(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって、本発明が限定されるものでない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は、各図で例示された形状、大きさおよび位置関係のみに限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡システムの構成を概略的に示す模式図である。
図1において、顕微鏡システム1が載置される平面をXY平面とし、XY平面と垂直な方向をZ方向として説明する。
【0015】
図1に示す顕微鏡システム1は、標本SPを観察する顕微鏡装置2と、顕微鏡装置2を介して標本SPを撮像し、標本SPの画像データを生成する撮像装置3と、撮像装置3が生成した画像データに対応する画像を表示するとともに、顕微鏡システム1の各種の操作の入力を受け付ける表示入力部4と、顕微鏡装置2、撮像装置3および表示入力部4の駆動を制御する顕微鏡制御装置5と、を備える。顕微鏡装置2、撮像装置3、表示入力部4および顕微鏡制御装置5は、データが送受信可能に有線または無線で接続される。
【0016】
まず、顕微鏡装置2の構成について説明する。顕微鏡装置2は、略C字状の本体部100と、本体部100に取り付けられたステージ機構101と、ステージ機構101と対向して配置された対物レンズ102と、倍率が異なる複数の対物レンズ102を保持するレボルバ103と、標本SPを透過させる光を照射する透過照明光学系104と、標本SPに光を照射する落射照明光学系105と、本体部100に取り付けられた三眼鏡筒ユニット106と、三眼鏡筒ユニット106を介して取り付けられた接眼レンズユニット107と、三眼鏡筒ユニット106に連結された結像レンズユニット108と、を備える。また、結像レンズユニット108の端部には、撮像装置3が設けられている。なお、本実施の形態1では、対物レンズ102と結像レンズユニット108が観察光学系として機能する。なお、本体部100に三眼鏡筒ユニット106を設けず、本体部100に直接、撮像装置3を設けても良い。
【0017】
ステージ機構101は、XY平面内で水平方向に移動自在に構成されたステージ101aと、ステージ101aをXY平面内で移動させるXY駆動部101bと、ステージ101aの位置を検出する位置情報検出部101cと、を有する。
【0018】
XY駆動部101bは、ステッピングモータや超音波モータ等を用いて構成される。XY駆動部101bは、顕微鏡制御装置5の制御のもと、ステージ101aをXY平面内で移動させることによって、標本SPの観察箇所(観察領域)へステージ101aを移動させる。なお、ステージ機構101は、ステッピングモータや超音波モータ等を用いて電動でステージ101aを移動させるステージ機構としたが、手動でステージ101aを移動させるステージ機構でもよい。
【0019】
位置情報検出部101cは、リニアスケールやガラススケールまたはフォトインタラプタ等を用いて構成される。位置情報検出部101cは、図示しないXY位置の原点センサによってXY平面における所定の原点位置を検出し、この原点位置を基点としてステージ101aのX位置およびY位置に関する位置情報(XY座標)を顕微鏡制御装置5へ出力する。なお、位置情報検出部101cによる所定の原点位置検出は、行わなくてもよく、任意の位置を原点位置として設定してもよい。
【0020】
対物レンズ102は、倍率が互いに異なる複数の対物レンズ(たとえば、50倍の対物レンズ102a、100倍の対物レンズ102b)がレボルバ103に取り付けられている。
【0021】
レボルバ103は、本体部100に対して回転自在に設けられ、対物レンズ102を標本SPの上方に配置する。レボルバ103は、回転することによって、観察光路L上に配置された標本SPの観察に用いる対物レンズ102を択一的に切り換えることで、視野内の画像の倍率を変化させる。また、レボルバ103は、観察光路L上における対物レンズ102の種類や倍率を検出するレボルバ検出部103aを有する。なお、レボルバ検出部103aが無くとも、例えば表示装置入力部4に表示された対物レンズ倍率を指定する手段を用いて測定者がマニュアルで現在の対物レンズ102の倍率を指定し、それを顕微鏡制御装置5によって処理し、正しい倍率と指定された倍率でサンプルの測定を行う構成としてもよい。
【0022】
レボルバ検出部103aは、観察光路L上に挿入された対物レンズ102の種類および倍率を検出し、この検出結果を顕微鏡制御装置5へ出力する。なお、対物レンズ102の種類および倍率の検出は、レボルバ検出部103aによる方法以外に、ユーザが使用している対物レンズ102の種類および倍率を直接入力するようにしても良い。
【0023】
透過照明光学系104は、透過照明光を出射する透過照明用光源104aと、透過照明用光源104aが出射した透過照明光を集光して観察光路Lの方向へ導く種々の透過光学部材104bと、有する。
【0024】
透過照明用光源104aは、ハロゲンランプ、キセノンランプまたはLED(Light Emitting Diode)等によって構成される。透過照明用光源104aは、顕微鏡制御装置5の制御のもと、透過照明光を出射する。
【0025】
透過光学部材104bは、ミラー、コレクタレンズ、フィルタユニット、視野絞り、シャッタ、開口絞り、コンデンサ光学素子ユニットおよびトップレンズユニット等を用いて構成される。
【0026】
落射照明光学系105は、落射照明光を出射する落射照明用光源105aと、落射照明用光源105aが出射した落射照明光を集光して観察光路Lの方向へ導く種々の落射光学部材105bと、を有する。
【0027】
落射照明用光源105aは、ハロゲンランプ、キセノンランプまたはLED等によって構成される。落射照明用光源105aは、顕微鏡制御装置5の制御のもと、落射照明光を出射する。
【0028】
落射光学部材105bは、ハーフミラー、フィルタユニット、シャッタ、視野絞りおよび開口絞り等を用いて構成される。
【0029】
三眼鏡筒ユニット106は、対物レンズ102から入射した標本SPの観察光を、撮像装置3の方向と接眼レンズユニット107の方向とに分岐する。接眼レンズユニット107は、ユーザが標本SPを直接観察するためのものである。
【0030】
結像レンズユニット108には、複数のズームレンズと、これらのズームレンズの位置を変化させる駆動部(いずれも図示せず)とを含むズーム部が設けられている。ズーム部は、顕微鏡制御装置5の制御のもと、ズームレンズの位置を調整することにより、撮像視野内の撮像対象を拡大又は縮小させる。また、結像レンズユニット108は、ズーム倍率(投影倍率)を検出するズーム検出部108aを有する。なお、本実施の形態1では、対物レンズ102および結像レンズユニット108が観察光学系として機能する。なお、ズーム部は、対物レンズ102と三眼鏡筒ユニット106の間に設けてもよい。
【0031】
ズーム検出部108aは、観察光路L上における複数のズームレンズの位置に基づいて、結像レンズユニット108のズーム倍率を検出し、この検出結果を顕微鏡制御装置5へ出力する。なお、本実施の形態1では、ズーム検出部108aおよびレボルバ検出部103aが倍率情報検出部として機能する。
【0032】
次に、撮像装置3について説明する。撮像装置3は、結像レンズユニット108を介して入射された観察光を受光して光電変換を行うことによって、光を電気信号(アナログ信号)に変換する複数の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子31と、撮像素子31から出力される電気信号に増幅(ゲイン調整)等の信号処理を施した後、A/D変換を行うことによってデジタルの標本SPの画像データに変換して顕微鏡制御装置5へ出力する信号処理部と、を用いて構成される。撮像装置3は、顕微鏡制御装置5の制御のもと、結像レンズユニット108を介して入射された被写体である標本SPの観察像を撮像して標本SPの画像データを微小な時間間隔で連続的に生成する。
【0033】
次に、表示入力部4について説明する。表示入力部4は、顕微鏡制御装置5を介して撮像装置3が生成した画像データに対応する画像を表示する表示部41と、外部からの物体の接触に応じた位置信号を出力する入力部として機能するタッチパネル42と、顕微鏡システム1に関する各種の操作を指示する指示信号の入力を受け付ける入力部43と、を備える。
【0034】
表示部41は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等からなる表示パネルを用いて構成される。表示部41は、顕微鏡制御装置5を介して入力される画像データに対応する画像および顕微鏡システム1の各種操作情報を表示する。具体的には、
図2に示すように、表示部41は、撮像装置3によって連続的に生成された画像データに対応するライブ画像を表示するライブ画像表示領域LV
1、顕微鏡装置2の測定視野画像を表示する測定視野画像表示領域PV
1、ステージ101aの位置に関する情報を表示する位置情報表示領域m
1および後述する標本SPを計測した際の測定結果を表示する測定結果表示領域m
2を有する。
【0035】
タッチパネル42は、表示部41の表示画面上に設けられ、外部からの物体の接触位置に応じた入力を受け付ける。具体的には、タッチパネル42は、ユーザが表示部41に表示される操作アイコンに従ってタッチ(接触)した位置を検出し、この検出したタッチ位置に応じた位置信号を顕微鏡制御装置5へ出力する。タッチパネル42は、表示部41が顕微鏡システム1の各種操作情報を表示領域内で表示することで、グラフィックユーザインターフェース(GUI)として機能する。一般に、タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式および光学方式等がある。本実施の形態1では、いずれの方式のタッチパネルであっても適用可能である。
【0036】
入力部43は、キーボード、マウス、ジョイスティックおよび各種スイッチ等を用いて構成され、各種スイッチの操作入力に応じた操作信号を顕微鏡制御装置5へ出力する。
【0037】
次に、顕微鏡制御装置5について説明する。顕微鏡制御装置5は、顕微鏡システム1に関する各種情報を記録する記録部51と、顕微鏡システム1を構成する各部の動作を統括的に制御する制御部52と、を備える。
【0038】
記録部51は、フラッシュメモリおよびRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて構成される。記録部51は、顕微鏡システム1に実行させる各種プログラム、プログラムの実行中に使用される各種データを記憶する。記録部51は、制御部52の処理中の情報を一時的に記憶する。また、記録部51は、撮像装置3が生成した画像データに対応する画像内において、対物レンズ102の光軸が通過する位置(画像の中心)に位置情報検出部101cが検出した位置情報を対応付けて記録する位置情報記録部511を有する。
【0039】
制御部52は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成され、入力部43からの操作信号およびタッチパネル42からの位置信号に応じて顕微鏡システム1を構成する各部に対応する指示やデータの転送等を行って顕微鏡システム1の動作を統括的に制御する。
【0040】
ここで、制御部52の詳細な構成について説明する。制御部52は、距離算出部521と、撮像制御部522と、表示制御部523と、を有する。
【0041】
距離算出部521は、レボルバ検出部103aが検出した対物レンズ102の倍率とズーム検出部108aが検出したズーム倍率とによって定まる顕微鏡装置2の倍率に関する倍率情報、位置情報検出部101cが検出した位置情報および撮像素子31の1画素の幅に基づいて、撮像素子31が生成した画像データに対応する画像内における任意の2点間の距離を算出する。また、距離算出部521は、レボルバ検出部103aが検出した対物レンズ102の倍率とズーム検出部108aが検出したズーム倍率とによって定まる顕微鏡装置2の倍率、位置情報検出部101cが検出した位置情報および撮像素子31の1画素の幅に基づいて、互いに異なる測定視野領域の2つの画像データに対応する2つの画像内における任意の2点間の距離を算出する。さらに、距離算出部521は、タッチパネル42または入力部43から入力された操作信号に基づいて、対物レンズ102の光軸が通過する位置であって、画像内の中心を基準とした際の後述する表示部41が表示する画像内で指定された測定位置の座標を算出する。なお、対物レンズ102の倍率と撮像素子31の画素との関係については、予め校正をとられた校正部材や治具等によって対物レンズ102の倍率誤差および撮像素子31の投影倍率誤差が補正されているものとする。
【0042】
撮像制御部522は、撮像装置3の撮影動作を制御する。具体的には、撮像制御部522は、入力部43から撮影を指示する指示信号が入力された場合、撮像装置3に撮影を実行させる。
【0043】
表示制御部523は、撮像素子31が生成した互いに異なる測定視野領域の2つの画像データに対応する2つの画像を並べて表示部41に表示させる。また、表示制御部523は、顕微鏡システム1に関する各種情報を表示部41に表示させる。
【0044】
以上の構成を有する顕微鏡システム1が実行する処理について説明する。
図3は、顕微鏡システム1が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【0045】
図3に示すように、撮像装置3は、顕微鏡装置2のステージ101aに載置された標本SPを撮像する(ステップS101)。
【0046】
続いて、表示制御部523は、撮像装置3から入力された画像データに対応するライブ画像を表示部41のライブ画像表示領域LV
1に表示させる(ステップS102)。
【0047】
その後、タッチパネル42または入力部43から撮影指示があった場合(ステップS103:Yes)、撮像制御部522は、撮像装置3に撮影を実行させる(ステップS104)。
【0048】
続いて、位置情報検出部101cは、ステージ101aの位置情報を検出する(ステップS105)。
【0049】
その後、表示制御部523は、撮像装置3が生成した画像データに対応する測定視野画像を表示部41の測定視野画像表示領域PV
1に表示させる(ステップS106)。
【0050】
続いて、表示部41の測定視野画像表示領域PV
1で表示される測定視野画像に対して、タッチパネル42または入力部43を介して所定の位置が指定された場合(ステップS107:Yes)、距離算出部521は、撮像素子31の1画素の幅、撮像装置3によって測定視野画像が生成された際の顕微鏡装置2の総合倍率、位置情報検出部101cが検出した位置情報に基づいて、測定視野画像C
1の中心から指定された位置までの距離を算出する(ステップS108)。
【0051】
図4は、距離算出部521が算出する算出方法の概要を示す模式図である。
図4において、図面の左右方向をX軸とし、図面の上下方向をY軸とする座標系として考える。さらに、
図4において、対物レンズ102の光軸を通過する測定視野画像C
1の中心をP
1(X
01,Y
01)とし、ユーザによって指定された指定位置をP
11(X
11,Y
12)とする。
【0052】
図4に示す場合、距離算出部521は、以下の式(1)によって、中心P
1から指定位置P
11までの距離d
1を算出する。
d
1=((X
11−X
01)
2+(Y
11−Y
01)
2)
1/2 ・・・(1)
【0053】
図4において、単位をmm、撮像素子31の1画素の幅を2μm、中心P
1(X
01,Y
01)を(0,0)、中心P
1からX軸方向に−400画素、Y軸方向に+300画素離れた点P
11(−0.8,0.6)とした場合、距離算出部521は、上述した式(1)を用いて距離d
1を算出する。なお、撮像素子31の1画素の幅は、縦横比が1:1とする。
d
1=((−0.8−0)
2+(0.6−0)
2)
1/2
=1.0
その後、距離算出部521は、距離d
1に、測定視野画像C
1を撮像した際の顕微鏡装置2の総合倍率を乗じることによって、中心P
1から指定位置P
11までの実際の距離d
1を算出する。これにより、ユーザは、表示部41が表示する画像を見ながら、タッチパネル42または入力部43を介して、所望の指定位置を指示するだけ、任意の2点間の距離を容易に把握することができる。
【0054】
ステップS108の後、制御部52は、位置情報検出部101cが検出した位置情報と測定視野画像C
1とを対応付けて記録部51に記録する(ステップS109)。
【0055】
続いて、タッチパネル42または入力部43から標本SPの測定を終了する指示信号が入力された場合(ステップS110:Yes)、顕微鏡システム1は、後述するステップS111へ移行する。これに対して、タッチパネル42または入力部43から標本SPの測定を終了する指示信号が入力されていない場合(ステップS110:No)、顕微鏡システム1は、ステップS101へ戻る。
【0056】
ステップS111において、記録部51に測定視野が異なる2つの測定視野画像データが記録されている場合(ステップS111:Yes)、表示制御部523は、測定視野が異なる2つの測定視野画像データに対応する2つの測定視野画像を表示部41に表示させる(ステップS112)。具体的には、
図5に示すように、表示制御部523は、測定視野が異なる2つの測定視野画像データに対応する2つの測定視野画像C
1,C
2を表示部41の測定視野画像表示領域PV
1に表示させる。
【0057】
続いて、表示部41の測定視野画像表示領域PV
1で表示される測定視野が異なる2つの測定視野画像の各々に対して、タッチパネル42または入力部43を介して所定の位置が指定された場合(ステップS113:Yes)、距離算出部521は、2つの測定視野画像の各々に対して指定された2点間の距離を算出する(ステップS114)。
【0058】
図6は、距離算出部521が算出する算出方法の概要を示す模式図である。
図6において、図面の左右方向をX軸とし、図面の上下方向をY軸とする座標系として考える。さらに、
図6において、対物レンズ102の光軸を通過する測定視野画像C
1の中心をP
1(X
01,Y
01)、ユーザによって指定された指定位置をP
11(X
11,Y
12)、測定視野画像C
2の中心をP
2(X
02,Y
02)、ユーザによって指定された指定位置をP
22(X
22,Y
22)とする。
【0059】
図6に示す場合、距離算出部521は、以下の式(1)によって、指定位置P
11から指定位置P
22までの距離d
2を算出する。
d
2=((X
11−X
22)
2+(Y
11−Y
22)
2)
1/2 ・・・(2)
【0060】
図6において、単位をmm、撮像素子31の1画素の幅を2μm、中心P
1(X
01,Y
01)を(0,0)、点P
11(−0.8,0.6)、測定視野画像C
2の中心P
2を(20,−50)、中心P
2からX軸方向に+50画素、Y軸方向に+100画素離れた指定位置P
22(21.1,49.8)とした場合、距離算出部512は、上述した式(2)を用いて距離d
2を算出する。なお、撮像素子31の1画素の幅は、縦横比が1:1とする。
d
2=((−0.8−21.1)
2+(0.6+49.8)
2)
1/2
=54.56
その後、距離算出部521は、距離d
2に、測定視野画像C
1を撮像した際の顕微鏡装置2の総合倍率を乗じることによって、指定位置P
11から指定位置P
22までの実際の距離d
2を算出する。これにより、ユーザは、任意の2点間の距離を容易に把握することができる。
【0061】
ステップS114の後、表示制御部523は、距離算出部521が算出した算出結果を測定結果表示領域m
2に表示させる(ステップS115)。これにより、ユーザは、測定視野が異なる2つの測定視野画像の各々に対して、指定した任意の2箇所の距離を簡易な操作で容易に測定することができる。ステップS115の後、顕微鏡システム1は、本処理を終了する。
【0062】
ステップS103において、タッチパネル42または入力部43から撮影を指示する撮影指示がない場合(ステップS103:No)、顕微鏡システム1は、ステップS110へ移行する。
【0063】
ステップS107において、表示部41の測定視野画像表示領域PV
1で表示される測定視野画像C
1に対して、タッチパネル42または入力部43を介して所定の位置が指定されていない場合(ステップS107:No)、顕微鏡システム1は、ステップS109へ移行する。
【0064】
ステップS111において、記録部51に測定視野が異なる2つの測定視野画像データが記録されていない場合(ステップS111:No)、顕微鏡システム1は、本処理を終了する。
【0065】
ステップS113において、表示部41の測定視野画像表示領域PV
1で表示される測定視野が異なる2つの測定視野画像の各々に対して、タッチパネル42または入力部43を介して所定の位置が指定されていない場合(ステップS113:No)、顕微鏡システム1は、ステップS112へ戻る。
【0066】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、簡易な操作で精度の高い測定を容易に行うことができる。
【0067】
また、本発明の実施の形態1によれば、表示制御部523が互いに異なる測定視野領域の2つの測定視野画像を表示部41の測定視野画像表示領域PV
1に表示させるので、複数の測定視野領域の画像を容易に把握することができる。
【0068】
また、本発明の実施の形態1によれば、表示制御部523が互いに異なる測定視野領域の2つの測定視野画像を表示部41の測定視野画像表示領域PV
1に表示させる。これにより、複数の画像を貼り合わせて顕微鏡装置2の視野範囲よりも大きい画像を生成する必要がないので、簡易に標本SPを測定することができる。さらに、表示制御部523が2つの測定視野画像を1画面中に表示するため、レポート作成時にも1頁中に測定箇所を表示できるので、レポーティングを容易に行うことができる。
【0069】
また、本発明の実施の形態1によれば、測定位置以外の複数の画像を貼り合わせて顕微鏡装置2の視野範囲よりも大きい画像を生成する場合において、標本SPの測定位置が広範囲に亘るとき、複数の画像を取得する必要がないうえ、表示制御部523が測定位置を有する画像のみを表示部41に表示させればよいので、測定位置を容易に認識することができる。
【0070】
また、本発明の実施の形態1によれば、距離算出部521がレボルバ検出部103aによって検出された対物レンズ102の倍率とズーム検出部108aによって検出されたズーム倍率とによって定まる顕微鏡装置2の倍率、位置情報検出部101cによって検出された位置情報および撮像素子31の1画素の幅に基づいて、撮像素子31が生成した画像データに対応する画像内における任意の2点間の距離を算出する。これにより、ステージ101aの位置決めを高精度で行う必要がないうえ、高価なステージ101aが必要ないので、装置の構成を簡易にすることができる。
【0071】
なお、本発明の実施の形態1では、表示制御部523が互いに異なる測定視野で撮影された2つの画像を並べて表示部41に表示させていたが、たとえば、
図7に示すように、表示制御部523は、位置情報検出部101cが検出した位置情報に基づいて、撮像素子31が生成した互いに異なる測定視野領域の2つの画像データに対応する2つの画像を、ステージ101a上で標本SPが撮影された際の距離間隔で表示部41に表示させてもよい。
【0072】
また、本発明の実施の形態1では、表示制御部523は、入力部43から入力される指示信号に応じて、表示部41の表示画面上において2つの画像を移動、拡大、縮小および回転のいずれかを行って表示させてもよい。
【0073】
また、本発明の実施の形態1では、距離算出部521が1つの画像内において任意の2点間の距離を算出する場合、画像内の中心から指定位置までの距離を算出していたが、これに限らず、画像内の任意の2点間の距離も算出することができる。この場合、距離算出部521は、上述した式(2)を用いて算出することができる。
【0074】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2に係る顕微鏡システムは、上述した実施の形態1に係る顕微鏡システム1と構成が異なるうえ、実行する処理が異なる。具体的には、上述した実施の形態1に係る顕微鏡システム1は、標本SPの水平面のみの測定を行っていたが、本実施の形態2に係る顕微鏡システムは、標本SPの水平面および垂直方向の高さを測定する。このため、以下において、本実施の形態2に係る顕微鏡システムの構成を説明後、本実施の形態2に係る顕微鏡システムが実行する処理について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る顕微鏡システム1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
図8は、本実施の形態2に係る顕微鏡システムの構成を概略的に示す模式図である。
図8に示す顕微鏡システム1aは、標本SPを観察する顕微鏡装置2aと、撮像装置3と、表示入力部4と、顕微鏡制御装置5aと、を備える。顕微鏡装置2a、撮像装置3、表示入力部4および顕微鏡制御装置5aは、データが送受信可能に有線または無線で接続される。
【0076】
顕微鏡装置2aの構成について説明する。顕微鏡装置2aは、本体部100と、ステージ機構101と、対物レンズ102と、レボルバ103と、透過照明光学系104と、落射照明光学系105と、三眼鏡筒ユニット106と、接眼レンズユニット107と、結像レンズユニット108と、ステージ101aをZ軸方向へ移動させる焦準部109と、を備える。なお、本体部100に三眼鏡筒ユニット106を設けず、本体部100に直接、撮像装置3を設けても良い。
【0077】
焦準部109は、ステージ101aを保持するアーム部109aと、顕微鏡制御装置5aの制御のもと、アーム部109aをZ軸方向へ移動させる焦準駆動部109bと、ステージ101aの鉛直方向(Z軸方向)の位置に関する鉛直位置情報を検出する上下位置情報検出部109cと、を備える。なお、焦準部109は、顕微鏡制御装置5aの制御のもと、アーム部109aを電動でZ軸方向へ移動させるとしたが、手動でアーム部109aをZ軸方向へ移動させるようにしてもよい。
【0078】
焦準駆動部109bは、ステッピングモータや超音波モータ等を用いて構成される。焦準駆動部109bは、顕微鏡制御装置5aの制御のもと、ステージ101aを顕微鏡装置2aが載置された載置面と直交する上下方向へ移動させることによって、標本SPの全焦点画像を撮影可能にする。
【0079】
上下位置情報検出部109cは、リニアスケールやガラススケールまたはフォトインタラプタ等を用いて構成される。上下位置情報検出部109cは、ステージ101aの上下方向の上下位置情報(Z座標)を顕微鏡制御装置5aへ出力する。
【0080】
顕微鏡制御装置5aは、記録部51と、顕微鏡システム1aを構成する各部の動作を統括的に制御する制御部52aと、を備える。
【0081】
制御部52aは、CPU等を用いて構成され、入力部43からの操作信号およびタッチパネル42から位置信号に応じて顕微鏡システム1aを構成する各部に対応する指示やデータの転送等を行って顕微鏡システム1aの動作を統括的に制御する。
【0082】
ここで、制御部52aの詳細な構成について説明する。制御部52aは、距離算出部521と、撮像制御部522と、表示制御部523と、全焦点画像生成部524と、を有する。
【0083】
全焦点画像生成部524は、入力部43から撮影の指示信号が入力された場合、焦準駆動部109bを駆動することによって、ステージ101aを鉛直方向へ移動させながら、撮像装置3に連続的に標本SPを撮像させて複数の画像データを生成させ、複数の画像データのうち標本SPに対して最もピントが合っている画素を抽出して一枚の全焦点画像データを生成し、この全焦点画像データと上下位置情報検出部109cが検出した上下位置情報とを対応付けて記録部51に記録する。具体的には、全焦点画像生成部524は、標本SPに対して最もピントが合っている画素が生成された際に、上下位置情報検出部109cが検出した上下位置情報(Z座標)を画素毎に対応付けて記録部51に記録する。
【0084】
以上の構成を有する顕微鏡システム1aが実行する処理について説明する。
図9は、顕微鏡システム1aが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【0085】
図9のステップS201〜ステップS203は、上述した
図3のステップS101〜ステップS103にそれぞれ対応する。
【0086】
ステップS204において、全焦点画像生成部524は、標本SPの全焦点画像を生成する。
【0087】
続いて、位置情報検出部101cは、ステージ101aの位置情報(XY平面)を検出するとともに、上下位置情報検出部109cは、ステージ101aの鉛直位置情報を検出する(ステップS205)。
【0088】
ステップS206およびステップS207は、上述した
図3のステップS106およびステップS107にそれぞれ対応する。
【0089】
ステップS208において、距離算出部521は、撮像素子31の1画像の幅、撮像装置3によって全焦点画像が生成された際の顕微鏡装置2aの総合倍率、位置情報検出部101cが検出した位置情報に基づいて、測定視野画像の中心から指定された位置までの距離を算出するとともに、上下位置情報検出部109cが検出した鉛直位置情報に基づいて、全焦点画像内における任意の2点間の高さ(差)を算出する。この場合、距離算出部521は、全焦点画像生成部524によって全焦点画素の各画素に対応付けられた鉛直位置情報に基づいて、全焦点画像内における任意の2点間の高さを算出する。
【0090】
ステップS209〜ステップS213は、上述した
図3のステップS109〜ステップS113にそれぞれ対応する。
【0091】
ステップS214において、距離算出部521は、2つの測定視野画像の各々に対して指定された2点間の距離および高さを算出する。
【0092】
ステップS215は、上述した
図3のステップS115に対応する。ステップS215の後、顕微鏡システム1aは、本処理を終了する。
【0093】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、標本SPの距離および高さを簡易な操作で容易に行うことができる。
【0094】
(その他の実施の形態)
本発明では、顕微鏡装置、撮像装置、表示入力部および顕微鏡制御装置を備えた顕微鏡システムを例に説明したが、たとえば標本を拡大する対物レンズ、対物レンズを介して標本を撮像する撮像機能、および画像を表示する表示機能を備えた撮像装置、たとえばビデオマイクロスコープ等であっても、本発明を適用することができる。
【0095】
また、本発明では、顕微鏡装置として正立型顕微鏡装置を例に説明したが、たとえば倒立型顕微鏡装置であっても本発明を適用することができる。さらに、顕微鏡装置を組み込んだライン装置といった各種システムにも、本発明を適用することができる。
【0096】
また、本発明では、ステージとして電動ステージを例に説明したが、たとえば手動で移動させるマニュアルステージであっても、本発明を適用することができる。
【0097】
また、本発明では、表示入力部と顕微鏡制御装置とが別々に構成されていたが、たとえば表示入力部と顕微鏡制御装置とが一体的に形成された携帯型端末であってもよい。
【0098】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」等の表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本発明を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。すなわち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0099】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態を含みうるものであり、特許請求の範囲によって特定される技術的思想の範囲内で種々の設計変更等を行うことが可能である。