特許第6249726号(P6249726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249726
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/12 20060101AFI20171211BHJP
   B60N 2/44 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B62J1/12 A
   B60N2/44
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-233233(P2013-233233)
(22)【出願日】2013年11月11日
(65)【公開番号】特開2015-93549(P2015-93549A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】千葉 智久
(72)【発明者】
【氏名】上山 佳展
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0072804(US,A1)
【文献】 特開2008−056009(JP,A)
【文献】 特開2006−281921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/12
B60N 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部の構成要素となるボトムプレートを備えた乗り物用シートであって、
前記ボトムプレートの表面の少なくとも一部には、該表面から突出した補強リブが設けられ、
該補強リブの少なくとも一部がハニカム形状を形成しており、
前記補強リブは、前記ボトムプレートの上面に設けられる上方リブと、前記ボトムプレートの底面に設けられる下方リブと、を有し、
着座者を支持する領域となる着座領域には、底面側から上面側に向かって突出した補強凸部が設けられ、
前記補強凸部は、前記着座領域の中央部分に形成された中央凸部と、該中央凸部よりも外側に間隔を空けて配置され、前記上方リブを介して前記中央凸部に連結される環状凸部と、を有し、
前記上方リブ及び前記下方リブが、前記中央凸部から前記環状凸部側に向かって放射状に交互に配置されながら延びていることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項2】
前記補強リブの少なくとも一部は、前記ボトムプレートの上面及び底面の少なくとも一方の面において、前記着座領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗り物用シート。
【請求項3】
前記補強リブの少なくとも一部は、前記着座領域のうち、着座者の左右の坐骨部を支持する領域となる坐骨対応領域に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【請求項4】
記上方リブの全部又は一部は、前記補強凸部が形成された部分とは異なる部分に形成され、
前記下方リブの全部又は一部は、前記補強凸部が形成された部分に形成され、
前記上方リブ及び前記下方リブの全部又は一部が、前記ハニカム形状を形成していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【請求項5】
前記着座領域には、前記中央凸部と、前記上方リブと、前記環状凸部との上面で平面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【請求項6】
前記中央凸部の中央部分には、上面側から底面側まで貫通した中央貫通孔が形成され、
前記ボトムプレートの表面には、前記中央貫通孔とは異なる部分に設けられ、上面側から底面側まで貫通したエア抜き孔が形成され、
前記上方リブ及び前記下方リブが、前記中央貫通孔から前記エア抜き孔まで到達するように放射状に延びていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【請求項7】
前記補強リブは、前記ボトムプレートの外表面において前記着座領域側から外縁側に向かって直線状に延びた側方リブを有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか項に記載の乗り物用シート。
【請求項8】
前記補強リブの一部は、
前記ボトムプレートの上面において乗り物の燃料給油口に対応する領域となる給油口対応領域に設けられ、
該給油口対応領域において前記ハニカム形状を形成していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか項に記載の乗り物用シート。
【請求項9】
前記上方リブ及び前記下方リブのうち、少なくとも一方の全部又は一部は、前記着座領域の中央部分から外縁側に向かって放射状に延びていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【請求項10】
前記上方リブ及び前記下方リブのうち、少なくとも一方の全部又は一部は、前記着座領域において前記ハニカム形状を構成する各々の略六角形状の少なくとも一部を、2つ以上の略多角形状に区画するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【請求項11】
前記中央凸部及び前記環状凸部は、断面略環状形状からなり、
前記補強凸部は、前記着座領域の中央部分から外縁側に向かって所定の間隔を空けて複数の断面略環状形状を有していることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【請求項12】
前記補強リブのうち、前記坐骨対応領域に設けられた少なくとも一部は、前記坐骨対応領域以外の領域に設けられた少なくとも一部よりも厚みが大きくなっていることを特徴とする請求項3に記載の乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに係り、特に、オートバイ、雪上バイク、水上バイク等に使用される鞍乗型の乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着座部の構成要素となるボトムプレートを備えた鞍乗型乗り物用シートでは、着座者から受ける荷重や、走行中の振動による繰り返し荷重等を支えるために、ボトムプレートの剛性を高める技術が種々提案されている。
例えば、ボトムプレートの表面上に補強リブを格子状に設けることで、シート全体の剛性を確保したものが知られている。
【0003】
そして、特許文献1に記載の乗り物用シートでは、ボトムプレートに相当する底板の表面上に、上側又は下側に向けて突出し、シート前後方向及びシート幅方向に対して鋭角をなす態様で延在する突起部が補強リブとして形成されている。
このように構成することで、シート全体の剛性を確保しながらも、ボトムプレートに補強リブを格子状に設ける従来の場合と比較して使用材料が少なくなるから、シートの軽量化を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−154848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オートバイ等に使用される鞍乗型乗り物用シートでは、シートの剛性を確保した上で、車両の燃費向上のために軽量化することが強く求められている。
特許文献1に記載の乗り物用シートでは、補強リブに相当する突起部の配置及び構成を工夫することで、シートの軽量化を図っているものの、さらなる軽量化を果たすことが広く望まれていた。
【0006】
また、オートバイ等のシートでは、着座者を支持する着座領域、外縁領域、そして燃料給油口の周辺領域等においてシートの剛性を特に必要とするため、シート全体のうち、これら領域の剛性を確保しながらも、シートの軽量化を向上させたシートが望まれていた。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、シートの剛性を確保すると共に、シートの軽量化を果たした乗り物用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、シート全体のうち、特にシートの着座領域、シートの外縁領域、そしてシートの燃料給油口の周辺領域において剛性を確保すると共に、シートの軽量化を果たした乗り物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の乗り物用シートによれば、着座部の構成要素となるボトムプレートを備えた乗り物用シートであって、前記ボトムプレートの表面の少なくとも一部には、該表面から突出した補強リブが設けられ、該補強リブの少なくとも一部がハニカム形状を形成しており、前記補強リブは、前記ボトムプレートの上面に設けられる上方リブと、前記ボトムプレートの底面に設けられる下方リブと、を有し、着座者を支持する領域となる着座領域には、底面側から上面側に向かって突出した補強凸部が設けられ、前記補強凸部は、前記着座領域の中央部分に形成された中央凸部と、該中央凸部よりも外側に間隔を空けて配置され、前記上方リブを介して前記中央凸部に連結される環状凸部と、を有し、前記上方リブ及び前記下方リブが、前記中央凸部から前記環状凸部側に向かって放射状に交互に配置されながら延びていること、により解決される。
【0009】
上記のように、ボトムプレートの表面の少なくとも一部に、ハニカム形状を形成する補強リブが設けられているため、シートの剛性を確保しながらも、シートの軽量化を果たすことができる。
具体的に説明すると、ハニカム構造として、ボトムプレートの表面上に補強リブが略正六角形の空間を隙間なく区画するように形成されるため、荷重分散に優れて高強度となり、ひねりや捻りに強く高剛性となり、しかも同じ体積の図形による3次元空間充填で補強リブの体積が最も小さくなることから軽量化を達成できる。
また、ボトムプレートの表面上に上方リブと下方リブとをそれぞれ設けているため、例えばボトムプレートの上面のみに補強リブを設けた場合と比較して、ボトムプレート全体の剛性が向上する。
また、上記構成により、着座領域の中央凸部から環状凸部にわたって交互に凹凸形状が形成されると共に、上方リブと下方リブも交互に形成されることになるため、ボトムプレートの着座領域において剛性が向上する。
そして、中央凸部と環状凸部とが上方リブを介して連結されるため一層剛性が向上する。
【0010】
このとき、前記補強リブの少なくとも一部は、前記ボトムプレートの上面及び底面の少なくとも一方の面において、着座者を支持する領域となる着座領域に設けられていると良い。
また、前記補強リブの少なくとも一部は、前記着座領域のうち、着座者の左右の坐骨部を支持する領域となる坐骨対応領域に設けられていると良い。
上記構成により、シート全体のうち、着座領域、特に坐骨対応領域においてハニカム形状の補強リブが形成されることで剛性を確保することができる。
【0011】
このとき、前記上方リブの全部又は一部は、前記補強凸部が形成された部分とは異なる部分に形成され、前記下方リブの全部又は一部は、前記補強凸部が形成された部分に形成され、前記上方リブ及び前記下方リブの全部又は一部が、前記ハニカム形状を形成していると良い
方リブの全部又は一部は、着座領域の上面において凸部が形成された部分とは異なる部分に設けられ、下方リブの全部又は一部は、着座領域の底面において凸部が形成された部分に設けられるため、ボトムプレートの高さ方向において補強リブが余計に張り出すことがなく、ボトムプレートを小型化できる。
そして、上方リブと下方リブとがハニカム形状を形成しているため、シート全体のうち、特に着座領域の剛性を確保しながら、シート全体の軽量化を図ることができる。
【0013】
このとき、前記着座領域には、前記中央凸部と、前記上方リブと、前記環状凸部との上面で平面が形成されていると良い。
上記構成により、着座者がボトムプレートの平面部分で支持されることから、従来の補強リブを設けた構造と比較して、着座フィーリングが良くなる。
【0014】
このとき、前記中央凸部の中央部分には、上面側から底面側まで貫通した中央貫通孔が形成され、前記ボトムプレートの表面には、前記中央貫通孔とは異なる部分に設けられ、上面側から底面側まで貫通したエア抜き孔が形成され、前記上方リブ及び前記下方リブが、前記中央貫通孔から前記エア抜き孔まで到達するように放射状に延びていると良い。
上記構成により、ボトムプレートの表面上のうち、比較的剛性が低くなった貫通孔形成部分に対して、ハニカム形状の補強リブを持たせて補強することができる。
【0015】
このとき、前記補強リブは、前記ボトムプレートの外表面において前記着座領域側から外縁側に向かって直線状に延びた側方リブを有していると良い。
上記構成により、シート全体のうち、特にシートの外縁領域において剛性を確保することができる。
なお、シートの外縁領域に剛性を持たせることで、例えば、第三者が乗り物本体からシートを無理やりこじ開けようとしてもシートの変形を抑制することができる。
【0016】
このとき、前記補強リブの一部は、前記ボトムプレートの上面において乗り物の燃料給油口に対応する領域となる給油口対応領域に設けられ、該給油口対応領域において前記ハニカム形状を形成していると良い。
上記構成により、シート全体のうち、特にシートの燃料給油口の周辺領域において剛性を確保することができる。
なお、シートの燃料給油口の周辺領域に剛性を持たせることで、例えば、第三者が乗り物本体から燃料を盗むためにシートを無理やりこじ開けようとしてもシートの変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
発明によれば、ボトムプレートの表面の少なくとも一部に、ハニカム形状を形成する補強リブが設けられているため、シートの剛性を確保しながらも、シートの軽量化を果たすことができる。
具体的に説明すると、ハニカム構造として、ボトムプレートの表面上に補強リブが略正六角形の空間を隙間なく区画するように形成されるため、荷重分散に優れて高強度となり、ひねりや捻りに強く高剛性となり、しかも同じ体積の図形による3次元空間充填で補強リブの体積が最も小さくなることから軽量化を達成できる。
また、ボトムプレートの表面上に上方リブと下方リブとをそれぞれ設けているため、例えばボトムプレートの上面のみに補強リブを設けた場合と比較して、ボトムプレート全体の剛性が向上する。
また、着座領域の中央凸部から環状凸部にわたって交互に凹凸形状が形成されると共に、上方リブと下方リブも交互に形成されることになるから、ボトムプレートの着座領域において剛性が向上する。
そして、中央凸部と環状凸部とが上方リブを介して連結されるため一層剛性が向上する。
【0018】
発明によれば、シート全体のうち、着座領域、特に坐骨対応領域においてハニカム形状の補強リブが形成されることで剛性を確保することができる
本発明によれば、上方リブの全部又は一部は、着座領域の上面において凸部が形成された部分とは異なる部分に設けられ、下方リブの全部又は一部は、着座領域の底面において凸部が形成された部分に設けられるため、ボトムプレートの高さ方向において補強リブが余計に張り出すことがなく、ボトムプレートを小型化できる。
そして、上方リブと下方リブとがハニカム形状を形成しているため、シート全体のうち、特に着座領域の剛性を確保しながら、シート全体の軽量化を図ることができる。
【0019】
発明によれば、着座者がボトムプレートの平面部分で支持されることから、従来の補強リブを設けた構造と比較して、着座フィーリングが良くなる。
発明によれば、ボトムプレートの表面上のうち、比較的剛性が低くなった貫通孔形成部分に対して、ハニカム形状の補強リブを持たせて補強することができる。
【0020】
発明によれば、シート全体のうち、特にシートの外縁領域において剛性を確保することができる。
なお、シートの外縁領域に剛性を持たせることで、例えば、第三者が乗り物本体からシートを無理やりこじ開けようとしてもシートの変形を抑制することができる。
発明によれば、シート全体のうち、特にシートの燃料給油口の周辺領域において剛性を確保することができる。
なお、シートの燃料給油口の周辺領域に剛性を持たせることで、例えば、第三者が乗り物本体から燃料を盗むためにシートを無理やりこじ開けようとしてもシートの変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態の乗り物用シートを示す右側面図である。
図2】シートのボトムプレートを上面側から見た斜視図である。
図3図2のボトムプレートを底面側から見た斜視図である。
図4】ボトムプレートの第2実施例を示す上面図である。
図5】ボトムプレートの第2実施例を示す底面図である。
図6】ボトムプレートの第3実施例を示す上面図である。
図7】ボトムプレートの第3実施例を示す底面図である。
図8】ボトムプレートの第4実施例を示す上面図である。
図9】ボトムプレートの第4実施例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態は、ボトムプレートを備えたオートバイ用のシートであって、ボトムプレートの着座領域において上面から突出した上方リブと、底面から突出した下方リブとを備え、上方リブと下方リブとが、着座領域の中央部分から放射状に交互に配置されながら延びてハニカム形状を形成していることを特徴とするシートの発明に関するものである。
【0023】
本実施形態のシートSは、図1に示すように、オートバイの着座部を構成する部材であって、ベース基板となるボトムプレート30と、ボトムプレート30上に載置されるクッション材10と、ボトムプレート30及びクッション材10を被覆する表皮材20と、から主に構成されている。
詳しく説明すると、シートSでは、表皮材20の表皮端末をステイプルなどでボトムプレート30の内表面に取り付ける端末処理が行われている。
【0024】
クッション材10は、発泡ウレタン等を用いた弾性部材からなる。
表皮材20は、ポリ塩化ビニル系レザー等を用いた被覆材からなり、直接風雨に曝されるオートバイ用の表皮材として好適である。
詳しく言うと、表皮材20は、織物、編み物、不織布等の繊維基材の表面に軟質ポリ塩化ビニル層を積層して形成されている。
【0025】
ボトムプレート30は、ポリプロピレン等を原材料とする板状の樹脂成形品からなり、図1に示すように、オートバイ本体に取り付けられるシートSのベース基板である。
ボトムプレート30は、図2に示すように、シート前後方向に長尺であってオートバイ本体の形状に合わせて略階段状に形成されている。
【0026】
ボトムプレート30は、シート前方部分に設けられ、オートバイ本体に回動可能に取り付けられる領域となるヒンジ取り付け領域30aと、シート前後方向の略中央部分に設けられ、着座者を支持する領域となる着座領域30bと、シート後方部分に設けられ、オートバイの燃料給油口に対応する領域となる給油口対応領域30eと、着座領域30bと給油口対応領域30eとの間に設けられ、オートバイ本体にロック可能に取り付けられる領域となるロックバー取り付け領域30dと、から主に構成されている。
また、着座領域30b内には、着座者の左右の坐骨部を支持する領域として坐骨対応領域30cが設けられている。
ボトムプレート30の表面には、図2及び図3に示すように、略全体にわたって表面から突出形成された補強リブ31が設けられている。
【0027】
補強リブ31は、ボトムプレート30と一体成形された板状部材からなり、複数の板状部材を組み合わせることで所定形状を形成している。
補強リブ31は、図2に示すように、ボトムプレート30の上面から上方に突出する上方リブ32と、ボトムプレート30の側面から側方に突出する側方リブ33と、図3に示すように、ボトムプレート30の底面から下方に突出する下方リブ34と、から主に構成されている。
【0028】
上方リブ32は、図2に示すように、ボトムプレート30の上面においてその形状を所定領域に応じて変えながら設けられている。
具体的には、上方リブ32の一部は、ヒンジ取り付け領域30aにおいて、略格子形状を形成するように直線状に延びている。
また、上方リブ32の一部は、着座領域30bにおいて、略ハニカム形状を形成するように着座領域30bの中央部分から放射状に延びている。
また、上方リブ32の一部は、着座領域30bからロックバー取り付け領域30dに向かって直線状に延びており、シート幅方向に所定の間隔を空けて複数設けられている。
【0029】
側方リブ33は、図2に示すように、ボトムプレート30の外側面においてシート前後方向に所定の間隔を空けて複数設けられ、それぞれ着座領域30bから外縁に向かって直接状に延びている。
詳しく言うと、側方リブ33は、着座領域30bにおいてハニカム形状からなる上方リブ32の各最外頂点から連続してボトムプレート30の外縁に向かって各々延びている。
【0030】
下方リブ34は、図3に示すように、ボトムプレート30の底面のうち、着座領域30bにおいて、略ハニカム形状を形成するように着座領域30bの中央部分から放射状に延びている。
上記構成において、上方リブ32の一部と下方リブ34の全部とが、着座領域30bの中央部分から放射状に交互に配置されながら連続して延びて、着座領域30bの全体にわたってハニカム形状を形成している。
【0031】
ボトムプレート30の表面には、図2又は図3に示すように、着座領域30bにおいて底面側から上面側に向かって突出した補強凸部35と、給油口対応領域30eからロックバー取り付け領域30dまで延びて、上面側から底面側に向かって凹んだ補強凹部36と、が設けられている。
【0032】
補強凸部35は、図2に示すように、着座領域30bの中央部分に形成された中央凸部35aと、中央凸部35aよりも外側に所定の間隔を空けて配置され、上方リブ32を介して中央凸部35aに連結された環状凸部35bと、から主に構成されている。
中央凸部35aは、断面略六角形状の凸部からなり、詳しく言うと、略正六角形を隙間なく7つ並べた断面形状の凸部からなる。
環状凸部35bは、断面略環状形状の凸部からなり、詳しく言うと、略正六角形を環状に18つ並べた断面形状の凸部からなる。
中央凸部35aの各外側頂点と、環状凸部35bの各内側頂点とが、上方リブ32を介して互いに連結されている。
【0033】
上記構成において、着座領域30bに設けられた上方リブ32は、図2に示すように、補強凸部35が形成された部分とは異なる部分に設けられている。
そして、着座領域30bにおいて、上方リブ32の上面と、中央凸部35aの上面と、環状凸部35bの上面とが面一になるように形成されている。
その結果、着座者がボトムプレート30の平面部分で支持されることから、従来の補強リブを設けた構造と比較して着座フィーリングが良くなる。
【0034】
一方で、着座領域30bに設けられた下方リブ34は、図3に示すように、補強凸部35が形成された部分に設けられている。
そして、着座領域30bにおいて、下方リブ34の底面と、ボトムプレート30の底面とが面一になるように形成されている。
その結果、ボトムプレート30の高さ方向において下方リブ34が余計に張り出すことがなくなるため、シートSよりも下方に設けられるオートバイ本体の収納部に、ヘルメット等の大型収納物を収納させるスペースを確保することができる。
【0035】
なお、着座領域30bのシート左右両端部には、底面側から上面側に向かって突出し、成形時の肉盗みのために設けられる左右の肉盗み凸部35cが形成されている。
そのため、成形時のヒケの発生を抑制でき、ボトムプレート30の軽量化につながる。
【0036】
補強凹部36は、シート前後方向に長尺な断面略四角形状の凹部からなり、シート幅方向に所定の間隔を空けて3つ形成されており、給油口対応領域30eからロックバー取り付け領域30dまで延びている。
詳しく言うと、シート幅方向の中央位置にある補強凹部36は、その前方部分においてロックバー取り付け領域30dと重なるように配置され、後方部分において給油口対応領域30eと重なるように配置されている。
また、補強凹部36の上面には、シート幅方向に延びた上方リブ32の一部がシート前後方向に所定の間隔を空けて複数設けられている。
【0037】
ボトムプレート30の表面には、図2に示すように、着座領域30bの中央部分において上面側から底面側まで貫通した略正六角形状の中央貫通孔37と、着座領域30bの左右両端部分において上面側から底面側まで貫通した略円形状のエア抜き孔38と、が設けられている。
中央貫通孔37は、オートバイ本体に設けられる収容部にヘルメット等を収容したときに、干渉を抑制するための逃げ孔となる。
エア抜き孔38は、燃料給油時にタンク内の気圧を一定にするための孔となる。
【0038】
上記構成において、着座領域30bに設けられた上方リブ32及び下方リブ34が、中央貫通孔37からエア抜き孔38まで到達するように放射状に延びて、ハニカム形状を形成している。
そのため、ボトムプレート30の表面上のうち、比較的剛性が低くなった貫通孔形成部分に対して、ハニカム形状の補強リブ31を持たせることができる。
【0039】
<ボトムプレートの第2実施形態>
次に、ボトムプレートの第2実施例について、図4図5に基づいて説明する。
なお、以下の説明において、上述したボトムプレート30と重複する内容は説明を省略する。以下同様とする。
第2実施例に係るボトムプレート40では、補強リブ41の形状、配置が異なっている。
【0040】
補強リブ41は、図4及び図5に示すように、上方リブ42と、側方リブ43と、から主に構成されており、ボトムプレート40の底面には補強リブ41が設けられていない。
上方リブ42の一部は、着座領域40bの中央部分から放射状に連続して延びて、着座領域40bの全体にわたってハニカム形状を形成している。
そして、上方リブ42の一部は、着座領域40bからロックバー取り付け領域40dを超えて給油口対応領域40eまで直線状に延びており、全体にわたって格子形状を形成している。
【0041】
上記構成により、ボトムプレート40の上面に補強リブ41を全体にわたって形成することで剛性を確保し、一方で、ボトムプレート40の底面には補強リブ41を形成しないことで軽量化を図ることができる。
また、ボトムプレート40の底面に補強リブ41を形成しないことで、シートSよりも下方に設けられるオートバイ本体の収納部に、大型収納物を収納させるスペースを十分に確保することができる。
また、ボトムプレート40の上下方向に凹凸部を形成しない比較的シンプルな形状となり樹脂成形がし易くなる。
【0042】
<ボトムプレートの第3実施形態>
次に、ボトムプレートの第3実施例について、図6図7に基づいて説明する。
第3実施例に係るボトムプレート50では、補強リブ51の形状、配置が異なっている。
【0043】
補強リブ51は、図6及び図7に示すように、上方リブ52と、側方リブ53と、下方リブ54と、から主に構成されている。
上方リブ52は、給油口対応領域50eにおいてハニカム形状を形成するように設けられている。
一方で、下方リブ54は、着座領域50bにおいてハニカム形状を形成すると共に、中央貫通孔57と左右のエア抜き孔58との間の領域において、ハニカム形状を構成する各正六角形状をさらに2つの台形形状に区画するように設けられている。
【0044】
上記構成により、ボトムプレート50のうち、比較的剛性を必要とする給油口対応領域50eにおいて、ハニカム形状の補強リブ51を持たせることで剛性を確保することができる。
また、ボトムプレート50のうち、比較的剛性を必要とする中央貫通孔57と左右のエア抜き孔58との間の領域において、台形形状に区画するハニカム形状を持たせることで剛性を一層向上させることができる。
【0045】
<ボトムプレートの第4実施形態>
次に、ボトムプレートの第4実施例について、図8図9に基づいて説明する。
第4実施例に係るボトムプレート60では、補強リブ61の形状、配置が異なっている。
【0046】
補強リブ61は、図及び図に示すように、上方リブ62と、側方リブ63と、下方リブ64と、から主に構成されている。
上方リブ62のうち、坐骨対応領域60cに設けられた上方リブ62の厚みは、坐骨対応領域60c以外の領域に設けられた上方リブ62の厚みよりも大きくなるように形成されている。
一方で、下方リブ64は、着座領域60bにおいてハニカム形状を形成すると共に、ハニカム形状を構成する各正六角形状をさらに6つの正三角形状に区画するように設けられている。
また、下方リブ64のうち、坐骨対応領域60cに設けられた下方リブ64の厚みは、坐骨対応領域60c以外の領域に設けられた下方リブ64の厚みよりも大きくなるように形成されている。
【0047】
上記構成により、ボトムプレート60のうち、着座者から受ける荷重が比較的大きくなる坐骨対応領域60cにおいて、補強リブ61の厚みを確保することができ、シートSの剛性を確保することができる。
また、ボトムプレート60のうち、着座者から受ける荷重が比較的大きくなる着座領域60bにおいて、正三角形状に区画するハニカム形状を持たせることで剛性を一層向上させることができる。
【0048】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、シートSは、日射に直接曝されたり、風雨又は雪に直接曝されたりするオートバイ用のシートを具体例として説明したが、これに限定されることなく、例えば、雪上バイク、水上の水上バイク等の屋外で使用される鞍乗型乗物用シートとしても利用することができる。
また、着座者が跨るように着座する鞍乗型乗物用シートのほか、自動車、電車、バス等の車両用シートのほか、飛行機、船等の乗物用シートとしても利用することができる。
【0049】
上記実施形態において、シートSは、一人用のシングルシートとして構成されているが、これに限定されることなく、前方座席と後方座席を備えた二人用のダブルシートとして構成されていても良い。
その場合、二人目が着座する着座領域において上述したハニカム形状の補強リブを同様に適用させることができる。
【0050】
本実施形態では、主として本発明に係る乗物用シートに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
特に、ボトムプレートの表面に設けられる補強リブの形状、配置及び構成について、上記の実施形態にて説明したものは、あくまで一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0051】
S シート
10 クッション材
20 表皮材
30、40、50、60 ボトムプレート
30a ヒンジ取り付け領域
30b、40b、50b、60b 着座領域
30c、60c 坐骨対応領域
30d、40d ロックバー取り付け領域
30e、40e、50e 給油口対応領域
31、41、51、61 補強リブ
32、42、52、62 上方リブ
33、43、53、63 側方リブ
34、54、64 下方リブ
35 補強凸部
35a 中央凸部
35b 環状凸部
35c 肉盗み凸部
36 補強凹部
37、57 中央貫通孔
38、58 エア抜き孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9