(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外層と、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容変形する可撓性に富む内層と、を備え、前記外層の内面に前記内層が剥離可能に積層された有底筒状の積層ボトルであって、
前記外層のうち、ボトル底部に位置する底部部分には、前記内層を挟み込んで一体的に保持する保持リブが形成され、
前記底部部分において前記保持リブを回避した位置には、前記内層との間に外気を吸入させる吸気孔が形成され、
前記底部部分には、前記吸気孔の開口周縁部に全周にわたって配置され、前記吸気孔の周囲を囲繞するようにボトル軸方向に沿う外側に向けて延在する囲繞壁部が形成され、
前記底部部分において前記保持リブを回避した位置には、底壁面に前記吸気孔が形成されるとともに、側壁面が前記囲繞壁部を構成する第1凹部が形成され、
前記第1凹部の幅は指幅よりも狭く、前記第1凹部内に指が進入不能であることを特徴とする積層ボトル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の積層ボトルであっても、内層の保持が十分ではなく、減容変形に伴って内層が浮き上がってしまう場合があり、依然として吐出不良等を招くおそれが残されていた。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、内層の浮き上がりを効果的に抑制することができる積層ボトルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る積層ボトルは、外層と、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容変形する可撓性に富む内層と、を備え、前記外層の内面に前記内層が剥離可能に積層された有底筒状の積層ボトルであって、前記外層のうち、ボトル底部に位置する底部部分には、前記内層を挟み込んで一体的に保持する保持リブが形成され、前記底部部分において前記保持リブを回避した位置には、前記内層との間に外気を吸入させる吸気孔が形成され、前記底部部分には、前記吸気孔の開口周縁部に全周にわたって配置され、前記吸気孔の周囲を囲繞するようにボトル軸方向に沿う外側に向けて延在する囲繞壁部が形成され
、前記底部部分において前記保持リブを回避した位置には、底壁面に前記吸気孔が形成されるとともに、側壁面が前記囲繞壁部を構成する第1凹部が形成され、前記第1凹部の幅は指幅よりも狭く、前記第1凹部内に指が進入不能であることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る積層ボトルによれば、吸気孔を通じて外層と内層との間に外気を吸入させることができるので、内層だけを外層から剥離させて減容変形(しぼみ変形)させることができ、これにより内容物を例えば吐出させること等ができる。ここで、外層の底部部分に形成された保持リブが、内層を挟み込んで一体的に保持するので、減容変形時に内層が浮き上がってしまうことを効果的に防止できる。
このように、内層の浮き上がりを効果的に抑制できるので、内層の減容変形を高精度に制御したり、例えばこの積層ボトルに、ボトル底部付近まで延びる吸い上げパイプを有する吐出器を装着した場合に、吸い上げパイプの吸い上げ口を内層が塞いでしまうのを防止したりすること等ができる。従って、吐出不良や内容物の残量増加等を招いてしまうことを防止することができる。
また、外層の底部部分に囲繞壁部が形成されているので、例えば使用者の指やこの積層ボトルが接地する接地面などと、ボトル底部と、が接触したときに、これらの指や接地面などが吸気孔に達するのを囲繞壁部により規制することができる。これにより、水分や塵埃等が、吸気孔を通して外層と内層との間に入り込んだり、吸気孔に詰まって吸気孔を閉塞させたりするのを抑制することが可能になり、内層を確実に減容変形させることができる。
【0009】
この場合、第1凹部の底壁面に吸気孔が形成されるとともに、第1凹部の側壁面が囲繞壁部を構成しているので、この積層ボトルの構造の簡素化および製造の簡便化を図ることができる。
また吸気孔が、第1凹部の底壁面に形成されているので、外層の底部部分において吸気孔が形成された部分を、第1凹部の凹リブ効果により補強することができる。これにより、例えば内層が減容変形したときに外層に加えられる外力などにより、吸気孔の開口面積が意図せず拡大するのを抑制することが可能になり、内層を精度良く減容変形させることができる。
【0010】
また、前記保持リブは、ボトル径方向に沿って延設され、前記吸気孔は、前記底部部分において前記保持リブの延長線上に、この延長線に沿って延設されていてもよい。
【0011】
この場合、保持リブがボトル軸を中心としたボトル径方向に沿って形成されているので、積層ボトルの製造時、保持リブを外層に容易に形成し易くなるうえ、内層を容易に挟み込んで確実に保持させ易い。しかも、保持リブの延長線上に、この延長線に沿って吸気孔を形成させればよいので、保持リブと吸気孔とを同時に作り込み易い。
また、吸気孔がボトル底部に形成されているので、吸気孔を隠すことができ、例えばボトル胴部を全周にわたって平滑面にすること等が可能である。従って、この積層ボトルの外観性や加飾性の低下を防止できる。
【0012】
また、前記底部部分には、前記吸気孔に平行に延在し、前記吸気孔を間に挟み込むように前記吸気孔と並列に配置された一対の第2凹部が形成されていてもよい。
【0013】
この場合、一対の第2凹部が、吸気孔に平行に延在し、吸気孔を間に挟み込むように吸気孔と並列に配置されているので、外層の底部部分を第2凹部の凹リブ効果により補強して吸気孔の開口面積の意図しない拡大を抑えつつ、外装の底部部分において吸気孔と第2凹部とを混同させて吸気孔を目立ち難くすることができる。従って、この積層ボトルの外観性を向上させることが可能になり、この積層ボトルを、デザイン的に優れたボトルに設計し易くすることができる。
また一対の第2凹部が、吸気孔を間に挟み込んでいるので、例えば使用者の指がボトル底部に接触するときに、外層のうち、第2凹部が形成された部分をたわみ変形させることが可能になり、指が吸気孔に達するのを確実に抑制することができる。
【0014】
また、前記ボトル底部は、外周縁部に位置する接地部と、前記接地部にボトル径方向の内側から連なり、ボトル内側に底上げされた陥没凹部と、を備え、前記保持リブおよび前記吸気孔は、前記陥没凹部に形成されていてもよい。
【0015】
この場合、保持リブおよび吸気孔がボトル底部のうち底上げされた陥没凹部に形成されているので、保持リブをボトル外側に向けて突出するように形成しても、積層ボトルを安定して載置することができる。また、吸気孔を通じた外気の吸入が阻害され難いうえ、吸気孔を通じて水分や塵埃等が外層と内層との間に入り込み難い。
【0016】
また、前記外層および前記内層それぞれのボトル周方向の一部同士は、固着部を介して互いに固着され、前記固着部は、ボトル軸を挟んで前記保持リブとはボトル径方向の反対側に位置していてもよい。
【0017】
この場合、保持リブと固着部とによって、内層が外層に、ボトル軸を挟んでボトル径方向の反対側に位置する部分を保持されるので、例えば減容変形に伴って内層をボトル中心付近で平たくきれいに潰すこと等が可能となり、内容物の残量をより一層低減させることができる。
【0018】
また、前記外層は、スクイズ変形可能に形成されていてもよい。
【0019】
この場合、外層が、スクイズ変形可能に形成されていているので、例えば、外層をスクイズ変形させることで内層の内圧を上昇させ、内層内の内容物をボトル口部を通して吐出すること等が可能になる。これにより、例えばこの積層ボトルの用途を多岐にわたらせること等ができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る積層ボトルによれば、内層の浮き上がりを効果的に抑制でき、吐出不良や内容物の残量増加等を招いてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る積層ボトルの第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(積層ボトルの構成)
図1および
図2に示すように、本実施形態の積層ボトル101は、スクイズ変形可能に形成された外層102と、図示しない内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容変形(しぼみ変形)する可撓性に富む内層103と、を備え、外層102の内面に内層103が剥離可能に積層された有底筒状のデラミボトル(積層剥離型容器)とされている。
【0023】
なお、外層102および内層103は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、または、エチレンビニルアルコール共重合成樹脂等を用い、外層102と内層103とが剥離可能(相溶性がない)となる組み合わせで形成される。
【0024】
この積層ボトル101は、ボトル口部110、ボトル胴部111およびボトル底部112がボトル軸O1方向に沿ってこの順に連設されている。なお本実施形態では、ボトル軸O1に沿ってボトル口部110側を上側、ボトル底部112側を下側といい、ボトル軸O1に直交する方向をボトル径方向といい、ボトル軸O1回りに周回する方向をボトル周方向という。
【0025】
ボトル胴部111は、上側から下側に向かうに従い漸次、拡径している。ボトル胴部111は、ボトル軸O1方向に沿うこの積層ボトル101の縦断面視において、ボトル径方向の外側に向けて凸となる凸曲面状に形成されている。
なお外層102は、スクイズ変形可能な容器であり、この外層102のスクイズ変形によって内層103を減容変形させる。外層102は、弾性変形可能に形成されていて、外層102のうち、ボトル胴部111に位置する胴部部分は、ボトル径方向の内側に向けて弾性変形可能となっている。
【0026】
ボトル口部110は、ボトル胴部111の上端開口部から上方に向けて延び、ボトル胴部111と同軸に配置されている。
ボトル口部110には、吐出口40を有する吐出キャップ41が装着されていて、この積層ボトル101と吐出キャップ41とは、積層ボトル101内に収容された内容物を吐出口40から吐出する吐出容器42を構成している。
【0027】
吐出キャップ41は、内層103の内圧に応じて内層103内と吐出口40との連通およびその遮断を切り替える。吐出キャップ41は、中栓部43と、本体部44と、蓋部45と、を備えている。
中栓部43は、ボトル口部110の上端開口部上に配置されたベース部46と、ベース部46をボトル軸O1方向に貫通する収容筒部47と、収容筒部47内に収容された弁体部48と、を備えている。ベース部46および収容筒部47は、いずれもボトル軸O1と同軸に配置され、これらのベース部46および収容筒部47は一体に形成されている。
【0028】
ベース部46は、表裏面がボトル軸O1方向を向く環板状に形成されている。ベース部46は、ボトル径方向の外側に位置する外周部49と、ボトル周方向の内側に位置する内周部50と、ボトル軸O1方向に延び外周部49と内周部50とを連結する段部51と、を備えている。内周部50は、外周部49よりも下側に位置している。
【0029】
外周部49には、立ち上がり筒部52と、第1シール筒部53と、がいずれもボトル軸O1と同軸に設けられている。立ち上がり筒部52は、外周部49から上方に向けて延びている。第1シール筒部53は、外周部49から下方に向けて延び、ボトル口部110内に液密に嵌合されている。
【0030】
収容筒部47の外周面におけるボトル軸O1方向の中央部は、ベース部46の内周縁部に連結されていて、収容筒部47は、ベース部46からボトル軸O1方向の両側に突出している。収容筒部47におけるボトル軸O1方向の中央部よりも下側に位置する部分には、上側から下側に向かうに従い漸次縮径する縮径部54(弁座部)が設けられている。
【0031】
収容筒部47の内周面には、ボトル軸O1方向に延びる凸リブ部55が設けられている。凸リブ部55は、ボトル周方向に間隔をあけて複数設けられていて、複数の凸リブ部55は、環状のリブ列を構成している。凸リブ部55は、縮径部54から上方に向けて延び、凸リブ部55の上端部は、収容筒部47におけるボトル軸O1方向の中央部よりも上側に位置している。凸リブ部55の上端部には、ボトル径方向の内側に向けて突出するストッパ部55aが設けられている。
【0032】
弁体部48は、収容筒部47内に、ボトル軸O1方向に移動自在に収容されている。弁体部48は、前記リブ列内に、凸リブ部55においてボトル径方向の内側を向く表面上を、ボトル軸O1方向に摺動自在とされていて、縮径部54の内周面上に、上方に向けて離反可能に着座している。弁体部48は、球状に形成されたいわゆるボール弁とされている。
【0033】
本体部44は、有頂筒状に形成されボトル口部110に外装されている。本体部44における上端部内には、ベース部46が嵌合され、本体部44において上端部よりも下側に位置する部分は、ボトル口部110の外周面に螺着されている。
本体部44には、垂下筒部56と、吐出筒部57と、が設けられている。垂下筒部56は、本体部44から下方に向けて延び、段部51内に嵌合されている。吐出筒部57は、垂下筒部56よりも小径とされ、本体部44から上方に向けて延びている。
【0034】
吐出筒部57の内周面は、下側から上側に向かうに従い漸次、拡径している。吐出筒部57の軸線は、ボトル軸O1に沿って延びるとともに、ボトル軸O1に対してボトル径方向にずらされている。
なお以下では、吐出筒部57の軸線およびボトル軸O1の両方向に直交する方向を前後方向といい、前後方向に沿って、吐出筒部57の軸線側を後側といい、ボトル軸O1側を前側という。
【0035】
吐出筒部57は、収容筒部47内を通して内層103内に連通可能とされ、吐出筒部57の上端部内に前記吐出口40が設けられている。吐出筒部57には、この吐出筒部57内と収容筒部47内とを連通する第2シール筒部58が設けられている。第2シール筒部58は、吐出筒部57の内周面から下方に向けて延在している。第2シール筒部58は、ボトル軸O1と同軸に配置され、収容筒部47の上端部内に嵌合されている。
【0036】
吐出口40と内層103内とは、収容筒部47内、第2シール筒部58内および吐出筒部57内により構成される連通路59を通して連通可能とされていて、吐出口40と内層103内との連通路59を通した連通は、縮径部54に着座した弁体部48により遮断されている。
【0037】
蓋部45は、有頂筒状に形成され、本体部44の上端部に、着脱可能に外嵌されている。蓋部45は、吐出口40を外側から覆っていて、吐出口40を開閉可能に閉塞している。蓋部45は、ヒンジ部60を介して本体部44に連結されている。ヒンジ部60は、本体部44および蓋部45それぞれにおいて後側に位置する部分同士を互いに連結している。ヒンジ部60は、蓋部45を本体部44に、このヒンジ部60回りの前側から後側に向けて回動可能に連結している。
【0038】
蓋部45には、第3シール筒部61と、規制部62と、が設けられている。これらの第3シール筒部61および規制部62は、いずれもボトル軸O1と同軸に配置されている。
第3シール筒部61の下端部は、第2シール筒部58内に、着脱可能に嵌合されていて、連通路59を通した内層103内と吐出口40との連通を遮断している。
【0039】
規制部62は、ボトル軸O1上に配置され、ボトル軸O1に沿って延びる棒状に形成されている。規制部62は、第3シール筒部61よりも小径に形成されている。規制部62の下端部は、収容筒部47内に位置していて、前記ストッパ部55aとボトル軸O1方向に同等の位置に配置されている。規制部62は、弁体部48の上側に向けた移動を規制する。
【0040】
図1から
図4に示すように、ボトル底部112は、ボトル胴部111に連設され、外周縁部に位置する接地部112aと、接地部112aにボトル径方向の内側から連なり、ボトル内側に底上げされた陥没凹部112bと、を備えている。
【0041】
ここで外層102のうち、ボトル底部112に位置する底部部分には、内層103を挟み込んで一体的に保持する保持リブ130と、外層102と内層103との間に外気を吸入させる吸気孔131(吸入溝)と、ボトル軸O1方向の内側に向けて窪む第1凹部136および第2凹部137と、がそれぞれ形成されている。保持リブ130、吸気孔131、第1凹部136および第2凹部137は、ボトル底部112における陥没凹部112bに形成されている。
【0042】
保持リブ130は、陥没凹部112bから下方に向かって(ボトル外側に向かって)突出している。保持リブ130のリブ高さは陥没凹部112bの凹み内に収まる程度とされている。
図4に示すように、保持リブ130は、ボトル径方向に沿って延設されていて、保持リブ130のボトル径方向に沿った大きさである長さは、ボトル底部112の半径よりも小さくなっている。保持リブ130は、ボトル軸O1を回避した位置に1つのみ設けられている。保持リブ130のうち、ボトル径方向の外側の端部は、接地部112aの内周縁に連なり、ボトル径方向の内側の端部は、ボトル軸O1に対して傾斜する直線状に延在している。
【0043】
なお保持リブ130は、例えばブロー成形により外層102と内層103とを積層剥離可能状態で成形した後、
図5に示すように、内層103の底部部分の一部を挟み込んだ状態でボトル径方向の両側から外力を加えられることで接着されて形成される。
つまり、ブロー成形の際に金型のピンチオフ部で保持リブ130該当部分を挟み込むことで形成されることが好ましく、この場合には保持リブ130が金型のパーティングライン上に、このパーティングラインに沿って形成されている。なお、保持リブ130の形成時、より好ましくは、ピンチオフ部に突設されたピンを利用して、横穴状の凹孔132を、その開口方向が交互に逆向きとなるように保持リブ130の延在方向に沿って複数形成するとよい。こうすることで、外層102と内層103とが圧着された圧着部133(食い込み部)を保持リブ130に沿って交互に配置させることができ、内層103の保持の信頼性を効果的に高めることができる。
【0044】
図3および
図4に示すように、第1凹部136は、外層102の底部部分において保持リブ130を回避した位置に形成されている。第1凹部136は、外層102の底部部分において、保持リブ130の延長線L1上に、この延長線L1に沿って形成されている。第1凹部136は、ボトル軸O1上をボトル径方向に横断する。なお前記延長線L1は、前記パーティングラインと一致する。
【0045】
第2凹部137は、第1凹部136に平行に延在し、第1凹部136を間に挟み込むように第1凹部136と並列に一対配置されている。第2凹部137の長さおよび幅はそれぞれ、第1凹部136の長さおよび幅それぞれと同等となっている。
【0046】
図6に示すように、第1凹部136および第2凹部137は、ボトル底部112がボトル軸O1方向に沿う内側に向けて膨出することで窪んでいる。第1凹部136および第2凹部137それぞれの幅は、ボトル軸O1方向の外側から内側に向かうに従い漸次、狭くなっている。
図7に示すように、第1凹部136および第2凹部137の幅は、使用者の指幅よりも狭くなっていて、第1凹部136および第2凹部137内には指F1が進入不能となっている。
【0047】
図3に示すように、吸気孔131は、外層102の底部部分において保持リブ130を回避した位置に形成されている。吸気孔131は、第1凹部136の底壁面に形成されている。吸気孔131は、第1凹部136の底壁面において、保持リブ130の延長線L1上に、この延長線L1に沿って形成されている。
図3および
図4に示すように、吸気孔131は、直線状に延在するスリットとされ、第1凹部136の底壁面の全長にわたって延在していてボトル軸O1上をボトル径方向に横断する。
【0048】
そして本実施形態では、外層102の底部部分には、吸気孔131の開口周縁部に全周にわたって配置され、吸気孔131の周囲を囲繞するようにボトル軸O1方向に沿う外側に向けて延在する囲繞壁部134が形成されている。図示の例では、囲繞壁部134は、前記第1凹部136の側壁面により構成されていて、この囲繞壁部134は、吸気孔131の周囲を全周にわたって連続して囲繞している。
【0049】
ところで
図1および
図2に示すように、外層102と内層103とは固着部135を介してそれぞれ周方向の一部同士が互いに固着されている。固着部135は、例えば接着層であり、外層102に対して内層103を剥離不能に接着している。固着部135は、ボトル軸O1を挟んで保持リブ130とはボトル径方向の反対側に位置した部分において、ボトル胴部111の全長にわたってボトル軸O1方向に延在する帯状に形成されている。
【0050】
また本実施形態では、固着部135は、ボトル胴部111において、ボトル底部112に連結された下端部からボトル径方向の内側に向けて延びていて、ボトル底部112にも形成されており、この固着部135は、ボトル胴部111およびボトル底部112の両方にわたって設けられている。
【0051】
(積層ボトルの作用)
次に、このように構成された積層ボトル101を有する吐出容器42から、内容物を吐出する場合について説明する。
この場合には、まず
図1に示すように、吐出キャップ41の蓋部45をヒンジ部60回りに回動させて吐出口40を開放した後、例えば積層ボトル101の外層102をスクイズ変形(弾性変形)させることで、内層103を外層102とともに変形させて減容させ、内層103の内圧を上昇させる。すると、弁体部48が縮径部54から離反して連通路59を通して内層103内と吐出口40とが連通するとともに、内層103に収容された内容物が、連通路59を通って吐出口40から吐出される。
【0052】
その後、例えば積層ボトル101のスクイズ変形を停止したり解除したりする等により、内層103の内圧の上昇が停止したり内層103の内圧が低下したりすると、弁体部48が復元変位して縮径部54に着座し、内容物の吐出が停止される。
ここで、積層ボトル101のスクイズ変形を解除すると、外層102が復元変形しようとして外層102と内層103との間に負圧が生じ、吸気孔131を通じて外層102と内層103との間に外気が吸入される。これにより、
図1に示す二点鎖線のように、外層102が復元変位しても、内層103を外層102から剥離させて減容変形させておくことができる。このとき、外層102の底部部分に形成された保持リブ130が、内層103を挟み込んで一体的に保持するので、内層103が浮き上がってしまうことを効果的に防止できる。さらに本実施形態では、固着部135が、ボトル軸O1を挟んで保持リブ130とはボトル径方向の反対側に位置している上、固着部135が、ボトル胴部111の全長にわたってボトル軸O1方向に延在していて、固着部135が、ボトル胴部111において、ボトル底部112に連結された下端部にも配置されているので、保持リブ130だけでなく、固着部135によっても内層103の浮き上がりを防止することができる。なお本実施形態のように、固着部135が、ボトル軸O1を挟んで保持リブ130とはボトル径方向の反対側に位置している上、固着部135が、ボトル胴部111およびボトル底部112の両方にわたって設けられている場合には、内層103の浮き上がりをより効果的に防止することができる。
【0053】
ここでこのように、内層103が外層102から剥離され、外層102と内層103との間に中間空間が設けられた状態で、内容物を吐出するため、積層ボトル101の外層102をスクイズ変形させたときには、前記中間空間の内圧を上昇させることで、外層102が中間空間を介して間接的に内層103を減容変形させる。なおこのとき、前記中間空間の内圧を、吸気孔131を通して外部に逃がすことで、前記中間空間を縮小または消滅させて外層102の内周面を内層103の外周面に当接させ、外層102が内層103を直接的に減容変形させることも可能である。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る積層ボトル101によれば、内層103の浮き上がりを効果的に抑制できるので、例えば内層103の減容変形を高精度に制御すること等ができる。従って、吐出不良や内容物の残量増加等を招いてしまうことを防止することができる。
また外層102が、スクイズ変形可能に形成されていているので、例えば、外層102をスクイズ変形させることで内層103の内圧を上昇させ、内層103内の内容物をボトル口部110を通して吐出すること等が可能になる。これにより、例えばこの積層ボトル101の用途を多岐にわたらせること等ができる。
【0055】
また、外層102の底部部分に囲繞壁部134が形成されているので、
図7に示すように、例えば使用者の指F1やこの積層ボトル101が接地する図示しない接地面などと、ボトル底部112と、が接触したときに、これらの指F1や接地面などが吸気孔131に達するのを囲繞壁部134により規制することができる。これにより、水分や塵埃等が、吸気孔131を通して外層102と内層103との間に入り込んだり、吸気孔131に詰まって吸気孔131を閉塞させたりするのを抑制することが可能になり、内層103を確実に減容変形させることができる。
【0056】
また、第1凹部136の底壁面に吸気孔131が形成されるとともに、第1凹部136の側壁面が囲繞壁部134を構成しているので、この積層ボトル101の構造の簡素化および製造の簡便化を図ることができる。
【0057】
また吸気孔131が、第1凹部136の底壁面に形成されているので、外層102の底部部分において吸気孔131が形成された部分を、第1凹部136の凹リブ効果により補強することができる。これにより、例えば内層103が減容変形したときに外層102に加えられる外力などにより、吸気孔131の開口面積が意図せず拡大するのを抑制することが可能になり、内層103を精度良く減容変形させることができる。
【0058】
また、保持リブ130がボトル軸O1を中心としたボトル径方向に沿って形成されているので、積層ボトル101の製造時、保持リブ130を外層102に容易に形成し易くなるうえ、内層103を容易に挟み込んで確実に保持させ易い。しかも、保持リブ130の延長線L1上に、この延長線L1に沿って吸気孔131を形成させればよいので、保持リブ130と吸気孔131とを同時に作り込み易い。
【0059】
また吸気孔131が、保持リブ130の延長線L1上に、この延長線L1に沿って延設されているので、保持リブ130の長さを調整することで、吸気孔131の長さを容易かつ精度良く調整することができる。これにより、例えば外層102と内層103との間が負圧になったとき等に、吸気孔131の拡開の程度を高精度に制御し易くすることが可能になり、例えば、吸気孔131が不用意に大きく拡開するのを抑制すること等ができる。
【0060】
また、吸気孔131がボトル底部112に形成されているので、吸気孔131を隠すことができ、例えばボトル胴部を全周にわたって平滑面にすること等が可能である。従って、この積層ボトル101の外観性や加飾性の低下を防止できる。
【0061】
また一対の第2凹部137が、吸気孔131に平行に延在し、吸気孔131を間に挟み込むように吸気孔131と並列に配置されているので、外層102の底部部分を第2凹部137の凹リブ効果により補強して吸気孔131の開口面積の意図しない拡大を抑えつつ、外層102の底部部分において吸気孔131と第2凹部137とを混同させて吸気孔131を目立ち難くすることができる。従って、この積層ボトル101の外観性を向上させることが可能になり、この積層ボトル101を、デザイン的に優れたボトルに設計し易くすることができる。
【0062】
また一対の第2凹部137が、吸気孔131を間に挟み込んでいるので、例えば
図7に示すように、使用者の指F1がボトル底部112に接触するときに、外層102のうち、第2凹部137が形成された部分をたわみ変形させることが可能になり、指F1が吸気孔131に達するのを確実に抑制することができる。
【0063】
また、保持リブ130および吸気孔131がボトル底部112のうち底上げされた陥没凹部112bに形成されているので、保持リブ130をボトル外側に向けて突出するように形成しても、積層ボトル101を安定して載置することができる。また、吸気孔131を通じた外気の吸入が阻害され難いうえ、吸気孔131を通じて水分や塵埃等が外層102と内層103との間に入り込み難い。
【0064】
また、保持リブ130と固着部135とによって、内層103が外層102に、ボトル軸O1を挟んでボトル径方向の反対側に位置する部分を保持されるので、例えば減容変形に伴って内層103をボトル中心付近で平たくきれいに潰すこと等が可能となり、内容物の残量をより一層低減させることができる。
【0065】
また
図1および
図2に示すように、固着部135が、ボトル胴部111に、ボトル軸O1方向に延在する帯状をなすように1つ形成されているので、ボトル胴部111において、固着部135が形成された部分を回避したボトル周方向のほぼ全周にわたる広い範囲で、外層102と内層103とを剥離させることができる。したがって、吸気孔131から外層102と内層103との間に吸入された外気がボトル胴部111に到達するときに、この外気が、ボトル胴部111におけるボトル周方向の一部分に偏ってしまうのを抑制し、この外気を、ボトル周方向の全周にわたって行き渡らせ易くすることが可能になり、吸気孔131からの吸気を円滑なものとすることができる。
【0066】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る積層ボトルの第2実施形態について、図面を参照して説明する。
(積層ボトルの構成)
図8から
図10に示すように、本実施形態の積層ボトル1は、外層2と、図示しない内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容変形(しぼみ変形)する可撓性に富む内層3と、を備え、外層2の内面に内層3が剥離可能に積層された有底筒状のデラミボトル(積層剥離型容器)とされている。
【0067】
なお、外層2および内層3は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、または、エチレンビニルアルコール共重合成樹脂等を用い、外層2と内層3とが剥離可能(相溶性がない)となる組み合わせで形成される。
【0068】
この積層ボトル1は、ボトル口部10、ボトル胴部11およびボトル底部12がボトル軸O方向に沿ってこの順に連設されている。なお本実施形態では、ボトル軸Oに沿ってボトル口部10側を上側、ボトル底部12側を下側といい、ボトル軸Oに直交する方向をボトル径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向をボトル周方向という。
【0069】
ボトル口部10には、例えば吐出器20が装着される。吐出器20は、例えばポンプを利用して内容物を吐出させるポンプタイプの吐出器であって、吐出器本体21と、吐出器本体21をボトル口部10に螺着する装着キャップ22と、を備えている。
【0070】
吐出器本体21は、上方付勢状態で押し込み可能に起立したステム23を有するポンプ部と、ステム23の上端部に装着された押下ヘッド25と、を備えている。
前記ポンプ部は、ステム23の押し込みによって内容物を送り出す送出器である。前記ポンプ部は、装着キャップ22に一体的に組み付けられたシリンダ筒26と、シリンダ筒26内に上下動可能に挿入された図示しないピストン筒と、を有している。
【0071】
前記ピストン筒の上部には、前記ステム23が連通状態で取付けられている。前記ピストン筒およびステム23は、図示しないコイルバネによって常時、上方付勢されている。シリンダ筒26の下端部には、積層ボトル1のボトル底部12付近まで延びる吸い上げパイプ27が取付けられている。
【0072】
押下ヘッド25は、ステム23を下方に押し込み操作する有頂筒状の操作部材である。押下ヘッド25には、ステム23に連通するとともに、ボトル径方向の外側に開口した吐出口28aを有する吐出ノズル28が形成されている。
【0073】
図9から
図12に示すように、ボトル底部12は、ボトル胴部11に連設され、外周縁部に位置する接地部12aと、接地部12aにボトル径方向の内側から連なり、ボトル内側に底上げされた陥没凹部12bと、を備えている。
【0074】
ここで外層2のうち、ボトル底部12に位置する底部部分には、内層3を挟み込んで一体的に保持する保持リブ30と、外層2と内層3との間に外気を吸入させる吸気孔31(吸入溝)と、ボトル軸O方向の内側に向けて窪む第1凹部36および第2凹部37と、がそれぞれ形成されている。保持リブ30、吸気孔31、第1凹部36および第2凹部37は、ボトル底部12における陥没凹部12bに形成されている。
【0075】
保持リブ30は、陥没凹部12bから下方に向かって(ボトル外側に向かって)突出している。保持リブ30のリブ高さは陥没凹部12bの凹み内に収まる程度とされている。
図12に示すように、保持リブ30は、ボトル径方向に沿って延設されていて、保持リブ30のボトル径方向に沿った大きさである長さは、ボトル底部12の半径よりも小さくなっている。保持リブ30は、ボトル軸Oを回避した位置に1つのみ設けられている。保持リブ30のうち、ボトル径方向の外側の端部は、接地部12aの内周縁に連なり、ボトル径方向の内側の端部は、ボトル軸Oに対して傾斜する直線状に延在している。
【0076】
なお保持リブ30は、例えばブロー成形により外層2と内層3とを積層剥離可能状態で成形した後、
図13に示すように、内層3の底部部分の一部を挟み込んだ状態でボトル径方向の両側から外力を加えられることで接着されて形成される。
つまり、ブロー成形の際に金型のピンチオフ部で保持リブ30該当部分を挟み込むことで形成されることが好ましく、この場合には保持リブ30が金型のパーティングライン上に、このパーティングラインに沿って形成されている。なお、保持リブ30の形成時、より好ましくは、ピンチオフ部に突設されたピンを利用して、横穴状の凹孔32を、その開口方向が交互に逆向きとなるように保持リブ30の延在方向に沿って複数形成するとよい。こうすることで、外層2と内層3とが圧着された圧着部33(食い込み部)を保持リブ30に沿って交互に配置させることができ、内層3の保持の信頼性を効果的に高めることができる。
【0077】
図11および
図12に示すように、第1凹部36は、外層2の底部部分において保持リブ30を回避した位置に形成されている。第1凹部36は、外層2の底部部分において、保持リブ30の延長線L上に、この延長線Lに沿って形成されている。第1凹部36は、ボトル軸O上をボトル径方向に横断する。なお前記延長線Lは、前記パーティングラインと一致する。
【0078】
第2凹部37は、第1凹部36に平行に延在し、第1凹部36を間に挟み込むように第1凹部36と並列に一対配置されている。第2凹部37の長さおよび幅はそれぞれ、第1凹部36の長さおよび幅それぞれと同等となっている。
【0079】
図14に示すように、第1凹部36および第2凹部37は、ボトル底部12がボトル軸O方向に沿う内側に向けて膨出することで窪んでいる。第1凹部36および第2凹部37それぞれの幅は、ボトル軸O方向の外側から内側に向かうに従い漸次、狭くなっている。
図15に示すように、第1凹部36および第2凹部37の幅は、使用者の指幅よりも狭くなっていて、第1凹部36および第2凹部37内には指Fが進入不能となっている。
【0080】
図11に示すように、吸気孔31は、外層2の底部部分において保持リブ30を回避した位置に形成されている。吸気孔31は、第1凹部36の底壁面に形成されている。吸気孔31は、第1凹部36の底壁面において、保持リブ30の延長線L上に、この延長線Lに沿って形成されている。
図11および
図12に示すように、吸気孔31は、直線状に延在するスリットとされ、第1凹部36の底壁面の全長にわたって延在していてボトル軸O上をボトル径方向に横断する。
【0081】
そして本実施形態では、外層2の底部部分には、吸気孔31の開口周縁部に全周にわたって配置され、吸気孔31の周囲を囲繞するようにボトル軸O方向に沿う外側に向けて延在する囲繞壁部34が形成されている。図示の例では、囲繞壁部34は、前記第1凹部36の側壁面により構成されていて、この囲繞壁部34は、吸気孔31の周囲を全周にわたって連続して囲繞している。
【0082】
ところで
図9および
図10に示すように、外層2と内層3とは固着部35を介してそれぞれ周方向の一部同士が互いに固着されている。固着部35は、例えば接着層であり、外層2に対して内層3を剥離不能に接着している。固着部35は、ボトル軸Oを挟んで保持リブ30とはボトル径方向の反対側に位置した部分において、ボトル胴部11の全長にわたってボトル軸O方向に延在する帯状に形成されている。
【0083】
(積層ボトルの作用)
次に、このように構成された積層ボトル1に装着された吐出器20を利用して、内容物を吐出する場合について説明する。
この場合には、押下ヘッド25の押し下げ操作によってステム23を押し下げ、吸い上げパイプ27の下端に開口した吸い上げ口27aから内層3に収容されている内容物を吸い上げる。すると、この吸い上げられた内容物は、ステム23を通じて、押下ヘッド25の吐出ノズル28内に噴出される。これにより、吐出ノズル28の吐出口28aを通じて、外部に向けて内容物を吐出させることができる。
【0084】
ところで、内容物が吸い上げられた際、
図9に示す二点鎖線のように、内層3が減容変形するので、内層3と外層2との間に負圧が生じる。そのため、吸気孔31を通じて外層2と内層3との間に外気が吸入される。これにより、内容物の吐出に伴って、外層2を変形させることなく内層3だけを外層2から剥離させて減容変形させることができる。ここで、外層2の底部部分に形成された保持リブ30が、内層3を挟み込んで一体的に保持するので、減容変形時に内層3が浮き上がってしまうことを効果的に防止できる。さらに本実施形態では、固着部35が、ボトル軸Oを挟んで保持リブ30とはボトル径方向の反対側に位置している上、固着部35が、ボトル胴部11の全長にわたってボトル軸O方向に延在していて、固着部35が、ボトル胴部11において、ボトル底部12に連結された下端部にも配置されているので、保持リブ30だけでなく、固着部35によっても内層3の浮き上がりを防止することができる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る積層ボトル1によれば、内層3の浮き上がりを効果的に抑制できるので、内層3の減容変形を高精度に制御したり、例えば本実施形態のように、この積層ボトル1に、ボトル底部12付近まで延びる吸い上げパイプ27を有する吐出器20を装着した場合に、吸い上げパイプ27の吸い上げ口を内層3が塞いでしまうことを防止したりすること等ができる。従って、吐出不良や内容物の残量増加等を招いてしまうことを防止することができる。
【0086】
また、外層2の底部部分に囲繞壁部34が形成されているので、
図15に示すように、例えば使用者の指Fやこの積層ボトル1が接地する図示しない接地面などと、ボトル底部12と、が接触したときに、これらの指Fや接地面などが吸気孔31に達するのを囲繞壁部34により規制することができる。これにより、水分や塵埃等が、吸気孔31を通して外層2と内層3との間に入り込んだり、吸気孔31に詰まって吸気孔31を閉塞させたりするのを抑制することが可能になり、内層3を確実に減容変形させることができる。
【0087】
また、第1凹部36の底壁面に吸気孔31が形成されるとともに、第1凹部36の側壁面が囲繞壁部34を構成しているので、この積層ボトル1の構造の簡素化および製造の簡便化を図ることができる。
【0088】
また吸気孔31が、第1凹部36の底壁面に形成されているので、外層2の底部部分において吸気孔31が形成された部分を、第1凹部36の凹リブ効果により補強することができる。これにより、例えば内層3が減容変形したときに外層2に加えられる外力などにより、吸気孔31の開口面積が意図せず拡大するのを抑制することが可能になり、内層3を精度良く減容変形させることができる。
【0089】
また、保持リブ30がボトル軸Oを中心としたボトル径方向に沿って形成されているので、積層ボトル1の製造時、保持リブ30を外層2に容易に形成し易くなるうえ、内層3を容易に挟み込んで確実に保持させ易い。しかも、保持リブ30の延長線L上に、この延長線Lに沿って吸気孔31を形成させればよいので、保持リブ30と吸気孔31とを同時に作り込み易い。
【0090】
また吸気孔31が、保持リブ30の延長線L上に、この延長線Lに沿って延設されているので、保持リブ30の長さを調整することで、吸気孔31の長さを容易かつ精度良く調整することができる。これにより、例えば外層2と内層3との間が負圧になったとき等に、吸気孔31の拡開の程度を高精度に制御し易くすることが可能になり、例えば、吸気孔31が不用意に大きく拡開するのを抑制すること等ができる。
【0091】
また、吸気孔31がボトル底部12に形成されているので、吸気孔31を隠すことができ、例えばボトル胴部を全周にわたって平滑面にすること等が可能である。従って、この積層ボトル1の外観性や加飾性の低下を防止できる。
【0092】
また一対の第2凹部37が、吸気孔31に平行に延在し、吸気孔31を間に挟み込むように吸気孔31と並列に配置されているので、外層2の底部部分を第2凹部37の凹リブ効果により補強して吸気孔31の開口面積の意図しない拡大を抑えつつ、外層2の底部部分において吸気孔31と第2凹部37とを混同させて吸気孔31を目立ち難くすることができる。従って、この積層ボトル1の外観性を向上させることが可能になり、この積層ボトル1を、デザイン的に優れたボトルに設計し易くすることができる。
【0093】
また一対の第2凹部37が、吸気孔31を間に挟み込んでいるので、例えば
図15に示すように、使用者の指Fがボトル底部12に接触するときに、外層2のうち、第2凹部37が形成された部分をたわみ変形させることが可能になり、指Fが吸気孔31に達するのを確実に抑制することができる。
【0094】
また、保持リブ30および吸気孔31がボトル底部12のうち底上げされた陥没凹部12bに形成されているので、保持リブ30をボトル外側に向けて突出するように形成しても、積層ボトル1を安定して載置することができる。また、吸気孔31を通じた外気の吸入が阻害され難いうえ、吸気孔31を通じて水分や塵埃等が外層2と内層3との間に入り込み難い。
【0095】
また、保持リブ30と固着部35とによって、内層3が外層2に、ボトル軸Oを挟んでボトル径方向の反対側に位置する部分を保持されるので、例えば減容変形に伴って内層3をボトル中心付近で平たくきれいに潰すこと等が可能となり、内容物の残量をより一層低減させることができる。
【0096】
また
図8から
図10に示すように、固着部35が、ボトル胴部11に、ボトル軸O方向に延在する帯状をなすように1つ形成されているので、ボトル胴部11において、固着部35が形成された部分を回避したボトル周方向のほぼ全周にわたる広い範囲で、外層2と内層3とを剥離させることができる。したがって、吸気孔31から外層2と内層3との間に吸入された外気がボトル胴部11に到達するときに、この外気が、ボトル胴部11におけるボトル周方向の一部分に偏ってしまうのを抑制し、この外気を、ボトル周方向の全周にわたって行き渡らせ易くすることが可能になり、吸気孔31からの吸気を円滑なものとすることができる。
【0097】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0098】
前記実施形態では、1つの固着部35、135が、ボトル胴部11、111において、ボトル軸O、O1を挟んで保持リブ30、130とはボトル径方向の反対側に位置する部分に設けられているが、本発明はこれに限られない。例えば固着部が複数あってもよく、固着部の位置が異なっていてもよい。
【0099】
また、ボトル軸方向に延在する帯状に形成された固着部は、ボトル軸方向の全長にわたって連続的に延在していてもよく、間欠的に延在していてもよい。つまり固着部が、ボトル軸方向の全長にわたって一体とされた1つの帯状体により構成されていてもよく、ボトル軸方向の全長にわたって間隔をあけて配置された複数の帯状体片により構成されていてもよい。さらに前記固着部を、ボトル軸方向に延在する複数の細帯状体をボトル周方向に近接させて配置することで構成してもよい。
【0100】
また固着部35、135および第2凹部37、137がなくてもよい。
さらに第1凹部36、136に代えて、外層の底部部分に、吸気孔の開口周縁部に全周にわたって配置され、吸気孔の周囲を囲繞するようにボトル軸方向に沿う外側に向けて突出する環状の突条部を設けてもよい。つまり、外層の底部部分に、吸気孔の開口周縁部に全周にわたって配置され、吸気孔の周囲を囲繞するようにボトル軸方向に沿う外側に向けて延在する囲繞壁部が形成された他の構成に適宜変更してもよい。
【0101】
また前記実施形態では、吸気孔31、131が、保持リブ30、130の延長線L、L1上に、この延長線L、L1に沿って延設されているものとしたが、これに限られない。例えば、吸気孔が、前記延長線に交差するように延設されていてもよい。さらに例えば、吸気孔を、保持リブと平行に形成してもよい。つまり吸気孔は、外層の底部部分において保持リブを回避した位置に形成された他の構成に適宜変更してもよい。
【0102】
また前記実施形態では、保持リブ30、130が、ボトル径方向に沿って延在するものとしたが、これに限られない。例えば保持リブが、ボトル径方向に交差するように延設されていてもよい。
さらに前記実施形態では、保持リブ30、130が、ボトル軸Oを回避した位置に1つのみ設けられているが、本発明はこれに限られず、2つ以上設けられていてもよい。
【0103】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。