特許第6249745号(P6249745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249745
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】定量吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20171211BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20171211BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B65D83/00 K
   B65D47/34 110
   B05B11/00 101B
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-248624(P2013-248624)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-105128(P2015-105128A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−095442(JP,A)
【文献】 再公表特許第2006/126366(JP,A1)
【文献】 実開昭62−075864(JP,U)
【文献】 特開2011−005447(JP,A)
【文献】 特開2010−274994(JP,A)
【文献】 実開昭59−031459(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B05B 11/00
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ部と、
前記シリンダ部の内周面に沿ってシリンダ軸方向に摺動可能なピストン部と、
前記ピストン部を操作するピストン操作部と、
前記シリンダ部内の液室に連通された管状の吸込み部と、
前記吸込み部の内側に配設され、前記ピストン部の引戻し動作に連動して開けられる開閉可能な吸込み弁と、
前記シリンダ部の側方に向かって突出していると共に、前記シリンダ部に直結されて前記液室に連通された筒状のノズル部と、
前記ノズル部の内側に配設され、前記ピストン部の押込み動作に連動して開けられる開閉可能な吐出弁と、
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、且つ内側に前記吸込み部が配設された装着筒部と、を備え、
前記ノズル部は、
前記シリンダ部に接続されたノズル本体と、
先端開口が吐出孔とされ、前記ノズル本体に該ノズル本体の軸方向に沿って進退自在に装着された補助ノズルと、を備え
前記吐出孔は、前記ノズル本体に対して前記補助ノズルを最前進位置に移動させたときに、前記容器本体の胴部の外面よりも径方向の外側に離れた位置に配置され、且つ前記ノズル本体に対して前記補助ノズルを最後退位置に移動させたときに、前記容器本体の胴部の外面と面一、又は前記容器本体の胴部の外面よりも径方向の内側に位置するように配置されることを特徴とする定量吐出器。
【請求項2】
請求項1に記載の定量吐出器において、
前記補助ノズルには、前記ノズル本体に対して後退したときに、前記ノズル本体の先端開口を閉塞する栓体が設けられていることを特徴とする定量吐出器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の定量吐出器において、
前記ノズル部は、前記シリンダ部及び前記装着筒部に対して一体に直結され、
前記吐出弁は、前記液室と前記吐出孔との連通、及びその遮断を切り替え可能に形成され、
前記吐出弁には、前記ノズル部内と前記装着筒部内とを連通する導入孔が形成されていることを特徴とする定量吐出器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の定量吐出器において、
前記ピストン操作部は、
前記シリンダ部に被着された中蓋と、
前記中蓋を覆うと共に、前記中蓋及び前記シリンダ部に対して相対的に前記シリンダ軸方向に押下げ可能とされた押下ヘッドと、を備え、
前記押下ヘッドは、前記中蓋及び前記シリンダ部に対して前記シリンダ軸回りに回転自在とされた状態で、前記ピストン部に対して前記シリンダ軸回りに回転自在に接続され、
前記押下ヘッドには、前記押下ヘッドの押下げ時に、前記中蓋に設けられた規制部に対して前記シリンダ軸に沿って当接する複数のストッパ部が設けられ、
複数の前記ストッパ部は、前記シリンダ軸回りを周回する周方向に沿って配置されると共に、前記シリンダ軸回りの前記押下ヘッドの回転に伴って、いずれかの前記ストッパ部が前記規制部に対して前記シリンダ軸方向に対向するように配置され、
複数の前記ストッパ部は、前記規制部側の先端部の位置が前記シリンダ軸方向に互いに異なっていることを特徴とする定量吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量吐出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、定量吐出器として、下記特許文献1に示されるように、シリンダ部と、シリンダ部の内周面に沿ってシリンダ軸方向に摺動可能なピストン部と、ピストン部を操作するピストン操作部と、シリンダ部内の液室に連通された管状の吸込み部と、吸込み部の内側に配設され、ピストン部の引戻し動作に連動して開けられる開閉可能な吸込み弁と、シリンダ部の側方に向かって突出していると共にシリンダ部に直結されて液室に連通された筒状のノズル部と、ノズル部の内側に配設され、ピストン部の押込み動作に連動して開けられる開閉可能な吐出弁と、を備えるものが知られている。
【0003】
上記定量吐出器によれば、ピストン操作部を操作してピストン部を押し込むことで、シリンダ部内の液室に貯留された内容物を、吐出弁及びノズル部を通じて外部に吐出することができる。その後、ピストン部が引き戻されることで、吸込み弁及び吸込み部を通じて内容物をシリンダ部内の液室に吸い込んで貯留することができる。これにより、液室内に決まった量の内容物を貯留でき、次のピストン部の押し込みによって定量の内容物を吐出することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−95442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の定量吐出器では、内容物を吐出するためのノズル部がシリンダ部の側方に向かって延びるように形成されていると共に、その先端部は下向きに屈曲されて、吐出口が下方に開口している。これにより、定量吐出器が装着される容器本体から離れた位置で内容物を吐出することができ、良好な吐出操作を行うことが可能とされている。
しかしながら、その反面、予め決められた長さでノズル部が形成されているので、容器本体に定量吐出器が装着された容器全体が径方向に嵩張ってしまい、収納性が低下する課題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、吐出操作性を低下させることなく、収納性を向上することができる定量吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る定量吐出器は、シリンダ部と、前記シリンダ部の内周面に沿ってシリンダ軸方向に摺動可能なピストン部と、前記ピストン部を操作するピストン操作部と、前記シリンダ部内の液室に連通された管状の吸込み部と、前記吸込み部の内側に配設され、前記ピストン部の引戻し動作に連動して開けられる開閉可能な吸込み弁と、前記シリンダ部の側方に向かって突出していると共に、前記シリンダ部に直結されて前記液室に連通された筒状のノズル部と、前記ノズル部の内側に配設され、前記ピストン部の押込み動作に連動して開けられる開閉可能な吐出弁と、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、且つ内側に前記吸込み部が配設された装着筒部と、を備え、前記ノズル部は、前記シリンダ部に接続されたノズル本体と、先端開口が吐出孔とされ、前記ノズル本体に該ノズル本体の軸方向に沿って進退自在に装着された補助ノズルと、を備え、前記吐出孔は、前記ノズル本体に対して前記補助ノズルを最前進位置に移動させたときに、前記容器本体の胴部の外面よりも径方向の外側に離れた位置に配置され、且つ前記ノズル本体に対して前記補助ノズルを最後退位置に移動させたときに、前記容器本体の胴部の外面と面一、又は前記容器本体の胴部の外面よりも径方向の内側に位置するように配置されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る定量吐出器によれば、シリンダ部内の液室に内容物が貯留された状態で、ピストン操作部を操作してピストン部を押し込むと、吐出弁が開いて液室内の内容物がノズル部の内側を通って外部に吐出される。そして、ピストン部の押込み動作を停止すると、吐出弁が閉じて内容物の吐出が停止する。その後、ピストン部が引き戻されると、吸込み弁が開き、吸込み部の内側を通って内容物がシリンダ部内の液室に流入する。そして、ピストン部の引戻し動作を停止すると、吸込み弁が閉じて液室内への内容物の流入が停止する。これにより、液室内に決まった量の内容物を貯留でき、次のピストン部の押し込みによって、定量の内容物を吐出することができる。
【0009】
特に、内容物を吐出する際、補助ノズルをノズル本体に対して前進させることで、補助ノズルの吐出孔をノズル本体の先端開口よりも容器本体から離れた位置に配置することができる。従って、容器本体から離れた位置で内容物を吐出することができ、良好な吐出操作を行うことができる。
その一方、保管時や流通時等、内容物を吐出しない待機状況下では、補助ノズルをノズル本体に対して後退させることでノズル部の全長を短くすることができる。従って、容器本体に定量吐出器が装着された容器全体が径方向に嵩張ってしまうことを抑制でき、収納性を向上することができる。
【0010】
(2)上記本発明に係る定量吐出器において、前記補助ノズルには、前記ノズル本体に対して後退したときに、前記ノズル本体の先端開口を閉塞する栓体が設けられていても良い。
【0011】
この場合には、上述した待機状況下において、栓体を利用してノズル本体の先端開口を閉塞できるので、シリンダ部の液室に連通しているノズル本体の内部を密封することができる。従って、ノズル本体内を清浄に保つことができ、内容物の品質を維持した状態で該内容物の吐出を行える。
【0012】
(3)上記本発明に係る定量吐出器において、前記ノズル部は、前記シリンダ部及び前記装着筒部に対して一体に直結され、前記吐出弁は、前記液室と前記吐出孔との連通、及びその遮断を切り替え可能に形成され、前記吐出弁には、前記ノズル部内と前記装着筒部内とを連通する導入孔が形成されていても良い。
この場合には、ピストン部が引き戻される際、吸込み部の内側を通って内容物がシリンダ部内の液室に流入すると共に、吐出孔を通じて外気がノズル部内に入り込み、さらに導入孔を通じて装着筒部内に入り込む。従って、外気を容器本体内に供給することができ、容器本体の内部が負圧になることを防止できる。また、導入孔がノズル部内に配置された吐出弁に形成されているので、導入孔を外部から見え難くすることができ、導入孔が外部から視認できることによるデザイン性の低下を防止できる。
さらに、補助ノズルに栓体が設けられている場合には、上述した待機状況下において、導入孔を通じて容器本体内に外気が進入することを抑制できるので、内容物の品質を維持し易い。
【0013】
(4)上記本発明に係る定量吐出器において、前記ピストン操作部は、前記シリンダ部に被着された中蓋と、前記中蓋を覆うと共に、前記中蓋及び前記シリンダ部に対して相対的に前記シリンダ軸方向に押下げ可能とされた押下ヘッドと、を備え、前記押下ヘッドは、前記中蓋及び前記シリンダ部に対して前記シリンダ軸回りに回転自在とされた状態で、前記ピストン部に対して前記シリンダ軸回りに回転自在に接続され、前記押下ヘッドには、前記押下ヘッドの押下げ時に、前記中蓋に設けられた規制部に対して前記シリンダ軸に沿って当接する複数のストッパ部が設けられ、複数の前記ストッパ部は、前記シリンダ軸回りを周回する周方向に沿って配置されると共に、前記シリンダ軸回りの前記押下ヘッドの回転に伴って、いずれかの前記ストッパ部が前記規制部に対して前記シリンダ軸方向に対向するように配置され、複数の前記ストッパ部は、前記規制部側の先端部の位置が前記シリンダ軸方向に互いに異なっていても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る定量吐出器によれば、吐出操作性を低下させることなく、収納性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る定量吐出器の実施形態を示す縦断面図である。
図2図1に示すピストン操作部周辺を拡大した縦断面図である。
図3図1に示す定量吐出器の側面図であって、押下ヘッドの窓孔を通じて中蓋に設けられた操作片を露出させた状態における側面図である。
図4図2に示すA−A線に沿った断面図であって、規制部とストッパ部との関係を示す図である。
図5図2に示すB−B線に沿った断面図である。
図6図1に示す状態から、補助ノズルをノズル本体に対して後退させた状態を示す縦断面図である。
図7図1に示す補助ノズルの側面図である。
図8図6に示すC−C線に沿った断面図である。
図9図1に示す状態から、押下ヘッドを押し下げ操作した状態を示す縦断面図である。
図10図9に示す状態から、押下ヘッドが引き戻されている状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る定量吐出器の実施形態について、図面に基づいて説明する。
<定量吐出器の構成>
図1に示すように、定量吐出器1は、容器本体10の口部11に装着される装着キャップ2と、装着キャップ2に連結されたシリンダ部3と、シリンダ部3内に摺動可能に配設されたピストン部4と、このピストン部4を操作するピストン操作部5と、シリンダ部3内の液室32に連通された管状の吸込み部6と、吸込み部6の内側に配設された吸込み弁7と、シリンダ部3の側方に向かって突出すると共にシリンダ部3に直結されてシリンダ部3内の液室32に連通された筒状のノズル部8と、ノズル部8の内側に配設された吐出弁9と、を備えている。
【0017】
以下、シリンダ部3の横断面がなす円形状の中央を通るシリンダ軸Oに沿って、ピストン操作部5側を上側、その反対側を下側という。また、シリンダ軸O回りに周回する方向を周方向といい、シリンダ軸O方向から見た平面視において、シリンダ軸Oに直交する方向を径方向という。
【0018】
(容器本体)
容器本体10は、例えばガラス瓶、ペットボトルや合成樹脂製ボトル等であり、内部に図示しない内容物が収容される。容器本体10の口部11の外周面には、雄ねじ12が形成されている。
【0019】
(装着キャップ)
装着キャップ2は、円筒形状に形成され、シリンダ軸Oと同軸に配設されている。装着キャップ2の内周面には、口部11の雄ねじ12に螺合される雌ねじ20が形成されている。
【0020】
(シリンダ部)
シリンダ部3は、有底筒状に形成され、その内側に容器本体10内の内容物を貯留する液室32が形成されると共に、容器本体10の上方に配置されている。
シリンダ部3には、装着キャップ2に接続され、口部11に装着される装着筒部30が設けられている。装着筒部30は、シリンダ部3の底壁部31から下方に向けて延在し、シリンダ軸Oと同軸に配置されている。装着筒部30の下端部は、装着キャップ2の上端部内にアンダーカット嵌合されている。装着筒部30には、口部11の上端開口縁上に配置される支持フランジ部30aが形成されている。
【0021】
シリンダ部3の外周面には、被係止部34が径方向の外側に向けて突設されている。被係止部34は、上方から下方に向かうに従い漸次径方向の外側に向けた突出量が大きくなるように形成されている。
なお、被係止部34は、シリンダ部3の外周面において、シリンダ軸Oを径方向に挟んで互いに反対となる位置に各別に形成されている。但し、被係止部34の数は2つに限定されるものではない。
【0022】
(ピストン部)
ピストン部4は、シリンダ部3内に配設されて上記液室32を画成している。
このピストン部4は、図1及び図2に示すように、シリンダ軸Oに直交する底壁部40と、底壁部40の外縁から上方に向けて延びる周壁部41と、周壁部41を径方向の外側から囲繞し、且つシリンダ部3内に摺動自在に嵌合された筒状の摺接部43と、を備えている。
【0023】
底壁部40は、シリンダ部3の底壁部31の上方に間隔をあけて対向配置されている。この底壁部40とシリンダ部3の底壁部31との間に画成される空間が、上記液室32とされている。
摺接部43の上端部と周壁部41の上端部とは連結されている。摺接部43は、上方から下方に向かうに従い漸次拡径するように形成されており、シリンダ部3の内周面に全周に亘って気密に摺動自在に当接している。
底壁部40における径方向の中央部には、上方に向けて連結筒部44が立設されている。この連結筒部44は、シリンダ部3よりも上方に突出するように形成されている。
【0024】
(ピストン操作部)
ピストン操作部5は、シリンダ部3の上端部に被着された中蓋50と、中蓋50を覆うと共に、中蓋50及びシリンダ部3に対して相対的にシリンダ軸O方向に沿って押し下げ可能に中蓋50に装着された押下ヘッド51と、押下ヘッド51を中蓋50に対して上方に付勢するコイルスプリング(付勢手段)52と、を備えている。
【0025】
中蓋50は、シリンダ軸Oと同軸に配設された円環状の天壁部50aと、天壁部50aの外縁から下方に向けて突設された外筒部50bと、天壁部50aの内縁から下方に向けて突設された内筒部50cと、内筒部50cの下端部から径方向の内側に向けて突設された円環状の底壁部50dと、底壁部50dの内縁から上方に向けて突設されたガイド筒部50eと、を備えている。
【0026】
中蓋50は、天壁部50aがシリンダ部3の上端開口縁上に載置された状態で、外筒部50bがシリンダ部3の上端部に外装されることで、シリンダ部3の上端部に被着されている。なお、内筒部50c、底壁部50d及びガイド筒部50eは、シリンダ部3内に配設されている。
底壁部50dには、ピストン部4の底壁部40の上面が係止される支持突起53が下方に向けて突設されている。これにより、押下ヘッド51及びピストン部4のこれ以上の上昇が規制されている。底壁部50dの上面は、コイルスプリング52の下端部を保持している。
【0027】
上述したように構成された中蓋50には、図2及び図3に示すように、シリンダ部3に対して弾性変位可能に支持された操作片55が設けられている。
この操作片55は、シリンダ部3の被係止部34に係止され、シリンダ部3に対する中蓋50の移動を規制する係止孔(係止部)55aと、係止孔55aと被係止部34との係止が解除されるように、操作片55を弾性変位させる操作ボタン(操作部)55bと、を備えている。
【0028】
上記操作片55について詳細に説明する。
中蓋50の外筒部50bのうち、シリンダ部3に形成された被係止部34に対して径方向に対向する部分には、径方向から見た側面視で四角状の開口部56が形成されている。操作片55は、この開口部56の内側に配置されている。従って、操作片55は被係止部34に対応して2つ設けられている。また、操作片55と開口部56とはヒンジ軸57を介して周方向に接続されている。これにより、操作片55はヒンジ軸57を中心として径方向に揺動するように弾性変位可能とされている。
【0029】
そして、操作片55のうち上記ヒンジ軸57よりも下方に位置する部分に上記係止孔55aが形成され、ヒンジ軸57よりも上方に位置する部分が操作ボタン55bとされている。
従って、操作ボタン55bを径方向の内側に向けて押圧することで、ヒンジ軸57を中心に操作片55を弾性変位させて、係止孔55aを径方向の外側に向けて移動させることが可能とされる。
これにより、係止孔55aを被係止部34から離脱させることができ、両者の係止を解除することが可能とされている。
【0030】
図1及び図2に示すように、押下ヘッド51は、シリンダ軸Oに直交するように形成されると共に中蓋50の上方に配置された天壁部51aと、天壁部51aの外縁から下方に向けて突設されると共にシリンダ軸Oと同軸に配設された周壁部51bと、天壁部51aにおける径方向の中央部に配設されると共に、ピストン部4における連結筒部44内に嵌合される内装着筒部51cと、連結筒部44に外嵌される外装着筒部51eと、天壁部51aにおいて周壁部51bと外装着筒部51eとの間に位置する部分から下方に向けて突設されたスプリング保持部51dと、を備えている。
【0031】
そして、この押下ヘッド51は、中蓋50及びシリンダ部3に対してシリンダ軸O回りに回転自在とされた状態で、中蓋50及びシリンダ部3に対して組み合わされている。よって、押下ヘッド51における内装着筒部51c及び外装着筒部51eは、ピストン部4における連結筒部44に対してシリンダ軸O回りに相対的に回転自在に接続されている。
また、周壁部51bは、中蓋50の外筒部50bを径方向の外側から囲んでいる。これにより、押下ヘッド51は、中蓋50及びシリンダ部3を上方から覆うと共に径方向の外側からも覆っている。
【0032】
スプリング保持部51dは、中蓋50の底壁部50dに上方から対向しており、コイルスプリング52の上端部を保持している。これにより、コイルスプリング52は、中蓋50と押下ヘッド51との間に介装されている。
【0033】
図3に示すように、押下ヘッド51の周壁部51bには、中蓋50に設けられた操作片55を外部に露出させる窓孔51fが形成されている。この窓孔51fは、下方に開口するように形成されている共に、シリンダ軸Oを挟んで径方向に向かい合うように配置されている(図5参照)。
よって、必要に応じて押下ヘッド51をシリンダ軸O回りに回転させることで、窓孔51fを通じて操作片55を外部に露出させることが可能とされている。
【0034】
上述したように構成された押下ヘッド51は、図2及び図4に示すように、中蓋50に設けられた規制部58と、押下ヘッド51に設けられた複数のストッパ部59A、59B、59C、59D(以下、ストッパ部59A〜59Dと称する場合がある)とによって、押下げのストローク量が変更可能な構成とされている。
詳細に説明する。
上記規制部58は、中蓋50における内筒部50cの内周面から径方向の内側に突出し、且つシリンダ軸O方向に沿って延在するように形成されている。なお、図示の例では、規制部58は、3つの縦リブが周方向に間隔をあけて並んだ構成とされている。但し、規制部58の形状はこの場合に限定されるものではない。
【0035】
また、規制部58は、シリンダ軸Oを挟んで径方向に向かい合うように形成されている。この際、規制部58は、中蓋50の外筒部50bに設けられた操作片55に対して径方向の内側に位置するように形成されている。
【0036】
複数のストッパ部59A〜59Dは、押下ヘッド51の押下げ時に、シリンダ軸Oに沿って上記規制部58に上方から当接する部材であって、押下ヘッド51における天壁部51aから下方に向けて突出するように形成されている。この際、ストッパ部59A〜59Dは、天壁部51aのうち、スプリング保持部51dよりも径方向の外側に位置し、且つ規制部58に対してシリンダ軸O方向に対向する部分から、下方に向けて突出するように形成されている。
【0037】
複数のストッパ部59A〜59Dは、周方向に沿って配置されていると共に、規制部58側の先端部(下端部)の位置がシリンダ軸O方向に互いに異なっている。
図示の例では、ストッパ部59Aが最も下方に突出するように形成されており、このストッパ部59Aから周方向に向けて段階的に下方への突出量が低くなるように、残りのストッパ部59B、59C、59Dが形成されている。
【0038】
上述のように構成されているため、押下ヘッド51をシリンダ軸O回りに回転させることで、複数のストッパ部59A〜59Dを周方向に移動させることができ、いずれかのストッパ部59A〜59Dに対して規制部58がシリンダ軸O方向に対向するように、該規制部58の位置を相対的に変更することができる。そのため、押下ヘッド51を押し下げる際のストローク量を変更することができる。
本実施形態の場合には、図4に示すように、ストローク量を4段階に変更することが可能とされている。つまり、最も小さいストローク量L1から、ストローク量L2、ストローク量L3、最も大きいストローク量L4の順に4段階に変更することが可能である。
【0039】
また、図2及び図5に示すように、本実施形態の押下ヘッド51には複数の摺接突起100が形成されていると共に、中蓋50には、押下ヘッド51及び中蓋50の相対的なシリンダ軸O回りの回転移動に伴って、摺接突起100に摺接する係合突起101が形成されている。
【0040】
詳細に説明する。
押下ヘッド51における外装着筒部51eの外周面には、上記摺接突起100が周方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。各摺接突起100は、径方向の外側に向けて突出すると共に、シリンダ軸O方向に沿って延在した2つの縦リブ100aによって形成されている。そして、これら複数の摺接突起100は、上述した複数のストッパ部59A〜59D及び窓孔51fに対応するように、ストッパ部59A〜59D及び窓孔51fの径方向の内側にそれぞれ配置されるように形成されている。
【0041】
また、中蓋50におけるガイド筒部50eの内周面には、径方向の内側に向けて突出するように上記係合突起101が形成されている。この係合突起101は、シリンダ軸O方向に沿って延在するように形成されており、押下ヘッド51及び中蓋50の相対的なシリンダ軸O回りの回転移動に伴って摺接突起100に対して摺接すると共に、2つの上記縦リブ100a間に挟まれるように各摺接突起100に係合可能(係止可能)とされている。
なお、係合突起101は、規制部58及び操作片55に対して径方向の内側に位置するように形成されている。
【0042】
特に、複数の摺接突起100が上述した配置で形成されているので、係合突起101は、押下ヘッド51及び中蓋50の相対的なシリンダ軸O回りの回転移動に伴って、規制部58が各ストッパ部59A〜59Dに対してシリンダ軸O方向に対向し合う毎に摺接突起100に対して係合されると共に、窓孔51fが操作片55を露出させる毎に係合される。
【0043】
(吸込み部)
図1に示すように、吸込み部6は、シリンダ部3の底壁部31から下方に向けて延設されると共にシリンダ部3内に連通した接続筒部60と、接続筒部60に連結されたディップチューブ61と、を備えている。
【0044】
接続筒部60は、上記した装着筒部30の内側に、シリンダ軸Oと同軸に配設されている。この接続筒部60は、シリンダ部3の内部に向けて開口した大径の上筒部62と、上筒部62の下端に段差を介して連設された小径の下筒部63と、を備えている。
下筒部63の上端部の内周面には、全周に亘って径方向内側に突出した円環状の弁座部64が形成されている。
なお、接続筒部60はシリンダ部3と一体に形成されている。
【0045】
ディップチューブ61は、例えば可撓性を有するフレキシブルチューブからなる。但し、ディップチューブ61は単なる円筒状のパイプであってもよい。
ディップチューブ61の下端部は、容器本体10内に開放されており、ディップチューブ61の上端部は、接続筒部60内に嵌合され、上筒部62を介してシリンダ部3の内部に連通されている。
【0046】
(吸込み弁)
吸込み弁7は、吸込み部6の上筒部62内に嵌合された周壁部70と、周壁部70の内側に配設されて弁座部64の内側を開閉する板状の弁体部71と、弁体部71の外周面と周壁部70の内周面とを連結する弾性変形可能な連結片72と、を備えている。
【0047】
周壁部70は、吸込み部6の上筒部62内にアンダーカット嵌合されている。弁体部71は、弁座部64の上面に液密に密接(着座)されている。連結片72は、例えば周方向に間欠的に複数配設され、弁体部71の外周面と周壁部70の内周面とを繋いでいる。
なお、吸込み弁7は、1つの連結片72で弁体部71を支持した一点弁でもよい。さらに、本実施形態では、弁座部64に着座する弁体部71を利用することで吸込み部6の内側を開閉する吸込み弁7を例に挙げたが、この場合に限定されるものではなく、例えばボール弁を吸込み弁として採用しても構わない。
【0048】
(ノズル部)
ノズル部8は、シリンダ部3の底壁部31の下面、及び装着筒部30の外周面の双方から一体に側方(シリンダ軸Oに交差する方向)に向かって突出し、シリンダ部3内及び装着筒部30内に連通している。
このノズル部8は、シリンダ部3及び装着筒部30に接続されたノズル本体8Aと、先端開口が吐出孔80とされ、ノズル本体8Aに該ノズル本体8Aにおけるノズル軸O1方向に沿って進退自在に装着された補助ノズル8Bとを備えている。
【0049】
ノズル本体8Aの基端開口部には、環状の端壁部82が配設されている。ノズル本体8Aの基端部の上部は、シリンダ部3内に向けて開口している。従って、ノズル本体8Aの内部は、シリンダ部3内の液室32に連通していると共に、端壁部82の開口を通して装着筒部30の内部に連通している。
【0050】
補助ノズル8Bは、ノズル本体8Aを囲むように該ノズル本体8Aに装着される装着部83aと、上記吐出孔80が形成された吐出部83bと、を備えている。
【0051】
図1及び図6に示すように、装着部83aは、ノズル本体8Aに対して最前進位置に移動した際、ノズル本体8Aに対してアンダーカット嵌合される。これにより、補助ノズル8Bは、ノズル本体8Aから脱落することが防止されている。また、装着部83aは、ノズル本体8Aに対して最後退位置に移動した際、シリンダ部3に接することで位置決めされる。
【0052】
なお、補助ノズル8Bは、ノズル軸O1回りに回り止めされた状態でノズル本体8Aに装着されている。図示の例では、ノズル本体8Aの外周面にノズル軸O1方向に沿って延びた2本の横リブ84aが形成され、補助ノズル8Bの装着部83aの内周面に形成された規制リブ84bが2本の横リブ84a内に係止されることで回り止めがなされている。
また、図7に示すように、装着部83aの外周面には、滑り止め用のリブ84cがノズル軸O1方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0053】
図1及び図6に示すように、吐出部83bは、装着部83aとの接続部分からノズル先端側に向かうに従い漸次拡径されたテーパー形状に形成されていると共に、下方に向けて屈曲している。そのため、吐出孔80は下方に向けて開口している。
吐出部83bは、補助ノズル8Bをノズル本体8Aに対して最前進位置に移動させた際、容器本体10の外面よりも径方向の外側に突出する位置に配置され(図1参照)、補助ノズル8Bをノズル本体8Aに対して最後退位置に移動させた際、容器本体10の外面と面一或いは外面よりも径方向の内側に位置するように配置される(図6参照)。
【0054】
また、補助ノズル8Bには、ノズル本体8Aに対して最後退位置に位置したときに、ノズル本体8Aの先端開口を閉塞する有底筒状の栓体85が設けられている。
図1図6及び図8に示すように、この栓体85は、装着部83aと吐出部83bとの接続部分に配置されており、連結片85aを介して装着部83aの内周面に連結されている。連結片85aは、ノズル軸O1回りに沿うノズル周方向に間隔をあけて複数配設されている。従って、周方向に隣り合う連結片85aの間は流通孔86とされている。
【0055】
なお、補助ノズル8B内において、栓体85及び連結片85aが配設された部分における流路断面積(各流通孔86の開口面積を合計した面積)は、ノズル部8内において、吐出弁9が配設された部分における、吐出弁9が開いたときの流路断面積(後述する隙間Sによって画成される面積)と同等に設計されている。
【0056】
(吐出弁)
図1及び図6に示すように、吐出弁9は、端壁部82の開口内に挿通された挿通部90と、挿通部90の両端部に設けられた一対の係止部91、92と、ノズル本体8Aの内周面に全周に亘って気密に密接する弁体部93と、を備え、シリンダ部3の液室32と吐出孔80との連通、及びその遮断を切り替え可能に形成されている。
【0057】
一対の係止部91、92は、挿通部90に対して拡径された拡径部であり、端壁部82の両側にそれぞれ配置されて、端壁部82に対して係止されている。
一対の係止部91、92のうち、端壁部82のノズル基端側に位置する一方の係止部91は、ノズル基端側に向かうに従い漸次縮径された円錐台形状に形成されている。これにより、端壁部82の開口内に、一方の係止部91をノズル先端側から挿入することで、吐出弁9が端壁部82に装着される。
【0058】
弁体部93は、ノズル先端側に向かって漸次拡径されて弾性的に縮径変形可能なテーパー状の筒状に形成され、他方の係止部92のノズル先端側の端部外縁からノズル先端側に向かって突設されている。この弁体部93の先端部(最大径部)は、ノズル本体8Aの内周面に気密に密接されている。
そして、吐出弁9には、ノズル部8内と装着筒部30内とを連通する導入孔94が形成されている。
【0059】
<定量吐出器の作用>
次に、上記した構成からなる定量吐出器1の作用について説明する。
容器本体10の内容物を吐出する場合には、図1に示すように、補助ノズル8Bをノズル本体8Aに対して前進させることで、ノズル本体8Aの先端開口から栓体85を離脱させて、該先端開口の閉塞を解除しておく。このとき、ノズル本体8Aの先端開口が解除されていれば良く、補助ノズル8Bを最前進位置にセットしておく必要はない。従って、ノズル部8全体のノズル長を任意に調整して構わない。
【0060】
その後、図9に示すように、液室32に内容物が貯留された状態で、押下ヘッド51の天壁部51aの上面を押圧し、コイルスプリング52の付勢力に抵抗しながら押下ヘッド51を押し下げる。これにより、コイルスプリング52が軸方向に圧縮されると共に、押下ヘッド51に連結されたピストン部4が、押下ヘッド51と共にシリンダ部3に対して相対的に下降してシリンダ部3の底壁部31側に押し込まれ、液室32が減容される。
【0061】
そして、液室32の減容化によって液室32の内圧が所定の正圧まで上昇することで、その内圧によって弁体部93が弾性的に縮径変形し、弁体部93の先端部とノズル本体8Aの内周面との間に隙間Sが形成されて吐出弁9が開かれる。これにより、液室32内の内容物が隙間Sを通じてノズル本体8A内に流入した後、栓体85における流通孔86を通過して補助ノズル8B内にさらに流入し、その後、吐出孔80から外部に吐出される。
【0062】
なお、先に説明したように、栓体85及び連結片85aが配設された部分における補助ノズル8B内の流路断面積と、吐出弁9が開いたときの該吐出弁9が配設された部分におけるノズル部8内の流路断面積とが同等とされているので、内容物を抵抗少なくスムーズに吐出させることができる。
【0063】
次に、上記した押下ヘッド51の押し下げ操作を止めてピストン部4の押込み動作(下降)を停止させると、弁体部93が弾性により復元変形して拡径される。これにより、弁体部93の先端部がノズル本体8Aの内周面に全周に亘って再び気密に密接して吐出弁9が閉じられ、その結果、ノズル部8からの内容物の吐出が停止される。
【0064】
次に、図10に示すように、押下ヘッド51への押圧力を解除すると、コイルスプリング52の付勢力によって押下ヘッド51が押し上げられ、押下ヘッド51に連結されたピストン部4が、押下ヘッド51と共にシリンダ部3に対して相対的に上昇してシリンダ部3の上端側に引き戻され、液室32の容積が増大される。
【0065】
その結果、液室32の内圧が負圧となり、その内圧によって吸込み弁7の連結片72を弾性変形させながら弁体部71が引き上げられ、弁体部71が弁座部64から離間して吸込み弁7が開かれる。
これにより、容器本体10内の内容物がディップチューブ61内流入してディップチューブ61内を上方に向かって流通し、弁座部64の内側を通って吸込み弁7の周壁部70の内側に流入する。そして、その内容物は、周壁部70と弁体部71との間の隙間を通って流通し、接続筒部60の上筒部62の内側を通過して液室32内に吸い込まれる。
【0066】
その後、図1に示すように、ピストン部4の底壁部40の上面が、中蓋50の底壁部50dの支持突起53に当接することで、押下ヘッド51の上昇が停止してピストン部4の引戻し動作が停止する。これにより、吸込み弁7の連結片72の弾性によって弁体部71が引き下げられ、弁体部71が弁座部64に着座して液密に密接して吸込み弁7が閉じられ、その結果、液室32内への内容物の吸い込みが停止される。
これにより、液室32内に決まった量の内容物を貯留することができ、次のピストン部4の押し込みによって定量の内容物を吐出することができる。
【0067】
特に、本実施形態の定量吐出器1によれば、図1に示すように、補助ノズル8Bをノズル本体8Aに対して前進させることで、補助ノズル8Bの吐出孔80をノズル本体8Aの先端開口よりも容器本体10から離れた位置に配置することができる。従って、吐出孔80を、容器本体10から径方向の外側に離れた位置に配置することができ、その位置で内容物を吐出することができる。よって、良好な吐出操作を行うことができる。
【0068】
その一方、保管時や流通時等、内容物を吐出しない待機状況下では、図6に示すように、補助ノズル8Bをノズル本体8Aに対して後退させることでノズル部8の全長を短くすることができ、補助ノズル8Bの吐出孔80の位置を容器本体10の外面と面一、又は容器本体10の外面よりも径方向の内側に配置することができる。
従って、容器本体10に定量吐出器1が装着された容器全体が径方向に嵩張ってしまうことを抑制することができ、収納性を高めることができる。
【0069】
また、上記待機状況下では、補助ノズル8Bの栓体85がノズル本体8Aの先端開口の内側に嵌合して、該先端開口を閉塞するので、シリンダ部3内の液室32に連通しているノズル本体8Aの内部を密封することができる。従って、ノズル本体8A内を清浄に保つことができ、内容物の品質を維持した状態で内容物の吐出を行える。
【0070】
さらに、上述したようにピストン部4が引き戻される際、図10に示すように、内容物が吸込み部6の内側を通って液室32に流入するが、これと同時に、吐出孔80を通じて外気がノズル部8内に入り込み、さらに吐出弁9に形成された導入孔94を通じて装着筒部30内に入り込む。従って、外気を容器本体10内に供給することができ、容器本体10の内部が負圧になることを防止できる。
【0071】
しかも、導入孔94は、ノズル部8内に配置された吐出弁9に形成されているので、導入孔94を外部から見え難くすることができ、導入孔94が外部から見えてしまうことによるデザイン性の低下を防止できる。
なお、上記した待機状況下では、図6に示すように、栓体85がノズル本体8Aの先端開口を閉塞しているので、導入孔94を通じて容器本体10内に外気が進入することを抑制し易い。従って、内容物の品質を維持し易い。
【0072】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
O…シリンダ軸
1…定量吐出器
3…シリンダ部
4…ピストン部
5…ピストン操作部
6…吸込み部
7…吸込み弁
8…ノズル部
8A…ノズル本体
8B…補助ノズル
9…吐出弁
10…容器本体
11…容器本体の口部
30…装着筒部
32…液室
80…補助ノズルの吐出孔
85…栓体
94…導入孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10