光に黒挿入したフレーム周波数60Hzの表示の見え方を示す図である。
各図において、表示している物体は球状をしており、フレーム毎に右から左へと移動している。各図の縦軸は時間を表わし、フレーム周波数60Hzの映像の場合、16.67ms毎に映像が切り替わる。視線の動きを矢印で示す。視線の動きに沿って合成した画像(視聴者に見えている画像)を、一番下に示す。
【0013】
図2(a)において、31は球の映像がインパルス発光により1フレーム内で見えた形状である。32は球の映像がインパルス発光により数フレームの合成で見えた形状である。
図2(b)において、33は球の映像がホールド発光により1フレーム内で見えた形状である。34は球の映像がホールド発光により数フレームの合成で見えた形状である。
【0014】
図2(a)では、インパルス発光により、各フレーム毎に元画像だけを表示するものである。その各画像の見え方は形状31に示すように球状に近く、数フレーム合成して見える画像は形状32のように球状に近い。よって、物体の動きに対する見え方は最も良いものである。しかしながら、フレーム周波数60Hzでインパルス発光をするとフリッカーがひどく発生してしまうため、明るく表示することができない。
【0015】
図2(b)では、ホールド発光により、各フレーム毎に元画像だけを表示するものである。発光している時間は形状33に示すように長くなる(ホールド的発光表示)。これを視線の動き方向に数フレーム足し合わせると、形状34に示すように、楕円形に変形して見える。黒挿入をして、ホールド時間を半分程度にしているので、程度は多少よくなるものの変形してしまう。黒挿入の時間を更に長くすることで変形しなくなるが、逆にインパルス発光に近づいてしまうため、
図2(a)と同じようになり、フリッカーがひどく発生してしまう。
したがって、ホールド時間を映像によって動的に変化させることが望ましいことが理解できる。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の内部構成を示す図である。表示装置10は発光装置(バックライト装置)20を備えている。発光装置20は、複数のLEDを配列された順番に発光させるスキャン方式である。
11は入力された映像を表示装置や視聴者設定に応じて画質を調整する画質調整回路である。12は領域毎にAPL値を計算する領域APL計算回路である。領域APL計算回路12は、フリッカーの起こり易さを示すフリッカー情報を検出する検出手段の一例に対応する。14はパネルモジュールおよびバックライトモジュールのタイミングを制御するタイミングコントローラである。タイミングコントローラ14は、制御手段の一例に対応する。
15は液晶パネル駆動用のソースドライバである。16は液晶パネル駆動用のゲートドライバである。17は空間変調素子としての液晶パネルである。液晶パネル17は、表示部であって、ホールド型表示デバイスとしての一例である。
21はLEDを発光させるときの電流を決定するDAコンバータである。24はLEDのON−OFFを切り替えるアナログスイッチアレイである。25はLEDを駆動するドライバである。26は左側上下に一列で並ぶ発光部としてのLEDである。27は右側上下に一列で並ぶ発光部としてのLEDである。28は左右LEDの光を筋状に導く導光板である。
【0017】
次に、表示装置10の概略動作を説明する。
画質調整回路11は、表示装置10に入力された映像信号(YpbPr信号)に対して液晶パネル17の特性や視聴者の好みをパラメータとして画質調整を行い、最適の画像にしてRGB信号にて出力する。RGB信号は、領域APL計算回路12およびタイミングコントローラ14に出力される。領域APL計算回路12は、液晶パネル17の画面サイズに応じて表示領域を9〜50程度のブロックに分け、そのブロック毎にAPL値を計算する。ここで、APL値とは、平均画像レベル(Average Picture Level)であって、表示する画像の階調数を平均した値である。領域APL計算回路12は、このブロック毎のAPL値から最大のAPL値を求め、ピーク輝度値を乗算することで最大平均輝度値を求める。本実施形態では、タイミングコントローラ14が、フリッカーの起こり易さ、ここでは最大平均輝度値に応じて発光装置20の発光輝度および発光時間を制御する。この詳細は後述する。
【0018】
タイミングコントローラ14は、液晶パネル17のソースドライバ15にRGB信号から電圧を指示するデジタル値に変換した階調データを送信する。また、タイミングコントローラ14は、ゲートドライバ16に60Hzでスキャンするようなタイミング信号を送信する。ゲートドライバ16およびソースドライバ15により、液晶パネル17のソース電極とゲート電極とが駆動され、図示しない共通電極も合わせて駆動されることで、画面に映像が表示される。
【0019】
次に、発光装置20の動作について説明する。
タイミングコントローラ14は、電流値設定用のDAコンバータ21に対してLED26、27に流す電流設定値に相当する電圧値を出力する。例えば、LED26、27の発光時の電流値として20mAを流すのであれば電流設定値に相当する電圧値を2Vとし、発光時の電流値として4mAを流すのであれば電流設定値に相当する電圧値を0.4Vとする。
【0020】
また、タイミングコントローラ14は、アナログスイッチアレイ24に対してスキャン動作を制御する。スキャン動作とは、上側のアナログスイッチがONにしてからOFFにする動作を順番に下側のアナログスイッチにシフトさせる制御である。アナログスイッチがONされることで、DAコンバータ21からの出力値が各ドライバ25に出力される。タイミングコントローラ14は、各アナログスイッチがONしている時間をホールド時間として制御することで、所望のデューティ比が得られる。
アナログスイッチアレイ24によりON−OFF制御された各電流設定値に相当する電圧値はドライバ25によって、電圧値に応じた電流値に変換されて、左側のLED26および右側のLED27を駆動する。駆動されたLEDは、電流値によって、明るくまたは暗く発光する。LED26、27の光は導光板28によって横筋状に導光され、導光板28の前面が帯状に発光する。
【0021】
このように液晶パネル17上の映像が発光装置20によってスキャンされるようにして発光表示される。
本実施形態では、タイミングコントローラ14がLEDに流れる電流の制御とホールド時間とを制御することにより、明るく短い発光と暗く長い発光との両方とも同じ積分輝度が得られるようにするものである。なお、望ましい設定値等の詳細は後述する。
【0022】
図3は、第1の実施形態の発光装置20の発光状態を示す図である。
図3(a−1)、(b−1)は、時間経過に応じた発光状態の遷移を示す図である。
図3(a−2)、(b−2)は、中央付近のラインにおける時間と輝度との関係を示す図である。
図3(a−1)では、短デューティでの画像前半表示時の発光状態41から短デューティでの画像後半表示時の発光状態42に遷移している場合を示している。また、
図3(a−1)では、明るく短い発光45を示している。
図3(b−1)では、長デューティでの画像前半表示時の発光状態43から長デューティでの画像後半表示時の発光状態44に遷移している場合を示している。また、
図3(b−1)では、暗く長い発光46を示している。
【0023】
図3(a−2)では、短デューティでの画像表示時の中央付近のラインの輝度変化47を示している。
図3(b−2)では、長デューティでの画像表示時の中央付近のラインの輝度変化48を示している。
【0024】
液晶パネル17において画像を表示している時間は、
図3(a−1)では、発光状態41の少し前から発光状態42の少し後まで、すなわち明るく細い発光45が上から下までスキャンする間である。一方、
図3(b−1)では、発光状態43の少し前から発光状態44の少し後まで、すなわち暗くて太い発光46が上から下までスキャンする間である。
【0025】
左右方向の一つのラインに注目すると、短デューティでの画像は、
図3(a−2)に示す輝度変化47のように、高い輝度で短時間発光する。一方、長デューティでの画像は、
図3(b−2)に示す輝度変化48のように、低い輝度で長時間発光する。
タイミングコントローラ14が、このような発光装置20による発光パターンをフリッカーの起こり易さに応じて制御することで、フリッカーの起こりにくい範囲で、できるだけ動き応答性の良い表示をすることが可能になる。
【0026】
次に、実際に各LEDに流れる電流の変化について
図4を参照して説明する。
図4では、横軸にLEDのナンバーを上から下まで(1から11まで)付している。ここでは、説明を簡略にするために、LEDの数を左右それぞれ11個としているが、大画面の液晶パネル17に用いられる発光装置20ではLEDの数は更に多くなる。また、縦軸は電流値である。
LEDを明るく短く発光させる場合には、時間経過にしたがい、
図4(a)に示すM1、M2〜M11のように遷移させる。
LEDを暗く長く発光させる場合には、時間経過にしたがい、
図4(b)に示すS1、S2〜S14のように遷移させる。
ここで、フレーム周波数60Hzの映像の場合には、1周期が16.67msに相当する。
【0027】
図4(a)に示すM1では、最上段のLED1が明るく点灯する。M2に遷移すると、LED1が消灯しLED2が明るく点灯する。順番に下方にスキャンするように遷移を続け、M11では最下段のLED11が明るく点灯する。この後の休止期間では全LEDは消灯している。
図4(b)に示すS1では、最上段のLED1が暗く点灯する。S2に遷移すると、LED1が点灯したままLED2も暗く点灯する。S3、S4になるまで点灯するLEDが増えながら遷移する。S5においてLED1が消灯し、LED5が暗く点灯する。S6以降は同様に1個消して1個つけるように遷移して、S14では最下段のLED11のみが点灯している状態になる。この後の休止期間では全LEDは消灯している。
【0028】
このように、タイミングコントローラ14がLEDの電流とLEDのホールド時間とを制御することで、
図3に示したような発光装置20の発光パターンを実現することができる。なお、発光時間の中心は、各フレーム内でほぼ同じ位相にしておく必要がある。位相がずれると低い周波数のうなりが生じ、フリッカーが発生するためである。
【0029】
次に、フリッカーの起こり易さに応じて発光輝度および発光時間を制御するにあたり、人間の視覚特性に基づいて実際的にどのような発光輝度および発光時間にするのが適当であるかについて詳細に説明する。
図5は、領域APL計算回路12が領域毎の最大平均輝度値を計算する方法を説明するための図である。
図5(a)に示す51は画面領域をブロック分けした状態である。
図5(b)に示す52は画面に表示される画像である。
図5(c)に示す53は領域毎のAPL値である。
図5(d)に示す54は領域毎の平均輝度値である。
説明を簡略にするために、
図5(a)に示すように領域のブロック分けを9ブロックにして説明する。領域を分ける数は、後述するように1ブロックが50cm
2から150c
m
2程度になるように分けるのが好ましい。
【0030】
表示装置10では、
図5(b)に示す画像52に対応する画像情報としてのRGB信号が画質調整回路11から領域APL計算回路12に出力される。領域APL計算回路12は、領域毎にRGB値の階調の平均値を算出し、
図5(c)に示すように領域毎のAPL値を求める。この処理は、APL値算出手段による処理の一例に対応する。
次に、領域APL計算回路12は、APL値にピーク輝度を乗算して領域毎に平均輝度値を求める。白ピーク階調におけるピーク輝度の値として例えば200Cd/m
2とした
ときは、
図5(d)に示すような平均輝度値が求められる。ピーク輝度は発光装置20に応じて決定され、領域APL計算回路12内に予め記憶されている。
【0031】
領域APL計算回路12は、ブロック分けした領域の中で最大の平均輝度値を算出し、最大平均輝度値を求める。この処理は、最大平均輝度値算出手段による処理の一例に対応する。
図5(d)では9ブロックのうちブロック5の平均輝度値が最大平均輝度値、ここでは100Cd/m
2である。本実施形態では、最大平均輝度値がフリッカーの起こり易
さを示すフリッカー情報の一例である。タイミングコントローラ14は、算出された最大平均輝度値を用いて、後述するように発光装置20の発光輝度と発光時間を制御する。
【0032】
図6〜
図9は、発光輝度と発光時間との制御値を決定するための視覚特性を、主観評価で実験した結果を示す図である。
なお、積分輝度は、通常の輝度と同じものであるが、本実施形態を説明する場合に、瞬間的な輝度と区別するために、積分輝度というものとする。
発光輝度とは、瞬間的な輝度であり、積分輝度を発光時間の割合(デューティ)で割ったものである。デューティが1のときは発光輝度=積分輝度となり、例えばデューティが0.2のときは、発光輝度は積分輝度の5倍の値になる。
また、発光強度は割合を示す値であり、最大発光強度に対する割合を示すものでもある。
主観評価は5段階評価とし、それぞれの評価の基準を以下のように設定した。
図6、
図7、
図8におけるフリッカーの主観評価値
5:全くフリッカーを感じない
4:わずかにフリッカーがあるのがわかる
3:我慢できる程度のフリッカーを感じる
2:我慢できない程度のフリッカーを感じる
1:フリッカーが強すぎて見ていられない
【0033】
図9における動きボケの主観評価値
5:全く動きボケが見えない
4:わずかに動きボケがあるのがわかる
3:我慢できる程度の動きボケがある
2:我慢できない程度の動きボケがある
1:動きボケがありすぎて見ていられない
このように設定することで、評価値5が検知限、評価値4が許容限、評価値3が我慢限、となる。よって、発光強度および発光時間を制御する基準として、原則として評価値が4以上で、若干の範囲において評価値3になるように制御するのが望ましい。
【0034】
図6は、表示パッチの面積とフリッカーの主観評価の関係を実験した結果を示す図である。
図6(a)は表示の発光時間と発光強度の関係を示す図である。
図6(b)は狭い面積のパッチ61、広い面積のパッチ62を示す図である。
図6(c)は主観評価結果を示すグラフ63である。
この実験では、十分にフリッカーが起こるように発光強度と発光時間を設定した。
60Hzのフレーム周波数において、発光時間を1msと設定したので、デューティ比は6%である。また、発光強度は表示パッチの積分輝度が200Cd/m
2になるように
設定した。
【0035】
この表示条件で、パッチ面積を狭いパッチ61から広いパッチ62、具体的には10cm
2から200cm
2程度まで遷移させた。主観評価を実験した結果がグラフ63である。
この結果から、フリッカーの発生がわかるような範囲として、主観評価値が2から4の間になる面積を想定した。したがって、
図5(a)に示すブロック分けでは、1ブロックの面積が50cm
2〜150cm
2にすれば良いことがわかった。
【0036】
図7は、表示パッチの輝度とフリッカーの主観評価の関係を実験した結果を示す図である。
図7(a)は表示の発光時間と発光強度の関係を示す図である。
図7(b)は暗いパッチ71、明るいパッチ72を示す図である。
図7(c)は主観評価結果を示すグラフ73である。
この実験でも、十分にフリッカーが起こるように発光強度と発光時間とを
図6(a)と同様に設定した。また、パッチ面積を300cm
2とした。
【0037】
この表示条件では、パッチの輝度は表示パッチの階調を変化させることで行った。ここでは、暗いパッチ71から明るいパッチ72、具体的には0Cd/m
2〜200Cd/m
2まで変化するように階調を遷移させた。主観評価を実験した結果がグラフ73である。
この結果から、60Hzのフレーム周波数において、デューティ比の小さいインパルス発光であっても、70Cd/m
2以下であれば主観評価値が許容限の4以上であり、フリ
ッカーを許容できることがわかった。
【0038】
図8は、表示パッチの発光輝度および発光時間に対するフリッカーの主観評価の関係を実験した結果を示す図である。
図8(a)は一定階調で一定面積のパッチ80を示す図である。
図8(b)は表示の発光時間と発光強度の関係を示す図であり、短時間で発光強度が高い発光状態81と、長時間で発光強度が低い発光状態82を示している。
図8(c)は主観評価結果を示すグラフ83である。
本実験では、十分にフリッカーが起こるように、パッチ80の面積を300cm
2とし
た。パッチ80の積分輝度が200Cd/m
2となるようにパッチの表示階調を固定した
。
【0039】
この表示条件では、発光強度と発光時間はパッチが同じ積分輝度になるように、発光強度と発光時間とを調整しながら変化させて実験を行った。すなわち、短時間で発光強度が高い発光状態81から長時間で発光強度が低い発光状態82、具体的にはデューティ比で10%から100%まで遷移させた。主観評価を実験した結果がグラフ83である。
この結果から、60Hzのフレーム周波数において、デューティ比が70%以上であれば主観評価値が許容限の4以上であり、明るい輝度でもフリッカーを許容できることがわかった。
【0040】
図9は、表示パッチの発光時間に対する動きボケの主観評価の関係を実験した結果を示す図である。
図9(a)はパッチ90を移動させている様子を示す図である。
図9(b)は表示の発光時間と発光強度の関係を示す図であり、短時間で発光強度が高い発光状態91と、長時間で発光強度が低い発光状態92を示している。
図9(c)は主観評価結果を示すグラフ93である。
本実験では動きボケの評価なので、フリッカーを感じないように、パッチ90の積分輝度が50Cd/m
2となるように階調を固定した。
【0041】
この表示条件では、発光強度と発光時間はパッチが同じ積分輝度になるように、発光強度と発光時間とを調整しながら変化させて実験を行った。すなわち、短時間で発光強度が高い発光状態91から長時間で発光強度が低い発光状態92、具体的にはデューティ比で10%から100%まで遷移させた。主観評価を実験した結果がグラフ93である。
この結果から、60Hzのフレーム周波数において、デューティ比が30%以下であれば主観評価値が許容限の4以上であり、動きボケを許容できることがわかった。
【0042】
以上のような各種主観評価の実験により、例えば以下のような制御範囲を設定することにより、動きボケとフリッカーとを最小にすることが可能になる。なお、制御値の設定を変えても階調ゲインを変化させないので、黒部の階調性および白ピークを犠牲にしないことが可能である。
主観評価によって得られた値に基づいて以下のように制御範囲を設定する。
フリッカーを検出するブロックの面積を50〜150cm
2にする。
ブロック毎に70Cd/m
2以下であればフリッカーを許容できる。
フリッカーに関しては、デューティ比が70%以上であれば許容できる。
動きボケに関しては、デューティ比が30%以下であれば許容できる。
【0043】
デューティ比が30%〜70%の間では、フリッカーまたは動きボケの何れかが許容範囲外なので、以下のように制御する。
領域APL計算回路12は、ブロック分けした領域毎のAPL値にピーク輝度値を乗算して、領域毎の平均輝度値を求める。領域APL計算回路12は、各領域のうち最大の平均輝度値を最大平均輝度値Cd/m
2(以下、BAMとする)とおく。
また、使用するLEDはデューティ比10%で発光強度の最大値(以下、LLMとする)で発光できるものとする。
【0044】
(場合1)BAM≦70Cd/m
2の場合は、フリッカーを許容できるので、動きボケ
を許容範囲とする。
すなわち、
デューティ比=30%で固定
LEDの発光強度=LLM/3で固定
【0045】
(場合2)BAM≧200Cd/m
2の場合は、フリッカーを許容範囲にするためにデ
ューティ比を70%にする。
すなわち、
デューティ比=70%で固定
LEDの発光強度=LLM/7で固定
【0046】
(場合3)70Cd/m
2<BAM<200Cd/m
2の場合は、フリッカーを許容範囲にするためにデューティ比と発光強度とを線形に制御する(線形ではなく曲線状に制御してもよい)。
すなわち、
デューティ比=(BAM−70)×0.3+30
LEDの発光強度=LLM×(10/デューティ比)
【0047】
上述した(場合1)から(場合3)までの制御式をグラフにすると
図10および
図11のようになる。
図10は、第1の実施形態における最大平均輝度値とデューティ比との関係を示す図である。
図10では、横軸が各領域のうち最大平均輝度値を示し、縦軸が発光時間のデューティ比を示している。
図10には、最大平均輝度値によってデューティ比を決定する制御線100が示されている。
図11は、第1の実施形態における最大平均輝度値と発光強度との関係を示す図である。
図11では、横軸が各領域のうち最大平均輝度値を示し、縦軸が最大発光強度に対する発光強度の比率を示している。
図11には、最大平均輝度およびデューティ比から発光強度の比率を決定する制御線110が示されている。
【0048】
例えば、BAM=100Cd/m
2の場合には、デューティ比=39.2%であり、L
EDの発光強度は最大値の0.255倍で発光させるように制御することになる。
すなわち、タイミングコントローラ14は、領域APL計算回路12により算出された最大平均輝度値を、(場合1)〜(場合3)の制御式または
図10、
図11のグラフと照合することで、制御値として発光強度および発光時間のデューティ比を取得する。タイミングコントローラ14は、取得した発光強度に応じてLEDの発光輝度を制御すると共に、取得した発光時間のデューティ比に応じてLEDの発光時間のデューティ比を制御する。例えば、タイミングコントローラ14は、最大平均輝度値が大きい場合にはLEDの発光輝度を小さくかつ発光時間のデューティ比を大きく、最大平均輝度値が小さい場合にはLEDの発光輝度を大きくかつ発光時間のデューティ比を小さくする。このとき、タイミングコントローラ14は、発光輝度と発光時間とからなる積分輝度が等しくなるように制御する。ここで、最小平均輝度値が小さい場合のLEDの発光輝度と発光時間とを例えば
図3(a−2)とし、最小平均輝度値が大きい場合のLEDの発光輝度と発光時間とを例えば
図3(b−2)とする。積分輝度が等しいとは、輝度変化47の矩形状の面積と輝度変化48の矩形状の面積とが等しいことを意味する。タイミングコントローラ14は、このような処理を1フレーム毎に行うことで、表示される動画のフリッカーおよび動きボケの発生を低減させることができる。なお、上述した(場合1)〜(場合3)の制御式または
図10、
図11に示すグラフは、予めタイミングコントローラ14内に記憶されている。
【0049】
このように本実施形態によれば、フリッカーの起こり易さに応じて発光装置20の発光輝度と発光時間のデューティ比との両方を制御することで、フリッカーの発生および動きボケの発生を低減させることができる。特に、ゲインを固定させたままにすることができるので低階調部の見え方が変化せず、ホールド時間を短くして表示した場合でもピーク輝度を落とすことなく表示することができる。
【0050】
本発明は、上述した第1の実施形態に限られず、構成要件を同様とする異なる実施形態にも適用することができる。
例えば、第1の実施形態の発光装置20は、導光板28の左右にLED26、27を配置させたスキャン方式について説明したが、この場合に限られず、液晶パネル17の裏側の直下にLEDを配置(直下型)させたスキャン方式を用いても同様に実現できる。直下型に用いることで、タイミングコントローラ14は映像の輝度分布に応じて各LEDブロックを独立して制御し、輝度分布を変えることが可能なので、ダイナミックコントラストを向上させることができる。この場合には、タイミングコントローラ14は各LED毎に発光輝度と発光時間との両方を制御する。
【0051】
また、第1の実施形態の発光装置20は、スキャン方式である場合について説明したが、この場合に限られず、全面を同時発光する方式、すなわちバックライト全面を同時に点滅させる方式を用いても同様に実現できる。この場合、タイミングコントローラ14はバックライト全面において、
図1に示す左右のLED26、27全てを同時に発光させる。この場合でも、タイミングコントローラ14は、上述した(場合1)〜(場合3)の制御式または、
図10および
図11のグラフに基づいて取得した発光強度と発光時間のデューティ比とに応じてLED26、27を制御する。なお、液晶パネル17の裏側の直下にLEDを配置させた直下型であっても、同様に全面を同時発光する方式を適用することができる。また、全面を同時発光する方式では、LEDに必要な電流が集中してしまうことがあるものの、LEDを容易に制御することができる。
【0052】
また、上述した実験と異なる実験をしたところ、同じ積分輝度のパッチを見ても、デューティ比30%の方が、デューティ比70%のパッチよりも、4%程度明るく見えるという視覚特性があることがわかった。そのため、上述した(場合1)〜(場合3)の制御式を視覚特性に応じて補正することで輝度が一定に見えて好ましい。
以下、補正を加えた制御式を示す。
【0053】
(場合1)BAM≦70Cd/m
2の場合は、上記の(場合1)と同様である。
デューティ比=30%で固定
LEDの発光強度=LLM/3で固定
【0054】
(場合2)BAM≧200Cd/m
2の場合
デューティ比=70%で固定
LEDの発光強度=LLM/7×1.04
【0055】
(場合3)70Cd/m
2<BAM<200Cd/m
2の場合
デューティ比=(BAM−70)×0.308+30
LEDの発光強度=LLM×((10/デューティ比)+(デューティ比−30)/1000)
【0056】
上述した(場合1)〜(場合3)までの制御式をグラフにすると
図12のようになる。
図12は、最大平均輝度値と発光強度との関係を示す図である。
図12では、横軸が各領域のうち最大平均輝度値を示し、縦軸が最大発光強度に対する発光強度の比率を示している。
図12には、第1実施形態における最大平均輝度から発光強度の比率を決定する制御線110と、変形例における最大平均輝度から発光強度の比率を決定する制御線120とが示されている。
【0057】
このように補正することで、例えば、BAM=100Cd/m
2の場合には、デューテ
ィ比=39.2%となり、LEDの発光強度は最大値の0.264倍で発光させるように制御することになる。ここでは、補正値として4%を用いる場合について説明したが、補正値は視聴者によって若干異なるので補正値を調整できるようにするのが好ましい。また、補正値は、正確に4%でなくとも、1%〜8%等であっても十分に効果がある。
【0058】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、液晶パネル17を有する表示装置10について説明したが、この場合に限られず、液晶プロジェクター等の表示装置や有機ELパネル等のホールド型表示デバイスを有する表示装置にも適用することができる。
第2の実施形態では、LEDを用いた液晶プロジェクターにおいて発光輝度と発光時間との制御を行う場合について説明する。
液晶プロジェクターでは、光源をLED素子とすることで、第1の実施形態とほぼ同じ構成とすることができる。第1の実施形態との相違は、
図1における上下に一列で並ぶLEDが、白色の1個のLEDまたはRGBのLEDに置換されるだけである。
【0059】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、ランプを用いた液晶プロジェクターにおいて、発光輝度と発光時間との制御を行う場合について説明する。発光輝度を制御するために、ランプの光量をLEDのように小刻みに電流値で制御することは応答性の観点で難しい。したがって、第3の実施形態では、絞りを用いて発光輝度と発光時間とを制御するものとする。
【0060】
図13は、液晶プロジェクターの概略構成を示す図である。
図13において、131は光源となるランプである。132は集光調整光学系である。133は透過型の液晶パネルである。134はレンズである。135は絞りである。136は投射レンズである。
ランプ131から照射された光は、集光調整光学系132で集光され平行光として、液晶パネル133に導かれる。液晶パネル133で画像化された光は、レンズ134により絞り135に導かれ、絞り135の開度に応じて減光される。減光された光は投射レンズ136により、図示していないスクリーンに投影される。
【0061】
図14は、液晶プロジェクターの絞り制御を説明するための図である。
図14(a−1)は、短時間絞り開度を大きくあける場合の状態141を示す図である。
図14(a−2)は、絞り開度が大きい状態143を示す図である。
図14(b−1)は、長時間絞り開度を小さくあける場合の状態142を示す図である。
図14(b−2)は、絞り開度の小さい状態144を示す図である。
このように、絞り135の開度と開放時間を変化させることで、ランプでありながら、LEDと同様に、発光輝度と発光時間の両方を同時に制御することが可能である。
【0062】
図15は、液晶プロジェクターの内部構成を示す図である。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付してその説明を省略する。
図15において、151は絞り135を駆動する絞りドライバである。152は絞り用インダクタである。153は絞り開度調整機構である。
【0063】
フリッカーの起こり易さは、第1の実施形態と同様に領域APL計算回路12により検出される。その結果によって、タイミングコントローラ14が第1の実施形態と同様に発光輝度と発光時間のデューティ比の両方を制御する。
すなわち、本実施形態では、絞り135を用いるため、タイミングコントローラ14はランプの発光輝度を絞り開度調整機構153を介して調整し、発光時間を絞りドライバ151および絞りインダクタ152を介して絞り135を開けてから閉じるまでの時間を調整して制御する。
【0064】
(第4の実施形態)
第1の実施形態では、発光装置20を有する表示装置10について説明した。第4の実施形態では、発光装置の構造として、ブロック単位にLEDを配置する場合について説明する。本実施形態においては、各LEDブロックごとに発光量を異なるように制御することによって、画像暗部を表示したときに黒浮きが少なくなる。
なお、本実施形態では、映像に対するゲインが固定ゲインではなく、可変ゲインとなる。したがって、課題で述べたように、画像暗部の階調の均一性は悪化するという欠点があるものの、上述したように画像暗部の黒浮きは少なくなるので、コントラストの高い画像を視聴する場合に向いている。
【0065】
図16は、第4の実施形態に係る表示装置の内部構成を示す図である。表示装置101は発光装置としてのバックライトユニット201を備えている。バックライトユニット201は、複数のLEDブロックを配列することで各ブロック毎に異なる発光をしながら上から順番に発光させる、いわゆるローカルデミング方式の発光を実現する。なお、
図16において、11、12、14,15,16,17は、
図1と同様のモジュールであるため、説明を省略するが、バックライトユニット201の動作に合わせて異なるところは、別途説明する。
【0066】
161はLEDブロックの発光量を決定するマルチチャンネルDAコンバータであり、複数の電圧出力を有している。ここでは、6チャンネルの場合を示している。
162はLEDを駆動するドライバであり、ドライバ数はLEDブロック165の総数と同じだけある。各ドライバ162は、ラッチ機能を有し、マルチチャンネルDAコンバータ161の電圧出力をラッチし、電圧に比例した電流出力を行う。
163はLEDのON−OFFを切り替えるスキャンドライバである。スキャンドライバ163は、必ずしも横1列のみを順番にONするのではなく、後述するように複数の列を同時にONとするように作動させる場合もある。
165はマトリクス状に並ぶLEDブロックであり、左上から右上に向けて、LEDブロックB11からB16が並び、左上から左下に向けて、LEDブロックB11からB91が並び、右下のLEDブロックB96までの、合計54ブロックから構成される。各ブロック内のLEDの構成は、白色LED1個または複数であってもよく、あるいはRGBの3色分のLEDから構成してもよい。ここでは、説明を簡略にするために、LEDブロックの数を54としているが、大画面の液晶パネル17に用いられるバックライトユニット201ではLEDの数は更に多くなる。
なお、表示装置101の概略動作については、
図1と略同様であるため、その説明を省略し、以下のバックライトユニット201の動作に合わせて異なる点について説明する。
【0067】
領域APL計算回路12は、液晶パネル17の画面サイズに合わせて、表示領域をLEDのブロック数と同じ54のブロックに分け、そのブロック毎にAPL値を計算する。領域APL計算回路12は、このブロック毎のAPL値から、ピーク輝度値を乗算することで平均輝度値を求める。本実施形態では、フリッカーの起こり易さを示す平均輝度値に応じて、タイミングコントローラ14が、バックライトユニット201の発光輝度および発光時間を制御する。この詳細は後述する。
【0068】
タイミングコントローラ14は、液晶パネル17のソースドライバ15にRGB信号から電圧を指示するデジタル値に変換した階調データを送信する。このとき、ローカルデミングへの対応として、ブロック毎の発光輝度値の比率(以下、輝度比率と略す)に対応して、階調データを乗算する。例えば、あるLEDブロックの輝度比率が0.8である場合は、階調データを輝度比率の逆数である1.25で乗算する。このことによって、LEDブロックの輝度比率に関わらず、表示輝度が保たれる。
【0069】
次に、バックライトユニット201の動作について説明する。
タイミングコントローラ14は、電流値設定用のマルチチャンネルDAコンバータ161に対して各LEDブロックに流す電流設定値に相当する電圧値を出力する。例えば、LEDブロックの発光時の電流値として20mAを流すのであれば電流設定値に相当する電圧値を2Vとし、発光時の電流値として4mAを流すのであれば電流設定値に相当する電圧値を0.4Vとする。
ドライバ162は、マルチチャンネルDAコンバータ161からの電圧を受け取り、電圧値をラッチすることによって、サブフレーム表示中において電流出力を一定に保つ。
【0070】
また、タイミングコントローラ14は、スキャンドライバ163に対してスキャン動作を制御する。スキャン動作とは、スキャンドライバ163を介してLEDブロックをONにしてからOFFにする動作を順番に下側にシフトさせる制御である。スキャンドライバ163がONされることで、各LEDブロック165がドライバ162にラッチされた電圧値に応じた明るさで発光する。このスキャン動作は、横方向の1ブロック列だけでなく、複数ブロック列についても行なう。タイミングコントローラ14は、スキャンドライバ163の各出力線がONしている時間をホールド時間として制御することで、単数あるいは複数ブロック列を同時にONとして、所望のデューティ比が得られる。
【0071】
このように液晶パネル17上の映像がバックライトユニット201によってブロック単位でスキャンするようにして発光表示される。
本実施形態では、タイミングコントローラ14が、各LEDブロックに流れる電流の制御とホールド時間とを制御するものである。なお、望ましい設定値等の詳細は後述する。
【0072】
次に、実際に各LEDブロックに流れる電流の変化について説明する。
本実施形態でも、基本的には、
図4で説明したように、LEDを明るく短く発光させる場合には、時間経過にしたがい、
図4(a)に示すM1、M2〜M11のように遷移させる。
LEDを暗く長く発光させる場合には、時間経過にしたがい、
図4(b)に示すS1、S2〜S14のように遷移させる。
【0073】
第1の実施形態と異なるところは、LEDブロック毎に、発光量をコントロールすることである。その発光量は、明るいほうのサブフレームMでは例えば、強・弱の2種類とし、強と弱の比は例えば4分の1とする。電流量でいえば、20mA、5mAの2種類である。
また、暗いほうのサブフレームSでは、弱・0、の2種類とする。電流量でいえば、2mA、0mAの2種類である。なお、発光量の0値を実現するのが難しければ、非常に小さい発光量とすればよい。
図17は、第4の実施形態のバックライトユニット201の発光状態を示す図である。
図17(a−2)、(a−3)、(b−2)、(b−3)は、上述した発光量を示す図である。
発光量177はサブフレームMの強、発光量178はサブフレームMの弱、発光量179はサブフレームSの弱、発光量180はサブフレームSの0を示す。
【0074】
タイミングコントローラ14は、領域APL計算回路12から取得したLEDブロック毎の平均輝度値とブロック内の最大階調値によって、サブフレームMとサブフレームSの発光パターンを変える。
ブロック平均輝度値が高い値かつ、ブロック内画素の最大階調値が高い値では、該当のブロックLEDを、サブフレームMの強である発光量177およびサブフレームSの弱である発光量179で発光させる。
ブロック平均輝度値が高い値かつ、ブロック内画素の最大階調値が低い値では、該当のブロックLEDを、サブフレームMの弱である発光量178およびサブフレームSの弱である発光量179で発光させる。
ブロック平均輝度値が低い値かつ、ブロック内画素の最大階調値が高い値では、該当のブロックLEDを、サブフレームMの強である発光量177で発光させ、サブフレームSは発光させない。
ブロック平均輝度値が低い値かつ、ブロック内画素の最大階調値が低い値では、該当のブロックLEDを、サブフレームMの弱である発光量178で発光させ、サブフレームSは発光させない。
【0075】
以上を概説すると、タイミングコントローラ14は、ブロック平均輝度値によって、サブフレームSを弱で発光させるか消灯させるかを決定し、最大階調値によって、サブフレームMを強で発光させるか弱で発光させるかを決定する。
以上、説明を簡単にするために、発光パターンを4種類で説明したが、もっと複雑にしても勿論かまわない。その場合には、ブロック平均輝度値の高低の区切りおよび最大階調値の高低の区切りを増やすことで対応できる。
【0076】
図17(a−1)に示すように、バックライトユニット201全体をみた場合には、ステート171は画像前半表示時の発光状態に相当する。このとき、LEDブロックB21、B22、B25はサブフレームMの弱であり、LEDブロックB23、B24はサブフレームMの強の発光量で発光している。なお、LEDブロックB26は発光していない。
同様に、ステート172は画像後半表示時の発光状態に相当する。このとき、LEDブロックB83、B86はサブフレームMの弱、LEDブロックB84、B85はサブフレームMの強の発光量で発光している。なお、LEDブロックB81、B82は発光していない。
【0077】
図17(b−1)に示すように、ステート173では、LEDブロックB13,B14,B23,B24,B34,B35,B43,B44,B45の9個のLEDブロックが同時に、サブフレームSの弱の発光量で発光している。
同様に、ステート174では、LEDブロックB63,B64,B74,B75,B84、B85,B93,B94の8個のブロックが同時に、サブフレームSの弱の発光量で発光している。
ここで、フレーム周波数60Hzの映像の場合には、1周期が16.67msに相当する。
【0078】
このように、タイミングコントローラ14がLEDの電流とLEDのON時間とを制御することで、
図17に示したようなバックライトユニット201の発光パターンを実現することができる。
本実施形態では、表示領域の独立したLEDブロック毎に発光量を異なるように制御することによって、フリッカーを防止し、動いている部分は自然な動きボケの画像としながら、画像黒部は黒浮きの少ない表示を行なうことができる。
【0079】
(第5の実施形態)
第4の実施形態では、複数のLEDブロックからなるバックライトユニット201を有する表示装置10について説明した。第5の実施形態では、表示装置が中間画像を生成して、元画像の倍の周波数にて表示する場合を説明する。
【0080】
図18は、第5の実施形態に係る表示装置の内部構成を示す図である。表示装置102は発光装置としてのバックライトユニット201を備えている。バックライトユニット201は、複数のLEDブロックを配列することで各ブロック毎に異なる発光をしながら上から順番に発光させる、いわゆるローカルデミング方式の発光を実現する。なお、
図18において、11、12、14,15,16,17は、
図1と同様のモジュールであるため、説明を省略する。
【0081】
181は元画像から中間画像を生成する中間画像生成回路である。中間画像生成回路181は、生成手段の一例に相当する。
182は中間画像生成回路181に接続されたメモリであり、ここではフレームバッファを用いている。
中間画像生成回路181は、60Hzの元画像の前後2枚からその中間にあたる中間画像を生成して、120Hzの画像として出力する。2枚の元画像を使用するために、フレームバッファ182に古い画像を蓄積しておき、新しい画像と読み出した古い画像から中間画像を生成する。ここで中間画像を生成する方法は、公知の方法を用いることができ、その詳細は省略する。
【0082】
中間画像は動き量などを計算して生成した画像であるため、元画像に比べると、特に動き部分において画質が劣化している。したがって、生成した中間画像をそのまま元画像の間に表示してしまうと、違和感のある動きブレなどが表示され、視聴者に妨害感を感じさせてしまう。
そこで、本実施形態では、タイミングコントローラ14は、中間画像を用いて120Hzで表示しながら、バックライトユニット201において、平均輝度値の高いLEDブロックには、中間画像に対して暗く長く発光させる。このようすることで、動きのあるところで発生する中間画像の劣化部分がぼけるので妨害感を感じにくくなる。したがって、フリッカーを防止しながらも、動き部分における違和感のある動きブレによる妨害感をなくすことができる。
【0083】
また、本実施形態では、タイミングコントローラ14は、バックライトユニット201にて最大階調値の小さいLEDブロックにおいては、元画像に対しての明るく短い発光強度を引き下げることにより、暗部が黒くしまった画像を表示することができる。
したがって、本実施形態によれば、中間画像を用いた120Hzの表示において、明るい部分のフリッカーのみを削減し、画像黒部は黒浮きの少ない表示としながら、動いている部分は劣化の少ない画像を表示することができる。
【0084】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば、発光装置20、バックライトユニット201は、画質調整回路11、領域APL計算回路12およびタイミングコントローラ14等を備えていてもよい。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは各種記憶媒体を介して表示装置または発光装置に供給し、表示装置または発光装置のコンピュータ(またはCPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。