(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外層と、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容変形する可撓性に富む内層と、を備え、前記外層の内面に前記内層が剥離可能に積層された有底筒状の積層ボトルであって、
前記外層のうち、ボトル底部に位置する底部部分には、前記内層との間に外気を吸入させる吸気スリット部と、この積層ボトルの内側に向けて突出する突出部と、が形成され、
前記突出部の少なくとも一部は、前記吸気スリット部が延在する方向に交差する交差方向に延在し、
前記突出部は、前記吸気スリット部に対して前記交差方向に隣接して配設され、
前記突出部は、前記延在する方向に間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする積層ボトル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の積層ボトルでは、内層と外層との間に外気を円滑に吸入することについて改善の余地がある。なお、内層と外層との間に外気が吸入されない場合、例えば内層内の内容物が吐出され難くなる等のおそれがある。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、内層と外層との間に外気を円滑に吸入することができる積層ボトルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る積層ボトルは、外層と、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容変形する可撓性に富む内層と、を備え、前記外層の内面に前記内層が剥離可能に積層された有底筒状の積層ボトルであって、前記外層のうち、ボトル底部に位置する底部部分には、前記内層との間に外気を吸入させる吸気スリット部と、この積層ボトルの内側に向けて突出する突出部と、が形成され、前記突出部の少なくとも一部は、前記吸気スリット部が延在する方向に交差する交差方向に延在し、前記突出部は、前記吸気スリット部に対して前記交差方向に隣接して配設され
、前記突出部は、前記延在する方向に間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、外層の底部部分に突出部が形成されているので、この底部部分のうち、突出部が配設された部分と、その他の部分と、の間で、内層との密着強度を異ならせ、ボトル底部に内層と外層との密着強度の分布を形成することができる。これにより、内層を減容変形させるときに、内層と外層との剥離の起点となる起点部分を生じさせ易くすることが可能になり、内層を外層から確実に剥離させることができる。
また、突出部の少なくとも一部が、前記交差方向に延在しているので、前述の起点部分を、突出部に沿うように前記交差方向に生じさせることが可能になり、起点部分が剥離して内層と外層との間に形成される剥離空間を、ボトル底部において、吸気スリット部の開口周縁部側から、外周縁部側に向けて延在させることができる。
しかも突出部が、吸気スリット部に対して前記交差方向に隣接して配設されているので、吸気スリット部から前述の剥離空間に外気を速やかに吸入させることができる。
以上より、内層を減容変形させるときに、剥離空間を、ボトル底部において突出部に沿うように延在させ、吸気スリット部から吸気される外気を、この剥離空間を通してボトル底部における外周縁部側に向けて流通させ易くすることが可能になり、吸気スリット部から内層と外層との間に外気を円滑に吸入することができる。これにより、例えば、内容物の良好な吐出、操作性の向上および内層の破断の抑制などを図ることができる。
【0008】
ところで、この種の積層ボトルでは、内層内に収容された内容物を吐出して内層が減容変形した後、内層が、この内層内に残留する内容物の荷重によって外層の底部部分に向けて変形させられて外層に改めて積層されることがある。
また、内層を外層から剥離させるために要する力の程度を調整するために、積層ボトルの成形後であって内層内に内容物を収容する前に、例えば、内層内の空気を外部に排出して内層を減容変形させて外層から剥離させた後、内層内に空気を供給して内層を膨出変形させて内層を外層に改めて積層させること等により、内層の外面と外層の内面との密接の程度を調整することがある。
以上のように、この種の積層ボトルでは、内層が減容変形して内層の底部部分が外層の底部部分から剥離した後、例えば内容物から内層に加えられる荷重や、内層内に供給される空気などにより、内層が外層の底部部分に改めて積層されることがある。
ここで、外層の底部部分に突出部が形成されているので、内層が外層の底部部分に改めて積層されるときに、外層の突出部の表面と内層の表面とを密着させずに両者の間に中間隙間を形成させ易くすることができる。この積層ボトルでは、中間隙間を前述の剥離空間と同様に、突出部に沿うように前記交差方向に生じさせることができるので、内層を再度、減容変形させるときには、吸気スリット部から吸気される外気を、この中間隙間を通して、ボトル底部における外周縁部側に向けて流通させ易くすることができる。したがって、内層の底部部分が外層の底部部分から剥離した後、改めて積層されたような場合であっても、吸気スリット部から内層と外層との間に外気を円滑に吸入することができる。
【0009】
また、前記突出部は、前記交差方向に直線状に延在していてもよい。
【0010】
この場合、突出部が、前記交差方向に直線状に延在しているので、前述の剥離空間や中間隙間を前記交差方向に直線状に形成することが可能になり、外気に剥離空間や中間隙間を円滑に流通させ易くすることができる。
【0011】
また、前記突出部は、前記吸気スリット部を間に挟み込むように複数配設されていてもよい。
【0012】
この場合、突出部が、吸気スリット部を間に挟み込むように複数配設されているので、前述の剥離空間や中間隙間を、ボトル底部の広い範囲にわたって形成することが可能になり、吸気スリット部から内層と外層との間に外気を一層円滑に吸入することができる。
【0013】
また、前記底部部分には、前記吸気スリット部の開口周縁部に全周にわたって配置され、前記吸気スリット部の周囲を囲繞するようにボトル軸方向に沿う外側に向けて延在する囲繞壁部が形成されていてもよい。
【0014】
この場合、外層の底部部分に囲繞壁部が形成されているので、例えば使用者の指やこの積層ボトルが接地する接地面などと、ボトル底部と、が接触したときに、これらの指や接地面などが吸気スリット部に達するのを囲繞壁部により規制することができる。これにより、水分や塵埃等が、吸気スリット部を通して外層と内層との間に入り込んだり、吸気スリット部に詰まって吸気スリット部を閉塞させたりするのを抑制することが可能になり、内層を確実に減容変形させることができる。
【0015】
また、前記底部部分には、底壁面に前記吸気スリット部が形成されるとともに、側壁面が前記囲繞壁部を構成する第1凹部が形成されていてもよい。
【0016】
この場合、第1凹部の底壁面に吸気スリット部が形成されるとともに、第1凹部の側壁面が囲繞壁部を構成しているので、この積層ボトルの構造の簡素化および製造の簡便化を図ることができる。
また吸気スリット部が、第1凹部の底壁面に形成されているので、外層の底部部分において吸気スリット部が形成された部分を、第1凹部の凹リブ効果により補強することができる。これにより、例えば内層が減容変形したときに外層に加えられる外力などにより、吸気スリット部の開口面積が意図せず拡大するのを抑制することが可能になり、内層を精度良く減容変形させることができる。
【0017】
また、前記底部部分には、前記吸気スリット部に平行に延在し、前記吸気スリット部を間に挟み込むように前記吸気スリット部と並列に配置された一対の第2凹部が形成されていてもよい。
【0018】
この場合、一対の第2凹部が、吸気スリット部に平行に延在し、吸気スリット部を間に挟み込むように吸気スリット部と並列に配置されているので、外層の底部部分を第2凹部の凹リブ効果により補強して吸気スリット部の開口面積の意図しない拡大を抑えつつ、外装の底部部分において吸気スリット部と第2凹部とを混同させて吸気スリット部を目立ち難くすることができる。従って、この積層ボトルの外観性を向上させることが可能になり、この積層ボトルを、デザイン的に優れたボトルに設計し易くすることができる。
また一対の第2凹部が、吸気スリット部を間に挟み込んでいるので、例えば使用者の指がボトル底部に接触するときに、第2凹部一つ一つの変形を小さく抑えつつも、外層のうち、第2凹部が形成された部分を大きくたわみ変形させることができる。したがって、例えば前記囲繞壁部が形成されている場合には、指が吸気スリット部に達するのを確実に抑制すること等ができる。
【0019】
また、前記吸気スリット部は、ボトル径方向に沿って延設され、前記底部部分において前記吸気スリット部の延長線上に位置する部分には、前記内層を挟み込んで一体的に保持する保持リブが、前記延長線に沿って延設されていてもよい。
【0020】
この場合、外層の底部部分において前記延長線上に位置する部分に、保持リブが前記延長線に沿って延設されているので、例えば、吸気スリット部および保持リブの両方を、この積層ボトルを成形する金型のパーティングライン上に配置させることが可能になり、吸気スリット部および保持リブを容易かつ精度良く形成し易くすることができる。
【0021】
また、前記外層は、スクイズ変形可能に形成されていてもよい。
【0022】
この場合、外層が、スクイズ変形可能に形成されていているので、例えば、外層をスクイズ変形させることで内層の内圧を上昇させ、内層内の内容物をボトル口部を通して吐出すること等が可能になる。これにより、例えばこの積層ボトルの用途を多岐にわたらせること等ができる。
なお前記ボトル底部は、前記ボトル底部の外周縁部に位置する接地部と、前記接地部にボトル径方向の内側から連なる陥没凹部と、を備え、前記吸気スリット部および前記突出部は、前記陥没凹部に形成され、前記突出部のうち、前記交差方向の外側の端部は、前記接地部に前記交差方向の内側から接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る積層ボトルによれば、内層と外層との間に外気を円滑に吸入することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る積層ボトルの第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(積層ボトルの構成)
図1および
図2に示すように、本実施形態の積層ボトル101は、スクイズ変形可能に形成された外層102と、図示しない内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容変形(しぼみ変形)する可撓性に富む内層103と、を備え、外層102の内面に内層103が剥離可能に積層された有底筒状のデラミボトル(積層剥離型容器)とされている。
【0026】
なお、外層102および内層103は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、または、エチレンビニルアルコール共重合成樹脂等を用い、外層102と内層103とが剥離可能(相溶性がない)となる組み合わせで形成される。
【0027】
この積層ボトル101は、ボトル口部110、ボトル胴部111およびボトル底部112がボトル軸O1方向に沿ってこの順に連設されている。なお本実施形態では、ボトル軸O1に沿ってボトル口部110側を上側、ボトル底部112側を下側といい、ボトル軸O1に直交する方向をボトル径方向といい、ボトル軸O1回りに周回する方向をボトル周方向という。
【0028】
ボトル胴部111は、上側から下側に向かうに従い漸次、拡径している。ボトル胴部111は、ボトル軸O1方向に沿うこの積層ボトル101の縦断面視において、ボトル径方向の外側に向けて凸となる凸曲面状に形成されている。
なお外層102は、スクイズ変形可能な容器であり、この外層102のスクイズ変形によって内層103を減容変形させる。外層102は、弾性変形可能に形成されていて、外層102のうち、ボトル胴部111に位置する胴部部分は、ボトル径方向の内側に向けて弾性変形可能となっている。
【0029】
ボトル口部110は、ボトル胴部111の上端開口部から上方に向けて延び、ボトル胴部111と同軸に配置されている。
ボトル口部110には、吐出口40を有する吐出キャップ41が装着されていて、この積層ボトル101と吐出キャップ41とは、積層ボトル101内に収容された内容物を吐出口40から吐出する吐出容器42を構成している。
【0030】
吐出キャップ41は、内層103の内圧に応じて内層103内と吐出口40との連通およびその遮断を切り替える。吐出キャップ41は、中栓部43と、本体部44と、蓋部45と、を備えている。
中栓部43は、ボトル口部110の上端開口部上に配置されたベース部46と、ベース部46をボトル軸O1方向に貫通する収容筒部47と、収容筒部47内に収容された弁体部48と、を備えている。ベース部46および収容筒部47は、いずれもボトル軸O1と同軸に配置され、これらのベース部46および収容筒部47は一体に形成されている。
【0031】
ベース部46は、表裏面がボトル軸O1方向を向く環板状に形成されている。ベース部46は、ボトル径方向の外側に位置する外周部49と、ボトル周方向の内側に位置する内周部50と、ボトル軸O1方向に延び外周部49と内周部50とを連結する段部51と、を備えている。内周部50は、外周部49よりも下側に位置している。
【0032】
外周部49には、立ち上がり筒部52と、第1シール筒部53と、がいずれもボトル軸O1と同軸に設けられている。立ち上がり筒部52は、外周部49から上方に向けて延びている。第1シール筒部53は、外周部49から下方に向けて延び、ボトル口部110内に液密に嵌合されている。
【0033】
収容筒部47の外周面におけるボトル軸O1方向の中央部は、ベース部46の内周縁部に連結されていて、収容筒部47は、ベース部46からボトル軸O1方向の両側に突出している。収容筒部47におけるボトル軸O1方向の中央部よりも下側に位置する部分には、上側から下側に向かうに従い漸次縮径する縮径部54(弁座部)が設けられている。
【0034】
収容筒部47の内周面には、ボトル軸O1方向に延びる凸リブ部55が設けられている。凸リブ部55は、ボトル周方向に間隔をあけて複数設けられていて、複数の凸リブ部55は、環状のリブ列を構成している。凸リブ部55は、縮径部54から上方に向けて延び、凸リブ部55の上端部は、収容筒部47におけるボトル軸O1方向の中央部よりも上側に位置している。凸リブ部55の上端部には、ボトル径方向の内側に向けて突出するストッパ部55aが設けられている。
【0035】
弁体部48は、収容筒部47内に、ボトル軸O1方向に移動自在に収容されている。弁体部48は、前記リブ列内に、凸リブ部55においてボトル径方向の内側を向く表面上を、ボトル軸O1方向に摺動自在とされていて、縮径部54の内周面上に、上方に向けて離反可能に着座している。弁体部48は、球状に形成されたいわゆるボール弁とされている。
【0036】
本体部44は、有頂筒状に形成されボトル口部110に外装されている。本体部44における上端部内には、ベース部46が嵌合され、本体部44において上端部よりも下側に位置する部分は、ボトル口部110の外周面に螺着されている。
本体部44には、垂下筒部56と、吐出筒部57と、が設けられている。垂下筒部56は、本体部44から下方に向けて延び、段部51内に嵌合されている。吐出筒部57は、垂下筒部56よりも小径とされ、本体部44から上方に向けて延びている。
【0037】
吐出筒部57の内周面は、下側から上側に向かうに従い漸次、拡径している。吐出筒部57の軸線は、ボトル軸O1に沿って延びるとともに、ボトル軸O1に対してボトル径方向にずらされている。
なお以下では、吐出筒部57の軸線およびボトル軸O1の両方向に直交する方向を前後方向といい、前後方向に沿って、吐出筒部57の軸線側を後側といい、ボトル軸O1側を前側という。
【0038】
吐出筒部57は、収容筒部47内を通して内層103内に連通可能とされ、吐出筒部57の上端部内に前記吐出口40が設けられている。吐出筒部57には、この吐出筒部57内と収容筒部47内とを連通する第2シール筒部58が設けられている。第2シール筒部58は、吐出筒部57の内周面から下方に向けて延在している。第2シール筒部58は、ボトル軸O1と同軸に配置され、収容筒部47の上端部内に嵌合されている。
【0039】
吐出口40と内層103内とは、収容筒部47内、第2シール筒部58内および吐出筒部57内により構成される連通路59を通して連通可能とされていて、吐出口40と内層103内との連通路59を通した連通は、縮径部54に着座した弁体部48により遮断されている。
【0040】
蓋部45は、有頂筒状に形成され、本体部44の上端部に、着脱可能に外嵌されている。蓋部45は、吐出口40を外側から覆っていて、吐出口40を開閉可能に閉塞している。蓋部45は、ヒンジ部60を介して本体部44に連結されている。ヒンジ部60は、本体部44および蓋部45それぞれにおいて後側に位置する部分同士を互いに連結している。ヒンジ部60は、蓋部45を本体部44に、このヒンジ部60回りの前側から後側に向けて回動可能に連結している。
【0041】
蓋部45には、第3シール筒部61と、規制部62と、が設けられている。これらの第3シール筒部61および規制部62は、いずれもボトル軸O1と同軸に配置されている。
第3シール筒部61の下端部は、第2シール筒部58内に、着脱可能に嵌合されていて、連通路59を通した内層103内と吐出口40との連通を遮断している。
【0042】
規制部62は、ボトル軸O1上に配置され、ボトル軸O1に沿って延びる棒状に形成されている。規制部62は、第3シール筒部61よりも小径に形成されている。規制部62の下端部は、収容筒部47内に位置していて、前記ストッパ部55aとボトル軸O1方向に同等の位置に配置されている。規制部62は、弁体部48の上側に向けた移動を規制する。
【0043】
図1から
図4に示すように、ボトル底部112は、ボトル胴部111に連設され、外周縁部に位置する接地部112aと、接地部112aにボトル径方向の内側から連なり、ボトル内側に底上げされた陥没凹部112bと、を備えている。
【0044】
ここで
図1から
図8に示すように、外層102のうち、ボトル底部112に位置する底部部分には、内層103を挟み込んで一体的に保持する保持リブ130と、外層102と内層103との間に外気を吸入させる吸気スリット部131(吸気孔、吸入溝)と、ボトル軸O1方向の内側に向けて窪む第1凹部136および第2凹部137と、この積層ボトル101の内側に向けて突出する突出部138と、がそれぞれ形成されている。保持リブ130、吸気スリット部131、第1凹部136、第2凹部137および突出部138は、ボトル底部112における陥没凹部112bに形成されている。
【0045】
図3および
図4に示すように、第1凹部136は、ボトル径方向に沿って直線状に延設されていて、ボトル軸O1上を通過している。第1凹部136のボトル径方向の両端部は、接地部112aからボトル径方向の内側に離間している。
吸気スリット部131は、第1凹部136の底壁面に形成されている。吸気スリット部131は、直線状に延在するスリットとされ、第1凹部136の底壁面の全長にわたって延在していてボトル軸O1上をボトル径方向に横断する。吸気スリット部131が延在する方向は、第1凹部136が延在する方向と一致している。
【0046】
ここで本実施形態では、外層102の底部部分には、吸気スリット部131の開口周縁部に全周にわたって配置され、吸気スリット部131の周囲を囲繞するようにボトル軸O1方向に沿う外側に向けて延在する囲繞壁部134が形成されている。図示の例では、囲繞壁部134は、前記第1凹部136の側壁面により構成されていて、この囲繞壁部134は、吸気スリット部131の周囲を全周にわたって連続して囲繞している。
【0047】
第2凹部137は、吸気スリット部131に平行に延在し、吸気スリット部131を間に挟み込むように吸気スリット部131と並列に一対配置されている。第2凹部137は、吸気スリット部131の延在方向に延在していて、前記延在方向に直交する直交方向に第1凹部136を挟んで一対配置されている。一対の第2凹部137それぞれの長さおよび幅は、互いに同等となっていて、第2凹部137の長さは、第1凹部136の長さよりも短く、第2凹部137の幅は、第1凹部136の幅と同等となっている。
【0048】
一対の第2凹部137は、前記延在方向に間隔をあけて2組配置されている。外層102の底部部分において、第1凹部136に対して前記直交方向の一方側に位置する一方側部分、および他方側に位置する他方側部分それぞれには、第2凹部137が前記延在方向に間隔をあけて2つ配置されてなる凹部列139が形成されている。
【0049】
図5および
図6に示すように、第1凹部136および第2凹部137それぞれの幅は、ボトル軸O1方向の外側から内側に向かうに従い漸次、狭くなっている。第1凹部136および第2凹部137の幅は、使用者の指幅よりも狭くなっていて、第1凹部136および第2凹部137内には指F1が進入不能となっている。
【0050】
第1凹部136および第2凹部137は、ボトル底部112がボトル軸O1方向に沿う内側に向けて膨出することで窪んでいて、外層102のうち、第1凹部136および第2凹部137を画成する各部分は、この積層ボトル101の内側に向けて突出する第1凸部136aおよび第2凸部137aを構成している。
【0051】
図3および
図4に示すように、保持リブ130は、陥没凹部112bから下方に向かって(ボトル外側に向かって)突出している。保持リブ130のリブ高さは陥没凹部112bの凹み内に収まる程度とされている。
保持リブ130は、第1凹部136の底壁面において、吸気スリット部131の延長線L1上に、この延長線L1に沿って形成されている。保持リブ130は、前記延在方向に沿って延設されていて、保持リブ130の前記延在方向に沿った大きさである長さは、ボトル底部112の半径よりも小さくなっている。保持リブ130は、ボトル軸O1を回避した位置に1つのみ設けられている。保持リブ130のうち、ボトル径方向の内側の端部は、ボトル軸O1に対して傾斜する直線状に延在している。
【0052】
なお保持リブ130は、例えばブロー成形により外層102と内層103とを積層剥離可能状態で成形した後、
図7に示すように、内層103の底部部分の一部を挟み込んだ状態でボトル径方向の両側から外力を加えられることで接着されて形成される。保持リブ130は、ブロー成形の際に金型のピンチオフ部で保持リブ130該当部分を挟み込むことで形成されていてもよい。この場合、前記延長線L1が、金型のパーティングラインと一致し、保持リブ130が前記パーティングライン上に、このパーティングラインに沿って形成される。
【0053】
また
図7に示すように、保持リブ130の形成時、ピンチオフ部に突設されたピンを利用して、横穴状の凹孔132を、その開口方向が交互に逆向きとなるように保持リブ130の延在方向に沿って複数形成してもよい。この場合、外層102と内層103とが圧着された圧着部133(食い込み部)を保持リブ130に沿って交互に配置させることができ、内層103の保持の信頼性を効果的に高めることができる。
【0054】
ところで
図1および
図2に示すように、外層102と内層103とは固着部135を介してそれぞれ周方向の一部同士が互いに固着されている。固着部135は、例えば接着層であり、外層102に対して内層103を剥離不能に接着している。固着部135は、ボトル軸O1を挟んで保持リブ130とはボトル径方向の反対側に位置した部分において、ボトル胴部111の全長にわたってボトル軸O1方向に延在する帯状に形成されている。
【0055】
また本実施形態では、固着部135は、ボトル胴部111において、ボトル底部112に連結された下端部からボトル径方向の内側に向けて延びていて、ボトル底部112にも形成されており、この固着部135は、ボトル胴部111およびボトル底部112の両方にわたって設けられている。
【0056】
図3および
図8に示すように、突出部138は、内部がこの積層ボトル101の外側に向けて開口する中空状に形成されている。突出部138は、ボトル底部112がボトル軸O1方向に沿う内側に向けて膨出することで形成されていて、突出部138の内部は、下側に向けて開口する交差凹部138aとなっている。なお突出部138の幅は、ボトル軸O1方向の外側から内側に向かうに従い漸次、狭くなっている。
【0057】
突出部138の少なくとも一部は、前記延在方向に交差する方向に延在し、図示の例では前記直交方向に平行に延在している。突出部138は、全長にわたって前記直交方向に延在していて、本実施形態では、前記直交方向に直線状に延在している。突出部138は、吸気スリット部131を間に挟み込むように複数配設されている。突出部138は、前記一方側部分および前記他方側部分に各別に配設され、吸気スリット部131を前記直交方向に挟み込んでいる。突出部138は、前記一方側部分および前記他方側部分それぞれに、前記延在方向に間隔をあけて複数ずつ、図示の例では2つずつ形成されている。これらの両突出部138は、互いに平行に延在している。
【0058】
突出部138は、吸気スリット部131に対して前記直交方向に隣接して配設されている。突出部138のうち、前記直交方向の内側の端部は、第2凸部137aにおける前記延在方向の内側の端部に接続され、交差凹部138a内は第2凹部137内に連通している。突出部138と第2凸部137aとが接続されてなる接続体は、この積層ボトル101をボトル軸O1方向から見た平面視においてL字状に形成されている。突出部138のうち、前記直交方向の外側の端部は、接地部112aに前記直交方向の内側から接続されている。
【0059】
(積層ボトルの作用)
次に、このように構成された積層ボトル101を有する吐出容器42から、内容物を吐出する場合について説明する。
この場合には、まず
図1に示すように、吐出キャップ41の蓋部45をヒンジ部60回りに回動させて吐出口40を開放した後、例えば積層ボトル101の外層102をスクイズ変形(弾性変形)させることで、内層103を外層102とともに変形させて減容させ、内層103の内圧を上昇させる。すると、弁体部48が縮径部54から離反して連通路59を通して内層103内と吐出口40とが連通するとともに、内層103に収容された内容物が、連通路59を通って吐出口40から吐出される。
【0060】
その後、例えば積層ボトル101のスクイズ変形を停止したり解除したりする等により、内層103の内圧の上昇が停止したり内層103の内圧が低下したりすると、弁体部48が復元変位して縮径部54に着座し、内容物の吐出が停止される。
ここで、積層ボトル101のスクイズ変形を解除すると、外層102が復元変形しようとして外層102と内層103との間に負圧が生じ、吸気スリット部131を通じて外層102と内層103との間に外気が吸入される。これにより、
図1に示す二点鎖線のように、外層102が復元変位しても、内層103を外層102から剥離させて減容変形させておくことができる。このとき、外層102の底部部分に形成された保持リブ130が、内層103を挟み込んで一体的に保持するので、内層103が過度に浮き上がってしまうことを効果的に防止できる。さらに本実施形態では、固着部135が、ボトル軸O1を挟んで保持リブ130とはボトル径方向の反対側に位置している上、固着部135が、ボトル胴部111の全長にわたってボトル軸O1方向に延在していて、固着部135が、ボトル胴部111において、ボトル底部112に連結された下端部にも配置されているので、保持リブ130だけでなく、固着部135によっても内層103の浮き上がりを防止することができる。なお本実施形態のように、固着部135が、ボトル軸O1を挟んで保持リブ130とはボトル径方向の反対側に位置している上、固着部135が、ボトル胴部111およびボトル底部112の両方にわたって設けられている場合には、内層103の浮き上がりをより効果的に防止することができる。
【0061】
ここでこのように、内層103が外層102から剥離され、外層102と内層103との間に中間空間が設けられた状態で、内容物を吐出するため、積層ボトル101の外層102をスクイズ変形させたときには、前記中間空間の内圧を上昇させることで、外層102が中間空間を介して間接的に内層103を減容変形させる。なおこのとき、前記中間空間の内圧を、吸気スリット部131を通して外部に逃がすことで、前記中間空間を縮小または消滅させて外層102の内周面を内層103の外周面に当接させ、外層102が内層103を直接的に減容変形させることも可能である。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係る積層ボトル101によれば、外層102の底部部分に
図8に示すような突出部138が形成されているので、この底部部分のうち、突出部138が配設された部分と、その他の部分と、の間で、内層103との密着強度を異ならせ、ボトル底部112に内層103と外層102との密着強度の分布を形成することができる。これにより、内層103を減容変形させるときに、内層103と外層102との剥離の起点となる起点部分を生じさせ易くすることが可能になり、内層103を外層102から確実に剥離させることができる。
【0063】
また、突出部138の少なくとも一部が、前記直交方向に延在しているので、前述の起点部分を、突出部138に沿うように前記直交方向に生じさせることが可能になり、例えば
図9に示すような、起点部分が剥離して内層103と外層102との間に形成される剥離空間S11を、ボトル底部112において、吸気スリット部131の開口周縁部側から、外周縁部側に向けて延在させることができる。
しかも突出部138が、吸気スリット部131に対して前記直交方向に隣接して配設されているので、吸気スリット部131から前述の剥離空間S11に外気を速やかに吸入させることができる。
【0064】
以上より、内層103を減容変形させるときに、剥離空間S11を、ボトル底部112において突出部138に沿うように延在させ、吸気スリット部131から吸気される外気を、この剥離空間S11を通してボトル底部112における外周縁部側に向けて流通させ易くすることが可能になり、吸気スリット部131から内層103と外層102との間に外気を円滑に吸入することができる。これにより、例えば、内容物の良好な吐出、操作性の向上および内層103の破断の抑制などを図ることができる。
【0065】
ところで、この種の積層ボトル101では、内層103内に収容された内容物を吐出して内層103が減容変形した後、内層103が、この内層103内に残留する内容物の荷重によって外層102の底部部分に向けて変形させられて外層102に改めて積層されることがある。
また、内層103を外層102から剥離させるために要する力の程度を調整するために、積層ボトル101の成形後であって内層103内に内容物を収容する前に、例えば、内層103内の空気を外部に排出して内層103を減容変形させて外層102から剥離させた後、内層103内に空気を供給して内層103を膨出変形させて内層103を外層102に改めて積層させること等により、内層103の外面と外層102の内面との密接の程度を調整することがある。
以上のように、この種の積層ボトル101では、内層103が減容変形して内層103が外層102から剥離した後、例えば内容物から内層103に加えられる荷重や、内層103内に供給される空気などにより、内層103が外層102の底部部分に改めて積層されることがある。
ここで、外層102の底部部分に突出部138が形成されているので、内層103が外層102の底部部分に改めて積層されるときに、例えば
図9に示すような、外層102の突出部138の表面と内層103の表面とを密着させずに両者の間に中間隙間S12を形成させ易くすることができる。この積層ボトル101では、中間隙間S12を前述の剥離空間S11と同様に、突出部138に沿うように前記直交方向に生じさせることができるので、内層103を再度、減容変形させるときには、吸気スリット部131から吸気される外気を、この中間隙間S12を通して、ボトル底部112における外周縁部側に向けて流通させ易くすることができる。したがって、内層103の底部部分が外層102の底部部分から剥離した後、改めて積層されたような場合であっても、吸気スリット部131から内層103と外層102との間に外気を円滑に吸入することができる。
【0066】
また突出部138が、前記直交方向に直線状に延在しているので、前述の剥離空間S11や中間隙間S12を前記直交方向に直線状に形成することが可能になり、外気に剥離空間S11や中間隙間S12を円滑に流通させ易くすることができる。
【0067】
また突出部138が、吸気スリット部131を間に挟み込むように複数配設されているので、前述の剥離空間S11や中間隙間S12を、ボトル底部112の広い範囲にわたって形成することが可能になり、吸気スリット部131から内層103と外層102との間に外気を一層円滑に吸入することができる。
【0068】
また、外層102の底部部分に囲繞壁部134が形成されているので、
図6に示すように、例えば使用者の指F1やこの積層ボトル101が接地する図示しない接地面などと、ボトル底部112と、が接触したときに、これらの指F1や接地面などが吸気スリット部131に達するのを囲繞壁部134により規制することができる。これにより、水分や塵埃等が、吸気スリット部131を通して外層102と内層103との間に入り込んだり、吸気スリット部131に詰まって吸気スリット部131を閉塞させたりするのを抑制することが可能になり、内層103を確実に減容変形させることができる。
【0069】
また、第1凹部136の底壁面に吸気スリット部131が形成されるとともに、第1凹部136の側壁面が囲繞壁部134を構成しているので、この積層ボトル101の構造の簡素化および製造の簡便化を図ることができる。
【0070】
また吸気スリット部131が、第1凹部136の底壁面に形成されているので、外層102の底部部分において吸気スリット部131が形成された部分を、第1凹部136の凹リブ効果により補強することができる。これにより、例えば内層103が減容変形したときに外層102に加えられる外力などにより、吸気スリット部131の開口面積が意図せず拡大するのを抑制することが可能になり、内層103を精度良く減容変形させることができる。
【0071】
また、吸気スリット部131がボトル底部112に形成されているので、吸気スリット部131を隠すことができ、例えばボトル胴部111を全周にわたって平滑面にすること等が可能である。従って、この積層ボトル101の外観性や加飾性の低下を防止できる。
【0072】
また一対の第2凹部137が、吸気スリット部131に平行に延在し、吸気スリット部131を間に挟み込むように吸気スリット部131と並列に配置されているので、外層102の底部部分を第2凹部137の凹リブ効果により補強して吸気スリット部131の開口面積の意図しない拡大を抑えつつ、外層102の底部部分において吸気スリット部131と第2凹部137とを混同させて吸気スリット部131を目立ち難くすることができる。従って、この積層ボトル101の外観性を向上させることが可能になり、この積層ボトル101を、デザイン的に優れたボトルに設計し易くすることができる。
【0073】
また一対の第2凹部137が、吸気スリット部131を間に挟み込んでいるので、例えば
図6に示すように、使用者の指F1がボトル底部112に接触するときに、第2凹部137一つ一つの変形を小さく抑えつつも、外層102のうち、第2凹部137が形成された部分を大きくたわみ変形させることができる。したがって、例えば本実施形態のように、囲繞壁部134が形成されている場合には、指F1が吸気スリット部131に達するのを確実に抑制することができる。
【0074】
また、外層102の底部部分に保持リブ130が形成されていることで、内層103の浮き上がりを効果的に抑制できるので、例えば内層103の減容変形を高精度に制御すること等ができる。従って、吐出不良や内容物の残量増加等を招いてしまうことを防止することができる。
また外層102が、スクイズ変形可能に形成されていているので、例えば、外層102をスクイズ変形させることで内層103の内圧を上昇させ、内層103内の内容物をボトル口部110を通して吐出すること等が可能になる。これにより、例えばこの積層ボトル101の用途を多岐にわたらせること等ができる。
【0075】
また、保持リブ130および吸気スリット部131がボトル底部112のうち底上げされた陥没凹部112bに形成されているので、保持リブ130をボトル外側に向けて突出するように形成しても、積層ボトル101を安定して載置することができる。また、吸気スリット部131を通じた外気の吸入が阻害され難いうえ、吸気スリット部131を通じて水分や塵埃等が外層102と内層103との間に入り込み難い。
【0076】
また、吸気スリット部131がボトル軸O1を中心としたボトル径方向に沿って形成されているので、積層ボトル101の製造時、吸気スリット部131を外層102に容易に形成し易くなる。しかも吸気スリット部131の延長線L1上に、この延長線L1に沿って保持リブ130を形成すればよいので、保持リブ130と吸気スリット部131とを同時に作り込み易い。
【0077】
また保持リブ130が、吸気スリット部131の延長線L1上に、この延長線L1に沿って延設されているので、保持リブ130の長さを調整することで、吸気スリット部131の長さを容易かつ精度良く調整することができる。これにより、例えば外層102と内層103との間が負圧になったとき等に、吸気スリット部131の拡開の程度を高精度に制御し易くすることが可能になり、例えば、吸気スリット部131が不用意に大きく拡開するのを抑制すること等ができる。
【0078】
また、保持リブ130と固着部135とによって、内層103が外層102に、ボトル軸O1を挟んでボトル径方向の反対側に位置する部分を保持されるので、例えば減容変形に伴って内層103をボトル中心付近で平たくきれいに潰すこと等が可能となり、内容物の残量をより一層低減させることができる。
【0079】
また
図1および
図2に示すように、固着部135が、ボトル胴部111に、ボトル軸O1方向に延在する帯状をなすように1つ形成されているので、ボトル胴部111において、固着部135が形成された部分を回避したボトル周方向のほぼ全周にわたる広い範囲で、外層102と内層103とを剥離させることができる。したがって、吸気スリット部131から外層102と内層103との間に吸入された外気がボトル胴部111に到達するときに、この外気が、ボトル胴部111におけるボトル周方向の一部分に偏ってしまうのを抑制し、この外気を、ボトル周方向の全周にわたって行き渡らせ易くすることが可能になり、吸気スリット部131からの吸気を円滑なものとすることができる。
【0080】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る積層ボトルの第2実施形態について、図面を参照して説明する。
(積層ボトルの構成)
図10から
図12に示すように、本実施形態の積層ボトル1は、外層2と、図示しない内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容変形(しぼみ変形)する可撓性に富む内層3と、を備え、外層2の内面に内層3が剥離可能に積層された有底筒状のデラミボトル(積層剥離型容器)とされている。
【0081】
なお、外層2および内層3は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、または、エチレンビニルアルコール共重合成樹脂等を用い、外層2と内層3とが剥離可能(相溶性がない)となる組み合わせで形成される。
【0082】
この積層ボトル1は、ボトル口部10、ボトル胴部11およびボトル底部12がボトル軸O方向に沿ってこの順に連設されている。なお本実施形態では、ボトル軸Oに沿ってボトル口部10側を上側、ボトル底部12側を下側といい、ボトル軸Oに直交する方向をボトル径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向をボトル周方向という。
【0083】
ボトル口部10には、例えば吐出器20が装着される。吐出器20は、例えばポンプを利用して内容物を吐出させるポンプタイプの吐出器であって、吐出器本体21と、吐出器本体21をボトル口部10に螺着する装着キャップ22と、を備えている。
【0084】
吐出器本体21は、上方付勢状態で押し込み可能に起立したステム23を有するポンプ部と、ステム23の上端部に装着された押下ヘッド25と、を備えている。
前記ポンプ部は、ステム23の押し込みによって内容物を送り出す送出器である。前記ポンプ部は、装着キャップ22に一体的に組み付けられたシリンダ筒26と、シリンダ筒26内に上下動可能に挿入された図示しないピストン筒と、を有している。
【0085】
前記ピストン筒の上部には、前記ステム23が連通状態で取付けられている。前記ピストン筒およびステム23は、図示しないコイルバネによって常時、上方付勢されている。シリンダ筒26の下端部には、積層ボトル1のボトル底部12付近まで延びる吸い上げパイプ27が取付けられている。
【0086】
押下ヘッド25は、ステム23を下方に押し込み操作する有頂筒状の操作部材である。押下ヘッド25には、ステム23に連通するとともに、ボトル径方向の外側に開口した吐出口28aを有する吐出ノズル28が形成されている。
【0087】
図11から
図14に示すように、ボトル底部12は、ボトル胴部11に連設され、外周縁部に位置する接地部12aと、接地部12aにボトル径方向の内側から連なり、ボトル内側に底上げされた陥没凹部12bと、を備えている。
【0088】
ここで
図11から
図18に示すように、外層2のうち、ボトル底部12に位置する底部部分には、内層3を挟み込んで一体的に保持する保持リブ30と、外層2と内層3との間に外気を吸入させる吸気スリット部31(吸気孔、吸入溝)と、ボトル軸O方向の内側に向けて窪む第1凹部36および第2凹部37と、この積層ボトル1の内側に向けて突出する突出部38と、がそれぞれ形成されている。保持リブ30、吸気スリット部31、第1凹部36、第2凹部37および突出部38は、ボトル底部12における陥没凹部12bに形成されている。
【0089】
図13および
図14に示すように、第1凹部36は、ボトル径方向に沿って直線状に延設されていて、ボトル軸O上を通過している。第1凹部36のボトル径方向の両端部は、接地部12aからボトル径方向の内側に離間している。
吸気スリット部31は、第1凹部36の底壁面に形成されている。吸気スリット部31は、直線状に延在するスリットとされ、第1凹部36の底壁面の全長にわたって延在していてボトル軸O上をボトル径方向に横断する。吸気スリット部31が延在する方向は、第1凹部36が延在する方向と一致している。
【0090】
ここで本実施形態では、外層2の底部部分には、吸気スリット部31の開口周縁部に全周にわたって配置され、吸気スリット部31の周囲を囲繞するようにボトル軸O方向に沿う外側に向けて延在する囲繞壁部34が形成されている。図示の例では、囲繞壁部34は、前記第1凹部36の側壁面により構成されていて、この囲繞壁部34は、吸気スリット部31の周囲を全周にわたって連続して囲繞している。
【0091】
第2凹部37は、吸気スリット部31に平行に延在し、吸気スリット部31を間に挟み込むように吸気スリット部31と並列に一対配置されている。第2凹部37は、吸気スリット部31の延在方向に延在していて、前記延在方向に直交する直交方向に第1凹部36を挟んで一対配置されている。一対の第2凹部37それぞれの長さおよび幅は、互いに同等となっていて、第2凹部37の長さは、第1凹部36の長さよりも短く、第2凹部37の幅は、第1凹部36の幅と同等となっている。
【0092】
一対の第2凹部37は、前記延在方向に間隔をあけて2組配置されている。外層2の底部部分において、第1凹部36に対して前記直交方向の一方側に位置する一方側部分、および他方側に位置する他方側部分それぞれには、第2凹部37が前記延在方向に間隔をあけて2つ配置されてなる凹部列39が形成されている。
【0093】
図15および
図16に示すように、第1凹部36および第2凹部37それぞれの幅は、ボトル軸O方向の外側から内側に向かうに従い漸次、狭くなっている。第1凹部36および第2凹部37の幅は、使用者の指幅よりも狭くなっていて、第1凹部36および第2凹部37内には指Fが進入不能となっている。
【0094】
第1凹部36および第2凹部37は、ボトル底部12がボトル軸O方向に沿う内側に向けて膨出することで窪んでいて、外層2のうち、第1凹部36および第2凹部37を画成する各部分は、この積層ボトル1の内側に向けて突出する第1凸部36aおよび第2凸部37aを構成している。
【0095】
図13および
図14に示すように、保持リブ30は、陥没凹部12bから下方に向かって(ボトル外側に向かって)突出している。保持リブ30のリブ高さは陥没凹部12bの凹み内に収まる程度とされている。
保持リブ30は、第1凹部36の底壁面において、吸気スリット部31の延長線L上に、この延長線Lに沿って形成されている。保持リブ30は、前記延在方向に沿って延設されていて、保持リブ30の前記延在方向に沿った大きさである長さは、ボトル底部12の半径よりも小さくなっている。保持リブ30は、ボトル軸Oを回避した位置に1つのみ設けられている。保持リブ30のうち、ボトル径方向の内側の端部は、ボトル軸Oに対して傾斜する直線状に延在している。
【0096】
なお保持リブ30は、例えばブロー成形により外層2と内層3とを積層剥離可能状態で成形した後、
図17に示すように、内層3の底部部分の一部を挟み込んだ状態でボトル径方向の両側から外力を加えられることで接着されて形成される。保持リブ30は、ブロー成形の際に金型のピンチオフ部で保持リブ30該当部分を挟み込むことで形成されていてもよい。この場合、前記延長線Lが、金型のパーティングラインと一致し、保持リブ30が前記パーティングライン上に、このパーティングラインに沿って形成される。
【0097】
また
図17に示すように、保持リブ30の形成時、ピンチオフ部に突設されたピンを利用して、横穴状の凹孔32を、その開口方向が交互に逆向きとなるように保持リブ30の延在方向に沿って複数形成してもよい。この場合、外層2と内層3とが圧着された圧着部33(食い込み部)を保持リブ30に沿って交互に配置させることができ、内層3の保持の信頼性を効果的に高めることができる。
【0098】
ところで
図11および
図12に示すように、外層2と内層3とは固着部35を介してそれぞれ周方向の一部同士が互いに固着されている。固着部35は、例えば接着層であり、外層2に対して内層3を剥離不能に接着している。固着部35は、ボトル軸Oを挟んで保持リブ30とはボトル径方向の反対側に位置した部分において、ボトル胴部11の全長にわたってボトル軸O方向に延在する帯状に形成されている。
【0099】
図13および
図18に示すように、突出部38は、内部がこの積層ボトル1の外側に向けて開口する中空状に形成されている。突出部38は、ボトル底部12がボトル軸O方向に沿う内側に向けて膨出することで形成されていて、突出部38の内部は、下側に向けて開口する交差凹部38aとなっている。なお突出部38の幅は、ボトル軸O方向の外側から内側に向かうに従い漸次、狭くなっている。
【0100】
突出部38の少なくとも一部は、前記延在方向に交差する方向に延在し、図示の例では前記直交方向に平行に延在している。突出部38は、全長にわたって前記直交方向に延在していて、本実施形態では、前記直交方向に直線状に延在している。突出部38は、吸気スリット部31を間に挟み込むように複数配設されている。突出部38は、前記一方側部分および前記他方側部分に各別に配設され、吸気スリット部31を前記直交方向に挟み込んでいる。突出部38は、前記一方側部分および前記他方側部分それぞれに、前記延在方向に間隔をあけて複数ずつ、図示の例では2つずつ形成されている。これらの両突出部38は、互いに平行に延在している。
【0101】
突出部38は、吸気スリット部31に対して前記直交方向に隣接して配設されている。突出部38のうち、前記直交方向の内側の端部は、第2凸部37aにおける前記延在方向の内側の端部に接続され、交差凹部38a内は第2凹部37内に連通している。突出部38と第2凸部37aとが接続されてなる接続体は、この積層ボトル1をボトル軸O方向から見た平面視においてL字状に形成されている。突出部38のうち、前記直交方向の外側の端部は、接地部12aに前記直交方向の内側から接続されている。
【0102】
(積層ボトルの作用)
次に、このように構成された積層ボトル1に装着された吐出器20を利用して、内容物を吐出する場合について説明する。
この場合には、押下ヘッド25の押し下げ操作によってステム23を押し下げ、吸い上げパイプ27の下端に開口した吸い上げ口27aから内層3に収容されている内容物を吸い上げる。すると、この吸い上げられた内容物は、ステム23を通じて、押下ヘッド25の吐出ノズル28内に噴出される。これにより、吐出ノズル28の吐出口28aを通じて、外部に向けて内容物を吐出させることができる。
【0103】
ところで、内容物が吸い上げられた際、
図11に示す二点鎖線のように、内層3が減容変形するので、内層3と外層2との間に負圧が生じる。そのため、吸気スリット部31を通じて外層2と内層3との間に外気が吸入される。これにより、内容物の吐出に伴って、外層2を変形させることなく内層3だけを外層2から剥離させて減容変形させることができる。ここで、外層2の底部部分に形成された保持リブ30が、内層3を挟み込んで一体的に保持するので、減容変形時に内層3が過度に浮き上がってしまうことを効果的に防止できる。さらに本実施形態では、固着部35が、ボトル軸Oを挟んで保持リブ30とはボトル径方向の反対側に位置している上、固着部35が、ボトル胴部11の全長にわたってボトル軸O方向に延在していて、固着部35が、ボトル胴部11において、ボトル底部12に連結された下端部にも配置されているので、保持リブ30だけでなく、固着部35によっても内層3の浮き上がりを防止することができる。
【0104】
以上説明したように、本実施形態に係る積層ボトル1によれば、外層2の底部部分に
図18に示すような突出部38が形成されているので、この底部部分のうち、突出部38が配設された部分と、その他の部分と、の間で、内層3との密着強度を異ならせ、ボトル底部12に内層3と外層2との密着強度の分布を形成することができる。これにより、内層3を減容変形させるときに、内層3と外層2との剥離の起点となる起点部分を生じさせ易くすることが可能になり、内層3を外層2から確実に剥離させることができる。
【0105】
また、突出部38の少なくとも一部が、前記直交方向に延在しているので、前述の起点部分を、突出部38に沿うように前記直交方向に生じさせることが可能になり、例えば
図19に示すような、起点部分が剥離して内層3と外層2との間に形成される剥離空間S1を、ボトル底部12において、吸気スリット部31の開口周縁部側から、外周縁部側に向けて延在させることができる。
しかも突出部38が、吸気スリット部31に対して前記直交方向に隣接して配設されているので、吸気スリット部31から前述の剥離空間S1に外気を速やかに吸入させることができる。
【0106】
以上より、内層3を減容変形させるときに、剥離空間S1を、ボトル底部12において突出部38に沿うように延在させ、吸気スリット部31から吸気される外気を、この剥離空間S1を通してボトル底部12における外周縁部側に向けて流通させ易くすることが可能になり、吸気スリット部31から内層3と外層2との間に外気を円滑に吸入することができる。これにより、例えば、内容物の良好な吐出、操作性の向上および内層3の破断の抑制などを図ることができる。
【0107】
ところで、この種の積層ボトル1では、内層3内に収容された内容物を吐出して内層3が減容変形した後、内層3が、この内層3内に残留する内容物の荷重によって外層2の底部部分に向けて変形させられて外層2に改めて積層されることがある。
また、内層3を外層2から剥離させるために要する力の程度を調整するために、積層ボトル1の成形後であって内層3内に内容物を収容する前に、例えば、内層3内の空気を外部に排出して内層3を減容変形させて外層2から剥離させた後、内層3内に空気を供給して内層3を膨出変形させて内層3を外層2に改めて積層させること等により、内層3の外面と外層2の内面との密接の程度を調整することがある。
以上のように、この種の積層ボトル1では、内層3が減容変形して内層3が外層2から剥離した後、例えば内容物から内層3に加えられる荷重や、内層3内に供給される空気などにより、内層3が外層2の底部部分に改めて積層されることがある。
ここで、外層2の底部部分に突出部38が形成されているので、内層3が外層2の底部部分に改めて積層されるときに、例えば
図19に示すような、外層2の突出部38の表面と内層3の表面とを密着させずに両者の間に中間隙間S2を形成させ易くすることができる。この積層ボトル1では、中間隙間S2を前述の剥離空間S1と同様に、突出部38に沿うように前記直交方向に生じさせることができるので、内層3を再度、減容変形させるときには、吸気スリット部31から吸気される外気を、この中間隙間S2を通して、ボトル底部12における外周縁部側に向けて流通させ易くすることができる。したがって、内層3の底部部分が外層2の底部部分から剥離した後、改めて積層されたような場合であっても、吸気スリット部31から内層3と外層2との間に外気を円滑に吸入することができる。
【0108】
また突出部38が、前記直交方向に直線状に延在しているので、前述の剥離空間S1や中間隙間S2を前記直交方向に直線状に形成することが可能になり、外気に剥離空間S1や中間隙間S2を円滑に流通させ易くすることができる。
【0109】
また突出部38が、吸気スリット部31を間に挟み込むように複数配設されているので、前述の剥離空間S1や中間隙間S2を、ボトル底部12の広い範囲にわたって形成することが可能になり、吸気スリット部31から内層3と外層2との間に外気を一層円滑に吸入することができる。
【0110】
また、外層2の底部部分に囲繞壁部34が形成されているので、
図16に示すように、例えば使用者の指Fやこの積層ボトル1が接地する図示しない接地面などと、ボトル底部12と、が接触したときに、これらの指Fや接地面などが吸気スリット部31に達するのを囲繞壁部34により規制することができる。これにより、水分や塵埃等が、吸気スリット部31を通して外層2と内層3との間に入り込んだり、吸気スリット部31に詰まって吸気スリット部31を閉塞させたりするのを抑制することが可能になり、内層3を確実に減容変形させることができる。
【0111】
また、第1凹部36の底壁面に吸気スリット部31が形成されるとともに、第1凹部36の側壁面が囲繞壁部34を構成しているので、この積層ボトル1の構造の簡素化および製造の簡便化を図ることができる。
【0112】
また吸気スリット部31が、第1凹部36の底壁面に形成されているので、外層2の底部部分において吸気スリット部31が形成された部分を、第1凹部36の凹リブ効果により補強することができる。これにより、例えば内層3が減容変形したときに外層2に加えられる外力などにより、吸気スリット部31の開口面積が意図せず拡大するのを抑制することが可能になり、内層3を精度良く減容変形させることができる。
【0113】
また、吸気スリット部31がボトル底部12に形成されているので、吸気スリット部31を隠すことができ、例えばボトル胴部11を全周にわたって平滑面にすること等が可能である。従って、この積層ボトル1の外観性や加飾性の低下を防止できる。
【0114】
また一対の第2凹部37が、吸気スリット部31に平行に延在し、吸気スリット部31を間に挟み込むように吸気スリット部31と並列に配置されているので、外層2の底部部分を第2凹部37の凹リブ効果により補強して吸気スリット部31の開口面積の意図しない拡大を抑えつつ、外層2の底部部分において吸気スリット部31と第2凹部37とを混同させて吸気スリット部31を目立ち難くすることができる。従って、この積層ボトル1の外観性を向上させることが可能になり、この積層ボトル1を、デザイン的に優れたボトルに設計し易くすることができる。
【0115】
また一対の第2凹部37が、吸気スリット部31を間に挟み込んでいるので、例えば
図16に示すように、使用者の指Fがボトル底部12に接触するときに、第2凹部37一つ一つの変形を小さく抑えつつも、外層2のうち、第2凹部37が形成された部分を大きくたわみ変形させることができる。したがって、例えば本実施形態のように、囲繞壁部34が形成されている場合には、指Fが吸気スリット部31に達するのを確実に抑制することができる。
【0116】
また、外層2の底部部分に保持リブ30が形成されていることで、内層3の浮き上がりを効果的に抑制できるので、例えば本実施形態のように、この積層ボトル1に、ボトル底部12付近まで延びる吸い上げパイプ27を有する吐出器20を装着した場合に、吸い上げパイプ27の吸い上げ口を内層3が塞いでしまうことを防止したり、内層3の減容変形を高精度に制御したりすること等ができる。従って、吐出不良や内容物の残量増加等を招いてしまうことを防止することができる。
【0117】
また、保持リブ30および吸気スリット部31がボトル底部12のうち底上げされた陥没凹部12bに形成されているので、保持リブ30をボトル外側に向けて突出するように形成しても、積層ボトル1を安定して載置することができる。また、吸気スリット部31を通じた外気の吸入が阻害され難いうえ、吸気スリット部31を通じて水分や塵埃等が外層2と内層3との間に入り込み難い。
【0118】
また、吸気スリット部31がボトル軸Oを中心としたボトル径方向に沿って形成されているので、積層ボトル1の製造時、吸気スリット部31を外層2に容易に形成し易くなる。しかも吸気スリット部31の延長線L上に、この延長線Lに沿って保持リブ30を形成すればよいので、保持リブ30と吸気スリット部31とを同時に作り込み易い。
【0119】
また、保持リブ30と固着部35とによって、内層3が外層2に、ボトル軸Oを挟んでボトル径方向の反対側に位置する部分を保持されるので、例えば減容変形に伴って内層3をボトル中心付近で平たくきれいに潰すこと等が可能となり、内容物の残量をより一層低減させることができる。
【0120】
また
図10から
図12に示すように、固着部35が、ボトル胴部11に、ボトル軸O方向に延在する帯状をなすように1つ形成されているので、ボトル胴部11において、固着部35が形成された部分を回避したボトル周方向のほぼ全周にわたる広い範囲で、外層2と内層3とを剥離させることができる。したがって、吸気スリット部31から外層2と内層3との間に吸入された外気がボトル胴部11に到達するときに、この外気が、ボトル胴部11におけるボトル周方向の一部分に偏ってしまうのを抑制し、この外気を、ボトル周方向の全周にわたって行き渡らせ易くすることが可能になり、吸気スリット部31からの吸気を円滑なものとすることができる。
【0121】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0122】
前記実施形態では、突出部38、138は、前記一方側部分および前記他方側部分それぞれに、複数ずつ形成されているものとしたが、これに限られない。例えば突出部が、前記一方側部分および前記他方側部分それぞれに、1つずつ形成されていてもよい。
【0123】
また突出部38、138は、吸気スリット部31、131を間に挟み込むように複数配設されているものとしたが、これに限られない。例えば突出部が、前記一方側部分または前記他方側部分の一方のみに配置されていてもよい。
さらに前記実施形態では、突出部38、138は、前記直交方向に直線状に延在しているものとしたが、これに限られない。例えば突出部が、前記直交方向に曲線状に延在していてもよい。
【0124】
さらに前記実施形態では、突出部38、138が、前記直交方向に延在しているものとしたが、突出部は、前記延在方向に交差する交差方向に延在する他の構成に適宜変更してもよい。例えば突出部が、前記延在方向および前記直交方向の両方向に交差する方向に延在していてもよい。この場合、前記一方側部分または前記他方側部分に形成された2つの突出部が、前記平面視においてハの字状に形成されていてもよい。
【0125】
また前記実施形態では、突出部38、138が、全長にわたって前記直交方向に延在しているものとしたが、突出部は、この突出部の少なくとも一部が、前記交差方向に延在する他の構成に適宜変更してもよい。例えば、突出部が周方向に延在する渦巻き状に形成されていてもよい。
【0126】
また前記実施形態では、1つの固着部35、135が、ボトル胴部11、111において、ボトル軸O、O1を挟んで保持リブ30、130とはボトル径方向の反対側に位置する部分に設けられているが、本発明はこれに限られない。例えば固着部が複数あってもよく、固着部の位置が異なっていてもよい。
【0127】
また、ボトル軸方向に延在する帯状に形成された固着部は、ボトル軸方向の全長にわたって連続的に延在していてもよく、間欠的に延在していてもよい。つまり固着部が、ボトル軸方向の全長にわたって一体とされた1つの帯状体により構成されていてもよく、ボトル軸方向の全長にわたって間隔をあけて配置された複数の帯状体片により構成されていてもよい。さらに前記固着部を、ボトル軸方向に延在する複数の細帯状体をボトル周方向に近接させて配置することで構成してもよい。
【0128】
また固着部35、135および第2凹部37、137がなくてもよい。
さらに第1凹部36、136に代えて、外層の底部部分に、吸気スリット部の開口周縁部に全周にわたって配置され、吸気スリット部の周囲を囲繞するようにボトル軸方向に沿う外側に向けて突出する環状の突条部を設けてもよい。つまり、外層の底部部分に、吸気スリット部の開口周縁部に全周にわたって配置され、吸気スリット部の周囲を囲繞するようにボトル軸方向に沿う外側に向けて延在する囲繞壁部が形成された他の構成に適宜変更してもよい。さらにまた囲繞壁部がなくてもよい。
【0129】
また前記実施形態では、保持リブ30、130が、吸気スリット部31、131の延長線L、L1上に、この延長線L、L1に沿って延設されているものとしたが、これに限られない。例えば、保持リブが、前記延長線に交差するように延設されていてもよい。さらに例えば、吸気スリット部を、保持リブと平行に形成してもよい。つまり保持リブは、外層の底部部分において保持リブを回避した位置に形成された他の構成に適宜変更してもよい。さらに保持リブがなくてもよい。
さらに前記実施形態では、保持リブ30、130が、ボトル軸Oを回避した位置に1つのみ設けられているが、本発明はこれに限られず、2つ以上設けられていてもよい。
【0130】
また前記実施形態では、吸気スリット部31、131が、ボトル径方向に沿って延在するものとしたが、これに限られない。例えば吸気スリット部が、ボトル径方向に交差するように延設されていてもよい。
【0131】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。