特許第6249744号(P6249744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249744
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】シート搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20171211BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20171211BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20171211BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B65H5/36
   B65H29/52
   B65H85/00
   G03G15/00 446
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-248448(P2013-248448)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-105176(P2015-105176A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】田上 健一
(72)【発明者】
【氏名】村上 篤史
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04908674(US,A)
【文献】 特開2000−025979(JP,A)
【文献】 特開2009−139448(JP,A)
【文献】 特開平02−123066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36−5/38
B65H 29/52
B65H 83/00−5/00
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、
外側ガイドおよび前記外側ガイドの内側に配置された内側ガイドによって形成され、前記搬送手段によって搬送されるシートをガイドする、湾曲した湾曲搬送路と、
前記内側ガイドがガイドするシート面と同じ側のシート面をガイドし、前記内側ガイドとともに前記湾曲搬送路を形成する湾曲した固定ガイドと、
を有し、
前記内側ガイドが、前記湾曲搬送路を開放するように、前記湾曲搬送路の内側に配置された回動中心を中心として回動であり、
前記内側ガイドは前記湾曲搬送路を開放する際に前記回動中心を中心として回動することによって、前記固定ガイドよりも前記湾曲搬送路の内側に位置することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
シートを搬送する搬送手段と、
外側ガイドおよび前記外側ガイドの内側に配置された内側ガイドによって形成され、前記搬送手段によって搬送されるシートをガイドする、湾曲した湾曲搬送路と、を有し、
前記内側ガイドが、前記湾曲搬送路を開放するように、前記湾曲搬送路の内側に配置された回動中心を中心として前記内側ガイドは搬送方向における上流側に回動し、
開放された前記湾曲搬送路と装置の外部とを連通させるための開口部の縁と、前記内側ガイドの下流側の端と、を結ぶ線よりも、前記搬送方向における下流に前記内側ガイドの回動中心が配置されることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
前記内側ガイドは、前記固定ガイドよりもシート搬送方向下流側に設けられることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記内側ガイドは、
搬送方向と交差するシート幅方向に延び、搬送されるシートをガイドするガイド部と、前記内側ガイドの回動中心を中心として前記内側ガイドを回動自在に支持する回動支持部と、前記ガイド部と、を連結する、前記ガイド部のシート幅方向における両端部に設けられたアームと、
を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記アームのうちの前記シート幅方向の一方の端部に設けられた一方のアームと他方の端部に設けられた他方のアームとの間の距離が、搬送されるシートの前記シート幅方向における寸法よりも長いことを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
シートを案内する位置へ前記内側ガイドを付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
シートに画像を形成する画像形成手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成手段が配置され、上方へ搬送されるシートをガイドする主搬送路と、
前記画像形成手段によって画像が形成され、再度、前記画像形成手段へ向かうために下方に搬送されるシートを、案内する再搬送路と、
を備え、
前記湾曲搬送路は、前記再搬送路の下流側であって、前記主搬送路へシートを案内することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記再搬送路を開放するため開閉されるドアを有することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ドアを開ける動作に伴って前記内側ガイドが回動するように連動させる連動部を有することを特徴とする請求項9の画像形成装置。
【請求項11】
装置本体の下部に配置されたシート給送ユニットから給送されたシートを案内し、前記湾曲搬送路に合流する合流パスを備え、
前記合流パスとの合流点よりも下流側に前記内側ガイドが設けられていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段が配置され、上方へ搬送されるシートをガイドする主搬送路と、
前記画像形成手段によって画像が形成され、再度、前記画像形成手段へ向かうために下方に搬送されるシートを、案内する再搬送路と、
前記再搬送路の下流側に配置され、前記再搬送路によって案内されたシートを前記主搬送路へ案内する湾曲した湾曲搬送路を有し、
前記湾曲搬送路は、搬送されるシートをガイドする外側ガイドおよび内側ガイドによって形成され、
前記内側ガイドがガイドするシート面と同じ側のシート面をガイドし、前記内側ガイドとともに前記湾曲搬送路を形成する湾曲した固定ガイドと、
を有し、
前記内側ガイドが、前記湾曲搬送路を開放するように、前記湾曲搬送路の内側に配置された回動中心を中心として回動であり、
前記内側ガイドは前記湾曲搬送路を開放する際に前記回動中心を中心として回動することによって、前記固定ガイドよりも前記湾曲搬送路の内側に位置することを特徴とするシート画像形成装置。
【請求項13】
装置本体の下部に配置されたシート給送ユニットから給送されたシートを案内し、前記湾曲搬送路に合流する合流パスを備え、
前記合流パスとの合流点よりも下流側に前記内側ガイドが設けられていることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像が形成されるシートを搬送するシート搬送装置には、装置を小型化するために湾曲した湾曲搬送路を備えたものがある。
【0003】
例えば、主搬送路において略鉛直上方へシートを搬送しながら画像形成手段によりシートの第1面に画像を形成する。第1面に画像が形成されたシートに再度画像を形成するために、下方へシートを搬送する再搬送路を経由させて再度主搬送路にシートを搬送させ、さらに画像形成手段に送られてシートの第2面に画像を形成する。この再搬送路と主搬送路とが湾曲した湾曲搬送路によって接続される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−90170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ジャム(搬送路内でのシートの詰まり)が発生したときには装置内に滞留したシートを取り除く必要がある。上記構成で、湾曲した搬送路で、特に湾曲した搬送路における奥まった箇所で、滞留してしまったシートを、取り除くことは難しかった。つまりジャム処理性が低かった。そこで、ジャム処理性をあげるために、湾曲した搬送路を大きく開放しようとすると、搬送ガイドを退避させるためのスペースが必要になって、装置が大型化してしまう懸念があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシート搬送装置は、シートを搬送する搬送手段と、外側ガイドおよび前記外側ガイドの内側に配置された内側ガイドによって形成され、前記搬送手段によって搬送されるシートをガイドする、湾曲した湾曲搬送路と、前記内側ガイドがガイドするシート面と同じ側のシート面をガイドし、前記内側ガイドとともに前記湾曲搬送路を形成する湾曲した固定ガイドと、を有し、前記内側ガイドが、前記湾曲搬送路を開放するように、前記湾曲搬送路の内側に配置された回動中心を中心として回動であり、前記内側ガイドは前記湾曲搬送路を開放する際に前記回動中心を中心として回動することによって、前記固定ガイドよりも前記湾曲搬送路の内側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、湾曲搬送路の内側ガイドが湾曲搬送路の内側の回動中心として回動する。したがって、ジャム処理性が高い小型な装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るシート搬送装置の一例であるカラーレーザービームプリンターの概略構成を示す断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るシート搬送装置において、ドアを開いた状態を説明する概略図である。
図3図2におけるオプション搬送路付近の拡大図である。
図4】可動ガイドの斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態の変形例を説明するための図である。
図6】本発明の第1実施形態の変形例を説明するための図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置において、ドアを開いた状態を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置(シート搬送装置)を説明する。以下、画像形成装置の全体的構成及び機能について説明する。画像形成装置は、後述するプリンタ部とシート給送装置とを備えている。
【0010】
プリンタ部100(画像形成装置の本体)には、シートSにトナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像を加熱してシートにトナー像を定着する定着手段と、が設けられている。
【0011】
トナー像形成手段は、レーザスキャナ1、感光ドラム2a,2b,2c,2d(以下、感光ドラム2ともいう)、現像ローラ5a,5b,5c,5d(以下、現像ローラ5ともいう)、中間転写ベルト8等から構成される。定着手段は、可撓性のスリーブ26、スリーブ26に圧接する加圧ローラ25等から構成される。トナー像形成手段と定着手段とによってシートに画像を形成する画像形成手段が構成される。
【0012】
画像形成装置には、2つのシート給送装置が設けられている。第1のシート給送部はプリンタ部100内部に設けられた本体シート給送部20である。第2のシート給送部はプリンタ部100の下部に設けられた、シート給送ユニットとしてのオプション給送装置90である。
【0013】
本体シート給送部20は、シートSを収納する給送カセット21、シートSを給送するピックアップローラ22と、給送搬送するフィードローラ23、給送分離手段である分離ローラ24を有する。給送カセット21に収納されたシートSは、ピックアップローラ22でフィードローラ23および分離ローラ24のニップ部へ給送され、フィードローラ23に圧接され。分離ローラ24によって一枚ずつ分離され搬送される。そして、分離されたシートSは、レジストローラ対13、14へ搬送される。
【0014】
オプション給送装置90は、オプション給送カセット91、ピックアップローラ92、フィードローラ93、分離ローラ94を備える。本体シート給送部20と同様にピックアップローラ92、フィードローラ93、分離ローラ94の協働により積載されたシート束から一枚ずつにシートを分離し、分離したシートを搬送する。搬送されたシートは、オプション搬送ローラ対96、97を経て、プリンタ部100内に搬送される。
【0015】
98は、プリンタ部100に設けられたオプション搬送路を示している。オプション給送装置90より給送されて来たシートSは、オプション搬送路98を経て、レジストローラ対13、14へ搬送される。
【0016】
給送されたシートSはレジストローラ対13,14のニップ部を経て、2次転写ローラ10と2次転写対向ローラ15のニップ部へ送られる。
【0017】
感光ドラム2は図中反時計方向に回転しており、その外周面には、レーザスキャナ1からのレーザ光により静電潜像が順次形成され、続いてその静電潜像が現像ローラ5で現像され、トナー像が形成される。感光ドラム2に形成されたトナー像は、中間転写ベルト8に転写される。カラー画像を形成する場合は、各感光ドラム2にイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色が現像され、それぞれに形成されたトナー像が、中間転写ベルト8に転写される。中間転写ベルト8は、駆動ローラとしての役割を合わせ持つ2次転写対向ローラ15、アイドラローラ9、アイドラローラ11、テンション張架ローラ7によって張架されており、図中時計方向に回転される。
【0018】
中間転写ベルト8に形成されたトナー像は、2次転写ローラ10と2次転写対向ローラ15とのニップ部に送られたシートSに転写される。
【0019】
トナー像が転写されたシートSは、主搬送路101によって案内されて、上方へ搬送される。そして、シートは定着手段のスリーブ26と加圧ローラ25との定着ニップ部へ送られ、ここで加熱・加圧されながら搬送されることで、トナー像がシートPに定着される。このように、画像形成装置は、シートSにトナー像形成手段でトナー像を形成し、トナー像が形成されたシートSが定着手段を通過することで、シートSに画像形成を行う。
【0020】
シートSの片面にだけ画像形成を行う片面印刷の場合には、画像形成手段でトナー像が定着されたシートSは、排出ローラ対27,28により、排出トレイ31に排出される。
【0021】
両面印刷を行う場合には、第1面にトナー像が定着されたシートSは、一点鎖線の位置した排出フラッパ41によって両面反転ローラ対43,44に導かれる。シートSの後端が所定の反転位置に達すると、両面反転ローラ対43、44が反転回転を始める。そして、シートは、点線矢印に沿ってシートを案内する両面搬送路102内を搬送される。
【0022】
両面反転ローラ対43,44の反転回転で、再搬送路としての両面搬送路102に搬送されたシートSは、シートを搬送する搬送手段としての両面搬送ローラ対47,48、再給送ローラ対49,50によって下流側へ搬送される。
【0023】
両面搬送路102の下流側には、湾曲した湾曲搬送路120が配置されている。湾曲搬送路120は、両面搬送路102によって案内されたシートを主搬送路101へ案内する。つまり、両面搬送ローラ対47、48や再給送ローラ対49,50で搬送されるシートは、両面搬送路102と湾曲搬送路120によって案内されることで、再度、レジストローラ対13,14のニップ部に到達する。レジストローラ対13,14のニップ部によって、2次転写ローラ10と2次転写対向ローラ15とのニップ部へ送られ、第2面(裏面)にトナー像が転写される。
【0024】
第2面にもトナー像が転写されたシートSは、定着ニップ部へ送られ、加熱・加圧されてトナー像が定着される。第2面のトナー像が定着されたシートSは、排出ローラ対27、28により、排出トレイ31に排出される。
【0025】
次に、ジャムが発生した場合に、搬送路内で搬送されているシートは停止させられて滞留し、ユーザが各搬送路内で滞留したシートを処理する必要がある。このジャム発生時に滞留したシートを取り除くための構成および動作について説明する。
【0026】
ジャムが発生した場合には、図2に示すようにドア60をユーザが開いて各搬送路を開放することで、滞留したシートが取り出し可能となる。
【0027】
ジャム処理時にユーザ等により開閉されるドア60は、回動軸60aを中心としてプリンタ部100に回動自在に保持されている。
【0028】
ドア60には、両面搬送路102を形成する一方の搬送ガイドである両面外側ガイド103が設けられている。両面搬送路102を形成する他方の搬送ガイドとして、搬送方向の上流側から順に第1両面内側ガイド104、第2両面内側ガイド105、第3両面内側ガイド106、第4両面内側ガイド107が配置されている。
【0029】
第1両面内側ガイド104および第3両面内側ガイド106は、プリンタ部(装置本体)100に設けられている。第2両面内側ガイド105および第4両面内側ガイド107は、ドア60に設けられている。第2両面内側ガイド105には、両面搬送ローラ対47,48の一方のローラ48が設けられている。なお、第4両面内側ガイド106は、主搬送路101を形成する転写ガイドユニット108に設けられる。
【0030】
転写ガイドユニット108は、主搬送路101を形成する本体部108aと、本体部108aに設けられた2次転写ローラ10と、連結板108bと、によって構成される。転写ガイドユニット108は、回動軸108cを中心として回動自在である。連結板108bは、搬送方向と交差するシート幅方向における両側に配置され、上下方向に延びていて、回動軸108cと本体部108aとを連結している。
【0031】
なおレジストローラ対13、14および再給送ローラ対49、50は、同一の本体フレームに取り付けられているため、ドア60を開いたとき、それらのニップは解除されない。したがって、再給送ローラ対49、50やレジストローラ対13、14におけるアライメントの確保が容易となる。また、ドア60を閉じる時にレジストローラ対13、14や再給送ローラ対49,50のニップ圧に抗するようにユーザがドア60を操作する必要がないので、操作性がよい。レジストローラ対13、14およびオプション搬送ローラ対96、97は、図示しないラチェット機構により下流側に回転させる場合は駆動が切れる構成となっている。また、再給送ローラ対49、50は、駆動列上に電磁クラッチが組み込まれているので、ジャム処理時にはローラ対の駆動は切れる。したがって、ジャム処理時に、各ローラ対に挟持されたシートを各ローラ対から引き抜きくことが容易にできる。
【0032】
再給送ローラ対49、50からレジストローラ対13、14へは湾曲搬送路120によってシートSは案内される。湾曲搬送路120は、固定された外側ガイド121a、121bと、湾曲搬送路120の内側の搬送ガイドを構成する、固定ガイド122および可動ガイド51によって形成される。可動ガイド51は、固定ガイド122よりも搬送方向における下流側に設けられている。可動ガイド51が案内するシートのシート面と、固定ガイド122が案内するシート面は同じ面である。ここで、湾曲搬送路の内側とは、湾曲搬送路120に沿った曲線の曲率中心側であり、外側とは、曲率中心とは反対側である。既述のように、湾曲搬送路120に、合流パスとしてのオプション搬送路98が合流点99で合流する。
【0033】
湾曲搬送路120の内側の搬送ガイドを構成する可動ガイド(内側ガイド)51は、回動可能に配置されている。可動ガイド51の回動中心52は、湾曲搬送路120の内側に設けられている。可動ガイド51は図3において回動中心52を中心として反時計回りに、付勢部材55(捩じりコイルバネ)によって付勢されており、図3(a)の位置で止まるようにストッパが設けられている。ストッパによって停止された図3(a)の位置で可動ガイド51は搬送されるシートをガイドする。
【0034】
可動ガイド51は、図4の斜視図で示したように、シートの搬送方向と交差するシート幅方向に延び、搬送されるシートをガイドするガイド部124を有する。可動ガイド51は、ガイド部124のシート幅方向における両端部に設けられ、ガイド部124に対して垂直方向に延設された一対のアーム123を有する。可動ガイド51が回動中心52を中心として回動するとガイド部124が搬送方向に沿って移動するように構成されている。
【0035】
アーム123の端には、可動ガイド51を回動自在に支持する回動支持部としての孔59が設けられている。この孔59には、孔59と共に回動支持部を構成する、プリンタ部100に配置されたボス(不図示)が挿入される。そして、孔59とボスによって可動ガイド51が回動中心52と中心として回動自在である。このように、アーム123は、ガイド部124と回動支持部(孔59、プリンタ部のボス)とを連結している。
【0036】
シート幅方向における一方の端部に設けられたアーム123と他方の端部に設けられたアーム123との間の距離は、搬送されるシート(最もサイズの大きなシート)の幅方向における寸法よりも長く設定されている。
【0037】
次に、ジャム処理に係る動作について以下で説明する。
【0038】
両面搬送路102で滞留したシートは、図2に示すようにドア60を開くことで取り除かれる。
【0039】
主搬送路101で滞留したシートは、ドア60を開いた後に、転写ガイドユニット108を反時計回りの方向に回動させることで取り除かれる。
【0040】
オプション搬送路98を経てきたシートが湾曲搬送路120で滞留した場合には、以下のようにしてこのシートが取り除かれる。即ち、まず、ユーザはドア60を開く。続いて、ユーザは可動ガイド51を時計回りに回動させ、シートの先端を引き出して、図3(b)の矢印方向に引き抜いて、滞留したシートを除去する。可動ガイド51を時計回りに回動させると、図3(b)に示したように、可動ガイド51が固定ガイド122よりも内側(回動中心52)に位置するように構成されている。シートを除去した後、可動ガイド51は、付勢手段としての付勢部材55により、シートをガイドするための位置である図3(a)の位置に復帰する。
【0041】
本実施形態では、ガイド部124が搬送方向に沿って動いて湾曲搬送路120を開放するように、湾曲搬送路120の内側に設けた回動中心52を中心として内側ガイドとしての可動ガイド51が回動する。したがって、湾曲搬送路120内を露出させるために可動ガイド51を退避させるスペースとして湾曲搬送路120の内側のスペースを利用できている。よって、湾曲搬送路120に開放するために可動ガイド51を移動させるための別途のスペースが少なくて済むので、装置が小型化できる。
【0042】
上述のように可動ガイド51の一対のアーム123(図3参照)間の距離が、搬送されるシート(最もサイズの大きなシート)の幅方向における寸法よりも長く設定されている。したがって、図3(b)のように湾曲搬送路120のシートを取り除くシャム処理の際、アーム123が邪魔になることが少ない。
【0043】
次に、湾曲搬送路120内のシートを取り除く際の、ジャム処理用の開口部(取り出し開口)に関しての変形例について図5および図6を用いて説明する。
【0044】
この変形例では、湾曲搬送路120の内側に、上下に延びたカバー53が配置されている。カバー53の下端と固定ガイド122との間が、ジャム処理用の開口部130(取り出し開口)となっている。可動ガイド51の回動で内部が露出される湾曲搬送路120と装置の外部とが、開口部130によって連通される。図6に示すように可動ガイド51の回動中心52は、カバー53の下端部53a(開口部130の縁)と可動ガイド51の下流側の先端56を結んだ直線よりも搬送方向の下流側(開口部130とは反対側)に設けられる。
【0045】
以上の構成によって、図5に示すように、滞留したシートを引き抜く方向は内側ガイドの回動中心52と可動ガイド51の先端56を結んだ線よりも本体上方向(斜線部)には引けないように開口部130が設定される。言い換えると、可動ガイド51は、引き抜かれるシートから開き方向(時計回り)の力しか受けない。これにより可動ガイド51にシートがひっかかりにくくなり、ジャム処理性が向上する。また引き抜かれるシートの力で可動ガイド51が反時計回りに回されてロックして壊してしまう虞が少ないので、例えば可動ガイド51の強度を低くできてコストが下げられる。
【0046】
(第2実施形態)
第2実施形態について図7を用いて詳しく説明する。なお、第1実施形態と同様の構成、機能を有するものは同一符号で示し、その説明を省略する。
【0047】
第2実施形態での第1実施形態との相違点は、ドア60と連動して、可動ガイド51が回動するという点である。
【0048】
ドア60と可動ガイド51は、連動部としてのリンク部材54でつながれている。つまりリンク部材54の一端がドア60に回動自在に取りけられ、リンク部材54の他端が可動ガイド51に回動自在に取り付けられている。そして、ユーザがドア60を開くと、リンク部材54によって可動ガイド51が連動して湾曲搬送路120を開放する開放位置に移動する。可動ガイド51の回動中心52や開放した際の回動角度は第1実施形態と同じであり、第1実施形態と同様に省スペースな装置にできている。
【0049】
ドア60と可動ガイド51が連動することにより、ワンアクションでオプション搬送路98から来て湾曲搬送路120で滞留したシートが露出される。したがって、滞留したシートの視認性が向上する。
【0050】
滞留したシートを処理した後、ユーザがドア60を閉じると、可動ガイド51はリンク部材54によって連動し、搬送されるシートを案内するための元の位置に復帰する。
【0051】
上述のいずれの実施形態においても、可動ガイド51を開放することで取り除くシートが、オプション搬送路98からきたシートであることを例示して説明した。しかしながら、本発明は、湾曲した搬送路でのジャム処理であればオプション搬送路98からきたシートの除去に限らない。例えば、両面搬送路102を経てきて湾曲搬送路120で滞留したシートを取り除くために可動ガイド51を退避させる装置構成であってもよい。
【0052】
本実施形態では画像形成装置の例としてフルカラーレーザプリンタの説明をしたが、これに限らずモノクロレーザプリンタなどの他の画像形成装置においても同様の効果が得られることは勿論である。また、画像形成手段として電子写真方式の画像形成手段を例示したが、例えばインクジェット方式の画像形成手段を備えた装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0053】
51 可動ガイド(内側ガイド)
122a、122b 外側ガイド
52 回転中心
60 ドア(ドア)
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7