(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ルーフ部のうち左右方向において前記エアコンユニットをオフセットしている側に、前記エアコンユニットに供給する外気を吸い込む吸込口が形成されている請求項11に記載の収穫機。
前記エアコンユニットに対して前記エアコンユニットがオフセットしている側とは左右反対側に、エンジン用のプレクリーナが配置されている請求項11又は12に記載の収穫機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のコンバインでは、エアコンユニットがルーフ部内の前部に位置していることにより、運転者の頭上前側の空間が狭くなることから、運転者がキャビン内の天井部による圧迫感を受け易い。例えば、穀稈の搬送状況や刈跡等を視認するために、運転者が前屈みの姿勢で機体前下方を覗き込む際に、キャビン内の天井部に頭部をぶつけ易い。
【0005】
上記状況に鑑み、キャビン内の天井部による運転者への圧迫感を軽減することができる収穫機が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
運転者が搭乗するキャビンと、
前記キャビンの前下方に位置し、植立穀稈を刈り取る刈取部と、
前記キャビン内を空調するエアコンユニットと、を備え、
前記エアコンユニットは、前記キャビンのルーフ部における後部であって前記キャビンの後壁部の上部に内装され、
前記後壁部は、窓部が設けられる開口部を有する板状体によって構成され、
前記後壁部の上部に、前記エアコンユニットが載置支持される載置部が
形成され、
前記載置部は、前記後壁部の上部が湾曲又は屈曲
されて形成されていることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、エアコンユニットがルーフ部内の後部に配置されていることにより、運転者の頭上前側の空間を広くすることができるため、キャビン内の天井部による運転者への圧迫感を軽減することができる。例えば、穀稈の搬送状況や刈跡等を視認するために、運転者が前屈みの姿勢で機体前下方を覗き込む際に、キャビン内の天井部に頭部をぶつけ難い。また、エアコンユニットを安定した後壁部に支持させ易くなる。
また、本特徴構成によれば、キャビンの外部に出ることなく、窓部を通してキャビン後方の状況を容易に視認することができる。
また、本特徴構成によれば、エアコンユニットが安定した後壁部に支持されるため、エアコンユニットを安定的に支持することができる。また、後壁部への載置支持という比較的単純な支持構造であることから、支持構造の簡素化を図り易い。
また、本特徴構成によれば、エアコンユニットが載置面によって面的な広い範囲で支持されるため、エアコンユニットをさらに安定的に支持することができる。
また、本特徴構成によれば、後壁部の上部を湾曲又は屈曲するように形成するだけで、載置面を簡単に形成することができる。
【0008】
さらに、本発明において、
前記ルーフ部の後部に、前記エアコンユニットを収容する収容部が、前記後壁部よりも後方に突出する状態で形成され、
前記収容部は、前記ルーフ部のアウタールーフと、前記アウタールーフに対して下方から取り付けられる下部カバーと、で構成され、
前記下部カバーは、前記アウタールーフの後部と前記後壁部とに亘って設けられていると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、収容部の容量を大きくすることができるため、小型のエアコンユニットと比較して安価な大型のエアコンユニットであっても、無理なく収容することができる。
さらに、本発明において、
前記アウタールーフのうち前記下部カバーの外縁部に対応する部分に、上方に凹入する凹入部が形成され、
前記下部カバーは、前記外縁部が前記凹入部に入り込む状態で、前記アウタールーフに連結されていると好適である。
【0010】
さらに、本発明において、
前記キャビンの後方に、穀粒を貯留する穀粒貯留部が備えられ、
前記収容部のうち前記後壁部よりも後方に突出する部分の下方に、前記穀粒貯留部が入り込むように配置されていると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、収容部と穀粒貯留部とが干渉しない。したがって、収容部と穀粒貯留部との干渉を避けるために、キャビンと穀粒貯留部との前後間隔を広げる(キャビンを前方にずらす、穀粒貯留部を後方にずらす、又はその両方)必要がなく、機体全体の前後長が長くなるといったことがない。
さらに、本発明において、
前記載置部に、前記ルーフ部のインナールーフが連結されていると好適である。
さらに、本発明において、
前記開口部に、前記窓部が嵌め込まれていると好適である。
さらに、本発明において、
前記載置部の先端部に、上方に屈曲する上屈曲部が形成されていると好適である。
さらに、本発明において、
前記上屈曲部に、前記エアコンユニットで空調された空気を前記キャビン内に送風する送風ダクトが載置支持されていると好適である。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
さらに、本発明において、
前後方向に延びて前記ルーフ部の左側部及び右側部を夫々支持する左右一対の前後フレームを備え、
左右一対の前記前後フレームの後端部同士の間に、前記エアコンユニットが配置されていると好適である。
【0021】
本特徴構成によれば、左右一対の前後フレームの後端部同士の間のスペースを利用して、エアコンユニットをコンパクトに配置することができる。
【0022】
さらに、本発明において、
前記エアコンユニットは、左右一対の前記前後フレームの後端部に連結されていると好適である。
【0023】
本特徴構成によれば、左右一対の前後フレームとエアコンユニットとの連結構造により、強固な構造体を構築することができる。
【0024】
さらに、本発明において、
前記エアコンユニットは、左右一対の前記前後フレームに対して左右一方側にオフセットして配置されていると好適である。
【0025】
本特徴構成によれば、エアコンユニットがオフセットしている側とは左右反対側に、広いスペースを作り出すことができる。
【0026】
さらに、本発明において、
左右一対の前記前後フレームのうち左右他方側の後端部は、左右一方側に湾曲又は屈曲するように形成されていると好適である。
【0027】
本特徴構成によれば、上述のようにエアコンユニットがオフセットして配置されている場合でも、左右一対の前後フレームのうち左右他方側の後端部を、エアコンユニットに近付けて、これらを連結させ易い。
【0028】
さらに、本発明において、
上下方向に延びて前記ルーフ部の後部を支持する左右一対の縦フレームを備え、
前記キャビンの後壁部の左側部及び右側部は、左右一対の前記縦フレームに夫々連結されていると好適である。
【0029】
本特徴構成によれば、左右一対の縦フレームとキャビンの後壁部との連結構造により、強固な構造体を構築することができる。
【0030】
さらに、本発明において、
左右一対の前記縦フレームを連結する横フレームを備えていると好適である。
【0031】
本特徴構成によれば、横フレームを加えた連結構造により、さらに強固な構造体を構築することができる。
【0032】
さらに、本発明において、
前後方向に延びて前記ルーフ部の左側部及び右側部を夫々支持する左右一対の前後フレームを備え、
左右一対の前記前後フレームの後端部同士の間に、前記エアコンユニットが配置され、
前記エアコンユニットは、左右一対の前記前後フレームの後端部に連結され、
前記エアコンユニットは、左右一対の前記前後フレームのうち左右一方側にオフセットして配置され、
左右一対の前記前後フレームのうち左右他方側の後端部は、左右一方側に湾曲又は屈曲するように形成され、
左右一対の前記前後フレームのうち左右一方側に湾曲又は屈曲するように形成されている左右他方側の後端部に、左右一対の前記縦フレームのうち左右他方側の上端部が連結されていると好適である。
【0033】
本特徴構成によれば、左右一対の前後フレームのうち左右他方側の前後フレームを加えた連結構造により、強固な構造体を構築することができる。
【0034】
さらに、本発明において、
前記ルーフ部のうち左右方向において前記エアコンユニットをオフセットしている側に、前記エアコンユニットに供給する外気を吸い込む吸込口が形成されていると好適である。
【0035】
本特徴構成によれば、吸込口がエアコンユニットの近傍に位置していることにより、吸込口からのエアコンユニットへの外気の供給がスムーズである。
【0036】
さらに、本発明において、
前記ルーフ部の左右一方側の側部は、左右一方側に突出し、
前記ルーフ部のうち突出している部分の底部に、前記吸込口が形成されていると好適である。
【0037】
本特徴構成によれば、ルーフ部の横方側を流れる清浄な空気を、吸込口によって吸い込むことができる。また、吸込口が上方を向いていないため、塵埃が吸込口に落下して吸込口に溜まったりすることがない。
【0038】
さらに、本発明において、
前記吸込口に対して下方に離間した状態でカバーが取り付けられ、
前記カバーと前記吸込口との間における横方から前記外気が吸い込まれるように構成されていると好適である。
【0039】
本特徴構成によれば、カバーと吸込口との間における横方から外気を吸い込む方式であれば、外部に露出した吸込口(カバーで覆われていない吸込口)によって外気を吸い込む方式と比較して、開口面積が小さいことから、吸込口によって吸い込まれる外気の流速が速くなる。したがって、吸込口による外気の吸込がスムーズである。
【0040】
さらに、本発明において、
前記エアコンユニットに対して前記エアコンユニットがオフセットしている側とは左右反対側に、エンジン用のプレクリーナが配置されていると好適である。
【0041】
本特徴構成によれば、エアコンユニットがオフセットしている側とは左右反対側に、広いスペースを作り出すことができるところ、当該スペースを利用してプレクリーナを配置することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
【0044】
〔普通型コンバインの全体構成〕
図1及び
図2には、普通型コンバインを示している。コンバインにおける前部には、植立穀稈を刈り取る刈取部1が設けられている。刈取部1には、植立穀稈を刈取り対象の穀稈と刈取り対象外の穀稈とに分草する左右一対の分草具2、植立穀稈を切断する切断装置3、刈取穀稈を掻き込む掻込オーガ4が備えられている。刈取部1の後方には、機体を走行させるクローラ式の走行装置5が設けられている。走行装置5の上部には、機体フレーム6が設けられている。機体フレーム6上における左側には、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置7が設けられている。
【0045】
機体フレーム6上における右側の前部には、運転者が搭乗するキャビン8及びエンジン9が設けられている。機体フレーム6上における右側の後部には、穀粒を貯留するグレンタンク10(本発明に係る「穀粒貯留部」に相当)が、脱穀装置7と左右方向に並ぶ状態で設けられている。グレンタンク10には、グレンタンク10内の穀粒を取り出すためのアンローダ11が設けられている。アンローダ11は、アンローダ受け12に支持されている。
【0046】
〔キャビン〕
図3から
図7に示すように、キャビン8の前面には、フロントガラス13が設けられている。キャビン8の左側部には、前後引違い式の窓部14が設けられている。後壁部15には、固定式の窓部16が設けられている。
【0047】
窓部16は、後壁部15の開口部にHゴム17を介して嵌め込まれ、楔ゴム18によって固定されている。これにより、従来、窓部16を接着する場合、接着剤が乾くまでの待ち時間や、接着剤のせき止めダムが必要であったが、これらが不要になるため、製造工数を低減することができる。
【0048】
キャビン8の右側部には、開閉可能なドア19が設けられている。ドア19は、その後端部が上下向きの軸心周りに揺動可能に支持されている。ドア19には、前後引違い式の窓部20が設けられている。また、キャビン8の右側部における前端部には、乗降用の手摺21が設けられている。手摺21には、バックミラー22が取り付けられている。
【0049】
キャビン8の前部には、上下方向に延びてルーフ部80の前部を支持する左右一対の前縦フレーム24が設けられている。キャビン8の後部には、上下方向に延びてルーフ部80の後部を支持する左右一対の後縦フレーム25(本発明に係る「縦フレーム」に相当)が設けられている。左右一対の後縦フレーム25には、後壁部15の左側部及び右側部が夫々連結されている。左右一対の後縦フレーム25の下端部同士は、左右方向に延びる横フレーム26によって連結されている。横フレーム26の上面に、左右一対の後縦フレーム25の下端が連結されている。横フレーム26は、左右一対の後縦フレーム25よりも左右方向に延びている。横フレーム26に右端部は、前方側に湾曲するように形成され、ドア19にフレームに連結されている。
【0050】
キャビン8内には、運転者が着座する運転座席27と、機体の操向操作を行うための操向レバー28と、計器類29が配設された計器盤30と、サイドパネル31と、が設けられている。キャビン8内には、運転座席27の前方の空間である中空間S1、運転座席27の右斜め前下方の空間である右空間S2、運転座席27の左斜め前下方の空間である左空間S3が形成されている。キャビン8内の床部49には、フロアマット32が敷設されている。フロアマット32の前端には、立ち上がり部33が形成されている。
【0051】
〔サイドパネル〕
サイドパネル31は、キャビン8内における左側(運転座席27に対して左方側)に配置されている。サイドパネル31には、変速レバー34、クラッチレバー35、サイド操作パネル36、アンローダリモコン37等が配設されている。変速レバー34は、エンジン9からの動力を変速する静油圧式無段変速装置(図示省略)の変速操作を行うためのものである。クラッチレバー35は、脱穀装置7への動力を伝達又は遮断するクラッチ(図示省略)の切替操作、刈取部1への動力を伝達又は遮断するクラッチ(図示省略)の切替操作を行うためのものである。アンローダリモコン37は、アンローダ11の操作を行うためのものである。
【0052】
〔計器盤〕
計器盤30は、キャビン8内における左側(運転座席27に対して左方側)に配置されている。計器盤30には、計器類29として、例えば、中央部に実際の作業車速を表示する作業速度計38が配設され、その両側にエンジン回転計39や燃料計40が配設されている。計器盤30は、サイドパネル31の前端部から前右方に向けて張り出すように、サイドパネル31の前端部にステー41を介して片持ち状に連結されている。
【0053】
〔操向レバー〕
操向レバー28は、キャビン8内における右側(運転座席27に対して右方側)に配置されている。操向レバー28は、左右一対の前縦フレーム24のうちの右側に片持ち支持されている。具体的には、パワステユニット部42が左右一対の前縦フレーム24のうちの右側に固定され、操向レバー28がパワステユニット部42に十字方向(前後方向及び左右方向)に揺動自在に支持されている。また、パワステユニット部42には、キースイッチ43、コンビネーションスイッチ44が設けられていると共に、操向レバー28を操作する運転者が手首を置くためのアームレスト45が設けられている。
【0054】
〔フロントガラス〕
フロントガラス13は、キャビン8の前面においてその上端部と下端部とに亘っている。フロントガラス13は、一枚の強化ガラスで構成されているが、一枚の合わせガラスで構成してもよい。フロントガラス13は、ルーフ部80から運転座席27の座面よりも下方まで延びている。フロントガラス13の下端部は、前下壁部46に支持されている。フロントガラス13の上端部は、前上壁部47に支持されている。フロントガラス13の左端部及び右端部は、左右一対の前縦フレーム24に夫々支持されている。フロントガラス13の上部には、フロントガラス13の外面上部を払拭するワイパー48が備えられている。
【0055】
フロントガラス13は、側面視において、床部49の前端よりも前方に膨出する湾曲状に形成されている。具体的には、フロントガラス13は、側面視において、フロントガラス13の上部側部分の水平面に対する傾斜角度θ1の方が、フロントガラス13の下部側部分の水平面に対する傾斜角度θ2よりも大きく、かつ、下端に近付くほど後方に位置するように、前方に膨出する湾曲状に形成されている。また、フロントガラス13は、平面視において、その左端部及び右端部に近付くほど後方に位置する湾曲状に形成されている。このように、フロントガラス13は、上下方向及び左右方向に湾曲する三次元曲面状に形成されている。
【0056】
〔前上壁部〕
図8に示すように、前上壁部47は、前上部フレーム66の下面から垂れ下がるように、前上部フレーム66に連結されている。前上壁部47は、前上部フレーム66と別体に構成されているが、前上部フレーム66と一体に構成されていてもよい。前上壁部47は、上下方向で前上部フレーム66の下端とフロントガラス13の上端とに亘り、かつ、左右方向でフロントガラス13の上端部における左端と右端とに亘っている。前上壁部47の前面に、フロントガラス13の上端部が重ね合わされて連結されている。前上壁部47のうちモータ軸50aよりも下方の部分に、フロントガラス13の上端部が支持されている。前上壁部47は、例えば、鉄製のプレートで構成されている。
【0057】
〔前下壁部〕
図9に示すように、前下壁部46は、前上がりに傾斜するように、床部49の前端に連結されている。前下壁部46は、床部49と別体に構成されているが、床部49と一体に構成されていてもよい。前下壁部46は、上下方向でフロントガラス13の下端と床部49の前端とに亘り、かつ、左右方向でフロントガラス13の下端部における左端と右端とに亘っている。前下壁部46の前面に、フロントガラス13の下端部が重ね合わされて連結されている。前下壁部46の左端部と右端部は、後方に屈曲されている。前下壁部46は、例えば、鉄製のプレートで構成されている。
【0058】
〔立ち上がり部〕
立ち上がり部33は、フロアマット32の前端における左端と右端とに亘っている。立ち上がり部33は、例えば、ゴム製のフロアマット32と一体に形成されているが、別体に形成されていてもよい。立ち上がり部33の前面は、略垂直に形成され、立ち上がり部33の後面は、前上がりに傾斜するように形成されている。立ち上がり部33の上端は、前下壁部46の上端よりも高い位置に設定されている。立ち上がり部33と、フロントガラス13の下端部内面(後面)及び前下壁部46の後面との間には、隙間Dが形成されている。隙間Dは、立ち上がり部33の上端に近付くほど大きくなるように形成されている。
【0059】
〔中空間〕
図5から
図7に示すように、中空間S1は、操向レバー28と計器盤30との間に形成されている。中空間S1は、運転座席27に着座した運転者の前方において、左右方向で計器盤30の右端とパワステユニット部42の左端とに亘るように存在し、かつ、上下方向で前上壁部47の下端と前下壁部46の上端とに亘るように存在している。運転座席27とフロントガラス13との間において、中空間S1には、視界の妨げとなるものが何もなく、運転座席27に着座した運転者の前方及び前下方の視界が確保されている。
【0060】
したがって、運転者が姿勢P1の状態において、中空間S1を通して前方を視認することができる。そして、運転者が姿勢P2の状態において、中空間S1を通して刈取部1の作業状況(例えば、掻込オーガ4の搬送状況や切断装置3の刈跡等)を視認することができる。前屈みの姿勢で前下方を覗き込む際に、運転者が立ち上がり部33に足を載せることにより、足を突っ張ることができる。
【0061】
〔右空間〕
右空間S2は、操向レバー28(パワステユニット部42)の下方に形成されている。右空間S2は、運転座席27に着座した運転者の足下において、キャビン8内における右側に存在している。運転座席27とフロントガラス13との間において、右空間S2には、視界の妨げとなるものが何もなく、運転座席27に着座した運転者の前下方における右側(前右下方)の視界が確保されている。運転座席27に着座した運転者は、右空間S2を通して右側の分草具2を視認することにより、右側の分草具2による条合わせを容易に行うことができる。
【0062】
〔左空間〕
左空間S3は、計器盤30の下方に形成されている。左空間S3は、運転座席27に着座した運転者の足下において、キャビン8内における左側に存在している。運転座席27とフロントガラス13との間において、左空間S3には、視界の妨げとなるものが何もなく、運転座席27に着座した運転者の前下方における左側(前左下方)の視界が確保されている。運転座席27に着座した運転者は、左空間S3を通して左側の分草具2を視認することにより、左側の分草具2による条合わせを容易に行うことができる。
【0063】
なお、
図5及び
図6における中空間S1、右空間S2及び左空間S3の範囲は、説明のための例示であって、中空間S1、右空間S2及び左空間S3の範囲は、これに限定されるものではない。
【0064】
〔ワイパー〕
図8に示すように、ワイパー48は、モータ50のモータ軸50aの前端部に取り付けられている。モータ軸50aは、フロントガラス13から前方に突出するように、前上壁部47を前後方向に貫通している。
【0065】
モータ50は、第一ステー51及び第二ステー52を介して、前上部フレーム66に上下方向に位置調整可能に取り付けられている。第一ステー51は、前上部フレーム66に固定されている。第二ステー52には、モータ50が固定されている。第二ステー52は、上下方向に長い長孔52aを介して、第一ステー51に上下方向に位置調整可能に取り付けられている。
【0066】
ワイパー48は、モータ軸50aに連結されたワイパーアーム53と、ワイパーアーム53に対して揺動可能なブレード54と、を有している。ここで、曲率の大きなフロントガラス13では、ブレード54の揺動端部とワイパーアーム53とが干渉する恐れがあるところ、本実施形態では、モータ軸50aの突出長さを長くして、ブレード54の揺動端部とワイパー48との間隔を大きくすることにより、ブレード54の揺動端部とワイパーアーム53とが干渉し難くなっている。つまり、モータ軸50aの突出長さは、曲率の大きなフロントガラス13でもワイパー48の追従性を確保することができるように、十分な長さに設定されている。
【0067】
図10に示すように、ステー41は、パイプ状の部材が折り曲げられて構成されている。ステー41は、計器盤30及びサイドパネル31の外側に配置されている。ステー41は、運転座席27に着座した運転者からも機体右方側からも見えないように計器盤30に覆われている。ステー41のうち計器盤30に固定される側の端部には、第一固定板55が固定されている。第一固定板55には、二本のボルト56(スタッドボルト)が固定されている。計器盤30の内側からナット57をボルト56に締め付けることにより、ステー41が計器盤30に固定されている。
【0068】
ステー41のうちサイドパネル31に固定される側の端部には、第二固定板58が固定されている。第二固定板58には、二つのボルト孔が形成されている。サイドパネル31の前部内側には、補強板59が固定されている。補強板59には、第二固定板58のボルト孔と対応する位置に、ナット60(溶接ナット)が固定されている。サイドパネル31の外側からボルト61をナット60に螺じ込むことにより、ステー41がサイドパネル31に固定されている。
【0069】
〔操作レバーの気密性構造〕
図11に示すように、変速レバー34は、サイドパネル31の上部に形成されたレバー孔31aに沿って、前後方向に揺動可能に支持されている。変速レバー34には、レバー孔31aを上方から塞ぐカバー62が取り付けられている。カバー62は、変速レバー34の揺動範囲全域に亘って、レバー孔31aを塞ぐように構成されている。カバー62は、サイドパネル31の上面に取り付けられたガイド部材63によって案内支持されている。
【0070】
このような構成により、変速レバー34の揺動範囲全域に亘って、カバー62がレバー孔31aを上方から塞いでいるため、変速レバー34の気密性を向上させることができる。つまり、塵埃がレバー孔31aを通してサイドパネル31内に侵入し難くなる。
【0071】
〔ルーフ部〕
図12から
図14に示すように、ルーフ部80は、上部フレーム65によって支持されている。ルーフ部80における後部には、キャビン8内を空調するエアコンユニット70が内装されている。ルーフ部80は、アウタールーフ81と、インナールーフ82と、を有している。
【0072】
アウタールーフ81とインナールーフ82との間には、エアコンユニット70で空調された空気(冷房の場合は冷気、暖房の場合は暖気)をキャビン8内に送風する送風ダクト90が設けられている。アウタールーフ81の左側部における後部は、左方に突出している。アウタールーフ81のうち左方に突出している部分の底部に、エアコンユニット70に供給する外気を吸い込む吸込口88が形成されている。アウタールーフ81の右側部における後端部には、エンジン9用のプレクリーナ110が支持されている。アウタールーフ81の右側部における後端部には、プレクリーナ110が入り込む凹入部84が形成されている。インナールーフ82の前端部には、モータ50が収容される収容部82aが形成されている。インナールーフ82のうち運転座席27に着座した運転者の頭上部分には、上方に凹入する凹入部83が形成されている。
【0073】
〔上部フレーム〕
上部フレーム65は、前上部フレーム66と、左前上部フレーム67(本発明に係る「前後フレーム」に相当)と、右前上部フレーム68(本発明に係る「前後フレーム」に相当)と、を有している。前上部フレーム66、左前上部フレーム67及び右前上部フレーム68は、別体に構成されているが、一体に構成されていてもよい。上部フレーム65は、前上部フレーム66の左端と左前上部フレーム67の前端とが連なり、かつ、前上部フレーム66の右端と左前上部フレーム67の前端とが連なるように形成されている。上部フレーム65は、左前上部フレーム67の後端及び右前上部フレーム68の後端と連なるフレームを有していない。つまり、上部フレーム65は、左前上部フレーム67の後端部と右前上部フレーム68の後端部との間が開放するように形成されている。
【0074】
前上部フレーム66は、左右方向に延びてルーフ部80の前部を支持している。前上部フレーム66は、その左端部及び右端部が後方側に湾曲するように形成されている。左前上部フレーム67は、前後方向に延びてルーフ部80の左側部を支持している。左前上部フレーム67は、その後端部が右方側に湾曲するように形成され、左ステー100の左側部に連結されている。右前上部フレーム68は、前後方向に延びてルーフ部80の右側部を支持している。右前上部フレーム68は、その後端部が左方側に湾曲するように形成され、右ステー102の右側部に連結されている。右前上部フレーム68の後端部は、左前上部フレーム67の後端部よりも大きく湾曲(略直角に湾曲)している。右前上部フレーム68の後端部は、後縦フレーム25の上端部に載置連結されている。
【0075】
〔エアコンユニット〕
エアコンユニット70は、エバポレータやヒータ等を含む熱交換器71と、熱交換器71に空気を送風するファン72とを、左右方向に並ぶ状態で有している。エアコンユニット70は、左前上部フレーム67の後端部と右前上部フレーム68の後端部との間において、左前上部フレーム67及び右前上部フレーム68のうち左前上部フレーム67側にオフセットして配置されている。エアコンユニット70は、後壁部15の上端部に載置支持された状態で、収容部85に収容されている。エアコンユニット70の底部からは、エアコンユニット70からの排水を排出する二本の排水ホース73が、左側と右側とに振り分けられて下方に延びている(
図4参照)。
【0076】
〔収容部〕
収容部85は、ルーフ部80の後端部に形成されている。収容部85は、後壁部15よりも後方に突出している。収容部85の下方には、グレンタンク10の前端部が入り込んでいる。収容部85の上部は、アウタールーフ81で形成され、収容部85の下部は、下部カバー86で形成されている。
【0077】
下部カバー86は、アウタールーフ81に対して下方から取り付けられている。詳述すると、下部カバー86の前端部には、上方に屈曲する上屈曲部86aが形成されている。上屈曲部86aは、後壁部15の上端部に連結されている。また、下部カバー86の後端部には、後方に屈曲する後屈曲部86bが形成されている。後屈曲部86bは、アウタールーフ81の後端部に連結されている。具体的には、アウタールーフ81の後端部に、上方に凹入する凹入部81aが形成されているところ、後屈曲部86bは、凹入部81aに入り込んでアウタールーフ81の下面に下方から当て付けられた状態で、下方から差し込まれるボルトによって連結されている。こうして、下部カバー86は、アウタールーフ81に対して下方から取り付けられている。また、下部カバー86の後端下部には、下方に膨出する膨出部86cが形成されている。膨出部86cには、排水ホース73が配管されている。
【0078】
〔載置面〕
後壁部15の上端部には、前方に屈曲する前屈曲部15a(本発明に係る「載置部」に相当)と、前屈曲部15aに連なって上方に屈曲する上屈曲部15bと、が形成されている。前屈曲部15aの上面は、エアコンユニット70が載置される載置面15cとされている。前屈曲部15aには、インナールーフ82の後端部が連結されている。具体的には、インナールーフ82の後端部が前屈曲部15aの下面に下方から当て付けられた状態で、上方から差し込まれるボルトによって連結されている。また、上屈曲部15bの上端には、分配ダクト91が載置支持されている。
【0079】
載置面15cには、左ステー100、中ステー101及び右ステー102が、後壁部15から後方に突出する片持ち状に連結されている。左ステー100は、エアコンユニット70の左側部を支持している。ファン72の左側部には、左ステー100に連結される前後一対の左取付脚72aが設けられている。中ステー101は、エアコンユニット70の左右中間部を支持している。熱交換器71の左側部には、中ステー101に連結される前後一対の中取付脚71aが設けられている。右ステー102は、エアコンユニット70の右側部を支持している。熱交換器71の右側部には、右ステー102に連結される前後一対の右取付脚71bが設けられている。
【0080】
〔凹入部〕
凹入部83は、インナールーフ82のうちエアコンユニット70よりも前方の部分に形成されている。凹入部83には、前壁部83Aと、後壁部83Bと、左壁部83Cと、右壁部83Dと、が形成されている。凹入部83は、平面視おいて、ルーフ部80の左右中心Cに対して略左右対称な形状に形成されている。凹入部83は、運転座席27の左端よりも左方から運転座席27の右端よりも右方まで延びている。
【0081】
図3に示すように、凹入部83は、インナールーフ82によって構成される室内の天井部82Aの前部から天井部82Aの後部に亘るように形成されている。凹入部83は、床部49における前部上方から後部上方に亘るように形成されている。凹入部83は、運転座席27の背もたれ27aの後端位置L2よりも後方から運転座席27の座面27b前端よりも前方であって操向レバー28の前端位置L1よりも前方まで延びている。つまり、凹入部83は、操向レバー28の前端位置L1の上方から運転座席27の背もたれ27aの後端位置L2の上方に亘るように形成されている。また、凹入部83の前端の位置は、サイドパネル31と計器盤30との連結境界L3の近傍(具体的には、連結境界L3と計器盤30の前端との間の位置)に設定されている(
図6参照)。
【0082】
図12から
図14に示すように、前壁部83Aは、凹入部83の前部に形成されている。前壁部83Aは、略垂直(厳密には、若干前下がりに傾斜するよう)に形成されている。前壁部83Aは、その左右中央部で後方側に折れ曲がるように形成されている。つまり、前壁部83Aのうち左側部分及び右側部分が、ルーフ部80の左右中心Cの側に向いている。また、前壁部83Aとアウタールーフ81との間には、電子機器配設空間87が形成されている。
【0083】
後壁部83Bは、凹入部83の後部に形成されている。後壁部83Bは、前上がりに傾斜するように形成されている。後壁部83Bには、エアコンユニット70に対してキャビン8の内気を導入するための内気導入口82bが形成されている。後壁部83Bとエアコンユニット70との間には、エアコンユニット70に対してキャビン8の内気を導入するか又はキャビン8の外気を導入するかを切り替えるためのシャッター103が備えられている。
【0084】
左壁部83Cは、凹入部83の左側部に形成されている。左壁部83Cは、左下がりに傾斜するように形成されている。右壁部83Dは、凹入部83の右側部に形成されている。右壁部83Dは、右下がりに傾斜するように形成されている。
【0085】
〔電子機器配設空間〕
電子機器配設空間87は、電子機器を配設するための空間である。電子機器には、電子機器本体及び電子機器を操作するための電子機器操作部が含まれる。本実施形態では、ラジオ104、ラジオ104を操作するためのラジオ操作部105及びエアコンユニット70を操作するためのエアコン操作部106が、電子機器配設空間87に配設されている。ラジオ104及びラジオ操作部105は、電子機器配設空間87のうち左側部分に配設されている。エアコン操作部106は、電子機器配設空間87のうち右側部分に配設されている。ラジオ操作部105及びエアコン操作部106は、キャビン8内に露出している。また、上述のように、前壁部83Aのうち左側部分及び右側部分が、ルーフ部80の左右中心Cの側に向いているため、運転者が運転座席27からラジオ操作部105及びエアコン操作部106を操作し易い。
【0086】
エアコン操作部106には、温度を調節するための操作部、風量を調節するための操作部、外気導入と内気循環とを切り替える(シャッター103を切替操作する)ための操作部等が含まれている。なお、エアコン操作部106は、サイドパネル31に設けたり、リモコンによって構成したりすることもできる。
【0087】
〔送風ダクト〕
送風ダクト90は、アウタールーフ81とインナールーフ82との間に設けられ、キャビン8の前部まで延びている。送風ダクト90は、分配ダクト91と、左送風ダクト92と、右送風ダクト93と、を有している。
【0088】
分配ダクト91は、エアコンユニット70で空調された空気を左送風ダクト92側と右送風ダクト93側とに分配するものである。分配ダクト91の後部は、エアコンユニット70に連通接続されている。
【0089】
左送風ダクト92は、エアコンユニット70で空調された空気をキャビン8内の左側に送風するものである。左送風ダクト92は、凹入部83に対して左方側に配置されている。左送風ダクト92の後端部は、分配ダクト91の左側部に連通接続されている。左送風ダクト92の前端部は、平面視においてキャビン8の左右中心C側に折れ曲がるように形成され、電子機器配設空間87内に配置されている。平面視において左送風ダクト92の前端部(前記折れ曲っている部分)とラジオ104とが重複するように、左送風ダクト92の前端部の上側にラジオ104が配置されている。左送風ダクト92には、エアコンユニット70で空調された空気がキャビン8内に吹き出る四つの左吹出口92aが設けられている。各左吹出口92aには、グリル92bが取り付けられている。
【0090】
前側三つの左吹出口92aは、ルーフ部80のうち前方寄りの部分に形成されている。前側三つの左吹出口92aは、運転座席27の座面27bの前端よりも前方に配置されている。最後端の左吹出口92aは、ルーフ部80のうち後方寄りの部分に形成されている。最後端の左吹出口92aは、前後方向において運転座席27の背もたれ近傍に配置されている。これにより、運転座席27に着座した運転者の背中にエアコンユニット70で空調された空気が届き易くなる。また、前側二つの左吹出口92aは、互いに接近した状態で、ルーフ部80の左右中心C寄りに配置されている。前側二つの左吹出口92aは、インナールーフ82のうち電子機器配設空間87の下方の部分に形成されている。後側二つの左吹出口92aは、凹入部83のうち左送風ダクト92に面する部分(左壁部83C)に形成されている。
【0091】
左送風ダクト92のうち前から二つ目の左吹出口92aと前から三つ目の左吹出口92aとの間に、空気の流れ方向下流側に向かって径が小さくなる左絞り部92cが形成されている。左絞り部92cは、空気の流れ方向に対して略直角な壁面で構成されている(
図15参照)。左送風ダクト92は、左絞り部92cを挟んで前方側の部分が後方側の部分よりも高さが低くなっている。
【0092】
このような構成により、左送風ダクト92を流れる空気の風速が左絞り部92cで速くなるため、ドラフト感が向上する。特に、左絞り部92cが空気の流れ方向に対して略直角な壁面で構成されていることにより、絞り部がなだらかな面で構成されるのと比較して、風速が急激に速くなるため、ドラフト感が一層向上する。
【0093】
右送風ダクト93は、エアコンユニット70で空調された空気をキャビン8内の右側に送風するものである。右送風ダクト93は、凹入部83に対して右方側に配置されている。右送風ダクト93の後端部は、分配ダクト91の右側部に連通接続されている。右送風ダクト93の前端部は、平面視においてキャビン8の左右中心C側に折れ曲がるように形成され、電子機器配設空間87内に配置されている。右送風ダクト93には、エアコンユニット70で空調された空気がキャビン8内に吹き出る四つの右吹出口93aが設けられている。各右吹出口93aには、グリル93bが取り付けられている。
【0094】
前側三つの右吹出口93aは、ルーフ部80のうち前方寄りの部分に形成されている。前側三つの右吹出口93aは、運転座席27の座面27bの前端よりも前方に配置されている。最後端の右吹出口93aは、ルーフ部80のうち後方寄りの部分に形成されている。最後端の右吹出口93aは、前後方向において運転座席27の背もたれ近傍に配置されている。これにより、運転座席27に着座した運転者の背中にエアコンユニット70で空調された空気が届き易くなる。また、前側二つの右吹出口93aは、互いに接近した状態で、ルーフ部80の左右中心C寄りに配置されている。前側二つの右吹出口93aは、インナールーフ82のうち電子機器配設空間87の下方の部分に形成されている。後側二つの右吹出口93aは、凹入部83のうち右送風ダクト93に面する部分(右壁部83D)に形成されている。
【0095】
右送風ダクト93のうち前から二つ目の右吹出口93aと前から三つ目の右吹出口93aとの間に、空気の流れ方向下流側に向かって径が小さくなる右絞り部93cが形成されている。右絞り部93cは、空気の流れ方向に対して略直角な壁面で構成されている(
図15参照)。右送風ダクト93は、右絞り部93cを挟んで前方側の部分が後方側の部分よりも高さが低くなっている。
【0096】
このような構成により、右送風ダクト93を流れる空気の風速が右絞り部93cで速くなるため、ドラフト感が向上する。特に、右絞り部93cが空気の流れ方向に対して略直角な壁面で構成されていることにより、空気の流れ方向下流側に向かって径が徐々に小さくなるなだらかな傾斜面で絞り部が構成されるのと比較して、風速が急激に速くなるため、ドラフト感が一層向上する。
【0097】
〔吸込口〕
吸込口88は、アウタールーフ81のうち左右方向においてエアコンユニット70をオフセットしている側の左側部に形成されている。吸込口88は、エアコンユニット70のうちファン72に対して隣接している。つまり、吸込口88は、アウタールーフ81のうち左右方向においてエアコンユニット70に対してファン72の側の左側部に形成されている。また、エアコンユニット70に対して左方側に、吸込口88が配置され、エアコンユニット70に対して右方側に、プレクリーナ110が配置されている。換言すると、ルーフ部80の機体横内側に、吸込口88が配置され、ルーフ部80の機体横外側に、プレクリーナ110が配置されている。つまり、吸込口88は、アウタールーフ81のうちエアコンユニット70に対してプレクリーナ110とは左右反対側の左側部に形成されている。また、吸込口88は、下方に開口する略長方形状に形成され、その長手方向が前後方向に対して前端に近付くほど左方側に位置するように斜めに配置されている。
【0098】
図16に示すように、吸込口88には、吸込口88に対して下方に離間した状態でカバー107が取り付けられている。カバー107は、吸込口88に対して下方からボルト108によって固定されている。カバー107の右半部には、第一段部107aが形成されている。カバー107の左半部には、第二段部107bが形成されている。吸込口88に対する第二段部107bの離間間隔は、吸込口88に対する第一段部107aの離間間隔よりも大きい。カバー107の左側部における第二段部107bと吸込口88との間、及びカバー107の右側部における第一段部107aと吸込口88との間から外気が吸い込まれる。
【0099】
〔シャッター〕
図14及び
図17に示すように、シャッター103は、左右向きの軸心周りに揺動可能であり、外気を導入する位置と内気を循環する位置とに切替可能に構成されている。シャッター103によって内気導入口82bが閉じられることにより、外気が外気導入口81bを通してエアコンユニット70に導入される。シャッター103によって外気導入口81bが閉じられることにより、内気が内気導入口82bを通してエアコンユニット70に導入される。シャッター103の左端部には、シャッター103の短手方向に長い長孔103a(スリット)が形成されている。
【0100】
図17(a)に示すように、シャッター103が内気導入口82bを閉じる位置に切り替えられている場合、長孔103aが内気導入口82bの範囲内に位置していない。この場合、外気が外気導入口81bを通してエアコンユニット70に導入されるが、内気が長孔103aを通してエアコンユニット70に導入されることはない。
【0101】
他方、
図17(b)に示すように、シャッター103が外気導入口81bを閉じる位置に切り替えられている場合、長孔103aが外気導入口81bの範囲内に位置している。この場合、内気が内気導入口82bを通してエアコンユニット70に導入されると共に、多少の外気が長孔103aを通してエアコンユニット70に導入される。これにより、内気循環時において、キャビン8室内の内圧が高まるため、キャビン8外からの埃の侵入を防止することができる。なお、内気循環のメリットが低下しない(内気循環時に外気を導入し過ぎない)ように、長孔103aの大きさを設定する点に留意すべきである。
【0102】
〔プレクリーナ〕
図12、
図18及び
図19に示すように、プレクリーナ110は、凹入部84に入り込むように配置されている。アウタールーフ81のうち凹入部84に対応する部分に、プレクリーナ110を支持するプレクリーナ支持部89が形成されている。プレクリーナ110は、アウタールーフ81の右側部から右方に突出している。側面視において、プレクリーナ110の上端110a(例えば、ネジ等)の方がルーフ部80の上端(高さ位置h)よりも下方に位置し、かつ、プレクリーナ110の略全てが露出している。平面視において、プレクリーナ110の略全てが露出している(
図2参照)。背面視において、プレクリーナ110が完全に露出している。プレクリーナ110は、エアコンユニット70に対して右方側に配置されている。つまり、エアコンユニット70は、ルーフ部80に対して左方側にオフセットして配置されているところ、プレクリーナ110は、ルーフ部80に対してエアコンユニット70がオフセットしている側とは左右反対側である右方側に配置されている。
【0103】
〔凹入部〕
凹入部84は、アウタールーフ81の上面が下方に凹入するように形成されている。凹入部84は、平面視において右側と後側とに亘って開口している。凹入部84のうち開口部分からプレクリーナ110が右方に突出している。凹入部84には、プレクリーナ110側とエンジン9用のエアクリーナ111側とを連通させる連通管112が設けられている。凹入部84には、上下方向に延びる縦壁部84aが形成されている。縦壁部84aは、平面視において、凹入部84のうち左側と前側とに亘るように形成され、プレクリーナ110の形状に沿う略円弧形状の部分を有している。縦壁部84aは、凹入部84における下端から上端まで延びている。
【0104】
〔プレクリーナ支持部〕
プレクリーナ支持部89は、アウタールーフ81と一体に形成されている。プレクリーナ支持部89の下端89aは、アウタールーフ81のうちで最も下方に位置している。プレクリーナ支持部89の下端89aは、側面視及び背面視において略水平な直線形状に形成されている。プレクリーナ支持部89の下端89aには、警報用のホーン113が取り付けられている。
【0105】
〔連通管〕
連通管112は、アウタールーフ81とは別体に構成されているが、アウタールーフ81と一体に構成されていてもよい。連通管112は、例えば、樹脂製のパイプによって構成されている。連通管112は、プレクリーナ支持部89を上下方向に貫通する状態で、プレクリーナ支持部89に固定されている。プレクリーナ支持部89には、連通管112が貫通する貫通孔89bが形成されている。なお、貫通孔89bは、凹入部84に含まれるものではない。また、連通管112の上端部には、プレクリーナ110が接続されている。連通管112の下端部には、接続管114の上端部が接続されている。接続管114の下端部は、エアクリーナ111に接続されている。
【0106】
〔外側ステップ〕
図2に示すように、脱穀装置7の前部における機体左外側寄りの部分に、昇降用のハシゴ115が備えられている。ハシゴ115は、機体フレーム6に固定されている。また、脱穀装置7の前部における機体左外側寄りの部分に、昇降用の外側ステップ116が設けられている。つまり、外側ステップ116は、アンローダ受け12に対して機体左外方側に配置されている。また、外側ステップ116は、チャンネル部材で構成され、正面視において下方に開口する状態で固定されている。外側ステップ116は、脱穀装置7(脱穀天板)の前壁部の上部に固定されている。また、脱穀装置7の前部における機体右内側寄りの部分に、昇降用の内側ステップ117が設けられている。内側ステップ117は、チャンネル部材で構成され、正面視において下方に開口する状態で固定されている。内側ステップ117は、アンローダ受け12に固定されている。
【0107】
このような構成により、外側ステップ116を使用して、アンローダ受け12の機体左外側から脱穀装置7の上に容易に昇ることができる。つまり、内側ステップ117を使用して、アンローダ受け12の機体右内側から脱穀装置7の上に昇る場合、キャビン8とアンローダ11との間のスペースが狭く通り難いが、アンローダ受け12の機体左外側であれば、機体左外側に開放していることから、スペースが広く通り易い。
【0108】
〔コンプレッサ搭載構造〕
図20に示すように、エアコンユニット70用のコンプレッサ118は、グレンタンク10下部の傾斜部の前方に配置されている。つまり、コンプレッサ118は、エンジン9の動力をグレンタンク10(搬送系)に伝達するグレンタンク駆動ベルト119よりも上方に配置されている。また、コンプレッサ118には、エンジン9の動力がコンプレッサ駆動ベルト120によって伝達される。エンジン9の出力軸9aには、機体右外方側から順に、コンプレッサ駆動ベルト120、グレンタンク駆動ベルト119、ファン駆動ベルト121が連係されている。ファン駆動ベルト121は、エンジン9の動力をエンジン9の冷却用のファン122に伝達するものである。
【0109】
コンプレッサ118は、コンプレッサステー123の後面にボルト131によって固定されている。コンプレッサステー123は、中間ステー124の上面に立設されている。中間ステー124は、ベースステー125の上部に固定されている。ベースステー125の上部は、支持ロッド126を介してエンジン9(例えば、シリンダブロック等)に支持されている。ベースステー125の下部は、エンジンベースの支柱127(防振マウント132用の支柱127)に固定されている。
【0110】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、本発明に係る気密性構造を変速レバー34に適用したが、クラッチレバー35に適用してもよいし、所定の切替位置に切り替えられる変速レバー34やクラッチレバー35のみならず、無段階式の操作レバーに適用してもよい。
【0111】
また、上記実施形態に係る気密性構造は、次のようなものであってもよい。例えば、
図21及び
図22に示すように、レバー孔31aを上方から塞ぐ上下二重の上側パッキン128及び下側パッキン129が、サイドパネル31の上面に貼り付けられていてもよい。なお、以下では、変速レバー34、クラッチレバー35及び無段階式の操作レバーその他の操作レバーとして、操作レバー130を用いて説明する。
【0112】
下側パッキン129には、操作レバー130の移動軌跡に沿う下側スリット129aが形成されている。上側パッキン128には、操作レバー130の移動軌跡に沿う上側スリット128aが形成されている。上側スリット128aの両端部の夫々には、丸孔128bが形成されている。丸孔128bは、操作レバー130の切替位置A及びBに対応する位置に形成されている。
【0113】
このような構成により、操作レバー130が切替位置Aに切り替えられると、操作レバー130が切替位置A側の丸孔128bに嵌り込むと共に、下側スリット129aのうち切替位置A側の端部に位置することになる。また、操作レバー130が切替位置Bに切り替えられると、操作レバー130が切替位置B側の丸孔に嵌り込むと共に、下側スリット129aのうち切替位置B側の端部に位置することになる。
【0114】
ここで、操作レバー130が下側スリット129aの端部に位置すると、下側スリット129aの端部が操作レバー130の形状に応じて変形する結果、操作レバー130と下側スリット129aの端部との間に隙間が生じることになる。しかし、操作レバー130が上側パッキン128の丸孔128bに嵌り込んでいることにより、下側スリット129aの端部の隙間が上側パッキン128によって塞がれる結果、操作レバー130の気密性が保たれる。
【0115】
なお、丸孔128bは、三つ以上形成されていてもよい。また、
図23に示すように、上側スリット128aのうち一方側の端部に、丸孔128bが形成され、下側スリット129aのうち他方側の端部に、丸孔129bが形成されていてもよい。
【0116】
(2)上記実施形態において、載置面15cは、後壁部15の上部が屈曲するように形成されているが、後壁部15の上部が湾曲するように形成されていてもよい。
【0117】
(3)上記実施形態において、エアコンユニット70は、左前上部フレーム67及び右前上部フレーム68のうち左前上部フレーム67側にオフセットして配置されているが、右前上部フレーム68側にオフセットして配置されていてもよい。
【0118】
(4)上記実施形態では、右前上部フレーム68の後端部が後縦フレーム25の上端部に載置連結されているが、これに代えて又はこれと共に、左前上部フレーム67の後端部が後縦フレーム25の上端部に載置連結されていてもよい。
【0119】
(5)上記実施形態において、左前上部フレーム67の後端部は、右方側に湾曲するように形成されているが、右方側に屈曲するように形成されていてもよい。
また、右前上部フレーム68の後端部は、左方側に湾曲するように形成されているが、左方側に屈曲するように形成されていてもよい。
また、左前上部フレーム67の後端部のみ右方側に湾曲又は屈曲するように形成されていてもよいし(右前上部フレーム68の後端部が左方側に湾曲又は屈曲するように形成されていない)、あるいは、右前上部フレーム68の後端部のみ左方側に湾曲又は屈曲するように形成されていてもよい(左前上部フレーム67の後端部が右方側に湾曲又は屈曲するように形成されていない)。
【0120】
(6)上記実施形態において、吸込口88は、アウタールーフ81のうち左右方向においてエアコンユニット70をオフセットしている側の左側部に形成されているが、エアコンユニット70をオフセットしている側とは反対側の右側部に形成されていてもよい。
【0121】
(7)上記実施形態において、吸込口88は、アウタールーフ81のうち左右方向においてエアコンユニット70に対してファン72の側の左側部に形成されているが、エアコンユニット70に対してファン72の側とは反対側の右側部に形成されていてもよい。
【0122】
(8)上記実施形態において、アウタールーフ81の左側部が左方に突出し、アウタールーフ81のうち左方に突出している部分の底部に、吸込口88が形成されているが、アウタールーフ81の右側部が右方に突出し、アウタールーフ81のうち右方に突出している部分の底部に、吸込口88が形成されていてもよいし、あるいは、アウタールーフ81のうち左方又は右方に突出している部分の前面部、後面部、上面部及び側面部に形成されていてもよい。
【0123】
(9)上記実施形態において、吸込口88は、アウタールーフ81のうちエアコンユニット70に対してプレクリーナ110とは左右反対側の左側部に形成されているが、エアコンユニット70に対してプレクリーナ110とは左右同じ側の右側部に形成されていてもよい。
【0124】
(10)上記実施形態において、吸込口88は、ルーフ部80の機体横内側に配置されているが、ルーフ部80の機体横外側に配置されていてもよい。
【0125】
(11)上記実施形態において、プレクリーナ110は、ルーフ部80に対してエアコンユニット70がオフセットしている側とは左右反対側である右方側に配置されているが、ルーフ部80に対してエアコンユニット70がオフセットしている側である左方側に配置されていてもよい。
【0126】
(12)上記実施形態において、プレクリーナ110は、エアコンユニット70に対して右方側に配置されているが、エアコンユニット70に対して左方側に配置されていてもよい。
【0127】
(13)上記実施形態において、プレクリーナ110は、ルーフ部80の機体横外側に配置されているが、ルーフ部80の機体横内側に配置されていてもよい。