特許第6249795号(P6249795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6249795-浴室暖房乾燥機 図000002
  • 特許6249795-浴室暖房乾燥機 図000003
  • 特許6249795-浴室暖房乾燥機 図000004
  • 特許6249795-浴室暖房乾燥機 図000005
  • 特許6249795-浴室暖房乾燥機 図000006
  • 特許6249795-浴室暖房乾燥機 図000007
  • 特許6249795-浴室暖房乾燥機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249795
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】浴室暖房乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F24D 15/00 20060101AFI20171211BHJP
   F26B 9/02 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   F24D15/00 B
   F26B9/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-14476(P2014-14476)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-140978(P2015-140978A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小畠 未希
(72)【発明者】
【氏名】日下 淳
(72)【発明者】
【氏名】荏開津 孝生
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/127662(WO,A1)
【文献】 特開2004−245544(JP,A)
【文献】 特開平10−072188(JP,A)
【文献】 特開2001−280687(JP,A)
【文献】 特開2001−116344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 15/00
F26B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の下方に設けられ空気の吸入口及び吹出口が形成されたグリル板と、
操作部を有し、前記グリル板に着脱自在に設けられたフィルター部とを備えた浴室暖房乾燥機であって、
前記フィルター部に巻取用接続部材が接続され、
前記グリル板に、前記巻取用接続部材を巻き取り収納可能な巻取ローラと、前記巻取用接続部材を巻き取る方向に前記巻取ローラを付勢する付勢手段と、前記操作部の操作により前記付勢手段の付勢力に抗して前記巻取用接続部材を引き出す回転方向に回転する前記巻取ローラを任意の回転位置で停止する停止状態とし、且つ、前記停止状態で前記操作部の操作により所定の引出量以下の前記巻取用接続部材を引き出すことで前記停止状態を解除して前記巻取ローラによる前記巻取用接続部材の巻き取りが完了した巻取完了状態とする回転規制機構とを備えた巻取装置が設けられた浴室暖房乾燥機。
【請求項2】
前記グリル板に前記フィルター部を案内する案内部が設けられ、
当該案内部が、前記巻取用接続部材を引き出す方向である引出方向に沿う前記吸入口の縁部と、当該縁部に沿って当該縁部の上部に設けられた案内板との間に形成され、前記案内板の前記案内部の入口に近接する部位に、前記引出方向に沿う断面視で、上方に向けて凹む円弧状の凹部が形成されている請求項1に記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項3】
前記巻取用接続部材が帯状部材で構成され、
当該帯状部材の幅を、前記引出方向に直交する方向の前記フィルター部の長さの1/3よりも大きい幅とする請求項2に記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項4】
前記フィルター部が、前記引出方向に直交する方向に延びる接続棒を備え、当該接続棒に前記巻取用接続部材を巻設して前記フィルター部と前記巻取用接続部材とが接続されている請求項2又は3に記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項5】
前記操作部が棒状部材で形成され、前記棒状部材の長手方向が前記引出方向に沿う状態で、当該棒状部材の一端側が前記フィルター部と接続されている請求項2〜4の何れか一項に記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項6】
前記グリル板に前記操作部を収納する収納部が設けられ、
前記収納部又は前記操作部の少なくとも一方に磁石が設けられ、
前記フィルター部が前記空気の吸入口に位置する状態で、当該磁石の磁力により、前記操作部が前記収納部に収納される請求項1〜5の何れか一項に記載の浴室暖房乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体の下方に設けられ空気の吸入口及び吹出口が形成されたグリル板と、
操作部を有し、前記グリル板に着脱自在に設けられたフィルター部とを備えた浴室暖房乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浴室暖房乾燥機として、例えば、下記の特許文献1には、浴室天井に設けられた本体と、その本体下方にグリル板としての化粧パネル1とが備えられた浴室暖房乾燥機が開示されている。この化粧パネル1には浴室内の空気を吸入する吸入口が設けられ、その吸入口には空気中の埃を除去するフィルター部が着脱自在に設けられている。フィルター部は化粧パネルに設けられたフィルターガイド8Aによって案内され、フィルター部が吸入口に位置する状態で、フィルター部に設けられた突起部10が、フィルターガイド8Aに設けられた受部11に係合するように構成されている。
【0003】
このような浴室暖房乾燥機によって浴室内の空気を加熱して、例えば、浴室内に干した衣類を乾燥させる場合には、衣類から発生する埃が吸入口から吸込まれるので、吸入口に設けられたフィルター部に埃が堆積する。フィルター部に埃が堆積すると、浴室暖房乾燥機の性能悪化や消費電力増大に繋がるため、フィルター部の清掃のため、定期的にフィルター部を化粧パネルに取り付け及び取り外しすることが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−280998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の浴室暖房乾燥機では、化粧パネルが浴室天井に設けられているので、作業者は踏み台等を利用して、フィルター部の化粧パネルへの取り付け及び化粧パネルからの取り外しの作業を行うことが必要であった。また、フィルター部を化粧パネルに取り付けると、フィルター部の突起部が化粧パネルの受部に係合するので、フィルター部を化粧パネルから取り外すには、この突起部と受部との係合を解除する必要があり、フィルター部の取り外しの作業が繁雑になるという問題があった。
さらに、フィルター部の取り付け及び取り外し作業において、突起部と受部とを係合させるため及びその係合を解除するための力を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、フィルター部の取り付け及び取り外し作業を、力を要することなく容易に行うことができる浴室暖房乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明に係る浴室暖房乾燥機は、
本体の下方に設けられ空気の吸入口及び吹出口が形成されたグリル板と、
操作部を有し、前記グリル板に着脱自在に設けられたフィルター部とを備えた浴室暖房乾燥機であって、
前記フィルター部に巻取用接続部材が接続され、
前記グリル板に、前記巻取用接続部材を巻き取り収納可能な巻取ローラと、前記巻取用接続部材を巻き取る方向に前記巻取ローラを付勢する付勢手段と、前記操作部の操作により前記付勢手段の付勢力に抗して前記巻取用接続部材を引き出す回転方向に回転する前記巻取ローラを任意の回転位置で停止する停止状態とし、且つ、前記停止状態で前記操作部の操作により所定の引出量以下の前記巻取用接続部材を引き出すことで前記停止状態を解除して前記巻取ローラによる前記巻取用接続部材の巻き取りが完了した巻取完了状態とする回転規制機構とを備えた巻取装置が設けられた点にある。
【0008】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の第1特徴構成によれば、フィルター部に巻取用接続部材が接続され、その巻取用接続部材を巻き取る方向に付勢する付勢手段を備えた巻取ローラがグリル板に設けられているので、巻取ローラによって巻取用接続部材が巻き取られることでフィルター部がグリル板の吸入口の正しい位置に装着されるように構成することができる。
【0009】
また、付勢手段の付勢力に抗して巻取用接続部材をグリル板から引き出す方向に回転する巻取ローラを任意の回転位置で停止する停止状態とする回転規制機構を備えるので、作業者が操作部を操作して、フィルター部をグリル板から引き出すことで、フィルター部がグリル板から引き出された状態で停止させることができる。
また、回転規制機構は、このフィルター部がグリル板から引き出されて停止している状態で、所定の引出量以下の巻取用接続部材が引き出されると、巻取ローラの停止状態を解除して、付勢手段の付勢力により、巻取ローラによる巻取用接続部材の巻き取りが完了した巻取完了状態とするので、作業者が所定の引出量以下の巻取用接続部材を引き出し量となるようにフィルター部を引き出すだけで、フィルター部がグリル板の吸入口の正しい位置に装着された状態に戻すことができる。
よって、フィルター部のグリル板への取り付け及びグリル板からの取り外し作業の容易化を可能にすることができる。
【0010】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の第2特徴構成は、上記浴室暖房乾燥機の第1特徴構成に加えて、
前記グリル板に前記フィルター部を案内する案内部が設けられ、
当該案内部が、前記巻取用接続部材を引き出す方向である引出方向に沿う前記吸入口の縁部と、当該縁部に沿って当該縁部の上部に設けられた案内板との間に形成され、前記案内板の前記案内部の入口に近接する部位に、前記引出方向に沿う断面視で、上方に向けて凹む円弧状の凹部が形成されている点にある。
【0011】
上記浴室暖房乾燥機の第2特徴構成によれば、フィルター部が、グリル板の吸入口の縁部と、その縁部の上部に設けられた案内板との間に形成された案内部(案内用の空間)によって案内されるので、巻取用接続部材の巻き取りに伴うフィルター部のグリル板への装着及び手動によるフィルター部のグリル板からの取り外しを安定して行うことができる。
また、案内部の入口に近接する案内板の部位に上方に向けて凹む円弧状の凹部が形成されているので、巻取用接続部材の巻き取りに伴って、急速にフィルター部がグリル板の下方から上方に向かって引き上げられ、フィルター部の先端部が上方に向かって案内部に侵入した場合でも、案内部に形成された上方に向けて凹む円弧状の凹部に侵入当接し、余裕をもって案内部内に引き込まれ、その先端部が凹部の円弧状面により案内部が延びる方向に案内される。よって、フィルター部を案内部内において円滑に案内してグリル板に取り付けることができる。
【0012】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の第3特徴構成は、上記浴室暖房乾燥機の第2特徴構成に加えて、
前記巻取用接続部材が帯状部材で構成され、
当該帯状部材の幅を、前記引出方向に直交する方向の前記フィルター部の長さの1/3よりも大きい幅とする点にある。
【0013】
上記浴室暖房乾燥機の第3特徴構成によれば、帯状部材がフィルター部との接続部の引出方向に直交する方向において、その方向のフィルター部の長さに対応する所定の幅を有することとなるので、フィルター部のグリル板への取り付けの際に、巻取装置による巻取用接続部材の巻き取りにより、フィルター部を安定してグリル板の案内部に引き込むことができる。また、フィルター部のグリル板からの取り外しの際に、作業者によるフィルター部のグリル板からの引き出しにより、巻取装置から巻取用接続部材を安定して引き出すことができる。
【0014】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の第4特徴構成は、上記浴室暖房乾燥機の第2乃至第3特徴構成に加えて、
前記フィルター部が、前記引出方向に直交する方向に延びる接続棒を備え、当該接続棒に前記巻取用接続部材を巻設して前記フィルター部と前記巻取用接続部材とが接続されている点にある。
【0015】
上記浴室暖房乾燥機の第4特徴構成によれば、フィルター部に接続棒が設けられているので、接続棒に巻取用接続部材を巻設することで、フィルター部と巻取用接続部材とを容易に接続することができる。また、巻取用接続部材の接続棒の巻設を解くことで、巻取用接続部材から容易にフィルター部を取り外すことができ、フィルター部の交換及びフィルター部の清掃を容易に行うことができる。
【0016】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の第5特徴構成は、上記浴室暖房乾燥機の第2乃至第4特徴構成に加えて、
前記操作部が棒状部材で形成され、前記棒状部材の長手方向が前記引出方向に沿う状態で、当該棒状部材の一端側が前記フィルター部と接続されている点にある。
【0017】
上記浴室暖房乾燥機の第5特徴構成によれば、作業者は棒状部材を把持して引っ張ることで、巻取装置の付勢手段による付勢力に反してフィルター部をグリル板から容易に取り外すことができる。
【0018】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の第6特徴構成は、上記浴室暖房乾燥機の第1乃至第5特徴構成に加えて、
前記グリル板に前記操作部を収納する収納部が設けられ、
前記収納部又は前記操作部の少なくとも一方に磁石が設けられ、
前記フィルター部が前記空気の吸入口に位置する状態で、当該磁石の磁力により、前記操作部が前記収納部に収納される点にある。
【0019】
上記浴室暖房乾燥機の第6特徴構成によれば、作業者により作業を行うことなく、磁着により操作部を収納部に収納することができる。また、操作部を収納部に収容することで、作業者等が誤って操作部と接触する等によりフィルター部がグリル板から取り外されてしまうことを防止することができる。さらに、操作部を収納部に収容することで、グリル板から操作部が突出せず、デザイン性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る浴室暖房乾燥機の概略構成図
図2】浴室暖房乾燥機の装置本体の断面図
図3】フィルター部の概略平面図
図4】グリル板の概略平面図
図5】巻取装置の概略斜視図
図6】フィルター部のグリル板からの取り外し動作を示す図
図7】フィルター部のグリル板への取り付け動作を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明に係る浴室暖房乾燥機の実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、浴室暖房乾燥機は、装置本体Mと、その装置本体Mに加熱した熱媒を循環供給する熱源機Gと、浴室暖房乾燥機の運転を制御する制御手段としての運転制御部Cと、その運転制御部Cに各種制御指令を指令する浴室リモコンR1及び脱衣室リモコンR2とを備えて構成されている。浴室リモコンR1は、浴室B内に備えられ、脱衣室リモコンR2は、浴室Bに隣接する脱衣室に備えられる。
【0022】
装置本体Mは、本体ケーシング1(本体の一例)と、その下方に設けられたグリル板2とで構成されている。そして、本体ケーシング1が浴室Bの天井裏に配置され、グリル板2を天井板10の浴室側の天井面に配設されている。尚、装置本体Mは、吊り金具11にて、天井スラブ等に吊り下げ支持される。また、ダクト接続部Eに接続された排気ダクト5は、浴室Bの天井裏を這わして先端を外壁等から屋外に臨ませるように施工される。
【0023】
本体ケーシング1は、下方が略全体にわたって開口した概ね直方体形状の箱状に構成され、その本体ケーシング1内には、吸入口3から吸い込んだ空気を吹出口4から吹き出すように通風作用する循環ファン6、吸入口3から吸い込んだ空気をダクト接続部Eを通して本体ケーシング1外に排出する排気ファン7、循環ファン6により通風される空気を熱源機Gから熱媒循環路8を通して循環供給される熱媒にて加熱する暖房用熱交換器9等が装備されている。
【0024】
グリル板2には、空気の吸入口3及び吹出口4が形成され、本体ケーシング1の下方の開口を塞ぐ状態で装備されている。この吸入口3にはフィルター部20が着脱自在に設けられており、そのフィルター部20に接続される巻取用接続部材31を巻き取り収納可能な巻取装置30が設けられている。また、吸入口3には格子状に形成された吸入口フィン3cが設けられている。
【0025】
そして、図2に示すように、本体ケーシング1の内部に、中抜き矢印にて示す如く吸入口3を通して浴室B内の空気を吸い込んで吹出口4を通して吹き出すための循環通風路18が、導風板16により区画形成されている。この循環通風路18は、導風板16により、本体ケーシング1の内部における排気口13が臨む空間部分と区画されている。
そして、この循環通風路18内に、循環ファン6が、吸入口3に吸込み作用すると共に、その吸入口3から吸い込んだ空気を吹出口4に向けて吐出するように通風作用する状態で設けられている。
【0026】
暖房用熱交換器9が、循環通風路18内における循環ファン6よりも通風方向上流側に設けられて、熱源機Gから循環供給される熱媒との熱交換により、循環通風路18内を通風する空気を加熱するよう構成されている。ちなみに、暖房用熱交換器9は、一対の熱交換器部分にて構成され、これら一対の熱交換部分が正面視でL字状に配設されている。
つまり、循環ファン6の通風作用により、吸入口3を通して吸い込まれた浴室B内の空気が、暖房用熱交換器9にて加熱された後、吹出口4を通して浴室B内に吹き出されるように構成されており、これにより、浴室B内が暖房される浴室暖房運転が行われる。この浴室暖房運転は浴室リモコンR1及び脱衣室リモコンR2からの指令により実施される。
【0027】
また、吹出口4には、電動モータ(図示省略)により揺動駆動される可動ルーバ19が設けられ、この可動ルーバ19により、吹出口4から浴室B内に吹き出される空気の風向が変更可能なように構成されている。
【0028】
排気ファン7が、本体ケーシング1の内部において、排気口13が形成された内側面と導風板16との間の部分に設けられたファンケース7c内に設けられている。また、排気ファン7を回転駆動する電動モータ7bがファンケース7cの上面に配置されている。
また、図示を省略するが、排気口13が形成された内側面と導風板16との間の排気ファン7が配設された空間部分は、循環通風路18内における暖房用熱交換器9よりも通風方向上流側の部分に連通するように構成されている。
【0029】
そして、循環ファン6が作動されている状態で、排気ファン7が作動されると、循環ファン6の通風作用により浴室Bから吸い込まれた空気の一部が、暖房用熱交換器9により加熱される前に排気ファン7の通風作用により分流され、それに伴う風圧により排気口シャッタ17が開かれて、分流された空気が排気口13から排気導風ボックス14及び排気ダクト5を通して屋外に排出される浴室換気運転が行われる。又、循環ファン6が停止されている状態で、排気ファン7が作動されると、排気ファン7の通風作用により浴室B内の空気が吸入口3を通して吸い込まれ、それに伴う風圧により排気口シャッタ17が開かれて、浴室B内の空気が排気口13から排気導風ボックス14及び排気ダクト5を通して屋外に排出される浴室換気運転が行われる。この浴室換気運転は、浴室リモコンR1及び脱衣室リモコンR2からの指令により実施される。
【0030】
次に、浴室暖房乾燥機の各部について説明を加える。
図3に基づいてフィルター部20について説明する。フィルター部20は、空気をフィルタリングするフィルター21と、そのフィルター21を支持する枠体22と、フィルター部20をグリル板2の吸入口3に着脱する際に、作業者が保持して操作を行うための操作部23とで構成されている。また、フィルター部20は、グリル板2に設けられた案内部開口2aから引き込まれ、案内部2bにより案内されて吸入口3に位置される(図2参照)。これにより、グリル板2の吸入口3から本体ケーシング1内に吸入する浴室内の空気に含まれる埃等を取り除くことができる。特に、浴室内において衣類乾燥を行う際に、衣類から発生して浴室内の空気に含まれる埃を取り除くことができる。
【0031】
また枠体22には、後述する巻取用接続部材31が巻設されて接続されている接続棒28が設けられている。この接続棒28は、巻取装置30からの巻取用接続部材31の引き出しに伴って、フィルター部20が案内部2b内を移動する引出方向と反対方向側の枠体22の端部25に設けられ、その引出方向に直交する方向に延びる状態で端部25に沿って設けられている。
【0032】
この接続棒28は、枠体22の引出方向に直交する方向に等間隔に配置した3カ所に設けられた接続棒取付部材26によって、端部25と離間させた状態で巻設用隙間27を形成して設けられている。そして、この巻設用隙間27に巻取用接続部材31を通過させる状態で、巻取用接続部材31を接続棒28に巻設してフィルター部20と巻取用接続部材31とが接続されている。
【0033】
また、操作部23が、枠体22における引出方向側の端部24に設けられている。操作部23は棒状部材で形成され、この棒状部材の長手方向が引出方向に沿う状態で、棒状部材の一端側が枠体22の引出方向側の端部24に接続されている。よって、作業者は、例えば、この操作部23を把持してグリル板2の吸入口3に設けられたフィルター部20を、案内部開口2a(図2参照)から引出方向に引き出して、フィルター部20をグリル板2から取り外すことができる。
【0034】
次に、図4に基づいてグリル板2について説明する。
グリル板2には、上述の如く、空気の吸入口3及び吹出口4が形成され、吸入口3には格子状に形成された吸入口フィン3cが設けられている。また、グリル板2には、フィルター部20が挿入される案内部開口2aと、案内部開口2aと連通してフィルター部20を吸入口3まで案内する案内部2bとが設けられている。案内部開口2aは、グリル板2において、吸入口3と吹出口4との間に設けられている。また、案内部2bは、引出方向に沿う吸入口3の縁部3aと、その縁部3aに沿って、その縁部3aの本体ケーシング1側に設けられた案内板2cとの間に形成されている。そして、この案内板2cの案内部開口2aに近接する部位に、引出方向に沿う断面視で、上方に向けて凹む円弧状の凹部2dが形成されている(図2参照)。
【0035】
そして、グリル板2の本体ケーシング側面において、吸入口3の引出方向と反対方向側の反対方向側縁部3bには、フィルター部20に接続された巻取用接続部材31を巻き取り収納可能な巻取装置30が設けられている。この巻取用接続部材31が帯状部材で構成され、帯状部材の幅W1は、引出方向に直交する方向のフィルター部20の幅W2(図3参照)の約2/3とされている。
【0036】
また、グリル板2の浴室側面には、フィルター部20に設けられた操作部23を収納する収納部32が設けられている。この収納部32には磁石32aが設けられている。一方、フィルター部20の操作部23には磁性体(図示せず)が設けられており、これにより、巻取装置30による巻取用接続部材31の巻き取りが完了した巻取完了状態で、フィルター部20がグリル板2の吸入口3に位置する状態で、この磁石32aの磁力により、操作部23が収納部32に磁着により収納される。
【0037】
次に、図5に基づいて巻取装置30について説明する。
巻取装置30は、巻取用接続部材31を巻き取り収納可能な巻取ローラ33と、巻取用接続部材31を巻き取る方向に巻取ローラ33を付勢する付勢手段34と、操作部23の操作により付勢手段34の付勢力に抗して巻取用接続部材31を引き出す方向に回転する巻取ローラ33を任意の回転位置で停止する停止状態とし、且つ、停止状態で操作部23の操作により所定の引出量以下の巻取用接続部材31を引き出すことで停止状態を解除して巻取ローラ33による巻取用接続部材31の巻き取りが完了した巻取完了状態とする回転規制機構と、調整ユニット35とを備えている。なお、回転規制機構は、後述する回転規制ユニット36と付勢手段34とで構成されている。
そして、この巻取完了状態で、フィルター部20がグリル板2の吸入口3に位置する状態となるように構成されている。
【0038】
この巻取装置30は、公知のものであるので詳述はしないが、両端に一対の支持部材40が設けられたフレーム41が設けられ、一対の支持部材40によって巻取ローラ33の両端が回転可能に支持されている。フレーム41は、グリル板2の吸入口3の引出方向側の反対方向側縁部3bに取り付けられている。
【0039】
巻取ローラ33にはコイル状スプリング等で構成された付勢手段34が内蔵されており、付勢手段34の一端が調整ユニット35を介して支持部材40に固定され、その他端が巻取ローラ33の内周面に固定部材37を介して固定されている。よって、作業者によりフィルター部20の引出方向への引出操作が行われると、巻取ローラ33が巻取用接続部材31を引き出す回転方向に回転して、付勢手段34の他端が巻取ローラ33と一体に回転して付勢力が蓄積される。これにより、フィルター部20の引出方向への引出操作の後に、巻取ローラ33の巻取用接続部材31を巻き取る回転方向への回転が許容されると、付勢手段34に蓄積された付勢力によって巻取ローラ33が巻取用接続部材31を巻き取る回転方向へと回転し、巻取用接続部材31が巻き取られ、フィルター部20が引出方向と反対側の挿入方向に移動する。
【0040】
また、巻取ローラ33には、回転規制ユニット36が内蔵されており、この回転規制ユニット36によって、巻取ローラ33を停止状態とすること、及び、停止状態を解除することができるようになっている。よって、停止状態を解除して巻取ローラ33による巻取用接続部材31の巻き取りが完了した巻取完了状態とする回転規制機構は、この回転規制ユニット36と付勢手段34とで構成されている。
【0041】
なお、調整ユニット35は、付勢手段34の巻取用接続部材31を巻き取る回転方向への回転力を調整するためのユニットであり、付勢力調整ダイヤル38を回転することで、その回転力を調整することができる。
【0042】
次に、フィルター部20のグリル板2からの取り外し動作について図6に基づいて説明する。
図6(a)に示すように、吸入口3にフィルター部20が位置する状態(正しい位置に装着された状態)において、操作部23がグリル板2の収納部32に収納されているフィルター部20の操作部23を、図6(b)に示すように収納部32から取出す。そして、その操作部23を把持して、図6(c)に示すように、巻取装置30の付勢手段34の付勢力に反してグリル板2の案内部2bから引き出し、さらに、所望の高さ位置まで引き下げると、回転規制ユニット36により、付勢手段34による巻取ローラ33の巻取用接続部材31を巻き取る回転方向への回転が阻止された停止状態となる。このように、フィルター部20を案内部2bから引き出して、フィルター部20をグリル板2から容易に取り外すことができる。また、その際、フィルター部20を浴室内の低い位置まで引き下げることで、作業者は、低い位置で停止状態となっているフィルター部20の清掃や交換等を容易に実施することができる。
【0043】
次に、フィルター部20がグリル板2に装着されるフィルター部20の取り付け動作について図6(a)、図6(b)及び図7に基づいて説明する。
フィルター部20が案内部2bから引き出されて、巻取ローラ33が停止している停止状態で、作業者が、所定の引出量以下の巻取用接続部材31の引出量となるように、フィルター部20を引き出すことで、回転規制ユニット36により、巻取ローラ33の停止状態が解除され、巻取用接続部材31の巻取ローラ33による巻き取が開始される。
【0044】
そうすると、図7(a)に示すように、巻取用接続部材31の巻取ローラ33による巻き取りに伴って、フィルター部20がグリル板2の案内部開口2aから案内部2b内に急速に引き込まれるが、フィルター部20の端部24が、案内部開口2aに近接する案内板2cの部位に設けられた円弧状の凹部2dに侵入当接し、余裕をもって案内部内に引き込まれ、凹部2dの円弧状の曲面によりフィルター部20が案内部2bの延びる方向に案内される。よって、図7(b)に示すように、フィルター部20が、巻取用接続部材31の巻取ローラ33による巻き取りに伴って、案内部2bに円滑に引き込まれる。
【0045】
その後、吸入口3にフィルター部20が位置する状態となるまで巻取用接続部材31が巻き取られると巻取完了状態となる(図6(b)参照)。この状態では、フィルター部20に付勢手段34による付勢力が付勢されているが、案内部2bによってフィルター部20の枠体22に位置が規制されて、吸入口3にフィルター部20が位置する状態、つまり、フィルター部20がフィルタリングを正しく行える位置に装着された状態となる。よって、この巻取完了状態においてフィルター部20は、引出方向と反対方向に付勢されており、フィルター部20がグリル板2の案内部2bから落下することが防止されている。
【0046】
また、吸入口3にフィルター部20が位置する状態となると、収納部32に設けられた磁石32aの磁力により、操作部23がグリル板2の収納部32に磁着により収納される(図6(a)参照)。よって、作業者は、フィルター部20が案内部2bから引き出されて、巻取ローラ33が停止状態となっている状態で、所定の引出量以下の巻取用接続部材31を引き出すだけで、容易にグリル板2にフィルター部20を取り付けることができる。
【0047】
〔別実施形態〕
最後に、本発明の別実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(A)上記実施形態においては、巻取用接続部材31である帯状部材の幅は、引出方向に直交する方向のフィルター部20の長さの約2/3としたが、これに限らず、帯状部材の幅は、引出方向に直交する方向のフィルター部20の幅の1/3よりも大きい長さとすることができる。
【0048】
(B)上記実施形態では、グリル板2の収納部32に磁石32aが設けられ、フィルター部20の操作部23には磁性体が設けられたが、これに限らず、フィルター部20の操作部23に磁石を設け、グリル板2の収納部32に磁性体を設けてもよい。また、グリル板2の収納部32及びフィルター部20の操作部23の両方に磁石を設けてもよい。
【0049】
(C)上記実施形態では、フィルター部20の操作部23は棒状部材で形成され、棒状部材の長手方向が引出方向に沿う状態で、枠体22における引出方向側の端部24に設けられたが、これに限らず、棒状部材の長手方向が引出方向と直交する状態で、枠体22における引出方向側の端部24に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、フィルター部の取り付け及び取り外し作業を、力を要することなく容易に行うことができる浴室暖房乾燥機を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 本体ケーシング(本体)
2 グリル板
2b 案内部
2c 案内板
2a 入口(案内部入口)
2d 凸部
3 吸入口
3a 縁部
4 吹出口
20 フィルター部
23 操作部
28 接続棒
30 巻取装置
31 巻取用接続部材
32 収納部
32a 磁石
33 巻取ローラ
34 付勢手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7