(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249727
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】サイトグラス
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
F25B49/02 530Z
F25B49/02 550
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-235776(P2013-235776)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-94567(P2015-94567A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】望月 淳
(72)【発明者】
【氏名】小澤 武治
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−043249(JP,A)
【文献】
特開2011−043248(JP,A)
【文献】
実公昭38−007197(JP,Y1)
【文献】
特開2003−236995(JP,A)
【文献】
特開2002−097430(JP,A)
【文献】
特開2004−101636(JP,A)
【文献】
特開2006−125831(JP,A)
【文献】
実開昭61−124860(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0034763(US,A1)
【文献】
米国特許第03225555(US,A)
【文献】
米国特許第03142287(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入口と流出口とを有し、内部を前記流体が流れる本体と、
前記流体中の水分を検出するモイスチャーインジケータと、
前記本体に形成された開口を覆い、前記モイスチャーインジケータを前記本体の外部から視認するための透明部材と、
該透明部材に貼付された、該透明部材よりも大きく孔のない透明シールとを備えることを特徴とするサイトグラス。
【請求項2】
前記透明シールの外周に、前記モイスチャーインジケータが水分を検出する前後の色を表示した比較表示部を有することを特徴とする請求項1に記載のサイトグラス。
【請求項3】
前記透明シールは、前記透明部材に交換可能に貼付されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイトグラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイトグラスに関し、特に、冷凍サイクルの冷媒中に存在する水分を検出するためなどに用いられるサイトグラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルの冷媒中に水分が存在すると圧縮機の故障に繋がる虞があるため、冷媒中の水分を検出するモイスチャーインジケータを収容したサイトグラスが用いられている。
【0003】
上記サイトグラスは、例えば、
図4に示すように、冷凍回路の配管31、32間に配置され、内部を冷媒Cが通過する本体22と、冷媒C中の水分を検知するモイスチャーインジケータ23と、モイスチャーインジケータ23を挟持する第1及び第2支持部材24、25と、本体22の上部開口22cに装着され、本体22とで第1支持部材24を挟持するガラス取付部材27と、ガラス取付部材27に装着されたガラス26とを備える。このサイトグラス21によれば、ガラス
26を介してモイスチャーインジケータ23の上面の色を観察することで水分の存在を確認することができる。
【0004】
また、上記ガラス26の周囲(ガラス取付部材27の上面)に貼付するラベルとして、特許文献1に記載のように、ガラス26に対応する部分に孔が形成されたリング状のもの(円環状のシート)が意匠登録されている。ここで、このラベルのリング状の部分は、それぞれ「DRY」と表示された部分と「WET」と表示された部分とに二分されていて、「DRY」部には、冷媒C中に水分が存在しない場合のモイスチャーインジケータ23の色(元々の色、例えば緑色)が着色され、「WET」部には、冷媒C中に水分が存在することをモイスチャーインジケータ23が検知した場合に変化する色(例えば黄色)が着色されている。モイスチャーインジケータ23の色と、上記「DRY」部及び「WET」部に着色された色とを比較することにより、作業者が当該サイトグラス内を通過する冷媒に含まれる水分の存在を確認することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第1438712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記ラベルはリング状に形成されるため、台紙(剥離紙)から剥がす際に変形したり、あるいはサイトグラス21のガラス26の周囲に貼付する際に変形し、何度も貼り直しをしなければならなかったりと、貼付作業が容易ではないという問題があった。また、当該サイトグラスの内外の温度差が大きいとガラス26の表面が水蒸気により曇ったり、あるいは水垢や汚れが付着するなどして視認性が低下するおそれもあった。
【0007】
また、当該サイトグラスの設置時、メンテナンス時あるいはモイスチャーインジケータの視認時等に、ガラス26を傷付けると、同様に視認性低下の懸念がある。
【0008】
さらに、ガラス26を覗き込む角度によっては、日光や電灯の光が反射して、同様にモイスチャーインジケータの視認性低下を招く。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、ラベル(シール)が貼付し易く、サイトグラスのガラスの視認性の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のサイトグラスは、流体の流入口と流出口とを有し、内部を前記流体が流れる本体と、前記流体中の水分を検出するモイスチャーインジケータと、前記本体に形成された開口を覆い、前記モイスチャーインジケータを前記本体の外部から視認するための透明部材と、該透明部材に貼付された
、該透明部材よりも大きく孔のない透明シールとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、孔のない透明シールを透明部材に貼付することで透明部材の表面を保護し、透明部材の傷付きを防止することができる。また、透明部材の表面に水蒸気が付着して曇ったり、あるいは水垢や汚れが付着した場合でも容易に拭き取ることができ、視認性の低下を防止することもできる。
さらに、透明シールを透明部材よりも大きく形成することで、透明部材の全面に確実に透明シールを貼付することができる。
【0012】
また、透明シールの表面が透明部材の表面よりも粗いものであれば、日光や電灯の光の反射による視認性の低下も低減させることができる。
【0013】
さらに、本体に形成された開口を覆う透明部材に孔のない透明シールを貼付するため、透明シールを台紙から剥がす際に変形したり、あるいは貼付する際に変形して貼付位置のずれが生じて何度も貼りなおしたりすることもなく、貼付作業を確実にかつ容易に行うことができる。
【0014】
上記サイトグラスにおいて、前記透明シールの外周に、前記モイスチャーインジケータが水分を検出する前後の色を表示した比較表示部を設けることができる。これにより、作業者が水分の存在を確認する上で判断を容易に行うことができる。
【0016】
また、透明シールの裏面に設けられた接着剤を透明部材から剥離可能なものにしておけば、該透明シールが傷ついたり汚れたりしても容易に交換可能であり、当該サイトグラスのメンテナンスが容易である。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明のサイトグラスによれば、ラベル(シール)が貼付し易く、ガラスの破損や視認性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明にかかるサイトグラスの一実施の形態を示す上面図である。
【
図2】
図1のサイトグラスのA−A線断面図である。
【
図3】
図1のサイトグラスの一部破断拡大図である。
【
図4】従来のサイトグラスの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、本発明にかかるサイトグラスを、冷凍サイクルの冷媒中に存在する水分を検出するために用いる場合を例にとって説明する。
【0020】
図1乃至
図3は、本発明にかかるサイトグラスの一実施の形態を示し、このサイトグラス1は、内部2dを冷媒Cが通過する本体2と、冷媒C中の水分を検知するモイスチャーインジケータ3と、モイスチャーインジケータ3を挟持する第1及び第2支持部材4、5と、本体2の上部開口2cに装着され、本体2とで第1支持部材4を挟持するガラス取付部材7と、ガラス取付部材7に装着されたガラス6とを備え冷凍回路の配管11、12の間に配置される。
【0021】
本体2の流入口2a及び流出口2bには、各々配管11、12が接続され、配管11から配管12に向かって冷媒Cが流れる。この本体2の上部は開口し、上部開口2cを覆うように、ガラス6がガラス取付部材7によって上方開口2cの周辺に保持される。
【0022】
ガラス6及びガラス取付部材7の上面には、シール10が貼付される。このシール10は、可撓性を有する薄いプラスチックやビニール等の樹脂製のシートを用いて、孔のない円形に形成され、ガラス6の上面に対応する部分が透明な透明部10aを有し、さらに、透明部10aの周囲の、ガラス取付部材7の上面に対応する部分は、作業者が水分の存在を確認する上での判断を容易にするための比較表示部10bとなっている。シール10の裏面には透明な接着剤が塗布あるいは設けられていて、この接着剤を介してシール10がガラス6及びガラス取付部材7の上面に貼付される。
【0023】
シール10には孔が設けられていないので、台紙から剥がしても変形することがなく、またガラス取付部材7の上面の所定位置に確実に貼付することができる。
【0024】
透明部10aは、ガラス6を通してモイスチャーインジケータ3を外部から視認可能としながら、ガラス6の表面を保護し、ガラス6の破損を防止する。また、透明部10aを設けることで、ガラス6の表面が曇ったり、水垢や汚れが付着した場合でも容易に拭き取ることができるため、視認性の低下を防止することもできる。
【0025】
また、シールの裏面に設けられた接着剤をガラス取付部材7から剥離可能なものにしておけば、該シール10が傷ついたり汚れたりしても容易に交換可能であり、当該サイトグラスのメンテナンスが容易である。
【0026】
比較表示部10bの「WET」部分の色は、モイスチャーインジケータ3が冷媒C中に水分が存在することを検知した場合に変化する色に対応し、「DRY」部分の色は、モイスチャーインジケータ3の元々の色に対応する。これにより、冷媒C中に水分が存在するか否かを容易に判断することができる。
【0027】
モイスチャーインジケータ3は、円板状の紙等からなり、接触した冷媒C中の水分により変色し、モイスチャーインジケータ3の色をガラス6及びシール10を通して視認することにより、水分の存在を確認することができる。
【0028】
第1支持部材4は、モイスチャーインジケータ3を下方から支持するために備えられ、モイスチャーインジケータ3を収容するための凹部等を備える。また、第2支持部材5は、第1支持部材4の凹部に収容したモイスチャーインジケータ3を上方から押圧して挟持するために備えられる。両支持部材により、モイスチャーインジケータ3の上面が露出した状態で支持される。
【0029】
特許文献1に示す従来のラベルは、リング状の比較表示部のみからなるため、ガラスの周囲に貼付しようとすると変形するなどして貼付し難かったが、上述のように、シール10を透明部10aと比較表示部10bからなる円形に形成することにより変形し難くなり、貼付作業が容易になる。尚、比較表示部10bは必ずしも設ける必要はなく、透明部10aのみからなるシール10としてもよい。また、比較表示部10bを有するか否かにかかわらず、シール10全体の形状は孔のあいたリング状や枠状でなければ、円形に限らず、楕円や、多角形状としてもよい。
【0030】
尚、上記実施の形態においては、本発明にかかるサイトグラス1を、冷凍サイクルの冷媒中に存在する水分を検出するために用いる場合を例示したが、他の用途に用いられる流体中の水分の検出にも適用することもできる。
【符号の説明】
【0031】
1 サイトグラス
2 本体
2a 流入口
2b 流出口
2c 上部開口
2d 内部
3 モイスチャーインジケータ
4 第1支持部材
5 第2支持部材
6 ガラス
7 ガラス取付部材
10 シール
10a 透明部
10b 比較表示部
11 配管
12 配管
C 冷媒